JPH1033562A - 人工歯根 - Google Patents

人工歯根

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JPH1033562A
JPH1033562A JP8196784A JP19678496A JPH1033562A JP H1033562 A JPH1033562 A JP H1033562A JP 8196784 A JP8196784 A JP 8196784A JP 19678496 A JP19678496 A JP 19678496A JP H1033562 A JPH1033562 A JP H1033562A
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JP
Japan
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artificial
tooth root
artificial tooth
crown
crown fixing
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JP8196784A
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Kenichi Shimodaira
賢一 下平
Junichi Hayashi
純一 林
Mitsuo Ito
充雄 伊藤
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INJIETSUKUSU KK
Matsumoto Dental University
Original Assignee
INJIETSUKUSU KK
Matsumoto Dental University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造が容易であり、生体親和性が良く、かつ強
度が高い人工歯根を提供する。 【解決手段】人工歯根1は、骨組織に埋入される埋入部
3と、歯冠が固定される歯冠固定部2とで構成されてい
る。埋入部3および歯冠固定部2は、それぞれ、Tiを
基本成分とし、M(但し、Mは、Ca、PおよびSiの
うちの少なくとも1種)を0.01〜3wt%含む金属材
料で構成されている。そして、この金属材料の外表面に
は、被覆層6が形成されている。これら埋入部3および
歯冠固定部2を構成する金属材料は、それぞれ、金属粉
末射出成形法により製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工歯根に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】生体歯の歯根に代わる人工歯根が知られ
ている。人工歯根は、骨組織に埋入される埋入部と、歯
冠が固定される歯冠固定部とで構成されている。
【0003】このような人工歯根の構成材料としては、
従来、ステンレス鋼、Ti等の金属材料、ジルコニ
ア、アルミナ、サファイア系等のセラミックスが用いら
れていた。
【0004】しかしながら、セラミックス製の人工歯根
は、靱性が低く、破損を生じ易いという欠点がある。さ
らに、セラミックス製の人工歯根は、極めて高価であ
る。
【0005】このため、このような欠点の少ない金属製
の人工歯根が注目されている。金属製の人工歯根は、通
常、鋳造法と機械加工により製造される。
【0006】金属製の人工歯根のうち、ステンレス鋼製
の人工歯根は、生体適合性が劣り、特に、金属アレルギ
ーの発症や、Ni、Crの溶出による発ガンのおそれ等
の生体への悪影響がある。
【0007】これに対し、Ti製の人工歯根は、軽量で
強度が高く、耐食性および生体適合性に優れている。
【0008】しかしながら、Ti製の人工歯根の場合に
は、人工歯根への製造・加工は、鋳造品に対し特殊な工
具による切削加工や、レーザー加工を施したり、超塑性
成型加工により行ったりするので、製造が容易ではない
という問題がある。特に、複雑で微細な形状への加工に
は、複雑な製造工程と高度な技術とを要し、製造コスト
も増大する。
【0009】さらに、Tiは、生体親和性があまり良く
ない。このため、Ti製の人工歯根では、それが患者の
骨組織に埋入された後、骨組織によって固定されるまで
に長時間を要し、場合によっては、骨組織に埋入された
人工歯根が脱落してしまうことがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製造
が容易であり、生体親和性が良く、かつ強度が高い人工
歯根を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0012】(1) 骨組織に埋入される埋入部と、歯
冠が固定される歯冠固定部とを有し、金属粉末射出成形
法により製造された人工歯根であって、少なくとも前記
埋入部の少なくとも表面付近が、Tiを基本成分とし、
M(但し、Mは、Ca、PおよびSiのうちの少なくと
も1種)を0.01〜3wt%含む金属材料で構成されて
いることを特徴とする人工歯根。
【0013】(2) 少なくとも前記埋入部の少なくと
も表面付近には、Caが0.01〜1wt%含まれる上記
(1)に記載の人工歯根。
【0014】(3) 少なくとも前記埋入部の少なくと
も表面付近には、Pが0.01〜0.5wt%含まれる上
記(1)または(2)に記載の人工歯根。
【0015】(4) 少なくとも前記埋入部の少なくと
も表面付近には、Siが0.01〜0.5wt%含まれる
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の人工歯根。
【0016】(5) 前記埋入部の空孔率は、5〜15
vol%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載
の人工歯根。
【0017】(6) 前記歯冠固定部の空孔率は、3 v
ol%以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記
載の人工歯根。
【0018】(7) 少なくとも前記埋入部は、その外
表面を被覆する被覆層を有する上記(1)ないし(6)
のいずれかに記載の人工歯根。
【0019】(8) 前記被覆層中のM(但し、Mは、
Ca、PおよびSiのうちの少なくとも1種)の含有量
が、前記埋入部の表面付近におけるM(但し、Mは、C
a、PおよびSiのうちの少なくとも1種)の含有量よ
り多い上記(7)に記載の人工歯根。
【0020】(9) 前記埋入部と、前記歯冠固定部と
が別部材で構成され、それらが嵌合されて使用される上
記(1)ないし(8)のいずれかに記載の人工歯根。
【0021】(10) 前記埋入部の空孔率が、前記歯冠
固定部の空孔率より高い上記(9)に記載の人工歯根。
【0022】(11) 前記埋入部のM(但し、Mは、C
a、PおよびSiのうちの少なくとも1種)の含有量
が、前記歯冠固定部のM(但し、Mは、Ca、Pおよび
Siのうちの少なくとも1種)の含有量より多い上記
(9)または(10)に記載の人工歯根。
【0023】(12) 前記埋入部と、前記歯冠固定部と
が一体化している上記(1)ないし(8)のいずれかに
記載の人工歯根。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の人工歯根を添付図
面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0025】図1および図2は、本発明の人工歯根をシ
リンダー式(ねじ込み式)の人工歯根に適用した場合の
構成例を示す断面図である。
【0026】これらの図に示すように、人工歯根1は、
骨組織に埋入される埋入部(fixture )3と、歯冠、す
なわち人工の歯冠(クラウンやブリッジ)4が固定され
る歯冠固定部(abutment screw)2とで構成されてい
る。
【0027】歯冠固定部2は、歯冠4が固定される円柱
状の頭部21と、この頭部21の先端側(図1および図
2中下側)に設けられた螺子(雄螺子)22とを有して
いる。歯冠固定部2の頭部21には、歯冠4が、例え
ば、接着剤により接着されている。
【0028】埋入部3は、その全体形状が有底の円筒状
であり、その内側(内部)には、歯冠固定部2の螺子2
2と螺合する螺子(雌螺子)31が設けられている。
【0029】なお、歯冠固定部2および埋入部3は、そ
れらが嵌合されたとき、歯冠固定部2の頭部21の外側
面23と、埋入部3の外側面32とが、連続面を形成す
るようになっている。
【0030】患者に人工歯根1を装着する場合には、図
1に示すように、骨5の所定位置に孔を穿設し、その孔
に埋入部3を挿入する。すなわち、骨組織に埋入部3を
埋入する。この状態で、所定期間経過すると、骨組織が
埋入部3の周囲を取り巻き、すなわち、骨組織が埋入部
3の周囲に癒合し、その骨組織により埋入部3が固定さ
れる。
【0031】この後、歯冠固定部2の螺子22を埋入部
3の螺子31に螺合して、埋入部3に歯冠固定部2を固
定する。
【0032】以上のような人工歯根1、すなわち、歯冠
固定部2および埋入部3は、それぞれ、Tiを基本成分
とし、M(但し、Mは、Ca、PおよびSiのうちの少
なくとも1種)を0.01〜3wt%含む金属材料で構成
されている。
【0033】Tiは、軽量でかつ高強度、高硬度であ
り、変形や破損が生じ難く、耐久性、耐食性に優れ、ま
た、金属成分の溶出も極めて少なく、金属アレルギーの
発症等も抑制されるなど、生体適合性に優れている。
【0034】人工歯根1を構成する金属材料(以下単に
「金属材料」と言う)中には、M、すなわち、Ca、P
およびSiのうちの少なくとも1種が、例えばTiとの
化合物を形成する形で存在している。前記元素が金属材
料中に含まれていることで、人工歯根1の骨組織や歯肉
組織に対する親和性、すなわち生体親和性(生体適合
性)が向上する。
【0035】具体的には、埋入部3を構成する金属材料
中にMが含まれていると、金属材料の表面のMに骨組織
が着き、そこを出発点として骨組織が成長し、部分的に
金属材料と骨組織中のCa、P等とが化学的に結合した
状態が得られる。そして、骨組織が埋入部3の周囲に癒
合、成長し、その骨組織により埋入部3が固定される。
また、歯冠固定部2を構成する金属材料中にMが含まれ
ていると、歯冠固定部2の歯肉組織に対する親和性が優
れる。
【0036】金属材料中のMの含有量は、0.01〜3
wt%程度、好ましくは0.03〜2wt%程度、より好ま
しくは0.05〜0.5wt%程度とされる。
【0037】金属材料中のMの含有量が、0.01%未
満では、金属材料の生体親和性の向上効果が少なく、ま
た、3wt%を超えると、金属材料の強度や硬度が低下す
る。
【0038】ここで、金属材料中には、Caが含まれて
いるのが好ましく、CaおよびP(またはSi)が含ま
れているのがより好ましく、Ca、PおよびSiのすべ
てが含まれているのがさらに好ましい。
【0039】Caは、その含有量が微量であっても、金
属材料の生体親和性を向上する効果が高い。
【0040】そして、Caの他にPまたはSiが含まれ
ていると、金属材料の生体親和性がより一層向上し、C
aの他にPおよびSiが含まれていると、金属材料の生
体親和性がさらに向上する。
【0041】金属材料中のCaの含有量は、0.01〜
1wt%程度が好ましく、0.02〜0.5wt%程度がよ
り好ましく、0.03〜0.1wt%程度がさらに好まし
い。
【0042】Caの含有量が0.01wt%未満では、
P、Siの含有量が少ない場合に、金属材料の生体親和
性が低下し、また、1wt%を超えると、金属材料の強度
や硬度が低下する。
【0043】金属材料中のPの含有量は、0.01〜
0.5wt%程度が好ましく、0.02〜0.3wt%程度
がより好ましく、0.03〜0.1wt%程度がさらに好
ましい。
【0044】Pの含有量が0.01wt%未満では、C
a、Siの含有量が少ない場合に、金属材料の生体親和
性が低下し、また、0.5wt%を超えると、金属材料の
強度や硬度が低下する。
【0045】金属材料中のSiの含有量は、0.01〜
0.5wt%程度が好ましく、0.02〜0.3wt%程度
がより好ましく、0.03〜0.1wt%程度がさらに好
ましい。
【0046】Siの含有量が0.01wt%未満では、C
a、Pの含有量が少ない場合に、金属材料の生体親和性
が低下し、また、0.5wt%を超えると、金属材料の強
度や硬度が低下する。
【0047】また、埋入部3の金属材料中のMの含有量
は、歯冠固定部2の金属材料中のMの含有量より多いの
が好ましい。これにより、埋入部3の金属材料の生体親
和性がより一層向上する。
【0048】また、金属材料中には、例えば、Fe、C
r、Pd、Co、Zr、Al、V、Mo等の他の元素が
不可避的にまたは積極的に、金属アレルギー等の弊害が
生じない範囲で含有していてもよい。これらの元素の添
加は、金属材料の強度の増大に寄与する。これらの元素
は、Tiとの合金、金属間化合物または金属酸化物を形
成する形で存在しているのが好ましい。
【0049】埋入部3の空孔率は、歯冠固定部2の空孔
率より高いのが好ましい。
【0050】埋入部3の表面付近に空孔が形成されてい
ると、骨組織が成長し易いとともに、成長した骨組織が
その孔に入り、孔の内壁に癒合し、これにより埋入部3
がより強固に固定される。換言すれば、空孔の存在によ
り、表面積を増大させ、骨組織の結合力を増大させるこ
とができる。
【0051】従って、埋入部3の空孔率を比較的高くす
ると、埋入部3に骨組織が付き易くなり、埋入部3の弛
みや脱落を抑制することができ、より確実に、骨組織に
より埋入部3が固定される。
【0052】また、埋入部3の外表面の表面粗さをある
程度大きくすることによっても前記と同様の効果を得る
ことができる。すなわち、埋入部3の外表面の表面粗さ
Raは、10〜100μm 程度とするのが好ましく、1
5〜50μm 程度とするのがより好ましい。
【0053】この表面粗さRaが大きすぎると、埋入部
3の強度が低下し、また、小さすぎると、前記効果の向
上が得られない。
【0054】一方、歯冠固定部2の空孔率を比較的低く
すると、すなわち歯冠固定部2を緻密にすると、歯冠固
定部2の強度や硬度が向上し、これにより人工歯根1の
信頼性が向上する。また、歯冠固定部2への唾液や細菌
の侵入を抑制することができる。
【0055】埋入部3の空孔率は、5〜15 vol%程度
であるのが好ましく、7〜13 vol%程度であるのがよ
り好ましい。
【0056】埋入部3の空孔率が5 vol%未満では、平
均空孔径によっては、前述した空孔と骨組織とによる埋
入部3の弛みや脱落の防止効果が低下し、また、15 v
ol%を超えると、埋入部3の強度や硬度が低下する。
【0057】また、歯冠固定部2の空孔率は、3 vol%
以下であるのが好ましく、2 vol%以下であるのがより
好ましい。
【0058】歯冠固定部2の空孔率3 vol%を超える
と、歯冠固定部2の強度や硬度が低下する。
【0059】埋入部3の空孔の平均径(直径)は、5〜
100μm 程度であるのが好ましく、10〜50μm 程
度であるのがより好ましい。
【0060】埋入部3の空孔の平均径が5μm 未満で
は、空孔率が低い場合に、骨組織がその孔に入りにく
く、このため、前述した空孔と骨組織とによる埋入部3
の弛みや脱落の防止効果が低下し、また、100μm を
超えると、空孔率が高い場合に、埋入部3の強度や硬度
が低下する。
【0061】また、歯冠固定部2の空孔の平均径(直
径)は、0.5〜50μm 程度であるのが好ましく、5
〜20μm 程度であるのがより好ましい。
【0062】なお、本発明では、人工歯根1を後述する
金属粉末射出成形法により製造するので、このような空
孔を容易に形成することができ、上記空孔に関する諸条
件は、結合材の種類、添加量や焼成条件(焼成温度、焼
成時間、焼成雰囲気の真空度やガス組成等)等の製造条
件の設定により適宜調整することができる。
【0063】また、本発明の人工歯根1は、図3に示す
ように、歯冠固定部2および埋入部3が、それぞれ、そ
の外表面を被覆する被覆層6を有するものでもよい。
【0064】この被覆層6には、Mが含まれているのが
好ましい。被覆層6は、例えば、MまたはMの酸化物の
ようなMの化合物で構成することができる。
【0065】この場合、歯冠固定部2の被覆層6中のM
の含有量は、歯冠固定部2の表面付近におけるMの含有
量より多いのが好ましい。
【0066】また、埋入部3の被覆層6中のMの含有量
は、埋入部3の表面付近におけるMの含有量より多いの
が好ましい。。
【0067】このようなMリッチな被覆層6を設けるこ
とにより、人工歯根1の生体親和性が向上する。具体的
には、埋入部3に被覆層6が形成されていると、比較的
短い時間で、かつ確実に、骨組織が埋入部3の周囲に癒
合、成長し、その骨組織により埋入部3が固定される。
そして、歯冠固定部2に被覆層6が形成されていると、
歯冠固定部2の歯肉組織に対する親和性が優れる。ま
た、被覆層6および金属材料のそれぞれにMが含まれて
いるので、被覆層6と、金属材料との密着性も良い。
【0068】被覆層6の厚さは、200μm 以下とする
のが好ましく、10〜100μm 程度とするのがより好
ましく、50〜80μm 程度とするのがさらに好まし
い。
【0069】被覆層6の厚さが200μm を超えると、
被覆層自身の強度が低下する。
【0070】なお、この被覆層6以外の構成について
は、被覆層6が形成されていない前述した人工歯根1と
同様であるので、説明を省略する。
【0071】以上に述べたような人工歯根1は、金属粉
末射出成形法(MIM:Metal Injection Molding )に
より製造されたものである。以下、この金属粉末射出成
形法について説明する。
【0072】[1] Ti(またはTi合金)よりなる
金属粉末と、MまたはMの化合物の粉末と、結合材(有
機バインダー)とを用意し、これらを混練機により混練
し、混練物(コンパウンド)を得る。
【0073】金属粉末の平均粒径は、特に限定されない
が、通常、5〜60μm 程度が好ましく、10〜40μ
m 程度がより好ましい。
【0074】また、MまたはMの化合物の粉末の平均粒
径は、特に限定されないが、通常、1〜20μm 程度が
好ましく、5〜15μm 程度がより好ましい。
【0075】金属粉末と、MまたはMの化合物の粉末と
の配合比は、最終的な組成において、金属材料中のMの
含有量が、0.01〜3wt%程度、好ましくは0.03
〜2wt%程度、より好ましくは0.05〜0.5wt%程
度となるようにする。
【0076】一方、結合材としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体
などのポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポ
リブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチ
レン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリエーテル、または、これらの共
重合体等の各種熱可塑性樹脂や、各種ワックス、パラフ
ィン等のうちの1種または2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0077】このような結合材の添加量は、4〜18wt
%程度が好ましく、4〜10wt%程度がより好ましい。
4wt%未満では、成形時における流動性が乏しくなり、
射出成形が不能または困難となるか、あるいは成形物の
組成が不均一となり、18wt%を超えると、射出成形に
より得られた成形体を焼成した際の収縮率が増大し、寸
法精度が低下し、また、空孔率が上記範囲を超え易くな
る。
【0078】なお、混練に際しては、前記金属粉末、M
またはMの酸化物の粉末および結合材の他に、例えば、
可塑剤、潤滑剤、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤
等の各種添加物を必要に応じ添加することができる。
【0079】混練条件の一例としては、混練温度が常温
〜150℃程度、混練時間が60〜180分程度とする
ことができる。
【0080】[2] 前記[1]の工程で得られた混練
物または該混練物より造粒されたペレット等を用いて、
射出成形機により射出成形し、人工歯根1の形状の成形
体、すなわち、歯冠固定部2の形状の成形体および埋入
部3の形状の成形体を製造する。なお、成形体の寸法
は、後の焼成による収縮を考慮した寸法とされる。
【0081】このとき、成形条件としては、例えば、材
料温度が好ましくは130〜170℃、より好ましくは
150〜160℃程度、射出圧力が、300〜600kg
f/cm2 程度、より好ましくは300〜400kgf/cm2
度、金型温度が好ましくは5〜50℃、より好ましくは
10〜20℃程度とされる。
【0082】[3] 前記[2]の工程で得られた成形
体に脱バインダー処理を施す。この脱バインダー処理と
しては、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態
(例えば1×10-1〜1×10-6 Torr )下で、熱処理
を行うことによりなされる。
【0083】この場合、熱処理条件としては、好ましく
は温度50〜650℃程度で8〜72時間程度、より好
ましくは温度60〜550℃程度で12〜18時間程度
とされる。
【0084】なお、この脱バインダー処理(脱脂処理)
は、バインダー中の特定成分を所定の溶媒(液体、気
体)を用いて溶出させることにより行ってもよい。
【0085】また、本工程[3]は、省略されてもよ
い。
【0086】[4] 次に、得られた成形体を焼成し
て、金属焼結体を製造する。焼成は、1回または2回以
上行うことができる。
【0087】焼成条件としては、好ましくは温度400
〜1400℃程度で10〜26時間程度、より好ましく
は温度500〜1350℃程度で15〜18時間程度と
される。
【0088】この場合、焼成雰囲気は、非酸化性雰囲
気、すなわち真空または減圧状態(例えば1×10-2
1×10-6 Torr )下、アルゴンガス等の不活性ガス、
その他還元性雰囲気であればよい。
【0089】[5] 金属焼結体の外表面に被覆層6を
形成する場合には、例えば、溶射、メッキ、イオンプレ
ーティング、スパッタリング、蒸着、CVD等により、
被覆層を形成する。
【0090】以上のような各工程を経て、金属焼結体よ
りなる人工歯根1、すなわち、歯冠固定部2および埋入
部3が得られる。
【0091】以上のような金属粉末射出成形法によれ
ば、従来の鋳造法による鋳造欠陥や湯流れの問題がな
く、容易かつ歩留り良く製造することができる。
【0092】そして、複雑で微細な形状のものでも容易
に、寸法精度良く製造することができる。
【0093】また、金属粉末射出成形法によれば、Mの
含有量を精度良く調整することができ、人工歯根1を構
成する金属材料の組成を所望に設定することができる。
【0094】また、結合材の種類、添加量、脱バインダ
ー処理の条件、焼成条件等の調整により、人工歯根1を
構成する金属材料の空孔率や孔径等の空孔に関する条件
を所望に設定することができるという利点もある。
【0095】次に、本発明の人工歯根の他の構成を説明
する。なお、前述した人工歯根1との共通点については
説明を省略し、主な相違点を説明する。
【0096】図4は、本発明の人工歯根をシリンダー式
の人工歯根に適用した場合の他の構成例を示す断面図で
ある。
【0097】同図に示すように、人工歯根1aは、骨組
織に埋入される埋入部3aと、図示しない歯冠が固定さ
れる歯冠固定部2aとで構成されている。そして、人工
歯根1aでは、これら埋入部3aおよび歯冠固定部2a
が一体化している。
【0098】歯冠固定部2aは、全体形状が円柱状であ
り、この先端側(図3中下側)に、埋入部3aが成形さ
れている。
【0099】埋入部3aは、その先端側(図4中下側)
に向って径が漸減する先端部31aと、この先端部31
aの基端側(図4中上側)に設けられた螺子(雄螺子)
32aとで構成されている。
【0100】人工歯根1aを構成する金属材料の組成や
空孔等に関する条件は、前述した人工歯根1と同様であ
るので説明を省略する。
【0101】患者に人工歯根1aを装着する場合には、
骨の所定位置に螺子(螺子孔)を加工し、その螺子に人
工歯根1aの埋入部3aを螺入する。すなわち、骨組織
に埋入部3aを埋入する。この状態で、所定期間経過す
ると、骨組織が埋入部3aの周囲に癒合し、その骨組織
により埋入部3a、すなわち人工歯根1aが固定され
る。
【0102】以上に述べたような人工歯根1aは、金属
粉末射出成形法により製造されたものである。この金属
粉末射出成形法は、前述したので説明を省略する。
【0103】人工歯根1aも前述した人工歯根1と同様
に、生体親和性が優れ、強度や硬度が高く、かつ製造が
容易である。
【0104】
【実施例】次に、本発明の人工歯根の具体的実施例につ
いて説明する。
【0105】(実施例1)金属粉末射出成形法により、
以下のようにして、図1に示す形状の人工歯根を製造し
た。
【0106】まず、平均粒径20μm のTi粉末と、平
均粒径12μm のCaO粉末:0.14wt%と、バイン
ダーおよびその他の添加剤として、エチレングリシジル
メタクリレート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt
%、ジブチルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.
8wt%およびスチレン:3.0wt%とを混合し、該混合
物を混練機により、130℃で60分間空気中で混練し
て混練物(コンパウンド)を得た。
【0107】次に、この混練物を用い、射出成形機によ
り射出成形して、図1に示す形状の歯冠固定部2の成形
体を製造した。このときの成形条件は、材料温度が15
0℃、射出圧力が、400kgf/cm2 、金型温度が20℃
であった。
【0108】次に、得られた成形体に脱バインダー処理
として、1×10-2Torrの減圧下で、60℃から450
℃まで、17時間昇温し、その後450℃で1時間保持
し、ひき続き常温まで冷却した。
【0109】次に、脱バインダー処理がなされた成形体
を真空(5×10-6Torr)中で、600℃から1300
℃まで15時間昇温し、1300℃、3時間焼成して、
Tiを主とする金属焼結体よりなる歯冠固定部2を得
た。
【0110】次に、平均粒径20μm のTi粉末と、平
均粒径12μm のCaO粉末:0.14wt%と、バイン
ダーおよびその他の添加剤として、エチレングリシジル
メタクリレート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt
%、ジブチルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.
8wt%およびスチレン:3.0wt%とを混合し、該混合
物を混練機により、130℃で60分間空気中で混練し
て混練物(コンパウンド)を得た。
【0111】次に、この混練物を用い、射出成形機によ
り射出成形して、図1に示す形状の埋入部3の成形体を
製造した。このときの成形条件は、材料温度が150
℃、射出圧力が、400kgf/cm2 、金型温度が20℃で
あった。
【0112】次に、得られた成形体に脱バインダー処理
として、1×10-2Torrの減圧下で、60℃から450
℃まで、17時間昇温し、その後450℃で1時間保持
し、ひき続き常温まで冷却した。
【0113】次に、脱バインダー処理がなされた成形体
を真空(5×10-6Torr)中で、600℃から1100
℃まで15時間昇温し、1100℃、3時間焼成して、
Tiを主とする金属焼結体よりなる埋入部3を得た。
【0114】このようにして、図1に示す形状の人工歯
根を得た。この人工歯根における各部の条件は、次の通
りである。
【0115】歯冠固定部2の長さ:14.0mm 歯冠固定部2の頭部21の直径:4.0mm 埋入部3の長さ:14.0mm 埋入部3の外径(直径):4.0mm (実施例2)歯冠固定部2用の混練物の原料を、平均粒
径20μm のTi粉末と、平均粒径10μm のCa3
(PO42 粉末:0.21wt%と、バインダーおよび
その他の添加剤として、エチレングリシジルメタクリレ
ート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジブチ
ルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%およ
びスチレン:3.0wt%とし、埋入部3用の混練物の原
料を、平均粒径20μmのTi粉末と、平均粒径10μm
のCa3 (PO42 粉末:0.21wt%と、バイン
ダーおよびその他の添加剤として、エチレングリシジル
メタクリレート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt
%、ジブチルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.
8wt%およびスチレン:3.0wt%とした以外は実施例
1と同様の人工歯根を製造した。
【0116】(実施例3)歯冠固定部2用の混練物の原
料を、平均粒径20μm のTi粉末と、平均粒径8μm
のCaSiO3 粉末:0.23wt%と、バインダーおよ
びその他の添加剤として、エチレングリシジルメタクリ
レート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジブ
チルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%お
よびスチレン:3.0wt%とし、埋入部3用の混練物の
原料を、平均粒径20μm のTi粉末と、平均粒径8μ
m のCaSiO3 粉末:0.23wt%と、バインダーお
よびその他の添加剤として、エチレングリシジルメタク
リレート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジ
ブチルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%
およびスチレン:3.0wt%とした以外は実施例1と同
様の人工歯根を製造した。
【0117】(実施例4)歯冠固定部2用の混練物の原
料を、平均粒径20μm のTi粉末と、平均粒径8μm
のCaSiO3 粉末:0.23wt%と、平均粒径10μ
m のP23 粉末:0.09wt%と、バインダーおよび
その他の添加剤として、エチレングリシジルメタクリレ
ート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジブチ
ルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%およ
びスチレン:3.0wt%とし、埋入部3用の混練物の原
料を、平均粒径20μm のTi粉末と、平均粒径8μm
のCaSiO3 粉末:0.23wt%と、平均粒径10μ
m のP23 粉末:0.09wt%と、バインダーおよび
その他の添加剤として、エチレングリシジルメタクリレ
ート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジブチ
ルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%およ
びスチレン:3.0wt%とした以外は実施例1と同様の
人工歯根を製造した。
【0118】(実施例5)Ti粉末に代え、平均粒径が
20μm のTi−6wt%Al−4wt%V合金粉末を用い
た以外は実施例4と同様の人工歯根を製造した。
【0119】(実施例6)歯冠固定部2用の混練物の原
料を、平均粒径20μm のTi粉末と、平均粒径8μm
のCaSiO3 粉末:0.12wt%と、平均粒径10μ
m のP23 粉末:0.05wt%と、バインダーおよび
その他の添加剤として、エチレングリシジルメタクリレ
ート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジブチ
ルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%およ
びスチレン:3.0wt%とし、埋入部3用の混練物の原
料を、平均粒径20μm のTi粉末と、平均粒径8μm
のCaSiO3 粉末:0.30wt%と、平均粒径10μ
m のP23 粉末:0.15wt%と、バインダーおよび
その他の添加剤として、エチレングリシジルメタクリレ
ート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt%、ジブチ
ルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.8wt%およ
びスチレン:3.0wt%とした以外は実施例4と同様の
人工歯根を製造した。
【0120】(実施例7)歯冠固定部2および埋入部3
の外表面に、それぞれ、CaOを原料とし、溶射によ
り、厚さ60μm の被覆層を形成した以外は実施例1と
同様の人工歯根を製造した。
【0121】(実施例8)歯冠固定部2および埋入部3
の外表面に、それぞれ、Ca3 (PO42 を原料と
し、溶射により、厚さ60μm の被覆層を形成した以外
は実施例2と同様の人工歯根を製造した。
【0122】(実施例9)歯冠固定部2および埋入部3
の外表面に、それぞれ、CaSiO3 を原料とし、溶射
により、厚さ60μm の被覆層を形成した以外は実施例
3と同様の人工歯根を製造した。
【0123】(実施例10)歯冠固定部2および埋入部
3の外表面に、それぞれ、CaSiO3 とP23とを
原料とし、溶射により、厚さ60μm の被覆層を形成し
た以外は実施例4と同様の人工歯根を製造した。
【0124】(実施例11)歯冠固定部2および埋入部
3の外表面に、それぞれ、CaSiO3 とP23とを
原料とし、溶射により、厚さ60μm の被覆層を形成し
た以外は実施例5と同様の人工歯根を製造した。
【0125】(実施例12)歯冠固定部2および埋入部
3の外表面に、それぞれ、CaSiO3 とP23とを
原料とし、溶射により、厚さ60μm の被覆層を形成し
た以外は実施例6と同様の人工歯根を製造した。
【0126】(実施例13)金属粉末射出成形法によ
り、以下のようにして、図4に示す形状の人工歯根を製
造した。
【0127】まず、平均粒径20μm のTi粉末と、平
均粒径12μm のCaO粉末:0.14wt%と、バイン
ダーおよびその他の添加剤として、エチレングリシジル
メタクリレート−ビニルアセテート共重合体:2.6wt
%、ジブチルフタレート:1.6wt%、ワックス:2.
8wt%およびスチレン:3.0wt%とを混合し、該混合
物を混練機により、130℃で60分間空気中で混練し
て混練物(コンパウンド)を得た。
【0128】次に、この混練物を用い、射出成形機によ
り射出成形して、図4に示す形状の人工歯根1aの成形
体を製造した。このときの成形条件は、材料温度が15
0℃、射出圧力が、400kgf/cm2 、金型温度が20℃
であった。
【0129】次に、得られた成形体に脱バインダー処理
として、1×10-2Torrの減圧下で、60℃から450
℃まで、17時間昇温し、その後450℃で1時間保持
し、ひき続き常温まで冷却した。
【0130】次に、脱バインダー処理がなされた成形体
を真空(5×10-6Torr)中で、600℃から1200
℃まで15時間昇温し、1200℃、3時間焼成して、
Tiを主とする金属焼結体よりなる人工歯根を得た。
【0131】この人工歯根における各部の条件は、次の
通りである。
【0132】人工歯根1aの長さ:16.0mm 人工歯根1aの頭部21の直径:4.0mm (実施例14)混練物の原料を、平均粒径20μm のT
i粉末と、平均粒径10μm のCa3(PO42
末:0.21wt%と、バインダーおよびその他の添加剤
として、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルア
セテート共重合体:2.6wt%、ジブチルフタレート:
1.6wt%、ワックス:2.8wt%およびスチレン:
3.0wt%とした以外は実施例13と同様の人工歯根を
製造した。
【0133】(実施例15)混練物の原料を、平均粒径
20μm のTi粉末と、平均粒径8μm のCaSiO3
粉末:0.23wt%と、バインダーおよびその他の添加
剤として、エチレングリシジルメタクリレート−ビニル
アセテート共重合体:2.6wt%、ジブチルフタレー
ト:1.6wt%、ワックス:2.8wt%およびスチレ
ン:3.0wt%とした以外は実施例13と同様の人工歯
根を製造した。
【0134】(実施例16)混練物の原料を、平均粒径
20μm のTi粉末と、平均粒径8μm のCaSiO3
粉末:0.23wt%と、平均粒径10μm のP23
末:0.09wt%と、バインダーおよびその他の添加剤
として、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルア
セテート共重合体:2.6wt%、ジブチルフタレート:
1.6wt%、ワックス:2.8wt%およびスチレン:
3.0wt%とした以外は実施例13と同様の人工歯根を
製造した。
【0135】(実施例17)Ti粉末に代え、平均粒径
が20μm のTi−6wt%Al−4wt%V合金粉末を用
いた以外は実施例16と同様の人工歯根を製造した。
【0136】(実施例18)人工歯根の外表面に、Ca
Oを原料とし、溶射により、厚さ60μm の被覆層を形
成した以外は実施例13と同様の人工歯根を製造した。
【0137】(実施例19)人工歯根の外表面に、Ca
3 (PO42 を原料とし、溶射により、厚さ60μm
の被覆層を形成した以外は実施例14と同様の人工歯根
を製造した。
【0138】(実施例20)人工歯根の外表面に、Ca
SiO3 を原料とし、溶射により、厚さ60μm の被覆
層を形成した以外は実施例15と同様の人工歯根を製造
した。
【0139】(実施例21)人工歯根の外表面に、Ca
SiO3 とP23 とを原料とし、溶射により、厚さ6
0μm の被覆層を形成した以外は実施例16と同様の人
工歯根を製造した。
【0140】(実施例22)人工歯根の外表面に、Ca
SiO3 とP23 とを原料とし、溶射により、厚さ6
0μm の被覆層を形成した以外は実施例17と同様の人
工歯根を製造した。
【0141】(比較例1)製造方法を鋳造法に代え、図
1に示す形状の人工歯根を製造した。
【0142】(比較例2)混練物の原料を、平均粒径2
0μm のTi粉末と、バインダーおよびその他の添加剤
として、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルア
セテート共重合体:2.6wt%、ジブチルフタレート:
1.6wt%、ワックス:2.8wt%およびスチレン:
3.0wt%とした以外は実施例1と同様の人工歯根を製
造した。
【0143】(比較例3)混練物の原料を、平均粒径2
0μm のTi粉末と、平均粒径12μm のCaO粉末:
14wt%と、バインダーおよびその他の添加剤として、
エチレングリシジルメタクリレート−ビニルアセテート
共重合体:2.6wt%、ジブチルフタレート:1.6wt
%、ワックス:2.8wt%およびスチレン:3.0wt%
とした以外は実施例1と同様の人工歯根を製造した。
【0144】<金属材料の組成>実施例1〜22および
比較例1〜3の人工歯根について、分析装置として、日
本電子社製のT−300を用い、金属材料の組成(T
i、Ca、P、Siの含有量)を分析した。その結果を
下記表1、2に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】<空孔に関する条件>実施例1〜22およ
び比較例1〜3の人工歯根について、表面および切断面
の電子顕微鏡写真を撮影した。
【0148】そして、各電子顕微鏡写真を参考にして、
平均空孔径を求め、さらに密度比から空孔率を求めた。
その結果を下記表3に示す。
【0149】
【表3】
【0150】<実験>実施例1〜22および比較例1〜
3の人工歯根に対し、下記1〜4の各項目について評価
した(各々サンプル数n=10)。その結果を下記表
4、5に示す。
【0151】1.機械的強度(抗折力) [測定方法]JIS Z 2203に準拠し、焼結後の抗折力試験
片にて抗折力を測定した。
【0152】2.硬度 [測定方法]JIS Z 2244に準拠し、ビッカース硬度Hv
を測定した(荷重5g)。
【0153】3.生態親和性 [評価方法]各実施例および比較例と同一の条件で、試
験片を製造した(寸法、肉厚:1mm、縦:2mm、横:2
mm)。そして、骨芽細胞様細胞を35mmのシャーレ中に
約2×104 個を播き、各試験片を細胞を播いた上に乗
せ、10mMのB-glycelophosphateを添加し、21日間培
養した。培養後にAlzarin Red で染色し、画像解析装置
を用いて細胞の増加の程度を比較した。
【0154】赤色に染色された細胞が骨芽細胞である。
この量が多いほど生体親和性に優れていることを示す。
細胞が占める面積がシャーレの面積の3/5以上を◎、
1/5以上、3/5未満を○、1/5未満を×とした。
【0155】4.密着性 [評価方法]実施例7〜12、18〜22と同一条件
で、被覆層を有する試験片を製造した。そして各試験片
を90°折り曲げ、その状態を観察した。
【0156】図5に示すように、正常なものを○、被覆
層6が剥離したものと、被覆層6にクラックが生じたも
のとをそれぞれ×とした。
【0157】
【表4】
【0158】
【表5】
【0159】<実験結果の考察>表4、5に示すよう
に、実施例1〜22の人工歯根は、いずれも、機械的強
度(抗折力)および硬度が高く、また、生体親和性が優
れている。特に、被覆層を有する実施例7〜12、18
〜22の人工歯根では、生体親和性が特に優れており、
また、被覆層の密着性も良い。
【0160】これに対し、比較例1および2の人工歯根
は、金属材料中にM(Mは、Ca、PおよびSiのうち
の少なくとも1種)が含まれていないため、生体親和性
が悪い。
【0161】また、比較例3の人工歯根は、金属材料中
のCaの含有量が多いため、機械的強度および硬度が低
い。
【0162】以上、本発明の人工歯根を図示の構成に基
づき説明したが、本発明は、これらに限定されるもので
はない。
【0163】例えば、人工歯根の形状については、図示
のものに限らず、歯冠固定部の頭部の形状が角柱状のも
のであってもよい。
【0164】また、本発明では、少なくとも埋入部の少
なくとも表面付近が、Tiを基本成分とし、M(但し、
Mは、Ca、PおよびSiのうちの少なくとも1種)を
0.01〜3wt%含む金属材料で構成されていればよ
い。
【0165】また、本発明では、金属材料中のMに所定
の濃度勾配が、例えば、表面から内部に向って、あるい
は、軸方向に沿って形成されていてもよい。
【0166】また、本発明では、前記被覆層は、歯冠固
定部および埋入部のうちのいずれか一方のみに形成され
ていてもよい。
【0167】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の人工歯根に
よれば、生体親和性に優れ、軽量でかつ十分な機械的強
度、硬度を有する人工歯根が提供される。
【0168】特に、被覆層を有する場合には、生体親和
性がより向上する。
【0169】そして、本発明の人工歯根は、金属粉末射
出成形法により製造されたものであるので、複雑かつ微
細な形状のものでも、容易に、歩留り良く製造すること
ができる。このため生産性が良く、量産に有利である。
【0170】さらに、金属粉末射出成形法により製造さ
れるため、人工歯根を構成する金属材料の組成や空孔
率、空孔径等の条件を容易に、精度良く設定することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工歯根をシリンダー式の人工歯根に
適用した場合の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の人工歯根をシリンダー式の人工歯根に
適用した場合の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の人工歯根をシリンダー式の人工歯根に
適用した場合の他の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の人工歯根をシリンダー式の人工歯根に
適用した場合の他の構成例を示す断面図である。
【図5】被覆層の密着性の評価基準を示す図である。
【符号の説明】
1、1a 人工歯根 2、2a 歯冠固定部 21 頭部 22 螺子 23 外側面 3、3a 埋入部 31 螺子 32 外側面 4 歯冠 5 骨 6 被覆層 31a 螺子 32a 先端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 充雄 長野県塩尻市大門泉町9−12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨組織に埋入される埋入部と、歯冠が固
    定される歯冠固定部とを有し、金属粉末射出成形法によ
    り製造された人工歯根であって、 少なくとも前記埋入部の少なくとも表面付近が、Tiを
    基本成分とし、M(但し、Mは、Ca、PおよびSiの
    うちの少なくとも1種)を0.01〜3wt%含む金属材
    料で構成されていることを特徴とする人工歯根。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記埋入部の少なくとも表面
    付近には、Caが0.01〜1wt%含まれる請求項1に
    記載の人工歯根。
  3. 【請求項3】 少なくとも前記埋入部の少なくとも表面
    付近には、Pが0.01〜0.5wt%含まれる請求項1
    または2に記載の人工歯根。
  4. 【請求項4】 少なくとも前記埋入部の少なくとも表面
    付近には、Siが0.01〜0.5wt%含まれる請求項
    1ないし3のいずれかに記載の人工歯根。
  5. 【請求項5】 前記埋入部の空孔率は、5〜15 vol%
    である請求項1ないし4のいずれかに記載の人工歯根。
  6. 【請求項6】 前記歯冠固定部の空孔率は、3 vol%以
    下である請求項1ないし5のいずれかに記載の人工歯
    根。
  7. 【請求項7】 少なくとも前記埋入部は、その外表面を
    被覆する被覆層を有する請求項1ないし6のいずれかに
    記載の人工歯根。
  8. 【請求項8】 前記被覆層中のM(但し、Mは、Ca、
    PおよびSiのうちの少なくとも1種)の含有量が、前
    記埋入部の表面付近におけるM(但し、Mは、Ca、P
    およびSiのうちの少なくとも1種)の含有量より多い
    請求項7に記載の人工歯根。
  9. 【請求項9】 前記埋入部と、前記歯冠固定部とが別部
    材で構成され、それらが嵌合されて使用される請求項1
    ないし8のいずれかに記載の人工歯根。
  10. 【請求項10】 前記埋入部の空孔率が、前記歯冠固定
    部の空孔率より高い請求項9に記載の人工歯根。
  11. 【請求項11】 前記埋入部のM(但し、Mは、Ca、
    PおよびSiのうちの少なくとも1種)の含有量が、前
    記歯冠固定部のM(但し、Mは、Ca、PおよびSiの
    うちの少なくとも1種)の含有量より多い請求項9また
    は10に記載の人工歯根。
  12. 【請求項12】 前記埋入部と、前記歯冠固定部とが一
    体化している請求項1ないし8のいずれかに記載の人工
    歯根。
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