JPH1037078A - シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原糸 - Google Patents

シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原糸

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JPH1037078A
JPH1037078A JP19017996A JP19017996A JPH1037078A JP H1037078 A JPH1037078 A JP H1037078A JP 19017996 A JP19017996 A JP 19017996A JP 19017996 A JP19017996 A JP 19017996A JP H1037078 A JPH1037078 A JP H1037078A
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seatbelt
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートベルト用の原糸やウェビング、特に
シートベルト用原糸に付与することによって、格納性も
その耐久性も耐摩耗保持率もともに優れたシートベルト
を製造することができるシートベルト用低摩擦化処理剤
を提供する。 【解決手段】 平均分子量1000〜3000のポリ
エーテル化合物を30重量%以上含有する低摩擦化処理
剤を、シートベルト用低摩擦化処理剤として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に製糸工程等に
おいてシートベルト用原糸に付与する場合に好適な低摩
擦化処理剤に関するものである。さらに詳しくは、シー
トベルト格納性が良好で、且つ、摩耗後も格納性を良好
に保持でき、格納耐久性に優れたシートベルトを得るた
めに有効な低摩擦化処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シートベルト用原糸を製織してウ
ェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しと格
納を円滑にするため、即ち格納性向上のために、樹脂コ
ートを施すことが一般に行われている。また、シートベ
ルト用原糸には、その紡糸・延伸工程において紡糸油剤
などの種々の処理剤が付与されている。
【0003】例えば、シートベルトの耐摩耗性改善のた
めのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロッ
ク化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4
−66948号公報)。この場合、ウレタンプレポリマ
ーブロック化合物を主成分とする樹脂をシートベルトウ
ェビングに付与し、加熱処理を施すことによって架橋を
生じさせて初期の滑り性の絶対値を大きく向上させ、こ
れによって長期間の使用によって滑り性が低下した後も
所望水準の滑り性を得ることを意図している。
【0004】また、従来のシートベルト原糸用の処理剤
としては、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルと非
イオン活性剤との組成物を主成分とする処理剤(例えば
特開平2−175966号公報)が知られている。即
ち、このシートベルト原糸用処理剤は、分岐アルコール
と高級脂肪酸のエステルとを平滑剤として用い、プロピ
レンオキサイドを含有しない非イオン活性剤を用いるこ
とによって、耐光性を改善しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、樹脂コート
されたシートベルト、特に前者のような架橋タイプの樹
脂でコートされたシートベルトの場合は、ベルト表面が
硬くなるので長期間使用していると、シートベルトの出
し入れ補助用ガイドであるスルー(ナイロン樹脂製)と
の繰り返し擦過により、表面にコートされた樹脂が徐々
に削り取られて脱落していく。さらに、ベルト表面に汚
れ物が徐々に付着していく。これらの結果、経時的に、
ベルトの格納や引き出しがスムースにいかなくなり、格
納性が経時的に著しく低下していくという大きな問題が
あった。
【0006】また、後者のような従来の原糸付与処理剤
の場合、樹脂コートなしのノンコートベルトとして用い
ると樹脂の脱落等による急激な滑り性の低下はないもの
の、繊維−繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分に低下
させることができず、初期の滑り性が劣り、しかも耐摩
耗性も劣るという大きな問題があり、実用化に至ってい
ない。
【0007】そこで、本発明の主な目的は、上述した従
来技術における問題点を解決し、シートベルト用の原糸
に付与することもウェビングに付与することも可能であ
って特にシートベルト原糸付与用として好適な低摩擦化
処理剤であり、しかも、シートベルトを構成する繊維の
摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り性が
十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間の使
用後も良好に維持することができるシートベルト、即
ち、格納性もその耐久性も優れさらに耐摩耗保持率にも
優れたシートベルトを得ることが可能な低摩擦化処理剤
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のシートベルト用低摩擦化処理剤は、平均分
子量1000〜3000のポリエーテル化合物を含有す
ることを特徴とする。
【0009】ポリエーテル化合物は粘度が1000〜3
000センチポイズであることが好ましく、その配合量
は処理剤全体の30重量%以上であることが好ましく、
また、そのポリエーテル化合物とともに、シリコーン系
化合物及び/又は極圧剤成分とを含有することが好まし
い。
【0010】また、その処理剤を有効成分とする1〜2
0重量%濃度の水系エマルジョン液であって、25℃に
おける表面張力が35ダイン/cm以下、かつ、25℃
におけるキャンパス法浸透性が15秒以下であるシート
ベルト用低摩擦化処理液として処理に用いられることが
好ましい。さらにまた、その処理剤の繊維への付着量は
0.05〜5.0重量%が好ましい。
【0011】このような本発明の処理剤は浸透性が大き
いので、シートベルト用原糸の内部に位置するフィラメ
ントの表面にも均一に付着できる。また、シートベルト
ウェビングに付与した場合には、処理剤をシートベルト
表面にも、それを構成する内部のフィラメントの表面に
も均一にコートさせることができる。従って、表面が樹
脂コートされた従来のシートベルトのように樹脂層とベ
ルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長期間
の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られても、
ベルト内部の繊維にも処理剤が十分に付着していて低摩
擦性であるので、格納性もその耐摩耗保持率もともに高
いシートベルトとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の処理剤で使用するポリエ
ーテル化合物は、滑り性や原糸又はウェビングの内部へ
の浸透性のために、平均分子量が1000〜3000で
あることを要する。好ましくは平均分子量1500〜2
500がよい。さらに、その粘度(25℃で測定)は1
000〜3000センチストークスであることが、特に
1500〜2500センチストークスであることが好ま
しい。その平均分子量や粘度が小さ過ぎる場合には油膜
の強さが不十分となり摩耗後の滑り性が悪くなるので、
所望の効果が得られ難い。また、その平均分子量や粘度
が大き過ぎる場合には摩擦特性を十分に改善できないの
で、滑り性が悪くなり、所望の効果が得られ難い。
【0013】そのポリエーテル化合物としては、エチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイド、ヒドロフラン等
から誘導される重合体が挙げられる。その重合体を構成
するモノマーは1種のみでもよいし複数種でもよい。ま
た、低分子のアルコールを原体にして重合されたポリエ
ーテル化合物でもよい。
【0014】なお本発明でいう平均分子量はGPC(ゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定され
る数平均分子量である。
【0015】さらに、ポリエーテル化合物は、常温(2
0〜25℃)において液状を保つことができる物である
ことが好ましい。これは、処理剤が付与されたシートベ
ルトが日常的に使用される常温条件下でペースト状とな
らずに液状を保持でき、低摩擦性という所期の機能が使
用時に十分に発揮できるからである。
【0016】上記ポリエーテル化合物は、処理剤全体の
30〜100重量%を占めることが好ましく、その1種
のみの使用でもよいし2種以上の併用でもよい。その含
有量が30重量%未満ではそのポリエーテル化合物によ
る所期の効果が十分に発揮され難く、シートベルトの滑
り性や摩耗後の滑り性の点から好ましくない。好ましく
は40〜100重量%がよい。
【0017】本発明の低摩擦化処理剤は、上記ポリエー
テル化合物の他に、シリコーン系化合物(B)及び/又
は極圧剤成分(D)を含有することが好ましく、また、
さらに、上記以外の平滑剤成分(C)や界面活性剤成分
(E)等を含んでいてもよい。それらの含有量の合計は
多くとも70重量%とすることがよい。
【0018】そのシリコーン系化合物(B)としては、
25℃における粘度が100〜10000センチポイズ
の粘度を有するジメチルポリシロキサンやメチルフェニ
ルポリシロキサン、さらに、アミノ変性、ポリエーテル
変性、カルボキシ変性またはアルキル変性などの変性シ
リコーンがあげられる。好ましくは、25℃における粘
度が200〜7000センチストークスのジメチルポリ
シロキサンやアミノ変性シリコーンである。
【0019】シリコーン系化合物(B)を配合する場合
には、処理剤全体の2〜50重量%を占めることが好ま
しい。特に5〜35重量%が好ましい。2重量%未満で
は、シリコーン化合物を配合したことによる効果が十分
に発揮できないので、低温時(例えば極寒地域での冬期
の気温のような氷点下)における滑り特性、即ち低温時
での格納性が不十分となる。50重量%を越えるほどに
多いと、前記したポリエーテル化合物の効果が十分に発
揮されず、油膜強度が弱くなって摩耗後の滑り性が悪化
するので、所望の摩擦特性が得られ難い。
【0020】その平滑剤成分(C)としては、鉱物油
(精製スピンドル油、流動パラフィン)、動植物油(ヤ
シ油、ヒマシ油など)、脂肪酸エステル(イソステアリ
ルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペー
トなど)、アルキルエーテルエステル(ラウリルアルコ
ールのエチレンオキサイド2モル付加物ラウレート、ト
リデシルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物
ラウレートなど)及びワックスなどがあげられ、これら
のうちで好ましいものは、脂肪酸エステルおよびアルキ
ルエーテルエステルである。その平滑剤成分(C)を配
合する場合には、その割合は5〜30重量%、特に10
〜20重量%の範囲がよい。
【0021】極圧剤成分(D)は、処理剤の油膜強度を
高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石
鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフ
ェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩
などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナ
トリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナ
トリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられ
る。
【0022】その極圧剤成分(D)を配合する場合に
は、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量
%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高
めるという作用が十分に発揮され難く好ましくない。ま
た、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り
性が悪化してくるので好ましくない。
【0023】また、界面活性剤(E)としては、高級ア
ルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアル
コールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、ステ
アリルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付
加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物
など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイ
ド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル
付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド
20モル付加物など)があげられる。
【0024】その界面活性剤成分(E)を配合する場合
には、その割合は5〜20重量%、特に10〜15重量
%の範囲がよい。
【0025】さらに、本発明の低摩擦化処理剤には、前
記した各成分の他に、アルカリ金属、アルキルアミンの
アルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の
添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0026】上記PH調整剤を配合する場合には、その
割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%
の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、
それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03
〜5重量%の範囲がよい。
【0027】本発明の低摩擦化処理剤は、1〜20重量
%濃度の水系エマルジョン液としてシートベルト用原糸
の処理やシートベルトウェビングの処理に用いることが
好ましいが、それら原糸やウェビングへの付着性や浸透
性が損われないならば、さらに高濃度の水系エマルジョ
ン液で用いてもよいし、実質的に希釈なしの原液状態で
用いてもよいし、また、有機溶媒で希釈した処理液とし
て用いてもよい。特に好ましくは、2〜10重量%濃度
の水系エマルジョン液がよい。
【0028】1〜20重量%濃度の水系エマルジョンの
処理液にして用いる場合、その処理液の25℃における
表面張力は35ダイン/cm以下、25℃におけるキャ
ンパス浸透性が15秒以下であることが、原糸やウェビ
ングへの付着及びそれらの内部への浸透のために好まし
い。その表面張力が35ダイン/cmを超える場合は原
糸やウェビングへの付着性が不十分となり易い。また、
キャンパス浸透性が15秒を超える場合には、処理剤の
浸透性が悪くなり易いので、格納性の耐久性を高めるた
めに好ましくない。
【0029】本発明の低摩擦化処理剤は、処理剤を乳化
させた水系エマルジョン処理液のような処理液にして、
シートベルト用原糸を製造する製糸工程において付与さ
れてもよいし、またシートベルトウェビングに付与され
てもよい。
【0030】例えば、紡糸された合成繊維を延伸、熱処
理して巻取るという製糸工程において、熱処理と巻取り
との間で低摩擦化処理液を付与すればよいが、巻取られ
る原糸に所望量付着させることができるならば紡糸油剤
として付与することもできる。また、シートベルト用原
糸への付与は巻取った後でもよく、例えば製織の前で付
与してもよいが、製糸工程における巻取り直前の付与が
好ましい。原糸への付与には、ローラー給油やガイド給
油等の方法を用いればよい。
【0031】また、シートベルト用原糸を製織してウェ
ビングとした後の段階で低摩擦化処理剤を付与する場合
には、ウェビングを液中に浸漬する方法や、ウェビング
表面に液を吹付ける方法等の任意の方法でもって付与す
ればよい。ウェビングを染色する場合には、その染色の
後に低摩擦化処理剤を付与することが好ましい。
【0032】処理剤の付着量は、繊維に対する処理剤有
効成分の量で0.05〜5.0重量%であればよく、原
糸付与の場合は0.2〜2.0重量%が好ましく、ま
た、ウェビング付与の場合は0.1〜1.5重量%が好
ましい。
【0033】このような本発明の低摩擦化処理剤は、原
糸やウェビングに付与することによってシートベルトに
要求される所望の低摩擦特性を満足させることができる
ので、従来のような樹脂コートを施すことなくシートベ
ルトに用いることができる。
【0034】さらに、本発明の低摩擦化処理剤は、従来
の樹脂コートに比較して浸透性が格段に優れているの
で、原糸やウェビングの内部へも大きく浸透し、処理剤
をシートベルトウェビングの表面にも、それを構成する
ベルト内部のフィラメントの表面にも均一にコートさせ
ることができる。従って、ベルト表面のみが樹脂コート
された従来のシートベルトのような樹脂層とベルト(繊
維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用に
よってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内
部の繊維にも処理剤が付着していて低摩擦性であるの
で、高い格納性を維持することができ、格納性の耐摩耗
保持率が高いシートベルトとできるのである。
【0035】本発明の低摩擦化処理剤が付与されるシー
トベルト用原糸やシートベルトウェビングとしては、ポ
リエステル繊維等の合成繊維からなるシートベルト用原
糸やシートベルトウェビングや、カーボンブラックのよ
うな顔料によつて着色されたポリマから構成される原着
繊維のシートベルト用原糸やシートベルトウェビングが
あげられる。
【0036】本発明の低摩擦化処理剤がシートベルト用
の原糸やウェビングに付与されて得られるシートベルト
が、従来のシートベルトに比べ、特に長期間使用した後
の滑り性において格段に優れる、即ち格納耐久性に優れ
るという理由は、以下の作用メカニズムによるものと考
えられる。
【0037】従来のシートベルトでは、例えばウレタン
プレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をベル
トに塗布する(特公平4−66948号公報)ことによ
って滑り性を改良しているが、前記した通り、ベルト表
面に被覆された樹脂層が長期間のベルトの繰り返し脱着
時の摩耗によって剥離し、滑り性が著しく悪化していく
という問題点を有していた。場合によっては、摩耗して
剥離した樹脂がスカム状となってかたまったり、摩耗し
た部分に汚れ物質が付着して、滑り性の異常を生じるこ
ともあった。そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開
発や、樹脂層を比較的厚く塗布する方法等の多くの試み
がなされてきたが、十分満足するものは得られていなか
った。
【0038】一方、本発明ではベルトの滑り性をコート
樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する糸条の個々のフ
ィラメントの表層に滑り性を付与し、それによって所望
の滑り性を得ようとするものである。
【0039】従来のシートベルトにコートされた樹脂層
はベルトの表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの
内部にはその一部が浸透しているに過ぎない。即ち、ベ
ルトの最内層部に位置するフィラメントの表面にはコー
ト樹脂が達しておらず、これは、ベルトを分解した繊維
の表面物質を分析することにより確認できる。
【0040】ところが、本発明の処理剤を付与するとベ
ルト表面だけでなく、ベルトの最内層部にも処理剤が十
分に浸透し、ベルト最内層を構成する糸条の各々のフィ
ラメントの表面にも付着しているのであり、この点にお
いて、従来のシートベルトと大きく異なる。
【0041】また、従来のシートベルト用コート樹脂は
粘着性が高いので、製糸工程におけるシートベルト原糸
に付与すると、チーズからの原糸の解舒が困難となり、
さらに、ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等
の障害を生じ、実用化することは困難であった。
【0042】ところが、本発明の処理剤は、従来のシー
トベルト用コート樹脂のような高い粘着性を有さないの
で、製糸工程においてシートベルト用原糸に付与して巻
取っても、巻取られる原糸の表面特性に実質的な変化は
生じない。従って、チーズからの原糸の解舒は容易であ
り、ベルト製織工程でのスカム発生の障害も生じずに、
ベルト製織工程をスムーズに通過させることができる。
【0043】このように原糸段階で処理剤を付与する
と、シートベルトの製造工程における樹脂コート工程を
省略しても、格納耐久性等の特性に優れたシートベルト
を得ることができ、原着糸でもってシートベルトを製造
しようとする場合に特に有効である。
【0044】なお、シートベルトウェビングを染色によ
って着色する場合は原着よりも微妙な色調を得ることが
可能であり、この場合には、本発明の処理剤はその染色
の後のウェビングに付与することが好ましい。
【0045】このように、本発明の低摩擦化処理剤は、
原糸製造からシートベルト製造に至る広範囲の製造工程
における任意の段階での付与が可能であり、しかも、い
ずれの段階での付与でも優れた格納耐久性等の望ましい
シートベルト特性を発揮させることができる。
【0046】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明についてさらに
詳述する。以下の実施例及び比較例における評価は、次
の方法で行い、表示したものである。
【0047】繊維−繊維間の摩擦: 処理剤が付与され
たシートベルト用原糸について、レーダ式摩擦測定器を
用いて繊維同士間の摩擦係数を測定する。この摩擦の値
が小さいほど、繊維同士の擦過が小さくて柔軟性が高い
ので、滑り性に優れている。
【0048】繊維−金属間の摩擦): 上記と同様、処
理剤が付与されたシートベルト用原糸について、東レ
(株)式高荷重ミクロン装置を用いて繊維と金属との間
の摩擦係数を測定する。その測定時の繊維と金属との間
の滑り速度は0.5m/分又は300m/分とする。滑
り速度が0.5m/分の場合の摩擦は、油膜強度の水準
を表し、その値が小さいほど油膜強度が強いことを意味
する。また、滑り速度が300m/分の場合の摩擦は平
滑性の水準を表し、その値が小さいほど滑りが優れてい
ることを意味する。
【0049】処理液の表面張力(ダイン/cm): 2
5℃の条件下で処理液の表面張力を協和界面科学(株)
製のCBVP−A3型自動表面張力計を用いて測定す
る。 処理液のキャンパス浸透性(秒): 100ccビーカ
ーに処理液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温度調整
した後に、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの
厚みのウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降する
までの時間(秒)を測定する。5回の測定を行ない平均
値を算出する。
【0050】スルーとの滑り摩擦(%): シートベル
トの一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部
をスルーに挿通し、他方の端に角度20°で10kgロ
ードセルをセットする。そのロードセルで荷重を引上げ
る際の強力(F1)及び荷重を基に戻す際の強力(F
2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100 の値
を滑り摩擦(%)とする。その滑り摩擦の値が高い程、
摩擦特性が小さく格納性に優れる。
【0051】摩耗後の滑り摩擦(%): シートベルト
を、サンドペーパー(No.500)を摩擦体にして4
00gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベルト表
面を摩耗させる。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を上記と
同様の方法で測定し、摩耗後の滑り摩擦(%)とする。
【0052】六角棒摩耗保持率(%): 耐摩耗性試験
(JIS−4604法)に準じて、5000回摩耗後の
シートベルトの強力を測定し、摩耗前の強力から強力保
持率を算出する。
【0053】[実施例1〜5及び比較例1〜3]ポリエ
チレンテレフタレートベースチップ(顔料含まず)と、
ポリエチレンテレフタレートにカーボンブラックを20
重量%含有させたマスターチップとを重量比40:1で
混合してなるブレンドチップを溶融紡糸に供し、通常の
方法で溶融紡糸し、紡糸速度500m/分で引取り、巻
取ることなく引続いて、245℃のホットローラーを用
いる2段延伸により、全延伸倍率5倍に熱延伸し、次い
で、巻取り直前に、表1の組成からなる処理剤の20重
量%水エマルジョン液をオイリングロ−ラを用いて有効
成分量で1.0重量%付与し、3000m/分で巻き取
り、1500デニール144フィラメントの黒原着ポリ
エステルフィラメント糸のシートベルト用原糸を製造し
た。
【0054】表1における処理剤成分の各記号は下記に
示す化合物を表わすものである。A1〜A3は本発明で
特定したポリエーテル化合物であり、B1〜B3はシリ
コーン系化合物(B)であり、C1〜C2はそれ以外の
平滑剤成分(C)であり、D1〜D3は極圧剤成分
(D)であり、E1〜E4は界面活性剤成分(E)であ
り、また、F1〜E2は、その他の添加剤である。ま
た、R1〜R2は、従来の樹脂コートにおいて用いられ
ている樹脂成分である。
【0055】A1・・エチレンオキサイド・プロピレン
オキサイド・コポリマー(分子量2500、粘度260
0) A2・・ポリテトラメチレングライコ−ル・エチレンオ
キサイド・プロピレンオキサイド・コポリマー(分子量
2500、粘度2800) A3・・ブチルアルコール・エチレンオキサイド・プロ
ピレンオキサイド付加物(分子量2500、粘度210
0) B1・・ジメチルポリシロキサン(粘度1000センチ
ストークス) B2・・アミノ変性シリコーン C1・・オレイルオレート C2・・イソステアリルオレ−ト
【0056】 D1・・ラウリル(EO)2ホスフェ−トK塩 D2・・イソステアリルアルコ−ル(EO)3ホスフェ
−トNa塩 D3・・オレイン酸石鹸 E1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量90
0) E4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物 F1・・“IRGANOX”245(チバガイギー
(株) 社製) F2・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物 R1・・ヒドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマ
−ブロック化物が主成分の樹脂 R2・・メチロ−ルメラミン樹脂
【0057】
【表1】 注) 表中の数字は重量%を示す。
【0058】処理剤が付着された黒原着シートベルト原
糸について摩擦特性を評価した結果は、表2に示すとお
りであった。
【0059】さらに、得られた黒原着シートベルト原糸
を用いて通常の方法で製織してシートベルトウエビング
を製造し、染色も樹脂コートもせずにシートベルトとし
た。
【0060】得られたシートベルトについてその特性を
評価した結果は表2に示すとおりであった。
【0061】
【表2】
【0062】表2から明らかなように、本発明による実
施例1〜5の場合は、シートベルト原糸の摩擦特性が低
く、シートベルトとスルーとの滑り性も良好であり、し
かも、摩耗させた後でもシートベルトとスルーとの滑り
性は殆ど低下せず、格納性及びその耐久性に優れてい
た。さらに六角棒摩耗による耐久性にも優れていた。
【0063】これに対し、本発明で特定したポリエーテ
ル化合物を配合しなかった比較例1の場合、及び、従来
のコート樹脂を付与した比較例2、3の場合は、スルー
との滑り性が良好なものほど摩耗による滑りの悪化が大
きく、いずれも、摩耗殿の滑り性は不満足なものであっ
た。さらに、六角棒摩耗による耐久性も劣っていた。
【0064】また、実施例1〜5で得られたシートベル
ト用原糸は、低摩擦化処理剤が付着しているにもかかわ
らず解舒が容易であった。これに対し、従来のコート樹
脂を付与した比較例2、3の場合は、繊維表面での粘着
性が高く、チーズからの原糸の解舒が困難であった。
【0065】[実施例6〜7及び比較例4〜6]ポリエ
チレンテレフタレートベースチップ(カーボンブラック
含まず)を溶融紡糸に供し、かつ、巻取り直前での低摩
擦化処理剤の付与を行わなかった以外は、実施例1と同
様の製糸方法で、1500デニール144フィラメント
のポリエステルフィラメント糸を製造した。
【0066】得られたポリエステルフィラメント糸を用
いて通常の方法で製織してシートベルトウエビングを製
造し、通常の方法で黒色に染色し、さらに、表3の組成
からなる処理剤の5重量%濃度の水エマルジョン溶液に
侵漬し、繊維総重量に対する処理剤有効成分量で0.5
重量%の処理剤を付着させた後、110℃で3分間予備
乾燥し、次いで150℃で3分間加熱処理してシートベ
ルトを製造した。
【0067】表3における処理剤成分の各記号は次を除
き前記したとおりである。 A4・・ブチルアルコール・エチレンオキサイド・プロ
ピレンオキサイド付加物(分子量500、粘度900)
【0068】
【表3】 注) 表3中の数字は重量%を示す。
【0069】処理剤を付着させて得られたシートベルト
について、その特性を評価した結果は、表4に示すとお
りであった。
【0070】
【表4】
【0071】表4から明らかなように、本発明の低摩擦
化処理剤は、シートベルトウェビングに付与する場合で
も極めて効果的であり、シートベルト格納性、その耐久
性及び摩耗耐久性に優れてたシートベルトが得られた。
【0072】これに対し、ポリエーテル化合物の平均分
子量が本発明外である比較例4の場合、及び、従来のコ
ート樹脂を付与した比較例5〜6の場合は、初期の滑り
製は優れるものの摩耗による滑り性悪化が大きく、摩耗
後の滑りは不満足なものであった。さらに、摩耗耐久性
も劣っていた。
【0073】
【発明の効果】本発明の低摩擦化処理剤は、シートベル
ト用の原糸に付与することもウェビングに付与すること
も可能であって製糸工程からシートベルト製造に至る任
意の段階での処理が可能であり、特にシートベルト原糸
付与用として好適である。
【0074】従って、例えば原着繊維からなるシートベ
ルト用原糸に本発明の低摩擦化処理剤を付着させれば、
シートベルトウェビング段階での染色も樹脂コートもせ
ずに所望特性のシートベルトを得ることが可能となる。
【0075】しかも、その処理剤が付与されてなるシー
トベルトは、それを構成する原糸の摩擦特性が十分に低
く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いととも
に、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維持
することができるので、格納性もその耐久性も耐摩耗保
持率もともに優れたシートベルトとすることができる。
【0076】特にポリエステル繊維からなるシートベル
トの場合に効果的であり、滑り性、耐摩耗性、格納性が
ともに優れたポリエステル繊維製シートベルトを得るこ
とができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均分子量1000〜3000のポリ
    エーテル化合物を含有することを特徴とするシートベル
    ト用低摩擦化処理剤。
  2. 【請求項2】 ポリエーテル化合物の粘度が1000
    〜3000センチストークスであることを特徴とする請
    求項1記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。
  3. 【請求項3】 前記ポリエーテル化合物が処理剤全体
    の30重量%以上を占めることを特徴とする請求項1又
    は2記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。
  4. 【請求項4】 平均分子量1000〜3000のポリ
    エーテル化合物と、シリコーン系化合物及び/又は極圧
    剤成分とを含有することを特徴とするシートベルト用低
    摩擦化処理剤。
  5. 【請求項5】 ポリエステル繊維からなるシートベル
    ト用原糸及び/又はシートベルトウェビングに付与され
    る処理剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    低摩擦化処理剤を有効成分とする1〜20重量%濃度の
    水系エマルジョン液であって、25℃における表面張力
    が35ダイン/cm以下、かつ、25℃におけるキャン
    パス法浸透性が15秒以下であることを特徴とするシー
    トベルト用低摩擦化処理液。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    低摩擦化処理剤が繊維重量に対して0.05〜5.0重
    量%付着していることを特徴とするシートベルト用原
    糸。
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