JPH1047252A - 往復動流体機械 - Google Patents

往復動流体機械

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JPH1047252A
JPH1047252A JP20264196A JP20264196A JPH1047252A JP H1047252 A JPH1047252 A JP H1047252A JP 20264196 A JP20264196 A JP 20264196A JP 20264196 A JP20264196 A JP 20264196A JP H1047252 A JPH1047252 A JP H1047252A
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Michinobu Setoyama
道伸 瀬戸山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダと、このシリンダ内を摺動するピス
トンを有する往復圧縮機、往復膨張機などの往復動流体
機械において、ピストンに起因する騒音を低減し、かつ
連続稼働において上部ピストン部材が摩耗しにくい往復
動流体機械を提供する。 【解決手段】 シリンダ4と、このシリンダ4内を摺動
するピストン20を有する無給油式往復圧縮機におい
て、上部ピストン部材21を、熱硬化性フェノール樹脂
に充填材が配合され、その熱膨張係数がシリンダ4の構
成材料の熱膨張係数と同等以下とされている熱硬化性フ
ェノール樹脂複合材から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給油式あるいは無
給油式の往復動流体機械に関し、特に低騒音性と、樹脂
製ピストンの耐摩耗性を向上させた往復動流体機械に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、往復圧縮機や往復膨張機など
の往復動流体機械におけるシリンダと、このシリンダ内
を摺動するピストンとの潤滑な摺動性を確保するため
に、ピストンの構造や材質について、種々の工夫がなさ
れてきた。以下無給油式往復圧縮機を例として説明す
る。図2は無給油式往復圧縮機の一例を示したもので、
図3はこの無給油式往復圧縮機のシリンダ内に配された
金属製のピストンの構造の例を示したものである。この
往復圧縮機は、駆動源であるモータ1と、このモータ1
によって駆動され、外部から取り入れた空気を圧縮する
圧縮部2と、この圧縮部2において圧縮された空気を貯
蔵するタンク3とから概略構成されている。
【0003】前記圧縮部2は複数個の円筒状のシリンダ
4を有している。このシリンダ4は、アルミ合金、鉄の
鋳物などからなる金属製であるが、最近では軽量化のた
めにアルミ合金を用いるのが主流である。このシリンダ
4内には、図3に示されるように、それぞれピストン1
0が摺動自在に挿入されており、これらシリンダ4とピ
ストン10によって圧縮室6が形成されている。
【0004】このピストン10の特徴は、上部ピストン
部材11側面のシリンダ4との接触部のカジリを防止す
るために、樹脂からなるライダーリング14が設けられ
ている点である。
【0005】このピストン10は、その先端部を構成す
る上部ピストン部材11と、クランクシャフト(図示せ
ず)の駆動力を伝達する連接棒15と、この上部ピスト
ン部材11と連接棒15を支持するピストンピン13に
よって概略構成されている。前記連接棒15は、そのピ
ストンピン13との接触部にグリスなどの潤滑剤が塗布
されており、揺動自在にこのピストンピン13によって
支持されている。そして、往復圧縮機運転時には、前記
クランシャフトの駆動によって連接棒15が軸方向上下
に連続的に移動するのに伴い、この連接棒15とピスト
ンピン13を介して連結されている上部ピストン部材1
1が上下に移動し、圧縮室6内部の空気が圧縮されるよ
うになっている。
【0006】一方、上部ピストン部材11外周のシリン
ダ4側壁との接触面においては、圧縮室6側にピストン
リング12が設けられ、その連接棒15側にはライダー
リング14が設けられ、これらは、いずれもテフロンな
どの自己潤滑性材料から形成されている。前記ピストン
リング12は、ピストン10とシリンダ4との間のシー
ル性を保つものである。前記ライダーリング14は、往
復圧縮機稼働中に、共に金属製のシリンダ4と上部ピス
トン部材11とが直接接触してこれらが摩耗し、カジリ
が発生するのを防ぐ役割をするものである。
【0007】ところで、給油式の往復圧縮機において用
いられるピストンの構造も上述の無給油式の場合とほぼ
同様とされるが、給油式の場合は、上部ピストン部材1
1が金属製であっても油によってそのシリンダ4との接
触面の潤滑性が維持されるので、ライダーリング14は
不要とされる。
【0008】図1は、無給油式往復圧縮機に用いられる
ピストンの構造の他の例を示したもので、このピストン
20が上述のピストン10と異なるところは、上部ピス
トン部材21が樹脂から形成され、このためこの上部ピ
ストン部材21と金属製シリンダ4との接触によるカジ
リが発生しないので、無給油式であってもライダーリン
グが設けられていない点である。このように上部ピスト
ン部材21を樹脂から構成したものとしては、熱硬化性
縮合多環多核芳香族樹脂(略称:COPNA樹脂)を用
いたものが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3に
示される金属製の上部ピストン部材11を用いたものに
おいては、ピストンリング12とライダーリング14が
摩耗した場合に、上部ピストン部材11とシリンダ4を
構成する金属材料どうしの接触によって騒音が大きくな
ったり、上部ピストン部材11やシリンダ4にカジリが
発生することがあった。また、上部ピストン部材11の
熱伝導性が高いために、無給油式往復圧縮機の断続運転
によるシリンダ4と上部ピストン部材11との接触面の
摩擦によって発生する熱が、上部ピストン部材11を介
してピストンピン13に伝わりやすく、このピストンピ
ン13と連接棒15との接触部の潤滑を保つグリスなど
が熱劣化するという問題があった。
【0010】また、図1に示される従来の樹脂製の上部
ピストン部材21を用いたものにおいては、上述の金属
材料どうしの接触による騒音の発生は解決できるが、シ
リンダ4を形成する金属材料と、上部ピストン部材21
を構成する樹脂材料との熱膨張差が大きいという問題が
あった。
【0011】すなわち、往復圧縮機運転開始時は室温で
あるが、断続運転によってシリンダ4の温度と上部ピス
トン部材21の温度が上昇する。すると、樹脂からなる
上部ピストン部材21がシリンダ4と比較して大きく膨
張するため、このシリンダ4とこのピストンリング12
との接触圧が大きくなり、ピストンリング12が摩耗す
る。そして、これらシリンダ4と上部ピストン部材21
との間のクリアランスが大きくなり、ピストン20に首
振りが生じ、シリンダ4壁面に衝突し、騒音が発生する
とともにさらに上部ピストン部材21の摩耗が進行す
る。このため、温度上昇時の熱膨張に備えてピストンリ
ング12とシリンダ4との間のクリアランスを予め大き
くとって設計すると、ピストンリング12によるシール
性が保てなくなったり、また、運転開始時にピストン2
0の首振りが生じることがある。
【0012】これらの問題は、動力機関などとして用い
られるシリンダとこのシリンダ内を摺動するピストンか
らなる往復膨張機においても同様で、シリンダと上部ピ
ストン部材との接触による騒音や、上部ピストン部材の
摩耗を低減した往復膨張機が求められている。
【0013】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、ピストンに起因する騒音を低減し、かつ連続稼働に
おいて上部ピストン部材が摩耗しにくい往復動流体機械
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明においては、シリ
ンダと、このシリンダ内を摺動するピストンを有する往
復動流体機械において、このピストン先端部を構成する
上部ピストン部材を、熱硬化性フェノール樹脂に充填材
が配合され、その熱膨張係数がシリンダ構成材料の熱膨
張係数と同等以下とされている熱硬化性フェノール樹脂
複合材から形成することを前記課題の解決手段とした。
また、前記熱硬化性フェノール樹脂複合材を構成する熱
硬化フェノール樹脂として、ゴム状弾性材料で変性した
熱硬化性フェノール樹脂、またはゴム状弾性材料を複合
した熱硬化性フェノール樹脂を用いると、さらに騒音を
低減することができ、好ましい。
【0015】さらに、前記充填材の全部または一部を旧
モース硬さが2〜4の強化繊維とすることによって、上
述の上部ピストン部材の耐久性を向上させることができ
る。この強化繊維の配合量を5〜50重量%とすると、
必要な耐久性向上効果が得られ、かつ熱硬化性フェノー
ル樹脂複合材の成形性が良好で好ましい。また、この強
化繊維としてはチタン酸カリウム繊維が好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の往復圧縮機におけるピス
トンは、例えば、図1に示されるものと同様の構造とす
ることができる。以下図1を利用して説明する。本発明
における特徴は、上部ピストン部材21の材料として熱
硬化性フェノール樹脂複合材(以下フェノール樹脂複合
材と略記する)を用いている点である。
【0017】上述のフェノール樹脂複合材として、本発
明においては3種類のものを用いている。第一のフェノ
ール樹脂複合材は、フェノール樹脂に、このフェノール
樹脂よりも熱膨張係数が小さい充填材を配合してその熱
膨張係数を低下させ、このフェノール樹脂複合材の熱膨
張係数を、シリンダ4構成材料の熱膨張係数と同等以下
に調整したものである。フェノール樹脂を用いるのは、
フェノール樹脂が機械特性、耐熱性に優れるためであ
る。また、フェノール樹脂であれば特に限定せず、一般
に用いられているものを使用でき、COPNA樹脂など
の特殊なものと比較して経済的である。
【0018】一方、前記シリンダ4は、アルミ合金、鉄
の鋳物などからなる金属製であるが、最近では軽量化の
ために陽極酸化処理を施したアルミ合金製のものを用い
るのが主流である。通常用いられるこのアルミ合金の熱
膨張係数は2.3×10-5(/℃)程度である。シリン
ダ4がアルミ合金製である場合、第一のフェノール樹脂
複合材の熱膨張係数は、アルミ合金の熱膨張係数と同等
以下、すなわち1.5×10ー5〜2.5×10ー5(/
℃)とされる。
【0019】フェノール樹脂よりも熱膨張係数の小さい
充填材としては、例えば、鉄、チタン酸カリウム、雲
母、黒鉛、モリブデンなどからなる繊維状や粉末状のも
のが用いられる。この充填材の配合量は、フェノール樹
脂、充填材の種類などによって変化するが50重量%以
下、より好ましくは40重量%以下とされる。50重量
%を越えるとフェノール樹脂による接着力が低下して成
形性が低下するため好ましくない。
【0020】上述の熱膨張係数の条件を満足するよう
に、充填材の種類と配合量を決定するが、ここで、フェ
ノール樹脂の配合量Va(体積%)、フェノール樹脂の
熱膨張係数A、充填材の配合量Vb(体積%)、充填材
の熱膨張係数Bとすると、フェノール樹脂複合材の熱膨
係数Dは、以下の式Iで表される。 D=(A×Va+B×Vb)/100 ・・・(I) 充填材の配合方法は特に限定することはないが、ミキサ
ーなどを用いた公知の方法によって配合することができ
る。また、二硫化モリブデン、テフロン粉末、人造黒鉛
などの無機潤滑材を添加して自己潤滑性を付与すると好
ましい。この配合量は通常10〜40重量%とされる。
【0021】このような第一のフェノール樹脂複合材か
ら上部ピストン部材21を構成することによって、以下
のような効果が得られる。すなわち、樹脂製であるにも
関わらず、温度上昇による上部ピストン部材21の寸法
変化に起因する異常摩耗が生じにくい。そして、異常摩
耗によるピストン20の首振りが生じないため、騒音が
抑制できる。
【0022】このように樹脂製であって、かつ騒音が低
減され、摩耗しにくいものとされているので、従来の金
属製の上部ピストン部材を用いた場合と比較して、金属
材料どうしの接触による騒音の発生はおこらず、無給油
式往復圧縮機においても、ライダーリングを設ける必要
がなく、コストが削減できる。また、シリンダ4とこの
上部ピストン部材21にカジリが発生しないという効果
もある。さらに、上部ピストン部材21の熱伝導度は金
属よりも小さいので、ピストンピン23に熱が伝わりに
くく、このピストンピン23の温度が上昇しにくい。し
たがって、ピストンピン23と連接棒15との接触面に
塗布されているグリースなどの潤滑剤が劣化しにくいと
いう効果も得られる。
【0023】第二のフェノール樹脂複合材において、第
一のフェノール樹脂複合材と異なるところは、フェノー
ル樹脂複合材を構成する熱硬化フェノール樹脂として、
ゴム状弾性材料で変性したフェノール樹脂、またはゴム
状弾性材料を複合したフェノール樹脂が用いられている
点である。
【0024】ゴム状弾性材料とは、シリコンゴム、フッ
素ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムなどのゴム
や、熱可塑性エラストマーなどである。ゴム状弾性材料
で変性したフェノール樹脂(以下変性フェノール樹脂と
呼ぶ)とは、フェノール樹脂合成時にゴム状弾性材料を
配合して製造したものである。また、ゴム状弾性材料を
複合したフェノール樹脂(以下複合フェノール樹脂と呼
ぶ)とは、フェノール樹脂合成後に未硬化のフェノール
樹脂にゴム状弾性材料を混合したものである。この変性
フェノール樹脂および複合フェノール樹脂におけるゴム
状弾性材料の配合量は、通常10〜30重量%とされ
る。
【0025】このようにゴム状弾性材料を用いることに
よって、フェノール樹脂にゴム状弾性材料の特性が付与
され、振動に対する減衰性が大きくなる。すなわち、ゴ
ム状弾性材料を用いない場合よりも動的曲げ損失などが
増大し、振動が与えられた場合にこの振動が吸収されや
すい性質、すなわち減衰性が大きい特性を有するように
なり、衝撃が吸収されやすくなる。
【0026】この変性フェノール樹脂または複合フェノ
ール樹脂を用い、第一のフェノール樹脂複合材と同様に
して充填材を配合し、シリンダ4構成材料とその熱膨張
係数を同等以下とした第二のフェノール樹脂複合材から
上部ピストン部材21を形成すると、第一のフェノール
樹脂複合材から形成した場合の効果に加えて、さらにシ
リンダ4との接触、衝突による衝撃が吸収されやすくな
り、騒音が低減され、上部ピストン部材21が摩耗しに
くくなるという効果が得られる。
【0027】第三のフェノール樹脂複合材は、第一のフ
ェノール樹脂複合材または第二のフェノール樹脂複合材
において、充填材の一部または全部を、旧モース硬さ
(以下モース硬さと略記する)2〜4の強化繊維とし、
より上部ピストン部材21の耐久性を高めたものであ
る。強化繊維を樹脂に配合してその強度を高めることは
通常行われているが、この強化繊維が硬すぎるとシリン
ダ4を傷つけ、上部ピストン部材21自身も摩耗するこ
とになる。また、強化繊維が柔らかい場合には、上部ピ
ストン部材21が摩耗し、必要な耐久性向上効果が得ら
れない。
【0028】ところで、最近シリンダ4構成材料として
用いられているアルミ合金に陽酸化処理を施したもの
は、その硬度がビッカース硬さHV約400〜440で
あり、これをモース硬さに換算すると4.6〜4.8程
度となる。そこで、この点に着目し、このモース硬さを
基準として、シリンダ4構成材料を傷つけず、適度な強
度と耐久性を付与することができる強化繊維のモース硬
さについて検討したところ、その範囲は2〜4が好まし
いことがわかった。このモース硬さが4を越えるとアル
ミ合金からなるシリンダ4を攻撃し、傷つける可能性が
あり、2未満であると上部ピストン部材21が摩耗しや
すく、耐久性向上効果が得られない。
【0029】モース硬さ2〜4の強化繊維としては、チ
タン酸カリウム繊維(モース硬さ:3)、銅繊維(モー
ス硬さ:3)、ロックウール(モース硬さ:2.5〜
3.5)、などがあげられるが、なかでもチタン酸カリ
ウム繊維が分散性、耐食性にすぐれており、好適であ
る。強化繊維の配合量は、充填材とあわせて5〜50重
量%、好ましくは10〜40重量%とするが、少なくと
も5重量%以上の強化繊維を配合しないと、強化繊維を
配合しない場合と殆ど差がなく、十分な耐久性向上効果
が得られない。50重量%を越えると、フェノール樹脂
による接着力が低下して成形性が低下し、好ましくな
い。
【0030】第三のフェノール樹脂複合材の熱膨張係数
は、強化繊維の熱膨張係数と配合量によっても変化する
ので、シリンダ4がアルミ合金製である場合には、アル
ミ合金の熱膨張係数と同等以下、すなわち1.5×10
ー5〜2.5×10ー5(/℃)となるようにこれらを調整
する必要がある。すなわち、フェノール樹脂の配合量V
a(体積%)、フェノール樹脂の熱膨張係数A、充填材
の配合量Vb(体積%)、充填材の熱膨張係数B、強化
繊維の配合量Vc(体積%)、強化繊維の熱膨張係数C
とすると、フェノール樹脂複合材の熱膨係数D’は、以
下の式IIで表される。 D’=(A×Va+B×Vb+C×Vc)/100 ・・・(II) 強化繊維の配合方法は特に限定することはないが、充填
材と同様に、ミキサーなどを用いた公知の方法によって
配合することができる。
【0031】第三のフェノール樹脂複合材からなる上部
ピストン部材21においては、モース硬さ2〜4の強化
繊維の配合により、シリンダ4を傷つけない適度な強度
を上部ピストン部材21に付与することができ、低騒音
性を維持しつつ、第一および第二のフェノール樹脂複合
材を用いた場合よりもさらに耐久性を向上させ、長時間
の断続運転にも耐えるものとすることができる。
【0032】往復膨張機においても、シリンダとこのシ
リンダ内を摺動するピストンの作用は、上述の無給油式
往復圧縮機の場合と同様であるので、往復膨張機に用い
るピストンを構成する上部ピストン部材を上述の第一な
いし第三のフェノール樹脂複合材から形成することによ
って同様の効果を得ることができ、上述の課題を解決す
ることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を示して詳しく説明す
る。 (実施例1)表1に示す組成に従い、上述の第一のフェ
ノール樹脂複合材に係るもの(NO.1)およびゴム状弾性
材料を用いた第二のフェノール樹脂複合材に係るもの
(NO.2, NO.3)を形成した。また、比較として、アルミ
合金(NO.4)、フェノール樹脂に充填材を配合してその
熱膨張をアルミ合金の約2倍としたもの(NO.5)を表1
に示した組成に従って形成した。これらNO.1ないしNO.5
の材料の熱膨張係数および動的曲げ損失は表1にあわせ
て記した。この動的曲げ損失の数値が高いほど、振動に
対する減衰性が大きく、振動を吸収しやすい性質をもつ
ことを示している。
【0034】これらNO.1ないしNO.5の材料からなる図1
に示すような構造の上部ピストン部材21を有するピス
トン20(径82mm)を形成し、無給油式往復圧縮機
にて、0.8MPaの断続負荷運転を行い、1000時
間後の騒音、突出空気量の変化、ピストンピン23の温
度を測定した。このときシリンダ4構成材料は、陽極酸
化処理が施されたアルミ合金であって、その熱膨張係数
は2.3×10-5(/℃)であった。この実施例1の結
果は表2に記した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表2の結果より、本発明に係るNO.1ないし
NO.3においては、NO.4、NO.5と比べて騒音が小さいこと
がわかった。特にゴム状弾性材料の配合によって減衰性
が高められている第二のフェノール樹脂複合材に係るN
O.2とNO.3においては、より騒音低減効果が大きいこと
が確認された。さらにこれらNO.1ないしNO.3において
は、アルミ合金製であるNO.4のように、ピストンピン2
3が高温になったり、シリンダ4構成材料(陽極酸化処
理を施したアルミ合金)にカジリが発生することがな
く、また、アルミ合金の熱膨張係数の約2倍の熱膨張係
数を有するNO.5のように、上部ピストン部材21の摩耗
や、これに伴う空気量の低下も確認されず、従来より耐
久性に優れたものであることがわかった。
【0038】(実施例2)強化繊維としてチタン酸カリ
ウム繊維を用いて、上述の第三のフェノール樹脂複合材
に係るもの(NO.1 , NO.2)を製造した。また、比較の
ためのフェノール樹脂複合材として、チタン酸カリウム
繊維の配合量が5%未満であるもの(NO.3)、チタン酸
カリウム繊維と充填材の配合によってその熱膨張をアル
ミ合金の約2倍としたもの(NO.8)、チタン酸カリウム
繊維以外の強化繊維を用い、熱膨張係数をアルミ合金同
等以下としたもの(NO.4〜7)を製造した。これらNO.1
ないしNO.8のフェノール樹脂複合材の組成と熱膨張係数
は、表3に示した。また、これらフェノール樹脂複合材
の熱膨張係数を表3にあわせて記した。
【0039】これらNO.1ないしNO.8の材料からなる図1
に示す構造の上部ピストン部材21を有するピストン2
0(径82mm)をそれぞれ形成し、無給油式往復圧縮
機にて、0.8MPaの断続負荷運転を行い、実施例1
よりも長時間の5000時間後の騒音、突出空気量の変
化、上部ピストン部材21およびシリンダ4の摩耗量を
測定した。このときシリンダ4構成材料は、陽極酸化処
理が施されたアルミ合金であって、その熱膨張係数は
2.3×10-5(/℃)であった。この実施例2の結果
を表4に示した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】表4より、本発明の第三のフェノール樹脂
複合材に係るNO.1およびNO.2においては、5000時間
という長時間の断続運転後であっても、騒音が小さく、
上部ピストン部材21やシリンダ4の摩耗がほとんどみ
られず、非常に耐久性に優れていることか明らかになっ
た。これらNO.1およびNO.2に対し、NO.3はチタン酸カリ
ウム繊維の配合量が少ないためやや耐久性に劣る結果と
なった。
【0043】モース硬さが4を越える強化繊維を用いた
NO.4ないしNO.7は、上部ピストン部材21やシリンダ4
に異常な摩耗が認められた。また、その熱膨張係数がア
ルカリ合金のほぼ2倍とされているNO.8においては、上
部ピストン部材21の摩耗がみられ、断続運転に伴う温
度上昇によって、上部ピストン部材21とシリンダ4と
の接触面圧が高くなり、上部ピストン部材21の摩耗が
進行することが確認され、さらに騒音も大きくなること
がわかった。したがって、熱膨張係数をアルミ合金と同
等以下とするとともに、モース硬さ4以下の強化繊維を
5重量%以上配合することによって、騒音低減効果を維
持しつつ優れた耐久性向上効果が得られることが確認さ
れた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明の往復動流体
機械においては、上部ピストン部材が、熱硬化性フェノ
ール樹脂に充填材が配合され、その熱膨張係数がシリン
ダ構成材料の熱膨張係数と同等以下とされている熱硬化
性フェノール樹脂複合材から形成されているので、樹脂
製であるにも関わらず、運転時の温度上昇による寸法変
化に起因する異常摩耗が生じにくく、耐久性に優れたも
のとすることができる。そして、異常摩耗によるピスト
ンの首振りが生じないため、騒音が抑制できる。
【0045】このように樹脂製であって、かつ騒音が低
減され、摩耗しにくいものとされているので、従来の金
属製の上部ピストン部材を用いた場合と比較して、無給
油式往復圧縮機においては、ピストンにライダーリング
を設ける必要がなく、コストが削減できる。また、シリ
ンダとのカジリが発生しないという効果もある。
【0046】また、ゴム状弾性材料を用いて、前記熱硬
化性フェノール樹脂複合材に減衰性を付与することによ
って、さらに騒音を低減できる。
【0047】また、上述のフェノール樹脂複合材に配合
する充填材の全部または一部を旧モース硬さ2〜4の強
化繊維とすることによって、シリンダを攻撃せず、シリ
ンダおよび上部ピストン部材を摩耗させずに、適度な強
度を付与することができ、より耐久性に優れたものとす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図2に示される無給油式往復圧縮機のシリン
ダ内に配された樹脂製の上部ピストン部材を用いたピス
トンの構造の例を示した断面図である。
【図2】 無給油式往復圧縮機の一例を示した図であ
る。
【図3】 図2に示される無給油式往復圧縮機のシリン
ダ内に配された金属製の上部ピストン部材を用いたピス
トンの構造の例を示した断面図である。
【符号の説明】 20・・・ピストン 21・・・上部ピストン部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山澤 達哉 神奈川県綾瀬市小園1116番地 トキコ株式 会社相模工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダと、このシリンダ内を摺動する
    ピストンを有する往復動流体機械であって、 このピストン先端部を構成する上部ピストン部材は、熱
    硬化性フェノール樹脂に充填材が配合され、その熱膨張
    係数がシリンダ構成材料の熱膨張係数と同等以下とされ
    ている熱硬化性フェノール樹脂複合材から形成されてい
    ることを特徴とする往復動流体機械。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の往復動流体機械におい
    て、熱硬化性フェノール樹脂複合材を構成する熱硬化フ
    ェノール樹脂は、ゴム状弾性材料で変性した熱硬化性フ
    ェノール樹脂、またはゴム状弾性材料を複合した熱硬化
    性フェノール樹脂であることを特徴とする往復動流体機
    械。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の往復動流
    体機械において、充填材の一部または全部が旧モース硬
    さが2〜4の強化繊維であることを特徴とする往復動流
    体機械。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の往復動流体機械におい
    て、強化繊維の配合量は5〜50重量%であることを特
    徴とする往復動流体機械。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載の往復動流
    体機械において、強化繊維がチタン酸カリウム繊維であ
    ることを特徴とする往復動流体機械。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009063174A (ja) * 2008-11-25 2009-03-26 Hitachi Ltd 無潤滑の往復動圧縮機用ピストンリング及びそれを用いた往復動圧縮機
CN110425279A (zh) * 2019-08-06 2019-11-08 北京卫星环境工程研究所 用于大功率两级g-m制冷机的二级密封环结构

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CN110425279A (zh) * 2019-08-06 2019-11-08 北京卫星环境工程研究所 用于大功率两级g-m制冷机的二级密封环结构
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