【発明の詳細な説明】
修飾ヌクレオシドを用いての核酸の増幅
方法及び抗体を用いての増幅生成物の検出
本発明の要旨は、増幅過程中に新合成された核酸鎖中に組込まれる修飾プリン
又はピリミジン塩基を有するヌクレオシド三リン酸を用いて核酸配列の増幅(am
plifi-cation)方法に関する。修飾した塩基を特異的に認識する抗体を用いて、
増幅生成物を検出する及び/又は定量化することが可能である。
更には、増幅生成物は、修飾した塩基で増幅した配列の幾つかのコピーを含有
し且つそれに加えて当該配列に特異的な少なくとも1個の配列を含有する多量体
(マルチマー)の製造に用い得る。かゝる多量体はシグナル増幅によって何れか
のポリヌクレオチド配列の検出及び/又は定量化に用い得る。
酵素系の方式によって試験管内で増幅する方法は、ポリヌクレオチドを単離し
且つクローン化する必要なしに、試料中に少量で存在するポリヌクレオチドの配
列の多数のコピーを得ることを特に意図されることは知られている。
先ず開示される酵素を基剤とする配列増幅方法はPCR(ポリメラーゼ連鎮反
応)の名称でより広く知られるポリメラーゼ連鎖増幅である。この方法では、2
種のオリゴヌクレオチドプライマーを用い、その各々は増幅す
べき配列を含有するDNA鎖の1方のセグメントに対して相補的であり、こうし
て前記のセグメントは前記の配列を包含する。DNAを変性するために加熱した
後には、オリゴヌクレオチドプライマーはそれらの相補的な配列とハイブリッド
形成し、しかも熱安定性DNAポリメラーゼ及び過剰量のヌクレオシド三リン酸
の存在下では鋳型鎖に相補的なDNA鎖が、ハイブリッド形成したプライマーの
3′末端からの延長により合成される。次いで該混合物を再び熱で変性させ、冷
却するとオリゴヌクレオチドプライマーは当初から存在するか又は新たに合成し
たDNA鎖とハイブリッド形成し、プライマーの新たな延長等が生起する。プラ
イマーの対合と、延長と変性とのこれらの連続的な作業周期は、各々の作業周期
で有用な配列の多数のコピーの倍加を生起する。
RT−PCRと呼ばれる、PCRと同様な方法は、増幅すべき原料としてRN
Aを用いることに在り、この場合には該方法は相補的DNAに対してRNAの逆
転写用の予備段階を包含してなる。この方法は標的がレトロウイルスのゲノムで
ある時あるいはイントロンの増幅防止のためにメッセンジャーRNAを標的とし
て用いた時に有用である。
種々の他の増幅方法が開示され、しかも特にRNAポリメラーゼ用のプロモー
ター配列を含有するプライマーを用いることに在る方法が開示されこうしてDN
Aの二本鎖を延伸によって得、その転写はRNAポリメラーゼ
の存在下で、増幅サイクルに組入れ得る転写RNAの形で数十倍のコピーを製造
するものである。増幅方法はDNA−RNAヘテロ二本鎖を形成するためRNA
を逆転写し、次いで形成したヘテロ二本鎖を変性し、プライマーをDNA鎖にハ
イブリッド形成し、プライマーを延長し、続いて得られた二本鎖を転写する等か
らなる。前もって形成したRNA鎖は各々、次いで転写し得るDNAの二本鎖を
生起し得る。
前記増幅方法の欠点のうちの1つは二重らせんを変性する必要性である。一般
に90℃以上の温度で行なうこの増幅方法は熱安定性酵素の使用を必要とする。変
性段階を回避するために等温的に使用し得る増幅方法が想定される。等温法は標
的RNA配列とDNAプライマーとを原料とすることに在る。逆転写酵素を用い
て、RNA−DNAヘテロ二本鎖が得られる。リボヌクレアーゼの作用により、
RNAは加水分解される。DNAポリメラーゼの存在下に適当なプライマーを延
長することにより一本鎖DNAを二本鎖に転化する。得られた二本鎖DNAを次
いで転写でき、標的RNAの幾つかのコピーが次いで増幅サイクルに組入れ得る
。別の等温法は同じ標的の核酸鎖とハイブリッド形成し得る2個のプライマーを
用いて鎖置換の現象を用いることに在り;第2のプライマーに関して5′部位に
位置した第1のプライマーの延長生成物は、一本鎖の形でかくして放出される第
2のプライマーの延長生成物を置換し、然るに第1のプライマー
の延長生成物は原料の標的鎖と二重らせん(duplex)を形成する。かくして形成さ
れた一本鎖は2個のプライマーの同様な系を用いて次いで増幅サイクルに組入れ
得る。更には、第1のプライマーは標的の認識部位に関して5′部位にRNAポ
リメラーゼ用の認識部位又は制限酵素用の認識部位を含有でき、制限酵素は増幅
サイクルには別の方式を使用し得る:欧州特許第 0543612号参照。
当該分野の全ての専門家は、増幅技術が特に病気の診断に又は細菌又はウイル
スの汚染に重大な役割を演ずるようになっていると評価している。
それ故ゲル電気泳動技術及び膜転移(ブロッティング)技術を代替するために
増幅生成物を定量的に評価し得る簡単で迅速な技術が必要とされる。現在最も鋭
敏な技術は修飾した(modified)ヌクレオシド三リン酸、即ちビオチニル化したデ
オキシウリジン三リン酸(dUTP)又はジゴキシゲニンに連結したdUTPを
用いることに在る。修飾したヌクレオシドを含有する増幅生成物は、第1の場合
にはアビジン−酵素接合体によってしかも第2の場合には抗ジゴキシゲニンモノ
クローナル抗体によって検出又は定量化される。
今般見出された所によれば、プリン又はピリミジン塩基をメチル、ヒドロキシ
メチル又はアセチル基による置換の如き単なる置換によって修飾したヌクレオシ
ド三リン酸即ちNTP(NTPはこゝではデオキシリボヌクレオシド三リン酸と
リボヌクレオシド三リン酸とを表わす)
を用いることにより増幅方法を使用できる。修飾したNTPsは、効率の損失な
しにヌクレオチド鋳型の新しいコピーを試験管内で合成するためにポリメラーゼ
によって使用され得ることが見出された。修飾した塩基でヌクレオシドを特異的
に認識する抗体であって非修飾形で前記の塩基を含有するヌクレオシドを認識し
ない抗体を用いると、かくして修飾したヌクレオシドを組入れた当該増幅した配
列を検出できる。更には驚くべきことには、これらの特別の修飾したヌクレオシ
ドに対して指向した抗体を用いての検出技術は、以下の実験部分で見られる如く
、アビジン−酵素接合体(ビオチニル化したプライマーを用いる場合)を用いる
か又はジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン抗体系を用いる慣用の検出技術よりも
明らかにより鋭敏である。
それ故本発明の要旨はヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドと、オリ
ゴヌクレオチドプライマーと、増幅生成物の合成に必要な種々のプリン及びピリ
ミジン塩基を含有するヌクレオシド三リン酸及び/又はデオキシヌクレオシド三
リン酸と、DNAポリメラーゼ及び/又はRNAポリメラーゼ及び/又は逆転写
酵素活性を有する酵素系とを、それ自体既知の要領で当該ヌクレオチド配列の増
幅を実施させ得る条件下で接触させる、酵素方式によるヌクレオチド配列の増幅
方法において、ヌクレオシド三リン酸及び/又はデオキシヌクレオシド三リン酸
の1種は修飾形で存在するかあるいは修飾形と非修
飾形との両方で存在し、前記の修飾形ではピリミジン又はプリン塩基は少なくと
も1個のメチル、ヒドロキシメチル又はアセチル基で置換されていることを特徴
とするヌクレオチド配列の増幅方法が提供される。
本発明の要旨はまたヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドと、オリゴ
ヌクレオチドプライマーと、増幅生成物の合成に必要な種々のプリン及びピリミ
ジン塩基を含有するヌクレオシド三リン酸及び/又はデオキシヌクレオシド三リ
ン酸と、DNAポリメラーゼ及び/又はRNAポリメラーゼ及び/又は逆転写酵
素活性を有する酵素系とを、それ自体既知の要領で当該ヌクレオチド配列の増幅
を実施させ得る条件で接触させる、ヌクレオチド配列を増幅し且つ増幅生成物を
検出及び/又は定量化する方法において、ヌクレオシド三リン酸及び/又はデオ
キシヌクレオシド三リン酸の1種は修飾形で存在するかあるいは修飾形と非修飾
形との両方で存在し、前記の修飾形ではピリミジン又はプリン塩基は少なくとも
1個のメチル、ヒドロキシメチル又はアセチル基で置換されており、増幅生成物
はそれ自体既知の方法により、前記の修飾ヌクレオシドを特異的に認識するが前
記の非修飾ヌクレオシドを認識しない抗体を用いて検出及び/又は定量化するこ
とを特徴とする、ヌクレオチド配列の増幅及び増幅生成物の検出及び/又は定量
化方法が提供される。
増幅は二本鎖DNA、相補的なDNAを合成するため
に又は転写したRNAを合成するためにプライマーの延長に基いた何れか既知の
方法によって実施できる。例えば前記した増幅方法を使用できしかも周知である
それらの実施の詳細はこゝでは反復しない。
修飾したヌクレオシドのうちでは、特に5−メチルシチジン、N4−アセチル
シチジン、3−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、N6,N6−ジメチル
アデノシン、1−メチルグアノシン、N2−メチルグアノシン、N2,N2−ジメ
チルグアノシン、7−メチルグアノシン、3−メチルウリジン、5−ヒドロキシ
メチルウリジン及び1−メチルイノシンを挙げ得る。
これらの修飾したヌクレオシドの三リン酸は既知であるか又は既知の方法によ
り製造できる。
これらの修飾したヌクレオシドを特異的に認識し得る抗体は既知の方法により
製造できる。抗体はモノクローナル抗体であるのが好ましい。
これらの抗体の若干は既に記載されている;C.ReynaudらのCancer Letters 25
5〜261(1991)参照。モノクローナル抗体の製造中に、修飾したヌクレオシドを特
異的に認識する抗体を一般に得ることができることを見出した。例えば抗(アン
チ)−5−メチルシチジン抗体の場合には試験したハイブリドーマクローンの約
3%が、5−メチルシチジンを認識するがシチジンを認識しない特異抗体を分泌
することが見出されたのがこの要領である。同様に、抗−7−メチルグアノシン
抗体の場合には、試験
したハイブリドーマクローンの4%が、修飾したヌクレオシドを認識するがグア
ノシンを認識しない抗体を分泌した。
実施した研究の結果は、ヌクレオチドプライマーの延長に修飾した対応のヌク
レオシドと同じ仕方でヌクレオシド三リン酸を用い得ることである。増幅すべき
配列が、修飾したヌクレオシドリン酸の組込みにより置換するのが望ましい少量
のヌクレオシドのみを含有する時は、修飾形でのみ考えられるヌクレオシド三リ
ン酸を原則として用い得る。然しながら、考慮されるヌクレオシドが増幅すべき
配列で幾つかの隣接位置で存在する時は、修飾したヌクレオシド三リン酸のみの
組込みは困難となり得る。従って、考慮されるヌクレオシドについては、修飾し
たヌクレオシド形と修飾していないヌクレオシド形との混合物を用いるのが一般
に好ましい。修飾したヌクレオシドと対応の非修飾ヌクレオシドとの全量に関し
て修飾したヌクレオシド三リン酸の割合は、一般に10〜100モル%で変化でき、
特に20〜75モル%で変化できる。
勿論、修飾したヌクレオシドと非修飾ヌクレオシドとの混合物を用いる時には
、増幅生成物は修飾形及び非修飾形での種々の割合の対応のヌクレオシドを含有
するものであり、この割合は、増幅すべき配列の組成の性状及び増幅中に存在す
る三リン酸(修飾した及び修飾していない)の割合に応じて決まるものである。
増幅すべき所与の配列について及び修飾三リン酸及び非修飾三リン酸
の所与の割合について、増幅生成物中の修飾ヌクレオシドと非修飾ヌクレオシド
とのそれぞれの割合は本質的に一定であることが見出された。その結果として修
飾したヌクレオシドに特異的な抗体を用いて増幅生成物を検出すると定量化をも
可能とするものである。
増幅生成物を検出するためには、前記した特異抗体を用いる。タン白質に複合
した修飾ヌクレオシドを用いての免疫化により製造した抗体はDNA又はRNA
鎖中に組入れた修飾ヌクレオシドを認識し得ることが見出された。
抗体は、トレーサー例えばペルオキシダーゼ又はアルカリ性ホスファターゼの
如き酵素で標識した抗体の形で使用でき、これによって既知の方法により着色し
た生成物の形成を肉眼で見得るようにさせる。
増幅生成物上への特異抗体の結合を目視化することはまた既知の要領で標識し
た抗−免疫グロブリン抗体で実施できる。例えば、用いたモノクローナル抗体が
マウスのIgGであるならば、標識した抗−マウスIgG抗体を目視化に用いる
ものである。
抗体を用いての目視化及び可能な定量化は周知の方法であり、それらを実施す
る詳細はこゝでは反復しないものである。更には、既知の要領でリガンド(例え
ばビオチン)に結合した増幅プライマーを用いることにより、対応の抗リガンド
(例えばアビジン)を付着させた微量滴定板上で検出及び/又は定量化を行ない
得る。
それ故本発明の方法は、細菌又はウイルスの感染又は汚染の試験で、医薬診断
の分野で又は食品部門で特に用い得る。
増幅法の別の利点は、それが核酸プローブを用いてのハイブリッド形成方法に
信号増幅剤として用いられ得る多量体(マルチマー)の製造に使用し得る生成物
を生起することである。
信号増幅の原理は知られている。標的ポリヌクレオチドのコピーの個数が少な
い時は、標的のコピーの個数を増幅により増殖する代りに、多量のトレーサーを
含有する検出プローブを用いることができ、従って信号増幅を用いることができ
る。検出すべき標的に特異的な検出プローブは、トレーサーを含有する幾つかの
単位を結合させたポリマー上にグラフト接合させる。
信号増幅に反応剤として使用され得るマルチマーの具体例は特に欧州特許出願
公開第 0,317,077号、第0,450,594 号等に特に記載されている。
信号増幅用反応剤として本発明の増幅法により得られた増幅生成物を用いるの
が望ましい場合には、増幅生成物よりなる複数の単位と、当該ポリヌクレオチド
とハイブリッド形成し得る少なくとも1個のポリヌクレオチド単位とを含有して
なるマルチマーを製造するのが適当である。この場合には、増幅生成物の配列は
何れかの型式のものであることができ;単に標的のポリヌクレオチドとハイブリ
ッド形成し得るものであってはならない。
信号増幅用反応剤は例えば、修飾したヌクレオシドを組入れた複数のヌクレオ
チド配列を分枝上に担持するポリマーの形で製造できる。ポリマーはフォーク、
コーム等の形で分枝を担持する既知の要領で製造できる;例えば前記の欧州特許
出願参照。
修飾したヌクレオシドを特異的に認識する抗体を用いての検出に、修飾したヌ
クレオシドの多数の分子をかくして含有する信号増幅用試薬は高密度の信号を生
成するものである。
それ故本発明の要旨は、前記した増幅方法により得られる増幅生成物の使用に
また関する。この使用は、それ自体既知の要領で前記の増幅生成物よりなる複数
の単位と、当該ポリヌクレオチドとハイブリッド形成し得る少なくとも1個のポ
リヌクレオチド単位とを含有するマルチマーの製造に在る。
本発明の要旨はまた、それ自体既知の方法により前記した方法により得られた
増幅生成物の検出及び/又は定量化に、あるいはそれ自体既知の方法により前記
した如く得られたマルチマーの検出及び/又は定量化に抗体を使用することに関
し、前記のマルチマーは当該ポリヌクレオチドとハイブリッド形成されるもので
ある。この使用は、用いた抗体が修飾ヌクレオシドを認識し得るが対応の非修飾
ヌクレオシドを認識しない抗体であることを特徴とする。
次の実施例は本発明を例証する。
実施例1 エプスタイン・バール ウイルス(EBV)のゲノムの増幅
a)プライマー
2種のプライマーを合成するが、これらのプライマーは、種々のEBV菌株の
うちから高度に保存した領域であるEBVゲノムの Bam HIV領域から選択した 1
86個の塩基対のセグメントの両端に位置している。各々のプライマーはP.R.Lang
erらのP.N.A.S.USA78巻,11号,6633〜6637頁(1981)により記載された方法によ
る合成中に5′末端でビオチニル化した。
プライマーの配列は次の通りである:
プライマー1:5′TTT GTC CCC ACG CGC GCA TA3′
プライマー2:5′AGG TGG GGT AGC AAC GCG AA3′
EBVゲノムの Bam HIW領域に関してこれらのプライマーの位置はR.Griffais
らの報文、Nuc1eic Acids Research,19巻,14号,3887〜3891頁(1991)に記載さ
れている。
b)DNA鋳型の製造
1つの染色体中に完全な EBV DNAを有するバーキットリンパ腫細胞、ナマルワ
ライン(Namalwa line)を用いる:マツオらのScience 226,1322〜1325(1984)及
びGarganoらの Genes Chrom.Cancer,4,205〜210(1992)参照。実際上、2個
のEBVゲノムが染色体1の既知部位に組込まれる、Lawrenceらの Cell 52,51
〜61(1988)参照。
細胞を既知の要領で水酸化ナトリウムで溶菌した。
細胞溶菌液の連続希釈液を製造し且つPCR法による増幅用の鋳型として用い
た。
c)増幅
細胞溶菌液のアリコートフラクション(10マイクロリットル)を、50mM KCl,
10mM HCl(pH8.4)、1.5mM MgCl2を含有する緩衝剤溶液の 100μl、ゼラチンの10
0μg/ml、ヌクレオシド三リン酸、dATP、dTTP及びdGTPの各々の 20
0μM、dCTPの40μM、5−メチル−dCTP(以下では5−Med CTP)(Boeh
−ringer Mannheim)、各々のプライマーの 0.5μM 及びTaqポリメラーゼの1
単位に添加した。
パーキン−エルマー(Perkin-Elmer)180サーモサイクロ装置を用いた。
増幅サイクルは次の要領で計画した:
(イ)99℃で10分、62℃で2分及び72℃で2分よりなる1サイクル
(ロ)次いで95℃で30秒、62℃で1分及び72℃で2分よりなる35サイクル。
本法の終了時に、試料を72℃で5分間維持した。
d)特徴付け(characterisation)
各々の増幅生成物のアリコート部分(10μl)をアガロースゲル電気泳動にかけ
た(3%のNuesieveアガロース及び1%のSeakemアガロース)。泳動後に、紫外
線照射下での臭化エチジウム蛍光によってDNAを目視化した。
次いでDNAをナイロン膜(Hybond N+アメルシャムインターナショナル社)
上に移動させた。
増幅生成物の特異性を点検するために、ハイブリッド形成は、ジゴキシゲニン
で標識されしかもプライマー1及び2により包含される配列内に位置したDNA
鎖の配列とハイブリッド形成し得る検出プローブで行なった。
この検出プローブは、次のプライマー:
(イ)プライマー3
:5′CCA GGA AGC GGG TCT ATG3′
(ロ)プライマー4
:5′CCT TTG GTG AAG TCA CAA ACA3′
を用いてヌクレオシド三リン酸及びジゴキシゲニンで標識したdUTP(ジゴキ
シゲニン11 dUTP−Boeh-ringer Mannheim 社)の存在下にPCRにより得
られた。
かくして、106ヌクレオチドのアンプリファイアが得られ、その配列を前記増
幅した 186ヌクレオチド配列に包含した。
かくして得られたプローブは前記のc)で得られたPCR増幅生成物と特異的
にハイブリッド形成することを点検した。ジゴキシゲニンで標識したハイブリッ
ド形成済みプローブの目視化は、青色の沈澱物を与えるNBT/X−ホスフェー
トの存在下にアルカリ性ホスファターゼと接合したアンチ−ジゴキシゲニン抗体
を用いて行なう(核酸検出キット、 Boehringer Mannheim社)。
e)5−メチルシチジンの免疫検出
増幅したDNA中への5−メチルシチジンの組込みは次の要領で証明された。
前述の如く電気泳動次いでナイロン膜上への転移後に、0.05MのTRIS緩衝
剤(pH7.4)で希釈したブロッキング剤(Boehringer Mannheim社) の 0.5%溶液中
にナイロン膜を30分間浸漬した。
ナイロン膜をPBST(0.2%のトゥイーン20を含有するリン酸塩緩衝剤)で
3回洗浄し、次いでナイロン膜をアンチ−5−メチルシチジンモノクローナル抗
体と共に室温で1時間反応保持させた。モノクローナル抗体は、C.ReynaudらのC
ancer Letters,Elsevier SCintifiC Publishers Ireland社 255〜262頁(1991)
によって記載された抗体てある。抗体溶液は10〜15μg/mlの抗体を含有する未希
釈のハイブリドーマ培養上澄み液である。次いでナイロン膜をペルオキシダーゼ
接合したアンチ−マウスIgG(H+L)ゴート抗体と共に室温で1時間反応保
持し次いでアフィニティクロマトグラフィー(Biorad Laboratories社)により精
製した。ナイロン膜を再びPBSTで3回洗浄し次いでリン酸塩緩衝液(PBS
)でゆすいだ。
基質(0.02%の過酸化水素を含有するリン酸塩緩衝剤に入れたメタノール中の
4−クロロ−1−ナフトールの 0.3%溶液の60ml)を次いで添加し、室温で30分
間反応保持した。
f)マイクロプレートの製造
カルボキシル化ポリスチレン微量滴定板を用いた;参考文献:NiveleauらのJ.
Immunol,Methods, 159, 177〜189頁(1993)。
リン酸塩緩衝剤(pH7.2)に希釈したN−(3−ジメチルアミプロピル)−N′
−エチルカルボジイミド塩酸塩(Merck社)の10μg/mlを含有する溶液 100μlを
各々の凹み(ウエル)に添加した。室温で10分後に、pH7.2のリン酸塩緩衝剤に
入れたアビジン(Sigma社)の10μg/mlを含有する溶液 100μlを各々のウエルに
添加した。1時間後に、プレートを、0.05%のトゥイーン20を含有するリン酸緩
衝液(pH7.2)で洗浄し、次いでリン酸塩緩衝液で3回洗浄した。
熱変性した増幅生成物を1個のウエルにつき50μlの量で添加した。室温で15
分後に、ウエルをPBSTで3回洗浄した。50μlのアンチ−5−メチルシチジ
ンモノクローナル抗体溶液(ハイブリドーマ培養上澄み液)を次いで添加した。
室温で30分間反応保持した後に、ウエルを1%のウシの血清アルブミンを含有す
るPBST(PBST−BSA)で3回洗浄した。
次いで50μlのペルオキシダーゼ接合アンチ−マウスIgG(H+L)ゴート
抗体(Biorad Laboratories社)を添加した。室温で30分後に、プレートをPBS
T−BSAで3回ゆすぎ、次いで10容量%の過酸化水素と混合したジメチルアミ
ドに溶かした3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジンであるペルオキシダ
ーゼ基質を
添加した。この混合物の 100μlを各々のウエルに添加し、反応生成物の強い青
色が出現するまで室温で17〜20分間プレートを反応保持させた。反応は1個のウ
エルにつき 100μlの1N硫酸の添加により停止させた。655nmでの光学濃度を
分光測光法により測定した。結果
PCR増幅で鋳型として用いられる EBV DNAの10倍連続希釈液はEBVゲノム
の2〜20,000コピーを含有した。
dCTPと5− Med CTPとの混合物及びビオチニル化したプライマーを用いて
前記c)の如く行なったPCR増幅の結果と、未修飾NTPsと非ビオチニル化
プライマーとを用いて慣用の要領で行なったPCR増幅の結果とを対比した。
増幅生成物はアガロースゲル電気泳動により分析し、紫外線照射下での臭化エ
チジウム蛍光により目視化した。電気泳動分析が示す処によれば両方の場合にお
いて増幅したDNAsは移動距離に基づいて予期した大きさを有する。ゲル上の
蛍光の強度によって測定した反応の感度は、本発明によるPCRと慣用のPCR
との両方共DNAの 200標的分子以下である。
更には比較として、慣用のPCRによって得られた増幅生成物は、サザンハイ
ブリッド形成及びアンチ−ジゴキシゲニン抗体(Boehringer Mannheim)での目視
化により、ジゴキシゲニン−接合した特異プローブ(前記のd)で得られた)で
分析した。反応の感度は20標的DNA分
子以下であった。
本発明によるPCR増幅生成物は一方では電気泳動及びサザン転移(前記のe
)参照)後に分析し、他方ではアビジン(前記のf)参照)で被覆した微量滴定
板上で分析した。
第1の場合(電気泳動及びサザン転移)には、増幅生成物を水酸化ナトリウム
で変性させ、検出はアンチ−5−MeCモノクローナル抗体を用いて行ない、そ
の結合はペルオキシダーゼで標識したアンチ−マウスIgG抗体を用いて前述の
如く目視される。この場合に本法の感度限界閾は2個の標的DNA分子である。
アビジンで被覆した微量滴定板上に増幅生成物を付着させることにより分析を
行ない、前記の如くアンチ−5MeCモノクローナル抗体を用いて検出する時は
、今回検出限界閾は2個の標的DNA分子以下である。
信号の強度は増幅生成物の量と共に増大し、これによって定量化を可能とする
。