JPH10511147A - セルロース含有材料からパルプを製造する方法、パルプそのもの、及びその使用 - Google Patents
セルロース含有材料からパルプを製造する方法、パルプそのもの、及びその使用Info
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Abstract
(57)【要約】
1.本発明は、セルロース含有材料からパルプを製造する方法であって、この材料が溶媒としてのギ酸と混合されて、ほぼ溶媒沸騰温度で還流冷却下に蒸煮されるようになった方法に関するものである。1年性植物、広葉樹又は針葉樹をセルロース含有材料として利用することができる。1方法変種では、セルロース含有材料が還流冷却下に僅かに暖められるだけであり、次に、実質的に外部エネルギーの供給を他に必要とすることなく、予め厳密に定められた量の過酸化水素が一定した配量でゆっくりと添加される。この方法変種は蒸煮温度を下げながら繰り返すことができる。こうして得られたパルプは好ましくは化学パルプを製造するのに、特に紙又は板紙を製造するのに、使用される。2.本発明によれば、セルロース含有材料から溶出したリグニンも継続使用され、このリグニンは溶媒からパルプを分離した後に水中に沈殿させることによって単離される。こうして得られたリグニンは新建材として、充填材として、又は芳香族物質を製造するための原料として、利用することができる。
Description
【発明の詳細な説明】
セルロース含有材料からパルプを製造する方法、パルプそのもの、及びその使
用
本発明は、セルロース含有材料からパルプを製造する方法、パルプそのもの、
及びその使用に関するものである。
化学パルプを製造するのに必要とされる繊維素パルプがパルプと理解される。
この化学パルプから、次に、例えば紙又は板紙が製造される。
化学パルプ生産産業は、今日、環境保護に関する要請及び負担に対応すること
が益々困難となってきている。補足的に例えばドイツでは、1990年の環境負
担により、クラフト法等の古典的化学パルプ製出方法を適用することがもはや許
されていない。結合物質として機能するリグニンをセルロース含有材料から溶出
させるために硫黄含有蒸解剤を使用する場合、ドイツでは亜硫酸法がなお適用さ
れるだけである。
環境に優しい化学パルプ製出方法を開発する努力の結果として、蒸解液が少な
くとも50重量%の酢酸を含有し、付加的に僅かな割合の塩酸を含有したいわゆ
るアセトソルブ(Acetosolv)法が生まれた。この蒸解後、こうして製出されたパ
ルプは、リグニンをほぼ完全に取り除くために、カセイソーダ溶液で洗浄され、
選択的に付加的に有機溶媒で洗浄される。
この方法では、比較的高い酢酸消費量と、パルプ洗浄用にカセイソーダ溶液及
び場合によっては有機溶媒の使用が、欠点と見做される。
製紙産業の厳しい要求条件によれば、こうして製出されたパルプは通常次の工
程において、少なくとも25未満のカッパー価を達成するために漂白される。ア
セトソルブ法でも過酸化物による漂白が後段に設けられており、この漂白剤の比
較的高い消費量が欠点であると見ることができる。
そこで、このアセトソルブ法の改良が欧州公開特許公報第325891号によ
って公知である。この改良は、実質的に、蒸解後のパルプ洗浄がもはやカセイソ
ーダ溶液で行われるのでなく、C1-3カルボン酸又はこのような酸の混合物で行
われ、それに続く漂白も酸性媒質中で、過酸化水素又はオゾンを付加的に使用し
て実行されることにある。その際、例えば酢酸ブチル等のカルボン酸エステルも
溶媒として使用することができる。
付加的に、パルプ洗浄に使用されるC1-3カルボン酸を引き続き再び蒸解液と
して使用することができることは、前記刊行物によって公知である。
欧州特許公報第250422号により、セルロース含有材料から漂白パルプを
製造する方法が公知であり、この方法は一般にミロクス(Milox)法とも称される
。この方法では過ギ酸媒質、過酢酸媒質、ペルオキシプロピオン酸媒質又はペル
オキシ酪酸媒質中で蒸解が行われ、このペルオキソ酸は各酸を比較的高い割合の
過酸化水素と混合し、次に蒸解操作を実行することによって製出される。この蒸
解に続くパルプ漂白は過酸化水素を添加したアルカリ性溶液中で実行される。こ
の方法ではやはりカセイソーダ溶液等のアルカリ性溶液の使用と所要の過酸化水
素の高い割合が欠点である。
この先行技術を前提に、本発明の課題は、極力環境を保護し且つ同時にきわめ
て経済的、効率的に作動する、セルロース含有材料からパルプを製造する方法を
提供することである。
この課題は請求の範囲1に記載された方法によって解決される。意外なことに
、使用されるセルロース含有材料に応じて、この材料を溶媒としてのギ酸と混合
し、ほぼ溶媒沸騰温度で還流冷却下に蒸煮すれば十分であることが確認された。
好適なセルロース含有材料を使用すると、こうして製造されたパルプは既に驚く
ほどに、引き続き漂白する必要がないほどに、白い。
本発明による方法の好ましい1実施態様は、使用されたセルロース含有材料が
そんなに容易には蒸解可能ではないときに利用される。製出されたパルプの使用
目的に応じて、例えば広葉樹又は針葉樹の場合がそうであり、穀物の藁の場合も
そうである。この好ましい実施態様では、セルロース含有材料がギ酸及び水と混
合され、外部エネルギー源によって還流冷却下に僅かに暖められる。次に、予め
厳密に定められた量の過酸化水素が一定した配量でゆっくりと添加される。この
ようなやり方は先行技術にはこれまで知られておらず、蒸煮に必要な熱を発熱反
応自体が提供するのできわめて経済的な操作方式を可能とする。即ち、最初の活
性化後には他の外部エネルギーの供給が殆ど必要でない。同時に、常に予め定め
られた微量の過酸化水素が蒸解溶液に添加されるだけであるので、反応制御が本
質的に容易となる。その際、溶媒とセルロース含有材料と場合によってそこから
溶出するリグニン、糖等の成分とからなる総体が蒸解溶液と理解される。更に、
好ましい実施態様によれば反応遂行時に有利なことに、ギ酸と過酸化水素とから
過酸を生成する反応のときの平衡は過酸化水素の連続的添加によって絶えず過酸
の側にずらされる。
本発明による方法では、濃度範囲約60〜99重量%の水性ギ酸を使用するこ
とができる。パルプ製造時、即ち蒸解操作のとき、少なくとも一定百分率の水が
存在していなければならないので、100%ギ酸の使用は有利ではない。使用す
るセルロース含有材料に応じて、約30〜120分の時間を蒸煮時間とすること
ができる。
予め定められる過酸化水素量は、セルロース含有材料と溶媒との総重量に対し
て約1〜3重量%、好ましくは1〜2重量%、特に好ましくは1重量%とするこ
とができる。その際特に有利なことにごく微量の過酸化水素の添加が必要である
だけであり、この微量の過酸化水素は、一方で、こうして製造されたパルプの白
色度に対する要求条件を製紙に関して満たすのに十分であり、他方で、外部エネ
ルギーを熱の形で更に供給することなく蒸解溶液の温度をほぼ溶媒沸点に保つの
に十分である。こうして、本発明によるパルプから製造された紙の良好な性質を
最小のエネルギー支出と結び付けることができる。
液体・材料比を20:1〜25:1の範囲に保つと有利であることが判明した
。
更に、空気、酸素、オゾン等の気体、又は匹敵する気体、又は2種類以上のこ
れらの気体からなる混合物を付加的に溶媒に導入するように、本発明による方法
は変更することができる。その際これらの気体の酸化力が利用され、この酸化力
がリグニンの分解を強め、従って白色度を高め、カッパー価を下げる。更に、所
要の蒸解時間も短くなる。
本発明によれば、パルプは蒸煮時間終了後に簡単な篩分けによって溶媒から分
離することができる。この篩分けは最も広い意味で理解され、即ち、好適な隔膜
、濾過器又はフリットによる分離も可能であり、その場合分離は連続的に行うこ
とができる。こうして篩分けされたパルプは次に水及び/又はギ酸で洗浄するこ
とができる。特にギ酸で洗浄するとき、セルロース含有材料から既に溶出した残
留リグニンが洗い流される。この洗い流しは攪拌器でパルプを叩解することによ
ってなお促進することができる。
パルプをギ酸で洗浄した場合、このギ酸は蒸解操作からの溶媒と共に簡単な蒸
留によって回収される。回収されたギ酸の割合は通常95重量%以上でさえある
。残りのギ酸分はリグニンと共に残渣として残る。
パルプがギ酸で洗浄された場合、このパルプは引き続き水でなお中和洗浄され
、次に選択的にこの洗浄水は、パルプ中になお残留するギ酸分も回収するために
、前記蒸留部に供給することができる。
本発明による前記方法又はその好ましい実施態様でもって、セルロース含有材
料からパルプを製造する方法が明示されたが、この方法は例えば、十分な白色度
(例えばカッパー価<10)の紙を最小のエネルギー支出の1段法で製造するの
に適している。
使用されるセルロース含有材料に応じて、又は例えばパルプから製造すべき紙
の紙質に対する特別の要求条件に応じて、白色度を一層高める必要が生じること
がある。これも、本発明による方法の特に好ましい1実施態様によれば、本発明
による方法の反復をこの場合予定することができるので、最小のエネルギー支出
及び同時に最小の装置支出で可能となる。蒸煮温度が低下する。この場合溶媒と
して水性ギ酸が役立ち、先に既に述べたようにこれに過酸化水素が添加される。
低下した蒸煮温度は約70〜80℃とすることができる。蒸煮温度は好ましくは
70℃である。というのもこの温度のとき最適な過ギ酸が存在するからである。
同時に、一層高い白色度を達成するために蒸煮時間は5時間まで延長することが
できる。しかしこの場合蒸煮時間は好ましくは約3時間である。なぜならば、こ
の時間後にはパルプの顕著な清澄化がもはや現れないことが確認されたからであ
る。液体・材料比を25:1以上に高めることも有利であることが判明した。
セルロース含有材料として、例えば、ツルカメソウ(Miscanthus[ススキ・カリ
ヤス])及び/又はトウモロコシの葉又は茎を使用することができる。両方の材料
、特にツルカメソウは、きわめて良好に蒸解することができる。溶媒への過酸化
水素の添加を省くことさえできる。例えば99%ギ酸を使用し、蒸煮時間1時間
で4.7のカッパー価が達成された。
しかし本発明による方法の特別の利点として、セルロース含有材料として基本
的に1年性植物、特に穀物の藁を使用することができる。このことは特に製紙に
とって重要である。というのも従来はこのためにセルロース含有材料として専ら
木材が使用されるからである。世界中で年間2億トンを超える紙が消費される。
需要は更に上昇中である。しかしセルロース含有材料の需要を充足するために広
い面積の森林を伐採すると、気候変化、動植物界の生活圏の破壊、等の重大な環
境問題が派生する。そもそも再植林が営まれるとしても、そこでは大抵の場合、
迅速に成長する単一栽培が営まれるだけであり、これ自身も有害生物にきわめて
弱く、生態学的に有意義ではない。更に、発展途上国やいわゆる”第三世界”の
諸国でもさまざまな目的のために紙の需要増加を確認することができる。従来一
般的な製造には大抵の場合セルロース含有材料としての木材が不足している。こ
の点でまさに穀物の藁は経費の点及び生態学的観点から有意義な代用物として利
用することができる。しかも藁はしばしばやっかいな廃棄物と見做され、耕地で
焼かれて環境を損なう。ドイツ国内だけでも収穫物ごとに藁の総発生量は合計約
5千万トンであるので、セルロース含有材料の大きな潜在的可能性がある。この
ことは、知られているように巨大な穀物畑のあるアメリカ合衆国やカナダ等の諸
国になお一層妥当する。しかし発展途上国やいわゆる”第三世界”の諸国にとっ
ても、単純な1年性植物の栽培は厳しい気候条件のもとで困難な土壌を利用する
可能性となり得る。要望の多い穀物種の栽培が天候又は土壌の状況に基づいても
はや不可能である所では、単純な1年性植物によって耕作に移行し、こうして、
やはり製紙に役立つパルプを製造するためのセルロース含有材料を用意すること
が可能となる。
穀物の藁を使用する場合、本発明による方法の好ましい1実施態様を適用し、
予め厳密に定められた量の過酸化水素を一定した配量で蒸解溶液に連続的に添加
するのが有意義であることが実証された。この方法によって、こうして得られた
パルプから製造された紙の十分な白色度を保証することが可能となる。しかし、
蒸煮温度を低下させ、場合によっては蒸煮時間を長くして、特別好ましい実施態
様による方法を繰り返すことも、選択的に勿論可能である。
しかし本発明による方法は広葉樹又は針葉樹等の従来一般的なセルロース含有
材料にも適用可能である。知られているように、これらの材料では、一般に、パ
ルプから製造した紙の十分な白色度を用意することが一層困難である。この場合
、特別好ましい実施態様に従って措置し、蒸煮温度を低下させ、選択的に蒸煮時
間を延長して、本発明による方法を繰り返すことが考えられる。
本発明の他の視点は、本発明による方法によってパルプから溶出したリグニン
に関係する。リグニンは、溶媒として使用するギ酸を簡単な蒸留によって蒸留残
渣からリサイクル後に水中に沈殿させることによって製出される。水に溶けない
リグニンのこの沈殿によって、同時に、残渣中にも存在し水に溶けた糖からリグ
ニンが分離される。
本発明は、本発明による方法によって得られ、選択的にその好ましい実施態様
又は特別好ましい実施態様によって得られるセルロース含有材料からなるパルプ
にも関係する。
本発明は、こうして得られるパルプを例えば製紙産業用の化学パルプ製造に、
又は板紙製造に、使用することにも関係する。本発明による方法に従って製造さ
れたパルプは、勿論、製品用原料として化学パルプが必要とされる所ではどこで
も利用可能、使用可能である。例えば再生され又は化学的に改質されたセルロー
スからなる化学セルロース又はその他の製品も、本発明によるパルプから製造す
ることができる。
本発明は、本発明による方法に従って得られるリグニンにも関係する。このリ
グニンは、公知のパルプ製造方法の場合大抵含まれているような硫黄分又は塩素
分を含んでいないので、懸念なく継続加工することができる。単離されたリグニ
ンは、過剰のシュウ酸で分解され、溶解されるか又は飽和ギ酸溶液中で蒸煮され
、引き続きセルロース繊維と共に蒸発濃縮されるとき、例えば建材として、特に
圧搾板紙用原料、中密度繊維板として、又は充填材として使用することができる
。その際、水密黒褐色物が生じる。
しかしリグニンの利用可能性はなおはるかに多面的である。リグニンはバニリ
ン又はグリューワイン香料等の芳香族物質を製造するための原料として利用する
ことができる。
実施例に基づいて、以下、本発明を詳しく説明する。
1.ツルカメソウからのパルプの製造
ツルカメソウが25:1の液体・材料比で90%ギ酸と混合され、溶媒の沸点
に至るまで還流冷却下に加熱された。実験室規模で、温度計(Schliffthermomet
er)及びジムロート還流冷却器と組合せて丸底フラスコを反応容器として使用す
ることができる。加熱のために加熱パッド又は熱板が使用される。90分の蒸煮
時間後、蒸解容器の冷却が許され、簡単な篩分けによってパルプが蒸解溶液から
分離され、引き続き水で洗浄された。このパルプはいまや紙へと継続加工するこ
とができる。
この方法の1変更態様では、得られたパルプは篩分け後に、別の新鮮なギ酸を
60〜80重量%の濃度範囲で添加しながら水性ギ酸で洗浄され、こうして残り
のリグニンが洗い流された。次にこの反応容器にパドル攪拌器を挿入して約1分
間攪拌した。この攪拌叩解によってセルロース複合体の解繊が生じ、リグニンの
洗い流しが容易となる。ギ酸の分離後、このギ酸は前記蒸解反応のギ酸と共に簡
単な蒸留によって分留される。実験室規模で300mm塔を有するリービッヒ蒸
留装置が使用される。使用されたギ酸は殆ど回収される。残渣中に溶けたリグニ
ンは水中に容易に沈殿させて継続加工することができる。溶けた炭水化物は蒸発
濃縮によって製出することができる。パルプは水で中和洗浄して風乾される。1
5のカッパー価と45%の収率が達成された。
2.トウモロコシの葉からのパルプの製造
1.に述べられたように処理され、但し99%ギ酸が使用され、蒸煮時間は6
0分であった。得られたパルプの分析から、28%の収率でカッパー価は4.7
であった。
3.藁からのパルプの製造
穀物の藁とギ酸と水が以下に記された重量%の割合及びやはりそこに記された
液体・藁比に合わせて反応容器に移される。実験室規模でこの反応容器は、やは
り、温度計及びジムロート還流冷却器と組合せた丸底フラスコである。引き続き
反応混合物は還流冷却下に僅かに暖められ、次に下記濃度の過酸化水素がゆっく
りと連続的に添加される。反応は発熱しながら経過し、ここで加熱パッド又は熱
板を介して行われるような外部エネルギーの供給はまず少なくとも減少させ、次
に完全に省くことができる。蒸解時間も下に記されている。蒸煮時間が終了し、
反応容器が冷えたなら、パルプは簡単な篩分けによって蒸解溶液から分離して、
残留リグニンを洗い流すために濃度60〜80重量%の別の新鮮なギ酸と混合さ
れる。引き続きパドル攪拌器が反応容器に入れられ、約1分間攪拌される。これ
によりセルロース複合体の解繊が生じ、リグニンの洗い流しが容易となる。ギ酸
の分離後、このギ酸は蒸解のギ酸と共に簡単な蒸留によって回収される。このた
めに実験室規模でやはりリービッヒ蒸留装置と300mm塔が使用された。使用
されたギ酸は殆ど回収することができる。一般に95%以上。リグニンと糖又は
残留炭水化物とからなる残渣が残る。この残渣は、更に、残留水分として回収さ
れなかった溶媒を含んでいる。不溶リグニンは水中に沈殿させることによって溶
性糖から分離され、継続加工することができる。パルプは水で中和洗浄して風乾
される。
実験では30、45、60、90、120分の蒸解時間が選択された。これら
の蒸解時間が50、60、75、80、85、90、95、100%のギ酸濃度
と組合せられた。過酸化水素の添加量は1%〜2%間で変化させた。1%を超え
る添加はさしたる利点をもたらさず、なお一層激しい発熱反応によって蒸解の制
御を困難にするだけであることが見い出された。蒸解温度は常に溶媒の沸点に保
たれた。
以下に2つの実験が例示される。液体・藁比が液比と称される。図示された実
験パラメータが最適な製造経過を示す。但し実験3.a)の最適化は、最大のリ
グニン除去が達成されるだけでなく、リグニンそのものがなおできるだけ大量に
製出されるように実行された。つまり、最適リグニン除去は水溶性に至るまでの
高いリグニン分解も伴うことが判明した。つまり、極力分解又は変化しなかった
リグニンが極力リグニンのないパルプと並んで製出されるように、最適化は実行
された。
実験パラメータ3.a)
液比: 25:1
ギ酸濃度: 80%
水の濃度: 20%
蒸解時間: 2h
パルプ収率: 56%
リグニン収率: 21%
これらの数値及びその他すべての数値は、別段記載されていない限り、重量%
に関係している。リグニン収率に関するパーセント値は水不溶性残渣の総質量に
関係している。
実験パラメータ3.b)
液比: 25:1
ギ酸濃度: 75%
過酸化水素濃度: 1%
水の濃度: 24%
蒸解時間: 30分
パルプ収率: 56%
リグニン収率: 38%
付言するなら、極力分解しなかったリグニンの製出を主眼とする場合蒸解時に
過酸化水素の使用はまったく止めるべきであろう。
4.藁からのパルプ製造の変更態様
製造されたパルプ若しくはそれから製造された紙の品質に対する特別の要求条
件は、白色度を一層高めることを必要とすることがある。その場合、3.に挙げ
た蒸解操作を繰り返すことができる。3.に挙げた濃度に等価な濃度を実質的に
選択するのが最良である。
まず、3.に記されたように藁が処理される。蒸煮時間の終了後、攪拌器が挿
入され、得られたパルプが約1分間叩解かれる。その後、蒸解溶液がパルプから
分離され、乾燥させることなく継続処理される。
反復工程によるパルプ製造実験のパラメータを以下に記載する。4.b)が反
復工程である。
実験パラメータ:蒸解反応4.a) 反復4.b)
液比: 1:25 >1:25
ギ酸濃度: 60% 60%
水の濃度: 39% 39%
過酸化水素濃度: 1% 1%
蒸煮温度: 約106℃ 70〜80℃
蒸煮時間: 30分 3h
両工程の経過後、収率は、
パルプ: 25%
リグニン: 20.2%
5.針葉樹からのパルプの製造
知られているように、針葉樹のパルプから製造した紙は製紙産業の要求条件に
とってしばしば不十分な白色度を示す。4.に記された方法でもって、特に4.
b)に記された蒸解操作を繰り返して、十分な白色度を有するパルプを製造する
ことが可能となった。実験パラメータを以下に記す。
5a) 5b)
液比: 1:25 >1:25
ギ酸濃度: 85% 85%
水の濃度: 13% 13%
蒸煮温度: 約106℃ 70〜80℃
蒸煮時間: 4h 4h
6.1.、3.又は4.によるパルプ製造の変更態様
上記パルプ製造の可能性は、蒸解を補足して空気、酸素、オゾン等の気体を使
用し、蒸解時にその酸化力を利用することによって、なお改良することができる
。2種類以上の前記気体の混合物も使用可能である。
前記蒸解操作又はその変更態様はこの場合、幅広ノズルによって適宜な種類の
気体を、又は混合気体も、付加的に下から反応容器に導入することによって行わ
れる。これは連続的に又は不連続的に行うことができる。引き続き、逃げ出る気
体は再度利用することができ、又は既に公知の適宜な方法によって環境を害さな
い形で廃棄することができる。
7.リグニンの再利用
簡単な蒸留によって蒸解溶液からギ酸を回収した後、リグニンと糖若しくは残
留炭水化物とからなる残渣が残る。不溶リグニンは水中に沈殿させることによっ
て溶性糖から分離される。本発明による方法では有利なことに硫黄分又は塩素分
でリグニンが汚されてはいないので、リグニンは懸念なく継続加工することがで
きる。この継続加工の可能性はきわめて多面的である。
7.a リグニン製出の変更態様
リグニンを水中に沈殿させて製出する際の以上述べたやり方に代えて、蒸解に
よって溶媒中に溶存するリグニンの連続的除去も行うことができる。その際、反
応容器に吸引装置が取付けられ、この吸引装置が蒸解溶液を連続的に吸い出して
隔膜、濾過器、フリット又は類似の分離装置に通す。次にそこでリグニンが蒸解
溶液から分離され析出される。残留蒸解溶液は、蒸解に利用した反応容器に再び
戻される。これにより、リグニン分解に対する競合反応として現れるリグニン凝
縮は抑制することができる。更に、溶存物の割合が低下するので、蒸解溶液の沸
点が下がる。他の利点として蒸解溶液の回収も容易となり、この方法変種によれ
ば既に溶けた材料に対する攻撃を防止することができるので、所要の化学薬品も
節約される。
7.b 建材への継続加工
このためにリグニンは過剰シュウ酸と混合して溶解され、又は他の方法変種に
よって飽和ギ酸溶液中で蒸煮され、引き続きセルロース繊維と共に蒸発濃縮され
る。こうして得られる水密黒褐色配合物は充填材として、又は圧搾板紙又は繊維
板の方式で、利用することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年4月3日
【補正内容】
請求の範囲
1.セルロース含有材料から、引き続きアルカリ処理することなくパルプを製
造する方法であって、この材料が溶媒としてのギ酸と混合されて、外部エネルギ
ー源によって還流冷却下に僅かに暖められ、次に、実質的に外部エネルギーの供
給を他に必要とすることなく、予め厳密に定められた量の過酸化水素が一定した
配量でゆっくりと添加され、材料がほぼ溶媒沸騰温度で還流下に蒸煮されるよう
になった方法。
2.濃度範囲約60〜99重量%の水性ギ酸が溶媒として使用される、請求の
範囲1記載の方法。
3.蒸煮時間が約30〜120分である、請求の範囲1又は2記載の方法。
4.予め定められた過酸化水素量が、セルロース含有材料と溶媒との総重量に
対して約1〜3重量%、好ましくは1〜2重量%、特に好ましくは1重量%であ
る、請求の範囲2又は3記載の方法。
5.液体・材料比が約20:1〜25:1である、請求の範囲1〜4のいずれ
か1項記載の方法。
6.付加的に空気、酸素又はオゾンが溶媒に導入される、請求の範囲1〜5の
いずれか1項記載の方法。
7.蒸煮時間の終了後にパルプが溶媒から分離される、請求の範囲1〜6のい
ずれか1項記載の方法。
8.パルプの分離が篩分けによって行われる、請求の範囲7記載の方法。
9.得られたパルプが水及び/又はギ酸で洗浄される、請求の範囲7又は8記
載の方法。
10.ギ酸がリサイクルによって少なくとも一部、好ましくは95重量%以上
、回収され、このリサイクルが簡単な蒸留によって行われる、請求の範囲7〜9
のいずれか1項記載の方法。
11.方法が繰り返され、蒸煮温度が下げられる、請求の範囲1〜9のいずれ
か1項記載の方法。
12.下げられた蒸煮温度が約70〜80℃、好ましくは70℃である、請求
の範囲11記載の方法。
13.蒸煮時間が延長され、約1〜5時間、好ましくは3時間である、請求の
範囲11又は12記載の方法。
14.液体・材料比が25:1以上に高められる、請求の範囲11〜13のい
ずれか1項記載の方法。
15.ツルカメソウ及び/又はトウモロコシの葉又は茎がセルロース含有材料
として使用される、請求の範囲1記載の方法。
16.1年性植物、特に穀物の藁がセルロース含有材料として使用される、請
求の範囲1〜14のいずれか1項記載の方法。
17.広葉樹又は針葉樹がセルロース含有材料として使用される、請求の範囲
1〜14のいずれか1項記載の方法。
18.蒸留残渣がリグニンを含み、このリグニンが水中に沈殿させることによ
って単離される、請求の範囲10記載の方法。
19.請求の範囲1〜17のいずれか1項に記載された方法によって得られる
、セルロース含有材料からなるパルプ。
20.化学パルプを製造することへの、請求の範囲19に記載されたパルプの
使用。
21.紙又は板紙を製造することへの、請求の範囲19に記載されたパルプの
使用又は請求の範囲20に記載された使用。
22.請求の範囲1〜18のいずれか1項に記載された方法によって得られる
リグニン。
23.建材、特に圧搾板紙又は中密度繊維板用の原料としての、請求の範囲2
2に記載されたリグニンの使用。
24.充填材としての、請求の範囲22又は23に記載されたリグニンの使用
。
25.芳香族物質を製造するための原料としての、請求の範囲22に記載され
たリグニンの使用。
26.グリューワイン香料又はバニリンを製造するための原料としての、請求
の範囲25に記載された使用。
【手続補正書】
【提出日】1998年1月12日
【補正内容】
請求の範囲
1.セルロース含有材料からパルプを製造する方法であって、この材料が溶媒
としてのギ酸と混合されて、外部エネルギー源によって還流冷却下に僅かに暖め
られ、次に、実質的に外部エネルギーの供給を他に必要とすることなく、予め厳
密に定められた量の過酸化水素が一定した配量でゆっくりと添加され、材料がほ
ぼ溶媒沸騰温度で還流下に蒸煮されるようになった方法。
2.濃度範囲約60〜99重量%の水性ギ酸が溶媒として使用される、請求の
範囲1記載の方法。
3.蒸煮時間が約30〜120分である、請求の範囲1又は2記載の方法。
4.予め定められた過酸化水素量が、セルロース含有材料と溶媒との総重量に
対して約1〜3重量%、好ましくは1〜2重量%、特に好ましくは1重量%であ
る、請求の範囲2又は3記載の方法。
5.液体・材料比が約20:1〜25:1である、請求の範囲1〜4のいずれ
か1項記載の方法。
6.付加的に空気、酸素又はオゾンが溶媒に導入される、請求の範囲1〜5の
いずれか1項記載の方法。
7.蒸煮時間の終了後にパルプが溶媒から分離される、請求の範囲1〜6のい
ずれか1項記載の方法。
8.パルプの分離が篩分けによって行われる、請求の範囲7記載の方法。
9.得られたパルプが水及び/又はギ酸で洗浄される、請求の範囲7又は8記
載の方法。
10.ギ酸がリサイクルによって少なくとも一部、好ましくは95重量%以上
、回収され、このリサイクルが簡単な蒸留によって行われる、請求の範囲7〜9
のいずれか1項記載の方法。
11.方法が繰り返され、蒸煮温度が下げられる、請求の範囲1〜9のいずれ
か1項記載の方法。
12.下げられた蒸煮温度が約70〜80℃、好ましくは70℃である、請求
の範囲11記載の方法。
13.蒸煮時間が延長され、約1〜5時間、好ましくは3時間である、請求の
範囲11又は12記載の方法。
14.液体・材料比が25:1以上に高められる、請求の範囲11〜13のい
ずれか1項記載の方法。
15.ツルカメソウ及び/又はトウモロコシの葉又は茎がセルロース含有材料
として使用される、請求の範囲1記載の方法。
16.1年性植物、特に穀物の藁がセルロース含有材料として使用される、請
求の範囲1〜14のいずれか1項記載の方法。
17.広葉樹又は針葉樹がセルロース含有材料として使用される、請求の範囲
1〜14のいずれか1項記載の方法。
18.蒸留残渣がリグニンを含み、このリグニンが水中に沈殿させることによ
って単離される、請求の範囲10記載の方法。
19.請求の範囲1〜18のいずれか1項に記載された方法によって得られる
リグニン。
20.建材、特に圧搾板紙又は中密度繊維板用の原料としての、請求の範囲1
9に記載されたリグニンの使用。
21.充填材としての、請求の範囲19又は20に記載されたリグニンの使用
。
22.芳香族物質を製造するための原料としての、請求の範囲19に記載され
たリグニンの使用。
23.グリューワイン香料又はバニリンを製造するための原料としての、請求
の範囲22に記載された使用。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.セルロース含有材料からパルプを製造する方法であって、この材料が溶媒 としてのギ酸と混合されて、ほぼ溶媒沸騰温度で還流冷却下に蒸煮されるように なった方法。 2.材料が溶媒と混合されて、外部エネルギー源によって還流冷却下に僅かに 暖められ、次に、実質的に外部エネルギーの供給を他に必要とすることなく、予 め厳密に定められた量の過酸化水素が一定した配量でゆっくりと添加される、請 求の範囲1記載の方法。 3.濃度範囲約60〜99重量%の水性ギ酸が溶媒として使用される、請求の 範囲1又は2記載の方法。 4.蒸煮時間が約30〜120分である、請求の範囲1〜3のいずれか1項記 載の方法。 5.予め定められた過酸化水素量が、セルロース含有材料と溶媒との総重量に 対して約1〜3重量%、好ましくは1〜2重量%、特に好ましくは1重量%であ る、請求の範囲2〜4のいずれか1項記載の方法。 6.液体・材料比が約20:1〜25:1である、請求の範囲1〜5のいずれ か1項記載の方法。 7.付加的に空気、酸素又はオゾンが溶媒に導入される、請求の範囲1〜6の いずれか1項記載の方法。 8.蒸煮時間の終了後にパルプが溶媒から分離される、請求の範囲1〜7のい ずれか1項記載の方法。 9.パルプの分離が篩分けによって行われる、請求の範囲8記載の方法。 10.得られたパルプが水及び/又はギ酸で洗浄される、請求の範囲8又は9 記載の方法。 11.ギ酸がリサイクルによって少なくとも一部、好ましくは95重量%以上 、回収され、このリサイクルが簡単な蒸留によって行われる、請求の範囲8〜1 0のいずれか1項記載の方法。 12.方法が繰り返され、蒸煮温度が下げられる、請求の範囲2〜10のいず れか1項記載の方法。 13.下げられた蒸煮温度が約70〜80℃、好ましくは70℃である、請求 の範囲12記載の方法。 14.蒸煮時間が延長され、約1〜5時間、好ましくは3時間である、請求の 範囲12又は13記載の方法。 15.液体・材料比が25:1以上に高められる、請求の範囲12〜14のい ずれか1項記載の方法。 16.ツルカメソウ及び/又はトウモロコシの葉又は茎がセルロース含有材料 として使用される、請求の範囲1記載の方法。 17.1年性植物、特に穀物の藁がセルロース含有材料として使用される、請 求の範囲2〜15のいずれか1項記載の方法。 18.広葉樹又は針葉樹がセルロース含有材料として使用される、請求の範囲 2〜15のいずれか1項記載の方法。 19.蒸留残渣がリグニンを含み、このリグニンが水中に沈殿させることによ って単離される、請求の範囲11記載の方法。 20.請求の範囲1〜18のいずれか1項に記載された方法によって得られる 、セルロース含有材料からなるパルプ。 21.化学パルプを製造することへの、請求の範囲20に記載されたパルプの 使用。 22.紙又は板紙を製造することへの、請求の範囲20に記載されたパルプの 使用又は請求の範囲21に記載された使用。 23.請求の範囲1〜19のいずれか1項に記載された方法によって得られる リグニン。 24.建材、特に圧搾板紙又は中密度繊維板用の原料としての、請求の範囲2 3に記載されたリグニンの使用。 25.充填材としての、請求の範囲23又は24に記載されたリグニンの使用 。 26.芳香族物質を製造するための原料としての、請求の範囲23に記載され たリグニンの使用。 27.グリューワイン香料又はバニリンを製造するための原料としての、請求 の範囲26に記載された使用。
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