【発明の詳細な説明】
新規な親油性保護基を有するナイトロジェンマスタードプロドラッグ及び
その製造方法
本発明は、プロドラッグ及び癌などの疾患の治療におけるその使用に関する。
プロドラッグの使用は、癌治療において臨床的に非常に価値ある概念となって
いる。なぜなら、特に、腫瘍関連抗原と結合するモノクロナール抗体に結合可能
な酵素の影響下でプロドラッグが抗腫瘍薬に転化される場合、こうしたプロドラ
ッグをこうした酵素モノクロナール/抗体コンジュゲートと組み合わせると非常
に強力な臨床薬となるからである。癌治療に対するこのアプローチは、しばしば
「抗体誘導酵素/プロドラッグ療法(antibody directed enzyme/prodrug therap
y)」(ADEPT)と呼ばれ、WO88/07378に開示されている。
最近になって、類似のアプローチ(「GDEPT」、遺伝子誘導酵素プロドラッグ
療法(Gene-Directed Enzyme Prodrug Therapy))が提案された。このアプローチ
においては、抗体/酵素コンジュゲートの代わりに、プロドラッグを活性化でき
る酵素をコードする遺伝子を持つウイルスベクターを用いて、標的となる腫瘍細
胞を攻撃する。この遺伝子の転写は、腫瘍特異性プロモーター又はエンハンサー
の配列によって制御できる。ウイルスベクターが腫瘍細胞に侵入して酵素を発現
すると、プロドラッグが腫瘍細胞の近傍でのみ活性薬に転化される(Huberら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88,8039)。酵素は特定の細胞位置を標的
としてもよいし、細胞表面で発現させてもよい。
本発明は、WO88/07378に開示されている化合物のような従来技術の化合物より
も親油性が高い保護基を含有する新規なプロドラッグを提供する。従って、本発
明は、式(I):
〔式中、
X及びYは、独立に塩素、臭素、沃素、メシル基CH3SO3、又はトシル基OSO2フェ
ニル(但し、場合によっては、フェニルがC1-4アルキル、ハロゲン、シアノ、又
はニトロから独立に選ばれる1個、2個、3個、4個、又は5個の置換基によって置
換されていてもよい)であり;
nは0から4の整数であり;
各R1基(nが2以上のときは同じであっても異なっていてもよい)は、フッ素、
塩素、臭素、沃素、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ニトロ、C1-4アルキル(
場合により二重結合一つ又は三重結合一つを含む)、C1-4アルコキシ、-CONR7R8
(但し、R7及びR8は以下に規定する通りである)、-NH(C1-4-アルキル)、-N(C1- 4
-アルキル)2、又はC2-5アルカノイルであるか、或いはnが2以上で、かつ2つのR1
基がフェニレン環の隣接位に存在する場合は、2つの隣接するR1基が一緒になっ
て、
a)C4アルキレン(場合により、二重結合一つを有する)、
b)C3アルキレン、又は、
c)-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH2-、若しくは-CH2-CH=CH-(場合により、いずれも1
個、2個、3個、又は4個の置換基によって置換されていてもよく、そのときの置
換基はそれぞれ独立にC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニト
ロ、C2-5アルカノイル、及び-CONR7R8(但し、R7及びR8は以下に規定する通りで
ある)から成る群より選ばれる)、
を表し;
mは0から4の整数であり;
R2(mが2以上のときは同じであっても異なっていてもよい)は、フッ素、塩素
、臭素、沃素、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ニトロ、C1-4アルキル(場合
により二重結合一つ又は三重結合一つを含む)、C1-4アルコキシ、-CONR7R8(但
し、R7及びR8は以下に規定する通りである)、-NH(C1-4-アルキル)、-N(C1-4-ア
ルキル)2、及びC2-5アルカノイルであるか、或いはnが2以上で、かつ2つのR1基
がフェニレン環の隣接位に存在する場合は、2つの隣接するR1基が一緒になって
、
a)C4アルキレン(場合により、二重結合一つを有する)、
b)C3アルキレン、又は、
c)-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH2-、若しくは-CH2-CH=CH-(場合により、いずれも1
個、2個、3個、又は4個の置換基によって置換されていてもよく、そのときの置
換基はそれぞれ独立にC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニト
ロ、C2-5アルカノイル、及び-CONR7R8(但し、R7及びR8は以下に規定する通りで
ある)から成る群より選ばれる)、
を表し;
Z1及びZ2はそれぞれ独立に-O-又は-NH-であり;
R3は水素、t-ブチル、又はアリルであり;
Z3は-V-W基であるが、Vは-CH2-T-であり、Tは-CH2-、-O-、-S-、-(SO)-、又は
-(SO2)-であり(但し、Vが第2原子として硫黄又は酸素を有する場合、Wは-COOH
以外である)、場合により該V基は更に炭素上に1つ又は2つの置換基Q1及び/又
はQ2を有するが、そのときQ1及びQ2はそれぞれ独立にC1-4アルキル若しくはハロ
ゲンを表すか、又はQ1及びQ2が、隣接する炭素原子に結合する場合は、更にQ1及
びQ2が一緒になってC3-C4アルキレン基(場合によりC1-4アルキル及びハロゲン
から成る群より独立に選ばれる1個、2個、3個、又は4個の置換基によって置換さ
れていてもよい)を表してもよく;
Wは、
(1) COOH、
(2) -(C=O)-O-R6
(但し、R6はC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、又はアリール基(以下の
3に規定されている通り)を表す)、
(3) -(C=O)-NR7R8
(但し、R7及びR8はそれぞれ独立に水素、又はC1-6アルキル基、C3-6シクロアル
キル基、アリール基、炭素を介してNに結合したヘテロアリール基、若しくはC7- 9
アラルキル基を表すが、
アリールはフェニルであり、
ヘテロアリールは、窒素及び硫黄から成る群より選ばれる1個から3個のヘテロ
原子を含有する5員環又は6員環であり、
アリール部分自体、ヘテロアリール部分、及びアラルキル基のアリール部分は
、-COOH、-OH、-NH2、-CH2-NH2、-(CH2)1-4-COOH、テトラゾール-5-イル、及び-
SO3Hから成る群より選ばれる1-4個の置換基で炭素が置換されていてもよく、
アルキル部分は、場合によりメチル基を有していてもよい)、
(4) -SO2NHR9
(但し、R9はR7に対して規定した通りであるが、その他に-CF3、-CH2CF3、又は
先に規定したアリールを表してもよい)、
(5) SO3R10
(但し、R10はH、C1-6アルキル、又はC3-6シクロアルキルを表す)、
(6) PO3R10R10
(但し、R10基(同じであっても異なっていてもよい)は先に規定した通りであ
る)、
(7) テトラゾール-5-イル基、
(8) -CONH-SO2R11
(但し、R11は、
(a) C3-7シクロアルキル、
(b) C1-6アルキル(場合により以下に規定されるアリール、C1-4アルキル、CF3
、又はハロゲンから成る群から選ばれる置換基によって置換されていてもよい)
、
(c) ペルフルオロ-C1-6アルキル
(但し、アリールはフェニル又は1-5個の置換基を有するフェニルであるが、こ
れらの置換基は、ハロゲン、-NO2、-CF3、C1-4アルキル、C1-4アコキシ、-NH2、
-NHCOCH3、-CONH2、-OCH2COOH、-NH(C1-4-アルキル)、-N(C1-4-アルキル)2、-NH
COOC1-4-アルキル、-OH、-COOH、-CN、及び-COOC1-4アルキルから成る群より選
ばれる)、
を表す)、及び、
(9) -M-Het
(但し、MはS、SO、又はSO2を表し、Hetは芳香環の炭素原子を介してMと結合す
る5員又は6員ヘテロ環式芳香環を表すが、該芳香環はO、N、及びSから成る群よ
り選ばれる1個、2個、3個、又は4個のヘテロ原子を含有し、場合により該芳香環
の炭素原子が、-OH、-SH、-CN、-CF3、NH2、及びハロゲンから成る群より選ばれ
る1個、2個、3個、又は4個の置換基によって置換されていてもよい)、
を表す〕
で表される化合物、及び式(I)で表される化合物の生理学的に許容しうる誘導体
を提供する。
これらのプロドラッグは、例えばWO88/07378又はWO94/02450に開示されている
CPG2などのカルボキシペプチターゼ酵素によって腫瘍部位において活性化可能で
ある。従来技術において提示されているGDEPT系によって、カルボキシペプチタ
ーゼ酵素を腫瘍部位まで送達してもよい。カルボキシペプチターゼ酵素は、式(I
)で表される化合物からグルタミン酸部分又はグルタミン酸誘導体部分(L型配置
が優位である)を除去することができる。いずれか一つの特定理論によって拘束
されるものではないが、こうした化合物からグルタミン酸部分が除去されると、
不安定な中間化合物が生成し、この化合物が自己開裂を起こすことにより4-アミ
ノ又は4-ヒドロキシ-ベンジル系(Z1基及びZ2基の間に位置する)が除去され、
その結果、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤が放出されるものと考えられ
る。
CPG酵素は、Sigma Chemical Company,Fancy Road,Poole,Dorset,U.K.から
入手可能である。CPG酵素は次の文献に記載されている:Goldman,P.and Levy
,C.C.,PNAS USA,58: 1299-1306(1967)及び Levy,C.C.and Goldman P.,J.
Biol.Chem.,242: 2933-2938(1967)。カルボキシペプチターゼG3酵素は、Yasud
a,N.et al.,Biosci.Biotech.Biochem.,56: 1536-1540(1992)に記載されて
いる。また、カルボキシペプチターゼG2酵素は、欧州特許第121 352号に記載さ
れている。
Pseudomonas RS-16から得られるCPG2の大量精製については、Sherwood et al.
,(1985),Eur.J.Biochem.,148,447-453に記載がある。
CPG2はまた、組換技術によって得ることもできる。CPG2のヌクレオチドコード
配列は、Minton,N.P.et.al.,Gene,31(1984),31-38に公表されている。コ
ード配列の発現は、E.coli(Chambers,S.P.et.al.,Appl.Microbiol.Biote
chnol.(1988),29,572-578)及びSaccharomyces cerevisiae(Clarke,L.E.e
t al.,J.Gen Microbiol.(1985)131,897-904)に報告されている。全遺伝子
合成については、M.EdwardsがAm.Biotech.Lab(1987),5,38-44に報告してい
る。
本発明は更に、式(II):
〔式中、X、Y、R1、n、Z1、R2、及びmは、式(I)で表される化合物に対して規定
した通りである〕
で表されるナイトロジェンマスタードプロドラッグ及び該化合物の生理学的に許
容しうる誘導体を提供する。
これらのプロドラッグは、例えば、WO93/08288に開示されているように、ニト
ロレダクターゼ酵素によって腫瘍部位において活性化可能である。従来技術にお
いて提示されているGDEPT系によって、ニトロレダクターゼ酵素を腫瘍部位まで
送達してもよい。
式(I)及び式(II)で表される該プロドラッグの生理学的に許容しうる誘導体と
しては、塩、エステル、及びエステルの塩が挙げられる。エステルとしてはカル
ボン酸エステルが挙げられるが、この場合、エステル基の非カルボニル部分は、
直鎖若しくは分枝鎖のC1-6アルキル(メチル、n-プロピル、n-ブチル、若しくは
t-ブチル)、又はC3-6環状アルキル(例えば、シクロヘキシル)から選ばれる。
塩としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属
(例えば、マグネシウム)塩、アンモニウム及びNR4(但し、RはC1-4アルキルで
ある)塩など、適切な塩基から誘導される生理学的に許容しうる塩基の塩が挙げ
られる。他の塩としては、塩酸塩及び酢酸塩などの酸付加塩が挙げられる。
X及びYの好ましい基は、独立にクロロ、ヨード、及びメシルである。
好ましくは、nはゼロであるか、又は1若しくは2であり、R1基(1つ又は複数
)は、独立にフッ素、塩素、臭素、沃素、又はC1=4アルキルである。同様に、m
はゼロであるか、又は1若しくは2であり、R2基(1つ又は複数)は、独立にフッ
素、塩素、臭素、沃素、又はC1-4アルキルであることが好ましい。
R3は好ましくは水素である。
Z3は好ましくは-V-W基である。但し、Vは-CH2CH2-であり、Wは-COOH基、-(C=O
)-OR6(但し、R6は先に規定した通りである)、又は-(C=O)-NR7R8(但し、R7及
びR8は独立に水素又はC1-6アルキルである)である。
式(I)の好ましい化合物は、Z1、Z2、n、及びmが先に規定した通りであり;X及
びYが独立にクロロ、ヨード、又はメシルから選ばれ;各フェニレン基(場合に
よりR1及びR2によって置換されていてもよい)が無置換であるか、又は置換され
る場合は、R1及び/又はR2が独立にフッ素、塩素、臭素、沃素、若しくはC1-4ア
ルキルから選ばれ;R3が水素であり;Z3が-CH2CH2-COOH基である。
式(I)で表される化合物のうち特に好ましいものは、X及びYが独立にヨード又
はクロロを表し;n及びmが共にゼロであり;R3が水素を表し;Z1及びZ2がそれぞ
れ独立に-NH-又は-O-を表し;Z3がCH2CH2COOHを表す化合物である。
式(II)の好ましい化合物は、Z1が-O-又は-NH-であり;X及びYが独立にヨード
及びメシルから選ばれ;各フェニレン基(場合によりR1及びR2によって置換され
ていてもよい)が無置換であるか、又は置換される場合は、R1及び/又はR2が独
立にフッ素、塩素、臭素、沃素、若しくはC1-4アルキルから選ばれ(フッ素が最
も好ましい)、更に、この場合は、n及び/又はmが1又は2である。
式(II)で表される化合物のうち特に好ましいものは、Xがヨードを表し;nがゼ
ロを表し;Z1が-O-又は-NH-を表し;R2が水素又はフッ素を表し;mが1又は2の整
数を表す化合物である。
本発明は更に、医薬品製剤を提供する。こうした製剤は、医薬用として許容し
うる1つ以上の担体又は希釈剤と共に、式(I)又は式(II)の化合物を含有する。
医薬用として許容しうる担体又は希釈剤としては、経口投与又は非経口(例え
ば、筋肉内若しくは静脈内)投与に好適な製剤で使用されているものが挙げられ
る。製剤は、便利なように一回分の剤形にしてもよいし、製薬技術分野で周知の
いかなる方法によって調製してもよい。こうした方法には、活性成分を、1つ以
上の補助成分を構成する担体と結合させる工程が含まれる。一般的には、活性成
分を、液体の担体又は細かく粉砕された固体の担体と均一にしかもしっかりと結
合させることによって、必要な場合には、その次に製品を賦形することによって
製剤を調製する。
例えば、非経口投与に好適な製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び
製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含有してもよい水性及び非水
性無菌注射液;並びに懸濁剤、増粘剤、リポソーム、又はポリペプチドが血液成
分若しくは1つ以上の器官を標的にするように設計された他のミクロ粒子系を含
んでいてもよい水性及び非水性無菌懸濁液が挙げられる。
好適なリポソームとしては、例えば、正に帯電した脂質(N[1-(2,3-ジオレイ
ルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウム(DOTMA))から成るリポソー
ム、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から成るリポソーム、
及び3β[N-(n',N'-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Ch
ol)から成るリポソームが挙げられる。
GDEPTにおいて、プロドラッグの投与は、通常、酵素をコードする遺伝子を含
有するデリバリーシステムの投与に続いて行われる。これには、酵素をコードす
る修飾されたウイルスの投与が含まれる。典型的には、このウイルスを患者に投
与し、次に、感染細胞によるウイルスの取込みを、例えば、標的組織の生検サン
プルを回収及び分析することによってモニターする。
遺伝子療法のための広範なウイルスデリバリーシステムが、当該技術分野で公
知である。例えば、欧州特許公開公報第415 731号には、腫瘍細胞中で活性化可
能なプロモーターが、プロドラッグを細胞毒性物質に転化することのできる酵素
をコードする異種遺伝子に操作可能に結合されることを特徴とする分子キメラが
記載されている。こうした分子キメラを使用して、腫瘍細胞中でカルボキシペプ
チターゼ又はニトロレダクターゼを発現させると、本発明のプロドラッグを活性
化することができる。欧州特許公開公報第415 731号には、ウイルスベクター(
例えば、アデノウイスルベクター又はレトロウイルスベクター)へのこうした分
子キメラの組み込みが記載されている。こうしたウイルスベクターもまた、本発
明において利用することができる。
その他の組換えウイルスベクターデリバリーシステムが、WO91/02805、WO92/1
4829、WO93/10814、WO94/21792、WO95/07994、及びWO95/14091に記載されている
が、引用により本明細書中に含まれるものとする。上述の開示に基づくベクター
デリバリーシステムの生成方法を使用して、ニトロレダクターゼ又はカルボキシ
ペプチターゼをコードするベクターを標的細胞へ送達することができる。
勿論、それぞれの臨床医がそれぞれの患者に対して、GDEPTのための正確な投
与方式を決定する必要があり、このことは、プロドラッグ及びプロドラッグから
放出される細胞毒性物質の正確な特性によって制御されることになるが、かなり
一般的な指導を行うこともできる。このタイプの化学療法では、通常、プロドラ
ッグ及び酵素又は酵素をコードするベクターの両方を非経口投与するが、静脈内
経路による投与がしばしば最も実用的であることが見出される。
GDEPTシステムにおいて、送達されるベクターの量は、酵素の有効細胞内濃度
を得るのに必要な量とするが、こうすることによって、腫瘍部位において十分な
量のプロドラッグが活性化され、治療効果(例えば、腫瘍の大きさの減少)が達
成できる。この必要量の決定は、一連の試行用量を患者に投与し、標的細胞又は
腫瘍の感染又はトランスフェクションの度合いを測定することによって行うこと
ができる。必要なプロドラッグの量は、上述のADEPTシステムにおける量と同程
度か、又はそれよりも多い。例えば、こうしたシステムにおけるプロドラッグの
好適な用量に関して、Bagshawe et al,1991,Antibody,Immunoconjugates and
Radio-Pharmaceuticals I.915-922に記載がある。本発明のプロドラッグは、
こうした用量、例えば、5〜2000mg/m2(例えば、一回の用量あたり(例えば、1
日若しくは2日ごとに、又は1週間ごとに)約200mg/m2)で使用できるが、医師の
判断により、この範囲外の用量で使用してもよい。
本発明はまた、ヒト又は動物の被検者において新生物の制御に使用するための
システムを提供する。このシステムは、該被検者の腫瘍細胞に選択的に感染する
ことのできるベクター又は他のデリバリーシステムを備え、酵素をコードするD
NA配列又はRNA配列を持つ該ベクターは、該酵素の働きによってナイトロジ
ェンマスタード化合物に転化できる式(I)又式(II)のプロドラッグと関連付けら
れている。
本発明は、新生物の治療を必要とするヒト又は動物の被検者における新生物の
治療方法に応用される。この治療方法では、有効量の本発明のプロドラッグ及び
修飾されたウイルスが宿主に投与されるが、該ウイルスは、該プロドラッグを活
性ナイトロジェンマスタード化合物に転化することのできる酵素をコードするD
NA配列又はRNA配列を持つ。
本発明はまた、新生物の治療を必要とするヒト又は動物の被検者における新生
物の他の治療方法にも応用される。この治療方法では、有効量の本発明のプロド
ラッグ及び非ウイルスベクターシステムが宿主に投与されるが、該非ウイルスベ
クターシステムを該被検者の腫瘍細胞中へ選択的に導入することが可能であり、
更に、該ベクターシステムは、該プロドラッグを活性ナイトロジェンマスタード
化合物に転化することのできる酵素をコードするDNA配列又はRNA配列を持
ち、該化合物は、該細胞における該酵素の発現に有効なプロモーターと操作可能
に結合されている。
腫瘍細胞に選択的に感染できるベクターは、当該技術分野で公知である。「選
択的感染」とは、例えば、修飾されたウイルスなどのベクターが主として腫瘍細
胞に感染し、かつ非腫瘍細胞の一部が感染を受けても、プロドラッグの投与によ
る非腫瘍細胞の損傷が許容しうるほど少なく、従って疾患の症状が治療される場
合を意味する。最終的には、これは医師によって決定される。
また、ウイルスによって運ばれる酵素をコードするDNA配列又はRNA配列
は、好適な発現制御シグナルと連動され、その結果、酵素の発現は標的腫瘍細胞
中で起こるものと理解されたい。
上述の方法、例えば、リン酸カルシウム共沈、マイクロインジェクション、リ
ポソーム、直接的DNA取込み、及びレセプター媒介DNA転移などの方法を利
用して、非ウイルスベクターシステムを、腫瘍細胞中に選択的に導入することが
できる(Morgan & French Anderson,Annu.Rev.Biochem.,1993,62;191)。
また、本発明のプロドラッグをin vitro系において試薬として使用し、GDEPT
システムに取込み可能な候補酵素の活性を試験することもできる。
例えば、酵素を含有するベクターを、in vitroで腫瘍細胞に感染又は移入する
ことができる。この酵素は、本発明のプロドラッグを活性薬に転化できるか又は
転化できると考えられる酵素である。この際、プロドラッグを培養物に添加して
、細胞の死滅又は細胞成長の抑制の量を測定する(例えば、生体染色を使用して
生存細胞数を記録するか、又は培養物のサンプルを再度プレーティングして生存
細胞数を計数する)。また、このモデルシステムを使用して、特定のタイプの腫
瘍細胞に対する本発明の化合物の毒性、活性、又は選択性を試験することができ
る。こうしたモデルシルテムで使用するのに好適な腫瘍細胞としては、卵巣癌、
大腸癌、神経膠腫、乳癌、小細胞及び非小細胞肺癌などの癌細胞、及び黒色腫が
含まれる。
本発明は更に、式(I)及び式(II)で表される化合物の製造方法を提供する。従
って、本発明は、式(III)
〔式中、X、Y、R1、及びnは、式(I)に対して規定した通りであり、Z4は-O-又は-
NH-である〕
で表される化合物を、式(IV)
〔式中、R2、m、Z2、Z3、及びR3は先に規定した通りであり、Qは離脱基である〕
で表される化合物と反応させることによって、先に規定した式(I)で表される化
合物を製造する方法を提供する。この反応は、非プロトン性溶媒中、塩基の存在
下で行うことができる。本発明はまた、先に規定した式(III)で表される化合物
を、クロル蟻酸4-ニトロベンジル(場合により、1個から4個の先に規定したR2基
で置換されていてもよい)と反応させることによって、式(II)で表される化合物
を製造する方法を提供する。
本発明は更に、式(IV):
〔式中、R2、m、Z2、R3、及びZ3は、式(I)の化合物に対して先に規定した通りで
あり、Qは離脱基であるが、R2がフッ素、塩素、臭素、沃素、ヒドロキシ、メル
カプト、アミノ、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、
C1-4ハロアルコキシ、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、及びC2-4ハロアルケニ
ルであり、かつ、R3が水素又はC1-6アルキル基であり、かつ、Z3が-CH2CH2COOX1 0
(但し、X10は、水素又はC1-6アルキル基である)の場合は、QがN-スクシンイ
ミジルオキシ基ではない〕
で表される化合物を提供する。これらの化合物は、リンカーとして有用であり、
活性な細胞毒性化合物と結合することにより、該化合物のプロドラッグとなると
ともにその疎水性を増大させることができる。式(IV)で表される化合物は、後述
の方法及び反応を使用するか、又は通常の実験法に変更を加えて、細胞毒性化合
物に含まれる遊離の-OH基又は-NH2基を介してこうした細胞毒性化合物と結合さ
せることができる。
このように保護された細胞毒性化合物は、GDEPT法又はこうした方法を研究す
るために使用されるin vitroアッセイに有用である。図面の簡単な説明
図1は、実施例9に記載した化合物の調製に使用した反応スキームを示す。
図2は、実施例15に記載した化合物の調製に使用した反応スキームを示す。
図3は、実施例1、2、3、及び4に記載した化合物の調製に使用した反応スキー
ムを示す。
化学技術分野でそれ自体公知の反応及び方法を使用して、本発明の化合物を調
製してもよい。次の方法は特に有用であり、所定の実施例を参照して更に説明す
る。こうした参照は、この一般的な反応スキームをこれらの化合物だけに限定す
るものではない。このスキームを、本発明の他の化合物に対して使用してもよい
。A :Z1が-O-である式(I)の化合物:
(i)Z1=-O-かつZ2=-NH-である式(I)の化合物は、式(III)
〔式中、X、Y、R1、及びnは先に規定した通りであり、Z4は-O-である〕
で表されるナイトロジェンマスタードと、式(IV)
〔式中、R2、m、R3、及びZ3は先に規定した通りであり、Z2=-NH-、更にQは離脱
基である〕
で表されるリンカーとの反応によって調製できる。
好ましい離脱基Qとしては、スクシンイミジルオキシ基、4-ニトロフェニルオ
キシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基、及びテトラクロロエチルオキシCH(C
l)CCl3基が挙げられる。反応は、非プロトン性溶媒中、塩基の存在下で、例えば
、THF中、トリエチルアミンの存在下で、又はアセトニトリル中、塩基性樹脂の
存在下で(実施例1)行うことができる。
(ii)式(III)で表される化合物は、4-ニトロフェノール(場合により、R1 (n)基(
先に規定した通り)で置換されていてもよい)を出発原料として調製することが
できる。アダマンタニルオキシカルボニル誘導体として、フェノール基を保護す
る(THF中、室温で、出発原料をフルオロ蟻酸アダマンタニル及びトリエチルア
ミンと反応させる)。蟻酸アンモニウム及びPd/C 10%(触媒として)を用いて、
エタノール中、室温で水素移動させることによって、保護された炭酸4-ニトロフ
ェニルを対応するアミンに還元する。次に、AcOH中、20℃でエチレンオキシドを
用いて、このアミンをヒドロキシエチル化し、更に反応を行って所望のナイトロ
ジェンマスタードにする。好適な条件に関しては、欧州特許公開公報第433 360
号及び欧州特許公開公報第490970号を参照することができる。カラムクロマトグ
ラフィーによって、この化合物を精製することができる。脱保護によるアダマン
チル基の除去は、トリフルオロ酢酸中で行うことができる。
(iii)この他に、式(III)のナイトロジェンマスタードを、非プロトン性溶媒及び
トリエチルアミン中でホスゲン又はトリホスゲンで処理してクロロホルメートと
して活性化し、続いて、式(V):
〔式中、R2、m、Z2、R3、及びZ3は先に規定した通りである〕
で表される化合物とカップリングさせることもできる。これは、THF又は他の非
プロトン性溶媒中、塩基(例えば、トリエチルアミン又はピリジン)の存在下で
行うことができる。
(iv)Z1が-O-である式(I)で表される化合物の更に他の合成ルートとしては、4-ニ
トロフェノール(場合により、R1 (n)基(先に規定した通り)で置換されていて
もよい)を、式(IV)で表される化合物と直接カップリングさせるか、又はこの任
意に置換された4-ニトロフェノール化合物のクロル蟻酸エステルを、Z2が-NH-で
ある式(VI)(後述)で表される化合物と反応させ、その後、いずれの場合も、上
述したように、ニトロ基をアミンを経由してマスタード基に転化するルートが挙
げられる。
(v)Z1=-O-かつZ2=-O-である化合物(I)を得る方法としては、Z4=-O-であるナ
イトロジェンマスタード(III)を出発原料として、これをトリメチルシリル誘導
体に変換する方法が挙げられる。シリル化されたフェノールは、次に、Z2=-O-
である式(V)で表される化合物とカップリングさせる。最初に、非プロトン性溶
媒中、-78℃において、KF、ホスゲン、及びクラウンエーテルを用いて、化合物(
V)をフルオロホルメートとして活性化し(実施例2参照)、その後で、シリル化
フェノールと反応させる。B :Z1が-NH-である式(I)の化合物:
(i)Z1が-NH-である式(I)の化合物は、Z4が-NH-である式(III)の化合物を、非プ
ロトン性溶媒中、塩基の存在下で、式(IV)で表されるリンカーと反応させること
によって調製できる。Z4が-NH-である式(III)の化合物は、1-ハロ-4-ニトロフェ
ニル化合物(場合により、R1 (n)基(先に規定した通り)で置換されていてもよ
い)から調製できる。加熱しながらこれをジエタノールアミンと反応させ、得ら
れた生成物をカラムクロマトグラフィーを用いて精製することによって、対応す
る1-ビス-ヒドロキシエチルアミノ-4-ニトロフェニル化合物に転化する。対応す
る4-ニトロナイトロジェンマスタードは、例えば、ピリジン中で塩化メシルを用
いてメシル化し、更に反応を行って、必要に応じて他のハロマスタード、例えば
、ブロモマスタード又はヨードマスタードに変換することによって調製すること
ができる。20℃において蟻酸アンモニウム及びPd/C 10%(触媒として)を用いて
エタノール中で水素移動を行うとによって、4-ニトロ基を還元することができる
。
(ii)この他に、上記の1-ビス-ヒドロキシエチルアミノ-4-ニトロフェニル化合物
を、20℃においてエタノール中で蟻酸アンモニウム及びPd/C 10%(触媒として)
を用いて還元し、対応するフェニレン−ジアミノ誘導体にすることができる。上
記パラグラフで説明したように(例えば、最初に塩化メシルと反応させることに
よって)、この誘導体を、対応する4-アミノナイトロジェンナスタードに転化す
ることができる。
(iii)この他のルートにおいて、Z4=-NH-であるナイトロジェンマスタード(III)
を、非プロトン性溶媒中でホスゲン又はトリホスゲンで処理してイソシアネート
として活性化し、続いて式V(但し、R2、m、Z2、R3、及びZ3は先に規定した通り
である)で表される化合物とカップリングさせることができる。カップリングは
、非プロトン性溶媒中、触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート)の存在下で
行うことができる(実施例3及び4を参照されたい)。C :式(II)の化合物:
(i)式(II)の化合物は、20℃においてトリエチルアミンの存在下又は不存在下で
、上記のセクションA(ii)に記載のナイトロジェンマスタードフェノール化合物
を、R2 (m)基(先に規定した通り)で任意に置換されたクロル蟻酸4-ニトロベン
ジルとカップリングさせることによって得られる。これを用いて、Z1が-O-であ
る式(II)の化合物を得る。
(ii)この他に、上記のセクションB(ii)に記載のアニリンナイトロジェンマスタ
ードは、上記のセクションC(i)に記載のクロロホルメートと併用できる。これを
用いて、Z1が-NH-である式(II)の化合物を得る。D :Z2が-NH-である式(IV)の化合物:
(i)Z2が-NH-である式(IV)の化合物は、R2 (m)基(先に規定した通り)で任意に置
換された4-ニトロベルジルアルコールから調製できる。ヒドロキシ官能基は、非
プロトン性溶媒中で3,4-2H-ジヒドロピラン及びピリジニウム-p-トルエンスルホ
ネート(PPTS)を用いるか、又はジメチルホルムアミド(DMAT)中でt-ブチル-
ジメチルシリル(TBDMSi)クロリド及びイミダゾールを用いて、それぞれ20℃で
処理することによって、ピラニル−又はTBDMSi-エーテルとして保護する(実施
例5)。こうした得られた中間体を、20℃において蟻酸アンモニウム及びPd/C 10
%(触媒として)を用いてエタノール中で水素移動を行うとによって、対応する
アミンに還元する。このアミンを、式(VI):
〔式中、R2、m、R3、及びZ3は先に規定した通りであり、Z2は-NH-であり、Prは
ピラニル-又はt-ブチル-ジメチルシリル(TBDMSi)-エーテル保護基である〕
で表されるグルタミルエステル中間体に転化する(実施例6)。これは次のよう
に行うことができる。即ち、このアミンを60℃においてトルエン中でトリホスゲ
ン及びトリエチルアミンで処理して対応するイソシアネートに転化し、このイソ
シアネートを式R3O-C(O)-CH(NH2)-Z3(R3及びZは先に規定した通りである)で表
されるグルタメート誘導体とカップリングさせる。この他に、-78℃においてト
ルエン中でトリホスゲン及びトリエチルアミンを用いて処理することによって、
対応するグルタメートから得られる対応するグルタミル−イソシアネートを、ワ
ンポット法でアミンと反応させてもよい(実施例7)。式R3O-C(O)-CH(NH2)-Z3で
表されるグルタメート誘導体は、WO94/02450を参照することによって得ることが
できる。必要な場合、又は望ましい場合には、式(VI)で表される化合物の調製に
続いて、又はこの化合物を反応させて式(I)で表される化合物を調製した後、そ
れ自体公知の通常の化学反応を用いて、Z3基を別のZ3基に転化させてもよい。
(ii)式(VI)で表される化合物の脱保護によるTBDMSi基又はピラニル基の除去は、
弱酸性媒体(AcOH、THF、及びH2O、又はPPTS、EtOH、55℃)で処理することによ
って行う。これにより、Prが水素である式(VI)の化合物が生成する。Qが離脱基
である式(IV)の化合物は、当該技術分野で公知の標準的な反応を用いて調製する
ことができる(実施例8)。
(iii)Qがスクシンイミジル基の場合は、Prが水素である式(VI)の化合物を、アセ
トニトリル中で炭酸ジスクシンイミジル及びトリエチルアミンで処理してもよい
。炭酸4-ニトロフェニル基が望ましい場合は、THF中でクロル蟻酸4-ニトロフェ
ニル及びトリエチルアミンによる処理を行ってもよい(実施例9)。ペンタフル
オロフェノールをin situでホスゲン化し、続いてPrが水素である式(VI)のリン
カーにカップリングさせることによって、炭酸ペンタフルオロフェニルを付加さ
せてもよい。
(iv)Prが水素である式(VI)の化合物は、非プロトン性溶媒中で4-アミノベンジル
アルコールをグルタミル-イソシアネートにカップリングさせることによって直
接得ることができる(実施例10)。E :Z2が-O-である式(IV)の化合物:
(i)カルバミン酸型結合を有するリンカーを得るための出発原料は、無置換又は
(R2 (m)基(先に規定した通り)で)置換された4-ヒドロキシ-ベンジルアルコー
ルである。1,4-脱離を行うために、こうしたタイプのリンカーの芳香核に別の電
子吸引性基が必要となることがある。20℃においてTHF中でアセチル-v-トリアゾ
ロ-[4,5-b]ピリジン及び1N NaOHで出発原料を処理することによって、4-ヒドロ
キシ基をアセテートとして特別に保護する。更に、上記のセクションDに記載の
手順を用いて、アセテートのアルコール官能基をピラニル-又はTBDMSi-エーテル
として保護する。次に、20℃においてNaHCO3水性MeOH中でアセート官能基の脱保
護を行って4-ヒドロキシ基に戻す。得られたフェノール化合物を、上記のセクシ
ョンD(i)に記載したように、保護されたグルタミル-イソシアネートとワンポッ
ト法で反応させる。これにより、Z2が-O-で、かつPrがピラニル-又はt-ブチル-
ジメチルシリル(TBDMSi)-エーテル保護基である上記の式(VI)の化合物が得ら
れる。
(ii)この化合物の脱保護を行うと、Prが水素である式(VI)の化合物が得られる。
上記のセクションD(iii)に記載したものと類似の方法によって、これを式(IV)で
表される化合物に転化することができる。
(iii)他の方法では、4-ヒドロキシ-ベンズアルデヒドを出発原料とし、これを室
温においてBF3.Et2Oの存在下で1,3-プロパン-ジチオールで保護することによっ
て、4[2'-(1',3'-S,S-ジチアニル)]フェノールに転化する。この保護されたフェ
ノールをEt3Nの存在下トルエン中でグルタミルイソシアネートとカップリングさ
せると、ジ-tert-ブチル.O-[4-[2'(1',3'-S,S-ジチアニル)]フェニル]オキシカ
ルボニル-L-グルタメートが得られる。この中間体の脱保護を行って対応するア
ルデヒドを得るには、室温においてTHF中でHg(ClO4)2を用いて処理する。シアノ
水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を用いてアルデヒドを還元すると、Prが
水素で、かつZ2が-O-である式(VI)で表される所望の化合物が得られる(実施例1
1)。
(iv)脱保護されたアルデヒドを得るもう一つの方法では、4-ヒドロキシ-ベンズ
アルデヒドを、グルタミル-イソシアネートと直接カップリングさせる(実施例1
2)。
(v)Z2が-O-で、かつPrが水素である式(VI)の化合物を得るもう一つの経路では、
4-ヒドロキシ-ベンジルアルコールをカリウムフェノラートとして(クラウンエ
ーテルの存在下で、出発物質及びカリウムtert-ブトキシドから得られる)、非
プロトン性溶媒中で対応するグルタミル-イソシアネートと直接カップリングさ
せる(実施例13)。
(vi)Z2が-O-で、かつQが離脱基である式(IV)の化合物は、当該技術分野で公知の
標準的な反応を用いて調製することができる。例えば、Qが炭酸4-ニトロフェニ
ルの場合は、Prが水素である式(VI)の化合物を、THF中でクロル蟻酸4-ニトロフ
ェニル及びトリエチルアミンで処理してもよい(実施例14)。F :式(IV)で表される化合物の他の方法による合成:
その他に、Qが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、又は-O-(N-スクシンイミド)
である式(IV)の化合物は、1995年2月9日に公開されたWO95/03830及び1995年1月2
6日に公開されたWO95/02420を参照して得ることも可能である。引用により、こ
れらの開示内容は本明細書中に含まれるものとする。
以下の実施例により、本発明を具体的に説明する。実施例中の記載されている
化合物の番号は、スキーム1−3に示されたものに準ずる。実施例1 ジアリル,[4'-(N,N-ビス(2-クロロエチル)アミノ)フェニルオキシカルボニル-オ キシ-ベンジル-4-カルバモイル-L-グルタメート](22)
活性化されたリンカー15b(0.20g、0.37ミルモル)及び4-N,N-ビス(2-クロロ
エチル)アミノフェノール21(0.14g、0.60ミルモル)を、10mLのアセトニトリル
に溶解した。次に、0.13gの強塩基性樹脂 Amberlyst 27(OH形)を添加し、反応
混合物をこの樹脂と20時間攪拌した。樹脂を濾別し、更に新しい樹脂0.08gを添
加した。30分間攪拌した後、樹脂の第二添加分を濾別し、溶剤をエバポレートし
た。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン:AcOEt2:
1)で精製して、22(82mg、32%)を得た。
4'-(N,N- ビス(2-クロロエチル)アミノ)フェニルオキシカルボニル-オキシ-ベン ジル-4-カルバモイル-L-グルタミン酸(23)
22の溶液(100mg、0.16ミリモル)へ、PPh3(92mg、0.35ミリモル)及びPd(PF
h3)4(16mg、 0.014ミリモル)をCH2Cl2(8mL)、酢酸(1mL)に溶解した溶液を
添加し、この混合物をアルゴン下で5時間攪拌した。溶剤をエバポレートし、残
渣をポンプ減圧下で2時間保持し、次に、アセトン:AcOEt 1:1に溶解した。ア
セトンをエバポレートし、AcOEt中の沈殿物として23.PPh3を得た。この固体を濾
別し、AcOEtで洗浄し、次に、50mLのCHCl3に溶解して水性クエン酸10%(2×50mL
)で洗浄した。有機層を回収し、H2Oを添加し、CHCl3をエバポレートし、生じた
沈殿を水性溶液から濾別して23(28mg、32%)を得た。
実施例2 4'-[N,N- ビス(2-クロロエチル)アミノ]フェノール-トリメチルシリルエーテル(2 5)
フェノールナイトロジェンマスタード21(60mg、0.26ミリモル)及びMe3SiCN
(40μL、0.3ミリモル)を、室温において溶剤なしで30分間攪拌し、次に10mLの
沸騰しているヘキサンを反応混合物に添加して、残存する固体を濾別した。ヘキ
サンをエバポレートした後、25(70mg、88%)が油として得られた。
ジアリル,[4'-(N,N-ビス(2-クロロエチル)アミノ)フェニルオキシ-カルボニル- オキシ-ベンジル-4-オキシカルボニル-L-グルタメート](26)
-78℃において14b(100mg、0.26ミリモル)をCH2Cl2(5mL)に加えて攪拌した
溶液へ、ホスゲン(トルエンに溶解した20%溶液、150μL、0.3ミリモル)、KF(
200mg、3.45ミリモル)、及び18-クラウン-6エーテル(25μL 0.12ミリモル)を
添加した。-78℃で1時間経過した後、IRスペクトル(νOCOF=1827cm-1)から示
唆されるように、フルオロホルメート24が生成した。シリル化フェノール25(70
mg、0.23ミリモル)をCH2Cl2(3mL)に溶解した溶液を添加し、-78℃において1
時間この溶液を攪拌し、次に濾過して濾液をエバポレートした。分取HPLC(溶離
剤:シクロヘキサン:AcOEt 4:1)で精製した後、26(60mg、41%)を得た。
4'-[N,N- ビス(2-クロロエチル)アミノ]フェニル-オキシ-カルボニル-オキシ-ベ ンジル-4-オキシカルボニル-L-グルタミン酸(27)
26の溶液(40mg、0.063ミリモル)へ、PPh3(63mg、0.24ミリモル)及びPd(PP
h3)4(12mg、0.01ミリモル)をCH2Cl2(3mL)、酢酸(80μL)に溶解した溶液を
添加し、この混合物をアルゴン下で2時間攪拌した。溶剤をエバポレートして残
渣をAcOEt(25mL)に溶解し、水性クエン酸5%(25mL)及びH2O(25mL)で洗浄し
た。有機層をMgSO4で脱水し、溶剤をエバポレートした。分取HPLC(溶離剤CH2Cl2
:EtOH:AcOH 90:5:5)で精製した後、27(8mg、25%)を得た。
実施例3 ジ-t-ブチル,[4'-(N,N-ビス(2-クロロエチル)アミノ)フェニルカルバモイル-オ キシ-ベンジル-4-オキシカルボニル-L-グルタメート](17)
14a(60mg、0.15ミリモル)をトルエン(5mL)に溶解した溶液へ、イソシアネ
ート16(0.60ミリモル)をトルエン(5mL)及びジブチルスズジラウレート(10
μL)に溶解して添加した。反応混合物を、室温で12時間攪拌した。生成した固
体を濾別して、濾液をエバポレートした。カラムクロマトグラフィー(溶離剤:
シクロヘキサン:AcOEt 3:1)で精製を行い、その際に生成物17(90mg、90%)
を油として得た。
4'-[N,N- ビス(2-クロロエチル)アミノ]フェニルカルバモイル-オキシ-ベンジル- 4-オキシカルボニル-L-グルタミン酸(18)
ジ-t-ブチルエステル17(90mg、0.135ミリモル)を蟻酸(10mL)に溶解し、12
℃においてアルゴン下で24時間攪拌した。反応混合物を凍結乾燥し、凍結乾燥し
た物質をCH2Cl2で摩砕し、溶剤を除去し、減圧下で24時間デシケーター中に保存
し、18(65mg、87%)を得た。
実施例4 ジアリル,[4'-(N,N-ビス(2-クロロエチル)アミノ)フェニルカルバモイル-オキシ -ベンジル-4-カルバモイル-L-グルタメート](19)
17を得るのと類似の手順を使用し、トルエン(5mL)に溶解したイソシアネー
ト16(0.54ミリモル)、CH2Cl2(5mL)に溶解した8b(0.10g、0.2ミリモル)、
及びジブチルスズジラウレート(10μL)を出発物質として、19を固体として得
た。更に、ヘキサン:AcOEt 9:2より再結晶させて、19(0.11mg、64%)を得た
。
4'-[N,N- ビス(2-クロロエチル)アミノ]フェニルカルバモイル-オキシ-ベンジル- 4-カルバモイル-L-グルタミン酸(20)
ジアリルエステル19(40mg、0.06ミリモル)をCH2CL2(2mL)に溶解して、Pd(
PPh3)4(4mg)及びピロリジン(15μL、0.15ミリモル)と共に攪拌した。反応混
合物をアルゴン下で45分間保持し、次に、2mLのトルエンで希釈した。沈殿した
酸20のピロリジン塩を、濾過して回収した。遊離の酸は、この沈殿をCH2Cl2/水
性クエン酸10%で抽出することによって得た。有機層をH2O洗浄してエバポレー
トし、残存する水を濾過して遊離の酸(20mg、60%)を得た。
実施例5 (4- ニトロ-ベンジル)t-ブチル-ジ-フェニル-シリルエーテル(2a)
4-ニトロベンジルアルコール(1.00g、6.50ミリモル)及びイミダゾール(0.9
7g、14.10ミリモル)をDMF(10.0mL)に加えて攪拌した溶液へ、室温において窒
素下で10分間にわたってt-ブチル-ジフェニル-クロロシラン(1.98g、1.87mL、7
.20ミリモル)を添加した。反応混合物を更に5時間攪拌し、75mLのEt2Oで希釈し
、H2O(5回、15mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下でエバポレートした。
油が得られたが、放置すると結晶化した;収量:2.54g。EtOH70%より再結晶後、
2.36g(93%)の白色固体を得た。mp 80-81℃。νmax/cm-1(フィルム):2931,
2857(CH2,非対称,対称),1521,1345(NO2)。
4- ニトロ-ベンジル-2'-テトラヒドロピラニルエーテル(2b)
4-ニトロベンジルアルコール(1.53g、10.0ミリモル)をCH2Cl2(50mL)に加
えて攪拌した溶液へ、3,4-ジヒドロピラン(1.36mL、1.26g、15.0ミリモル)及
びピリジニウム-p-トルエンスルホネート(0.25g)を添加した。1.5時間後、反
応混合物を4-5mLまでエバポレートし、AcOEt(25mL)を添加し、この溶液を水(
3×50mL)で洗浄し、次にブラインで洗浄し、脱水し(MgSO4)、減圧下でエバポ
レートした。生成物2b(2.46g、99%)が油として得られた。
実施例6 (4- アミノ-ベンジル)t-ブチル-ジ-フェニル-シリルエーテル(3a)
2a(5.00g、12.80ミリモル)をエタノール(100mL)に加えて攪拌した溶液へ
、20℃においてPd/C 10%(1.50g)及び蟻酸アンモニウム(4.60g)を一度に添加
した。1.5時間後、触媒を濾過して除去し、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAc
:H2Oに分配させた。有機層を脱水し(MgSO4)、濃縮して3aを油として得た;収
量:4.24g(91%)。νmax/cm-1(フィルム):3433,3378(NH2),2931,2857
(CH2、非対称、対称)。
(4- アミノ-ベンジル)-O-2'-テトラヒドロピラニルエーテル(3b)
3aを得るのと類似の方法で、エタノール(150mL)に溶解した2b(8.53g、35.9
ミリモル)、Pd/C 10%(3.50g)、及び蟻酸アンモニウム(12.0g、180.0ミリモ
ル)を用いて行った。処理後に油(6.40g、86%)が得られたが、これをカラムク
ロマトグラフィー(シクロヘキサン:AcOEt 1:1)で精製した。所望の化合物は
、油として最初に溶離した(2.59g、38%)。νmax/cm-1(フィルム):3447,33
60(NH2、対称、非対称),2943,2870(CH2、非対称、対称)。
実施例7 ジ-t-ブチル,(t-ブチル-ジ-フェニル-シリル-O-ベンジル)-4-カルバモイル-L-グ ルタメート(7a) 方法A:
ジ-t-ブチル-グルタメート塩酸塩(0.46g、1.55ミリモル)を7mLのTHFに
溶解した溶液へ、0.31g(0.43mL、3.1ミリモル)のトリエチルアミンを添加して
、懸濁液を調製した。イソシアネート4a(0.60g、1.55ミリモル)を3mLのTHF(
無水)に溶解した溶液を、これに室温で添加した。2時間後、沈殿を濾過し、減
圧下で溶剤を除去し、0.87g(87%)の油を得た。生成物をカラムクロマトグラフ
ィー(AcOEt:シクロヘキサン2:1)で精製し、0.53g(53%)の純粋な7aをmp=8
9-90℃の白色固体として得た。νmax/cm-1(フィルム):3359(NH),2932,28
57(CH2、非対称、対称),1729(C=O、エステル),1670(C=O、尿素),1154
(C-O 伸縮)。
方法B:化合物7aのワンポット合成:ジ-t-ブチル-グルタメート塩酸塩(4.14g、
14.0ミリモル)及びトリホスゲン(1.39g、 4.67ミリモル)をトルエンに溶解し
、-78℃に冷却した溶液へ、3.90mL(2.83g、28ミリモル)のトリエチルアミンを
10mLのトルエンに溶解した溶液を30分にわたり滴下した。この反応液を室温まで
上昇させたが、それに1時間を要した。この混合物へ、(4-アミノ-ベンジル)t-ブ
チル-ジフェニル-シリルエーテル 3a(5.00g、13.8ミリモル)及びトリエチルア
ミン(1.95mL、14.0ミリモル)を含有する溶液を5-10分にわたって添加した。反
応は20時間で完了した。反応混合物を濾過し、H2O(200mL)、HCl溶液1%(200mL
)、Na2CO3溶液1%(200mL)、H2O(二回、200mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、
減圧下でエバポレートして粘稠油を得た。収量:9.90g。(TLC,AcOEt:シクロ
ヘキサン3:1)。生成物を更に精製せずに脱保護で使用した。ジアリル,(2'-テトラヒドロピラニル-O-ベンジル)-4-カルバモイル-L-グルタメ ート(7b)
同様なワンポット法を使用し、ジアリルグルタメート-p-トルエン-スルホネー
ト(1.08g、3.1ミリモル)、トリホスゲン(0.30g、1.03ミリモル)、及びトリ
エチルアミン(0.86mL、0.63g、6.2ミリモル)をトルエン(20mL)に溶解した-7
8℃の溶液を出発物質として、ジアリル-L-グルタミルイソシアネート6bを調製し
た。この反応混合物へ、3b(0.52g、2.5ミリモル)及びトリエチルアミン(0.41
mL)を5mLのトリエンに溶解して添加した。シクロヘキサン:AcOEt 1.5:1を溶
離剤として使用した分取HPLCによって、得られた油(1.17g)を分離した。所望
の化合物は、油として分離された(0.75g、65%)。νmax/cm-1(フィルム):33
62(NH2),2944,2871(CH2、非対称、対称)。
実施例8 ジ-t-ブチル,(4-ヒドロキシベンジル)カルバモイル-L-グルタメート(8a)
フッ化テトラ-ブチルアンモニウムのTHF溶液(1M)20.0mL(2.5当量)を、化
合物7a(5.15g、8.0ミリモル)を100mLのTHFに溶解した溶液に室温で添加した。
反応は3時間で終了した(TLC AcOEt:シクロヘキサン3:1)。反応混合物を減圧
下でエバポレートした。こうして得られた油をAcOEt(50mL)に溶解し、水(3×
100mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、再度、エバポレートした。油(5.08g)が
得られた。脱保護された化合物8aをカラムクロマトグラフィー(AcOEt:シクロ
ヘキサン3:1)で精製したところ、1.88g(58.5%)の油が得られたが、放置する
と結晶化した。60%水性MeOHより再結晶させて、白色固体を得た。Mp:103-104℃
。νmax/cm-1(フィルム):3370(ブロード、NH+OH),2967(CH3),2930,28
57(CH2、非対称、対称),1716(C=O、エステル),1678(C=O、アミド),1153
(C-O、伸縮)。
ジアリル,(4-ヒドロキシベンジル)カルバモイル-L-グルタメート(8b)
24.5mLのAcOH:THF:H2O 4:2:1混合液中で、45℃において3.5時間かけて中間体7
b(0.61g、1.3ミリモル)を加水分解した(TLCによりモニター、溶離剤、AcOEt
:シクロヘキサン1:1)。反応混合物を50mLのH2Oで希釈し、エーテル(2×25mL
)で抽出し、次に、AcOEt(2×30mL)で抽出した。プールされた有機層を水(2
×30mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、乾固させた(2×30mLのトルエンを添加し
た)。分取HPLC(シクロヘキサン:AcOEt 1:2)によって、得られた油(0.52g)
を精製したところ、化合物8b(0.221g、45%)が得られた。νmax/cm-1(フィル
ム):3354(NH2,OHブロード),1737(C=O、エステル),1659(C=O、アミド
)。
実施例9 ジ-t-ブチル,[4(4'ニトロフェニルオキシカルボニル)オキシベンジル]-カルバ モイル-L-グルタメート(9a)
8a(0.20g、0.49ミリモル)を無水THF(10mL)に加えて攪拌した溶液へ、0.11
g(0.5ミリモル)のクロル蟻酸4-ニトロフェニル及びトリエチルアミン(0.1mL
、0.6ミリモル)を室温で添加した。反応は1時間で完了した。生成した沈殿を濾
過し、この溶液を減圧下で濃縮した。AcOEt(10mL)を添加し、溶液をブライン
(2×10mL)で洗浄し、脱水し、再度エバポレートして油(0.28g)を得た。生成
物をカラムクロマトグラフィーで精製し(0.16g、57%)、分取HPLCで再精製した
(0.14g)。νmax/cm-1(フィルム):3349(NH2),2979,2932(CH2、非対称
、対称),1767(C=O、カーボネート),1716(C=O、エステル),1652(C=O、
アミド),1527,1349(NO2)。
ジアリル,[4(4'ニトロフェニルオキシカルボニル)オキシベンジル]-カルバモ イル-L-グルタメート(9b)
8b(0.19g、0.50ミリモル)を出発原料とし、類似の手順で9bを得た。分取HPL
Cで精製した。化合物9bが白色固体として得られた(0.132g、48.6%)。
実施例10 ジアリル,(4-ヒドロキシベンジル)カルバモイル-L-グルタメート(8b)
ジアリル,グルタミルイソシアネート6b[ジアリルグルタメート-p-トルエンス
ルホネート(10.0g、25.0ミリモル)、トリホスゲン(2.46g、8.3ミリモル)、
及びトリエチルアミン(10.5mL、75.0ミリモル、3当量)を100mLのTHFに溶解し
た-78℃の溶液から調製した]の溶液へ、4-アミノベンジルアルコール、28(3.0
g、24.3ミリモル)、及びトリエチルアミン(3.41mL、24.3ミリモル)を20mLの
トリエンに溶解した溶液を、室温において10時間にわたって滴下した。反応は15
分で完了した。反応混合物を濾過し、乾固し、残渣を20mLのAcOEtに溶解し、水
(2×20mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、再度エバポレートした。油が生成した
(10.25g)。得られた生成物の2.7gを、分取HPLCによる精製にかけた。その際に
1.52g(63%)の純粋な8bが得られた。実施例11 ジ-t-ブチル,[4[2'(1'3'-S,S-ジチエニル)フェニル]オキシカルボニル-L-グルタ メート](12)
ジ-t-ブチル-グルタミルイソシアネート6a(ジ-t-ブチル-グルタメート塩酸塩
(1.50g、5.0ミリモル)、トリホスゲン(0.50g、1.66ミリモル)、及びトリエ
チルアミン(1.40mL、28.0ミリモル)を50mLのトルエンに溶解した-78℃の溶液
から調製した)の溶液へ、4[2'(1'3'-S,S-ジチエニルフェノール、11(1.10g、5
.0ミリモル)、及びトリエチルアミン(0.70mL)を添加した。12時間後、生成し
た固体を濾過し、溶液をNaOH 1%(75mL)、水(2×75mL)で洗浄し、脱水し(Mg
SO4)、エバポレートした。白色固体(2.30g、95.8%)が得られた。水性EtOH 50
%より再結晶させて、純粋な12(1.81g、72.7%)を得た。νmax/cm-1(フィルム
):3347(NH2),2977,2945(CH2、非対称、対称),1728(C=O、エステル)
。
ジ-t-ブチル,(4-ベンズアルデヒル)オキシカルボニル-L-グルタメート(13a)
ジチアン12(0.50g、1.0ミリモル)をCHCl3(10mL)及びTHF(5mL)に溶解した
溶液へ、Hg(ClO4)2.3H2O(0.91g、2.0ミリモル)を5mLのTHFに溶解した溶液を滴
下した。5分後、沈殿を濾過し、溶液をH2O(2×25mL)、炭酸ナトリウム(25mL
)、H2O(2×25mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、エバポレートした。化合物13a
(0.33g、81%)が透明な油として得られた。νmax/cm-1(フィルム):3347(NH2
),2979,2934(CH2、非対称、対称),1731(C=O、エステル),1712(C=O、
アルデヒド)。
ジ-t-ブチル,(4-ヒドロキシベンジル)オキシカルボニル-L-グルタメート(14a)
化合物13a(0.150g、0.36ミリモル)をH2O:AcOH:CH3OH(1:1:1)の混合液5.2mL
に溶解した溶液を、室温においてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.027g、0.43
ミリモル)を用いて還元した。1時間後、AcOEt(20mL)を添加し、反応混合物を
エバポレートし、残渣をAcOEt(20mL)に溶解し、溶液をH2O(20mL)、ブライン
(2×20mL)で洗浄し、脱水し、乾固させた。化合物14a(0.127g、86%)が油と
して得られた。最終精製は、分取HPLC(シクロヘキサン:AcOEt 2:1)で行った
。νmax/cm-1(フィルム):3352(NH2,OH,ブロード),2979,2945(CH2、非
対称、対称),1728(C=O、エステル),1712(C=O、アルデヒド)。
実施例12 ジ-t-ブチル,(4-ベンズアルデヒル)オキシカルボニル-L-グルタメート(13a)
ジ-t-ブチル-グルタミルイソシアネート6a[上記のようにジ-t-ブチル-グルタ
メート塩酸塩(0.200g、0.67ミリモル)、トリホスゲン(0.067g、0.22ミリモル
)、及びトリエチルアミン(0.190mL、1.35ミリモル)から調製した]を15mLのC
HCl3に溶解した溶液へ、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.082g、0.67ミリモル
)及びトリエチルアミン(0.190、1.35ミリモル)を10mLのCHCl3に溶解した溶液
を10分間にわたって添加した。反応液を還流下で2時間加熱し、次に、減圧下で
溶剤を除去した。この化合物を分取HPLC(溶離剤:シクロヘキサン:AcOEt6:1
)で精製した。最後に、透明な油が得られた(0.197g、72%)。実施例13 ジアリル,(4-ヒドロキシベンジル)オキシカルボニル-L-グルタメート(14b)
ジアリル-グルタミルイソシアネート6b[先に述べた手順に従って、ジアリル-
グルタメート p-トルエンスルホネート(3.28g、8.20ミリモル)、トリホスゲン
(0.81g、2.73ミリモル)、及びトリエチルアミン(3.44mL、24.6ミリモル)を5
0mLのTHFに溶解した-78℃の溶液から調製した]の透明溶液を、室温で反応混合
物を濾過することによって調製した。4-ヒドロキシベンジルアルコール29(1.00
g、8.10ミリモル)をTHF(無水)(10mL)に溶解し、18-クラウン-6エーテル(0
.20mL)及びカリウムt-ブトキシド(0.16g、1.4ミリモル)を添加した。この混
合物へ、イソシアネート6bの溶液を室温において激しく攪拌しながら滴下した。
AcOH(0.5mL)を添加して、反応を停止させた。反応混合物を濾過し、減圧下で
溶剤を除去した。残渣をAcOEt(20mL)に溶解し、この溶液を水性NaOH 4%(20m
L)、H2O(2×20mL)で洗浄し、脱水し、乾固させた。化合物14b(1.62g、53%)
が生成した。これを分取HPLC(溶離剤:シクロヘキサン:AcOEt 1:1)で精製し
た。最後に、透明な油が得られた(0.80g、26.5%)。
実施例14 ジ-t-ブチル,[4(4'ニトロフェニルオキシカルボニル)オキシベンジル]-オキシカ ルボニル-L-グルタメート(15a)
リンカー14a(1.0g、2.7ミリモル)を、実施例9と同じ手順で活性化させた。
精製後、油を生じた(0.64g、41%)。νmax/cm-1(フィルム):3367(NH2),2
980,2933(CH2、非対称、対称),1767(C=O、カーボネート),1728(C=O、エ
ステル)。
ジアリル,[4(4'ニトロフェニルオキシカルボニル)オキシベンジル]-オキシカル ボニル-L-グルタメート(15b)
14b(0.4g、1.06ミリモル)を出発原料として、同様の手順で15bを得た。精製
後、油が生じた(0.448g、75.5%)。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07F 7/10 C07F 7/10 L
C
7/18 7/18 M
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM
),AL,AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR
,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,
ES,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,K
G,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU
,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,
NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S
I,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US
,UZ,VN
(72)発明者 ニクレスキュードゥバズ,ロン
イギリス国 スーレイ エス エム 2
2 エヌ ジー,サットン,ベルモント,
コッツウォルド ロード 15,ザ ロイヤ
ル マーズデン ホスピタル,ザ インス
ティテュート オブ カンサー リサーチ