JPH1052804A - 木材処理方法、該方法に使用する処理剤および該方法の実施に用いる装置 - Google Patents

木材処理方法、該方法に使用する処理剤および該方法の実施に用いる装置

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JPH1052804A
JPH1052804A JP15596697A JP15596697A JPH1052804A JP H1052804 A JPH1052804 A JP H1052804A JP 15596697 A JP15596697 A JP 15596697A JP 15596697 A JP15596697 A JP 15596697A JP H1052804 A JPH1052804 A JP H1052804A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 木材の割れを防止し安定性および耐久性を与
える。 【解決手段】 メチロール化フェノール単量体を含有し
弱酸性ないしは中性の水溶液から成る木材処理剤。該処
理剤を被処理木材に加圧注入した後、乾燥および加熱す
ることによりメチロール化フェノール単量体が硬化、樹
脂化して細胞壁に浸透した長期間にわたり安定な木材が
得られる。この木材処理の実施には、加圧注入用の注薬
缶、特に残渣排出口を有する注薬缶、およびその付属設
備が恒温室に収容された装置を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材の改質処理の
分野に属し、特に、木材のワレ(割れ)等を防止して安
定性や耐久性を付与するための新しいタイプの木材処理
剤および該処理剤を使用する新規な木材処理システムに
関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】木材は我々の生活に不可欠な
天然資源である。しかしながら、木材を構造材料として
利用する場合の問題の1つは、使用とともに経時的に腐
朽し美感や強度が損なわれるということである。したが
って、「腐朽」をいかに抑制するかということが、木材
を最大限に利用するためのかぎである。
【0003】「腐朽」は木材内に腐朽菌が侵入し、木材
成分を分解することによって起こる。この対策として従
来より実施されてきた一般的な処理方法においては、ま
ず木材を気乾状態まで乾燥させて細胞空隙に存在する水
分を減らして、ある程度のワレが生じている木材の空隙
部分に水溶性あるいは油性の防腐剤を注入している。し
かしながら、このような処理木材を屋外で使用すると、
風雨等で薬剤が溶脱して効力が低下したり、乾燥に伴う
「ワレ」に腐朽菌が侵入したりすることは避けられな
い。さらに、従来より多用されてきたCCA(クロム・
銅・ヒ素)のような処理剤は、安全性および環境保護の
点から使用が規制される方向にあり、新しい処理剤の開
発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、ワレが
発生する前の含水率の高い状態のまま木材に注入され
て、効果的に腐朽を防止し、ワレの発生を抑制すること
ができるような新しい木材処理剤とそれを利用する木材
処理システム(木材処理方法、木材処理装置)を確立す
ることにある。
【0005】本発明は、研究を重ねた結果、従来より用
いられているものとは全く異なる木材処理剤として好適
な新しいタイプの物質を見出すことにより上記の目的を
達成することができた。すなわち、本発明に従えば、先
ず基本発明として、次の一般式(1)で表されるメチロ
ール化フェノール単量体(式中、mは1、2または3で
ある)の1種以上を含有し、弱酸性ないしは中性の水溶
液として使用される木材処理剤が提供される。好ましい
態様として、本発明の木材処理剤は、フッ化ナトリウム
のような防腐性金属塩を含有する。
【0006】
【化2】
【0007】さらに、本発明は上記の木材処理剤を加圧
注入した後、該被処理木材を乾燥および加熱することに
よりメチロール化フェノール単量体を硬化、樹脂化させ
る木材の処理方法を提供する。また、本発明は、別の視
点として、上記のような処理方法によって得られ、硬
化、樹脂化したフェノール系物質が細胞壁に浸透してい
ることを特徴とする改質処理された木材も提供する。
【0008】さらに、本発明に従えば、被処理木材を搬
入し排気後、該被処理木材に木材処理液を加圧注入する
のに用いられる注薬缶であって、被処理木材を搬入する
側である前部が後部に向かって下方傾斜している円筒状
のハウジング、該ハウジングの前部に配備され木屑等の
ゴミを除去するための排出口、および該ハウジングの後
部の最深部に位置するように配備され残渣を除去するた
めの排出口を有し、該残渣排出口の前後に前記円筒状ハ
ウジングの底部周辺に沿って最深部を挟むように両側に
複数の弓状小片から成る残渣分離部材が設けられている
注薬缶が提供される。
【0009】本発明に従えば、さらに、上記の木材の処
理方法の実施に使用される、被処理木材に木材処理液を
加圧注入するための注薬缶およびその付属設備を有する
注薬セクションと、木材処理液が注入された被処理木材
を乾燥および加熱する高温型蒸気式乾燥機を有する乾燥
・加熱セクションとから成り、前記注薬セクションが恒
温室内に収容されている木材処理装置が提供される。好
ましい態様として該木材処理装置においては、乾燥・加
熱セクションにホルムアルデヒド処理手段が取り付けら
れている。また、該木材処理装置における注薬缶として
上記定義した注薬缶が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態および発明の効果】発明の対象 本発明は、特に国産スギの有効利用につながり、これを
用いる心持ち材や小径木等の耐久性向上に効果的であ
る。しかしながら、本発明の対象はこのような特定の樹
種、寸法、大きさ、用途の木材に限定されるものではな
い。例えば、国産または外国産の針葉樹(マツなど)や
広葉樹(ブナなど)のような一般的な樹木の他、パル
プ、合板、ファイバーボード、パーティクルボードのよ
うなセルロース材料ないしは木質素材にも本発明の木材
処理剤、木材処理方法および/または木材処理装置は適
用され得る。したがって、本明細書において用いる「木
材」という語は、そのような材料ないしは素材を含む広
義に解釈すべきものとする。また、本発明の特徴は、ワ
レ(割れ)の生じていない含水率の高い木材をそのまま
処理できることにあるが、ワレの生じている木材も処理
対象として含む。但し、そのようなワレ自体を完全に修
復することは困難であるが、ワレの進行を長期間阻止す
ることは可能である。
【0011】木材処理剤 本発明の木材処理剤は、前記一般式(1)で表されるメ
チロール化フェノール単量体、具体的には以下の化学構
造式で示されるようなモノメチロールフェノール
(A)、ジメチロールフェノール(B)およびトリメチ
ロールフェノール(C)の1種以上から構成される。
【0012】
【化3】
【0013】すなわち、本発明の木材処理剤は、従来よ
り接着剤、塗料等として用いられてきた高分子量のフェ
ノール樹脂または未反応のフェノールもしくはそのオリ
ゴマーを多量に含有するものとは異なり、実質的に低分
子量のメチロール化フェノール単量体のみで構成され
る。本発明の木材処理剤は、このようなメチロール化フ
ェノール単量体を含有する弱酸性ないしは中性(pH
3.0〜7.0)の水溶液(水性溶液)として調製されて使用
され、この際、ホルムアルデヒドは実質的に存在させな
い。メチロール化フェノール単量体は1種のみを使用し
てもよく、また、複数種類のメチロール化フェノール単
量体の混合物として使用することもできる。使用濃度
は、メチロール化フェノール単量体の全量として45重量
%以下、好ましくは10〜20重量%の濃度の水溶液として
調製する。
【0014】以上のように調製された本発明の木材処理
剤は、従来の処理剤(薬剤)を用いる場合とは異なり、
後にも詳述するように、ワレが発生する前の含水率の高
い状態のままで被処理木材に注入することができる。こ
こで、本発明の木材処理剤を構成するメチロール化フェ
ノール単量体は、低分子であるため、木材細胞の微細な
空隙にまで浸透することができ、後に乾燥、加熱される
と、例えば、以下の反応式で表されるように、メチロー
ル基を介して結合し、更に三次元網目状になって硬化し
樹脂化して、木材の細胞壁を膨張した状態に固定する。
【0015】
【化4】
【0016】本発明の木材処理剤を構成するこのような
メチロール化フェノール単量体は、既知の反応を利用し
て合成することができる。例えば、フェノール:ホルム
アルデヒド:NaOH=1:( 1.9〜2.0 ):( 0.2〜
0.5 )のモル比で、30℃において15時間反応させ、次に
1時間かけて70℃まで昇温し70℃で30分間反応させた
後、冷却し、アルカリを除去することによりメチロール
化フェノール単量体混合物を製造し、HPLCにより各
成分の同定を行う。
【0017】メチロール化フェノール単量体の合成条件
により、未反応フェノールやフェノール類の重合体が含
まれていることがあるが、微少量であれば(一般的には
10モル%以下)メチロール化フェノール単量体の機能に
実質的な影響を与えることはない。また、木材処理剤の
調製に際しては、弱酸性ないしは中性としホルムアルデ
ヒドはの存在は、極めて少量であるので、ホルムアルデ
ヒドによる通常のフェノール樹脂の架橋形成反応は殆ど
起こらないと考えてよい。
【0018】好ましい態様として、本発明の木材処理剤
には防腐作用を有する金属塩を含有させる。好適な金属
塩の例は、フッ化ナトリウム(NaF)である。このよ
うな防腐性金属塩を用いると木材の腐朽防止効果が一層
高められ、特に、フッ化ナトリウムは木材に対する浸透
性に優れ、メチロール化フェノール単量体が硬化、樹脂
化すると、該樹脂に被覆された状態で細胞内腔に存在し
て、万一木材に小さなワレが生じた場合にも防菌効果を
発揮することになる。フッ化ナトリウムのような防腐性
金属塩は、一般に、木材処理剤水溶液中で0.001 〜 0.5
重量%の濃度で使用する。以上の記述から理解されるよ
うに本発明の木材処理剤は、従来使用されていたCCA
等の有害物質を含む保存剤と異なり、地球環境への影響
を充分に考慮した安全性の高い薬剤である。
【0019】木材処理方法 本発明によれば、以上のような木材処理剤を使用するこ
とにより、従来の方法とは異なる新しい方法に従って木
材の腐朽防止処理を実施することができる。図1は、本
発明の方法の各工程を示すものであり、以下、この図に
示す工程に従って本発明の木材処理方法の詳細を説明す
る。
【0020】先ず、被処理木材3を注薬缶1内に搬入
するが、本発明の方法においては、ワレの生じていない
含水率の高い状態の木材をそのまま処理することもでき
る。これに対して、従来の方法においては、この工程の
前に被処理木材を充分に乾燥しておく必要があり、通常
は既にワレが生じている木材を注薬缶に搬入していた。 注薬缶内を減圧排気して木材内の空気を除く。一般に
減圧は600 mmHg以上とし、また、木材の外周部および木
口から薬液(木材処理溶液)の浸潤をよくするために減
圧操作は一気に行うことが好ましい。 本発明の木材処理剤溶液2を注薬缶内に充満させる。
【0021】注薬缶内を加圧し、被処理木材の内部に
処理剤溶液を注入する。この加圧操作は、被処理木材の
樹種、形状、寸法等を考慮して、徐々に圧力を上げてゆ
くようにすることが好ましい。 加圧後、木材処理剤溶液を排出する。この際、該溶液
内には木屑、砂、その他のゴミや沈殿物が含まれている
ため、注薬缶の清掃や処理剤溶液の回収が面倒となる
が、本発明に従えば、木材処理装置の項において後述す
るように特殊な注薬缶を用いることによりこのような面
倒が軽減、回避される。 注薬缶から注入処理後の木材を取り出す。本発明に従
えば、後述するように、以上の注薬缶を用いる各工程
を、恒温室内で実施することにより、木材処理剤溶液の
変性を防止することができる。
【0022】過剰な水分を除去するため、木材を乾燥
する。この乾燥工程は、メチロール化フェノール単量体
の硬化樹脂化のムラおよび乾燥初期の割れの発生を防ぐ
ためにゆるやかな乾燥を行うことが重要である。具体的
な乾燥条件は、被処理木材の樹脂、形状、寸法等を考慮
して設定する。一般的には風乾を行った後、乾燥機を用
いて、ほぼ、繊維中和点になるまで乾燥させる。使用可
能な乾燥機としては、蒸気式、除湿式、高周波式、減圧
式、マイクロ波式乾燥機などが上げられるが、特に好ま
しいのは蒸気式乾燥機である。 所定の含水率になった木材を加熱し( 110〜130
℃)、木材内部に浸透している処理剤(メチロール化フ
ェノール単量体)を硬化、樹脂化させる。上記および
の乾燥および硬化(加熱)工程は、一連の操作が可能
な高温型蒸気式乾燥機を用いて実施するのが好ましい。
また、本発明に従えば、木材処理装置に関連して後述す
るように、このような乾燥・加熱工程において発生する
ガス、特にホルムアルデヒドを処理することにより大気
汚染を防止するようになっている。
【0023】処理後の木材の特性 以上の処理によって、硬化、樹脂化したフェノール系物
質が細胞壁に浸透した木材が得られる。図2および図3
は、本発明に従うそのような改質処理された木材の特性
をモデル的に示すためのものである。木材は細長い細胞
が軸方向に束になって構成されている(図2)。各細胞
の細胞壁には微細な空隙(a)があり、この部分への水
分の移動により木材の寸法変化が起こる。
【0024】上記の処理工程により細胞内部
(b)、細胞間層(c)および細胞壁の空隙(a)に溶
液が浸透する。そして、の乾燥工程により細胞内部
(b)の薬剤は大部分が除かれ、細胞壁の空隙(a)に
溶液が残る。このとき細胞壁は膨張した状態である。従
来の薬剤では分子量が大きいため細胞壁の空隙(a)に
入り込むことができず、細胞内部(b)および細胞間層
(c)に浸透するだけであった。
【0025】最終的には、加熱工程により細胞壁内の
メチロール化フェノール単量体が硬化し、細胞壁は膨張
した状態に固定される(図3)。本発明に従う処理木材
は、このようなバルキング効果により寸法変化が抑制さ
れてワレ(割れ)を最小限にとどめるとともに、硬化、
樹脂化したフェノール系物質が細胞壁を被覆するために
腐朽菌による木材成分の分解が防止されるものと解され
る。
【0026】図4は、本発明に従って処理された木材の
表面を拡大して示す顕微鏡写真(SEM、 400倍)であ
り、比較のために未処理木材のSEM写真も示してい
る。図から明らかなように本発明に従う処理木材(a)
は、未処理のもの(b)に比べて明らかに細胞壁が厚く
膨張していることが理解される。
【0027】また、本発明に従う処理木材中に硬化、樹
脂化したフェノール系物質が浸透、存在していること
は、当該処理木材の一部をスライスし、ゼフリー試薬で
リグニン部を除き、その後、72%硫酸でセルロース部お
よびヘミセルロース部を加水分解したものの残存物をI
Rスペクトルで分析することにより確認された。さら
に、塩化鉄を塗布しても青色が認められないことからも
硬化樹脂化していることが確認されている。
【0028】木材処理装置 上述の本発明の木材処理方法は、被処理木材に木材処理
液を加圧注入するための注薬缶およびその付属設備を有
する注薬セクションと、木材処理液が注入された被処理
木材を乾燥および加熱する高温型蒸気式乾燥機を有する
乾燥・加熱セクションとから成り、注薬セクションが恒
温室内に収容されている木材処理装置を用いて実施され
る。
【0029】図5は、このような本発明装置の注薬セク
ションを概示するものである。図に示されるように、本
発明の木材処理装置においては、圧力ゲージ(p)と真
空ゲージ(v)を備える注薬缶(B)、ならびにその付
属設備である作業液タンク(C)、溶解槽(D)、原液
(処理剤溶液)タンク(E)、真空ポンプ(F)、加圧
ポンプ(G)、操作室(H)、輸送ポンプおよび配管
(I)を恒温室(A)内に収容して常に一定の温度(15
±5℃)に維持しながら、木材処理方法の項で前述した
〜の諸工程において、被処理木材の樹種、形状、寸
法等を総合的に判断し、真空度、圧力値、加圧時間など
をコンピューター制御により運転管理する。また、注薬
缶、作業液タンク、溶解槽、原液タンク、各ポンプ、配
管類等はすべて、メチロール化フェノール単量体から成
る処理剤溶液に殆ど影響を与えない金属等(特に好まし
いのはステンレス)で製作したものを用いる。
【0030】メチロール化フェノール単量体から成る本
発明の木材処理剤溶液は温度の影響を受け易い。そこ
で、注薬セクションを上記のように温度管理することに
より処理剤溶液の機能を安定に維持し、得られる処理木
材の品質を確保することができる。従来、木材の処理に
おいては、このような薬剤(処理剤)の温度管理は全く
行われていなかった。
【0031】さらに、メチロール化フェノール単量体を
処理剤として用いる本発明の木材処理装置においては、
乾燥・加熱セクションに、該セクションから発生するガ
ス、特にホルムアルデヒドの処理手段を取り付けること
が好ましい。ホルムアルデヒドの処理手段としては、
1)ホルムアルデヒドを熱分解する燃焼器、2)ホルム
アルデヒドを溶解、吸収する水またはアルカリ水溶液を
含む吸着器、3)活性炭等の吸着剤が好適であり、これ
らを組み合わせて取り付けてもよい。このようにするこ
とにより、大気汚染防止を考慮した木材処理装置が得ら
れる。
【0032】注薬缶 本発明者は、さらに上述の木材処理方法の実施に当た
り、被処理木材を搬入し排気後、該被処理木材に木材処
理液を加圧注入するのに用いられる新規な注薬缶を案出
している。
【0033】図6は、本発明の注薬缶を示すものであ
る。図に示されるように、注薬缶は円筒状のハウジング
11から構成され、このハウジングは被処理木材を搬入す
る側である前部から後部に向かって僅かに下方傾斜(一
般に1/100 〜1/500)している。本発明の注薬缶にお
いてはその前部に木屑等のゴミを除去するための排出口
12、およびその後部に残渣を除去するための排出口13が
円筒形ハウジングの底の最深部に位置するように配備さ
れている。
【0034】排出口12は、適当なバルブ14を介してフィ
ルター15に連結され、該フィルターは作業タンクに連結
されている。他方、残渣排出口13の前後には円筒形ハウ
ジングの底部周辺に沿って最深部を挟むように両側に複
数の弓形小片16から成る残渣分離部材17が設けられて
る。残渣排出口13は、適当なバルブ18を介してろ過槽19
に連結され、該ろ過槽は作業タンクに連結されている。
残渣排出口13の後方には、弓形小片を介して作業液回収
口20が設けられ、この作業液回収口も作業タンクに連結
されている。
【0035】このような注薬缶を用いれば前記処理方法
の工程の加圧注入時に、排出口12を通る木屑等のゴミ
がフィルター15により除去される。さらに、工程の溶
液排出時には、液下に沈殿する砂などの残渣は、円筒形
ハウジングが後部に向かって下方傾斜していることによ
り、後部に移送されるとともに、弓状小片16により挟ま
れた最深部を通って、その大部分が残渣排出口13から出
てろ過槽により除去される。したがって、作業液回収口
20からは清澄な溶液が作業タンクに送られる。このよう
にして、注薬缶内の清掃や処理剤溶液の回収が容易とな
る。
【0036】
【実施例】以下、本発明の特徴をさらに明らかにするた
め実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこの実
施例に限定されるものではない。減圧、加圧注入 外径100 mm×長さ1mの割れの発生していない含水率約
55%のスギ加工丸太に下記に示す組成の処理剤溶液(10
重量%水溶液)を加圧注入することにより、注入量300k
g/m3の注入材を得た。なお、注薬缶としては外径 200mm
×長さ1mの図6に示すステンレス製注薬缶を用いた。
また、減圧操作は650 mmHgの減圧下で10分間行い、加圧
操作は、0から2kgf/cm2 昇圧に1分、2kgf/cm2 で9
分間保持、2〜6kgf/cm2 昇圧に1分、6kgf/cm2 で9
分間保持、6〜10kgf/cm2 昇圧に1分、10kgf/cm2 で9
分間保持することにより合計30分間かけて実施した。以
上の操作は、図5に示すような温度管理された恒温室内
で行った。
【0037】 [処理剤組成] 1)未反応フェノール 5〜7.8 (モル%) 2)モノメチロールフェノール 23〜25 (モル%) 3)ジメチロールフェノール 32〜35 (モル%) 4)トリメリロールフェノール 32〜37 (モル%) 5)重合体(フェノール換算) 0〜1.5 (モル%)
【0038】乾燥、硬化処理 以上のようにして得られた注入材を24時間風乾した後、
蒸気式乾燥機により2日間乾燥を行うことにより、割れ
の生じていない含水率約40%の処理木材を得た。蒸気式
乾燥機による乾燥操作は、0〜12時間において乾球温度
30℃(乾温球温度差3℃)、12〜30時間において乾球温
度45℃(乾湿球温度差7℃)、および30〜48時間におい
て乾球温度60℃(乾湿球温度差10℃)になるように行っ
た。次に上記のように乾燥した木材に高温型乾燥機によ
り 120℃で2時間硬化処理を行った。
【0039】顕微鏡観察及びIR分析 以上のような本発明による処理後の木材の走査型電子顕
微鏡(SEM)による観察を行った。比較のために未処
理材についてもSEM観察を行った。その結果を図4に
示す。本発明の処理木材(a)は未処理のもの(b)に
比べて明らかに細胞壁が厚く膨張している。72%硫酸を
用いる加水分解後の残留物のIR分析により、これが硬
化したフェノール系物質によるものであることが確認さ
れた。
【0040】屋外曝露試験 以上のようにして得られた本発明の処理木材と、比較の
ための未処理材(スギ材:外径 100mm×長さ20cm)を屋
外に1年間曝露して割れの進行状態を調べた。なお、試
験開始時には双方とも割れの発生はなかった。その結果
を図7のグラフに示す。本発明の処理木材は長期間にわ
たり屋外に曝露しても殆ど割れがみられないのに対し
て、未処理材には顕著な割れの進行が認められることが
確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木材処理方法の各工程を示す。
【図2】木材細胞の構造を模式的に示す図である。
【図3】本発明の処理によって木材細胞の状態が変化す
る様子を模式的に示すものである。
【図4】本発明に従って処理された木材および被処理材
の細胞表面の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の木材処理装置の注薬セクションを全体
的に示す斜視図である。
【図6】本発明の注薬缶を示す図である。
【図7】本発明に従って処理された木材および被処理材
の屋外曝露試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
11 注薬缶ハウジング 13 残渣排出口 16 弓状小片 17 残渣分離部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樫原 嘉代子 福岡県筑後市大字和泉309−1 九州木材 工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1)で表されるメチロール
    化フェノール単量体(式中、mは1、2または3であ
    る)の1種以上を含有し、弱酸性ないしは中性の水溶液
    として使用されることを特徴とする木材処理剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 防腐性金属塩を含有することを特徴とす
    る請求項1の木材処理剤。
  3. 【請求項3】 被処理木材に請求項1または請求項2に
    記載の木材処理剤を加圧注入した後、該被処理木材を乾
    燥および加熱することによりメチロール化フェノール単
    量体を硬化、樹脂化させることを特徴とする木材の処理
    方法。
  4. 【請求項4】 硬化、樹脂化したフェノール系物質が細
    胞壁に浸透していることを特徴とする改質処理された木
    材。
  5. 【請求項5】 被処理木材を搬入し排気後、該被処理木
    材に木材処理液を加圧注入するのに用いられる注薬缶で
    あって、被処理木材を搬入する側である前部が後部に向
    かって下方傾斜している円筒状のハウジング、該ハウジ
    ングの前部に配備され木屑等のゴミを除去するための排
    出口、および該ハウジングの後部の最深部に位置するよ
    うに配備され残渣を除去するための排出口を有し、該残
    渣排出口の前後に前記円筒状ハウジングの底部周辺に沿
    って最深部を挟むように両側に複数の弓状小片から成る
    残渣分離部材が設けられていることを特徴とする注薬
    缶。
  6. 【請求項6】 被処理木材に木材処理液を加圧注入する
    ための注薬缶およびその付属設備を有する注薬セクショ
    ンと、木材処理液が注入された被処理木材を乾燥および
    加熱する高温型蒸気式乾燥機を有する乾燥・加熱セクシ
    ョンとから成り、前記注薬セクションが恒温室内に収容
    されていることを特徴とする木材処理装置。
  7. 【請求項7】 乾燥・加熱セクションにホルムアルデヒ
    ド処理手段が取り付けられていることを特徴とする請求
    項6の木材処理装置。
  8. 【請求項8】 注薬缶が請求項5に記載の注薬缶である
    ことを特徴とする請求項6または請求項7の木材処理装
    置。
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