JPH1060648A - 機械部品等の物品及びそれらの製造方法 - Google Patents

機械部品等の物品及びそれらの製造方法

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JPH1060648A
JPH1060648A JP22113396A JP22113396A JPH1060648A JP H1060648 A JPH1060648 A JP H1060648A JP 22113396 A JP22113396 A JP 22113396A JP 22113396 A JP22113396 A JP 22113396A JP H1060648 A JPH1060648 A JP H1060648A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】他の物品や部材との摺動性、耐摩耗性、撥水
性、ガスバリア性のうち幾つかの点で優れた機械部品
(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)等の物品及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】それぞれ他物品との接触面S1´、S2
´、S4´に耐摩耗性、潤滑性のある炭素膜Fが形成さ
れている機械部品(自動車部品及び画像形成装置部品を
除く)、玩具(完成品の部品を含む)、建設土木用材、
外表面S3´に耐摩耗性、潤滑性、撥水性のある炭素膜
Fが形成されているシート、外表面S5´に耐摩耗性、
潤滑性、ガスバリア性のある炭素膜Fが形成されている
パイプ(自動車部品としてのホースを除く)、及びこれ
らの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車、ガイド部
材、ガイドローラ、ベアリング、シール材等の機械部品
(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)、玩具(完
成品の部品を含む)、各種シート、床材、壁材その他の
建材等の建設用及び土木用材、各種パイプ(自動車用ホ
ースを除く)、並びにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、樹脂は様々な物品の材料として多
用されている。例えば、各種歯車、複写機、プリンタ等
の紙ガイドやミシンの糸ガイド等のガイド部材、ガイド
ローラ、ベアリング、シール材、緩衝材等の機械部品、
電気絶縁体や端子等の電機部品、燃料タンク等のタン
ク、レンズやプリズム等の光学部品、水道配管、電線配
管や自動車用その他のホース等を含むパイプ、床材、壁
材その他の建材等の建設用又は土木用材、テントシート
等の各種シート、玩具及びその部品、装飾品、文房具、
各種ケース類、網、各種フィルム類、スポーツ用品、食
器、ボタン、台所用品等の家庭用品、レコード等の材料
又は表面材料として広く用いられている。
【0003】これらのうち、機械部品、建設土木用材、
パイプ、玩具又はその部品等では、他物品や他部品との
摺動性を向上させ、これらとの接触による摩耗、劣化を
防止するために、表面にオイルを塗布したり、オイルを
浸透させたり、基材にオイルを添加して成形したり等す
る。また、ガスバリア性が要求されるパイプでは、酸
素、水蒸気その他のガスの透過を抑制するために、外表
面にガスバリア性を有する樹脂膜を被覆したり等する。
【0004】また、前記シートでは、該シートの支持部
材、シート上に載せる物品や地面、床面その他の接触面
等との摺動性を向上させ、これらとの接触による摩耗、
劣化を防止し、また水滴、雨や泥等の汚れが付着するの
を避けるために、オイルを浸透させたり、基材にオイル
を添加して成形したり等する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、機械部
品、建設土木用材、パイプ、玩具又は玩具部品等の表面
にオイルを塗布する方法では、使用開始時には比較的良
好な所望特性が得られても、時間とともに表面のオイル
が他部分へ分散したり、吸収されたり、脱落したりして
少なくなり、摺動性が低下し、表面の摩耗、劣化が生じ
やすくなる。 また、オイルを浸透させたり、基材にオ
イルを添加して成形したりする方法では、使用開始時に
は比較的良好な所望特性が得られても、時間とともに表
面部分に含まれるオイルが相手方物品に吸収される等し
て表面に浸出してくるオイルが少なくなり、摺動性が低
下し、表面の摩耗、劣化が生じやすくなる。
【0006】また、機械部品、建設用土木用材、パイプ
は金属からなる物品と接触して用いられることが多く、
前記のような方法では、金属製物品との摩擦による表面
の摩耗や劣化を十分に防止することができない。また、
ガスバリア性を有する樹脂膜を被覆したパイプでも、表
面が樹脂からなるため、同様に長期にわたり他物品との
良好な摺動性が得られず、また金属等の硬い材質からな
る物品との摩擦により表面が摩耗、劣化し易い。
【0007】また、前記シートにオイルを浸透させた
り、基材にオイルを添加して成形したりする方法では、
該シートの支持部材、シート上に載置する物品、シート
が保護すべき物品等や地面等との接触により表面が摩
耗、劣化し易くなり、その結果、摺動性、撥水性が低下
する。また、撥水性が低下する結果、水滴、雨や泥等の
汚れが付着し易くなる。
【0008】そこで本発明は、他物品との摺動性、耐摩
耗性、撥水性、ガスバリア性のうち幾つかの点で優れた
機械部品(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)等
の物品及びそれらの製造方法を提供することを課題とす
る。特に、他物品との摺動性が良好で、耐摩耗性に優
れ、劣化し難い機械部品(自動車部品及び画像形成装置
部品を除く)、玩具(完成品の部品を含む)、及び、建
設土木用材(建設又は土木又はそれら双方に使用する物
品や材料)、並びにそれらの製造方法を提供することを
課題とする。
【0009】また特に、他物品との摺動性が良好で、耐
摩耗性に優れ、劣化し難く、さらに撥水性に優れるシー
ト及びその製造方法を提供することを課題とする。また
特に、他物品との摺動性が良好で、耐摩耗性に優れ、劣
化し難く、さらにガスバリア性に優れるパイプ(自動車
部品としてのホースを除く)及びその製造方法を提供す
ることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性の
ある炭素膜が形成されていることを特徴とする機械部品
(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)、玩具(完
成品の部品を含む)及び建設土木用材を提供する。また
本発明は、表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性のあ
る炭素膜を形成する工程を含むことを特徴とする機械部
品(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)の製造方
法、玩具(完成品の部品を含む)の製造方法及び建設土
木用材の製造方法を提供する。
【0011】また、本発明は、表面の一部又は全部に耐
摩耗性、潤滑性、撥水性のある炭素膜が形成されている
ことを特徴とするシートを提供する。また本発明は、表
面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性、撥水性のある炭
素膜を形成する工程を含むことを特徴とするシートの製
造方法を提供する。また、本発明は、表面の一部又は全
部に耐摩耗性、潤滑性、ガスバリア性のある炭素膜が形
成されていることを特徴とするパイプ(自動車部品とし
てのホースを除く)を提供する。また本発明は、表面の
一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性、ガスバリア性のある
炭素膜を形成する工程を含むことを特徴とするパイプ
(自動車部品としてのホースを除く)の製造方法を提供
する。
【0012】なお、前記機械部品、玩具、シート、建設
土木用材、パイプにおける炭素膜を形成する表面の一部
又は全部としては、特に他物品との接触面や外表面を挙
げることができる。なお、前記の他物品には、通常の物
品の他、地面等の面、人等が含まれる。本発明に係る機
械部品、玩具、建設土木用材は、表面の一部又は全部に
耐摩耗性、潤滑性を有する炭素膜が形成されているた
め、その部分での他物品との滑りが良く、またその部分
は他物品との摩擦により摩耗、劣化し難い。さらに、該
炭素膜が摩耗し難いことから良好な潤滑性が長期にわた
り維持される。
【0013】本発明に係るシートは、表面の一部又は全
部に耐摩耗性、潤滑性、撥水性を有する炭素膜が形成さ
れているため、その部分での他物品との滑りが良く、ま
たその部分は他物品との摩擦により摩耗、劣化し難い。
さらに、該炭素膜が摩耗し難いことから良好な潤滑性が
長期にわたり維持される。また、該炭素膜が撥水性を有
することから、その部分には水滴、雨滴や泥等の汚れが
付着し難い。
【0014】本発明に係るパイプは、表面の一部又は全
部に耐摩耗性、潤滑性を有する炭素膜が形成されている
ため、その部分での他物品との滑りが良く、またその部
分は他物品との摩擦により摩耗、劣化し難い。さらに、
該炭素膜が摩耗し難いことから良好な潤滑性が長期にわ
たり維持される。また、該炭素膜はガスバリア性を有し
ているため、本発明にかかるパイプは、パイプの該炭素
膜形成部分では外部から内部へ或いは内部から外部へガ
スが透過し難い。
【0015】本発明に係る機械部品(自動車部品及び画
像形成装置部品を除く)としては、歯車、ガイド部材、
ガイドローラ、ベアリング、シール材等を例示できる。
また、本発明にかかるシートとしては、物品の敷物用シ
ート、机や天板等の上に敷くシート、外壁保護シート、
テント用のシートのようなレジャー用シート等を例示で
きる。
【0016】また、本発明にかかる建設土木用材として
は、襖用レール材、家具スライド用ガイド材、床材、壁
材、土木工事用各種スライド部材、仮設壁部材等の各種
仮設材などを例示できる。また、本発明にかかるパイプ
は、柔軟性を有するホース(自動車部品としてのホース
を除く)を含むものである。
【0017】本発明における機械部品基体、玩具基体、
シート基体、建設土木用材基体、パイプ基体は、それぞ
れ少なくとも膜形成面が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及
びゴムから選ばれた少なくとも1種の材料からなるもの
であることが考えられる。熱硬化性樹脂としては、フェ
ノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン・
ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、キ
シレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、
ジアリルフタレート樹脂等を例示できる。
【0018】また、熱可塑性樹脂としては、ビニル系樹
脂(ポリ塩化ビニル、ポリ2塩化ビニル、ポリビニルブ
チラート、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポ
リビニルホルマール等)、ポリ塩化ビニリデン、塩素化
ポリエーテル、ポリエステル系樹脂(ポリスチレン、ス
チレン・アクリロニトリル共重合体等)、ABS、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリル
系樹脂(ポリメチルメタクリレート、変性アクリル
等)、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、66、610、
11等)、セルロース系樹脂(エチルセルロース、酢酸
セルロース、プロピルセルロース、酢酸・酪酸セルロー
ス、硝酸セルロース等)、ポリカーボネート、フェノキ
シ系樹脂、フッ素系樹脂(3フッ化塩化エチレン、4フ
ッ化エチレン、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレ
ン、フッ化ビニリデン等)、ポリウレタン等を例示でき
る。
【0019】また、ゴムとしては、天然ゴム、ブチルゴ
ム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、塩素
化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリ
ルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、
フッ素ゴム等を例示できる。また、本発明における炭素
膜としては、代表例としてDLC(Diamond Like Carbo
n) (ダイアモンド状炭素)膜を挙げることができる。
DLC膜は、潤滑性良好であり、また、他物品との摩擦
により摩耗し難く、且つ、その厚さを調整することによ
り、該膜で被覆された基体が柔軟性を有するものである
場合にも該基体本来の柔軟性を損なわないようにするこ
とができる程度の適度な硬度を有する炭素膜である。ま
た、撥水性、ガスバリア性及び電気絶縁性が良好であ
る。さらに、比較的低温で形成できる等、成膜を容易に
行うことができる。
【0020】また、いずれにしても前記炭素膜の膜厚
は、各基体上に密着性良好に形成でき、さらに基体の保
護膜として十分機能できるとともに、基体が柔軟性を有
するものである場合にも該基体本来の柔軟性を損なわな
い範囲内であればよい。また、本発明方法において、前
記炭素膜形成に先立ち、前処理として、前記各基体の膜
形成面を前処理用ガス、例えばフッ素(F)含有ガス、
水素(H2 )ガス及び酸素(O2 )ガスから選ばれた少
なくとも1種の前処理用ガスのプラズマに曝すことが考
えられる。この場合、本発明の機械部品、玩具、シー
ト、建設土木用材及びパイプにおいて、前記各基体は、
このような前処理を施されたものとなる。
【0021】前記フッ素含有ガスとしては、フッ素(F
2 )ガス、3フッ化窒素(NF3 )ガス、6フッ化硫黄
(SF6 )ガス、4フッ化炭素(CF4 )ガス、4フッ
化ケイ素(SiF4 )ガス、6フッ化2ケイ素(Si2
6 )ガス、3フッ化塩素(ClF3 )ガス、フッ化水
素(HF)ガス等を挙げることができる。前記各基体
を、前記前処理用ガスのプラズマに曝すことにより、基
体表面が清浄化され、又はさらに基体表面粗度が向上す
る。これらは、炭素膜の密着性向上に寄与し、高密着性
炭素膜を得ることができる。
【0022】また、前記各基体の膜形成面が樹脂、ゴム
等の有機材料からなる場合、前処理にフッ素含有ガスプ
ラズマを採用するときは、これによって基体表面がフッ
素終端され、水素ガスプラズマを採用するときはこれに
よって基体表面が水素終端される。フッ素−炭素結合及
び水素−炭素結合は安定であるため、前記のように終端
処理することで膜中の炭素原子が基体表面部分のフッ素
原子又は水素原子と安定に結合を形成する。そしてこれ
らのことから、その後形成する炭素膜と前記基体との密
着性を向上させることができる。
【0023】また、酸素ガスプラズマを採用するとき
は、基体表面に付着した有機物等の汚れを特に効率良く
除去でき、これらのことからその後形成する炭素膜と前
記基体との密着性を向上させることができる。本発明に
おいて、炭素膜形成に先立って行うプラズマによる基体
の前処理は、同種類のプラズマを用いて或いは異なる種
類のプラズマを用いて複数回行っても構わない。例え
ば、該基体を酸素ガスプラズマに曝した後、フッ素含有
ガスプラズマ又は水素ガスプラズマに曝し、その上に炭
素膜を形成するときには、基体表面がクリーニングされ
た後、該面がフッ素終端又は水素終端されて、その後形
成する炭素膜と該基体表面との密着性は非常に良好なも
のとなる。
【0024】また、本発明における炭素膜形成方法とし
ては、樹脂、ゴム等の比較的耐熱性に劣る材料を用いた
基体に熱的損傷を与えない温度範囲で膜形成できる方法
として、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオン
プレーティング法等を挙げることができるが、特にプラ
ズマCVD法を用いる場合は、被成膜基体のプラズマに
よる前処理と炭素膜形成とを同一の装置で行うことがで
きる。
【0025】プラズマCVD法により炭素膜を形成する
場合のプラズマ原料ガスとしては、炭素膜形成に一般に
用いられるメタン(CH4 )、エタン(C2 6 )、プ
ロパン(C3 8 )、ブタン(C4 10)、アセチレン
(C2 2 )、ベンゼン(C 6 6 )、4フッ化炭素
(CF4 )、6フッ化2炭素(C2 6 )等の炭素化合
物ガス、及び必要に応じて、これらの炭素化合物ガスに
キャリアガスとして水素ガス、不活性ガス等を混合した
ものを用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明に係る機械部品の製
造、玩具の製造、シートの製造、建設土木用材(建設又
は土木又はそれら双方に使用できる物品や材料)の製造
及びパイプの製造にそれぞれ用いることができる成膜装
置の1例の概略構成を示す図である。また、図3(A)
は本発明に係る機械部品の1例(ガイドローラ)の断面
図であり、図3(B)は本発明に係る玩具の1例(水鉄
砲の水ポンプ部)の断面図であり、図3(C)は本発明
に係るシートの1例の断面図であり、図3(D)は本発
明に係る建設土木用材の1例(壁材)の断面図であり、
図3(E)は本発明に係るパイプの1例の断面図であ
る。
【0027】図1に示す装置は、排気装置11が付設さ
れた真空チャンバ1を有し、チャンバ1内には電極2及
びこれに対向する位置に電極3が設置されている。電極
3は接地され、電極2にはマッチングボックス22を介
して高周波電源23が接続されている。また、電極2に
はその上に支持される被成膜基体を成膜温度に加熱する
ためのヒータ21が付設されている。また、チャンバ1
にはガス供給部4が付設されて、内部にプラズマ原料ガ
スを導入できるようになっている。ガス供給部4には、
マスフローコントローラ411、412・・・及び弁4
21、422・・・を介して接続された1又は2以上の
プラズマ原料ガスのガス源431、432・・・が含ま
れる。
【0028】この装置を用いて本発明に係る機械部品を
製造するにあたっては、機械部品基体S1を他物品との
接触面S1´を対向する電極3の方に向けて電極2上に
配置し、排気装置11の運転にてチャンバ1内部を所定
の真空度にする。次いで、ガス供給部4からチャンバ1
内にフッ素含有ガス、水素ガス及び酸素ガスのうち1種
以上のガスを前処理用ガスとして導入するとともに高周
波電源23からマッチングボックス22を介して電極2
に高周波電力を供給し、これにより前記導入した前処理
用ガスをプラズマ化し、該プラズマの下で基体S1の表
面処理を行う。なお、この表面処理(前処理)は行うこ
とが望ましいが、必ずしも要しない。
【0029】次いで、必要に応じてチャンバ1内を再び
真空引きした後、ガス供給部4からチャンバ1内に成膜
用原料ガスとして炭素化合物ガスを導入するとともに高
周波電源23から電極2に高周波電力を供給し、これに
より前記導入した炭素化合物ガスをプラズマ化し、該プ
ラズマの下で基体S1表面に炭素膜を形成する。機械部
品基体S1の前記表面処理及び成膜を行う間、該基体が
例えばガイドローラのような立体構造物である場合、例
えば基体S1の一部を電極2に接触させて、図示しない
回転駆動手段にて基体S1を回転させ、基体S1の外表
面(他物品との接触面)にほぼ均一に表面処理及び成膜
が行われるようにする。
【0030】このようにして、図3(A)に示すよう
に、機械部品基体S1(図示の例ではガイドローラ)の
他物品との接触面(外表面)S1´にほぼ均一に炭素膜
Fが形成された炭素膜被覆機械部品が得られる。また、
この装置を用いて本発明に係る玩具(完成品の部品を含
む)を製造するにあたっても、前記機械部品の製造と同
様にして、玩具基体S2の他物品との接触面S2´に前
記表面処理及び炭素膜形成を行い、図3(B)に示すよ
うに、玩具基体S2(図示の例では水鉄砲ポンプ部のピ
ストン)の他物品との接触面(図示例ではシリンダCの
内面)S2´にほぼ均一に炭素膜Fが形成された炭素膜
被覆玩具が得られる。また、成膜中は、基体の膜形成し
ない部分を必要に応じ適当な遮蔽手段で覆った状態とし
ておく。
【0031】また、この装置を用いて本発明に係るシー
トを製造するにあたっても、前記機械部品の製造と同様
にして、シート基体S3の外表面S3´に前記表面処理
及び炭素膜形成を行い、図3(C)に示すように、シー
ト基体S3の外表面S3´にほぼ均一に炭素膜Fが形成
された炭素膜被覆シートが得られる。また、この装置を
用いて本発明に係る建設土木用材を製造するにあたって
も、前記機械部品の製造と同様にして、建設土木用材基
体S4の他物品との接触面(外表面)S4´に前記表面
処理及び炭素膜形成を行い、図3(D)に示すように、
建設土木用材基体S4(図示の例では壁材)の他物品と
の接触面(外表面)S4´にほぼ均一に炭素膜Fが形成
された炭素膜被覆建設土木用材が得られる。
【0032】また、この装置を用いて本発明に係るパイ
プを製造するにあたっても、前記機械部品の製造と同様
にして、パイプ基体S5の外表面S5´に前記表面処理
及び炭素膜形成を行い、図3(E)に示すようにパイプ
基体S5の外表面S5´にほぼ均一に炭素膜Fが形成さ
れた炭素膜被覆パイプが得られる。また、本発明方法を
実施するにあたり、図1の装置に代えて図2に示す成膜
装置を用いることができ、この場合、基体が立体構造物
であるときにも該基体の表面に効率よく膜形成すること
ができる。
【0033】図2の装置は、誘導結合型のプラズマCV
D装置であり、真空容器1´を有しており、容器1´の
外周には誘導コイル電極5が巻回して設けられ、該電極
5両端にはマッチングボックス51及び高周波電源52
が接続されている。また、真空容器1´の外側には、被
成膜基体S1を成膜温度に加熱するためのヒータ21´
が設けられている。
【0034】また、真空容器1´には排気装置11´を
配管接続してあるとともに、成膜用原料ガスのガス供給
部4´を配管接続してある。ガス供給部4´には、マス
フローコントローラ411´、412´・・・・及び弁
421´、422´・・・・を介して接続された1又は
2以上の成膜用原料ガスを供給するガス源431´、4
32´・・・・が含まれている。
【0035】この装置を用いて本発明に係る物品を製造
するにあたっては、図1の装置を用いた物品基体S1の
表面処理及び炭素膜形成と同様にし、但し、原料ガスの
プラズマ化を誘導コイル電極5への高周波電力印加によ
り行う。この場合も、表面処理(前処理)は行うことが
望ましいが、必ずしも要しない。次に、図1の装置を用
いて、機械部品、玩具、シート、建設土木用材、パイプ
の材料として用いられる、フェノールホルムアルデヒド
樹脂からなる試験片の表面にDLC膜を形成した実験例
1、ポリアセタールからなる試験片の表面にDLC膜を
形成した実験例2、ポリカーボネイトからなる試験片の
表面にDLC膜を形成した実験例3を説明する。 実験例1 試験片材質 フェノールホルムアルデヒド樹脂 サイズ 100mm×100mm×厚さ5mm 高周波電極2サイズ 直径280mm 成膜条件 成膜用原料ガス メタン(CH4 ) 50sccm 高周波電力 周波数13.56MHz、150W 自己バイアス電圧 −80V 成膜真空度 0.1Torr 成膜温度 25°C 成膜時間 60min 実験例2 試験片材質 ポリアセタール サイズ 100mm×100mm×厚さ5mm 高周波電極2サイズ 直径280mm 成膜条件 成膜用原料ガス メタン(CH4 ) 50sccm 高周波電力 周波数13.56MHz、150W 自己バイアス電圧 −80V 成膜真空度 0.1Torr 成膜温度 25°C 成膜時間 60min 実験例3 試験片材質 ポリカーボネイト サイズ 100mm×100mm×厚さ5mm 高周波電極2サイズ 直径280mm 成膜条件 成膜用原料ガス メタン(CH4 ) 50sccm 高周波電力 周波数13.56MHz、150W 自己バイアス電圧 −80V 成膜真空度 0.1Torr 成膜温度 25°C 成膜時間 60min 次に、前記実験例1、2、3により得られたDLC膜被
覆試験片、及び各実験例で用いたDLC膜を形成してい
ない未処理の同様の試験片にシリコンオイルを塗布した
もの(比較実験例1、2、3)について、アルミニウム
材との摩擦係数をそれぞれ評価した。摩擦係数は、試験
片表面に先端曲率R18のアルミニウムからなるピン状
物品の先端部を当接させ、且つ、該ピン状物品に10g
の荷重をかけた状態でこのピンを20mm/secの速
度で移動させたときの値を測定した。
【0036】結果を次表に示す。 摩擦係数 1回摩擦後 1000回摩擦後 実験例1 2.64 2.66 比較実験例1 2.56 10.4 実験例2 1.22 1.35 比較実験例2 1.54 6.8 実験例3 2.29 2.33 比較実験例3 2.44 5.04 このように、比較実験例1、2、3では摩擦開始直後は
本発明実験例と同様に摩擦係数が小さく良好な潤滑性
(摺動性)を示したが、1000回摩擦後には摩擦係数
が増大した。一方、本発明実験例1、2、3では、10
00回摩擦後にも摩擦係数の増大は見られず、良好な潤
滑性(摺動性)が維持された。
【0037】次に、前記実験例1、2、3により得られ
たDLC膜被覆試験片、及び各実験例で用いたDLC膜
を形成していない未処理の同様の試験片(比較実験例
4、5、6)について、それぞれ硬度を測定した。本発
明実験例の試験片は2gヌープ硬度を測定し、各比較実
験例の試験片は0.5gヌープ硬度を測定した。結果を
次表に示す。 このように、DLC膜を被覆した本発明実験例1、2、
3の試験片は、DLC膜を被覆していない比較実験例
4、5、6の試験片より硬度が高いことが分かる。
【0038】次に、前記実験例1、2、3の試験片と同
様の材質でそれぞれ作成したM100サイズの歯車(比
較実験例A、B、C)、及び、さらにこれらの歯車の外
表面に引き続き実験例1、2、3と同様の方法でDLC
膜を形成した歯車(実験例A、B、C)について、黄銅
からなる同サイズの歯車とかみ合わせて、20rpmの
回転速度で1000回回転させた後の摩耗深さを測定し
た。
【0039】結果を次表に示す。 このように、DLC膜を被覆した実験例A、B、Cの歯
車は耐摩耗性が優れることが分かる。
【0040】次に、本発明実験例1のDLC膜被覆試験
片、及び実験例1において成膜に先立ち次の各条件でプ
ラズマによる前処理を施したDLC膜被覆試験片(実験
例1−1、1−2、1−3、1−4、1−5)につい
て、それぞれ膜密着性を評価した。膜密着性は、ステン
レススチール(SUS304)からなる直径5mmの円
柱状部材を接着剤を用いてDLC膜に接合させ、該円柱
状部材を膜に対して垂直方向に引っ張って該膜を試験片
本体から剥離させ、剥離に要した力を測定する引っ張り
ジグ法により評価した。 前処理条件 実験例1−1 前処理用ガス 水素(H2 ) 50sccm 高周波電力 周波数13.56MHz、150W 自己バイアス電圧 −80V 処理真空度 0.1Torr 処理温度 25°C 処理時間 60min 実験例1−2 前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 ) 50sccm 高周波電力 周波数13.56MHz、150W 自己バイアス電圧 −80V 処理真空度 0.1Torr 処理温度 25°C 処理時間 60min 実験例1−3 前処理用ガス 酸素(O2 ) 50sccm 高周波電力 周波数13.56MHz、150W 自己バイアス電圧 −80V 処理真空度 0.1Torr 処理温度 25°C 処理時間 60min 実験例1−4 実験例1−3のO2 ガスプラズマによる前処理の後、実
験例1−1のH2 ガスプラズマによる前処理を行った。
【0041】実験例1−5 実験例1−3のO2 ガスプラズマによる前処理の後、実
験例1−2のSF6 ガスプラズマによる前処理を行っ
た。結果を次表に示す。 次に、実験例1、2、3により得られたDLC膜被覆試
験片、各実験例で用いたDLC膜を形成していない未処
理の同様の試験片(比較実験例4、5、6)について、
それぞれ撥水性を測定した。撥水性は、試験片上に水滴
をおき、その接触角を測定することで評価した。
【0042】なお、接触角は、空気中にある固体面上に
液体があるとき、固体、液体、気体の3相の接触点で液
体に引いた切線と固体面のなす角のうち、液体を含む方
の角をいい、大きいほど撥水性が良いことを示す。結果
を次表に示す このように、DLC膜を被覆した実験例1、2、3の各
試験片では、DLC膜を被覆していない比較実験例1、
2、3の試験片より水の接触角がそれぞれ大きく、撥水
性が良いことが分かる。
【0043】次に、前記実験例1と同様にして、ポリ塩
化ビニリデンからなるフィルム(柔軟剤として脂肪酸誘
導体を、安定剤としてエポキシ化植物油を添加したも
の)の一方の表面上にDLC膜を形成したフィルム状の
試験片(実験例1−6)及びDLC膜を形成していない
未処理の同様のフィルム状の試験片(比較実験例7)に
ついて、透湿度(水蒸気透過率)及び酸素透過率をそれ
ぞれ測定した。
【0044】透湿度は、Mocon社製ガス透過率測定
装置を用い、25℃の温度下で、フィルムの一方の空間
の相対湿度を100%とし、フィルムの他方の空間の相
対湿度をほぼ0%として、水蒸気の透過速度を測定する
ことで評価した。また、酸素透過率は、同様にMoco
n社製ガス透過率測定装置を用い、25℃の温度下で、
フィルムの一方の空間の酸素濃度を100%とし、フィ
ルムの他方の空間の酸素濃度を0%として、酸素の透過
速度を測定することで評価した。
【0045】結果を次表に示す。 透 湿 度 酸素透過率 (cc/m2/day) (cc/m2/day) 実験例1−6 0.9 1.2 比較実験例7 12.5 14.0 このように、DLC膜を被覆した実験例1─6の試験片
ではDLC膜を被覆していない比較実験例7の試験片よ
り、水蒸気及び酸素のいずれの透過も抑制されているこ
とが分かる。
【0046】以上のことから、機械部品基体の表面の一
部又は全部に炭素膜(特にDLC膜)を形成した本発明
の機械部品、玩具(完成品の部品を含む)基体の表面の
一部又は全部に炭素膜(特にDLC膜)を形成した本発
明の玩具、シート基体の表面の一部又は全部に炭素膜
(特にDLC膜)を形成した本発明のシート、建設土木
用材基体の表面の一部又は全部に炭素膜(特にDLC
膜)を形成した本発明の建設土木用材、パイプの表面の
一部又は全部に炭素膜(特にDLC膜)を形成した本発
明のパイプはそれぞれ潤滑性、耐摩耗性、撥水性、ガス
バリア性に優れることが分かる。なお、炭素膜とこれと
接触する他物品との摺動性は、炭素膜とアルミニウム材
との摺動性とほぼ同様であるため、本発明の各物品は他
の物品との摺動性が優れると考えられる。
【0047】また、前処理を施した後形成した炭素膜は
密着性が優れることが分かる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によると、他物品と
の摺動性が良好で、耐摩耗性に優れ、劣化し難い機械部
品(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)、玩具
(完成品の部品を含む)、及び、建設土木用材、並びに
それらの製造方法を提供することができる。
【0049】また本発明によると、他物品との摺動性が
良好で、耐摩耗性に優れ、劣化し難く、さらに撥水性に
優れるシート及びその製造方法を提供することができ
る。また本発明によると、他物品との摺動性が良好で、
耐摩耗性に優れ、劣化し難く、さらにガスバリア性に優
れるパイプ(自動車部品としてのホースを含む)及びそ
の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る機械部品、玩具、シート、建設土
木用材、パイプの製造にそれぞれ用いることができる成
膜装置の1例の概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る機械部品、玩具、シート、建設土
木用材、パイプの製造にそれぞれ用いることができる成
膜装置の他の例の概略構成を示す図である。
【図3】図(A)は本発明に係る機械部品の1例の断面
図であり、図(B)は本発明に係る玩具の1例の断面図
であり、図(C)は本発明に係るシートの1例の断面図
であり、図(D)は本発明に係る建設土木用材の1例の
断面図であり、図(E)は本発明に係るパイプの1例の
断面図である。
【符号の説明】
1、1´ 真空チャンバ 11、11´ 排気装置 2 高周波電極 21、21´ ヒータ 22、51 マッチングボックス 23、52 高周波電源 3 接地電極 4、4´ プラズマ原料ガス供給部 5 誘導コイル電極 S1 被成膜機械部品 S1´ 基体S1の他物品との接触面 S2 被成膜玩具 S2´ 基体S2の他物品との接触面 S3 被成膜シート基体 S3´ 基体S3の外表面 S4 被成膜建設土木用材基体 S4´ 基体S4の外表面 S5 被成膜パイプ S5´ 基体S5の外表面 F 炭素膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性
    のある炭素膜が形成されていることを特徴とする機械部
    品(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)。
  2. 【請求項2】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性
    のある炭素膜が形成されていることを特徴とする玩具。
  3. 【請求項3】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑
    性、撥水性のある炭素膜が形成されていることを特徴と
    するシート。
  4. 【請求項4】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性
    のある炭素膜が形成されていることを特徴とする建設土
    木用材。
  5. 【請求項5】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑
    性、ガスバリア性のある炭素膜が形成されていることを
    特徴とするパイプ(自動車部品としてのホースを除
    く)。
  6. 【請求項6】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性
    のある炭素膜を形成する工程を含むことを特徴とする機
    械部品(自動車部品及び画像形成装置部品を除く)の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性
    のある炭素膜を形成する工程を含むことを特徴とする玩
    具の製造方法。
  8. 【請求項8】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑
    性、撥水性のある炭素膜を形成する工程を含むことを特
    徴とするシートの製造方法。
  9. 【請求項9】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑性
    のある炭素膜を形成する工程を含むことを特徴とする建
    設土木用材の製造方法。
  10. 【請求項10】 表面の一部又は全部に耐摩耗性、潤滑
    性、ガスバリア性のある炭素膜を形成する工程を含むこ
    とを特徴とするパイプ(自動車部品としてのホースを除
    く)の製造方法。
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JP2007327349A (ja) * 2006-06-06 2007-12-20 Tocalo Co Ltd 送液ポンプ用部材及びその製造方法
JP2012111984A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Kojima Press Industry Co Ltd 樹脂基材の表面被膜形成装置
US8528889B2 (en) 2009-03-31 2013-09-10 Tokyo Electron Limited Device and method for supporting a substrate

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