JPH1066572A - 高純度の大豆トリプシンインヒビターの製造方法 - Google Patents

高純度の大豆トリプシンインヒビターの製造方法

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JPH1066572A
JPH1066572A JP8245470A JP24547096A JPH1066572A JP H1066572 A JPH1066572 A JP H1066572A JP 8245470 A JP8245470 A JP 8245470A JP 24547096 A JP24547096 A JP 24547096A JP H1066572 A JPH1066572 A JP H1066572A
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JP
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trypsin inhibitor
soybean
soybean trypsin
producing
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JP8245470A
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Yasuko Yoshizawa
康子 吉澤
Shinsuke Mitsuyoshi
新介 三吉
Yoko Fujikawa
洋子 藤川
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Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大豆に特定の抽出方法を施し、次いで、該抽
出液から簡単に高純度の大豆トリプシンインヒビターを
得る方法を提供すること。 【解決手段】 大豆の抽出処理物に分離精製手段を施し
て大豆トリプシンインヒビターを得る大豆トリプシンイ
ンヒビターの製造方法において、抽出処理が水性溶媒
中、pH3.0〜6.0で行われることを特徴とする高
純度の大豆トリプシンインヒビターの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】大豆の抽出により大豆トリプ
シンインヒビターを製造する方法に関するものである
が、特に、大豆から特定の抽出方法により高純度の大豆
トリプシンインヒビターを簡単に製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】大豆トリプシンインヒビターは、大別し
てクニッツ型とボーマン・バーク型の2種が存在する。
前者は分子量20,100、等電点4.5でトリプシン
およびその類似酵素を阻害する。後者は分子量7,97
5、等電点4.2でトリプシン、キモトリプシンの双方
を阻害する。両インヒビターは酵素阻害の特異性が異な
るため、生体内で異なる生理活性を示すことが知られて
いる。クニッツ型トリプシンインヒビターはトリプシ
ン、結漿カリクレイン、活性型第X因子等に抑制効果を
有することが知られており、炎症性浮腫亢進抑制剤(特
開平7ー10772号公報)、癌性胸・腹水貯留抑制剤
(特公平6ー23113号公報)として利用できること
が報告されている。また、ボーマン・バーク型トリプシ
ンインヒビターは肥満細胞脱顆粒抑制剤として有効であ
ることが報告されている(特公平5ー86933号公
報)。
【0003】そこで、これらのインヒビターを工業的に
高純度で製造することが出来れば、医薬用原料として提
供することが可能となるが、特にクニッツ型トリプシン
インヒビターは酵素に対する特異性が高いことから、医
薬品原料としての提供が望まれている。
【0004】トリプシンインヒビターを大豆から得る方
法は種々報告されているが、そのいずれも、中性から微
アルカリ性の水性溶媒、あるいは強酸による低pHの水
性溶媒で、場合によっては食塩等の塩を添加して主要蛋
白画分を抽出し、得られるホエーからのインヒビターの
分離は、等電点沈殿、塩析、イオン交換クロマトグラフ
ィー、ゲル濾過等の組み合わせにより行われている。
【0005】大豆トリプシンインヒビターの製造方法と
しては、例えば、次のような方法が報告されている。
【0006】 丸大豆又は脱脂大豆を水又は温水で抽
出した豆乳から酸又は塩で蛋白質を凝固、沈殿させて得
られる大豆ホエーのpHを調節(5.0〜8.5)して
限外濾過膜で濃縮液を得、陰イオン交換体への吸着、塩
濃度勾配による溶出により大豆トリプシンインヒビター
を製造する方法(特開平6ー145198号公報)。
【0007】 脱脂大豆の弱アルカリ(pH7.5〜
8.0)抽出液を酸沈殿(pH3.5〜6.4)させたホ
エーを出発原料として、大豆トリプシンインヒビターを
製造する方法(J. Agric. Food Chem., 35,967-971(19
87)。
【0008】 脱脂大豆の0.25N硫酸抽出液から
大豆トリプシンインヒビターを製造する方法(J. Bioch
em., 62,141-149(1967)。
【0009】上記の従来法又はの出発原料は、大豆
から水(pH無調整)又は弱アルカリ水(pH7.5〜
8.0)抽出により得られる豆乳である。次の段階の酸
処理は、不溶化する蛋白質を除くことが目的である。最
初の豆乳調製段階では、なるべく多くの蛋白質を抽出し
ており、大豆子葉細胞中の蛋白構造体であるプロテイン
ボデーは破壊されて、構成蛋白質は可溶化していると考
えられる。
【0010】また、上記の従来法では、大豆の硫酸
(0.25N)抽出液から大豆トリプシンインヒビター
が得られているが、この硫酸溶液はpH1.0前後と考
えられ、かなり強酸性の抽出条件であるから、上記の従
来法又はと同じように、プロテインボデーの破壊が
生起していると考えられる。
【0011】このように、従来の方法は、いずれも大豆
のプロテインボディーを破壊して、蛋白質成分のほとん
どを可溶化した後に精製を行うことから、不純物が多
く、そのために多段階の操作が必要であったり、操作に
長時間を要するために微生物の繁殖が起こりやすい等の
問題点がある。また、不要な蛋白質が多いために起こる
と考えられる蛋白質成分の不安定化が操作を困難にし、
回収率の大幅な低下の原因となっている。工業的な方法
においては、十分な限外濾過濃縮を行うことで蛋白質の
不安定化を防ぐことができるとしているが、この操作は
長時間を要するために微生物の繁殖や、限外濾過濃縮時
のせん弾力による失活が問題となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来のものは、中性付
近から弱アルカリの条件又は強酸性の条件下で可溶化さ
せた蛋白質をpH4.2付近の酸性条件で沈殿させて爽
雑蛋白質を分離した後、ホエー中に残る蛋白質から目的
とする大豆トリプシンインヒビターを得る方法である
が、このような方法では、蛋白質の抽出時のプロテイン
ボデーの破壊等により、ホエー中には目的とする大豆ト
リプシンインヒビターの他に、まだ多くの不純物が残存
するので、その後の精製には、特定の精製方法の組合せ
が必要となる等、ホエーからの大豆トリプシンインヒビ
ターの分離には困難が伴っていた。
【0013】そこで、本発明は、大豆に特定の抽出処理
を施し、次いで、該抽出液又はその抽出液から生成する
沈殿物を出発原料として、簡単に高純度の大豆トリプシ
ンインヒビターを得る方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】大豆蛋白質成分の等電点
はpH4.0〜6.0の範囲のものが多く、その溶解性
はpH4.0〜4.2で最も低くなるが、本発明者ら
は、大豆蛋白質成分の溶解度が低く、しかも、トリプシ
ンインヒビターそのものにとっても等電点付近に相当す
るpH、すなわち、pH3.0〜6.0の条件下で抽出
した抽出物に、意外にも大豆トリプシンインヒビターが
多く含まれるとともに、除去困難な不純物が少ないこと
を知り、この抽出物を原料とすると、その後、高度な分
離精製手段を組み合わせることなく、実質的には単独の
分離精製手段を用いても高純度の大豆トリプシンインヒ
ビターが得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0015】すなわち、本発明は、大豆に抽出処理を施
し、次いで、得られる抽出液又はその抽出液を低温下で
静置することにより生じる沈殿に分離精製手段を施して
大豆トリプシンインヒビターを得る大豆トリプシンイン
ヒビターの製造方法において、抽出処理が水性溶媒中、
pH3.0〜6.0で行われることを特徴とする高純度
の大豆トリプシンインヒビターの製造方法である。
【0016】本発明では、大豆の抽出時にプロテインボ
デーの破壊等が生起しないので、その分ホエー中の不純
物の量が少なくなる、その結果、ホエーから簡単な分離
手段により高純度の大豆トリプシンインヒビターを回収
できる点で非常に優れた方法である。
【0017】大豆の抽出処理は、大豆に5〜20倍容の
酸溶液を加え、更に必要に応じて酸を加える等して、p
Hを3.0〜6.0、好ましくは4.0〜5.0に保ち
ながら、10分から5時間、好ましくは30分から2時
間で抽出することによって行う。この際、必要に応じて
30〜60℃に加熱する。
【0018】抽出終了後、遠心分離又は加圧濾過等の手
段で抽出液をホエーとして回収する。ここで得られる抽
出液は、大豆主要蛋白質の含量が少ないためにその後の
精製負荷が小さく、しかも、目的とする生理活性を持つ
トリプシンインヒビター成分が等電点に近いにもかかわ
らず、トリプシンインヒビターは大豆中の45〜70%
がホエー中に溶出する。
【0019】このホエーをそのまま、またはpHを中性
域に調整後生じた沈殿を除去して分離精製処理に供する
ことができる。この段階で限外濾過濃縮工程を組み入れ
ることも可能であるが、この工程は必ずしも必要ではな
い。また、分離精製処理の前に除粒子工程、例えば、孔
径0.1〜0.45μmの濾過膜処理等を行って、除菌
あるいは残存する粒子の除去を行うことができる。
【0020】さらに、先に得られたホエ−またはそれを
限外濾過膜で適宜濃縮した液を2〜15℃、好ましくは
2〜10℃にて2時間以上、好ましくは4〜24時間静
置することで生じる沈殿を遠心分離等により回収し、p
H6.0〜9.0の水性溶媒にて溶解、次いで、不溶物
を遠心分離や濾過等により除去して得られた溶液を分離
精製に供することもできる。溶解性を向上させるため
に、適当な濃度の塩類や、ドデシル硫酸ナトリウム、ト
リトンX−100等の界面活性剤、2−メルカプトエタ
ノ−ル、ジチオスレイト−ル等の還元剤を添加すること
もできる。また、この際にも分離精製の前段階で上記と
同様の除菌あるいは残存粒子の除去操作を行うことがで
きる。
【0021】分離精製処理は、イオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル濾過、限外濾過等の通常の分離精製手段単
独で行われるが、その場合、特にイオン交換クロマトグ
ラフィーを採用するのが好ましい。なお、イオン交換ク
ロマトグラフィーを採用した場合で展開剤の除去が必要
になるときに行う展開剤除去処理は、ここにいう分離精
製手段には入らないことは言うまでもない。通常は、単
独の分離精製手段の採用で十分その目的を達成すること
が出来るが、より高度の純度のものを得ようとする場合
には、他の分離精製手段を組み合わせることは勿論可能
である。
【0022】大豆材料としては、丸大豆や低温脱脂大豆
等を挙げることができるが、通常は植物油の製造工程で
発生する低温脱脂大豆が大量かつ安価に入手できるので
好ましい。
【0023】水性溶媒としては、無機酸や有機酸の溶液
いずれも可能であるが、該酸は、特にリン酸や酢酸、ク
エン酸、乳酸等の弱電解質の酸が好ましい。
【0024】本発明によれば、ホエーをそのままイオン
交換クロマトグラフィーに供することにより、トリプシ
ンインヒビターまたはクニッツ型トリプシンインヒビタ
ーを単独で分離精製することが可能であり、両者を安定
して純度90%以上に精製することができる。
【0025】大豆トリプシンインヒビターは、多くの大
豆蛋白質成分が含まれるプロテインボデーではなく、そ
の外の細胞質に局在するとされている(SMITH & CIRCLE
著「大豆タンパク質」建帛社(1974))が、プロテイ
ンボデーを破壊せずに細胞質のみから大豆トリプシンイ
ンヒビターを抽出することは行われていなかった。
【0026】このように、プロテインボデーを破壊せず
に大豆の細胞質のみから大豆トリプシンインヒビターを
抽出することは本発明が初めてであり、また、大豆抽出
液中の分離困難な成分の存在等からみて、該抽出物から
簡単な分離精製手段により高純度の大豆トリプシンイン
ヒビターを得ることができることは予想外のことであ
り、このことは、本発明の特異性を窺わせる。
【0027】以上、本発明により、大豆に含まれる生理
活性を持つ大豆トリプシンインヒビター成分を工業的に
安定に高純度かつ安価に精製することが可能となり、大
豆トリプシンインヒビターを医薬品原料として利用する
ことが可能となった。
【0028】また、本発明の方法によれば、他のアルブ
ミン成分も容易に高純度で得ることができる点において
も、本発明は非常に価値がある。
【0029】なお、大豆をリン酸処理(pH4.7、5
0℃)する技術としては、特開平2ー154646号公
報、特開平4ー173057号公報、特開平7ー107
974号公報等があるが、これらは、飼料用大豆(特開
平2ー154646号公報、特開平4ー173057号
公報)やβーアミラーゼ(特開平7ー107974号公
報)の製造に関するものであり、いずれも、トリプシン
インヒビターを得ることを目的とするものではないの
で、トリプシンインヒビターを得る方法についての記載
は全くないことからみて、これらは、本発明とは全く無
関係のものである。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明の実施
の態様を説明する。
【0031】なお、活性測定はpーtoluenesulfonyl-L-
arginine methyl ester (TAME)を基質に用いるHummelの
方法(Can. J. Biochem. Physiol., 37, 1393(1959))
に従ったトリプシンの活性測定法を用いて、1unitのト
リプシン活性を阻害する活性を1unitとした。
【0032】
【実施例1】低温脱脂大豆粉100gに対して、0.2
%(v/v)のリン酸水溶液1lを添加して撹拌した
後、pHを4.7に且つ温度を50℃に調整して、60
分間抽出した。遠心分離(8,800xg、15分)し
て抽出液を回収した。
【0033】得られた大豆ホエー100mlをミリポア
社製メンブレン濾過膜(タイプGS;孔径0.22μ
m)で除菌濾過し、イオン交換クロマトグラフィーに供
した。カラムはファルマシア製 DEAE-Sepharose FFを充
填し(φ1.6×12cm)、0.075M食塩を含む
10mMリン酸緩衝液(pH5.0)で平衝化した後、
試料を供し、平衝化に用いた緩衝液で洗浄後、0.07
5Mと0.25Mの食塩をそれぞれ含む緩衝液で直線的
濃度勾配を作成して溶出し、溶出液を10mlずつ分画
した。得られた画分をSDS電気泳動に供し、クニッツ
型トリプシンインヒビター溶出画分を合わせて、ファル
マシア製PDー10カラムを用いて脱塩し、精製試料を
得た。得られた精製試料は、SDS電気泳動でクニッツ
型トリプシンインヒビターの単独バンド(純度98%以
上)となり、総活性7,030unitが得られた。
【0034】
【実施例2】低温脱脂大豆粉100gに対して、0.2
%(v/v)のリン酸水溶液1lを添加して撹拌した
後、pHを4.7に且つ温度を50℃に調整して、60
分間抽出した。遠心分離(8,800xg、15分)し
て抽出液を回収した。
【0035】得られた大豆ホエー100mlを、6N水
酸化ナトリウム溶液でpH7.0に調整し、生じた沈殿
を遠心分離して除去した後、ミリポア社製メンブレン濾
過膜(タイプGS;孔径0.22μm)で除菌濾過し、
イオン交換クロマトグラフィーに供した。カラムはファ
ルマシア製 DEAE-Sepharose FFを充填し(φ1.6×1
2cm)、0.075M食塩を含む10mMリン酸緩衝
液(pH7.0)で平衝化した後、試料を供し、平衝化
に用いた緩衝液で洗浄後、0.075Mと0.25Mの
食塩をそれぞれ含む緩衝液で直線的濃度勾配を作成して
溶出し、溶出液を10mlずつ分画した。得られた画分
をSDS電気泳動に供し、クニッツ型トリプシンインヒ
ビター溶出画分を合わせて、ファルマシア製PDー10
カラムを用いて脱塩し、精製試料を得た。得られた精製
試料は、SDS電気泳動でクニッツ型トリプシンインヒ
ビターの単独バンド(純度98%以上)となり、総活性
9,500unitが得られた。
【0036】
【実施例3】低温脱脂大豆粉400gに対して、0.4
%(v/v)のリン酸水溶液4lを添加して撹拌した
後、pHを4.0に且つ温度を50℃に調整して、90
分間抽出した。遠心分離(8,800xg、15分)し
て抽出液を回収した。
【0037】得られた大豆ホエー3.5Lを6N水酸化
ナトリウム溶液でpH7.0に調整し、生じた沈殿を遠
心分離して除去した。上清をミリポア社製メンブレン濾
過膜(タイプGVLP;孔径0.2μm)で除菌濾過
し、イオン交換クロマトグラフィーに供した。TSKge
lDEAEートヨパール650Mを用い、φ8.9×1
5cmのカラムを作成し、10mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衝化した後、試料を供し、0.075M、
0.25M、0.50Mの食塩をそれぞれ含む緩衝液で
段階的に溶出した。0.25M食塩で溶出したトリプシ
ンインヒビターを、ファルマシア製 Sephadex Gー2
5を充填したカラムに供して脱塩した。
【0038】得られたトリプシンインヒビターは、SD
S電気泳動でクニッツ型トリプシンインヒビターとボー
マン・バーク型トリプシンインヒビターの混合物であ
り、トリプシンインヒビターとしての純度97%であっ
た。得られた総活性1,730,000unitであった。
【0039】
【実施例4】低温脱脂大豆粉100gに対して、0.2
%(v/v)のリン酸水溶液1lを添加して攪拌しなが
ら、pHを4.7、温度を50℃に調整して90分間抽
出し、遠心分離(8,800xg、15分)して抽出液
を回収した。得られた抽出液を50℃に保持しながら限
外濾過膜(NTU−3150;日東電工)を用いて10
倍に濃縮し、濃縮液を4℃にて24時間静置した。生じ
た沈殿を遠心分離して回収し、50mlの0.01規定
水酸化ナトリウム溶液に分散し、十分に攪拌した後、可
溶画分を吸引濾過して回収した。得られた濾液をミリポ
ア社製メンブレン濾過膜(タイプGS;孔径0.22μ
m)で除菌濾過した後、実施例2と同様の方法にてイオ
ン交換クロマトグラフィ−に供して精製クニッツ型トリ
プシンインヒビタ−を得た。得られた精製試料は、SD
S電気泳動でクニッツ型トリプシンインヒビタ−の単独
バンド(純度98%以上)となり、7,900unitが得
られた。
【0040】
【実施例5】低温脱脂大豆粉100gに対して、0.2
7%(v/v)リン酸水溶液をそれぞれ、0.2、0.
5、1.0、2.0、3.0 l添加してpHを4.5に保
持しながら50℃にて60分間抽出した。遠心分離
(8,800xg、15分)にてそれぞれ抽出液を回収
し、4℃に24時間保持した。生じた沈殿をデカンテ−
ションにより分取し、50mlの0.01規定のNaO
Hを加えて分散した後、0.11規定の水酸化ナトリウ
ム溶液を用いてpHを8.0に調整し、可溶画分を遠心
分離にて回収した。得られた溶液のpHを0.1規定の
塩酸を用いて7.0に調整し、実施例2と同様に陰イオ
ン交換クロマトグラフィ−に供し、脱塩してクニッツ型
トリプシンインヒビタ−を得た。それぞれの抽出液から
得られた精製試料の純度は、同等であった。回収率は、
表に示したようにリン酸水溶液の添加量が1.0 lで最
も良好であった。添加量が0.5 lよりも少なくなる
と、溶解度の関係でトリプシンインヒビタ−が十分に抽
出されないものと考えられる。一方、添加量が2.0 l
を越えると、その後の操作におけるロスが大きいばかり
でなく、処理量が多くなって操作が煩雑になるので実用
的ではない。 抽出時のリン酸溶液添加量(l) 0.2 0.5 1.0 2.0 3.0 活性回収量(unit) 3200 6500 7200 7000 5300
【比較例1】低温脱脂大豆100gに10倍量の蒸留水
を加えて、30℃に保温して2時間抽出した。遠心分離
をして抽出液を得、3N塩酸でpHを4.5に調整して
生じた沈殿を再び遠心分離して除去した。得られたホエ
ーをpH7.0に再度調整し、除菌濾過したのち実施例
2と同様に陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、脱
塩してトリプシンインヒビターを得た。得られたトリプ
シンインヒビターは、SDS電気泳動の結果、クニッツ
型トリプシンインヒビターを含み、純度73%であっ
た。
【0041】
【比較例2】低温脱脂大豆粉100gに対して、1.1
%(v/v)のリン酸水溶液1.0lを添加して撹拌し
た後、pHを2.0に調整して、撹拌しながら室温で9
0分間抽出した。遠心分離(8,800xg、15分)
して回収した抽出液を、6N水酸化ナトリウム溶液でp
Hを7.0に調整し、生じた沈殿を再び遠心分離して除
去した。得られたホエーを除菌濾過した後、実施例2と
同様に陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、脱塩し
てトリプシンインヒビターを得た。得られたトリプシン
インヒビターは、SDS電気泳動の結果、クニッツ型ト
リプシンインヒビターを含み、純度78%であった。
【0042】
【発明の効果】従来のものは、中性付近から弱アルカリ
の条件又は強酸性の条件下で可溶化させた蛋白質をpH
4.2付近の酸性条件で沈殿させてホエー中に残る少量
の蛋白質を分離した後、目的とする大豆トリプシンイン
ヒビターを得る方法であるが、このような方法では、蛋
白質の抽出時のプロテインボデーの破壊等により、ホエ
ー中には目的とする大豆トリプシンインヒビターの他
に、多くの不純物が残存するので、その後の精製には、
特定の精製方法の組合せが必要となる等、ホエーからの
大豆トリプシンインヒビターの分離には困難が伴ってい
た。
【0043】これに対して、本発明では、大豆の抽出時
にプロテインボデーの破壊等が生起しないので、その
分、ホエー中の不純物の量が少なくなる結果、ホエーか
ら簡単な分離手段、すなわち、実質的に単独の分離精製
手段より高純度の大豆トリプシンインヒビターを回収で
きる点で、本発明は非常に優れた方法である。
【0044】また、このように本発明によれば、ホエー
をそのままイオン交換クロマトグラフィー等に供すると
いう簡単な操作により、トリプシンインヒビターまたは
クニッツ型トリプシンインヒビターを単独で安定して純
度90%以上に分離精製することができるということ
は、取りも直さず、この両者が医薬の原料として価値が
高いだけに、本発明の技術に対し高い評価をしたとして
も当然である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 14/81 A61K 37/64 ADD

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大豆の抽出処理物に分離精製手段を施し
    て大豆トリプシンインヒビターを得る大豆トリプシンイ
    ンヒビターの製造方法において、抽出処理が水性溶媒
    中、pH3.0〜6.0で行われることを特徴とする高
    純度の大豆トリプシンインヒビターの製造方法。
  2. 【請求項2】 大豆の抽出処理物が、抽出液である請求
    項1記載の高純度の大豆トリプシンインヒビターの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 大豆の抽出処理物が、抽出液から生成す
    る沈殿物である請求項1記載の高純度の大豆トリプシン
    インヒビターの製造方法。
  4. 【請求項4】 大豆の抽出処理に用いる水性溶媒の量
    が、大豆の5〜20倍量である請求項1乃至請求項3の
    いずれか一つに記載の高純度の大豆トリプシンインヒビ
    ターの製造方法。
  5. 【請求項5】 抽出処理が水性溶媒中、pH4.0〜
    5.0で行われる請求項1乃至請求項4記載の高純度の
    大豆トリプシンインヒビターの製造方法。
  6. 【請求項6】 抽出処理が施される大豆が、低温脱脂大
    豆である請求項1乃至請求項5記載の高純度の大豆トリ
    プシンインヒビターの製造方法。
  7. 【請求項7】 水性溶媒が、リン酸水溶液である請求項
    1乃至請求項6のいずれか一つに記載の高純度の大豆ト
    リプシンインヒビターの製造方法。
  8. 【請求項8】 大豆トリプシンインヒビターが、クニッ
    ツ型トリプシンインヒビターである請求項1乃至請求項
    7のいずれか一つに記載の高純度の大豆トリプシンイン
    ヒビターの製造方法。
  9. 【請求項9】 分離精製手段が、単独の分離精製手段を
    含むものである請求項1乃至請求項8のいずれか一つに
    記載の高純度の大豆トリプシンインヒビターの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 分離精製手段が、イオン交換クロマト
    グラフィーで行われるものである請求項1乃至請求項9
    のいずれか一つに記載の高純度の大豆トリプシンインヒ
    ビターの製造方法。
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