JPH1072237A5 - - Google Patents
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- JPH1072237A5 JPH1072237A5 JP1997145495A JP14549597A JPH1072237A5 JP H1072237 A5 JPH1072237 A5 JP H1072237A5 JP 1997145495 A JP1997145495 A JP 1997145495A JP 14549597 A JP14549597 A JP 14549597A JP H1072237 A5 JPH1072237 A5 JP H1072237A5
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Description
【書類名】明細書
【発明の名称】無アルカリガラスおよび液晶ディスプレイパネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪点が640℃以上であって、重量%表示で実質的に、SiO2 :58.4〜66.0%、Al2 O3 :15.3〜22.0%、B2 O3 :5.0〜12.0%、MgO:3.9〜6.5%、CaO:0〜7.0%、SrO:4.0〜12.5%、BaO:0〜2.0%未満、MgO+CaO+SrO+BaO:9.0〜18.0%からなる無アルカリガラス。
【請求項2】
PbO、As2 O3 およびSb2 O3 を実質的に含有しない請求項1記載の無アルカリガラス。
【請求項3】
密度が2.60g/cc未満である請求項1または2記載の無アルカリガラス。
【請求項4】
熱膨張係数が40×10-7/℃未満である請求項1、2または3記載の無アルカリガラス。
【請求項5】
リンの含有量が原子重量表示で20ppm以下である請求項1、2、3または4記載の無アルカリガラス。
【請求項6】
セルを形成する1対の基板のうちの少なくとも一方の基板として請求項1、2、3、4または5記載の無アルカリガラスを用いた液晶ディスプレイパネル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ディスプレイやフォトマスク用基板ガラスとして好適な、アルカリ金属酸化物を実質上含有せずフロート成形可能な、無アルカリガラスおよびそれを用いた液晶ディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種ディスプレイ用基板ガラス、特に表面に金属または酸化物薄膜等を形成させるものでは、以下の特性が要求される。
【0003】
(1)アルカリ金属酸化物を含有すると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して、膜特性を劣化させるため、実質的にアルカリ金属イオンを含まないこと。
(2)薄膜形成工程で高温にさらされるので、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う収縮を最小限に抑えるため、高い歪点を有すること。
(3)半導体形成に用いられる各種薬品に対して充分な化学耐久性を有すること。特にSiOx やSiNx のエッチングのためのフッ酸、フッ化アンモニウム等を主成分とするバッファードフッ酸(BHF)に対して耐久性があること。
(4)内部および表面に欠点(泡、脈理、インクルージョン、ピット、キズ、等)をもたないこと。
【0004】
従来、各種ディスプレイやフォトマスク用基板ガラスとしてコーニングコード7059ガラスが広く用いられている。しかし、このガラスにはデイスプレイ用として以下に示す不充分な点があった。
【0005】
(1)歪点が593℃と低いので、ディスプレイ作製工程におけるガラスの収縮を低減するための前熱処理を、工程前に行わなければならない。
(2)金属電極や透明導電膜(ITOなど)のエッチングに用いる塩酸等への溶出量が多く、ディスプレイ作製工程中で溶出物が再結晶するなどして、ディスプレイ作製に困難がある。
【0006】
上記要求に加えて、近年、ディスプレイが大型化するに伴い次の2点が新たに要求されてきた。
(1)上記コード7059ガラスの密度は2.76g/ccであり、さらに軽量化を図るため密度の小さいものが必要である。
(2)上記コード7059ガラスの熱膨張係数が46×10-7/℃であり、ディスプレイ作製時の昇降温速度を上げ、生産効率を上げるため、さらに熱膨張係数の小さいものが必要である。
【0007】
B2 O3 に関しては、特開平1−160844にはB2 O3 を20〜23カチオン%含有するものが開示されているが、B2 O3 量が多く歪点が充分には高くない。特開昭61−281041にはB2 O3 を0.1〜4重量%、特開平4−175242にはB2 O3 を0.1〜5モル%、特開平4−325435にはB2 O3 を0〜3重量%、含有するものが開示されているが、B2 O3 量が少なくBHFに対する耐久性が充分ではない。
【0008】
BaOに関しては、特開平4−325434にはBaOを10〜20重量%、特開昭63−74935にはBaOを10〜22重量%、特開昭59−169953にはBaOを15〜40重量%、含有するものが開示されているが、BaOが多く熱膨張係数が大きいうえ、密度も大きい。
【0009】
MgOに関しては、特開昭61−132536にはMgOを6.5〜12重量%、特開昭59−116147にはMgOを5〜15重量%、特開昭60−71540にはMgOを5〜17重量%、特開昭60−42246にはMgOを10〜25モル%、含有するものが開示されているが、MgOを多く含有したガラスは分相がおきやすくなる。
【0010】
CaOに関しては、特開昭63−176332にはCaOを11〜25重量%、特開昭58−32038にはCaOを7〜20モル%、特開平2−133334にはCaOを8〜15重量%、特開平3−174336にはCaOを7〜12重量%、特開平6−40739にはCaOを10〜12重量%、特開平5−201744にはCaOを18カチオン%以上、含有するものが開示されているが、CaOを多量に含有すると熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
【0011】
Al2 O3 に関しては、特開昭61−236631にはAl2 O3 を22.5〜35重量%、含有するものが開示されているが、Al2 O3 量が多く塩酸等への薬品への溶出が多い。
【0012】
P2 O5 に関しては、特開昭61−261232、特開昭63−11543、にはP2 O5 を含有するものが開示されているが、薄膜の半導体特性を悪化させ好ましくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
また、歪点が640℃以上で、熱膨張係数が比較的小さいガラスは、特開平4−160030、特開平6−263473に記載されている。しかし、このガラスはBaOを相当量必須としているので、低密度と低熱膨張係数の両立が難しく、より大型化をめざすという時代の要請に完全にこたえたものになっていない。
【0014】
本発明の目的は、上記欠点を解決するとともに、歪点が640℃以上で、熱膨張係数、密度が小さく、BHFにより白濁をおこさず、塩酸等の薬品への耐久性も優れ、熔解・成形が容易で、フロート成形が可能な無アルカリガラスを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、歪点が640℃以上であって、重量%表示で実質的に、SiO2 :58.4〜66.0%、Al2 O3 :15.3〜22.0%、B2 O3 :5.0〜12.0%、MgO:3.9〜6.5%、CaO:0〜7.0%、SrO:4.0〜12.5%、BaO:0〜2.0%未満、MgO+CaO+SrO+BaO:9.0〜18.0%からなる無アルカリガラスである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の無アルカリガラスはアルカリ金属酸化物(例えばNa2 O、K2 Oなど)を実質的に含有しないものである。具体的にはアルカリ金属酸化物が総量で0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下とされる。
【0017】
上記の通り各成分の組成範囲を限定した理由について述べる。
SiO2 はその含有量が少なすぎると、歪点が充分に上げられないとともに、化学耐久性が悪化し、熱膨張係数が増大する。好ましくは59.0重量%以上である。多すぎると、熔解性が低下し、失透温度が上昇する。好ましくは65.0重量%以下、より好ましくは62.7重量%以下である。
【0018】
Al2 O3 はガラスの分相性を抑制し、熱膨張係数を下げ、歪点を上げる。その含有量が少なすぎると、この効果があらわれない。好ましくは15.3重量%以上である。多すぎると、ガラスの熔解性が悪くなる。好ましくは21.1重量%以下である。
【0019】
B2 O3 はBHFによる白濁発生を防止し、高温での粘性を高くさせずに熱膨張係数と密度の低下を達成できる。その含有量が少なすぎると、BHF性が悪化する。好ましくは5.2重量%以上である。多すぎると、耐酸性が悪くなるとともに歪点が低くなる。好ましくは10.2重量%以下である。
【0020】
MgOはアルカリ土類金属酸化物の中では熱膨張係数を低くし、かつ歪点が低下しないため、必須ではないが、含有させることができる。その含有量が多すぎると、BHFによる白濁やガラスの分相が生じやすくなる。好ましくは6.0重量%以下である。
【0021】
CaOは必須ではないが、含有することによりガラスの熔解性を向上させうる。一方、多すぎると、熱膨張係数を大きくし、失透温度を上げてしまう。好ましくは6.6重量%以下である。
【0022】
SrOはガラスの分相を抑制し、BHFによる白濁に対し比較的有用な成分であるため、必須とされる。好ましくは4.6重量%以上である。その含有量が多すぎると、熱膨張係数が増大する。好ましくは12.1重量%以下である。
【0023】
BaOは、ガラスの分相を抑制し、熔解性を向上させ、失透温度を抑制する効果を有する成分である。しかし、その含有量が多すぎると、密度が大きくなり、熱膨張係数を増大させる傾向が強い。より密度が小さく熱膨張係数を小さくするという観点では、1.8重量%以下、特に0.9重量%以下が好ましく、さらに、不純物として含有される量を超えて(すなわち実質的に)含有されないことがより好ましい。
【0024】
MgO+CaO+SrO+BaOは、その合量が少なすぎると、熔解を困難にさせる。好ましくは10.9重量%以上である。多すぎると、密度が大きくなる。好ましくは17.4重量%以下である。
【0025】
近年、液晶表示装置としてすでに商品化されているアモルファスシリコンタイプのTFTを使用したものに対して、ポリシリコンタイプのTFTが提案され、使用されてきている。ポリシリコンタイプのTFTは、(1)トランジスタの易動度を上げうるので、1画素あたりの制御時間が短くなり、LCDの高精細化が可能になる、(2)画面周辺に駆動用ICを実装することが可能になる、などの利点がある反面、作製工程での強い熱処理(例えば、500〜600℃×数時間)が必要になる。
【0026】
このような高温では、ガラス中の不純物がTFTに拡散して、リーク電流が増大し、TFT特性を悪化させ、高精細のTFT作製を難しくするおそれがある。このような不純物でもっとも問題視されるのは、リンである。ガラス基板にTFTを形成する際、熱処理によってリンがTFT中に拡散し、リーク電流を増大させ、TFT特性を悪化させるおそれがあるため、本発明では、リンは原子(カチオン)重量表示で20ppm以下にされることが好ましい。
【0027】
本発明のガラスは上記成分以外にガラスの熔解性、清澄性、成形性を改善するため、ZnO、SO3 、F、Clを総量で5モル%以下添加できる。
また、PbO、As2 O3 またはSb2 O3 を含むとガラスカレットの処理に工数を多く必要とするので不純物等として不可避的に混入するものを除き含有しないことが好ましい。
【0028】
かくして本発明において好ましい態様のガラスの組成は、例えば、重量%表示で実質的に、SiO2 :59.0〜62.7%、Al2 O3 :15.3〜21.1%、B2 O3 :5.2〜10.2%、MgO:3.9〜6.0%、CaO:0〜6.6%、SrO:4.6〜12.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:10.9〜17.4%からなるものである。
【0029】
本発明のガラスは、歪点が640℃以上である。また、歪点が650℃以上であることが好ましい。熱膨張係数については、40×10-7/℃未満であることが好ましく、特に、30×10-7/℃以上40×10-7/℃未満であることが好ましい。密度については、2.60g/cc未満であることが好ましく、より好ましくは2.55g/cc未満であり、もっとも好ましくは2.50g/cc未満である。
【0030】
また、本発明のガラスは、フロート法の成形における成形温度(粘度が104 ポイズになる温度)が失透温度より低くないので、フロート成形に適したものになっている。
【0031】
本発明のガラスは、例えば次のような方法で製造できる。すなわち、通常使用される各成分の原料を目標成分になるように調合し、これを熔解炉に連続的に投入し、1500〜1600℃に加熱して熔融する。この熔融ガラスをフロート法により所定の板厚に成形し、徐冷後切断する。こうして得られたガラス板は、液晶ディスプレイのセルを形成する1対の基板のうちの少なくとも一方の基板として使用される。
【0032】
【実施例】
各成分の原料を目標組成になるように調合し、白金坩堝を用いて1500〜1600℃の温度で熔解した。熔解にあたっては、白金スターラを用い撹拌しガラスの均質化を行った。次いで熔解ガラスを流し出し、板状に成形後徐冷した。
【0033】
表1〜表4には、こうして得られたガラス組成と熱膨張係数、高温粘度、失透温度、歪点、密度、耐酸性、耐BHF性を示した。表5〜表8は、表1〜表4の組成をモル%換算したものである。例23〜27は実施例、例1〜22および例28〜34は比較例である。特に、例28〜32には、リンの含有量(原子重量ppm)と、TFT特性を示すリーク電流を併記した。
【0034】
熱膨張係数は単位:10-7/℃で示し、高温粘度は粘度が102 、104 ポイズとなる温度(単位:℃)で示し、失透温度、歪点は単位:℃で示し、密度は単位:g/ccで示した。歪点(単位:℃)はJIS R3103に従って測定した。
【0035】
耐酸性は、90℃の0.1規定のHCl中に20時間浸漬後の単位面積あたりの重量減少量(単位:mg/cm2 )で示す。耐酸性は0.3mg/cm2 以下であることが好ましく、0.2mg/cm2 以下であることが特に好ましい。
【0036】
耐BHF性は、NH4 F/HF混液(40重量%NH4 F水溶液と50重量%HF水溶液とを体積比で9:1に混合した液)中に25℃で20分浸漬後の単位面積あたりの重量減少量(単位:mg/cm2 )で示す。耐BHF性は0.7mg/cm2 以下であることが好ましく、0.6mg/cm2 以下であることが特に好ましい。
【0037】
リーク電流は、電極長さ10μmのポリシリコンタイプTFTをガラス基板上に作成し、ゲート電圧を−5V、ソース電圧を0V、ドレイン電圧を+10Vとしたときのリーク電流(単位:pA)を測定した。リーク電流は50pA程度以下であることが好ましい。
【0038】
例23〜27のガラスは、熱膨張係数は30×10-7〜40×10-7/℃と低い値を示し、歪点は640℃以上と高い値を示し、高温での熱処理に充分耐えられる。密度も2.60g/cc未満で従来のコーニングコード7059ガラスの2.76g/ccよりはるかに小さい。化学的特性に関してもBHFにより白濁を生じにくく、耐酸性にも優れる。熔解の目安となる102 ポイズに相当する温度も比較的低く熔解が容易であり、成形性の目安となる104 ポイズに相当する温度が失透温度以上になっており、フロート成形時に失透が生成するなどのトラブルがないと考えられる。
【0039】
一方、本発明の範囲外の組成である例33、例34は熱膨張係数が大きく、密度が比較的大きい。また、例32はリンの含有量が大きく、リーク電流が大きくなっている。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
【発明の効果】
本発明によるガラスは、フロート法による成形が可能である。また、BHFによる白濁が生じにくく、耐酸性に優れ、耐熱性が高く、低い熱膨張係数を有するのでディスプレイ用基板、フォトマスク基板として適する。特に、密度が非常に小さいので、大型のTFTタイプのディスプレイ基板等に好適である。
【発明の名称】無アルカリガラスおよび液晶ディスプレイパネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪点が640℃以上であって、重量%表示で実質的に、SiO2 :58.4〜66.0%、Al2 O3 :15.3〜22.0%、B2 O3 :5.0〜12.0%、MgO:3.9〜6.5%、CaO:0〜7.0%、SrO:4.0〜12.5%、BaO:0〜2.0%未満、MgO+CaO+SrO+BaO:9.0〜18.0%からなる無アルカリガラス。
【請求項2】
PbO、As2 O3 およびSb2 O3 を実質的に含有しない請求項1記載の無アルカリガラス。
【請求項3】
密度が2.60g/cc未満である請求項1または2記載の無アルカリガラス。
【請求項4】
熱膨張係数が40×10-7/℃未満である請求項1、2または3記載の無アルカリガラス。
【請求項5】
リンの含有量が原子重量表示で20ppm以下である請求項1、2、3または4記載の無アルカリガラス。
【請求項6】
セルを形成する1対の基板のうちの少なくとも一方の基板として請求項1、2、3、4または5記載の無アルカリガラスを用いた液晶ディスプレイパネル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ディスプレイやフォトマスク用基板ガラスとして好適な、アルカリ金属酸化物を実質上含有せずフロート成形可能な、無アルカリガラスおよびそれを用いた液晶ディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種ディスプレイ用基板ガラス、特に表面に金属または酸化物薄膜等を形成させるものでは、以下の特性が要求される。
【0003】
(1)アルカリ金属酸化物を含有すると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して、膜特性を劣化させるため、実質的にアルカリ金属イオンを含まないこと。
(2)薄膜形成工程で高温にさらされるので、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う収縮を最小限に抑えるため、高い歪点を有すること。
(3)半導体形成に用いられる各種薬品に対して充分な化学耐久性を有すること。特にSiOx やSiNx のエッチングのためのフッ酸、フッ化アンモニウム等を主成分とするバッファードフッ酸(BHF)に対して耐久性があること。
(4)内部および表面に欠点(泡、脈理、インクルージョン、ピット、キズ、等)をもたないこと。
【0004】
従来、各種ディスプレイやフォトマスク用基板ガラスとしてコーニングコード7059ガラスが広く用いられている。しかし、このガラスにはデイスプレイ用として以下に示す不充分な点があった。
【0005】
(1)歪点が593℃と低いので、ディスプレイ作製工程におけるガラスの収縮を低減するための前熱処理を、工程前に行わなければならない。
(2)金属電極や透明導電膜(ITOなど)のエッチングに用いる塩酸等への溶出量が多く、ディスプレイ作製工程中で溶出物が再結晶するなどして、ディスプレイ作製に困難がある。
【0006】
上記要求に加えて、近年、ディスプレイが大型化するに伴い次の2点が新たに要求されてきた。
(1)上記コード7059ガラスの密度は2.76g/ccであり、さらに軽量化を図るため密度の小さいものが必要である。
(2)上記コード7059ガラスの熱膨張係数が46×10-7/℃であり、ディスプレイ作製時の昇降温速度を上げ、生産効率を上げるため、さらに熱膨張係数の小さいものが必要である。
【0007】
B2 O3 に関しては、特開平1−160844にはB2 O3 を20〜23カチオン%含有するものが開示されているが、B2 O3 量が多く歪点が充分には高くない。特開昭61−281041にはB2 O3 を0.1〜4重量%、特開平4−175242にはB2 O3 を0.1〜5モル%、特開平4−325435にはB2 O3 を0〜3重量%、含有するものが開示されているが、B2 O3 量が少なくBHFに対する耐久性が充分ではない。
【0008】
BaOに関しては、特開平4−325434にはBaOを10〜20重量%、特開昭63−74935にはBaOを10〜22重量%、特開昭59−169953にはBaOを15〜40重量%、含有するものが開示されているが、BaOが多く熱膨張係数が大きいうえ、密度も大きい。
【0009】
MgOに関しては、特開昭61−132536にはMgOを6.5〜12重量%、特開昭59−116147にはMgOを5〜15重量%、特開昭60−71540にはMgOを5〜17重量%、特開昭60−42246にはMgOを10〜25モル%、含有するものが開示されているが、MgOを多く含有したガラスは分相がおきやすくなる。
【0010】
CaOに関しては、特開昭63−176332にはCaOを11〜25重量%、特開昭58−32038にはCaOを7〜20モル%、特開平2−133334にはCaOを8〜15重量%、特開平3−174336にはCaOを7〜12重量%、特開平6−40739にはCaOを10〜12重量%、特開平5−201744にはCaOを18カチオン%以上、含有するものが開示されているが、CaOを多量に含有すると熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
【0011】
Al2 O3 に関しては、特開昭61−236631にはAl2 O3 を22.5〜35重量%、含有するものが開示されているが、Al2 O3 量が多く塩酸等への薬品への溶出が多い。
【0012】
P2 O5 に関しては、特開昭61−261232、特開昭63−11543、にはP2 O5 を含有するものが開示されているが、薄膜の半導体特性を悪化させ好ましくない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
また、歪点が640℃以上で、熱膨張係数が比較的小さいガラスは、特開平4−160030、特開平6−263473に記載されている。しかし、このガラスはBaOを相当量必須としているので、低密度と低熱膨張係数の両立が難しく、より大型化をめざすという時代の要請に完全にこたえたものになっていない。
【0014】
本発明の目的は、上記欠点を解決するとともに、歪点が640℃以上で、熱膨張係数、密度が小さく、BHFにより白濁をおこさず、塩酸等の薬品への耐久性も優れ、熔解・成形が容易で、フロート成形が可能な無アルカリガラスを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、歪点が640℃以上であって、重量%表示で実質的に、SiO2 :58.4〜66.0%、Al2 O3 :15.3〜22.0%、B2 O3 :5.0〜12.0%、MgO:3.9〜6.5%、CaO:0〜7.0%、SrO:4.0〜12.5%、BaO:0〜2.0%未満、MgO+CaO+SrO+BaO:9.0〜18.0%からなる無アルカリガラスである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の無アルカリガラスはアルカリ金属酸化物(例えばNa2 O、K2 Oなど)を実質的に含有しないものである。具体的にはアルカリ金属酸化物が総量で0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下とされる。
【0017】
上記の通り各成分の組成範囲を限定した理由について述べる。
SiO2 はその含有量が少なすぎると、歪点が充分に上げられないとともに、化学耐久性が悪化し、熱膨張係数が増大する。好ましくは59.0重量%以上である。多すぎると、熔解性が低下し、失透温度が上昇する。好ましくは65.0重量%以下、より好ましくは62.7重量%以下である。
【0018】
Al2 O3 はガラスの分相性を抑制し、熱膨張係数を下げ、歪点を上げる。その含有量が少なすぎると、この効果があらわれない。好ましくは15.3重量%以上である。多すぎると、ガラスの熔解性が悪くなる。好ましくは21.1重量%以下である。
【0019】
B2 O3 はBHFによる白濁発生を防止し、高温での粘性を高くさせずに熱膨張係数と密度の低下を達成できる。その含有量が少なすぎると、BHF性が悪化する。好ましくは5.2重量%以上である。多すぎると、耐酸性が悪くなるとともに歪点が低くなる。好ましくは10.2重量%以下である。
【0020】
MgOはアルカリ土類金属酸化物の中では熱膨張係数を低くし、かつ歪点が低下しないため、必須ではないが、含有させることができる。その含有量が多すぎると、BHFによる白濁やガラスの分相が生じやすくなる。好ましくは6.0重量%以下である。
【0021】
CaOは必須ではないが、含有することによりガラスの熔解性を向上させうる。一方、多すぎると、熱膨張係数を大きくし、失透温度を上げてしまう。好ましくは6.6重量%以下である。
【0022】
SrOはガラスの分相を抑制し、BHFによる白濁に対し比較的有用な成分であるため、必須とされる。好ましくは4.6重量%以上である。その含有量が多すぎると、熱膨張係数が増大する。好ましくは12.1重量%以下である。
【0023】
BaOは、ガラスの分相を抑制し、熔解性を向上させ、失透温度を抑制する効果を有する成分である。しかし、その含有量が多すぎると、密度が大きくなり、熱膨張係数を増大させる傾向が強い。より密度が小さく熱膨張係数を小さくするという観点では、1.8重量%以下、特に0.9重量%以下が好ましく、さらに、不純物として含有される量を超えて(すなわち実質的に)含有されないことがより好ましい。
【0024】
MgO+CaO+SrO+BaOは、その合量が少なすぎると、熔解を困難にさせる。好ましくは10.9重量%以上である。多すぎると、密度が大きくなる。好ましくは17.4重量%以下である。
【0025】
近年、液晶表示装置としてすでに商品化されているアモルファスシリコンタイプのTFTを使用したものに対して、ポリシリコンタイプのTFTが提案され、使用されてきている。ポリシリコンタイプのTFTは、(1)トランジスタの易動度を上げうるので、1画素あたりの制御時間が短くなり、LCDの高精細化が可能になる、(2)画面周辺に駆動用ICを実装することが可能になる、などの利点がある反面、作製工程での強い熱処理(例えば、500〜600℃×数時間)が必要になる。
【0026】
このような高温では、ガラス中の不純物がTFTに拡散して、リーク電流が増大し、TFT特性を悪化させ、高精細のTFT作製を難しくするおそれがある。このような不純物でもっとも問題視されるのは、リンである。ガラス基板にTFTを形成する際、熱処理によってリンがTFT中に拡散し、リーク電流を増大させ、TFT特性を悪化させるおそれがあるため、本発明では、リンは原子(カチオン)重量表示で20ppm以下にされることが好ましい。
【0027】
本発明のガラスは上記成分以外にガラスの熔解性、清澄性、成形性を改善するため、ZnO、SO3 、F、Clを総量で5モル%以下添加できる。
また、PbO、As2 O3 またはSb2 O3 を含むとガラスカレットの処理に工数を多く必要とするので不純物等として不可避的に混入するものを除き含有しないことが好ましい。
【0028】
かくして本発明において好ましい態様のガラスの組成は、例えば、重量%表示で実質的に、SiO2 :59.0〜62.7%、Al2 O3 :15.3〜21.1%、B2 O3 :5.2〜10.2%、MgO:3.9〜6.0%、CaO:0〜6.6%、SrO:4.6〜12.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:10.9〜17.4%からなるものである。
【0029】
本発明のガラスは、歪点が640℃以上である。また、歪点が650℃以上であることが好ましい。熱膨張係数については、40×10-7/℃未満であることが好ましく、特に、30×10-7/℃以上40×10-7/℃未満であることが好ましい。密度については、2.60g/cc未満であることが好ましく、より好ましくは2.55g/cc未満であり、もっとも好ましくは2.50g/cc未満である。
【0030】
また、本発明のガラスは、フロート法の成形における成形温度(粘度が104 ポイズになる温度)が失透温度より低くないので、フロート成形に適したものになっている。
【0031】
本発明のガラスは、例えば次のような方法で製造できる。すなわち、通常使用される各成分の原料を目標成分になるように調合し、これを熔解炉に連続的に投入し、1500〜1600℃に加熱して熔融する。この熔融ガラスをフロート法により所定の板厚に成形し、徐冷後切断する。こうして得られたガラス板は、液晶ディスプレイのセルを形成する1対の基板のうちの少なくとも一方の基板として使用される。
【0032】
【実施例】
各成分の原料を目標組成になるように調合し、白金坩堝を用いて1500〜1600℃の温度で熔解した。熔解にあたっては、白金スターラを用い撹拌しガラスの均質化を行った。次いで熔解ガラスを流し出し、板状に成形後徐冷した。
【0033】
表1〜表4には、こうして得られたガラス組成と熱膨張係数、高温粘度、失透温度、歪点、密度、耐酸性、耐BHF性を示した。表5〜表8は、表1〜表4の組成をモル%換算したものである。例23〜27は実施例、例1〜22および例28〜34は比較例である。特に、例28〜32には、リンの含有量(原子重量ppm)と、TFT特性を示すリーク電流を併記した。
【0034】
熱膨張係数は単位:10-7/℃で示し、高温粘度は粘度が102 、104 ポイズとなる温度(単位:℃)で示し、失透温度、歪点は単位:℃で示し、密度は単位:g/ccで示した。歪点(単位:℃)はJIS R3103に従って測定した。
【0035】
耐酸性は、90℃の0.1規定のHCl中に20時間浸漬後の単位面積あたりの重量減少量(単位:mg/cm2 )で示す。耐酸性は0.3mg/cm2 以下であることが好ましく、0.2mg/cm2 以下であることが特に好ましい。
【0036】
耐BHF性は、NH4 F/HF混液(40重量%NH4 F水溶液と50重量%HF水溶液とを体積比で9:1に混合した液)中に25℃で20分浸漬後の単位面積あたりの重量減少量(単位:mg/cm2 )で示す。耐BHF性は0.7mg/cm2 以下であることが好ましく、0.6mg/cm2 以下であることが特に好ましい。
【0037】
リーク電流は、電極長さ10μmのポリシリコンタイプTFTをガラス基板上に作成し、ゲート電圧を−5V、ソース電圧を0V、ドレイン電圧を+10Vとしたときのリーク電流(単位:pA)を測定した。リーク電流は50pA程度以下であることが好ましい。
【0038】
例23〜27のガラスは、熱膨張係数は30×10-7〜40×10-7/℃と低い値を示し、歪点は640℃以上と高い値を示し、高温での熱処理に充分耐えられる。密度も2.60g/cc未満で従来のコーニングコード7059ガラスの2.76g/ccよりはるかに小さい。化学的特性に関してもBHFにより白濁を生じにくく、耐酸性にも優れる。熔解の目安となる102 ポイズに相当する温度も比較的低く熔解が容易であり、成形性の目安となる104 ポイズに相当する温度が失透温度以上になっており、フロート成形時に失透が生成するなどのトラブルがないと考えられる。
【0039】
一方、本発明の範囲外の組成である例33、例34は熱膨張係数が大きく、密度が比較的大きい。また、例32はリンの含有量が大きく、リーク電流が大きくなっている。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】
【表8】
【0048】
【発明の効果】
本発明によるガラスは、フロート法による成形が可能である。また、BHFによる白濁が生じにくく、耐酸性に優れ、耐熱性が高く、低い熱膨張係数を有するのでディスプレイ用基板、フォトマスク基板として適する。特に、密度が非常に小さいので、大型のTFTタイプのディスプレイ基板等に好適である。
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