JPH1075779A - ビリルビンオキシダーゼの安定化 - Google Patents

ビリルビンオキシダーゼの安定化

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JPH1075779A
JPH1075779A JP23643596A JP23643596A JPH1075779A JP H1075779 A JPH1075779 A JP H1075779A JP 23643596 A JP23643596 A JP 23643596A JP 23643596 A JP23643596 A JP 23643596A JP H1075779 A JPH1075779 A JP H1075779A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビリルビンオキシダーゼを液状で長期間安定
化すること。 【解決手段】 pH7.0〜12.0の間に緩衝能をも
たせたビリルビンオキシダーゼ含有液に下記一般式
(1)、(2)または(3)で示される含窒素複素環化合物の
メルカプト誘導体の一種または二種以上を添加すること
を特徴とする。 【化1】 【効果】 液状でのビリルビンオキシダーゼの安定性が
飛躍的に向上し、ビリルビンオキシダーゼ試薬を用いる
測定操作が簡便に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビリルビンオキシ
ダーゼの安定化方法、さらに詳しくは、ビリルビンオキ
シダーゼを液状で保存する場合において、ビリルビンオ
キシダーゼの酵素活性を長期間安定に保持することので
きる安定化方法および該方法を適用したビリルビンオキ
シダーゼ試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】ビリルビンオキシダーゼは、ビリルビン
をビリベルジンに酸化させる反応を触媒する酵素であ
り、臨床検査上、生体中のビリルビンの光学的測定法お
よび測定試薬に用いられる。ビリルビンオキシダーゼを
用いてビリルビンを測定する試薬(本明細書において
は、ビリルビンオキシダーゼ試薬と称する)としては総
ビリルビン測定用試薬および直接ビリルビン測定用試薬
とが挙げられ、ビリルビンオキシダーゼはその凍結乾燥
品のごとき粉末を緩衝液に溶解ないしは分散し、水性液
状にして使用される。総ビリルビン測定用試薬には、p
H6.0〜9.0の範囲の緩衝液、例えば、N−(2−ア
セトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(略称AC
ES)緩衝液などのグッド緩衝液、またはリン酸緩衝液
が用いられ、反応促進のために、コール酸ナトリウム、
ラウリル硫酸ナトリウム(略称SDS)などの直接化剤
を該緩衝液に添加するのが好ましい。
【0003】直接ビリルビン測定用試薬には、pH3.
0〜4.5の範囲の緩衝液、例えば、乳酸−乳酸ナトリ
ウム緩衝液、クエン酸緩衝液などが用いられる。ビリル
ビンオキシダーゼとしては、例えば、ミロセシウム属由
来ビリルビンオキシダーゼ、エビタケ(Trachydermatsum
odae)の産生するビリルビンオキシダーゼ等多くのもの
が知られており、その使用量は所望の酵素活性を示す範
囲で適宣用いられるが、通常、反応液中に0.04〜1
0単位/ml、好ましくは、総ビリルビン測定用には0.
08〜4単位/ml、直接ビリルビン測定用には、0.4
〜8単位/mlの範囲で用いられる。ところが、ビリルビ
ンオキシダーゼは、液状で非常に不安定で、低温におい
てもpH9.2〜9.7の0.1Mリン酸緩衝液中で96時
間安定であるに過ぎず[アグリカルチュラル・アンド・
バイオロジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)、第
46巻第8号、2031〜2034頁、1982年]、
また、常温(25℃)において本酵素の安定pHで保存
する場合であっても、14日間後には、10.5%の残
存活性しか示さない。
【0004】一般に、ビリルビンオキシダーゼ試薬は凍
結乾燥品のごとき粉末で市販されているが、この場合、
用時、必要量を液状に調製しなければならず、手間がか
かるほか、一旦調製すると短期間のうちに使用しなけれ
ばならない。一方、ビリルビンオキシダーゼ試薬が液状
で入手できれば、ビリルビンの測定操作を簡便に行うこ
とができるが、そのためにはビリルビンオキシダーゼが
液状で長期間安定であることが必要である。従来、ビリ
ルビンオキシダーゼを液状で安定化する方法として、p
H8以上、好ましくはpH8〜10のアルカリ性緩衝液
で、例えばジエチルバルビツール酸ナトリウム・塩酸緩
衝液、トリスヒドロキシアミノメタン・塩酸緩衝液な
ど、または、これらの緩衝液に乳糖アラニン、グリシ
ン、牛アルブミン、シクロデキストリン等の安定化剤、
窒化ソーダ等を適宣添加配合した溶液で保存する方法
(特開昭60-151561)、pH7〜9付近のリン酸緩衝液、
トリス・塩酸塩緩衝液、ジメチルグルタル酸−NaOH
緩衝液で保存する方法(特開昭61-209587)、そしてpH
5〜10.5の0.1Mリン酸緩衝液で保存する方法(特
公昭62-33880)等が知られている。しかし、これらの方
法を用いてもビリルビンオキシダーゼの活性を長期間保
持することは困難である。
【0005】また、ビリルビンオキシダーゼの活性を安
定化する他の方法として、アスパラギン酸および/又は
トリプトファンを添加する方法(特開平6−28488
6)があり、これらの安定化剤の中で、トリプトファン
に安定化効果があるが、ビリルビンオキシダーゼ含有試
液にトリプトファンを添加した場合、保存中に徐々に茶
色に着色してしまい、吸光度変化を測定するビリルビン
測定用試薬には不向きである。最近、ビリルビンオキシ
ダーゼの活性を長期間安定に保持する方法として、ハロ
ゲン化物によるビリルビンオキシダーゼの安定化方法
(特開平7−203962)および、N,N−ビス(2−
ヒドロキシエチル)グリシン等の緩衝剤と酒石酸ナトリ
ウムカリウム等のカルボン酸類によるビリルビンオキシ
ダーゼの安定化方法(特開平8−66196)等が公開
された。これらの安定化方法を用いれば、冷蔵(7℃)
で一年間保存後でも約50%の残存活性を保持すること
ができるが、さらなる長期安定化が望まれていた。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】かかる事情に鑑み、
本発明は、不安定なビリルビンオキシダーゼを水性液状
で長期間安定に保存する方法、および、該方法を適用し
た安定なビリルビンオキシダーゼ試薬を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、意外にも、一般式(1):
【化4】 [式中、R1とR2は共に水素原子であるか、または一緒
になって、低級アルキル基で置換されていてもよいベン
ゼン環を形成する。R3は水素原子または低級アルキル
基である]; 一般式(2)
【化5】 [式中、R4およびR5のいずれか一方は水素原子または
低級アルキル基であり、他方はそれが結合する窒素原子
と隣接する5位の炭素原子との間で二重結合を形成す
る];または一般式(3):
【化6】 : [式中、R6は水素原子または低級アルキル基である]
で示される含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体の一
種または二種以上を液状のビリルビンオキシダーゼ試薬
に添加することにより、ビリルビンオキシダーゼの安定
性が飛躍的に向上することを見いだし、本発明を完成す
るに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、ビリルビンオキシダー
ゼ含有液に前記一般式(1)、(2)または(3)で示される
含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体の一種または二
種以上を配合することを特徴とするビリルビンオキシダ
ーゼの安定化方法、およびそのように調製される安定な
ビリルビンオキシダーゼ試薬を提供するものである。本
発明の好ましい態様においては、ビリルビンオキシダー
ゼ含有液に緩衝剤を添加し、pH7.0〜12.0の間
に緩衝能をもたせ、これに前記一般式(1)、(2)または
(3)で示される含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体
の一種または二種以上を配合することを特徴とするビリ
ルビンオキシダーゼの安定化方法、およびそのように調
製される安定なビリルビンオキシダーゼ試薬を提供する
ものである。本発明で用いられる含窒素複素環化合物の
メルカプト誘導体の具体例としては、2−メルカプト−
1−メチルイミダゾール、3−メルカプト−1,2,4
−トリアゾール、6−メルカプトプリン、3−メルカプ
ト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、お
よび、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げら
れ、好ましくは2−メルカプト−1−メチルイミダゾー
ルおよび3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールで
ある。
【0009】含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体の
添加量は、十分な安定化効果が得られる量であれば特に
限定するものではなく、一般に用時のビリルビンオキシ
ダーゼ水性液中の最終濃度が5mM以上であれば所望の
安定化効果が得られ、通常、最終濃度として5mM〜7
50mM、好ましくは、10mM〜500mM、さらに
好ましくは15mM〜250mMである。また、これら
含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体は必要に応じて
そのアルカリ金属塩や塩酸塩などの形態で用いてもよ
い。本発明で用いられる上記の緩衝剤は、ビリルビンオ
キシダーゼの安定なpH域(pH7.0〜12.0)に
おいて緩衝能を有するものに限られない。またこれらは
単独で、または2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。好ましい緩衝剤は、2−モルホリノエタンスルホ
ン酸一水和物(略号MES)、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(略号Bi
s−Tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢
酸(略号ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタ
ンスルホン酸)(略号PIPES)、N−(2−アセトア
ミド)−2−アミノエタンスルホン酸(略号ACE
S)、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホ
ン酸(略号MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)−2−アミノエタンスルホン酸(略号BE
S)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(略号MOP
S)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ア
ミノエタンスルホン酸(略号TES)、2−[4−(2−
ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン]エタンスルホン
酸(略号HEPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−
ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)二水和物(PI
PSO)、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(略
号DIPSO)、2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロ
キシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸
(略号TAPSO)、2−ヒドロキシ−3−[4−(2−
ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン]プロパンスルホ
ン酸一水和物(略号HEPPSO)、3−[4−(2−ヒ
ドロキシエチル)−1−ピペラジン]プロパンスルホン
酸(略号EPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)
メチル]グリシン(略号Tricine)、N,N−ビ
ス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略号Bicin
e)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−ア
ミノプロパンスルホン酸(略号TAPS)、N−シクロ
ヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(略号CHE
S)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミ
ノプロパンスルホン酸(略号CAPSO)、N−シクロ
ヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(略号CAP
S)、2−(エチルアミノ)エタノール(略号EAE)、
ジエタノールアミン(略号DEA)、トリス(ヒドロキシ
メチル)アミノメタン(略号Tris)、トリス(ヒドロ
キシメチル)アミノメタンマレイン酸塩(略号Tris
−マレイン酸)、グリシンアミド、グリシルグリシン、
グリシン、ホウ酸緩衝剤[ホウ酸(H3BO4)および四ホ
ウ酸ナトリウム(Na247)]、または、リン酸緩衝剤
[リン酸水素二ナトリム(Na2HPO4)およびリン酸二
水素ナトリム(NaH2PO4)]であり、さらに好ましく
は、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(B
icine)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−
3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−シクロ
ヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N
−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパ
ンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−3−
アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、2−(エチルア
ミノ)エタノール(EAE)、ジエタノールアミン(DE
A)、または、ホウ酸緩衝剤であり、特に好ましくは
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bic
ine)およびホウ酸緩衝剤である。緩衝剤の添加量
は、十分に安定化効果が得られる量であれば特に限定す
るものではなく、一般に用時のビリルビンオキシダーゼ
含有液中の最終濃度が10mM以上であれば、所望の安
定化効果が得られ、通常、最終濃度として10mM〜1
M、好ましくは、10mM〜100mMとする。
【0010】これら含窒素複素環化合物のメルカプト誘
導体の一種または二種以上と緩衝剤の一種または二種以
上との組み合わせのうち、好ましい組み合わせは、2−
メルカプト−1−メチルイミダゾール、3−メルカプト
−1,2,4−トリアゾール、6−メルカプトプリン、
3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリ
アゾール、および、2−メルカプトベンズイミダゾール
から選ばれる一種または二種以上とN,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−シクロ
ヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホ
ン酸(CAPSO)、2−(エチルアミノ)エタノール(E
AE)、ジエタノールアミン(DEA)、およびホウ酸緩
衝剤から選ばれる一種または二種以上の組み合わせであ
り、さらに好ましくは、2−メルカプト−1−メチルイ
ミダゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾー
ル、6−メルカプトプリン、3−メルカプト−4−メチ
ル−4H−1,2,4−トリアゾール、および、2−メ
ルカプトベンズイミダゾールから選ばれる一種または二
種以上とN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン
(Bicine)およびホウ酸緩衝剤から選ばれる一種ま
たは二種の組み合わせで、最も好ましい組み合わせは2
−メルカプト−1−メチルイミダゾールと3−メルカプ
ト−1,2,4−トリアゾールから選ばれる一種または
二種とN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン
(Bicine)およびホウ酸緩衝剤から選ばれる一種ま
たは二種の組み合わせである。
【0011】これらの含窒素複素環化合物のメルカプト
誘導体と緩衝剤との組み合わせによるビリルビンオキシ
ダーゼの安定化効果は、さらにカルボン酸類の一種また
は二種以上を組み合わせた場合において著しく安定性が
向上する。これら含窒素複素環化合物のメルカプト誘導
体と緩衝剤に組み合わせるカルボン酸としては、酒石
酸、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素カ
リウム、酒石酸ナトリウムカリウム、クエン酸ナトリウ
ムが好ましく、酒石酸ナトリウムカリウムが特に好まし
い。ビリルビンオキシダーゼとしては公知の酵素がいず
れも用いられ、例えば、ミロセシウム(Myrothecium)属
菌、例えばミロセシウム・ベルカリア(Myrotheciumverr
ucaria)由来ビリルビンオキシダーゼ、エビタケ(Trachy
dermatsumodae)の産生するビリルビンオキシダーゼ、
ペニシリウム・ジャンシネラム(Penicilliumjanthinell
um)由来ビリルビンオキシダーゼ、バチルス・リヒェニ
フォルミス(Bacillus licheniformis)由来ビリルビンオ
キシダーゼ、アガリカス・ビスポラス(Agaricus bispor
us)菌茸由来ビリルビンオキシダーゼ等が挙げられる。
ビリルビンオキシダーゼの使用量は所望の酵素活性を示
す範囲で適宣用いられるが、通常、反応液中に0.04
〜10単位/ml、好ましくは、総ビリルビン測定用には
0.08〜4単位/ml、直接ビリルビン測定用には、0.
4〜8単位/mlの範囲で用いられる。
【0012】本発明によるビリルビンオキシダーゼの安
定化には、上記のように調製される緩衝剤と、含窒素複
素環化合物のメルカプト誘導体の1種または2種以上を
配合したビリルビンオキシダーゼ含有液のpH値を、通
常、pH7.0〜12.0、好ましくはpH8.0〜1
1.0、さらに好ましくはpH9.0〜11.0とす
る。上記ビリルビンオキシダーゼ試薬には、必要によ
り、通常の緩衝剤や防腐剤等の他の成分を添加してもよ
い。また、含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体を用
いてビリルビンオキシダーゼを安定化する際に、ジチオ
スレイトール、L−システイン、N−アセチル−L−シ
ステイン、メチオニン、メルカプトエタノール等のメル
カプト基を有する化合物やヒスチジン等の還元剤を一緒
に添加しておけば、ビリルビンオキシダーゼの安定化効
果はさらに良くなる。
【0013】本発明により、ビリルビンオキシダーゼを
安定化するには、ビリルビンオキシダーゼ含有液に、前
記緩衝剤の一種または二種以上と含窒素複素環化合物の
メルカプト誘導体の一種または二種以上との組み合わせ
で添加することにより達成され、また、この組み合わせ
にカルボン酸類の一種または二種以上を添加することに
より、さらに安定性が良くなる。実際上は、緩衝剤を常
法に従って、通常のpH調整剤、例えば塩酸、硫酸、乳
酸、酢酸などの無機酸または有機酸、あるいは水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、など
の無機塩基または有機塩基を用いて適当なpH領域を有
する緩衝液を調製し、これにビリルビンオキシダーゼを
分散または溶解させ、その前後に含窒素複素環化合物の
メルカプト誘導体の一種または二種以上を添加する方法
により行われる。
【0014】本発明のビリルビンオキシダーゼ試薬は、
液状でも、または、粉末などの固形状であってもよい。
液状の試薬の調製は、上述したように、pH7.0〜1
2.0の間に緩衝能をもったビリルビンオキシダーゼ含
有液に5mM以上の含窒素複素環化合物のメルカプト誘
導体の一種または二種以上を配合することにより行われ
る。固形状の試薬の調製は、上記の緩衝剤の一種または
二種以上と含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体の一
種または二種以上を配合したビリルビンオキシダーゼ含
有液を凍結乾燥してもよく、また、粉末状のビリルビン
オキシダーゼに、前記緩衝剤の一種または二種以上と含
窒素複素環化合物のメルカプト誘導体の一種または二種
以上とを、それぞれ、液状にした際の濃度が10mM以
上および5mM以上となるように配合することにより行
われる。
【0015】本発明のビリルビンオキシダーゼ試薬はキ
ットの形態にすることもでき、例えば、粉末状のビリル
ビンオキシダーゼと、含窒素複素環化合物のメルカプト
誘導体の一種または二種以上と緩衝剤との固形状混合物
とそれを溶解するための緩衝液との組み合わせ、あるい
は粉末状ビリルビンオキシダーゼと緩衝剤との固形状混
合物または凍結乾燥品とそれを溶解するための含窒素複
素環化合物のメルカプト誘導体の一種または二種以上を
含有する緩衝液との組み合わせ等があり、それらは用時
混合して用いられる。本発明の方法および試薬は、ビリ
ルビンオキシダーゼを液状で極めて安定に保存でき、ビ
リルビンオキシダーゼを用いる測定法、例えば、総ビリ
ルビン測定、直接ビリルビン測定に有効に使用できる。
【0016】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。実施例におけるビリルビンオキシダーゼの残存活
性は、つぎのようにして測定した。 活性測定用試薬 試料 :ビリルビンオキシダーゼ(ミロセシウム属由来) 第1試液:50mM リン酸緩衝液 pH7.2 1% コール酸ナトリウム 第2試液:ビリルビンの管理血清 5mg/dl [市販の管理血清(ネスコール(日本商事(株)製))に、ビリル ビン(ICN社製)を5mg/dlとなるように添加したもの]活性測定法 0.02単位/ml以下となるように調製したビリルビ
ンオキシダーゼ溶液2μlに第1試液270μlを添加
し、37℃で5分間インキュベートした後、第2試液9
0μlを加えて3分後から5分後までの450nmにお
ける吸光度変化を測定し、1分間あたりの吸光度変化の
量で活性を示した。酵素1単位(U)は、本条件下、1
分間に1μmoleのアルブミン結合ビリルビンを酸化
するのに必要な酵素量と定義される。
【0017】実施例1 2−メルカプト−1−メチルイミダゾールによるビリル
ビンオキシダーゼの長期安定化効果 基本処方として、25mMビシン緩衝液に酒石酸ナトリ
ウムカリウム25mMを添加した処方に、ビリルビンオ
キシダーゼ4U/mlを添加し、pH10.0に調整した
処方を用いた。この基本処方に2−メルカプト−1−メ
チルイミダゾール(以下MMIと称す)25mMを含有
するように調製した酵素液(pH10.0)を7℃で保
存し、8ヶ月後と11ヶ月後の残存活性を上記測定方法
により測定し基本処方と比較した。その結果を表1に示
す。
【表1】 表1より、従来技術をもちいた基本処方では7℃11ヶ
月保存後で42.3%の残存活性しか残すことができな
いが、2−メルカプト−1−メチルイミダゾールを添加
した場合、7℃保存11ヶ月後でも84.8%の残存活
性を保っていることがわかる。
【0018】実施例2 各種含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体によるビリ
ルビンオキシダーゼの安定化効果 100mMホウ酸緩衝液にビリルビンオキシダーゼ2U
/ml、および下記表2に示す物質25mMを含有する
ように調製した酵素液(pH10.0)を苛酷な条件(3
0℃)で保存し、6日後の残存活性を上記測定方法によ
り測定し基本処方と比較した。その結果を表2に示す。
【表2】 表2に示すごとく、2−メルカプト−1−メチルイミダ
ゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、
6−メルカプトプリン、3−メルカプト−4−メチル−
4H−1,2,4−トリアゾール、および、2−メルカ
プトベンズイミダゾールで安定化の効果が大きいことが
認められた。特に2−メルカプト−1−メチルイミダゾ
ールの効果が顕著であった。
【0019】実施例3 2−メルカプト−1−メチルイミダゾールの添加濃度と
安定化効果との関係 100mMホウ酸緩衝液にビリルビンオキシダーゼ2U
/mlを含有するように調製した酵素液(pH10.
0)に種々の濃度の2−メルカプト−1−メチルイミダ
ゾールを添加し30℃で保存し、5日後の残存活性を上
記測定方法により測定し比較した。その結果を表3に示
す。
【表3】 表3より、2−メルカプト−1−メチルイミダゾールは
5mM〜750mMの間で安定化効果を示すことがわか
った。また750mM以上添加すると安定化効果は弱く
なることがわかった。
【0020】実施例4 2−メルカプト−1−メチルイミダゾール添加処方と無
添加処方との比較 2−メルカプト−1−メチルイミダゾールを添加した処
方と2−メルカプト−1−メチルイミダゾール無添加の
処方とを総ビリルビン測定用試薬および直接ビリルビン
測定用試薬に適用した調製時の試薬で相関関係を調べ
た。総ビリルビン測定用試薬に適用した場合の結果を図
1に、また、直接ビリルビン測定用試薬に適用した場合
の結果を図2に示す。総ビリルビン測定用試薬および直
接ビリルビン測定用試薬としてはVL T−BILおよ
びVL D−BIL(日本商事(株)製)を用いた。図1
および図2より、2−メルカプト−1−メチルイミダゾ
ールを添加した処方でも、無添加のものと変わらない性
能を示し、これら安定化剤の添加によってもビリルビン
測定性能が影響されないことがわかった。
【0021】実施例5 7℃で1年間保存した試薬と調製時の試薬との比較 2−メルカプト−1−メチルイミダゾールを添加し、7
℃で1年間保存した試薬を用いて、調製時の試薬との相
関関係を調べた。その結果を図3に示す。図3より、7
℃で1年間経過しても調製時と変わらない性能を示すこ
とがわかった。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、pH7.0〜12.0
の間に緩衝能をもたせたビリルビンオキシダーゼ含有液
に前記一般式(1)、(2)または(3)で示される含窒素複
素環化合物のメルカプト誘導体の一種または二種以上を
添加するという非常に簡単で、経済的な方法により、ビ
リルビンオキシダーゼを液状で長期間安定化させること
ができ、ビリルビンの測定毎に新たにビリルビンオキシ
ダーゼ試薬を調製する必要がなく、一度調製したビリル
ビンオキシダーゼ試薬を長期間に亙って使用することが
でき、あるいはまた、入手されるビリルビンオキシダー
ゼ試薬溶液をそのまま測定に使用できるため所望の総ビ
リルビンおよび直接ビリルビンの測定がきわめて簡便に
かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 総ビリルビン測定用試薬に適用した場合のM
MI添加処方と無添加処方との相関関係を示すグラフで
ある。
【図2】 直接ビリルビン測定用試薬に適用した場合の
MMI添加処方と無添加処方との相関関係を示すグラフ
である。
【図3】 総ビリルビン測定用試薬に適用した場合のM
MI添加処方における、調製時と7℃1年保存後との相
関関係を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビリルビンオキシダーゼ含有液に、一般
    式(1): 【化1】 [式中、R1とR2は共に水素原子であるか、または一緒
    になって、低級アルキル基で置換されていてもよいベン
    ゼン環を形成する。R3は水素原子または低級アルキル
    基である]; 一般式(2) 【化2】 [式中、R4およびR5のいずれか一方は水素原子または
    低級アルキル基であり、他方はそれが結合する窒素原子
    と隣接する5位の炭素原子との間で二重結合を形成す
    る];または一般式(3): 【化3】 : [式中、R6は水素原子または低級アルキル基である]
    で示される含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体の一
    種または二種以上を配合することを特徴とするビリルビ
    ンオキシダーゼの安定化方法。
  2. 【請求項2】 含窒素複素環化合物のメルカプト誘導体
    が2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、3−メル
    カプト−1,2,4−トリアゾール、6−メルカプトプ
    リン、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4
    −トリアゾール、および、2−メルカプトベンズイミダ
    ゾールである請求項1記載のビリルビンオキシダーゼの
    安定化方法。
  3. 【請求項3】 ビリルビンオキシダーゼ含有液に緩衝剤
    を添加し、pH7.0から12.0の間の緩衝能下に保存
    することを特徴とする請求項1および2記載のビリルビ
    ンオキシダーゼの安定化方法。
  4. 【請求項4】 緩衝剤としてN,N−ビス(2−ヒドロ
    キシエチル)グリシン、2−(エチルアミノ)エタノー
    ル、ジエタノールアミン、または、ホウ酸緩衝剤を用い
    ることを特徴とする請求項3記載のビリルビンオキシダ
    ーゼの安定化方法。
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