JPH1077268A - インドール誘導体及びこれを有効成分とする発根誘導剤 - Google Patents

インドール誘導体及びこれを有効成分とする発根誘導剤

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JPH1077268A
JPH1077268A JP9189297A JP18929797A JPH1077268A JP H1077268 A JPH1077268 A JP H1077268A JP 9189297 A JP9189297 A JP 9189297A JP 18929797 A JP18929797 A JP 18929797A JP H1077268 A JPH1077268 A JP H1077268A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】既存の発根誘導物質に比べて発根誘導作用に優
れ、かつ発根を誘導可能な植物が幅広い、新規の発根誘
導物質を見出し、この発根誘導物質を有効成分とする発
根誘導剤を提供すること。 【解決手段】主に下記式で表されるインドール誘導体及
びこのインドール誘導体を有効成分とする発根誘導剤を
提供することにより、この課題を解決できる。 【化2】 (式中、Rは存在しないか、又は炭素数が1以上4以下
のアルキレン基を表す)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造を有す
るインドール誘導体及びこのインドール誘導体を有効成
分とする発根誘導剤に関する技術分野の発明である。
【0002】
【従来の技術】植物を種子で繁殖させようとする場合、
通常その種子が純系であることが要求される。これは純
系の種子を用いないと繁殖植物の形質が区々になってし
まうからであるが、種子繁殖で純系の種子を得ることは
困難を伴う。また、種子繁殖では、種子を容易に採れる
植物に対象が限定されてしまう。そのため、上記の種子
による繁殖の他に、繁殖させる植物の栄養器官の一部を
母体から切り離して,これを砂又は土壌中に挿し,発根
・発芽させ独立した植物体とする栄養繁殖法である「さ
し木」が広く行われている。ところが、これらの栄養繁
殖法を行っても発根が困難である植物も多く(例えば,
マツ,モミ,ツガ,スギ,チャ,ホウノキ,ユリノキ,
エノキ,クリ,カシ,クマシデ,クルミ,ヤマモモ
等)、これらの植物における「さし木」に際しては、ル
ートン(成分:1−ナフチルアセトアミド)やオキシベ
ロン(成分:インドール酪酸)等のオーキシン系の発根
誘導剤を用いることが必須となっている。
【0003】
【発明が解決すべき課題】オーキシン系の発根誘導剤を
用いても、上に列挙した植物の発根はなお困難である場
合が多い。そのため、必然的にその使用量が多くなり、
クリ等のように多量の発根誘導剤を使用することによ
り、環境汚染を惹き起こすことが懸念される場合もあ
る。また、発根剤を使用する際に、硝酸銀,過マンガン
酸カリウム,石灰水,エタノール等による前処理が必要
である場合が多く、このことも発根剤の使用を繁雑にす
る一因となっている点は否めない。そこで、本発明が解
決すべき課題は、既存の発根誘導物質に比べて発根作用
に優れ、かつ発根を誘導可能な植物が幅広い新規の発根
誘導物質を見出し、この発根誘導物質を有効成分とする
発根誘導剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ブプレウ
ルム属(Bupleurum )に属するミシマサイコ(Bupleuru
m falcatum L.)の根から抽出されるその3位にラク
トン環を有するインドール誘導体に強力な発根誘導活性
が認められ、これを有効成分とすることで所望の発根誘
導剤を提供可能であることを見出し本発明を完成した。
なお、本発明は、上記インドール誘導体を製造する上で
の中間体である、その3位にヒドロキシアルキル基を有
するインドール誘導体をも提供するものである。
【0005】すなわち、本発明者は以下の発明を本願に
おいて提供する。請求項1において、下記式(I)で表
されるインドール誘導体を提供する。なお、このインド
ール誘導体(I)は、下記式(I)におけるRが、エチ
レン基であることが好ましい(請求項2)。
【化3】 (式中、Rは存在しないか、又は炭素数が1以上4以下
のアルキレン基を表す)。
【0006】請求項3において、下記式(II)で表され
るインドール誘導体を提供する。なお、このインドール
誘導体(II)は、下記式(II)におけるRが、エチレン
基であることが好ましい(請求項4)。
【化4】 (式中、Rは存在しないか、又は炭素数が1以上4以下
のアルキレン基を表す)。
【0007】請求項5及び請求項6において、前記のイ
ンドール誘導体(I)及び/又はインドール誘導体(I
I)を有効成分とする発根誘導剤を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 A.本発明インドール誘導体について 本発明インドール誘導体(I)及び(II)において、炭
素数が1以上4以下のアルカン鎖の両端の炭化水素から
1個ずつの遊離原子のある2価基である「アルキレン
基」Rとしては、メチレン基,エチレン基,トリメチレ
ン基,テトラメチレン基を例示できるが、発根誘導活性
の強度等を考慮すると、このアルキレン基Rは、エチレ
ン基であることが好ましい。なお、前記のように、この
Rが存在しない場合のインドール誘導体(I)及び(I
I)も、本発明に関わるインドール誘導体の範囲に含ま
れる〔以下、このような態様の本発明インドール誘導体
(I)及び(II)を、便宜上「アルキレンの炭素数は0
である(R=0)」と扱うこともある。〕。
【0009】少なくとも、アルキレン基Rがエチレン基
である場合とアルキレン基Rの炭素数が0である場合
の、本発明インドール誘導体(I)及び(II)(これら
のインドール誘導体を「本発明インドール誘導体」と総
称することもある)は、ブプレウルム属(Bupleurum
に属する植物、特にミシマサイコ(Bupleurum falcat
um L.)の根部を原材料として生産することができる。
すなわち、このブプレウルム属に属する植物の根を、
アルキレン基の炭素数が0である本発明インドール誘導
体はインドール酢酸(IAA)を,Rがエチレン基で
ある本発明インドール誘導体はインドール酪酸(IB
A)を、含む培養培地中で培養し、その培養物に対して
有機溶媒抽出、例えばクロロホルム抽出,酢酸エチル抽
出,ブタノール抽出等の通常行われる有機溶媒抽出等を
行い、有機層を留去することによって粗目的物を得るこ
とができる。
【0010】これを洗浄・濃縮後、ODS(オクタデシ
ルシラン)等の逆相分配カラムクロマトグラフィー用の
カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)にかけて、移動層にTFA等で強酸性にした溶媒を
用いて分離精製することにより、所望のアルキレン基R
の炭素数が0であるか,又は同Rがエチレン基である本
発明インドール誘導体(II)を得ることができる。ま
た、この本発明インドール誘導体(II)をエタノールや
メタノール等の極性溶媒に溶解して放置することによ
り、それぞれの本発明インドール誘導体(I)を得るこ
とができる。また、移動層において上記のように強酸性
の溶媒を用いなければ、本発明インドール誘導体(I)
をそれぞれ容易に得ることができる。
【0011】なお、必要に応じて通常公知の他の分離手
段、例えば限外濾過,ゲル濾過クロマトグラフィー等を
組み合わせて用いることも勿論可能である。また、本発
明インドール誘導体は、化学的に合成することも可能で
ある。
【0012】すなわち、例えばインドールに塩化ホス
ホリルの存在下、N,N'-ジメチルホルムアミドを反応
させること等により得られる、インドール−3−カルボ
キシアルデヒドとハロエステルとを亜鉛の存在下反応さ
せることによって、側鎖1'位に水酸基を有するインド
ールカルボン酸エステル誘導体を経て、所望の本発明イ
ンドール誘導体(I)を製造し、さらにこの本発明イン
ドール誘導体(I)を三フッ化ホウ素等で酸性化するこ
とで、ラクトン環を形成させ、本発明インドール誘導体
(II)を得ることも可能である。また、インドールカ
ルボン酸を、tert- ブトキシドカリウム等の塩基存在下
で直接酸素酸化することにより、側鎖1' 位に水酸基を
有するインドールカルボン酸塩誘導体を経て、所望の本
発明インドール誘導体(I)を製造し、さらにこの本発
明インドール誘導体(I)を三フッ化ホウ素等で酸性化
することで、ラクトン環を形成させ、本発明インドール
誘導体 (II)を得ることも可能である。
【0013】これら及びの反応工程図を下記に示
す。
【化5】
【0014】本発明インドール誘導体(I)と(II)
は、互いに可逆的に変換し得る物質であり、本発明イン
ドール誘導体(I)を酸性条件下に置くと、3位の側鎖
がラクトン環を形成して本発明インドール誘導体(II)
に変換し、逆に本発明インドール誘導体(II)を中性又
は塩基性条件下に置くと、3位のラクトン環が開環して
本発明インドール誘導体(I)に変換し得る。これらの
本発明インドール誘導体(I)と(II)は共に、優れた
発根誘導活性を有する。
【0015】B.本発明発根誘導剤について 本発明発根誘導剤は、発根誘導活性が認められる本発明
インドール誘導体(I)及び/又は(II)を有効成分と
して含んでなる発根誘導剤である。
【0016】本発明インドール誘導体をほぼそのまま本
発明発根誘導剤として用いることも、植物に適用可能な
所望の剤型、例えば液剤,固形剤,粉剤,乳剤等として
用いることも可能であるが、何れの剤型においても、本
発明インドール誘導体が安定であることが好ましい〔少
なくとも本発明インドール誘導体(II)が直接接触する
要素は酸性(pH1〜pH5,好ましくはpH2〜pH
3)であるのが好ましい。〕。
【0017】このように本発明インドール誘導体の安定
性が担保される限りにおいて、所望の剤型に応じた通常
公知の担体成分や製剤用補助剤等を適宜配合することが
できる。すなわち、担体成分としては、タルク,クレ
ー,バーミキュライト,珪藻土,カオリン,炭酸カルシ
ウム,水酸化カルシウム,白土,シリカゲル等の無機質
や小麦粉,澱粉等の固体担体;水、キシレン等の芳香族
炭化水素類、エタノール,エチレングリコール等のアル
コール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン,テトラ
ヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の液体担体を
用いることができる。また、pHを一定に保つための、
種々の緩衝液を用いることもできる。
【0018】さらに、製剤用補助剤としては、例えばア
ルキル硫酸エステル類,アルキルスルホン酸塩,アルキ
ルアリールスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸等
の陰イオン性界面活性剤、高級脂肪族アミンの塩類等の
陽イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール
アルキルエーテル,ポリオキシエチレングリコールアシ
ルエステル,ポリオキシエチレングリコール多価アルコ
ールアシルエステル,セルロース誘導体等の非イオン性
界面活性剤、ゼラチン,カゼイン,アラビアゴム等の増
粘剤、増量剤、結合剤等を適宜配合することができる。
【0019】さらに、必要に応じて、植物生長調節剤、
例えば安息香酸,ニコチン酸,ニコチン酸アミド,ピペ
コリン酸等を本発明発根誘導剤の所期の効果を損なわな
い範囲で配合することができる。
【0020】本発明発根誘導剤は、その剤型に応じた方
法で種々の植物に用いられる。例えば、粉剤を発根を誘
導する植物の栄養器官の切り口につけたり、液剤をその
植物の切り口に浸漬して用いることができる。
【0021】本発明発根誘導剤を適用可能な植物の種類
は特に限定されず、双子葉植物、単子葉植物の両者に対
して本発明発根誘導剤は有効である。本発明発根誘導剤
は、上記の既存の発根誘導剤が無効である植物に対して
投与することによって、かかる植物の発根を誘導するこ
とができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例等により本発明をさらに具体的
に記載するが、これらの実施例等に本発明の技術的範囲
が限定されるものではない。
【0023】〔製造例〕 (1)Rがエチレン基である本発明インドール誘導体の
製造 細切りしたミシマサイコ(Bupleurum falcatum L.)
の根8g を、無菌処理したB5培地〔KNO3(2500mg/L),
(NH4)2SO4(134mg/L),NH2PO4・H2O(150mg/L),CaCl2・2H2
O(150mg/L),MgSO4・7H2O(185mg/L),FeSO4・7H2O(27.8mg
/L),Na2EDTA(37.3mg/L),MnSO4・H2O(10mg/L),ZnSO4・7H
2O(2.0mg/L),H3BO3(3.0mg/L),CuSO4・5H2O(0.025mg/L),
Na2MoO2・2H2O(0.25 mg/L),KI(0.75 mg/L),CoCl2・6H2O
(0.025mg/L),ミオイノシトール(100mg/L),チアミン塩酸(10mg/L), ヒ゜
リト゛キシン塩酸(1mg/L),ニコチン酸(1mg/L) :1L フラスコ30
本に各々400ml〕にインドール酪酸(IBA)を8pp
m 添加して、23℃で24時間培養を行った。培養終了
後、ミシマサイコの根を培地から濾取して取り除き、得
られた濾液をクロロホルム抽出した。有機層を減圧下で
溶媒を留去して、粗目的物を得た。
【0024】次いで、高速液体クロマトグラフィー〔カ
ラム:CAPCELLPAK C18,10mmφ×250 m
m,溶媒:70%water, 30 % acetonitrile(0.1 %TFA
を含む), 検出:UV 214nm〕で分離精製した。その結
果、11.5分程で本発明インドール誘導体(II)のピ
ークが現れたので、それを分取した。この結果、本発明
インドール誘導体(II)を12mg得た(アルキレン基R
はエチレン基である。)。さらに、得られたこの本発明
インドール誘導体(II)を2mgとり、これをメタノール
2mlに溶解し、室温で7日間攪拌した後、エバポレータ
ーでメタノールを留去した。この結果、アルキレン基R
がエチレン基である本発明インドール誘導体(I)を得
た。
【0025】上記製造例において得られた、本発明イン
ドール誘導体(II)〔R:エチレン基〕の構造について
解析を行った。すなわち、この本発明インドール誘導体
(II)は、その赤外線吸収スペクトル(IRスペクト
ル)から水酸基(3405cm-1)及び5員環ラクトン(1750
cm-1) が認められ、1H核磁気共鳴スペクトル〔1HNM
R(400MHz,CD3OD, δ)]及び13 C核磁気共鳴スペクトル
13CNMR(100MHz,CD3OD, δc)] において、1個の
一級水酸基〔δ5.89(dd,J =7.0,8.3),δc79.2]、2個
のメチレン側鎖〔δ2.60,2.75(both m),2.73(m) ,δc
30.4,29.5 〕、カルボニル(δc 180.3 )及びインドー
ル環〔[δ 7.04(dd,J=7.0,7.8),δc 119.9],[δ 7.1
4(dd,J=8.3,7.0),δc 122.5],[δ 7.33(s),δc 12
4.2],[δ 7.37(d,J=7.3),δc 112.6],[δ 7.59(d,J
=7.8),δc 120.1],δc 115.6,127.2,138.5 〕に基づ
く各シグナルが認められた。また、インドール酪酸(I
BA)とのNMRデータの比較検討や、2次元NMRス
ペクトル(HHCOSY,HSQC,HMBC)の解析
結果により、ラクトン環を有する化学構造が推定され
た。さらに、極性溶媒中に放置したことにより得られた
開環体〔本発明インドール誘導体(I)〕とのNMRデ
ータ(後述する)の比較検討により、1' 位のプロトン
シグナルが〔δ 4.53(t-like,J=6.3)〕から,δ5.89に
高磁場シフトしていることや、上記開環体〔本発明イン
ドール誘導体(I)〕を酸性溶媒中に分離精製すること
により再び上記と同じデータのインドール誘導体が得ら
れることから、本発明インドール誘導体(I)及び(I
I)〔R:エチレン基〕の化学構造が上述した構造であ
ることが支持された。
【0026】また、この本発明インドール誘導体(II)
のpos.FAB-MSスペクトルにおいて、m/z 202 に(M
+H)+ に基づく擬似分子イオンピークが認められ、また
さらにneg.FAB-MSスペクトルにおいても上述の構
造を支持する結果[m/z 200(M-H) - ] が得られたことか
ら、この本発明インドール誘導体(II)の構造は上述の
通りであることが明確になった。
【0027】また、上記製造例において得られた、本発
明インドール誘導体(I)〔R:エチレン基〕の構造に
ついて解析を行った。すなわち、この本発明インドール
誘導体(I)は、その赤外線スペクトル(IRスペクト
ル)から、水酸基(3400,3200 cm-1) 並びにカルボニル
(1720 cm-1)の存在が認められた。また、1H核磁気共鳴
スペクトル〔1HNMR(400MHz,CD3OD, δ)]及び13
核磁気共鳴スペクトル〔13CNMR(100MHz,CD3OD, δ
c)]において、1個の一級水酸基〔δ4.53(t-like,J =
6.3),δc78.3]、2個のメチレン側鎖〔δ2.31(m),δc3
1.7,δ2.13,2.31(both m),δc32.5 〕、カルボニル(δ
c 177.3 )並びにインドール環〔[δ 6.99(dd,J=7.0,
8.0),δc 120.7],[δ 7.09(dd,J=7.0,8.5),δc 12
3.4],[δ 7.17(s),δc 124.2],[δ 7.34(d,J=8.
5),δc 113.2],[δ 7.65(d,J=8.0),δc 121.2],δ
c 115.6,127.2,138.6 〕に基づく各シグナルが認められ
た。
【0028】また、IBAとのNMRデータの比較検討
や、2次元NMRスペクトル(HHCOSY,HSQ
C,HMBC)の解析結果により、IBAのインドール
環側鎖1’位に水酸基が結合した、この本発明インドー
ル誘導体(I)は上述した構造をとることが明確になっ
た。
【0029】(2)R=0である本発明インドール誘導
体の製造 オートクレーブにかけた、上記B5培地が400mlの入
った1l フラスコに、濾過により無菌処理された200
0μg/mlのインドール酢酸(IAA)を2.6ml添加し
たものを、50本用意した。これらのフラスコに細切り
したミシマサイコの根8g を植え込み、23℃で2日間
振盪培養を行った。培養後、ミシマサイコの根を濾紙で
系から除き、培地を酢酸エチルで抽出した。抽出後、酢
酸エチルを減圧下で乾固し、乾固物をあらためてメタノ
ールで溶かしてから高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)で分離精製した。
【0030】なお、このHPLCでの分離条件は、上記
の製造例(1)において、インドール誘導体(II)(R
はエチレン基)を分離精製したときと同じ条件である。
約8.3分に溶出されてくるピークを分取し、減圧下で
乾固した。この操作により、約1mgのインドール誘導体
(II)(R=0)を得ることができた。このHPLCで
得られたチャートを第2図に示す〔ただし、このチャー
トは、確認のための分析用カラム(4.5mmΦ×250
mm)を用いて、1ml/minの流量で溶出したものである。
図中のピークIIが、所望するインドール誘導体(II)
(R=0)に相当するピークである。〕。
【0031】〔試験例〕 発根誘導活性の検討 (1)ミシマサイコにおける発根試験試験方法 30mlのB5培地(基本組成は前述の通り、シュークロ
ース1重量%を含む)を入れ、さらにこれにエタノール
に溶かした1000ppm のIBA又は上記製造例におい
て製造した本発明インドール誘導体(II)〔R:エチレ
ン基〕を0.24ml添加した100mlフラスコを3本ず
つ用意した。これらのフラスコにミシマサイコの培養根
を0.2g 植え込み、23℃下で振盪培養をおこなっ
て、その発根の程度を検討した。
【0032】試験結果 その結果、振盪培養8日目に本発明インドール誘導体
(II)の実験区のうち、2本で発根が観察された。9日
目では、IBA実験区の全て及び本発明インドール誘導
体(II)〔R:エチレン基〕の実験区の残りの1本で発
根が認められた。その後も発根数は増え続け、振盪培養
2週間目ではいずれの実験区においてもほぼフラスコ全
体に渡り同程度に密な発根が確認された。
【0033】次に、一般的に発根が困難な植物を用いた
例について述べる。従来技術の欄において記載したよう
に、一般に発根が困難な植物の挿し木は、発根剤の従来
品を多量に用いたり、硝酸銀等を用いたドラスティック
な前処理をすることが普通である。そのために、環境を
汚染する等の深刻な問題をもたらしている。
【0034】(2)キンモクセイにおける発根試験(1) キンモクセイの小枝を切取り、15本ずつ、試験区で
はシュークロースを含まない上記B5培地(コントロー
ルとして用いた。以下の実験区は全てB5培地に溶かし
た。),同ではIBA20μg/ml,同ではインドー
ル誘導体(II)〔R:エチレン基〕20μg/ml,同で
はIBA10μg/ml+インドール誘導体(II)〔R:エ
チレン基〕10μg/mlの溶液に浸し、3日間,25℃の
暗室に置いた。その後、バーミキュライトに移植して、
育成箱で2.5カ月間培養した(12時間照明,12時
間暗黒のサイクル,25℃)。その結果、試験区では
全て枯れてしまった。同では5本だけ枯れずに残り、
うち2本が発根した。同では11本が枯れずに残り、
うち8本が発根した。同では9本が枯れずに残り、う
ち5本が発根した。
【0035】(3)キンモクセイにおける発根試験(2) コントロールとして、B5培地に代えて水を用いた以
外、実施例2と同じ試験を行った。その結果、試験区
では全て枯れた。同では4本生き残り,そのうち2本
が発根した。同では12本が枯れずに残り,試験終了
時点で9本が発根していた。同では8本が生き残り、
4本が発根していた。
【0036】(4)クルミにおける発根試験 クルミの小枝を切取り、上記試験例(2)と同じ発根試
験を行った。この結果、試験区では全て枯れてしまっ
た。同でも全て枯れてしまった。同では3本だけ枯
れずに残り,2本が発根した。同では5本が枯れずに
残り,うち2本が発根した。これらの結果により、本発
明インドール誘導体(II)〔R:エチレン基〕には、少
なくともIBAと同等以上の発根誘導活性がミシマサイ
コにおいて認められることが明らかになり、さらに従来
は挿し木においては発根が困難であるといわれている系
においても、本発明インドール誘導体(II)〔R:エチ
レン基〕は、明らかに発根を誘導,促進することが明ら
かになった。よって、本発明インドール誘導体(II)
〔R:エチレン基〕の発根誘導成分としての有用性が明
らかになり、本発明インドール誘導体(II)を有効成分
とした、本発明発根誘導剤の有用性も明らかになった。
【0037】(5)本発明インドール誘導体(I)にお
ける発根誘導試験 インドール誘導体(I)〔R:エチレン基〕の発根誘導
効果を検討するために、上記試験例(2)と同様の〔た
だし、インドール誘導体(II)の代わりに、上記製造例
(1)において得た本発明インドール誘導体(R:エチ
レン基)を用いた〕、キンモクセイに対する試験を行っ
た。この試験においては、試験区では1本が生き残っ
たが、試験終了時点では、まだ発根していなかった。同
では枯れずに残った4本のうち2本が発根した。同
では10本が枯れずに残り、うち6本が発根した。同
では8本が生き残り,4本が発根した。
【0038】よって、本発明インドール誘導体(I)
〔R:エチレン基〕の発根誘導成分としての有用性が明
らかになり、本発明インドール誘導体(I)を有効成分
とした、本発明発根誘導剤の有用性も明らかになった。
【0039】(6)本発明インドール誘導体(II)のI
BAとの発根作用における干渉試験 本発明インドール誘導体(II)が、発根に際してIBA
が作用するうえでも不可欠なものであるか否かを示すた
めに、以下にインドール誘導体(II)に対する抗体を用
いた干渉試験を行った。
【0040】本発明インドール誘導体(II)に対する
抗体の製造 まず、上記製造例(1)において得られた、本発明イン
ドール誘導体(II)〔R:エチレン基〕をpoly-L-Lysin
e (ハプテン)と反応させて、結合させ抗原化した。免
疫動物は、家兎(ヘルシーJW種)を用い、アジュバント
(FCA)と共に2週間毎に計10回、この抗原を0.
5mgずつ皮内投与した。免疫終了後、この免疫動物の血
清を分離し、この血清から免疫グロブリンを分離して、
所望する本発明インドール誘導体(II)〔R:エチレン
基〕に対するポリクローナル抗体を、抗血清として得
た。なお、免疫動物において、所望する抗体が産生され
ているか否かの確認は、ELISA法により行った。
【0041】干渉試験 30mlの上記のB5培地(シュークロース1重量%を含
む)100ml三角フラスコに入れ、オートクレーブを用
いて滅菌した。これに、エタノールに溶かした1000
μg /mlのIBAを240μl 、又は同量のIBAと上
記で得たインドール誘導体(II)〔R:エチレン基〕
に対する抗体を含む血清を120μl 加えた。各々3本
ずつの三角フラスコを用意し、これらのフラスコにミシ
マサイコの培養根を0.2g 植え込み、23℃下で振盪
培養を行った。適時、培地中のIBAとインドール誘導
体(II)〔R:エチレン基〕の含量を測定し、2週間後
に培養を止め、発根の状態を確認した。その結果、第3
図に示したように〔第3図(イ)が抗体無添加の系であ
り,同(ロ)が抗体を添加した系である。それぞれ、縦
軸はインドール誘導体(II)〔R:エチレン基〕又はI
BAの量を示した図面である。〕、IBAで培養すると
培養液中にインドール誘導体(II)〔R:エチレン基〕
が検出され、これはIBAから、インドール誘導体(I
I)〔R:エチレン基〕に変換したものの一部が培地中
に漏れてきたものと推測された〔第3図(イ)〕。
【0042】一方、インドール誘導体(II)〔R:エチ
レン基〕に対する抗体を同時に添加した試験区のフラス
コでは、インドール誘導体(II)が全く検出されなかっ
た。また、この系ではIBAの消費が著しく遅くなった
〔第3図(ロ)〕。さらに、2週間後の発根の様子を見
ると、コントロール(IBAのみ添加)では、正常に発
根が認められたのに対し、インドール誘導体(II)
〔R:エチレン基〕に対する抗体を同時に添加した試験
区では、ほとんど発根が認められなかった。このよう
に、すくなくともミシマサイコにおいては、IBAがそ
の発根において作用する際に、IBAがインドール誘導
体(II)〔R:エチレン基〕に変換されることが本質的
に重要であることが強く示唆された。
【0043】
【発明の効果】本発明により、強力な発根誘導活性を有
するインドール誘導体が得られ、かつこの強力な発根誘
導活性を有するインドール誘導体を有効成分とする発根
誘導剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明インドール誘導体(II)〔R:エチレン
基〕についての高速液体クロマトグラフィーのチャート
である。
【図2】本発明インドール誘導体(II)〔R=0〕につ
いての高速液体クロマトグラフィーのチャートである。
【図3】インドール誘導体に対する抗体を添加した系に
おける、系中のインドール誘導体とIBAの濃度におけ
る挙動を示した図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 興彦 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第1リサーチセンター内 (72)発明者 小島 清隆 東京都中央区銀座7丁目5番5号 株式会 社資生堂内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で表されるインドール誘導
    体: 【化1】 (式中、Rは存在しないか、又は炭素数が1以上4以下
    のアルキレン基を表す)。
  2. 【請求項2】アルキレン基であるRが、エチレン基であ
    る請求項1記載のインドール誘導体。
  3. 【請求項3】下記式(II)で表されるインドール誘導
    体: 【化2】 (式中、Rは存在しないか、又は炭素数が1以上4以下
    のアルキレン基を表す)。
  4. 【請求項4】アルキレン基であるRが、エチレン基であ
    る請求項3記載のインドール誘導体。
  5. 【請求項5】請求項1又は請求項2記載のインドール誘
    導体(I)を有効成分とする発根誘導剤。
  6. 【請求項6】請求項3又は請求項4記載のインドール誘
    導体(II)を有効成分とする発根誘導剤。
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