JPH11139847A - 琺瑯用フリット - Google Patents

琺瑯用フリット

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JPH11139847A
JPH11139847A JP30853797A JP30853797A JPH11139847A JP H11139847 A JPH11139847 A JP H11139847A JP 30853797 A JP30853797 A JP 30853797A JP 30853797 A JP30853797 A JP 30853797A JP H11139847 A JPH11139847 A JP H11139847A
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Kyoko Hamahara
京子 浜原
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利英 鈴木
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浩司 渡辺
Hiroshi Nagaishi
博 永石
Fusao Togashi
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C8/00Enamels; Glazes; Fusion seal compositions being frit compositions having non-frit additions
    • C03C8/02Frit compositions, i.e. in a powdered or comminuted form
    • C03C8/08Frit compositions, i.e. in a powdered or comminuted form containing phosphorus

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  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 めっき鋼鈑に適用できる低温焼き付けが可能
な琺瑯用フリットで、得られる琺瑯製品の化学的耐久性
に優れ、表面性能も良好な琺瑯用フリットの提供。 【解決手段】 P2O5、Sb2O3 、Al2O3 およびB2O3と、Na
2O、K2O およびLi2Oから選ばれる1種以上と、ZnO 、Ba
O 、CaO およびSrO から選ばれる1種以上と、TiO2、Si
O2およびZrO2から選ばれる1種以上とを含有し、それら
を下記組成(A) または(B) で示される含有率(wt%)で
含有する琺瑯用フリット。 〔組成(A) 〕P2O5:45〜65%、Sb2O3 :5〜15%、Al2O
3 :2〜10%、B2O3:0.5 〜5%、7%≦Na2O+K2O +
Li2O<15%、7%≦ZnO +BaO +CaO +SrO ≦20%、1
%≦TiO2+SiO2+ZrO2≦10%、〔組成(B) 〕P2O5:50〜
65%、Sb2O3 :7〜12%、Al2O3 :3〜8%、B2O3:0.
5 〜4%、11.5%≦Na2O+K2O +Li2O≦13%、11%≦Zn
O +BaO +CaO ≦14%、1%≦TiO2+SiO2+ZrO2≦8%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温焼き付けが可
能で、得られる琺瑯製品の化学的耐久性に優れた琺瑯用
フリットに関する。
【0002】
【従来の技術】琺瑯とは、一般に、鉄などの金属に無機
質ガラス粉末をうわぐすりとして高温で焼き付け、金属
基板上に表面性能の優れたガラス被膜を形成したもので
ある。従来、琺瑯の焼き付け温度(:焼成温度)は800
〜900 ℃と高温であるため、下記(1) 、(2) の問題があ
り、低温焼き付け可能な琺瑯用フリットが必要となって
いる。
【0003】(1) 薄物鋼板に焼き付ける場合、熱による
鋼板の変形量が大きくなることから、製品の寸法精度が
得られない。 (2) めっき鋼板を使用する場合、高温のためめっき層が
溶融し流れ落ちてしまう。 このため、近年、低温焼き付け可能な琺瑯用フリットの
検討が進められ、SiO2系フリットを用いた焼成温度670
℃の鉄−琺瑯(特公昭62−38305 号公報参照)、あるい
は、P2O5系フリットを用いた焼成温度500 〜540 ℃のア
ルミニウムメッキ鋼板−琺瑯(特公平6−43256 号公報
参照)のように、低温でも焼き付け可能な琺瑯用フリッ
トが開発されている。
【0004】前記したSiO2系フリットは、焼成温度が67
0 ℃と従来の琺瑯用フリットに比べれば低温焼成が可能
のため、鋼鈑の変形などの問題は改善されるが、670 ℃
という焼成温度ではめっき鋼鈑におけるめっき層の流れ
落ちのような問題は避けることができない。このため、
もう一段低温での焼成を可能とする琺瑯用フリットが必
要である。
【0005】一方、前記したP2O5系フリットの場合、50
0 〜540 ℃とかなり低温の焼成温度でも表面性能に優れ
た琺瑯を得ることができるが、琺瑯製品として要求され
る耐酸性、耐アルカリ性、あるいは水との反応による風
化への抵抗性などといった化学的耐久性は、満足すべき
ものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、めっき鋼鈑にも使用できる低
温焼き付けが可能な琺瑯用フリットで、さらに得られる
琺瑯製品の化学的耐久性に優れ、表面性能も良好な琺瑯
用フリットを提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために様々な組成について検討、試験を重ねた
結果、下記組成の琺瑯用フリットが、焼成温度が530 ℃
以下の低温での焼き付けが可能で、得られる琺瑯の化学
的耐久性および表面性能に優れた琺瑯用フリットである
ことを見出し、下記第1の発明に想到した。
【0008】すなわち、第1の発明は、少なくとも、P2
O5、Sb2O3 、Al2O3 およびB2O3と、Na2O、K2O およびLi
2Oから選ばれる1種以上と、ZnO 、BaO 、CaO およびSr
O から選ばれる1種以上と、TiO2、SiO2およびZrO2から
選ばれる1種以上とを含有し、それらの成分を下記含有
率で含有することを特徴とする琺瑯用フリットである。
【0009】 P2O5 : 45〜65wt% Sb2O3 : 5〜15wt% Al2O3 : 2〜10wt% B2O3:0.5 〜5wt% 7wt%≦Na2O+K2O +Li2O<15wt% 7wt%≦ZnO +BaO +CaO +SrO ≦20wt% 1wt%≦TiO2+SiO2+ZrO2≦10wt% また、本発明者らは、めっき鋼板への琺瑯の焼き付け時
の外観変化による意匠性の低下の防止のためには焼き付
け温度を520 ℃以下とする必要があることを見出し、さ
らに焼成温度の低温化を検討した結果、下記第2の発明
に想到した。
【0010】すなわち、第2の発明は、少なくとも、P2
O5、Sb2O3 、Al2O3 およびB2O3と、Na2O、K2O およびLi
2Oから選ばれる1種以上と、ZnO 、BaO およびCaO から
選ばれる1種以上と、TiO2、SiO2およびZrO2から選ばれ
る1種以上とを含有し、それらの成分を下記含有率で含
有することを特徴とする琺瑯用フリットである。 P2O5 : 50〜65wt% Sb2O3 : 7〜12wt% Al2O3 : 3〜8wt% B2O3 :0.5〜4wt% 11.5wt%≦Na2O+K2O +Li2O≦13wt% 11wt%≦ZnO +BaO +CaO ≦14wt% 1wt%≦TiO2+SiO2+ZrO2≦8wt%
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を第1の発明、第2
の発明の順にさらに詳細に説明する。 〔第1の発明:〕本発明において前記した各種酸化物の
配合割合を前記の配合割合に限定した理由について説明
する。
【0012】先ず、P2O5は、本発明での琺瑯のガラスを
構成するもので、網目状に形成される。P2O5は、低温で
の琺瑯焼き付けの点から、含有率が45〜65wt%の範囲で
あることが必要である。すなわち、P2O5の含有率が45wt
%未満の場合、ガラスの焼き付け温度が高くなり、530
℃以下の低温焼き付けができなくなり、逆に65wt%を超
えると、スリップ作製におけるボールミル粉砕時にスリ
ップの固化が発生する。
【0013】P2O5は、単体二重結合酸素を含むため、そ
のままでは化学的耐久性が低く、揮発性も強い。このた
め、以下の成分を添加することによって、琺瑯に必要な
特性を発現することができる。Sb2O3 は、琺瑯の化学的
抵抗性に影響を及ぼす成分であり、含有率が5〜15wt%
の範囲であることが必要である。
【0014】Sb2O3 の含有率が5wt%未満の場合、琺瑯
の焼き付け温度が高くなり、530 ℃以下の低温焼き付け
ができず、逆に15wt%を超えると、琺瑯の化学的抵抗性
が発揮されない。また、Al2O3 は、琺瑯の機械的性質、
化学的抵抗性に影響を及ぼす成分であり、含有率が2〜
10wt%の範囲であることが必要である。
【0015】すなわち、Al2O3 の含有率が2wt%未満の
場合、琺瑯の機械的特性、化学的抵抗性が発揮されず、
逆に10wt%を超えると琺瑯の焼き付け温度が高くなり、
530℃以下の低温焼き付けができなくなる。次に、B2O3
は、琺瑯の焼き付け温度の低温化、光沢に影響を及ぼす
成分であり、含有率が0.5 〜5wt%の範囲であることが
必要である。
【0016】すなわち、B2O3の含有率が 0.5wt%未満の
場合、琺瑯の光沢が減少し、また焼き付け温度が高くな
り530 ℃以下での低温焼き付けができなくなり、逆に5
wt%を超えると耐酸性に劣り、化学的抵抗性が悪化す
る。また、Na2O,K2O ,Li2Oは、琺瑯の焼き付け温度の
低温化、光沢、化学的抵抗性に影響を及ぼす成分であ
り、Na2O,K2O およびLi2Oから選ばれる1種以上の合計
含有率が7wt%以上、15wt%未満であることが必要であ
る。
【0017】すなわち、上記した3成分の合計含有率が
7wt%未満の場合、琺瑯の光沢が減少し、また焼き付け
温度が高くなり530 ℃以下での低温焼き付けができなく
なり、逆に15wt%以上になると琺瑯の化学的抵抗性が減
少してしまう。次に、ZnO ,BaO ,CaO ,SrO は、琺瑯
の化学的抵抗性、機械的性質、熱膨張率に影響を及ぼす
成分であり、ZnO ,BaO ,CaO およびSrO から選ばれる
1種以上の合計含有率が7wt%以上、20wt%以下である
ことが必要である。
【0018】すなわち、上記した4成分の合計含有率が
7wt%未満の場合、琺瑯の化学的抵抗性、機械的特性が
発揮されない。また、逆に、上記した4成分の合計含有
率が20wt%を超えると琺瑯の焼き付け温度が高くなり、
530 ℃以下での低温焼き付けができなくなると共に、琺
瑯の熱膨張率を増加させ鋼板など金属板の線膨張係数と
の相異から、琺瑯に亀裂が発生する。
【0019】最後に、TiO2,SiO2,ZrO2は琺瑯の化学的
抵抗性、機械的性質に影響を及ぼす成分であり、TiO2
SiO2およびZrO2から選ばれる1種以上の合計含有率が1
wt%以上、10wt%以下であることが必要である。すなわ
ち、上記した3成分の合計含有率が1wt%未満の場合、
琺瑯の化学的抵抗性、機械的特性が発揮されず、逆に10
wt%を超えると琺瑯の焼き付け温度が高くなり、530 ℃
以下での低温焼き付けができなくなる。
【0020】〔第2の発明:〕530 ℃以下の低温焼き付
けが可能な前記した第1の発明によって、めっき鋼板に
おける琺瑯焼き付け時のめっき層の流れ落ち、めっき密
着性の低下を防止することが可能となったが、焼き付け
時に外観が変化し、意匠性が低下する場合があった。
【0021】本発明者らは、上記しためっき層の変化を
防止するため種々実験を行った結果、めっき鋼板への琺
瑯の焼き付け温度を520 ℃以下とする必要があることを
見出し、さらに検討、試験を重ねた結果、下記組成の琺
瑯用フリットが520 ℃以下の低温焼き付けが可能で、得
られる琺瑯の化学的耐久性および表面性能に優れた琺瑯
用フリットであることを見出し、下記第2の発明に想到
した。
【0022】本発明において前記した各種酸化物の配合
割合を前記の配合割合に限定した理由について説明す
る。なお、下記第2の発明においては、後記の実施例2
で示されるように、焼き付け温度の代表特性値である琺
瑯用フリットの軟化温度を用い、また化学的耐久性の代
表特性値として、焼成後の琺瑯用フリットの塩酸酸性水
溶液へ浸漬前後の重量減少率である耐酸性を用いて説明
する。
【0023】先ず、P2O5は、本発明での琺瑯のガラスを
構成するもので、網目状に形成される。本発明者らは、
種々の検討、実験を行った結果、P2O5の含有率を50wt%
以上とし、その含有率を増加するに従い琺瑯用フリット
の軟化温度、焼成後の琺瑯用フリットの酸性溶液浸漬後
の重量減少率のいずれもが減少することが判明した。
【0024】しかし、逆に、P2O5含有率が65wt%を超え
ると、スリップ作製におけるボールミル粉砕時にスリッ
プの固化が発生する。すなわち、低温焼成可能でしかも
優れた耐酸性を有する琺瑯を得るために、本発明におい
ては、P2O5含有率を50〜65wt%と規定した。次に、図1
に、Sb2O3 の含有率と琺瑯用フリットの軟化温度および
焼成後の琺瑯用フリットの耐酸性試験後の重量減少率と
の関係を示す。
【0025】図1に示されるように、Sb2O3 の含有率が
多い場合、琺瑯用フリットは低温焼成可能であるが、耐
酸性が目標値を満足しない。この耐酸性については下記
で述べる成分調整で補い、低温焼成可能でかつ耐酸性に
優れた成分組成として、Sb2O3 含有率を7〜12wt%と規
定した。特に、Sb2O3 含有率が8wt%以上、9.5 wt%以
下の範囲であれば、低温焼成可能でしかも耐酸性を発揮
する。
【0026】上記した焼成温度の低温化のためのSb2O3
含有率の増加に伴う耐酸性の低下を補うために、Al2O3
の含有率を3wt%以上と規定した。Al2O3 含有率が3wt
%未満の場合、耐酸性が満足されない。逆に、Al2O3
含有率が8wt%を超えると琺瑯の焼成温度が高くなり、
520 ℃での焼成が不可能となる。
【0027】すなわち、低温焼成可能でしかも優れた耐
酸性を有する琺瑯を得るために、本発明においては、Al
2O3 含有率を3〜8wt%と規定した。特に、Al2O3 含有
率が4wt%以上、6wt%以下の範囲であれば、低温焼成
可能でしかも耐酸性を発揮する。次に、B2O3含有率は0.
5 〜4wt%の範囲であることが必要である。
【0028】すなわち、B2O3含有率が0.5 未満であると
琺瑯の焼成温度が高くなり、520 ℃での焼成ができなく
なり、逆に4wt%を超えると耐酸性が満足されない。特
に、B2O3含有率が0.5 wt%以上、2wt%以下の範囲であ
れば、低温焼成可能でしかも耐酸性を発揮する。また、
Na2O,K2OおよびLi2Oから選ばれる1種以上の合計含有率
が11.5wt%以上、13wt%以下の範囲であることが必要で
ある。
【0029】11.5wt%未満であると琺瑯の焼成温度が高
くなり、520 ℃での焼成ができなくなり、逆に13wt%を
超えると耐酸性が満足されない。次に、ZnO,BaO および
CaO から選ばれる1種以上の合計含有率が11wt%以上、
14wt%以下の範囲であることが必要である。すなわち、
11wt%未満であると琺瑯の焼成温度が高くなり、520 ℃
での焼成ができなくなり、逆に14wt%を超えると耐酸性
が満足されない。
【0030】最後に、TiO2,SiO2およびZrO2から選ばれ
る1種以上の合計含有率が1wt%以上、8wt%以下の範
囲であることが必要である。すなわち、1wt%未満であ
ると耐酸性が満足されず、逆に8wt%を超えると琺瑯の
焼成温度が高くなり、520 ℃での焼成ができなくなる。
特に、TiO2,SiO2およびZrO2から選ばれる1種以上の合
計含有率が3wt%以上、6wt%以下の範囲であれば、低
温焼成可能でしかも耐酸性を発揮する。
【0031】以上、本発明における第1の発明、第2の
発明の各種酸化物の配合割合およびその限定理由につい
て述べた。琺瑯用フリットに対する要求特性としては、
低軟化温度、表面光沢可変性、耐薬品性(耐酸性、耐ア
ルカリ性)の他に、低熱膨張率、優れた機械的特性が必
須であるが、上記の第1の発明、第2の発明の組成範囲
を満足する琺瑯用フリットを用いて琺瑯掛けを行えば、
琺瑯の剥離、割れなどの不具合は発生しない。
【0032】〔本発明の琺瑯用フリットの原料および製
造方法:〕第1の発明および第2の発明(以下両者を併
せて本発明と記す)の低温焼き付けが可能な琺瑯釉薬を
構成する組成物の原料としては、焼成により前記各種酸
化物もしくはそれらの酸化物の混合物を生じる原料であ
れば、どのようなものでも良い。
【0033】例えば、リン酸一水素アンモニウム、リン
酸一水素ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン
酸二水素ナトリウム、酸化アルミニウム、酸化アンチモ
ン、(無水)ホウ酸、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酸化亜鉛、炭酸バリ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、酸化チタ
ン、(無水)ケイ酸、酸化ジルコニウム、ジルコンなど
が挙げられる。
【0034】次に、本発明の低温焼き付けが可能な琺瑯
用フリットの製造方法について説明する。すなわち、本
発明の低温焼き付けが可能な琺瑯用フリットは、例えば
次のようにして製造される。 (1) 前記で例示した原料から適宜原料を選択、秤量し、
それらを充分粉砕混合する。
【0035】(2) 上記混合物を炉内で加熱焼成して溶融
化する。なお、上記(1) および(2) の工程においては、
配合した原料を、粉砕せずに溶融してもよい。 (3) 溶融の最終段階では800 〜1200℃の温度条件下で30
分〜4時間、より好ましくは1000〜1150℃の温度条件下
で30分〜2時間溶融させる。
【0036】この場合、必要に応じて途中で攪拌しても
よい。 (4) 溶融に際しては必要に応じて前焼成を行っても良
い。すなわち、上記した前焼成を行う場合は、例えば、
リン酸一水素アンモニウムのようなアンモニウム塩を用
いた場合、先ず常温で充分に混合する。次に150 〜500
℃の温度条件下で30分〜3時間反応させ、アンモニアを
脱気する。
【0037】上記のようにして得た固形物を、続いて粉
砕し、上記した(3) の溶融を行う。このようにすれば、
溶融時に脱気がほとんど起きないために、原料がるつぼ
から吹きこぼれずに、安全に作業を行うことができ、さ
らには、正確に所定の組成の琺瑯用フリットを製造する
ことができる。上記した原料としてアンモニウム塩を用
いる場合以外においても、上記と同様の理由で、原料と
して水を含む粉末や炭酸塩を用いる場合、溶融する前
に、上記した(4) の前焼成の処理を行うことが好まし
い。
【0038】(5) 得られた溶融物は水中に投じるか、厚
い鉄板の上に流し込み、一気に急冷する。これは、急冷
することにより、粉砕されたガラス状のフリットとな
り、次工程での粉砕が容易となるためである。 (6) 得られたフリットは、ボールミル、ポットミル、振
動ミル、らい潰機などを用いて微粉砕する。
【0039】このようにして目的とする低融点の琺瑯用
フリットが得られる。 〔本発明の琺瑯用フリットの金属板へのコーティング方
法:〕次に、以上のようにして得られた琺瑯用フリット
を金属板にコーティングする方法について説明する。す
なわち、上記で得られた低温焼き付け可能な琺瑯用フリ
ットに、蛙目(がいろめ)粘土、ベントナイト、アルギ
ン酸アンモニウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリ
ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸
三カリウム、リン酸水素二ナトリウムなど各種リン酸塩
などの添加物、着色顔料および水を加えて、例えばボー
ルミル粉砕によってスリップを作製する。
【0040】得られたスリップを、金属板に、ディッピ
ング法、フローコーティング法、スプレー法、静電吹き
付け法などを用いて施釉し、好ましくは、焼成温度530
℃以下、より好ましくは520 ℃以下で焼き付ける。な
お、この場合、施釉から焼成の間に乾燥工程を入れても
入れなくても琺瑯の特性、外観に影響はない。
【0041】金属板としては、普通鋼板、アルミニウム
板など被覆していない金属板はもちろん、アルミニウム
めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板、亜鉛鉄
合金めっき鋼板などめっき鋼板を使用することができ
る。なお、上記の説明は低温焼き付けが可能な琺瑯用フ
リットを金属板にコーティングして琺瑯製品を製造する
例について説明したが、本発明の琺瑯用フリットは、金
属板以外の他の材質の基盤にコーティングすることはも
ちろん可能である。
【0042】以上説明したように、本発明の低温焼き付
けが可能な琺瑯用フリット(第1の発明の琺瑯用フリッ
ト、第2の発明の琺瑯用フリット)は、焼き付け温度が
530℃以下と非常に低いため、本発明によれば、薄物鋼
板に焼き付けた時に、鋼板の熱変形がほとんど発生せ
ず、寸法精度の高い琺瑯製品を製造可能とした。また、
本発明の低温焼き付けが可能な琺瑯用フリットは、焼き
付け温度が530℃以下と非常に低いため、亜鉛めっき鋼
板などめっき鋼板に焼き付けた場合もめっき層の溶融に
よる問題点が回避できる。
【0043】また、本発明の低温焼き付けが可能な琺瑯
用フリットは、重金属などの有害物質を含まないため、
有害性、リサイクル上の問題が発生しない。また、下記
の実施例に示されるように、本発明の琺瑯用フリットを
使用することにより、得られる琺瑯製品が、琺瑯製品の
品質基準として定められている化学的耐久性、特に耐酸
性に優れ、前記した本発明の課題を解決した。
【0044】さらに、第2の発明の琺瑯用フリットによ
れば、焼き付け温度が520 ℃以下と非常に低いため、め
っき鋼板に琺瑯を焼き付けた時に、めっき層に変化を及
ぼすことが回避でき、この結果、外観変化による琺瑯鋼
板の意匠性の低下が防止できる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 〔実施例1〕(第1の発明) リン酸一水素アンモニウム、酸化アルミニウム、酸化ア
ンチモン、無水ホウ酸、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、炭酸ストロンチウム、酸化チタン、無水ケイ
酸、および酸化ジルコニウムを原料として、下記(1) →
(5) の製造工程で、表1に示す各種組成の琺瑯用フリッ
トを製造した(本発明例1〜8、比較例1〜8)。
【0046】(1) 前記した原料から目標とする組成を得
るように原料を選択、秤量、配合し、常温で充分に混合
した。 (2) 得られた混合物を、350 ℃の温度条件下、2時間反
応させ、アンモニアを脱気した。 (3) 得られた固形物を粉砕し、炉内で加熱焼成して溶
融、攪拌した。
【0047】溶融の最終段階では1100℃の温度条件下、
1時間溶融させた。 (4) 得られた溶融物を水中に投じ、一気に急冷し、粉砕
された状態のガラス状のフリットを得た。 (5) 得られたフリットを、ポットミルを用いて微粉砕
し、琺瑯用フリットを得た。
【0048】次に、得られた表1に示す組成の琺瑯用フ
リット100 重量部に対し、チタン顔料としてルチル系酸
化チタンを20重量部の割合で配合したものを主成分に、
分散剤(:ピロリン酸ナトリウム)を1重量部、水35重
量部を添加してスリップを作製した。合金化処理溶融亜
鉛めっき鋼板の表面上に、それぞれのスリップを施釉し
た後、530 ℃で焼成し、厚さ50μm の琺瑯層を形成し
た。
【0049】得られた琺瑯製品の性能を、下記の性能評
価方法に基づき評価した。 〔性能評価方法:〕 (外観;)琺瑯製品の琺瑯層の状態を目視で観察し、下
記基準で評価した。 ○:琺瑯層の表面の光沢が十分 ×:琺瑯層の表面の光沢が不足 (耐酸性;)JIS-R 4301-1978 「ほうろう製品の品質基
準」に規定されたくえん酸による常温スポット試験(:
10%くえん酸、15分スポット)に基づき、表面浸食度
を、同試験法で規定されたAA級、A級、B級、C級、
D級の5段階で判定した。
【0050】(耐アルカリ性;)JIS-R 4301-1978 「ほ
うろう製品の品質基準」に規定された耐アルカリ試
験(:10%炭酸ナトリウム、15分スポット)に基づき、
表面浸食度を、下記基準に基づき判定した。 ○:変色、鉛筆の線マークのいずれも見られず。
【0051】 △:変色、鉛筆の線マークのいずれかが見られる。 ×:変色、鉛筆の線マークの両者が見られる。 得られた琺瑯製品の性能評価結果を、用いた琺瑯用フリ
ットの組成と併せて表1に示す(本発明例1〜8、比較
例1〜8)。表1から明らかなように、第1の発明の組
成範囲を満足しない琺瑯用フリットを用いて製造した比
較例の琺瑯製品は、いずれも外観不良および耐酸性不良
もしくは耐酸性不良であるが、本発明の組成範囲を満足
する琺瑯用フリットを用いて製造した実施例の琺瑯製品
は、いずれも、外観状態、耐酸性、耐アルカリ性抵抗の
いずれにも優れており、530 ℃の低温焼き付けでも充分
優れた品質の琺瑯製品が得られることが分かる。
【0052】本発明の琺瑯用フリットは、特に得られる
琺瑯製品の耐酸性に優れているため、A級以上の耐酸性
を要求される琺瑯製品の分野を含め、各種分野の琺瑯製
品製造用の琺瑯用フリットとして用いることができる。
【0053】
【表1】
【0054】〔実施例2〕(第2の発明) 本実験においては、琺瑯用フリットの組成決定のため
に、下記のような簡易な実験方法を採用した。これは、
前記した通常の琺瑯実験が、図2に示すように工程が長
く、実験に長期間および多くの試作費用を要し、短期間
で効率良く実験を進めるためである。
【0055】実施例1と同様の方法で得られたフリット
を、ポットミルを用いて微粉砕し、表2に示す組成の琺
瑯用フリットを得た(本発明例9〜29、比較例9〜2
8)。得られた琺瑯用フリットを、下記の性能評価方法
に基づき評価した。 〔性能評価方法:〕 (軟化温度の測定;)琺瑯用フリットを粉砕して、目開
き74μmの篩下で、目開き44μmの篩上の粉末を使用し
た。
【0056】上記した粉末を、JIS R 2204の「耐火れん
がの耐火度の試験方法」に基づき、試験コーンを作製し
た。加熱によってこの試験コーンの先端が受け台に接触
した時の温度を”軟化温度”とした。なお、本試験に先
立つ種々の突き合わせ実験から、520 ℃以下での琺瑯の
焼成を可能とするためには、軟化温度が480 ℃以下であ
ればよいことが分かった。
【0057】(耐薬品性の測定;)作製した琺瑯用フリ
ットをペレット状に焼き固め、酸性溶液(18%塩酸水溶
液)またはアルカリ性溶液(20%水酸化ナトリウム水溶
液)に1時間浸漬し、試験前後でのペレットの重量減少
率によって評価した。なお、本試験に先立つ種々の突き
合わせ実験から、前記したJIS R 4301-1978に規定され
たくえん酸による常温スポット試験での耐表面浸食
度(:光沢の残存率)をAA級以上とするためには、前
記した酸性溶液浸漬前後でのペレットの重量減少率が2
%以下であればよいことが分かった。
【0058】また、本発明の琺瑯用フリットは、アルカ
リ性溶液への浸漬処理では、重量減少率が1%以下であ
った。すなわち、本発明の琺瑯用フリットは、耐アルカ
リ性試験では光沢の減少は見られないことになる。得ら
れた琺瑯用フリットの性能評価結果を、琺瑯用フリット
の組成と併せて表2に示す(本発明例9〜29、比較例9
〜28)。
【0059】なお、目標とした軟化温度は、前記したよ
うに480 ℃以下であり、目標とした耐薬品性(耐酸性、
耐アルカリ性)試験における重量減少率は2%以下であ
る。表2から明らかなように、第2の発明の組成範囲を
満足しない比較例の琺瑯用フリットの場合、軟化温度が
目標値の480 ℃よりも高いか、もしくは酸性溶液浸漬前
後でのペレットの重量減少率が目標値の2%よりも高く
なっている。
【0060】一方、第2の発明の組成範囲を満足する実
施例の場合は、いずれもこれらの目標値を達成してお
り、焼き付け温度が520 ℃の低温でも充分琺瑯特性を満
足する琺瑯製品が得られることが分かる。特に、本発明
例20、21、23、26、27は、軟化温度が480 ℃以下で、酸
性溶液浸漬前後でのペレットの重量減少率が1%以下と
なっている。
【0061】次に、上記した本発明例9〜29の琺瑯用フ
リットを用いて、アルミニウムを55%含有するZn-Al 合
金めっき鋼板に琺瑯掛けしてその特性を評価した。本評
価実験における琺瑯掛けの条件は、下記のとおりとし
た。すなわち、琺瑯用フリット100 重量部に対し、チタ
ン顔料としてルチル系酸化チタンを20重量部の割合で配
合したものを主成分とし、分散剤(:ピロリン酸ナトリ
ウム)を1重量部、水35重量部を添加して、ボールミル
粉砕によりスリップ化した。
【0062】次に、前記したZn-Al 合金めっき鋼板の表
面上に各スリップを施釉して480 〜520 ℃で焼成し、厚
さ30〜40μm の琺瑯層を形成した。次に得られた琺瑯掛
けめっき鋼板の特性を評価した結果、少なくとも通常の
琺瑯掛けめっき鋼板に対して同等以上の特性を有してい
た。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】本発明の琺瑯用フリットは、低温焼き付
けが可能でめっき鋼鈑にも適用でき、さらには得られる
琺瑯製品の化学的耐久性、特に耐酸性に優れ、表面性能
も良好であり、またPbなどの有害物質を含まないため各
種分野の琺瑯製品の琺瑯用フリットとして優れた性能を
発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】Sb2O3 の含有率と琺瑯用フリットの軟化温度お
よび焼成後の琺瑯用フリットの耐酸性試験後の重量減少
率との関係を示すグラフである。
【図2】琺瑯実験の工程を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊谷 正人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 浜原 京子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 鈴木 利英 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 渡辺 浩司 千葉県習志野市東習志野2−18−13 川鉄 建材株式会社技術研究所内 (72)発明者 永石 博 千葉県習志野市東習志野2−18−13 川鉄 建材株式会社技術研究所内 (72)発明者 冨樫 房夫 千葉県習志野市東習志野2−18−13 川鉄 建材株式会社技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、P2O5、Sb2O3 、Al2O3 およ
    びB2O3と、Na2O、K2O およびLi2Oから選ばれる1種以上
    と、ZnO 、BaO 、CaO およびSrO から選ばれる1種以上
    と、TiO2、SiO2およびZrO2から選ばれる1種以上とを含
    有し、それらの成分を下記含有率で含有することを特徴
    とする琺瑯用フリット。 記 P2O5 : 45〜65wt% Sb2O3 : 5〜15wt% Al2O3 : 2〜10wt% B2O3 : 0.5 〜5wt% 7wt%≦Na2O+K2O +Li2O<15wt% 7wt%≦ZnO +BaO +CaO +SrO ≦20wt% 1wt%≦TiO2+SiO2+ZrO2≦10wt%
  2. 【請求項2】 少なくとも、P2O5、Sb2O3 、Al2O3 およ
    びB2O3と、Na2O、K2O およびLi2Oから選ばれる1種以上
    と、ZnO 、BaO およびCaO から選ばれる1種以上と、Ti
    O2、SiO2およびZrO2から選ばれる1種以上とを含有し、
    それらの成分を下記含有率で含有することを特徴とする
    琺瑯用フリット。 記 P2O5 : 50〜65wt% Sb2O3 : 7〜12wt% Al2O3 : 3〜8wt% B2O3 :0.5〜4wt% 11.5wt%≦Na2O+K2O +Li2O≦13wt% 11wt%≦ZnO +BaO +CaO ≦14wt% 1wt%≦TiO2+SiO2+ZrO2≦8wt%
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