JPH11172200A - 無機・有機複合型水系被覆用組成物 - Google Patents

無機・有機複合型水系被覆用組成物

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JPH11172200A
JPH11172200A JP34268897A JP34268897A JPH11172200A JP H11172200 A JPH11172200 A JP H11172200A JP 34268897 A JP34268897 A JP 34268897A JP 34268897 A JP34268897 A JP 34268897A JP H11172200 A JPH11172200 A JP H11172200A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貯蔵安定性に富み、更に耐候性、耐汚染性に優
れた被膜を形成することのできる無機・有機複合型水系
被覆用組成物を提供すること。 【解決手段】a)水溶性又は水分散性アルコキシシラン
縮合物、(b)加水分解性シリル基含有含フッ素共重合
体水分散物及び加水分解性シリル基含有アクリル共重合
体水分散物からなる群から選ばれた少なくとも1種、
(c)有機溶媒、及び(d)水からなる無機・有機複合
型水系被覆用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無機・有機複合型水
系被覆用組成物に関し、より詳しくは、貯蔵安定性に富
み、更に耐候性、耐汚染性に優れた被膜を形成すること
のできる無機・有機複合型水系被覆用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルコキシシラン縮合物の有
機溶媒溶液、又はアルコキシシラン縮合物と加水分解性
シリル基含有アクリル共重合体との混合物の有機溶媒溶
液等は耐候性、耐汚染性を発揮する被膜を形成し得る有
用な材料であることは広く知られている。しかしなが
ら、これらの被覆用材料は有機溶剤で希釈して用いるた
め、当然のことながらその有機溶剤の毒性並びに引火性
等の性質により、その被覆用材料の使用範囲、使用態様
に制限が生ずる。例えば、塗装作業の際に換気を行って
作業従事者の健康環境を維持するとか、又は塗装ライン
を防曝形式にするなどの処置が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題点を解決す
るためには、上記の被覆用組成物を水溶液又は水分散液
にするのが理想であるが、アルコキシシラン縮合体の側
鎖並びに末端に存在するアルコキシシリル基は水中では
加水分解性が強く、縮合反応が進行するので、そのよう
な組成物を水中に長期に亘り安定に保つことは極めて難
しいことが知られている。
【0004】又、アルコキシシラン縮合物の有機溶媒溶
液を単独で被膜とする場合には硬くて脆い被膜となると
いう欠点もある。この被膜の欠点を改善する手段とし
て、アルコキシシラン縮合物の有機溶媒溶液に、有機溶
媒で希釈された加水分解性シリル基含有アクリル樹脂を
配合して変質、改質させる場合も多いが、これらの加水
分解性シリル基含有アクリル樹脂にあっても、分子中に
存在する加水分解性シリル基を水中に長期に亘り安定に
保つことは極めて困難であった。本発明は、貯蔵安定性
に富み、更に耐候性、耐汚染性に優れた被膜を形成する
ことのできる無機・有機複合型水系被覆用組成物を提供
することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、貯蔵安定性に富
み、更に耐候性、耐汚染性に優れた被膜を形成すること
のできる無機・有機複合型水系被覆用組成物を見いだ
し、本発明に到達した。
【0006】即ち、本発明の無機・有機複合型水系被覆
用組成物は、(a)水溶性又は水分散性アルコキシシラ
ン縮合物、(b)加水分解性シリル基含有含フッ素共重
合体水分散物及び加水分解性シリル基含有アクリル共重
合体水分散物からなる群から選ばれた少なくとも1種、
(c)有機溶媒、及び(d)水からなることを特徴とす
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の無機・有機複合
型水系被覆用組成物について具体的に、詳細に説明す
る。本発明で使用する水溶性又は水分散性アルコキシシ
ラン縮合物としては、代表的なものとして次の3種類を
挙げることができる。
【0008】(1)化学式(I) (R1)a −Si(OR2)4-a (I) (式中、aは1又は2の整数であり、R1 はC1 〜C6
のアルキル基又はフェニル基であり、R2 はC1 〜C4
のアルキル基である)で表されるアルコキシシラン化合
物、又は化学式(II)
【0009】
【化1】 (式中、nは1〜10の整数であり、R1 はC1 〜C6
のアルキル基又はフェニル基であり、R2 はC1 〜C4
のアルキル基であり、R3 はR1 基又はOR2 基であ
る)で表されるアルコキシシラン初期縮合物を、水中又
は水と親水性溶媒との混合物中で界面活性剤の存在下で
縮合して得られる縮合物(X)。
【0010】(2)分子中にグリシドキシ基を有するト
リアルコキシシラン又はジアルコキシシランの存在下、
化学式(I)で表されるアルコキシシラン化合物又は化
学式(II)で表されるアルコキシシラン初期縮合物を、
水中又は水と親水性溶媒との混合物中で縮合して得られ
る縮合物(Y)。 (3)分子中にグリシドキシ基を有するアルコキシシラ
ン化合物に第一級アミン及び/又は第2級アミンを反応
させた後、酸で中和し、更に水で希釈して得た溶液中
で、化学式(I)で表されるアルコキシシラン化合物又
は化学式(II)で表されるアルコキシシラン初期縮合物
を縮合して得られる縮合物(Z)。
【0011】上記の化学式(I)で表わされるアルコキ
シシラン化合物の具体例として、メチルトリメトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチ
ルトリプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラ
ン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジプロ
ポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジ
ブトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジフェ
ニルジブトキシシラン等が挙げられる。
【0012】化学式(I)中の置換基R1 としては、被
膜のリコート性の点からメチル基及びフェニル基が好ま
しい。置換基OR2 (アルコキシ基)としては、水中で
の安定性の面ではメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基の順に良くなる反面、被膜形成時の反応
性は全くこの逆の順位となる。従って、縮合物の安定性
と被膜形成時の反応の両方を満足させる点ではエトキシ
基が特に好ましい。
【0013】上記の化学式(II)で表わされるアルコキ
シシラン初期縮合物は、上記の化学式(I)のアルコキ
シシラン化合物を1種類用いるか又は2種類以上を混合
して用いて縮合させて得られるものであり、基本単位
【化2】 の2量体〜11量体である。本発明においては、塗膜の
可撓性や耐候性を向上させる目的で、化学式(II)で表
わされるアルコキシシラン初期縮合物を化学式(I)で
表わされるアルコキシシラン化合物と併用することも可
能である。
【0014】上記した縮合物(X)の製造に使用する界
面活性剤(以下乳化剤と称す)としては、ラウリル硫酸
エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェノールエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性
剤や、ポリオキシエチレンアルコール、エトキシル化ノ
ニルフェノール、ジアルキルフェノールエトキシレー
ト、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロッ
クコーポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界
面活性剤が代表的なものとして挙げられ、特にHLB価
が4.3〜8.6の範囲にあるソルビタン脂肪酸エステ
ル、及びHLB価が9.6〜11.4の範囲にあるポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられ
る。これらの乳化剤は単独で使用することも、複数種を
併用することも可能である。
【0015】又、上記した縮合物(X)を製造する際に
用いる乳化剤の濃度は、一般的には化学式(I)で表さ
れるアルコキシシラン化合物又は化学式(II)で表され
るアルコキシシラン初期縮合物の重量に対して1〜30
重量%、好ましくは3〜20重量%の範囲である。これ
らの好ましい乳化剤の種類及び濃度を適宜選択して製造
されるシラン縮合物は2ヶ月以上の間安定なエマルジョ
ンとして維持することが可能である。
【0016】上記した縮合物(Y)及び(Z)の製造に
使用するグリシドキシ基を有するアルコキシシラン化合
物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン
等の加水分解性シラン化合物が挙げられる。
【0017】又、上記した縮合物(Y)を製造する際に
用いるグリシドキシ基を有するアルコキシシラン化合物
の濃度は、アルコキシシラン縮合物の全固形分の重量に
対して部分のみオキシラン環部分のみの含有量が4.0
〜12.0重量%の範囲内の量となることが好ましい。
オキシラン環部分のみの含有量が4.0重量%未満の場
合には、アルコキシシラン縮合物の水溶性又は水分散性
が充分でなく、貯蔵安定性が悪くなる傾向があるので好
ましくない。逆にオキシラン環部分のみの含有量が1
2.0重量%を超えると、耐水性能が低下する傾向があ
るので好ましくない。
【0018】又、上記した縮合物(Z)を製造する際に
用いる第一級又は第二級アミンとしては、例えば、n−
プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、アニリン、ベンジルアミ
ン、オクチルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメ
チルトリメトキシシラン、オルガノシロキサン変性第一
級アミン、4−フルオロアニリン、2,2−ビス[(4
−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン]、4−ア
ミノベンゾトリフルオライド等の任意の第一級アミン、
ジエチルアミン、ジ−(n−プロピル)アミン、ジアミ
ルアミン、ジエタノールアミン等の任意の第二級アミン
又はこれらの混合物を用いることができるが、被膜の耐
水性や耐候性を考慮した場合、有機基の疎水性の強いも
のが望ましい。
【0019】上記した縮合物(Z)を製造する際には、
グリシドキシ基を有するアルコキシシラン化合物と第一
級又は第二級アミンとを、グリシドキシ基を有するアル
コキシシラン化合物のエポキシ基1モルに対して第一級
又は第二級アミンが0.1〜2モルとなる量で混合し、
密封し、攪拌しながら60〜100℃で2〜8時間加熱
して珪素含有アミンを合成し、次いでこれに、上記の混
合して第一級又は第二級アミンのモル量と等モル量の酸
の水溶液を加え、中和して比較的低分子量の水性有機珪
素化合物を得る。
【0020】この際の第一級又は第二級アミンの混合量
が0.1モル未満である条件下で得た化合物の存在下
で、化学式(I)で表されるアルコキシシラン化合物又
は化学式(II)で表されるアルコキシシラン初期縮合物
を縮合すると、得られる水溶液又は水分散物の貯蔵安定
性が悪くなる傾向があるので好ましくない。逆に第一級
又は第二級アミンの混合量が2モルを超える条件下で得
た化合物の存在下で縮合すると、最終的に得られる被膜
の耐水性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0021】又、上記の中和後の溶液中で、化学式
(I)で表されるアルコキシシラン化合物又は化学式
(II)で表されるアルコキシシラン初期縮合物を縮合す
る際に、未中和の生成アミン化合物が残存していると、
系中のアルコキシ基との反応により不安定になり、沈澱
が生じたりゲル化したりする恐れがあるので、適量の酸
を加えて正確に中和しなければならない。
【0022】中和に用いる酸としては、第一級又は第二
級アミンとの反応で生成しているアミンと反応してアン
モニウム塩を形成するものであれば、任意の酸を用いる
ことができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、
酢酸、プロピオン酸、安息香酸等の有機酸、又はトリメ
チルクロルシラン、ジメチルクロルシラン、四塩化珪素
等のクロルシラン、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム
等が挙げられる。又、この時、酸と一緒に加える水の量
は、化学式(I)で表されるアルコキシシラン化合物又
は化学式(II)で表されるアルコキシシラン初期縮合物
を添加した後の、シラン成分が併せて10〜50重量%
になるような量が望ましい。その量が10重量%未満で
ある場合には、得られるシラン縮合物分散体の固形分濃
度が低く、皮膜形成能力が乏しくなる傾向があり、逆に
50重量%を超えると、貯蔵安定性が著しく低下する傾
向がある。
【0023】上記した縮合物(X)、(Y)及び(Z)
の製造において、水中又は水と親水性溶媒との混合物中
で、化学式(I)で表されるアルコキシシラン化合物又
は化学式(II)で表されるアルコキシシラン初期縮合物
を縮合させる時の条件については、pHが4.0〜8.
0の範囲内であることが適している。pHが4.0近く
では縮合物の安定性がよく、pHが8.0に近づくに従
い安定性が悪くなる傾向がある。後述の加水分解性シリ
ル基含有含フッ素共重合体や加水分解性シリル基含有ア
クリル共重合体との相溶性や、貯蔵安定性等を考慮する
とpHが5.5〜7.0の範囲内であることがより好ま
しい。反応温度は30〜80℃、反応時間は2〜10時
間の範囲内である。本発明においては、水溶性又は水分
散性のアルコキシシラン縮合物、例えば上記した縮合物
(X)、(Y)又は(Z)は単独でも、又は2種以上を
混合して用いることも可能である。
【0024】本発明で使用する加水分解性シリル基含有
含フッ素共重合体水分散物は、1分子中に少なくとも1
種の加水分解性シリル基を有する含フッ素共重合体であ
って水性媒体中に分散された状態のものである。該含フ
ッ素共重合体は前記の水溶性又は水分散性アルコキシシ
ラン縮合物と混合することによって、アルコキシシラン
縮合物の耐候性能を維持しつつ、可撓性を附与する効果
を有する。
【0025】上記の含フッ素共重合体は、フルオロオレ
フィン(i)に基づく構造単位10〜70モル%、オレ
フィン性不飽和結合とアルコキシシリル基を共に有する
有機珪素化合物(ii)に基づく構造単位0.1〜20モ
ル%、及びその他の共重合可能な化合物(iii) に基づく
構造単位30〜85モル%からなり、(i)、(ii)及
び(iii)の合計が100モル%である単量体組成物を水
性媒体中で乳化重合させて得られるものである。
【0026】上記の含フッ素共重合体におけるフルオロ
オレフィン(i)は重合体に耐候性を付与するために必
要な成分であり、分子中に少なくとも1つのフッ素原子
が含まれている重合性二重結合を有する化合物である。
それらを例示するならば、クロロトリフルオロエチレ
ン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエ
チレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ピレン、ヘキサフルオロイソブテン等の炭素原子数が2
〜6程度のフルオロオレフィンが挙げられ、クロロトリ
フルオロエチレンが最も好ましいものとして挙げられ
る。またフルオロオレフィンは1種のみを用いても、2
種以上を併用することもでき、2種以上を併用する場合
にもその内の1種としてクロロトリフルオロエチレンを
含むことが好ましい。
【0027】本発明で使用する加水分解性シリル基含有
含フッ素共重合体水分散物を製造する際のフルオロオレ
フィン(i)の配合比率は全モノマーの10〜70モル
%を占めることが好ましく、30〜60モル%を占める
ことがより好ましい。その配合比率が10モル%未満の
場合には、得られる含フッ素共重合体の耐候性が不十分
となる傾向があり、逆に70モル%を超えると造膜性が
悪くなる傾向があるため好ましくない。
【0028】上記の含フッ素共重合体におけるオレフィ
ン性不飽和結合とアルコキシシリル基とを共に有する有
機珪素化合物(ii)は、前記の水溶性又は水分散性アル
コキシシラン縮合物との相溶性を確実にし、更に被膜形
成時に架橋部位となる成分である。即ち、エマルジョン
中ではアルコキシシリル基の状態は安定であるが、塗膜
形成時にはアルコキシシリル基が加水分解反応してシラ
ノール基に変化し、前記の水溶性又は水分散性アルコキ
シシラン縮合物との間の架橋反応や該含フッ素共重合体
同志間や、又は後述のシリル基含有アクリル共重合体と
の架橋反応に寄与するものと推測され、例えばアルコキ
シシリル基が加水分解し、シラノール基となり、次いで
シラノール基同志が縮合反応してシロキサン結合による
分子間架橋を形成するものと考えられる。そして架橋構
造に起因して得られる塗膜の耐水性、耐汚染性、耐溶剤
性が向上するものと推測される。
【0029】上記の有機珪素化合物(ii)について、そ
のオレフィン性不飽和結合を有する基としては、特には
限定されないが、ビニル基、アリル基、アクリロイル
基、メタクリロイル基などが例示できる。また、そのア
ルコキシシリル基としては、特には限定されないが、シ
リル基又はアルキルシリルのSi原子に少なくとも1個
のメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプ
ロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t
ert−ブトキシ基が結合したものが挙げられる。
【0030】上記の有機珪素化合物(ii)として、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(n−プロポキシ)シラン、ビニルトリイソ
プロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニル
トリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジエ
トキシシラン、ビニルメチルジイソプロポキシシラン、
ビニルメチルジ−n−プロポキシシラン、ビニルメトキ
シジエトキシシラン、ビニルメトキシジイソプロポキシ
シラン、ビニルメトキシジ−n−プロポキシシラン、ビ
ニルエトキシジメトキシシラン、ビニルエトキシジイソ
プロポキシシラン、ビニルエトキシジ−n−プロポキシ
シラン、ビニル−n−プロポキシジメトキシシラン、ビ
ニル−n−プロポキシジエトキシシラン、ビニル−n−
プロポキシジイソプロポキシシラン、3−(N−アリル
−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−(N−アリル−N−メタクロイル)アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N,N−ビス[3−(トリメ
トキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−
ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタ
クリルアミド、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメ
チルシロキシ)シラン等を例示することができる。
【0031】これらは1種のみを使用しても又は2種以
上を組み合わせて使用してもよい。また、上記で例示し
たビニルトリアルコキシシランの中の炭素数1〜4のア
ルコキシ基を有するビニルトリアルコキシシランが他の
モノマーとの共重合性に優れることから特に好ましいも
のとして挙げられ、2種以上を併用する際にもそれらを
含有することが望ましい。
【0032】本発明で使用する加水分解性シリル基含有
含フッ素共重合体水分散物を製造する際の上記の有機珪
素化合物(ii)の配合比率は全モノマーの0.1〜20
モル%を占めることが好ましく、0.3〜10モル%を
占めることがより好ましい。その配合比率が0.1モル
%未満の場合には、最終的に得られる被膜の架橋が十分
でなく、塗膜の耐水性と耐汚染性に劣る傾向があり、逆
に20モル%を超えると分散液の保存安定性に劣る傾向
があるので好ましくない。
【0033】上記の含フッ素共重合体におけるその他の
共重合可能な化合物(iii)としては、例えば、酢酸ビニ
ル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ビバリン酸
ビニル、バーサチック酸ビニル、(ベオバ9、ベオバ1
0)等の炭素数1〜8の分岐を有することもある脂肪酸
から誘導される脂肪酸ビニルエステル類、エチルビニル
エーテル、プロピルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル等の炭素数1〜6の分岐を有するか又は環
状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル類、酢
酸アリル、プロピオン酸アリル、酪酸アリル、イソ酪酸
アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリ
ン酸アリル、シクロヘキサンカルボン酸アリル等のカル
ボン酸アリルエステル類、メチルアリルエーテル、エチ
ルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエ
ーテル類、ヒドロキシブチルアリルエーテル、エチレン
グリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコール
モノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリ
ルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基
含有アリルエーテル類、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシメチ
ルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン等のα
−オレフィン類、ポリエチレンオキシド類、ポリプロピ
レンオキシド鎖などの親水性側鎖を持つ不飽和エステル
類又は不飽和エーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン
等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、(メ
タ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリロイル化合
物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸、無水テトラハイドロフタル酸等の不飽和カルボン酸
無水物もしくはその誘導体、(メタ)アクリル酸、クロ
トン酸、ビニル酢酸、マレイン酸等の不飽和カルボン
酸、及びジカルボン酸、又は化学式(III) CH2 =CH−(CH2)n −COOH (III) (式中、nは3〜15の整数である)で表わされる5−
ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノ
ネン酸、9−デセン酸、10−ウンデシレン酸、11−
ドデシレン酸、17−オクタデシレン酸等の不飽和カル
ボン酸類が挙げられ、更には、10−ウンデシレン酸ナ
トリウム等の不飽和カルボン酸をアルカリ物質で中和し
たもの、スルホン酸含有モノマーなどがある。
【0034】これらのなかで、上記化学式(III)で表わ
される不飽和カルボン酸類は、シリル基含有含フッ素共
重合体水分散物の安定性とアルコキシシリル基の架橋反
応に対する触媒作用を担う成分である。この安定化作用
とは、不飽和カルボン酸が乳化剤と同様の作用、即ち反
応性乳化剤として作用するので、非反応性乳化剤の使用
量を減らすことが可能となることをいうものである。
【0035】一般に非反応性の乳化剤は、樹脂との相溶
性が悪い場合には塗膜からブリードして表面に析出し、
水や汚染物質を吸収してしまうという不具合を生じる傾
向があり、また、樹脂との相溶性が良くても、樹脂自身
に吸水性を付与して塗膜の耐水性を悪化させてしまう傾
向がある。従って、上記のように不飽和カルボン酸類を
使用することは塗膜の耐水性と耐汚染性を向上させる効
果をもたらす結果となるものと推測される。
【0036】一方、架橋反応に対する触媒作用に関して
は、不飽和カルボン酸類によって導入されるカルボキシ
ル基は、水分散物の状態ではエマルジョン粒子の表面に
存在するために内部に存在するアルコキシシリル基に対
して何等作用しないが、水揮発による塗膜形成時には均
一に拡散してアルコキシシリル基に対して触媒作用する
ものと考えられる。従って分散液の長期保存安定性は十
分に確保され、しかも塗膜形成に伴う水の揮発によって
すみやかに架橋反応に対して触媒作用を発揮するので塗
膜の初期耐水性、耐汚染性に優れるものと推測される。
【0037】かかる不飽和カルボン酸類の配合比率は全
モノマーの0.1〜5モル%を占めることが好ましく、
0.1〜2モル%を占めることがより好ましい。その配
合比率が0.1モル%未満の場合には、分散液の安定化
作用が不十分となる傾向があり、それを補うために非反
応性の乳化剤の使用量を多くすると塗膜の耐水性が低下
するので好ましくない。また、その配合比率が5モル%
を超える場合には塗膜の耐アルカリ性が低下する傾向が
有るので好ましくない。また、これらの不飽和カルボン
酸類は2種以上を併用することも可能である。
【0038】なお、前記化学式(III)で表される不飽和
カルボン酸類のnが3未満である場合には、モノマーの
水溶解性が高いために分散液製造時に分散液の安定性の
向上にあまり寄与しない傾向があり、また15を越える
場合には重合反応性に劣るといった不具合を生じる傾向
がある。前記化学式(III)で表される不飽和カルボン酸
類のうちで10−ウンデシレン酸が分散液製造時の重合
性、製造された分散液の保存安定性が特に良いことから
好ましいものとして挙げられる。
【0039】また、不飽和カルボン酸類以外の共重合可
能な化合物のなかで、脂肪酸ビニルエステル及びアルキ
ルビニルエーテル類は重合性及び分散液から塗膜を形成
する際の造膜性に特に優れていることから好ましいもの
として挙げることができる。本発明で使用する加水分解
性シリル基含有含フッ素共重合体水分散物を製造する際
の上記その他の共重合可能な化合物(iii)の配合比率は
全モノマーの30〜85モル%を占めることが好まし
く、35〜70モル%を占めることがより好ましい。そ
の配合比率が30モル%未満の場合には造膜性に劣る傾
向があり、また、85モル%を超える場合には耐候性に
劣る傾向があるので好ましくない。
【0040】本発明で使用する加水分解性シリル基含有
含フッ素共重合体水分散物は、前記したように、フルオ
ロオレフィン(i)、オレフィン性不飽和結合とアルコ
キシシリル基を共に有する有機珪素化合物(ii)、及び
その他の共重合可能な化合物(iii) を乳化重合すること
により得られる。この際の媒体としては、水性媒体すな
わち水、又は水と有機溶媒との混合液を用いることがで
きる。ここで有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、tert−ブタノール、sec−ブタノール等のア
ルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル等の二価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、イソプロピルセロソルブ等のエーテルアルコ
ール類、キシレン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類、酢
酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類などが例示され
る。これら有機溶媒は単独で又は2種以上の混合液とし
て使用できる。水と有機溶媒との混合液として用いる際
の有機溶媒の配合量は全溶媒の10重量%以下で、均一
な媒体となることが好ましい。
【0041】該含フッ素共重合体水分散物中の不飽和カ
ルボン酸が反応性乳化剤として確実に作用するようにす
るために、更には分散液中でのアルコキシシリル基の保
存安定性を向上させるために、該含フッ素共重合体水分
散物の製造時の媒体のpH及び得られた分散液のpHを
それぞれ5〜9とすることが好ましく、更に6〜9であ
ることがより好ましい。従って、該含フッ素共重合体水
分散物の製造においては、pH調節を目的として各種の
pH調節剤を用いることが好ましい。使用できるpH調
製剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルト
リン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホ
ウ酸ナトリウム等の無機塩類、トリエチルアミン、トリ
エタノールアミン、アンモニア、ジメチルエタノールア
ミン等の有機塩基類が例示される。pH調整剤の添加量
は、通常、乳化重合媒体100重量部当り0.05〜5
重量部程度である。pH調節剤は重合時に添加しても、
重合後に添加してもよく、その併用も可能である。
【0042】乳化重合の開始は重合開始剤の添加により
行われる。かかる重合開始剤としては水溶性開始剤が重
合安定性、作業性の点で好ましく採用される。用いるこ
とのできる重合開始剤の例としては、過硫酸カリウム
塩、過硫酸アンモニウム塩等の過硫酸塩、過酸化水素、
又はこれらと亜硫酸ナトリウム等の還元剤との組合わせ
からなるレドックス開始剤が挙げられる。重合開始剤の
添加量は総モノマー量100重量部に対して0.000
1〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部
である。また乳化重合開始温度については、主に重合開
始剤の種類に応じて最適選定されるが、作業性、重合反
応安定性の点から0〜100℃、好ましくは30〜70
℃が採用される。
【0043】加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体
水分散物の製造においては、重合時の乳化状態の安定性
を向上させる目的で、各種分散安定剤を使用することも
できる。このような分散安定剤としては、アニオン系界
面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性
剤、両性界面活性剤等の周知の界面活性剤や、ポリビニ
ルアルコール、メチルセルロース等の水溶性ポリマーが
使用でき、特に、ノニオン系界面活性剤が重合体との相
溶性に優れることから好ましいものとして挙げられる。
より好ましくは親水性と疎水性のバランスを表すHLB
値が10〜18のノニオン系界面活性剤である。これら
分散安定剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよ
い。また、これら分散安定剤は、添加量が多くなると塗
膜の耐水性、耐候性が劣る傾向があるため、総モノマー
量100重量部に対して10重量部以下の量で添加する
ことが好ましい。更に好ましくは5重量部以下の量で添
加する。
【0044】本発明で使用する加水分解性シリル基含有
アクリル共重合体水分散物は、1分子中に少なくとも1
個の加水分解性シリル基を有するアクリル共重合体であ
って水性媒体中に分散された状態のものである。該アク
リル共重合体は前記のアルコキシシラン縮合物と混合す
ることによって、アルコキシシラン縮合物の耐候性能を
維持しつつ、可撓性を附与する効果を有する。
【0045】該アクリル共重合体として種々のものを挙
げることができるが、本発明の目的に合致しうるものと
しては、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル
(i)に基づく構造単位35〜97重量%、分子中に少
なくとも1個の重合性不飽和二重結合(以下、不飽和結
合と略記する。)とアルコキシシリル基とを併せ有する
有機珪素化合物(ii)に基づく構造単位0.3〜15重
量%、及びその他の共重合可能な化合物(iii) に基づく
構造単位0.5〜60重量%からなり、(i)、(ii)
及び(iii)の合計が100重量%である単量体組成物を
乳化共重合させて得られる乳化共重合体(共重合体エマ
ルジョン)を使用することが望ましい。
【0046】上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル(i)の特に代表的なものを例示すれば、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル及び(メ
タ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等を挙げることが
できる。当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルは1
種のみ又は2種以上を併用して、全単量体の35〜97
重量%となる量で用いられる。更には、(メタ)アクリ
ル酸シクロヘキシルなども同様に用いることができる。
【0047】上記の有機珪素化合物(ii)の特に代表的
なものを例示すれば、ジビニルジメトキシシラン、ジビ
ニルジ−β−メトキシエトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリス−β−メトキシエトキシシラ
ン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシ
シラン等を挙げることができる。これらは1種のみ又は
2種以上を併用して、そして、全単量体の0.3〜15
重量%となる量で用いられる。
【0048】上記の有機珪素化合物(ii)は、前記水溶
性又は水分散性アルコキシシラン縮合物との相溶性を確
実にし、更に重合体中で架橋部位となるための必須成分
であり、その配合比率が0.3重量%未満の場合には、
どうしても、かかる性能の向上化効果乃至は発現化効果
が発揮され得なくなるし、一方、その配合比率が15重
量%を超える場合には、かかる効果が飽和の状態に達し
ている処から、経済的に好ましくない。
【0049】又、上記のその他の共重合可能な単量体(i
ii) の特に代表的なものを例示すれば、β−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートの如き各種ヒドロキシ化合物;
(メタ)アクリロニトリル、マレイックジニトリルもし
くはビニリデンシアニドの如き各種ビニルシアニド類;
グリシジル(メタ)アクリレートもしくはアリルグリシ
ジルエーテルの如き各種グリシジル化合物;(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド
もしくはジメチロールメタコン酸アミドの如き各種アミ
ド化合物又はそれらのアルコキシ化合物;アルキルアミ
ノ(メタ)アクリレート、N−アルキルアミノアルキル
(メタ)アクリレートもしくはN−アルキルアミノアル
キル(メタ)アクリルアミドの如き各種アミノ基含有化
合物;スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−
ブチルスチレン又はビニルトルエンなどのスチレン又は
その誘導体;又はN−ビニルピロリドンなどの各種反応
性極性基含有単量体や、ジビニルベンゼン、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート又はグリセリントリ
(メタ)アクリレートの如き、一分子中に不飽和結合を
2個以上有する架橋性単量体、(メタ)アクリル酸、マ
レイン酸もしくはその半エステル化物、フマル酸もしく
はその半エステル化物、イタコン酸もしくはその半エス
テル化物又はクロトン酸等を挙げることができる。
【0050】上記のその他の共重合可能な単量体(iii)
の内で特に有用な単量体は、α、β−モノエチレン性不
飽和カルボン酸類であり、当該単量体は、本発明の他の
構成成分であるアルコキシシラン縮合物との混和安定性
を向上させるために必要なものであり、その配合比率は
0.5〜5重量%の範囲内であることが適当である。配
合比率が0.5重量%未満の場合には、かかる性能の向
上化効果が発揮されなくなる傾向があり、一方、配合比
率が5重量%を超える場合には、どうしても、得られる
乳化共重合体の耐アルカリ性が劣るようになる傾向があ
るので、いずれの場合も好ましくない。
【0051】上記した(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル(i)、有機珪素化合物(ii)及びその他の共重合
可能な化合物(iii) を用いて乳化共重合させて得られる
乳化共重合体を製造する際に用いる乳化剤は公知慣用の
ものでよく、それらのうちで特に代表的なものを例示す
れば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩
もしくはアルキルアリールポリエーテル硫酸塩の如き各
種陰イオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルも
しくはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・ブ
ロック共重合体の如き各種非イオン性乳化剤;又はアル
キルトリメチルアンモニウム塩もしくはジアルキルジメ
チルアンモニウム塩の如き各種陽イオン性乳化剤等を挙
げることができ、それらは適宜選択して用いられるが、
特にアニオン系、ノニオン系乳化剤がアルコキシシラン
縮合物等の混和安定性の点から好ましい。
【0052】また、これらの乳化剤と共に、水溶性オリ
ゴマーや、ポリビニルアルコール又はヒドロキシエチル
セルロースの如き水溶性高分子化合物などの各種の保護
コロイドを分散安定剤として使用することもできる。か
かる乳化剤及び保護コロイドを多量に使用すると、得ら
れる樹脂組成物の皮膜の耐水性を悪化させることにな
り、逆に、余りに少量の場合には、被膜形成時にハジキ
やチョーキンブ現象が起き易くなるので好ましくない。
そうした意味合いからも、かかる乳化剤及び保護コロイ
ドの使用量としては、単量体総量に対して1〜10重量
%、好ましくは2〜8重量%の範囲内でもちいることが
適切である。
【0053】更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル(i)、有機珪素化合物(ii)及びその他の共重合可
能な化合物(iii) を乳化共重合させのに用いる重合開始
剤の特に代表的なものを例示すれば、過酸化水素もしく
は過硫酸塩の如き各種水溶性ラジカル発生剤;及び/又
は2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベン
ゾイル(ベンゾイルパーオキシド)、クメンヒドロ過酸
化物(クメンヒドロパーオキシド)もしくはtert−
ブチルヒドロパーオキシドの如き各種油溶性ラジカル発
生剤等を挙げることができ、更には、これらの重合開始
剤と公知慣用の還元剤との組み合わせによる、いわゆる
レドックス系開始剤を適宜選択して用いることもでき
る。
【0054】更にまた、乳化共重合体の分子量を調整す
るために、各種のアルコール類(カテコール類)やチオ
ール類などの公知慣用の連鎖移動剤を用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(i)、有機珪素
化合物(ii)及びその他の共重合可能な化合物(iii) を
乳化共重合させる際の反応温度としては、総じて、約3
0〜90℃程度が好ましく、その際の共重合反応は窒素
ガスなどの不活性ガス中で行なうことが望ましい。
【0055】本発明の無機・有機複合型水系被覆用組成
物は、以上に説明した(a)水溶性又は水分散性アルコ
キシシラン縮合物、(b)加水分解性シリル基含有含フ
ッ素共重合体水分散物及び加水分解性シリル基含有アク
リル共重合体水分散物からなる群から選ばれた少なくと
も1種、(c)有機溶媒、及び(d)水からなるもので
あり、好ましくは、(a)成分と(b)成分との混合割
合が固形分比で(a):(b)=90:10〜15:8
5であり、より好ましくは(a):(b)=70:30
〜40:60である。(a)成分の混合割合が15重量
%未満である場合には、硬度や耐汚染性が劣る傾向があ
るので好ましくない。逆に(a)成分の混合割合が90
重量%を超える場合には、得られた組成物を用いて形成
された被膜の可撓性が充分ではなく、屋外に曝露した場
合、短期間に亀裂が生ずる傾向が見受けられるので好ま
しくない。
【0056】又、(a)成分と(b)成分との混合方法
としては、塗装の前に予め(a)成分と(b)成分とを
混合しておいても良く、又は、塗装直前になって(a)
成分と(b)成分とを混合して用いても良いが、作業性
を考慮すると、予め混合しておいたものを使用すること
が望ましい。本発明の無機・有機複合型被覆用組成物に
おいて、(a)成分及び(b)成分の固形分合計量は好
ましくは55重量%以下、より好ましくは50重量%以
下である。固形分合計量が55重量%を超えると貯蔵安
定性が著しく悪くなる傾向があるので好ましくない。
【0057】本発明の無機・有機複合型被覆用組成物に
おいて、(c)成分量は好ましくは10重量%以下、よ
り好ましくは7重量%以下である。本発明の無機・有機
複合型被覆用組成物中の(c)成分は、(a)成分の水
溶性又は水分散性アルコキシシラン縮合物の製造時に副
生し、系内に含有される炭素数1〜4の低級アルコー
ル、及び(b)成分の含フッ素共重合体やアクリル共重
合体の成膜助剤として系内に含有されるものも包含す
る。(c)成分の配合量が10重量%を超えると、本発
明の目的の水系被覆用組成物としての範疇から遠くな
り、引火性、衛生面を考慮して塗装作業の際に換気を行
う必要がある。
【0058】又、本発明の無機・有機複合型被覆用組成
物において、(d)成分の水は本発明の被覆用組成物の
貯蔵安定性を確保する観点から好ましくは35重量%以
上、より好ましくは40重量%以上とする。以上のよう
にして得られた本発明の無機・有機複合型水系被覆用組
成物はクリヤー塗膜形成剤として使用することも、又
は、各種顔料類等を配合し、半透明〜不透明の着色塗膜
形成剤として使用することも可能である。又、更に必要
に応じて、消泡剤、増粘剤、表面調整剤等公知慣用の各
種添加剤成分を、勿論、本発明の目的を損なわない限り
において、適宜選択し、配合することもできる。
【0059】又、本発明の無機・有機複合型被覆用組成
物は、基本的には一液形で用いられるが、必要に応じ
て、塗装直前に硬化触媒を混合して使用することもでき
る。これらの硬化触媒としては、代表的なものを列記す
ると、Sn、Zn、B、Ti、Al等の金属の有機金属
化合物類及びアミノ基を有するアルコキシシラン化合物
等を単独で、又は2種以上を併用することもできる。
【0060】本発明の無機・有機複合型水系被覆用組成
物は、主として、基材が水硬性板材(例えば、石膏スラ
グパーライト板)等の外壁材等に適用され、該基材上に
予めアクリル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗
料、アクリルシリコン系塗料等で下層塗膜を形成した後
に塗布して上塗り塗膜を形成し、優れた耐汚染性と耐候
性を発揮する。このような優れた物性が発現される理由
としては、水溶性又は水分散性のアルコキシシラン縮合
物の本質的に有する耐汚染性、耐紫外線劣化性に加え
て、配合されるシリル基含有含フッ素共重合体又はシリ
ル基含有アクリル共重合体と部分的に縮合架橋すること
によって、可撓性が改善され、耐候性能が確実なものに
なると考えられる。
【0061】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により、一
層具体的に説明する。以下において、「部」及び「%」
は、特に断りのない限り、全て重量基準である。以下の
実施例及び比較例で用いた諸成分は下記の市販品又は下
記の方法によって製造した製品である。
【0062】 ・アルコキシシラン縮合物A X−51−714B[信越化学工業(株)社製商品名] 外観:乳白色液状 有効成分:18.0% 組成:メチルトリメトキシシラン縮合物 メタノール10%含有 ノニオン・アニオン系乳化剤併用 pH:6.0〜7.0
【0063】 ・アルコキシシラン縮合物B APZ−6613[日本ユニカー(株)社製商品名] 外観:微白色透明液体 有効成分:35% 組成:γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン メタノール2%、エタノール6%含有 pH:3.5〜4.0
【0064】・アルコキシシラン縮合物C オレイルアミン26.8g(0.1モル)とγ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン23.6g(0.1
モル)とを混合し、密封容器内で75℃で6時間加熱し
た。その後、室温に戻してから攪拌しながら、0.25
規定の塩酸400mlを徐々に加えて第四級アンモニア
塩含有有機珪素化合物の水性溶液を得た。その得られた
水性溶液40gを直ちに水40gで希釈し、これをホモ
ミキサーを用いて約10000rpmで高速攪拌しなが
ら、メチルトリメトキシシラン20gを徐々に加えるこ
とによって白色水性エマルジョンを得た。
【0065】・アルコキシシラン縮合物D ノニオン性乳化剤ポリオキシエチレン(20)ソルビタ
ントリオレエート2gを水78gで希釈し、これをホモ
ミキサーを用いて約10000rpmで高速攪拌しなが
ら、メチルトリメトキシシラン20gを徐々に加えるこ
とによって白色水性エマルジョンを得た。
【0066】・含フッ素共重合体水分散物E(加水分解
性シリル基を含有する) 内容積2リットルのステンレス製攪拌機付きオートクレ
ーブに、酪酸ビニル125.7部、ベオバ9(シェル化
学社製ビニルエステル)81.2部、ビバリン酸ビニル
39.5部、ビニルトリエトキシシラン25.1部、ウ
ンデシレン酸40.6部、イオン交換水570部、過硫
酸アンモニウム2.58部、炭酸ナトリウム10水和物
1.14部、Nowco1504(日本乳化剤社製ノニ
オン乳化剤)11.4部を仕込んだ。そしてオートクレ
ーブを氷水にて冷却し、窒素ガスで5kg/cm2 にな
るようにオートクレーブを加圧した後に脱気して溶存空
気を除去した。更にオートクレーブ内にクロロトリフル
オロエチレンを257.0部導入した後に50℃で24
時間反応を行い、固形分48.6%のフッ素樹脂水性分
散液を得た。
【0067】・含フッ素共重合体水分散物F(加水分解
性シリル基を含有しない) 上記の含フッ素共重合体水分散物Eの製造法で用いた酪
酸ビニル125.7部を150.8部変更し、ビニルト
リエトキシシラン25.1部を配合しなかった以外は、
上記の含フッ素共重合体水分散物Eの製造法と同様にし
てフッ素樹脂水性分散液を得た。 ・アクリル共重合体水分散物G(加水分解性シリル基を
含有する) ポリデュレックスX1248−15TH[旭化成工業
(株)製商品名] 外観:乳白色液体 加熱残分:42±1% 粘度:320±20mPa・s pH:8.5〜9.0
【0068】・アクリル共重合体水分散物H「加水分解
性シリル基を含有する) 攪拌器、還流冷却器、窒素ガス導入管及び滴下ロートを
備えた反応容器に、脱イオン水40部、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテルスルフェート1部、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル1部、酢酸アンモ
ニウム0.5部、ロンガリット0.3部、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド0.1部を仕込み、窒素ガスを導
入しつつ50℃に昇温した。メタクリル酸ブチル60
部、メタクリル酸エステル(MA50)2部、γ−メタ
クリロキシプロピルトリエトキシシラン5部、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル1部、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテルスルフェート1部、脱イ
オン水56部の混合物158部中の20部を滴下ロート
を用いて30分かけて滴下して初期重合を行った。滴下
終了1時間後に、前記混合物158部中の残りの138
部及びt−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部を滴
下ロートにより3時間かけて等速滴下した。この後、1
時間重合を行い、脱イオン水を添加して樹脂固形分が5
0重量%のエマルジョンを得た。
【0069】・アクリル共重合体水分散物I(加水分解
性シリル基を含有しない) 上記のアクリル共重合体水分散物Hの製造法で用いたメ
タクリル酸ブチル60部を65部に変更し、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシラン5部を配合しなか
った以外は、上記のアクリル共重合体水分散物Hの製造
法と同様にしてエマルジョンを得た。
【0070】実施例1 含フッ素共重合体水分散物E34部に増粘剤アデカUH
420S0.1部を攪拌混合し、次いで、アルコキシシ
ラン縮合物A54部、アルコキシシラン縮合物B10
部、ブチルカルビトールアセテート2部を均一に混合し
てクリヤー塗料を得た。 実施例2 アルコキシシラン縮合物A54部、アルコキシシラン縮
合物B10部、アクリル共重合体水分散物G36部を均
一に混合して水希釈性クリヤー塗料を得た。
【0071】実施例3 含フッ素共重合体水分散物E34部に増粘剤アデカUH
420S0.1部を攪拌混合し、次いで、アルコキシシ
ラン縮合物C64部、ブチルカルビトールアセテート2
部を均一に混合して水系クリヤー塗料を得た。 実施例4 アルコキシシラン縮合物A54部、アルコキシシラン縮
合物B10部、含フッ素共重合体水分散物E10部、ア
クリル共重合体水分散物H25部、ブチルカルビトール
アセテート1部を均一に混合して水系クリヤー塗料を得
た。
【0072】実施例5 イオン交換水5部に増粘剤アデカUH420S0.1部
を溶解し、0.2部のノイゲン140、15部のチタン
白CR97を混合し、練合後、実施例1のクリヤー塗料
100部を混合して水系被覆用組成物を調製した。 実施例6 実施例2のクリヤー塗料100部に、塗装直前に、N−
フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1部
を均一に混合してクリヤー塗料を調製した。
【0073】比較例1 アルコキシシラン縮合物D65部、アクリル共重合体水
分散物I35部を均一に混合して水希釈性クリヤー塗料
を調製した。 比較例2 含フッ素共重合体水分散物F34部、増粘剤アデカUH
420S0.1部を攪拌混合し、更に、アルコキシシラ
ン縮合物A54部、アルコキシシラン縮合物B10部、
ブチルカルビトールアセテート2部を混合した。 比較例3 含フッ素共重合体水分散物F94部に増粘剤アデカUH
420S0.1部を均一に混合し、更に、ブチルカルビ
トールアセテート6部を混合してクリヤー塗料を調製し
た。
【0074】性能評価試験 上記の実施例1〜6及び比較例1〜3で得た被覆用組成
物の保存安定性を下記の方法で評価し、また、その保存
安定性評価の後に実施例1〜6及び比較例3で得た被覆
用組成物を石膏スラグパーライト板に塗布量90g/m
2 (wet塗着量)で塗装し、120℃で20分間乾燥
し、室温で7日間保管した後、下記の試験に供した。そ
れらの試験結果は表1に示す通りであった。
【0075】・塗料の保存安定性評価 水性塗料の分散状態を、50℃で4週間保存した後に目
視観察によって評価した。 ○:凝集なし ×:凝集物発生
【0076】・塗膜の初期耐水性評価 塗膜を常温にて水に96時間浸漬した後に、膨れの有無
等の外観変化を目視観察にて評価した。 ○:膨れ等の外観変化なし △:一部に膨れ等の外観変化あり ×:膨れ等の外観変化あり
【0077】・塗膜の耐汚染性評価 カーボン/水の10%分散液を塗膜上に滴下し、20℃
飽和蒸気圧下で1日間、40℃で2日間乾燥し、ガーゼ
を用いて滴下部を拭き取った後のカーボンの残存度合い
を目視観察によって評価した。 ○:カーボンの痕跡が殆どなし 〜 薄く残存 ×:カーボンの痕跡が濃く残存 〜 拭き取れない
【0078】・塗膜の耐候性評価 塗膜の光沢を未処理状態と、サンシャインウエザオメー
ターにて2000時間処理した後の両方で目視観察して
評価した。 ○:亀裂がなく、光沢低下のないもの △:亀裂はないが、光沢低下が僅かにあるもの ×:亀裂があり、光沢低下が著しいもの
【0079】
【表1】
【0080】実施例1〜6の本発明の組成物は、評価試
験において、全て良好であった。しかし、加水分解性シ
リル基を含有しないアクリル共重合体水分散物Iを混合
した比較例1の塗料は保存安定性評価において二層分離
を起こし、塗料として不良であった。また、加水分解性
シリル基を含有しない含フッ素共重合体水分散物Fを配
合した比較例2の塗料は相溶せず、塗料として不良であ
った。アルコキシシラン縮合体を含有しない比較例3の
塗料は塗料の耐汚染性評価においてカーボンの痕跡が濃
く残存し、不良であった。
【0081】
【発明の効果】本発明の無機・有機複合型水系被覆用組
成物は貯蔵安定性に富み、該組成物を上塗り塗膜として
塗布することにより優れた耐汚染性と耐候性を発揮す
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)水溶性又は水分散性アルコキシシラ
    ン縮合物、 (b)加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体水分散
    物及び加水分解性シリル基含有アクリル共重合体水分散
    物からなる群から選ばれた少なくとも1種、 (c)有機溶媒、及び (d)水 からなることを特徴とする無機・有機複合型水系被覆用
    組成物。
  2. 【請求項2】上記(a)成分と(b)成分との混合割合
    が固形分比で(a):(b)=90:10〜15:85
    であり、(a)成分と(b)成分との固形分合計量が5
    5重量%以下であり、(c)成分量が10重量%以下で
    あり、(d)成分量が35重量%以上であることを特徴
    とする請求項1記載の無機・有機複合型水系被覆用組成
    物。
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