JPH11196A - クレアチンキナーゼmbアイソザイムの定量用乾式分析素子 - Google Patents

クレアチンキナーゼmbアイソザイムの定量用乾式分析素子

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JPH11196A
JPH11196A JP9139290A JP13929097A JPH11196A JP H11196 A JPH11196 A JP H11196A JP 9139290 A JP9139290 A JP 9139290A JP 13929097 A JP13929097 A JP 13929097A JP H11196 A JPH11196 A JP H11196A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温保存でも感度低下が少なく、従って常温
での保存が可能なクレアチンキナーゼMBアイソザイム
の定量用の乾式分析素子を提供すること。 【解決手段】 支持体上に、クレアチンキナーゼのMサ
ブユニット活性を特異的に阻害する抗体、クレアチンキ
ナーゼMBアイソザイムの存在下で、ATPを生成する
クレアチンリン酸とADP、そしてそのATPの生成の
ためのpH環境を提供する緩衝性化合物を含有し、更
に、生成したATPとの反応により分光的測定方法で検
出可能な化合物を生成させる指示薬組成物を含有する検
出試薬層を積層したクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム定量用乾式分析素子であって、その指示薬組成物が、
ヘキソキナーゼ、NAD(P)及びグルコース−6−リ
ン酸デヒドロゲナーゼを含むものであり、一方、該指示
薬組成物の機能の発現に必要な量のグルコースは含まな
いことを特徴とする分析素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クレアチンキナー
ゼのMBアイソザイムの定量用の乾式分析素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】被験者から採取した血液に含まれている
クレアチンキナーゼ(CK、クレアチンホスホキナーゼ
(CPK)とも云われる)を定量することにより、進行
性筋萎縮症、皮膚筋炎、心筋梗塞などの診断が可能なこ
とは以前より知られており、臨床検査に利用されてい
る。また、クレアチンキナーゼ(CK)には、クレアチ
ンキナーゼMM(CKMM)、クレアチンキナーゼMB
(CKMB)、そしてクレアチンキナーゼBB(CKB
B)という三種のアイソザイムが存在すること、そして
CKMMは主として骨格筋中に、CKMBは主として心
筋中に、そしてCKBBは主として脳や脊髄中に存在す
ることも知られている。さらにCKMBは、心筋梗塞症
が発生すると、心筋より血液中に排出され、その結果、
血液中のCKMB量が増加することも判明している。従
って、被験者の血液中のCKMBの定量は、心筋梗塞症
の発生の有無を検査するために有力な手段とされてい
る。
【0003】上記のように、臨床検査に於て、クレアチ
ンキナーゼの定量(すなわち、総クレアチンキナーゼの
定量)、及び/又はクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ムの定量によって、被験者についての進行性筋萎縮症、
皮膚筋炎、心筋梗塞などの診断に有力な手掛かりを得る
ことができるため、従来より、それらの定量方法につい
ての研究が進められ、現在では精度の高い定量方法が確
立されている。
【0004】すなわち、クレアチンキナーゼの測定方法
としては、被験者から採取した血液から血清あるいは血
漿を得て、この血清や血漿中に含まれるクレアチンキナ
ーゼの酵素活性を利用することにより、分光的方法によ
り検出できる化学種を定量的に生成させ、その化学種の
生成量から、血清あるいは血漿中のクレアチンキナーゼ
の存在量を定量する方法である。さらに詳しく云えば、
この定量方法に利用される検出反応系は次の二つに分け
ることができる。
【0005】1)検出反応系1 クレアチンリン酸(CP)とアデノシン二リン酸(AD
P)とを、pH5.5〜8.5の領域にて緩衝能を示す
緩衝性化合物を用いて酵素反応のpH環境を調整しなが
ら、被検液(血清や血漿など)中の存在するクレアチン
キナーゼ(CK)と接触させることにより反応させ、そ
のクレアチンキナーゼ(CK)の量に比例する量のアデ
ノシン三リン酸(ATP)を生成させ、ついで、そのA
TPとグルコース(Glu)とをヘキソキナーゼ(H
K)の存在下に反応させてグルコース−6−リン酸(G
6P)を生成させ、次にこのG6Pをニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド(リン酸)酸化型(NAD
(P))と、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
(G6PDH)の存在下に反応させてニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド(リン酸)還元型(NAD(P)
H)を生成させ、最後に、このNAD(P)Hの生成量
を分光的測定方法により測定し、別に調製した検量線を
利用して、クレアチンキナーゼ(CK)を定量する方法
である。
【0006】なお、生成したNAD(P)Hの分光的定
量の精度が充分でない傾向があるため、そのNAD
(P)Hを更にテトラゾリウム塩と反応させてホルマザ
ン色素を生成させて、そのホルマザン色素の生成量を定
量することによって、被検液中のクレアチンキナーゼを
定量する方法も既に開発されている(特開昭63−32
499号公報参照)。この検出反応系1を反応式により
次に示す。
【0007】 CP + ADP → ATP + クレアチン (CK存在下) ATP + Glu → G6P + ADP (HK存在下) G6P + NAD(P) → NAD(P)H + 6−ホスフォグルコン酸 (G6PDH存在下) NAD(P)H + テトラゾリウム塩 → ホルマザン色素 + NAD(P)
【0008】2)検出反応系2 クレアチンリン酸(CP)とアデノシン二リン酸(AD
P)とを、pH5.5〜8.5の領域において緩衝能を
示す緩衝性化合物にて酵素反応のpH環境を調整しなが
ら、被検液(血清や血漿など)中の存在するクレアチン
キナーゼ(CK)と接触させることにより反応させ、そ
のクレアチンキナーゼ(CK)の量に比例する量のアデ
ノシン三リン酸(ATP)を生成させ、ついで、そのA
TPとグリセロールとをグリセロールキナーゼ(HK)
の存在下に反応させてL−α−グリセロリン酸を生成さ
せ、次にこのL−α−グリセロリン酸をL−α−グリセ
ロリン酸オキシダーゼの存在下に酸素と反応させて過酸
化水素を発生させ、最後に過酸化水素とロイコ色素とを
反応させて青色の色素を生成させ、この青色色素の生成
量を分光的測定方法により測定し、別に調製した検量線
を利用して、クレアチンキナーゼ(CK)を定量する方
法である。この検出反応系2を反応式により次に示す。
【0009】 CP + ADP → ATP + クレアチン (CK存在下) ATP + グリセロール → L−α−グリセロリン酸 + ADP (グリセロールキナーゼ存在下) L−α−グリセロリン酸 + O2 → H22 + ジヒドロキシアセトリン酸 (L−α−グリセロリン酸オキシダーゼの存在下) H22 + ロイコ色素 → 青色色素 + H2
【0010】一方、前記のように、クレアチンキナーゼ
には、三種類のアイソザイムが存在するため、クレアチ
ンキナーゼMBアイソザイムの定量は容易ではない。す
なわち、原理的には、MMアイソザイムとBBアイソザ
イムとからMBアイソザイムを分離して定量する必要が
ある。ただし、BBアイソザイムは、本来的に脳や脊髄
中に存在するものであるため、血液中の存在量は非常に
少なく、その存在は無視することができる。従って、M
Bアイソザイムの定量には、MMアイソザイムを分離す
ることができれば可能となるが、その分離は非常に困難
である。このため、クレアチンキナーゼを含む血液試料
(血清や血漿など)中のMMアイソザイムを分離する代
わりに、MBアイソザイムの活性に影響を与えること無
く、MMアイソザイムの活性を阻害させる方法により、
実質的なMBアイソザイムの分離を実現する方法が既に
開発されている(特公昭56−19239号公報参
照)。この方法では、予め調製したクレアチンキナーゼ
MBアイソザイム中のサブユニットBの酵素活性を阻害
することなく、クレアチンキナーゼのMMアイソザイム
およびMBアイソザイム中のサブユニットMの酵素活性
を完全に阻害する抗体を使用する。すなわち、被検液を
先ずこのMサブユニット不活性化抗体で処理することに
よってクレアチンキナーゼの活性をクレアチンキナーゼ
MBアイソザイムに起因するもののみに限定させ、この
酵素活性を前記の検出反応系1あるいは検出反応系2を
利用して測定することによって、クレアチンキナーゼM
Bアイソザイムの定量が可能となる。
【0011】以前のクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ムの臨床検査では、これまでに述べてきた方法を利用し
て、検出反応を試薬溶液中で実施する湿式法が一般的に
利用されていた。しかしながら、湿式法による定量分析
操作は、結果を得るまでにかなりの長時間を必要とする
という欠点があった。すなわち、例えば、心筋梗塞につ
いては、梗塞の発症から治療開始までの時間が短いほど
治療の効果が高いことが知られており、このため特に心
筋梗塞発症の診断については緊急性の要求が非常に高
い。従って、検査の開始から検査結果の入手までの時間
が長いことは、治療の開始の遅れを引き起こすことにな
り、好ましくない。
【0012】臨床検査の結果を短時間に得る手段とし
て、透明支持体のうえに検出反応に関与する試薬組成物
を含む試薬層を積層した構成の各種の乾式分析素子が以
前より知られている。そして、上記のクレアチンキナー
ゼMBアイソザイム検査反応に関与する試薬組成物を含
む試薬層を積層したクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム定量用の乾式分析素子も既に開発され、実際に使用さ
れている。このようなクレアチンキナーゼMBアイソザ
イム定量用の乾式分析素子の構成については、下記の特
許公開公報に詳しい記載がある。特開平61−2541
98号公報、特開平61−254199号公報、特開平
61−260164号公報。
【0013】上記の公知のクレアチンキナーゼMBアイ
ソザイム定量用の乾式分析素子は、それぞれクレアチン
キナーゼMBアイソザイムの短時間での定量分析のため
に利用できる優れた分析用具であるが、分析素子製造後
から実際の定量分析に使用するまでの間における保存性
に劣ると云う問題があった。すなわち、それぞれの分析
素子を通常の保存条件にて保存を行なうと、製造後短い
期間の内に、感度の低下が発生することが見出されてい
る。従って、これらの乾式分析素子を良好な保存状態に
維持するためには、分析素子を冷凍保存する必要があっ
た。このような分析素子の保存に、冷凍保存が必要であ
ると云うことは、その冷凍保存の設備が必要である上
に、実際の臨床検査の開始に際しても時間的遅れが発生
しやすいという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これまでに
知られているクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量
用の乾式分析素子の低い保存性を解決することを目的と
する。本発明は特に、常温で保存しても感度低下が少な
く、従って常温での保存が可能なクレアチンキナーゼM
Bアイソザイム定量用の乾式分析素子を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に、
クレアチンキナーゼのMサブユニット活性を特異的に阻
害する抗体、クレアチンキナーゼMBアイソザイムの存
在下で、アデノシン三リン酸を生成するクレアチンリン
酸とアデノシン二リン酸、そしてそのアデノシン三リン
酸の生成のためのpH環境を提供するpH5.5〜8.
5の領域において緩衝能を示す緩衝性化合物を含有し、
更に、生成したアデノシン三リン酸との反応により分光
的測定方法で検出が可能な化合物を生成させる指示薬組
成物を含有するクレアチンキナーゼMBアイソザイム検
出試薬層を積層してなるクレアチンキナーゼMBアイソ
ザイム定量用乾式分析素子であって、該指示薬組成物
が、ヘキソキナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチド(リン酸)酸化型及びグルコース−6−リン酸デ
ヒドロゲナーゼを含むものであり、一方、該指示薬組成
物の機能の発現に必要な量のグルコースは含まないこと
を特徴とするクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量
用乾式分析素子にある。
【0016】本発明の発明者の研究によると、従来のク
レアチンキナーゼMBアイソザイム定量用の乾式分析素
子の低い保存安定性は、それらの保存中において、試薬
組成物中の試薬が、クレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム(CKMB)が存在しない状態で、徐々に反応を起こ
すことに起因するものであることが判明した。特に、前
記の検出反応系1では、CKやCKMBが存在しなくて
も、CPとADPとが部分的に反応してATPが生成
し、またCPとGluとが反応してG6Pを生成させる
現象が確認された。従って、このクレアチンキナーゼM
Bアイソザイムの不存在下で発生する反応が分析精度の
大きな低下をもたらす結果となる。
【0017】上記の理由から、本発明者は、上記の様な
乾式分析素子の常温での保存中に発生する望ましくない
反応の抑制を目的として研究した。そして、その結果、
上記の検出反応系1を利用する分析素子において、分析
素子の保存中の副反応に関与するグルコースを分析素子
から排除することにより、問題の副反応の阻止あるいは
抑制が可能なことが判明した。そして、検出反応系1の
実際の検出反応の進行を開始させるためには勿論、グル
コースの存在が必要となるが、そのグルコースとして
は、被検液となる血清や血漿に原料の血液から必然的に
持込まれるグルコースが利用できるため、分析素子中の
指示薬組成物からグルコースを取り除いても実際の定量
分析には何等差し支えないことが判明した。
【0018】なお、上記の考え方は、クレアチンキナー
ゼ(CK)定量用分析素子にも原理的には適用できる
が、通常の被検液(血清や血漿)中のクレアチンキナー
ゼの存在量がクレアチンキナーゼMBアイソザイムに比
べて多く、従って、その多量のクレアチンキナーゼの存
在下での酵素反応により発生するATPの量が多くなる
ことから、その後の反応に必要なグルコース量を被検液
から充分に供給することは困難であるため、本発明の適
用は実用的にはあまり有利と言えない。また、検出反応
系2においては、指示薬組成物の成分の性質上、被検液
から供給できるものがないため、本発明の考え方を利用
することはできない。
【0019】すなわち、本発明のクレアチンキナーゼM
B定量用の乾式分析素子は、クレアチンキナーゼのMサ
ブユニット活性を特異的に阻害する抗体と前記の検出反
応系1を組合せて利用することにより、クレアチンキナ
ーゼMBアイソザイムの定量を行なうものであるが、そ
の検出反応系1で必要とするグルコースとして、血液中
に存在するグルコースを利用することを特徴としてい
る。すなわち、分析素子中にグルコースを全く導入しな
いか、あるいは少なくとも検出反応系の進行に必要な量
までのグルコースを導入しないことを特徴とする。本発
明の分析素子は、検出反応系1を利用する分析素子であ
りながら、このようにグルコースを導入していないか、
あるいは少なくとも多量のグルコースを導入していない
ため、保存中にグルコースが関与して発生する副反応を
回避あるいは抑制することができ、従って向上した保存
性を示すようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の分析素子の好ましい態様
を次に記す。 1)指示薬組成物が、更にテトラゾリウム塩を含むもの
である上記のクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量
用乾式分析素子。 2)指示薬組成物が、グルコースを含むことのない上記
のクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析
素子。 3)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)
酸化型が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化
型(NAD)である(すなわち、NADPを用いない)
上記のクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾式
分析素子。 4)指示薬組成物が、更に乳酸デヒドロゲナーゼ(LD
H)活性阻害剤を含む上記のクレアチンキナーゼMBア
イソザイム定量用乾式分析素子。 5)指示薬組成物が、更にオキサロ酢酸、シュウ酸、お
よびオキサミン酸からなる群より選ばれた乳酸デヒドロ
ゲナーゼ(LDH)活性阻害剤を含む上記のクレアチン
キナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子。
【0021】本発明のクレアチンキナーゼMB定量用の
乾式分析素子において利用される検出反応系は前記の検
出反応系1である。従って、アデノシン三リン酸との反
応によって分光的測定方法により検出可能な化合物を生
成させる指示薬組成物としては、前記の検出反応系に利
用される指示薬組成物が使用することができる。すなわ
ち、指示薬組成物の例としては、下記の指示薬組成物を
挙げることができる。
【0022】1)ヘキソキナーゼ、ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチド(リン酸)酸化型およびグルコース
−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含み、グルコースを含
まないか、或は微量のグルコースを含む指示薬組成物。 2)ヘキソキナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチド(リン酸)酸化型、グルコース−6−リン酸デヒ
ドロゲナーゼ及びテトラゾリウム塩を含み、グルコース
を含まないか、或は微量のグルコースを含む指示薬組成
物。
【0023】本発明のクレアチンキナーゼMBアイソザ
イム定量用の乾式分析素子の構成、及びそれらを構成す
る各種試薬は既に知られており、本発明の乾式分析素子
に於ても、グルコースを導入しないか、あるいは少なく
とも必要量のグルコースを導入しないかの点を除けば、
同様の構成と同様の各種試薬が利用される。このような
乾式分析素子の構成と試薬の例は、前述の特許公告公報
および公開公報に詳しく記載されているので、ここに改
めて詳しく記載しない。
【0024】なお、本発明の分析素子に於て使用する、
アデノシン三リン酸の生成のためのpH環境を提供する
pH5.5〜8.5の領域において緩衝能を示す緩衝性
化合物としては、この目的で従来のクレアチンキナーゼ
MBアイソザイム定量用の乾式分析素子で一般的に用い
られているBis−Tris(ビス−トリス)はイミダ
ゾールを用いることができるが、スルホン酸基を有する
緩衝性化合物、特にグッドの緩衝剤のリストに含まれ、
かつ分子構造中にスルホン酸基を有する化合物を用いる
ことが好ましい。すなわち、グッドの緩衝剤には、スル
ホン酸基を持つもの、そしてスルホン酸基を持たないも
ののいずれもがあるが、本発明で有利に用いられる緩衝
性化合物は、それらの内のスルホン酸基を持つ緩衝性化
合物である。このスルホン酸基を有する緩衝性化合物の
使用は、前記の分析素子の保存中の副反応の発生をさら
に効果的に抑制する。なお、グッドの緩衝剤(あるい
は、グッドの緩衝液とも呼ばれる)については、例え
ば、「化学辞典」(森北出版株式会社、1981年発
行)、「化学大辞典」(株式会社東京化学同人、198
9年発行)などに簡単な記載があり、また更に多くの臨
床検査試薬に関する成書に詳しい記載がある。
【0025】グッドの緩衝剤に属し、かつ本発明の乾式
分析素子に於ける使用に適した緩衝性化合物としては、
TES,TAPSO,MOPSO,MES,DIPS
O,HEPES,HEPSOと名付けられている化合物
を挙げることができる。これらの化合物の中でも、TE
S、TAPSO、MOPSO、およびMESと名付けら
れている化合物が好ましい。特に好ましいのは、TES
とTAPSOである。
【0026】本発明の分析素子における緩衝性化合物の
使用量については特に制限はない。すなわち、グッドの
緩衝剤の一般的な使用の態様を参考にし、使用量を変動
させての試験的使用などの一般的な使用量決定方法を利
用することにより、容易に適当な使用量を決定すること
ができる。なお、緩衝性化合物は、二種以上のものを組
合せて使用することも可能であり、たとえば、スルホン
酸基を持たない緩衝性化合物あるいは他の緩衝剤組成物
と組合せて使用することもできる。
【0027】本発明の分析素子の試薬層には、LDH
(乳酸デヒドロゲナーゼ)の酵素活性の発現を阻害する
ことのできる化合物を導入しておくことが望ましい。即
ち、本発明者の研究によると、分析素子中にグルコース
を導入しないか、あるいは必要量に達するまでの量のグ
ルコースを導入しない場合には、ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチド(リン酸)酸化型(NADP)ではな
く、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(N
AD)を用いることが望ましいが、NADを使用した場
合には、被検液中に一般的に存在するLDH(乳酸デヒ
ドロゲナーゼ)の量によってCKMBの分析値が変動し
やすく、分析精度を低下させることが判明している。従
って、そのLDHの酵素活性を阻害あるいは抑制させる
ことのできる化合物(例、オキサロ酢酸、シュウ酸、及
びオキサミン酸)を分析素子の試薬含有層に導入してお
くことことが望ましい。
【0028】クレアチンキナーゼMBアイソザイム定量
用の乾式分析素子を用いてのクレアチンキナーゼMBア
イソザイム(CKMB)の定量分析の操作は、前述の特
許公告公報及び特許公開公報に記載されているように、
既に知られており、本発明の乾式分析素子を用いてのC
KMBの定量分析操作は、それらと同様な操作に従って
実施することができる。次に本発明の実施例と比較例と
を記載する。
【0029】
【実施例】 [実施例1]グルコースを導入しないCKMB定量用分
析素子の製造 透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ180
μm)の表面を親水化処理し、その処理表面上に下記の
組成の塗布液を塗布、乾燥して、乾燥層厚が12μmの
指示薬層を形成した。
【0030】 脱イオンゼラチン 200g 水 1100g 5%非イオン系界面活性剤水溶液 80g ニトロテトラゾリウムブルー 10g
【0031】上記指示薬層をゼラチン架橋剤を含む溶液
で湿らせた後(約30g/m2 )、その指示薬層の上
に、ポリエチレンテトラフタレート紡績糸からなるトリ
コット編み物を圧着し、乾燥させて展開層とした。次
に、上記展開層の表面に下記の組成の塗布液を、塗布量
130g/m2 にて塗布、乾燥した。
【0032】 水 46.6g 抗ヒトCK−Mヤギ抗体溶液 20g (最終希釈倍率1500倍時に2000U/Lの CKMMを50%以上阻害できる能力を持つ溶液) 10%非イオン系界面活性剤水溶液 2.9g 15%ポリアクリルアミド水溶液 33.8g (平均分子量3.7万) 20%塩化マグネシウム水溶液 8.7g エチレンジアミン4酢酸・2Na塩 0.5g クレアチンリン酸(CK) 1.3g アデノシン−5’−ジホスフェート(ADP) 0.3g P1 ,P5 −ジ(アデノシン−5’−) ペンタホスフェート(AP5A) 0.25g アデノシン−5’−モノホスフェート(AMP) 1.2g N−アセチル−L−システイン 0.1g ニコチンアミドアデニンヌクレオチド酸化型 (NAD) 0.6g オキサロ酢酸 0.07g N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2− アミノエタンスルホン酸(TES) 5.1g 1N NaOH 10.0g ジアホラーゼ 1500U グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ 14000U ヘキソキナーゼ(HK) 19400U アスコルビン酸オキシダーゼ 5000U
【0033】最後に、上記にて形成した、支持体上に指
示薬層と反応試薬含有展開層とが積層された積層体を1
2mm×12mmの寸法に裁断して、グルコースを含有
しないCKMB定量用分析素子を得た。なお、得られた
CKMB定量用分析素子中の試薬の分布を調べたとこ
ろ、指示薬層に導入したニトロテトラゾリウムブルーの
大部分が展開層に移動していることが確認された。
【0034】[比較例1]グルコースを含有するCKM
B定量用分析素子の製造 展開層の表面に塗布する塗布液にグルコース0.62g
を添加した以外は実施例1と同様にしてCKMB定量用
分析素子を得た。
【0035】[CKMB定量用分析素子の評価:保存中
のATPの生成]実施例1そして比較例1で得られた分
析素子を、それぞれ45℃、11%RHの保存条件で1
日間保存し、次いで微量の水を各分析素子の展開層の表
面に点着し、37℃で6分間インキュベーションした。
次に、波長540nmにて、各分析素子で発生した呈色
を測定した。なお、並行して、製造直後の実施例1と比
較例1の分析素子についても同様の呈色試験を行なっ
た。この測定により判明した各分析素子の呈色を下記の
第1表に示す。
【0036】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 分析素子 グルコース 呈色(光学密度:OD) 製造直後の分析素子 1日間保存分析素子 ──────────────────────────────────── 実施例1 導入せず 0.50 0.52 比較例1 導入 0.50 0.61 ────────────────────────────────────
【0037】上記の第1表の結果から、本発明で採用す
るグルコース不導入の分析素子に於ては、クレアチンキ
ナーゼMBアイソザイムの不存在下でのATPの副生が
効果的に抑制されていることが明らかである。
【0038】[実施例2]グルコースとオキサロ酢酸と
を含有しないCKMB定量用分析素子の製造 展開層の表面に塗布する塗布液成分からオキサロ酢酸を
全量除いた以外は実施例1と同様にしてCKMB定量用
分析素子を得た。
【0039】[被検液中のLDH含有量の影響]実施例
1で得られた分析素子そして実施例2で得られた分析素
子のそれぞれについて、35℃、11RH%の保存条件
で10日間保存した後のものを用意し、それぞれの分析
素子について、CKMB含有量が一定で、LDHを含ま
ない検体と、LDH含有量が1000U/Lの検体とを
点着した。検体が点着された分析素子から水分を蒸発さ
せた後、37℃でインキュベーションを行ない、次いで
波長540nmにて、インキュベーション開始後2分
後、そして5分後に分光測定を行ない、予め作成してお
いた検量線を参照して、反応速度法によりCKMB量の
定量を行なった。その結果を下記の第2表に示す。
【0040】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 分析素子 検体 CKMB測定値 (CKMB量) LDHを含まない検体 LDHを含む検体 ──────────────────────────────────── 実施例1 5U/L 5U/L 7U/L 実施例2 5U/L 5U/L 55U/L ────────────────────────────────────
【0041】上記の第2表の結果から、乳酸デヒドロゲ
ナーゼ(LDH)が相当量混在しているCKMB含有検
体中でのCKMBの定量のためには、CKMB定量用の
分析素子へのLDH活性阻害剤の導入が有効であること
が分る。
【0042】
【発明の効果】クレアチンキナーゼMBアイソザイム
(CKMB)の定量分析用の乾式分析素子の検出反応系
でグルコースを使用する場合、そのグルコースを予め分
析素子に導入しないか、あるいはグルコースの導入量を
微量に止めることにより、CKMB定量用分析素子の保
存性が顕著に向上するため、従来のCKMB定量分析用
乾式分析素子の使用前の保存の際に必須とされていた分
析素子の冷凍保存の必要が無くなり、実用において非常
に有利となる。なお、LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)
の含有量が多い血清などの検体を用いる場合には、CK
MB定量用乾式分析素子にLDH活性阻害化合物を導入
しておくことが好ましい。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、クレアチンキナーゼのMサ
    ブユニット活性を特異的に阻害する抗体、クレアチンキ
    ナーゼMBアイソザイムの存在下で、アデノシン三リン
    酸を生成するクレアチンリン酸とアデノシン二リン酸、
    そしてそのアデノシン三リン酸の生成のためのpH環境
    を提供するpH5.5〜8.5の領域において緩衝能を
    示す緩衝性化合物を含有し、更に、生成したアデノシン
    三リン酸との反応により分光的測定方法で検出が可能な
    化合物を生成させる指示薬組成物を含有するクレアチン
    キナーゼMBアイソザイム検出試薬層を積層してなるク
    レアチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子
    であって、該指示薬組成物が、ヘキソキナーゼ、ニコチ
    ンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)酸化型及び
    グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含むもので
    あり、一方、該指示薬組成物の機能の発現に必要な量の
    グルコースは含まないことを特徴とするクレアチンキナ
    ーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子。
  2. 【請求項2】 指示薬組成物が、更にテトラゾリウム塩
    を含むものである請求項1に記載のクレアチンキナーゼ
    MBアイソザイム定量用乾式分析素子。
  3. 【請求項3】 指示薬組成物が、グルコースを含むこと
    のない請求項1もしくは2に記載のクレアチンキナーゼ
    MBアイソザイム定量用乾式分析素子。
  4. 【請求項4】 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
    (リン酸)酸化型がニコチンアミドアデニンジヌクレオ
    チド酸化型である請求項1乃至3のうちのいずれかの項
    に記載のクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾
    式分析素子。
  5. 【請求項5】 指示薬組成物が、更に乳酸デヒドロゲナ
    ーゼ活性阻害剤を含む請求項4に記載のクレアチンキナ
    ーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子。
  6. 【請求項6】 指示薬組成物が、更にオキサロ酢酸、シ
    ュウ酸、およびオキサミン酸からなる群より選ばれた乳
    酸デヒドロゲナーゼ活性阻害剤を含む請求項4に記載の
    クレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素
    子。
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