JPH11209482A - 生分解性フィルム及びシート - Google Patents

生分解性フィルム及びシート

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JPH11209482A
JPH11209482A JP10027848A JP2784898A JPH11209482A JP H11209482 A JPH11209482 A JP H11209482A JP 10027848 A JP10027848 A JP 10027848A JP 2784898 A JP2784898 A JP 2784898A JP H11209482 A JPH11209482 A JP H11209482A
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biodegradable
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cellulose acetate
less
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JP10027848A
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English (en)
Inventor
Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
Naohiko Tsujimoto
直彦 辻本
Mikiko Ishizaki
美紀子 石崎
Takaharu Tsuno
隆治 津野
Yusuke Sugihara
裕介 杉原
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New Oji Paper Co Ltd
Arakawa Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Arakawa Chemical Industries Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた生分解性と溶融押出しによる成形加工
性を有するセルロースアセテート系樹脂を用いてセルロ
ースアセテート系生分解性フィルム及びシートを提供す
る。 【解決手段】 酢化度56%以下のセルロースアセテー
ト60〜80重量%と、平均分子量800〜5000の
範囲でかつ分子量300以下の成分が5重量%未満であ
る生分解性の脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体
から選ばれる少なくとも1種の可塑剤20〜40重量%
とを主成分として含む生分解性組成物を溶融押出しする
ことにより形成されていることを特徴とする生分解性セ
ルロースアセテート系フィルム及びシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ートと可塑剤を主成分とする生分解性セルロースアセテ
ート組成物を用いて、高い生産性で溶融押出しして得ら
れる生分解性セルロースアセテート系フィルム及びシー
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護に向けた認識が深まるな
かでプラスチック廃棄物の処理問題が重要視され、合成
樹脂を原料として溶融押出しでフィルム化、シート化し
た農業用途、園芸用途向けのものや、溶融紡糸で繊維化
して不織布等とした使い捨て用途向けのものについて
は、コンポスト化が可能な生分解性樹脂を原料として使
用する気運が高まっている。こうした状況下、各種の生
分解性ポリエステル樹脂が溶融押出し用途、溶融紡糸用
途に開発されているが、価格が高く普及するには至って
いない。
【0003】一方、天然物を原料とする多糖類系は、生
分解性と安全性に加えて価格が安く原料が安定供給可能
なことから期待されているが、残念ながら現在までのと
ころ、十分な品質を有するものが得られていない。従来
提案されている多糖類系の中で、セルロースを原料とし
た汎用樹脂として広く使用されているセルロースアセテ
ートは、セルロースを完全にアセチル化した後部分ケン
化することで製造されており、近年、その中で酢化度5
6%以下のものが本質的に生分解性を有することが知ら
れるようになった。
【0004】しかし、セルロースアセテートは、融点と
熱分解温度が近接しているため溶融押出しによる成型加
工が困難である。そのため、通常は可塑剤を添加した組
成物として使用されている。しかし、使用できる可塑剤
は、セルロースアセテートの高い極性のため、相溶性の
点から限られており、一般に成形加工温度付近では揮発
性が高いものが多い。例えば、代表的な可塑剤であるフ
タル酸エステルを可塑剤とするセルロースアセテート樹
脂を用いて、溶融押出しでフィルム化、シート化すると
揮発成分が多く、直接及び冷却ロール等を介して揮発し
た可塑剤がフィルム面やシート表面に移り、フィルムや
シートを巻き取るとブロッキングを起こしたり、表面が
曇ったりすることが知られている。そのため、冷却ロー
ルを加熱することが有効な手段とされるが、この問題を
解決するには至っていない。また、揮発成分が多いと、
成形加工装置のダイを汚し、安定操業の点から好ましく
ない。
【0005】更に可塑剤を生分解性ということで限定し
てしまうと、トリアセチン、トリエチルサイレート等の
脂肪族エステルあるいは特公昭43−16305号公
報、特開平8−53575号公報に記載されている分子
量が数百〜数千の脂肪族ポリエステル、ポリエーテル等
しか知られていない。このうち、トリアセチン、トリエ
チルサイレート等の脂肪族エステルを可塑剤として溶融
押出しでフィルム化、シート化すると、揮発成分が多い
ためにフタル酸エステル系と同様、直接及び冷却ロール
等を介して揮発した可塑剤がフィルム、シート表面に移
り、フィルム、シートを巻き取るとブロッキングを起こ
してしまう。
【0006】また、分子量が数百〜数千のポリエステル
を使用すると、揮発成分は少ないが、片末端がカルボキ
シル基であるためセルロースアセテートの水酸基と反応
して、混練中、溶融押出し中に粘度が高くなるかあるい
は流動性を消失してしまうので好ましくない。また、ポ
リエーテルを使用すると、揮発成分が少なく巻き取った
直後はブロッキングを起こさないが、フィルム、シート
の親水性が増し、特殊な用途しか使用できず、また可塑
剤がフィルム表面に移行するため、長期間放置するとブ
ロッキングを起こしてしまう。
【0007】一方、生分解性セルロースエステル組成物
として、特開平7−76632号公報にはセルロースエ
ステル単独もしくはこれと各種可塑剤、生分解促進剤等
とを組み合わせることが開示されているが、フィルム、
シートの移行性に関することは何ら開示されておらず、
そのため、セルロースアセテート系樹脂を利用して溶融
押出し法により成形される生分解性シート、フィルムは
いまだ具現化していない。他方、セルロースアセテート
の成形加工に際して可塑剤を使用しなければならないと
いう欠点を解決し、高い生産性で溶融押出しを行うため
に、セルロースを2種類の無水脂肪酸によるエステル化
でセルロースアセテートプロピオネート或いはセルロー
スアセテートブチレートとし、融点を下げる試みも過去
になされてきたが、この場合、フィルム、シートの疎水
性が強くなり、生分解性が低下、もしくは消失してしま
うという新たな欠点が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者はかかる現状
に鑑み、先に特願平8−254532号として溶融押出
しでフィルム成形加工が可能で、可塑剤の移行がなく、
かつ揮発成分が少ないため巻き取ってもブロッキングし
ない生分解性セルロースアセテート樹脂組成物を提案し
た。しかし、透湿性を主目的としたため、可塑剤の分子
量が比較的低く、成形加工温度、速度等に関して加工条
件を厳しくすると揮発成分が多くなり、可塑剤が直接及
び冷却ロールを介してフィルム表面に移り、表面を曇ら
せたり、長期間放置すると場合によっては巻き出しが重
くなることがあるので、生産面からは、改善を必要とし
ている。
【0009】つまり、ブロッキングとは、フィルム、シ
ートから可塑剤が移行して起こる場合とフィルム、シー
ト表面の存在する可塑剤が重ね合わされたためフィル
ム、シートへ移行して起こる場合があり、一方フィル
ム、シート表面の曇りも、シートから可塑剤が移行して
起こる場合とフィルム、シート表面にただ単に可塑剤が
存在している場合があることがわかった。そのため、ブ
ロッキング及び曇りを無くすには、セルロースアセテー
トに対して可塑剤の相溶性が良く移行しないことに併せ
て、可塑剤の揮発性を更に低くする必要のあることがわ
かった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、溶融押出
しによるフィルムやシートへの成形加工の生産性を向上
させるため、相溶性が良好であるとともに揮発性をでき
るだけ低く抑える観点から、可塑剤の化学構造と分子量
について細かく検討した。その結果、移行性の点からブ
ロッキング及び曇りが問題にならない程度にするには、
以下の脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体からな
る種類の生分解性の可塑剤が有効であることを見出し
た。
【0011】平均分子量800〜5000の範囲の脂肪
族ポリエステルで、ポリエチレンアジペートジオール、
ポリエチレンサクシネートジオール、これらの混合物及
びこれらのコポリマーから選ばれた少なくとも1種から
なる生分解性可塑剤。同じく平均分子量800〜500
0の範囲の脂肪族ポリエステルで、ポリカプロラクトン
ジオール、ポリエチレンアジペートジオール、ポリエチ
レンサクシネートジオール、これらの混合物及びこれら
のコポリマーから選ばれる少なくとも1種であって、か
つ脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂肪族ジエポキシ
ドで鎖延長しているものからなる生分解性可塑剤。
【0012】平均分子量800〜5000の範囲の脂肪
族ポリエステルアミドで、ポリエステル成分としてポリ
カプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレ
ンサクシネート、これらの混合物及びこれらのコポリマ
ーから選ばれる少なくとも1種を有し、ポリアミド成分
として脂肪族アミノカルボン酸、脂肪族ジアミンと脂肪
族ジカルボン酸の組み合わせ、ポリカプロラクタム、こ
れらの混合物及びこれらのコポリマーから選ばれる少な
くとも1種を有してなるポリエステルアミドからなる生
分解性可塑剤。
【0013】また、揮発性の点からブロッキング及び曇
りが問題にならない程度にするには、成形加工温度であ
る200〜250℃の範囲で蒸気圧が高い分子量300
以下の成分、特に分子量200以下の成分含量をできる
限り少なくすること、具体的目安としては5重量%未
満、好ましくは1重量%未満にすることが必要であるこ
とを見いだした。
【0014】本発明の第1は、酢化度56%以下のセル
ロースアセテートを全重量当り60〜80重量%、可塑
剤として平均分子量800〜5000の範囲でかつ分子
量300以下の成分が5重量%未満である生分解性の脂
肪族ポリエステル及び/又はその誘導体から選ばれる少
なくとも1種を全重量当り20〜40重量%含むセルロ
ースアセテート系生分解性組成物を溶融押出しすること
により形成される生分解性セルロースアセテート系フィ
ルム及びシートに関する。
【0015】本発明の第2は、前記の平均分子量800
〜5000の範囲でかつ分子量300以下の成分が5重
量%未満である生分解性脂肪族ポリエステル及び/又は
その誘導体が、ポリエチレンアジペートジオール、ポリ
エチレンサクシネートジオール、これらの混合物及びこ
れらのコポリマーから選ばれる少なくとも1種からなる
ことを特徴とする前記第1の本発明のセルロースアセテ
ート系生分解性フィルム及びシートに関する。
【0016】本発明の第3は、前記の平均分子量800
〜5000の範囲でかつ分子量300以下の成分が5重
量%未満である生分解性脂肪族ポリエステル及び/又は
その誘導体が、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチ
レンアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジ
オール、これらの混合物及びこれらのコポリマーからな
る群から選ばれたポリエステル成分を脂肪族ジイソシア
ネートあるいは脂肪族ジエポキシドで鎖延長されている
ものであることを特徴とする前記第1の本発明のセルロ
ースアセテート系生分解性フィルム及びシートに関す
る。
【0017】本発明の第4は、前記の平均分子量800
〜5000の範囲でかつ分子量300以下の成分が5重
量%未満である生分解性脂肪族ポリエステル及び/又は
その誘導体が、ポリエステル成分としてポリカポロラク
トン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネ
ート、これらの混合物及びこれらのコポリマーから選ば
れた少なくとも1種を有し、ポリアミド成分として脂肪
族アミノカルボン酸、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボ
ン酸の組み合わせ、ポリカプロラクタム、これらの混合
物及びこれらのコポリマーから選ばれた少なくとも1種
を有していることを特徴とする前記第1の本発明のセル
ロースアセテート系生分解性フィルム及びシートに関す
る。
【0018】本発明の第5は、前記のセルロースアセテ
ート及び可塑剤を主成分とする生分解性組成物に、平均
分子量が5000を超える脂肪族ポリエステル及び/又
はその誘導体を、前記セルロースアセテートと可塑剤の
合計重量当たり5〜30重量%配合することを特徴とす
る前記第1〜第4の本発明のセルロースアセテート系生
分解性フィルム及びシートに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のセルロースアセテート系
生分解性組成物で使用されるセルロースアセテートは、
針葉樹晒クラフトパルプや溶解パルプのようなセルロー
スパルプ或いはリンターを酢酸によって予備処理した
後、硫酸のような酸性触媒の存在下無水酢酸を用いて酢
化し、次いで中和と熟成を行うという公知の方法で得ら
れ、酢化度56%以下の本質的生分解性が確認されてい
るものが用いられる。セルロースアセテートの酢化度は
51%を下まわると易分解性となり生分解がさらに容易
となるが、可塑剤に生分解性脂肪族ポリエステル、脂肪
族ポリエステルアミドのような生分解性が容易な化合物
を使用する限りにおいては、酢化度51〜56%のセル
ロースアセテートを用いても、生分解は容易に得られ
る。また、酢化度が30%未満では可塑剤との相溶性が
低下し、またフィルムやシートの耐水性が低下する点か
ら実用に適さない。したがって、本発明では酢化度30
〜56%の範囲で用いられる。また、酢化度の異なる2
種類以上のセルロースアセテートを混合して使用しても
よい。酢化度の測定は、公知の中和滴定法に従いNaO
H量から求められる。セルロースアセテートの平均重合
度については、通常使用されている70〜250の範囲
であれば、生分解性に関しては大きく影響を与えない。
【0020】セルロースアセテートの配合量に関して
は、セルロースアセテート及び可塑剤の全重量当り60
〜80重量%が好ましく、60重量%未満ではフィル
ム、シートの強度が低下し、また80重量%を越える
と、溶融押出し温度が高くなりすぎ、セルロースアセテ
ート及び可塑剤の熱安定性が低下して好ましくない。
【0021】本発明のセルロースアセテート系生分解性
組成物に使用される可塑剤としては、平均分子量800
〜5000の範囲でかつ分子量300以下の成分が5重
量%未満、好ましくは1重量%未満である生分解性脂肪
族ポリエステル及び/又はその誘導体の少なくとも1種
が挙げられる。分子量300以下の成分を5重量%未満
にするのは、分子量300以下、特に200以下の成分
は成形加工温度付近での蒸気圧が高く、直接及び冷却ロ
ールを介してフィルム表面に移る量が無視できないから
である。5重量%以上になると揮発量が増え、フィルム
表面に移る量が成形加工条件によっては、問題となって
くる。
【0022】分子量300以下の成分を5重量%未満に
する方法としては、平均分子量800以上の場合は、実
験条件でのジオール成分と2塩基酸の仕込み比、反応条
件の制御の他に加熱減圧下での分留を行えば十分対応で
きるが、場合によっては、分取クロマトグラフィー等で
の分別を行うことも可能である。一方、平均分子量が8
00未満、特に700以下になってくると、分子量30
0以下の成分を5重量%未満にすることは難しい。分子
量が300以下の成分の定量は、ゲルパーミュエーショ
ンクロマトグラフィーあるいは質量分析機を用いた定量
分析により確認ができる。
【0023】また脂肪族ポリエステル及び/又はその誘
導体の末端は、セルロースアセテートの水酸基に対して
反応性を有さない水酸基もしくはアミノ基であることが
必要であり、カルボキシル基として存在する割合は、総
末端基中の20%以下であることが望ましい。カルボキ
シル基の割合は、酸価と水酸基価の和のうち酸価に対応
する部分として計算される。なお、酸価は、1gの試料
中のカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カルウ
ムのmg数として、また水酸基価は、試料1gから得ら
れるアセチル化物をケン化するのに必要な水酸化カリウ
ムのmg数として公知の方法に従って求められる。ま
た、可塑剤の平均分子量は、上記酸価と水酸基価を用い
て公知の方法に従って求められる。
【0024】平均分子量800〜5000の生分解性脂
肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンアジペートジ
オール、ポリエチレンサクシネートジオールあるいはこ
れらの混合物又はコポリマーであることが相溶性の点か
ら好ましい。また、平均分子量800〜5000の生分
解性脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラクトンジオー
ル、ポリエチレンアジペートジオール、ポリエチレンサ
クシネートジオールあるいはこれらの混合物を主成分と
し、脂肪族ジイソシアネートあるいは脂肪族ジエポキシ
ドを用い鎖延長したものも相溶性の点から好ましい。な
お、鎖延長により、分子量300以下のものが選択的に
除かれやすい。鎖延長剤の配合モル比は、ポリエステル
成分の繰り返し単位1に対して0.2以下が好ましい。
【0025】また、平均分子量800〜5000の生分
解性ポリエステルアミドが、ポリエステル成分としてポ
リカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチ
レンサクシネートあるいはこれらの混合物又はコポリマ
ーを有し、アミド成分として脂肪族アミノカルボン酸、
脂肪族ジアミンと脂肪族2塩基酸の組み合わせ、ポリカ
プロラクタム、あるいはこれらの混合物又はコポリマー
を有しているものが相溶性の点から望ましい。ポリアミ
ド成分の配合モル比は、ポリエステル成分の繰り返し単
位1に対してポリアミドの繰り返し単位が0.3以下が
好ましい。
【0026】可塑剤の平均分子量については、平均分子
量800未満であると前記したように分子量300以下
の成分を5重量%未満にすることが簡単ではなくなり、
特に好ましい範囲である1重量%未満にすることは極め
て困難となる点から好ましくない。一方、平均分子量が
5000を越えると、可塑化性能が劣り、混練性の低
下、成形加工温度の上昇が起きるので好ましくない。可
塑剤の配合量については、組成物の全重量の20〜40
重量%であることが好ましい。20重量%未満では、セ
ルロースアセテートに十分な熱可塑性を付与することが
できないため、成形加工温度が高くなり、また、40重
量%を越えると、可塑剤の移行、強度の低下の問題が生
じてくるので好ましくない。
【0027】本発明において、本質的に生分解性である
ことが知られているセルロースアセテートと可塑剤から
なる組成物系に、相溶化することが可能な脂肪族ポリエ
ステルおよび/又はその誘導体の高重合物を、物性を改
良する目的で配合することは可能である。この場合、脂
肪族ポリエステルおよび/又はその誘導体の高重合物と
しては、脂肪族ポリエステルでは、ポリカプロラクト
ン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネー
ト等あるいはこれらの混合物又はこれらのコポリマー、
また同じく脂肪族ポリエステルでは、ポリエステル成分
がポリカプロラクトンジオール、ポリエチレンアジペー
トジオール、ポリエチレンサクシネートジオール等ある
いはこれらの混合物又はこれらのコポリマーを主成分と
し、脂肪族ジイソシアネートあるいは脂肪族ジエポキシ
ド等で鎖延長したものが挙げられる。
【0028】また、脂肪族ポリエステルアミドでは、ポ
リエステル成分としてポリカプロラクトン、ポリエチレ
ンアジペート、ポリエチレンサクシネートあるいはこれ
らの混合物又はコポリマーを有し、ポリアミド成分とし
て脂肪族アミノカルボン酸、脂肪族ジアミンと脂肪族ジ
カルボン酸の組み合わせ、ポリカプロラクタムあるいは
これらの混合物又はこれらのコポリマーを有しているも
の等が挙げられる。配合量は、必要な物性を付与するた
めに、前記セルロースアセテートと可塑剤の合計重量当
たり5〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0029】本発明には、必要に応じて要求される性能
を損なわない範囲内で熱劣化防止、熱着色防止用の安定
剤として弱有機酸、フェノール化合物、エポキシ化合
物、フォスフェイト、チオフォスフェイト等を単独又は
2種類以上混合して添加してもよい。また、その他有機
酸系の生分解促進剤、滑剤、帯電防止剤、潤滑剤等の添
加剤を配合することは何らさしつかえない。
【0030】生分解性は土壌中に埋設するか、或いはJ
IS−K−6950に準拠して、重量減少等から評価す
ることは可能であるが、この試験は易分解性試験方法な
ので、本質的生分解性を調べるにあたっては、ASTM
−D−5338あるいはセルロースアセテート及び可塑
剤として使用されている化合物に馴化した微生物を含む
土壌、活性汚泥等の制御された環境を用いることもでき
る。
【0031】本発明で用いられるセルロースアセテー
ト、可塑剤、生分解性重合物及び添加剤の混合に際し
て、ニーダー、エクストルーダー、ロールミル、バンバ
リーミキサー等通常使用されているものなら特に制限は
なく用いられる。なお、混合を容易にするために粉砕機
により予めセルロースアセテートの粒子を50メッシュ
より細かく粉砕しておくことが好ましい。また、混練物
は気泡等の混入をできるだけ少なくするために、エクス
トルーダー等を用いてストランドとし、その後ペレタイ
ザーでペレットにしておくことが望ましい。また、ペレ
ットにした生分解性セルロースアセテート系組成物は溶
融押出しによるフィルム、シート成形に先立ち、溶融時
の加水分解、気泡発生を防止するために、含水率を0.
1%以下に乾燥することが好ましい。
【0032】本発明における溶融押出し法によるフィル
ム製造は、前記した樹脂混練組成物を公知の押出機にお
いて加熱溶融した後、200〜250℃でTダイ或いは
リングダイから押出し、押出された溶融物を引取り装
置、空気圧等により延伸させてフィルムを形成する方法
である。ここで、溶融押出しの際の温度は、ダイ内部の
温度をいう。溶融押出し温度については、250℃を越
えると、セルロースアセテート及び可塑剤の熱安定性が
低下し、熱分解、加水分解が顕著になり好ましくない。
一方、200℃未満まで低下させると、脂肪族ポリエス
テル、脂肪族ポリエステルアミドの可塑性能がフタル酸
エステル系に比べて低いため、組成物の溶融粘度が高く
成形加工性が低下する。
【0033】溶融押出し法は現在ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂を用い
て、種々の用途で使用されており、溶媒を必要とするキ
ャスト法に比べ生産性の高い方法である。本発明の生分
解性フィルム、シートは、セルロースアセテート及び可
塑剤を主成分とする生分解性樹脂組成物を、溶融押出し
で製造するもので、概ね10〜500μmの厚さを有す
るものである。本発明では、生分解性を有するセルロー
スアセテート系フィルム、シートを極めて生産性が高い
方法で得ることができ、単独あるいは紙、その他の生分
解性フィルム、シート等と複合して使用することが可能
で、従来オレフィン系フィルム、シートが使用されてき
た機能包材等の包装分野、マルチ等の農業資材分野、結
露防止フィルム等の建材分野等に適応できる。
【0034】
【実施例】以下実施例及び比較例により本発明を更に詳
しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるもの
ではない。 実施例1 絶乾全重量当たり針葉樹材からの溶解パルプ13重量
%、硫酸2重量%、無水酢酸35重量%及び氷酢酸50
重量%からなる混合物を、36℃で3時間アセチル化を
行い、反応後、反応物を酢酸カリウムで中和し、その後
60℃で3時間加水分解し、精製、乾燥して酢化度54
%、平均重合度180のセルロースアセテートフレーク
を得た。
【0035】次に、このセルロースアセテートフレーク
を粉砕機で微粉末にし、このセルロースアセテート70
重量%と、可塑剤としての平均分子量1200、分子量
300以下の成分が3重量%、酸価5(KOHmg/
g)のポリエチレンアジペートジオール30重量%とを
ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸エクストルーダ
ーを用いて200℃で混練した。混練された溶融物は、
内径3mmのストランドダイを通してストランドとして
吐出させ、冷却した後3mmにカットしてペレットとし
た。このペレットは80℃に加熱した熱風乾燥機中で1
0時間乾燥させ、その後Tダイを接続したエクストルー
ダー型溶融押出し機に供給し、溶融押出し温度230℃
で、リップ巾0.50mmのTダイを通して吐出させ、
吐出させた溶融物を引取り装置により引取速度30m/
minでフィルム化した。フィルムの厚さは、0.03
5mmであった。得られたフィルムのブロッキング、表
面の曇り、強度及び生分解性は以下に示す方法で評価し
た。
【0036】評価方法 (1)ブロッキング: 幅25mmに切り揃え重ね合わ
せたフィルムに、100g/cm2 の荷重をかけ100
℃の送風乾燥機中に24時間放置したのち、180度の
角度で接着強度の測定をおこなった。 (2)表面の曇り: フィルムのヘイズをJIS−K−
7105に準拠して測定するとともに目視評価を行い、
3段階に評価した(○:形態変化が認められない、△:
形態変化が認められる、×:形態変化著しい)。 (3)強度: JIS−K−7127に準拠して、破断
強度を測定した。 (4)生分解性: 溶融押出ししたフィルムは、縦横1
0cm巾にカットした後、東京都江東区の野外の土中
(東京都江東区東雲1丁目10番6号、王子製紙(株)
新技術研究所敷地内)25cmの深さに埋設し、6ヶ月
経過後に取り出し、形態変化、重量変化から3段階に評
価した(○:形態変化、重量減少とも著しい、△:形態
変化、重量変化が認められる、×:形態変化、重量変化
が認められない)。
【0037】実施例2 実施例1と同様のセルロースアセテート75重量%と、
可塑剤として平均分子量1600、分子量300以下の
成分が2重量%、鎖延長剤としてヘキサメチレンジイソ
シアネートがポリエチレンサクシネートの繰り返し単位
1に対して0.2、酸価3(KOHmg/g)のポリエ
チレンサクシネートジオール25重量%とを用いて、2
40℃で溶融押出しした以外は実施例1と同様にしてフ
ィルムを製造し、試験した。
【0038】実施例3 実施例1と同様にして製造した酢化度45%のセルロー
スアセテート70重量%と、可塑剤として平均分子量1
500、分子量300以下の成分が2重量%、ポリアミ
ド成分としてポリカプロラクタムがポリカプロラクトン
の繰り返し単位1に対して0.3、酸価1(KOHmg
/g))のポリカプロラクトンカプロラクタム30重量
%とを用いて、230℃で溶融押出しした以外は実施例
1と同様にしてフィルムを製造し、試験した。
【0039】実施例4 実施例1と同様のセルロースアセテート65重量%と、
可塑剤として平均分子量1500、分子量300以下の
成分が2重量%、酸価3(KOHmg/g)のポリエチ
レンサクシネートジオール25重量%、平均分子量20
000のポリエチレンサクシネート10重量%とを用い
て、225℃で溶融押出しした以外は実施例1と同様に
してフィルムを製造し、試験した。
【0040】比較例1 実施例1と同様のセルロースアセテート70重量%と、
可塑剤として平均分子量650、分子量300以下の成
分が35重量%、酸価8(KOHmg/g)のポリエチ
レンアジペートジオール30重量%とを用いて、240
℃で溶融押出しした以外は実施例1と同様にしてフィル
ムを製造し、試験した。
【0041】比較例2 実施例1と同様のセルロースアセテート70重量%と、
可塑剤としてトリアセチン30重量%を用いて、225
℃で溶融押出しした以外は実施例1と同様にしてフィル
ムを製造し、試験した。
【0042】比較例3 実施例1と同様のセルロースアセテート70重量%と、
可塑剤として平均分子量870、分子量300以下の成
分が18%、酸価3(KOHmg/g)のポリエチレン
アジペートジオール30重量%を用いて、230℃で溶
融押出しした以外は実施例1と同様にしてフィルムを製
造し、試験した。実施例、比較例に用いたセルロースア
セテートの酢化度、配合量、可塑剤の種類、平均分子
量、分子量300以下の成分量、酸価、配合量を表1に
示した。また、得られたフィルムの物性測定結果を表2
に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1及び表2から分かるように、本発明に
よれば、ブロッギング、曇りが生じないフィルム及びシ
ート溶融押し出し法により効率よく製造することがで
き、得られたフィルムはブロッギング及び曇りのない生
分解性にすぐれたものである(実施例1〜4)。これに
対して、従来から使用されている可塑剤を配合した比較
例1〜3のフィルムは、ブロッキング及び曇りの問題を
有している。
【0046】
【発明の効果】上記詳述したように、本発明は優れた生
分解性と溶融押出しにより成形加工性を有するセルロー
スアセテート系樹脂を用いてセルロースアセテート系生
分解性フィルム及びシートを提供するという効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石崎 美紀子 東京都江東区東雲1−10−6 王子製紙株 式会社東雲研究センター内 (72)発明者 津野 隆治 茨城県つくば市大久保5番地 荒川化学工 業株式会社筑波研究所内 (72)発明者 杉原 裕介 茨城県つくば市大久保5番地 荒川化学工 業株式会社筑波研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢化度56%以下のセルロースアセテー
    ト60〜80重量%と、平均分子量800〜5000の
    範囲でかつ分子量300以下の成分が5重量%未満であ
    る生分解性の脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体
    から選ばれる少なくとも1種の可塑剤20〜40重量%
    とを主成分として含む生分解性組成物を溶融押出しする
    ことにより形成されていることを特徴とする生分解性セ
    ルロースアセテート系フィルム及びシート。
  2. 【請求項2】 前記平均分子量800〜5000の範囲
    でかつ分子量300以下の成分が5重量%未満である生
    分解性の脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体が、
    ポリエチレンアジペートジオール、ポリエチレンサクシ
    ネートジオール、これらの混合物及びこれらのコポリマ
    ーから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする
    請求項1記載の生分解性セルロースアセテート系フィル
    ム及びシート。
  3. 【請求項3】 前記平均分子量800〜5000の範囲
    でかつ分子量300以下の成分が5重量%未満である生
    分解性脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体が、ポ
    リカプロラクトンジオール、ポリエチレンアジペートジ
    オール、ポリエチレンサクシネートジオール、これらの
    混合物及びこれらのコポリマーから選ばれた少なくとも
    1種であり、かつ脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂
    肪族ジエポキシドで鎖延長されているものであることを
    特徴とする請求項1記載の生分解性セルロースアセテー
    ト系フィルム及びシート。
  4. 【請求項4】 前記平均分子量800〜5000の範囲
    でかつ分子量300以下の成分が5重量%未満である生
    分解性脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体が、ポ
    リエステル成分としてのポリカプロラクトン、ポリエチ
    レンアジペート、ポリエチレンサクシネート、これらの
    混合及びこれらのコポリマーから選ばれた少なくとも1
    種と、ポリアミド成分としての脂肪族アミノカルボン
    酸、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の組み合わ
    せ、ポリカプロラクタム、これらの混合物及びこれらの
    コポリマーから選ばれた少なくとも1種との反応物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の生分解性セルロース
    アセテート系フィルム及びシート。
  5. 【請求項5】 前記セルロースアセテート及び可塑剤を
    主成分とする生分解性組成物に、平均分子量5000を
    超える脂肪族ポリエステル及び/又はその誘導体を、前
    記セルロースアセテートと可塑剤の合計重量当たり5〜
    30重量%配合することを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の生分解性セルロースアセテート系フ
    ィルム及びシート。
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