JPH1121261A - 光学活性α−置換ケトン類の安定化法 - Google Patents

光学活性α−置換ケトン類の安定化法

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JPH1121261A
JPH1121261A JP17458497A JP17458497A JPH1121261A JP H1121261 A JPH1121261 A JP H1121261A JP 17458497 A JP17458497 A JP 17458497A JP 17458497 A JP17458497 A JP 17458497A JP H1121261 A JPH1121261 A JP H1121261A
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治代 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】化学的、光学的に不安定な光学活性α−置換ケ
トン類を安定に保存する方法の提供。 【解決手段】化学的、光学的に不安定な一般式Iの光学
活性α−置換ケトン類を無機酸化物と接触させること
で、安定に保存できる。 (R、RはC1〜8のアルキル基;無置換もしくは
C1〜4のアルキル基、アルコキシル基、ハロゲンで置
換されたC6〜18のアリール基、またはアラルキル基
を表し、同一でも異なってもよい。またR、Rが結
合してアルキル環を形成してもよい。RはC1〜4の
アルキル基、アルコキシル基またはハロゲンを表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬や農薬の原料
として重要な光学活性α−置換ケトン類の安定化法に関
するものであり、更に詳しくは化学的にも、また光学的
にも不安定な光学活性α−置換ケトン類の安定化法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、光学活性α−置換ケトン類を
製造する方法は種々知られている。例えば(−)−メン
トールを次亜塩素酸ナトリウムで酸化して(−)−メン
トンを得る方法(J.Org.Chem.1980,45,2032
-2033)、或いは光学活性2ーメトキシシクロヘキサノ
ールをアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類を共
存させ、酸性条件にて次亜ハロゲン酸、或いは次亜ハロ
ゲン酸の発生源で酸化させて光学活性2−メトキシシク
ロヘキサノンを得る方法(GB 2283971)等が知られて
いる。しかしながら、これらの化合物はラセミ化しやす
い不安定な化合物であるため、例えば、室温中で保管す
ると光学純度や化学純度が低下し、医農薬原料として使
用困難になる弊害が生ずる。一方、光学活性α−置換ケ
トン類のラセミ化を防止し、安定に保存する方法に関す
る公知例は全く知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は光学活性α−
置換ケトン類を安定に保存する方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは光学活性α
−置換ケトン類のラセミ化を防止し、安定に保存する方
法について鋭意検討した結果、驚くべき事に光学活性α
−置換ケトン類に無機酸化物を接触させることによりラ
セミ化を防止し、安定に保存できることを見いだし発明
を完成させた。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の光学活性α−置換ケトン
類は公知の方法で製造することができる。例えば、
(−)−メントンは、氷酢酸中に溶解した(−)−メン
トールを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で酸化することに
より、光学純度を保持した形で製造する事ができる。
【0006】また、光学活性2−メトキシシクロヘキサ
ノンは、光学純度99.0%ee以上の光学活性2−メ
トキシシクロヘキサノールをケトン類の共存下、酸性条
件にて次亜ハロゲン酸、或いは次亜ハロゲン酸の発生源
で酸化させる事により製造することができる。単離方法
も種々あるが、例えば酸化反応液から光学活性2−メト
キシシクロヘキサノンを単離するには、まず系中に残存
している次亜ハロゲン酸を目視でヨウ化カリウム澱粉試
験紙が青紫色に変色しなくなるまで亜硫酸水素ナトリウ
ムや亜硫酸ナトリウムを添加して分解する。次いで、反
応液に含まれる塩基に不安定なラセミ化を促進する不純
物を予め分解する為に光学活性2−メトキシシクロヘキ
サノンを含む反応液をpH7.5〜9に調整してから0
〜40℃にて0.05〜5時間反応させた後、ジエチル
エーテルやメチルイソブチルケトン等で溶媒抽出する。
次いで溶媒抽出層を濃縮し、減圧蒸留することで精製さ
れた光学活性2−メトキシシクロヘキサノンを得ること
ができる。
【0007】しかしながら、光学活性2−メトキシシク
ロヘキサノンは化学的にも、また光学的にも不安定な化
合物であり、ある種の不純物が存在すると5〜10℃で
冷蔵保存してもラセミ化したり、或いは不純化したりす
る。特に、前記溶媒抽出層を濃縮した蒸留精製前の光学
活性2−メトキシシクロヘキサノンはラセミ化し易く、
無機塩基類、無機酸類、或いは金属や金属塩等が混入し
ていると微量であってもラセミ化を引き起こす場合が多
く、−10℃以下で保存してもラセミ化を引き起こす場
合もある。さらに、酸素と接触すると酸化されてアジピ
ン酸メチル等の不純物を副生する。従って前記有機抽出
層に無機塩基類、無機酸類、或いは金属や金属塩等を持
ち込まないようにする為に、有機抽出層は十分水洗して
してから濃縮する。しかしながら、これらの操作をして
も不純物の種類によっては極微量でラセミ化を引き起こ
すことがある。そこで、これらは無機酸化物と接触させ
吸着させることで、ラセミ化を阻止し、化学的にも不純
化させることなく安定に保存する事ができる。
【0008】ここで、光学活性α−置換ケトンとは前記
一般式(I)で示される化合物である。具体的には、光
学活性3−メチル−2−オキソヘプタン等の光学活性脂
肪族α−置換ケトン類、光学活性メントールや光学活性
2−メトキシシクロヘキサノール等の光学活性脂脂環式
α−置換ケトン類、光学活性1−メチルプロピルフェニ
ルケトン等の光学活性アラルキルα−置換ケトン類があ
げられる。
【0009】これらは酸化反応液から有機溶媒で抽出し
た有機溶媒抽出液中にあるもの、更に有機溶媒抽出層か
ら溶媒を減圧除去した濃縮液中にあるもの、或いは該濃
縮液を減圧蒸留したものを意味し、濃度が1〜99.9
%の何れでも使用できる。
【0010】接触させる無機酸化物とは、ゼオライトや
シリカゲル等、極性物質を吸着する能力を有するもので
あれば何れでも使用できるが、系中で強酸性や強塩基性
を示す無機酸化物は使用できない。ゼオライトとしては
天然ゼオライト、合成ゼオライトの何れでも使用できる
が、例えばモレキュラーシーブスとして市販されている
ゼオラムA−5(東ソー(株)製)等が使用できる。シ
リカゲルとしてはワコーゲルC−200(和光純薬工業
(株)製)等が使用できる。これらの無機酸化物はその
まま使用することもできるが、前処理してから使用する
方がより効果を発揮する。前処理法としては、100℃
以上に加熱して減圧乾燥する方法、或いは400℃以上
の電気炉中で焼成する方法等がある。
【0011】無機酸化物の接触方法には、バッチ方式で
前記光学活性α−置換ケトン類に添加する方法、カラム
に充填し、前記光学活性α−置換ケトン類を通液する方
法等があり、目的に応じて選択すればよい。バッチ方式
で添加する場合、無機酸化物の添加量は光学活性α−置
換ケトン類の保存形態、不純物量、保存温度等によって
異なるが、通常は光学活性α−置換ケトン類の0.1w
t%〜30wt%、好ましくは1wt%〜10wt%で
ある。これら無機酸化物を前記有機溶媒抽出液、有機溶
媒抽出層から溶媒を減圧除去した濃縮液、或いは減圧蒸
留した光学活性α−置換ケトン類に添加してから十分に
攪拌するが、継続的に攪拌する必要はない。また、十分
攪拌してラセミ化を促進する化合物を吸着させた後、濾
過等で分離しても良いし、そのまま系中に共存させても
かまわない。無機酸化物と接触させた光学活性α−置換
ケトン類の保存温度は、光学活性α−置換ケトン類の種
類や要求する光学純度、化学純度によって異なるが、通
常は30℃以下、好ましくは10℃以下である。特に減
圧蒸留で精製する前の有機溶媒抽出液、或いは有機溶媒
抽出層から溶媒を減圧除去した濃縮液の場合には0℃以
下、好ましくは−10℃以下である。
【0012】また、無機酸化物と接触させた光学活性α
−置換ケトン類の保存は、酸素と接触させない方がより
効果を発揮する。真空状態で保管することも可能である
が、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下
で保管すればよい。
【0013】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
光学活性2−メトキシシクロヘキサノンの化学純度はTh
ermon3000を液層としたGC分析で、光学純度はキラル
カラムを使用したGC分析でそれぞれ求めた。
【0014】実施例1 50mlの共栓ガラス試験管に蒸留した(S)−2−メ
トキシシクロヘキサノン(光学純度;98.7%ee、化
学純度;99.2%)10gを仕込んだ。次いで前処理
として100℃、5時間減圧乾燥したゼオラムA−5
(東ソー(株)製)アルゴン置換し、室温下にて1時間
攪拌したのち20℃〜25℃にて7日間静置した。内容
物の光学純度は98.5%ee、化学純度は99.2%で
あった。
【0015】比較例1 ゼオラムA−5を添加しなかった以外は実施例1と同様
に静置した。内容物の光学純度は96.5%ee、化学純
度は99.2%であった。
【0016】実施例2 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を装着した
500mlの4つ口フラスコに、光学純度99.8%e
eの(S)−2−メトキシシクロヘキサノール13.0g
(0.1モル)、ジクロロメタン7g、10%硫酸水溶
液30g(30ミリモル)を仕込み。20〜25℃にて
攪拌した。有効塩素12.1%の次亜塩素酸ナトリウム水
溶液60gを約1時間で添加し、更に30分間攪拌を継
続した。反応液をGCで分析し、(S)−2−メトキシ
シクロヘキサノールのピークが消滅したのを確認した
後、攪拌しながら亜硫酸水素ナトリウム2gを添加し
た。ヨウ化カリウム澱粉試験紙が青紫色に変色しない事
を確認した後、10%炭酸ナトリウム水溶液を30ml
添加してから20〜25℃ にて1時間攪拌した。次い
でジクロロメタン50gで2回抽出した。ジクロロメタ
ン層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した後、濃縮して
(S)−2−メトキシシクロヘキサノン11.5g(9
0ミリモル)を含むジクロロメタン溶液を21.6g得
た。濃縮液中の(S)−2−メトキシシクロヘキサノン
の光学純度は99.6%eeであった。この溶液10g
を実施例1と同様の試験管に仕込み、前処理として10
0℃、5時間減圧乾燥したゼオラムA−5を1g添加し
てからアルゴン置換した。室温下にて1時間攪拌したの
ち、20℃〜25℃にて7日間静置した。内容物の光学
純度は98.6%eeであった。
【0017】比較例2 ゼオラムA−5を添加しなかった以外は実施例2と同様
に静置した。内容物の光学純度は76.1%eeであっ
た。
【0018】実施例3 抽出溶媒をジエチルエーテルに変えた以外は実施例2と
同様にして濃縮液20.9g得た。この中には(S)−
2−メトキシシクロヘキサノンが9.8g含まれてい
た。濃縮液中の(S)−2−メトキシシクロヘキサノン
の光学純度は99.6%eeであった。この溶液10g
を実施例1と同様の試験管に仕込み、前処理として10
0℃、5時間減圧乾燥したワコーゲルC−200を3g
添加してからアルゴン置換した。室温下にて1時間攪拌
したのち、20℃〜25℃にて7日間静置した。内容物
の光学純度は99.0%eeであり、GC分析で仕込み時
に見られなかった不純物ピークは検出されなかった。
【0019】比較例3 ワコーゲルC−200を添加しなかった以外は実施例3
と同様に静置した。内容物の光学純度は89.3%eeで
あった。
【0020】実施例4 実施例2と同様にして濃縮液23.5g得た。この中に
は(S)−2−メトキシシクロヘキサノンが9.6g含
まれていた。濃縮液中の(S)−2−メトキシシクロヘ
キサノンの光学純度は99.6%eeであった。この溶
液10gを実施例1と同様の試験管に仕込み、前処理と
して100℃、5時間減圧乾燥したワコーゲルC−20
0を3g添加してからアルゴン置換せずにそのまま室温
下にて1時間攪拌したのち、20℃〜25℃にて7日間
静置した。(S)−2−メトキシシクロヘキサノンの光
学純度は98.7%eeであったが、GC分析で仕込み時
に見られなかった複数の不純物ピークが検出された。
【0021】比較例4 ワコーゲルC−200を添加しなかった以外は実施例4
と同様に静置した。内容物の光学純度は89.0%eeで
あり、GC分析で仕込み時に見られなかった不純物ピー
クが更に多く検出された。 実施例5 抽出溶媒をジクロロエタンに変えた以外は実施例2と同
様にして濃縮液21.9g得た。この中には(S)−2
−メトキシシクロヘキサノンが12.0g含まれてい
た。濃縮液中の(S)−2−メトキシシクロヘキサノン
の光学純度は95.9%eeであった。この溶液8gを
実施例1と同様の試験管に仕込み、前処理として100
℃、5時間減圧乾燥したゼオラムA−5を2g添加して
からアルゴン置換した。室温下にて1時間攪拌したの
ち、40℃にて13時間静置した。内容物の光学純度は
95.9%eeであり、GC分析で仕込み時に見られなか
った不純物ピークは検出されなかった。
【0022】比較例5 ゼオラムA−5を添加しなかった以外は実施例5と同様
に静置した。内容物の光学純度は87.1%eeであっ
た。
【0023】実施例6 実施例5で得た濃縮液10gをジクロロエタン20gで
希釈し、前処理として100℃、5時間減圧乾燥したゼ
オラムA−5(充填量10g)を充填したカラムに通液
した。通過液をアルゴン置換したのち、40℃にて13
時間静置した。内容物の光学純度は95.7%eeであ
り、GC分析で仕込み時に見られなかった不純物ピーク
は検出されなかった。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、化学的にも、光学的に
も不安定な光学活性α−置換ケトン類を化学的にかつ光
学的に安定に保存することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2は炭素数1から8のアルキル基;無置
    換、あるいは炭素数1から4のアルキル基、アルコキシ
    ル基、ハロゲン元素で置換された炭素数6から18のア
    リール基、または、アラルキル基を表し、同一でも異な
    ってもよい。また、R1、R2が結合してアルキル環を形
    成してもよい。R3は炭素数が1から4のアルキル基、
    アルコキシル基、あるいはハロゲン元素を表す。)で示
    される光学活性α−置換ケトンを無機酸化物と接触させ
    ることを特徴とする光学活性α−置換ケトン類の安定化
    法。
  2. 【請求項2】接触させる無機酸化物が極性化合物を吸着
    する物質であることを特徴とする請求項1記載の光学活
    性α−置換ケトン類の安定化法。
  3. 【請求項3】接触させる無機化合物がゼオライト、シリ
    カゲルであることを特徴とする請求項1または2記載の
    光学活性α−置換ケトン類の安定化法。
  4. 【請求項4】光学活性α−置換ケトン類が光学活性α−
    置換アルコールをハロゲン、ハロゲン酸、次亜ハロゲン
    酸、或いは次亜ハロゲン酸発生源で酸化して製造した光
    学活性α−置換ケトン類であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項記載の光学活性α−置換ケトン類
    の安定化法。
  5. 【請求項5】光学活性α−置換ケトン類が光学活性α−
    置換脂環式ケトン類であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項記載の光学活性α−置換ケトン類の安
    定化法。
  6. 【請求項6】光学活性α−置換脂環式ケトン類が光学活
    性α−メトキシシクロヘキサノンであることを特徴とす
    る請求項5記載の光学活性α−置換ケトン類の安定化
    法。
  7. 【請求項7】光学活性α−メトキシシクロヘキサノール
    を次亜ハロゲン酸、或いは次亜ハロゲン酸発生源で酸化
    して製造した光学活性α−メトキシシクロヘキサノンで
    あることを特徴とする請求項6記載の光学活性α−置換
    ケトン類の安定化法。
  8. 【請求項8】不活性ガス雰囲気下で保存することを特徴
    とする請求項1〜7のいずれか1項記載の光学活性α−
    置換ケトン類の安定化法。
  9. 【請求項9】不活性ガスが、窒素、ヘリウムまたはアル
    ゴンであることを特徴とする請求項8記載の光学活性α
    −置換ケトン類の安定化法。
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