JPH11283884A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサおよびその製造方法

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JPH11283884A
JPH11283884A JP10022898A JP10022898A JPH11283884A JP H11283884 A JPH11283884 A JP H11283884A JP 10022898 A JP10022898 A JP 10022898A JP 10022898 A JP10022898 A JP 10022898A JP H11283884 A JPH11283884 A JP H11283884A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐圧で損失が低く維持され、さらに、過電
圧特性の良好な電解コンデンサを提供する。 【解決手段】 コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸
し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外
装ケースの開口部を封口部材で封口してなる電解コンデ
ンサにおいて、ほう酸を含む駆動用電解液を用い、少な
くとも、コンデンサ素子の上下両端面にポリビニルアル
コールを付着し、その後に、熱処理をしているので、コ
ンデンサ素子の両端面部分の電解液にPVAが溶解し
て、電極箔の切断面の近傍の電解液の火花電圧が上昇
し、再化成電圧を高めることができる。そのことによっ
て、電極箔の切断面の耐電圧が向上し、電解コンデンサ
の耐電圧が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサに
関し、特に高い耐電圧特性を有する電解コンデンサに関
する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、小型、大容量、安価
で整流出力の平滑化などに優れた特性を示し、各種電
気、電子機器の重要な構成要素の一つである。
【0003】一般に、電解コンデンサは、アルミニウ
ム、タンタルなどのいわゆる弁金属の酸化皮膜を誘電体
層として形成したものを陽極側電極として使用する。そ
して、この陽極側電極に対向させて陰極側電極を配置
し、陽極側電極と陰極側電極間にセパレータを介在さ
せ、このセパレータに電解液を保持させている。
【0004】陽極側電極となる化成箔は、高純度の弁金
属からなる箔を表面積拡大のためにエッチング処理した
後、化成液中で電圧印加して酸化皮膜を形成することに
よって作成される。この化成処理時の印加電圧によって
誘電体である酸化皮膜の耐電圧が決定される。また、陰
極側電極となる陰極箔は、エッチング処理を施した高純
度の箔からなる。
【0005】そして、セパレータは、陽極箔と陰極箔が
ショートするのを防止し、併せてこの電解液を保持する
ものであり、クラフト紙、マニラ紙等の薄く低密度の紙
が用いられている。
【0006】そして、電極引出し端子を接合した陽極箔
と陰極箔をセパレータを介して重ね合わせ、巻回してコ
ンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子に電解液を
含浸し、ケースに入れて封口し、再化成して、電解コン
デンサが形成される。
【0007】電解コンデンサ用電解液は、前述のように
誘電体層に直接に接触し、真の陰極として作用する。即
ち、電解液は電解コンデンサの誘電体と集電陰極との間
に介在して、電解液の抵抗分が電解コンデンサに直列に
挿入されていることになる。したがって、電解液の電導
度はコンデンサの誘電損失の大きさに影響する。また、
電解液中でアルミニウム箔に電圧を印加した際にショー
トする電圧を電解液の火花電圧といい、電解液の酸化皮
膜形成性をあらわす。
【0008】そして、従来では、中高圧用の電解液とし
て、火花電圧が比較的高く得られることから、セバシン
酸、やアゼライン酸等の有機ジカルボン酸が用いられる
こともあるが、高圧用としては、火花電圧が十分ではな
かった。そこで、このような欠点を解決するために、従
来から知られている無機酸、すなわち、ほう酸を使用
し、マンニット等を添加して、高耐圧、高電導度を図っ
た電解液が用いられている。さらに、有機酸では、ブチ
ルオクタン二酸(特公昭60−13296号公報)を溶
質として用いる例や5,6−デカンジカルボン酸(特公
昭63−15738号公報)を溶質として用いた例、さ
らに、最近では、1,7−オクタンジカルボン酸(特開
平2−224217)を用いた例がある。これらの電解
液では、火花電圧および電導度が高く、しかも高温保存
中のエステル化が非常に遅く水の生成が少ないので高温
での安定性を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、中高圧
用電解コンデンサが使用されるインバーター等の電子機
器の効率向上が求められ、これらの動作速度の高周波化
が進み、さらに高耐圧で、損失が低く保たれ、かつ高温
での安定性のある、信頼性の高い電解コンデンサが求め
られている。
【0010】さらに、近年、スイッチング電源を使用し
た電子機器が一般家庭で汎用されるようになり、アルミ
電解コンデンサの安全性に対する幅広い要求が、高まっ
てきている。すなわち、スイッチング電源の一次側に使
われるアルミ電解コンデンサには、供給電力の不安定さ
によって過電圧が印加される場合がある。その際に、コ
ンデンサの特性が劣化することがあり、このような事態
を防止する、高い過電圧特性を有する電解コンデンサが
望まれていた。
【0011】本発明は、高耐圧で損失が低く保たれ、さ
らに、過電圧特性の良好な電解コンデンサを提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
は、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデ
ンサ素子に駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口
部材で封口し、再化成してなる電解コンデンサにおい
て、ほう酸を含む駆動用電解液を用い、少なくとも、コ
ンデンサ素子の上下両端面にポリビニルアルコールが付
着していることを特徴とする。
【0013】また、この電解コンデンサの製造方法とし
て、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデ
ンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、このコ
ンデンサ素子の上下両端面にポリビニルアルコールを付
着し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この
外装ケースの開口部を封口部材で封口し、熱処理を行っ
た後に、再化成を行うことを特徴とする。
【0014】また、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回
してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を
含浸し、このコンデンサ素子の上下端面の一方にポリビ
ニルアルコールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケ
ースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封
口し、ポリビニルアルコールを付着した前記コンデンサ
素子の端面が他方の端面より高い位置になるように配置
して熱処理を行った後に、再化成を行うことにより、電
解コンデンサを製造することを特徴とする。
【0015】さらに、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻
回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液
を含浸し、外装ケースの内底面にポリビニルアルコール
を配置し、コンデンサ素子をこの外装ケースに収納し、
この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、外装ケー
スの底面が上向きになるように配置して熱処理を行った
後に、再化成を行うことにより、電解コンデンサを製造
することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】電解コンデンサの耐電圧特性は以
下のように規定されると考えられる。すなわち、コンデ
ンサの陽極電極箔となる化成箔は、化成処理を行った
後、コンデンサ素子の長さにしたがって切断され、セパ
レータと共に巻回して電解コンデンサの素子となる。し
たがって、コンデンサ素子の電極箔の切断面には酸化皮
膜が存在しない。そこで、コンデンサ素子に電解液を含
浸し、ケースに入れて封口した後、いわゆる再化成とし
て、電圧印加して、化成箔の切断面の化成を行う。そし
て、この再化成は、コンデンサ素子に含浸された電解液
中で行われることになるため、電解液の酸化皮膜形成特
性である、火花電圧以上の電圧を印加することはできな
い。ここで、一般的には、電解液の火花電圧は化成箔の
化成電圧より低いので、再化成電圧は化成電圧より低
く、したがって、再化成時に形成された切断面の酸化皮
膜の耐電圧が化成箔の中で最も低くくなるので、この部
分の耐電圧がコンデンサの耐電圧を規定することにな
る。つまり、電解コンデンサの耐電圧は、電極箔の切断
面の再化成電圧によって決定されることになる。本発明
は以上のような耐電圧を規定する要因を考察してなされ
たもので、すなわち、電極箔の切断面の再化成電圧を高
めれば、コンデンサの耐電圧を向上させることができる
と考え、本願発明にいたったものである。
【0017】以下に本発明の電解コンデンサについて説
明する。電解コンデンサは、図4、5に示すように、弁
金属の箔の表面に陽極酸化皮膜を形成した陽極箔14
を、弁金属箔よりなる陰極箔15と紙などよりなるセパ
レータ16とともに巻回することにより構成したコンデ
ンサ素子1を、外装ケース2に収納し、封口部材3によ
り外装ケースの開口部を封口することによって構成され
ている。
【0018】本発明は、このような電解コンデンサにお
いて、少なくとも、コンデンサ素子の上下両端面にポリ
ビニルアルコール(以下PVA)を付着している。ここ
で、さらに、PVAがコンデンサ素子の側面に付着して
いてもよい。すなわち、図1に示すように、コンデンサ
素子の端面12、端面13にPVA4を付着している。
付着する方法は、図4に示すように、陽極箔14と陰極
箔15とセパレータ16を巻回してなるコンデンサ素子
1を形成し、このコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用
電解液を含浸する。そして、図1に示すように、コンデ
ンサ素子の端面12、13にPVA4を、塗布等の方法
によって、付着する。そして、このコンデンサ素子を外
装ケース2に収納し、この外装ケースの開口部を封口部
材3で封口する。次いで、熱処理を行い、その後に、電
解コンデンサに加熱、電圧印加し、再化成を行って、本
発明の電解コンデンサは形成される。
【0019】また、図2に示すように、コンデンサ素子
の一方の端面12にのみPVA4を付着することによっ
て、本発明の電解コンデンサを形成することもできる。
そして、このコンデンサ素子1を外装ケース2に収納
し、この外装ケースの開口部を封口部材3で封口する。
次いで、PVAを付着した端面が他方の端面より高い位
置になるように、配置して、熱処理を行う。この場合
は、図2の状態に配置して熱処理を行い、その後に、電
解コンデンサに加熱、電圧印加し、再化成を行って、本
発明の電解コンデンサは形成される。また、図2におい
て、コンデンサ素子の内底面に面する端面13にPVA
を付着することもできる。この場合は、図2と上下が逆
になるように配置して熱処理を行った後に、再化成を行
う。
【0020】さらに、図3に示すように、外装ケース2
の内底面21にPVA4を配置して、本発明の電解コン
デンサを形成することができる。次いで、図4に示すよ
うに、陽極箔14と陰極箔15とセパレータ16を巻回
してなるコンデンサ素子1に駆動用電解液を含浸し、こ
のコンデンサ素子をこの外装ケース2に収納し、この外
装ケースの開口部を封口部材3で封口する。この場合
は、外装ケースの底面が上向きになるように配置して、
すなわち、図3の上下を逆にして配置し、熱処理を行
い、その後に、再化成を行う。
【0021】ここで用いるPVAは、市販のPVAを用
いることができる。重合度は、400〜3500、けん
化度は、75モル%の部分けん化したものから、99.
5モル%以上の完全けん化したものを用いることがで
き、けん化度依存性はない。
【0022】本発明の電解液はほう酸を含有してなるも
のであるが、溶質、溶媒は、従来のものを用いることが
できる。
【0023】溶媒としては、プロトン性の有機極性溶媒
として、一価アルコール類(エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロ
ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類および
オキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメ
トキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プ
ロトン性の有機極性溶媒としては、アミド系(N−メチ
ルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─
エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、
N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミ
ド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセト
アミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクト
ン類(γ─ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−
バレロラクトン等)、環状アミド系(N─メチル─2─
ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボ
ネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系
(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキ
シド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキ
ル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジ
ノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジ
ノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリ
ジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノ
ン等)〕などが代表として挙げられる。
【0024】電解液に含まれる溶質としては、通常電解
コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基を
アニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級
アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙
げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミ
ン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメ
チルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチ
ルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン
(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピル
アミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ
(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第
四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとし
てはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモ
ニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエ
チルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム
等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチル
ピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げら
れる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカ
チオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが
挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェ
ニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル
−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オ
キシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1
−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジ
メチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよ
びアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベ
ンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−
ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−
フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環
を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラ
ヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6
−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシク
ロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0025】アニオン成分としては、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息
香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デ
カンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等の
カルボン酸、フェノール類、ほう酸、りん酸、炭酸、け
い酸等の酸の共役塩基が例示される。
【0026】また、本発明の電解コンデンサ用電解液
に、ほう酸系化合物、例えばほう酸、ほう酸と多糖類
(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ほう酸
と多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンな
ど)との錯化合物等、界面活性剤、コロイダルシリカ等
を添加することによって、さらに、耐電圧の向上をはか
ることができる。
【0027】また、漏れ電流の低減や水素ガス吸収等の
目的で種々の添加剤を添加することができる。添加剤と
しては、例えば、芳香族ニトロ化合物、(p−ニトロ安
息香酸、p−ニトロフェノールなど)、リン系化合物
(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル
化合物)、オキシカルボン酸化合物等を挙げることがで
きる。
【0028】このようにして作成された電解コンデンサ
は、高耐電圧で、低誘電損失を維持し、過電圧特性も良
好である。
【0029】本発明の電解コンデンサがこのような挙動
を示すのは以下のようであると考えられる。本発明の電
解コンデンサにおいては、コンデンサ素子1を外装ケー
ス2に収納し、外装ケースの開口部を封口材3で封口
し、熱処理を行った後には、コンデンサ素子の端面1
2、13の両方の端面にPVAが付着した状態になって
いる。すなわち、コンデンサ素子の一方の端面にのみP
VAを付着した場合は、その端面を他方の端面より高い
位置に配置して、熱処理を行うので、付着させたPVA
がコンデンサ素子の側面を伝わって、他方の端面にまで
至ることになる。そして、本発明の電解液はほう酸を含
んでいるので、これらのPVAは、電解液に良好な状態
で溶解し、その結果、コンデンサ素子の両方の端面部分
の電解液の火花電圧が上昇する。そして、コンデンサ素
子の両端面は、前述した、化成箔の切断面が存在してい
るところであり、この部分の電解液の火花電圧が上昇す
るので、再化成電圧を高めることができ、したがって、
化成箔の中で最も耐電圧の低い、化成箔の切断面部分の
耐電圧を高めることができる。その結果として、電解コ
ンデンサの耐電圧は向上する。
【0030】さらに、陽極箔14と電極タブ11を接合
する場合に、陽極箔の酸化被膜が欠落すると考えられて
いる。この欠落部についても、端面に付着させたPVA
が、巻回後の電極タブとセパレータ16の間には間隙が
存在するので、この間隙の電解液に溶解して、この部分
の電解液の火花電圧が上昇し、化成箔の切断面と同様
に、欠落部の耐電圧を向上させることができ、電解コン
デンサの耐電圧耐電圧が向上する。
【0031】また、これまで述べてきた化成箔には、コ
ンデンサ素子の巻回工程等で引張力、屈曲力などが負荷
されることがある。そして、この時に加わる力によっ
て、化成箔の切断面や電極タブとの接合部の他の部分、
例えば、コンデンサ素子に巻回された際のコンデンサ素
子の中央部に当たる部分のなどの化成箔の酸化被膜が欠
落すると考えられていた。しかしながら、本発明によれ
ば、この部分での電解液の火花電圧は向上しないが、再
化成電圧を上昇させても、この部分でのショートが発生
することはない。これらのことから、この部分の化成箔
の耐電圧は、再化成電圧より高く保たれていると、推察
される。
【0032】ここで、端面に付着したPVAは端面の部
分の電解液に溶解するが、コンデンサ素子内部の電解液
に溶解していく量は少ないので、電解液の電導度は上昇
せず、したがって、コンデンサの損失は低く維持でき
る。
【0033】また、本発明の電解コンデンサに過電圧が
印加された場合、陽極箔に過電圧がかかり、発熱する。
この発熱によって、コンデンサ素子の端面に付着したP
VAが急激に電解液に溶解する。このことによって、電
解液の火花電圧が急激に上昇し、結果として、この火花
電圧は過電圧を上回り、発火は抑制される。その後、過
電圧が継続して印加され続けた場合は、再化成によって
形成されたコンデンサ素子端面の酸化皮膜の部分の皮膜
形成が継続し、その過程で発熱、ガス発生がおこり、電
解コンデンサは開弁する。その後、電解液中の溶媒成分
が揮発して、いわゆるドライアップの状態になり、電解
コンデンサはオープンにいたる。
【0034】なお、電解液がほう酸を含んでいない場合
は、PVAが電解液に溶解すると、電解液は半固体化
し、耐電圧も向上しない。
【0035】また、電解液の耐電圧の維持のため、電解
液中にPVAを添加した場合は、電解液の粘度が上昇
し、コンデンサ素子への含浸が困難になり、電解液の電
導度も上昇してしまう。
【0036】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を更に具体的
に説明する。
【0037】(実施例1)図4に示すように、粗面化し
たアルミニウム箔の表面に酸化皮膜を形成した陽極箔1
4とアルミニウム箔よりなる陰極箔15と紙などよりな
るセパレータ16とともに巻回することによってコンデ
ンサ素子1が形成される。そして、図1に示すように、
このコンデンサ素子1に、エチレングリコール、100
部、1,7−オクタンジカルボン酸アンモニウム、15
部、ほう酸、3部からなる駆動用電解液を含浸し、この
コンデンサ素子の端面12、13にPVA粉末を付着さ
せる。そして、有底円筒状の外装ケース2に収納し、外
装ケース2の開口部を封口部材で封口し、85℃で熱処
理した後に、550Vで再化成し、電解コンデンサを作
成した。作成した電解コンデンサの定格は、500V、
10μFである。
【0038】(実施例2)実施例1においては、電解液
を含浸したコンデンサ素子の端面12、13にPVA粉
末を付着させたが、これに代えて、図2に示すように、
電解液を含浸したコンデンサ素子の端面12のみにPV
Aを付着させ、コンデンサの上下を、図2のように配置
して、熱処理を行った。
【0039】(実施例3)実施例1においては、電解液
を含浸したコンデンサ素子の端面12、13にPVA粉
末を付着させたが、これに代えて、図3に示すように、
外装ケースの内底面21にPVAを配置して、電解コン
デンサを作成した。また、熱処理は、コンデンサの底面
を上方にして、すなわち、図3の上下を逆にした配置
で、行った。
【0040】(実施例4)実施例1の電解液に代えて、
エチレングリコール、100部、アジピン酸アンモニウ
ム、10部、ほう酸、3部からなる電解液を用い、85
℃、450Vで再化成し、同様に電解コンデンサを作成
した。作成した電解コンデンサの定格は、400V、1
0μFである。
【0041】(比較例)実施例1の電解液に代えて、エ
チレングリコール、100部、1,7−オクタンジカル
ボン酸アンモニウム、15部からなる電解液を用い、同
様に、電解コンデンサを作成した。
【0042】(従来例1)実施例1において、PVAを
用いず、同様に電解コンデンサを作成した。
【0043】(従来例2)実施例2において、PVAを
用いず、同様に電解コンデンサを作成した。
【0044】つぎに、この電解コンデンサについて、高
温負荷試験を行った。試験条件は、実施例1〜3、比較
例、従来例1では、印加電圧500V、105℃、10
00時間であり、その結果を(表1)に示す。また、実
施例3、従来例2の試験条件は、印加電圧400V、1
05℃、1000時間であり、結果を(表2)に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】(表1)から明らかなように、従来例1で
は再化成中にショートが発生しているが、実施例1〜3
では105℃、2000時間後も良好な特性を維持して
いる。また、ほう酸を添加しない、比較例においては、
再化成中にショートが発生しており、耐電圧は向上して
いない。
【0048】また、(表2)から明らかなように、従来
例2では再化成中にショートが発生しているが、実施例
4では105℃、2000時間後も良好な特性を維持し
ている。本発明によって、従来では中低圧領域で用いら
れていたアジピン酸アンモニウムが高圧領域で用いるこ
とができ、低誘電損失が実現できることがわかる。
【0049】次いで、実施例1〜3の電解コンデンサに
ついて、550Vおよび600Vを印加し、105℃で
50時間の過電圧試験を行った。その結果を(表3)に
示す。また、実施例4の電解コンデンサについて、45
0Vおよび500Vを印加し、105℃で50時間の過
電圧試験を行った。その結果を(表4)に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】(表1)、(表2)から明らかなように、
実施例1〜4は、過電圧試験においてショートの発生が
なく、良好な過電圧特性を有している。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、陽極
箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子
に駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子を外装ケ
ースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封
口し、再化成してなる電解コンデンサにおいて、ほう酸
を含む駆動用電解液を用い、少なくとも、コンデンサ素
子の上下両端面にPVAを付着し、その後に、熱処理を
している。したがって、コンデンサ素子の両端面部分の
電解液にPVAが溶解し、電極箔の切断面の近傍の電解
液の火花電圧が上昇するので、その後の再化成時の再化
成電圧を高めることができる。そのことによって、電極
箔中で最も耐電圧の低い、電極箔の切断面の耐電圧が向
上し、電解コンデンサの耐電圧が向上する。この際に、
電解液の全体にPVAが溶解することはないので、低誘
電損失を維持することができる。
【0054】また、過電圧が印加した際には、さらに、
コンデンサ素子端面のPVAが電解液に溶解して火花電
圧が上昇するので、高い過電圧特性を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例を示す断面図である。
【図4】コンデンサ素子の構造図である。
【図4】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子 11 電極タブ 12 コンデンサ素子の端面 13 コンデンサ素子の端面 14 陽極箔 15 陰極箔 16 セパレータ 2 外装ケース 21 外装ケースの内底面 3 封口部材 4 PVA
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例を示す断面図である。
【図4】コンデンサ素子の構造図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】 1 コンデンサ素子 11 電極タブ 12 コンデンサ素子の端面 13 コンデンサ素子の端面 14 陽極箔 15 陰極箔 16 セパレータ 2 外装ケース 21 外装ケースの内底面 3 封口部材 4 PVA

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してな
    るコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、このコンデ
    ンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口
    部を封口部材で封口し、再化成してなる電解コンデンサ
    において、ほう酸を含む駆動用電解液を用い、少なくと
    も、コンデンサ素子の上下両端面にポリビニルアルコー
    ルが付着していることを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してな
    るコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸
    し、このコンデンサ素子の上下両端面にポリビニルアル
    コールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケースに収
    納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、熱
    処理を行った後に、再化成を行う電解コンデンサの製造
    方法。
  3. 【請求項3】陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してな
    るコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸
    し、このコンデンサ素子の上下端面の一方にポリビニル
    アルコールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケース
    に収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口
    し、ポリビニルアルコールを付着した前記コンデンサ素
    子の端面が他方の端面より高い位置になるように配置し
    て熱処理を行った後に、再化成を行う電解コンデンサの
    製造方法。
  4. 【請求項4】陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してな
    るコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸
    し、外装ケースの内底面にポリビニルアルコールを配置
    し、コンデンサ素子をこの外装ケースに収納し、この外
    装ケースの開口部を封口部材で封口し、外装ケースの底
    面が上向きになるように配置して熱処理を行った後に、
    再化成を行う電解コンデンサの製造方法。
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