JPH11293114A - 硬化性樹脂組成物およびそのワニスならびに硬化物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびそのワニスならびに硬化物

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JPH11293114A
JPH11293114A JP10072398A JP10072398A JPH11293114A JP H11293114 A JPH11293114 A JP H11293114A JP 10072398 A JP10072398 A JP 10072398A JP 10072398 A JP10072398 A JP 10072398A JP H11293114 A JPH11293114 A JP H11293114A
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JP
Japan
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curable resin
group
compound
epoxy group
resin varnish
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JP10072398A
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English (en)
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Takehiro Suzuki
健弘 鈴木
Yasushi Ariyoshi
泰 有吉
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Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンクリート,モルタル,セラミック,石材,
金属板,ガラス等の無機基材上,あるいは紙,プラスチ
ックシート,フィルム,塗装面等の有機基材上で常温硬
化し,耐候性,潤滑性,離剥性に優れた塗膜を形成する
硬化性樹脂組成物およびそのワニスならびに硬化物を提
供すること。 【解決手段】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
シラン化合物,b)エポキシ基を有するオルガノポリシ
ロキサン化合物,およびc)それ以外のモノエポキシ化
合物を含む単量体混合物をc)金属キレート化合物を重
合触媒に用いて共重合して得られた硬化性樹脂組成物,
およびそれをd)有機溶剤で希釈した硬化性樹脂ワニス
をである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,コンクリート,モ
ルタル,セラミック,石材,金属板,ガラス等の無機基
材上,あるいは紙,プラスチックシート,フィルム,塗
装面等の有機基材上で常温硬化し,主として耐候性,潤
滑性,離剥性に優れ,落書き防止塗料,貼り紙防止塗
料,着氷着雪防止塗料等に有用な硬化性樹脂組成物およ
びそのワニスならびに硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】電話ボックス,電柱,街灯柱,配電塔,
橋脚,歩道橋,門扉,堀,壁等の公共建造物に対するポ
スターやチラシ等の貼り紙は,景観を著しく損なうだけ
でなく,社会衛生上も好ましくないが,これを取り除く
には手間を要する。従来では,金網,塩ビシート,ポリ
エチレンシート等の貼り紙防止材やシリコン系の塗布剤
のような貼り紙防止剤が利用されてきたが,それぞれ施
工作業性や耐久性等に一長一短があり,十分な満足は得
られなかった。特に,貼り紙の心理的抑制効果とその接
着面積を減らす目的で各種ビーズを配合した塗料も考え
られているが,多層で塗装工程が煩雑であったり,ビー
ズの配合によるコスト高はさけられない。
【0003】シリコン系塗料の中には,高い撥水・撥油
効果を得ているものも存在するが,一般にアクリルなど
の各種樹脂溶液とオルガノポリシロキサンとの相溶性の
低さから相分離を起こすなどの問題がある。とりわけ,
高分子量のオルガノポリシロキサンを樹脂中に含有させ
ることは困難であった。
【0004】最近,ポリジメチルシロキサン部分と架橋
基を有するビニル重合体部分とが存在する硬化性ポリジ
メチルシロキサン系ビニル共重合体(特開平9−100
445号公報,特開平9−208830号公報)等のよ
うに,落書き防止や貼り紙防止に優れた被覆組成物が提
案されているが,重合体主鎖が長い一方で架橋密度に限
界があるため,油性マジックインキ中の染料成分が溶剤
と共に被膜中に浸透し染み跡を残すという問題があっ
た。
【0005】一方,密に架橋する被覆組成物としてアル
コキシシランの縮合物を主成分とした無機塗料がある
が,縮合反応を制御して塗工液を調整するのが困難な上
に,強固な膜をつくるためには焼き付けを必要とした
り,縮合反応に伴う収縮を抑えて可撓性を改善するため
には結果的に樹脂を配合し耐溶剤性が悪くなる等の問題
があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,脂環式エポ
キシ基を有するアルコキシシラン,エポキシ基を有する
ポリオルガノシロキサン化合物,およびモノエポキシ化
合物を金属キレート化合物を触媒として用いて開環共重
合して得られた撥水・撥油性に優れたポリジメチルシロ
キサン鎖とアルコキシシリル基を有する樹脂が透明な被
膜を形成し,さらに高密度に架橋しすること利用して,
落書き防止塗料,貼り紙防止塗料,および着雪着氷防止
塗料等に有用な硬化性樹脂組成物および貯蔵および可使
安定性に優れた硬化性樹脂ワニスの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,金属キレ
ート化合物を触媒存在下,脂環式エポキシ基を有するア
ルコキシシランとエポキシ基を有するポリオルガノシロ
キサンとモノエポキシ化合物を共重合した硬化性樹脂組
成物が,塗工後さらにアルコキシシリル基が高密度に架
橋し,優れた落書き防止性能,貼り紙防止性能を有する
高硬度な膜を形成すること,さらにその硬化性樹脂組成
物をアルコールを含む有機溶剤で希釈した硬化性樹脂ワ
ニスが貯蔵および可使安定性に優れていることを見出し
本発明に至った。
【0008】すなわち,第1の発明は、a)脂環式エポ
キシ基を有するアルコキシシラン化合物,b)エポキシ
基を有するオルガノポリシロキサン化合物,およびc)
モノエポキシ化合物を含む単量体混合物をd)金属キレ
ート合物を重合触媒に用いて共重合して得られた硬化性
樹脂組成物である。第2の発明は,第1発明の硬化性樹
脂組成物,およびe)有機溶剤からなることを特徴とす
る硬化性樹脂ワニスである。第3の発明は,f)アルコ
キシシリル基の硬化促進剤を含むことを特徴とする第2
発明記載の硬化性樹脂ワニスである。
【0009】第4の発明は,e)有機溶剤が,アルコー
ルを含む有機溶剤であることを特徴とする第2発明また
は第3発明記載の硬化性樹脂ワニスである。第5の発明
は,アルコールの炭素数が,a)脂環式エポキシ基を有
するアルコキシシランのアルコキシ基の炭素数より大き
いことを特徴とする第4発明記載の硬化性樹脂ワニスで
ある。第6の発明は,a)脂環式エポキシ基を有するア
ルコキシシラン化合物のアルコキシ基の当量よりも多い
e)アルコールを含むことを特徴とする硬化性樹脂ワニ
スである。
【0010】第7の発明は,第2発明〜第6発明いずれ
か記載の硬化性樹脂ワニスにて、被塗布基材がコンクリ
ート、モルタル、セラミック、石材、金属板、ガラスか
ら選ばれる無機基材または紙、プラスチックシート、プ
ラスチックフイルム、塗装面から選ばれる有機基材に塗
布、硬化されたことを特徴とする硬化物である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の硬化性樹脂組成物は,
a)エポキシ基含有アルコキシシランとb)エポキシ基
を有するオルガノポリシロキサンとc)モノエポキシ化
合物を含む単量体混合物をd)金属キレート化合物を用
いて共重合し,必要に応じてe)有機溶剤で希釈,f)
アルコキシシリル基の硬化促進剤を添加して液状物とし
て使用される。
【0012】ここで言う液状には,二種類以上の化合物
が完全に相溶して液状になっているものだけでなく,液
状化合物に液滴状あるいは粒子状化合物が分散している
不均一系も含まれる。
【0013】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
シラン化合物としては,2−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン,2−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等
が挙げられるが必ずしもこれに限定されるものではな
い。
【0014】b)エポキシ基を有するオルガノポリシロ
キサンとしては,一般に数平均分子量(以下,Mnとい
う)が500〜50000程度の下記構造式で表される
両末端官能型,片末端官能型,側鎖官能型のものが使用
できる。
【0015】構造式1
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】構造式2
【0019】両末端官能型のオルガノポリシロキサン
は,m=5〜200程度の直鎖状のポリシロキサン鎖の
両末端にl=1〜10,n=1〜10程度のアルキル基
が導入されエポキシ基を有する有機基XおよびYを有す
る上記構造式1のものである。また,一般にRにはメチ
ル基が導入されている。
【0020】エポキシ基を有する両末端官能型オルガノ
ポリシロキサンとしては,チッソ(株)製のサイラプレ
ーンFM−5511(上記構造式1において,l=n=
3,m=8,R= メチル基,X=Y=グリシドキシ基,
Mn=1000),サイラプレーンFM−5521(上
記構造式1において,l=n=3,m=62,R= メチ
ル基,X=Y=グリシドキシ基,Mn=5000),サ
イラプレーンFM−5525(上記構造式1において,
l=n=3,m=130,R= メチル基,X=Y=グリ
シドキシ基,Mn=10000)などが挙げられるが,
必ずしもこれに限定されものではない。(グリシドキシ
基XおよびYの末端がエポキシ基。)
【0021】脂環式エポキシ基を有する両末端官能型オ
ルガノポリシロキサンとしては,チッソ(株)製のサイ
ラプレーンXP−1004P(上記構造式1において,
l=n=3,m=15,R= メチル基,X=Y=2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基,Mn=
1500)が挙げられるが,必ずしもこれに限定される
ものではない。(2−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチル基XおよびYの末端が脂環式エポキシ基。)
【0022】片末端官能型のオルガノポリシロキサン
は,m=5〜200程度の直鎖状のポリシロキサン鎖の
片末端がY=メチル基,l=0〜10程度のアルキル基
で封止され,もう片末端にn=1〜10程度のアルキル
鎖が導入されグリシジル基を有する有機基Xが結合した
上記構造式1のものである。また,一般にRにはメチル
基が導入されている。
【0023】エポキシ基を有する片末端官能型オルガノ
ポリシロキサンとしては,チッソ(株)製のサイラプレ
ーンFM−0511(上記構造式1において,l=n=
3,m=9,R= メチル基,X=グリシドキシ基,Y=
メチル基,Mn=1000),サイラプレーンFM−0
521(上記構造式1において,l=n=3,m=6
3,R= メチル基,X=グリシドキシ基,Y=メチル
基,Mn=5000),サイラプレーンFM−0525
(上記構造式1において,l=n=3,m=131,R
= メチル基,X=グリシドキシ基,Y=メチル基,Mn
=10000)などが挙げられるが必ずしもこれに限定
されるものではない。(グリシドキシ基XおよびYの末
端がエポキシ基。)
【0024】側鎖官能型のオルガノポリシロキサンは,
(o+p+q)=5〜200程度の直鎖状のポリシロキ
サン鎖の一部のケイ素原子にエポキシ基末端に有するア
ルキル基が結合した上記構造式2のものである。なお,
一般にRはメチル基である。エポキシ基を有する側鎖官
能型シロキサンとしては,日本ユニカー(株)製のL−
9300,FZ−3720,東芝シリコーン(株)製の
YF−3965,XF42−A4439,XC96−A
4462,XC96−A4463,XC96−A446
4(上記構造式2においてR=メチル基,X=エポキシ
基を末端に有する有機基),脂環式エポキシ基を有する
側鎖感応型ポリオルガノシロキサンとしては,東芝シリ
コーン(株)製のTSF4730,XF42−A443
8(上記構造式2においてX=脂環式エポキシ基を有す
る有機基)などが挙げられる。
【0025】本発明で使用するb)エポキシ基オルガノ
ポリシロキサンは,両末端官能型,数平均分子量100
0〜15000,上記構造式1でR=メチル基であるも
のが好ましい。片末端型は,落書きのはじきや貼り紙の
防止性能には優れているものの,ポリジメチルシロキサ
ン鎖に自由度があるため分子量の小さな染料が溶剤と一
緒にしみこみやすく,薄いシミの除去ができない。数平
均分子量1000以下では撥水・撥油性能が弱く,数平
均分子量15000以上では他の成分との相溶性が悪
く,均一な塗液および透明な膜が得られない。
【0026】上記構造式のRがメチル基以外で代表的な
ものに,耐熱性および相溶性の向上を目的に一部フェニ
ル基に置き換えたものがあるが,貼り紙の粘着,油性汚
れあるいは油性落書きとの親和性が増し,性能が低下す
る。
【0027】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
シランに対するb)エポキシ基を有するオルガノポリシ
ロキサンの濃度は,0.1〜5重量%が好ましい。0.
1%より少ないとで落書き,貼り紙,汚れに対する効果
が得られず,5重量%より多いと均一な塗液および透明
な塗膜が得られない。また,両末端あるいは側鎖にエポ
キシ基を有するオルガノポリシロキサンのように二個以
上重合可能な官能基を有する場合,5重量%より多い
と,重合中にゲル化したり溶剤に不溶化する場合があ
る。
【0028】c)モノエポキシ化合物としては,エポキ
シ基を一つだけ有する化合物なら任意のものが使用でき
るが 例えば,n−ブチルグリシジルエーテル,n−オ
クチルグリシジルエーテル,2−エチルヘキシルグリシ
ジルエーテル,デシルグリシジルエーテル,ドデシルグ
リシジルエーテル,トリデシルグリシジルエーテル,等
のアルキルグリシジルエーテル,1,2−エポキシ−ブ
タン,1,2−エポキシ−iso−ブタン,1,2−エ
ポキシペンタン,1,2−エポキシヘキサン,1,2−
エポキシヘプタン,1,2−エポキシオクタン,1,2
−エポキシノナン,1,2−エポキシデカン,1,2−
エポキシドデカン,1,2−エポキシヘキサデカン等の
α−オレフィンエポキサイド,アリルグリシジルエーテ
ル,スチレンオキサイド,フェニルグリシジルエーテ
ル,クレジルグリシジルエーテル,p−sec−ブチル
フェニルグリシジルエーテル,p−tert−ブチルフ
ェニルグリシジルエーテル,グリシジルメタクリレー
ト,グリシジルアクリレート,安息香酸グリシジルエス
テル,アルコキシポリエチレンオキサイドグリシジルエ
ーテル,1,2−エポキシシクロへサン,4−ビニル−
1−シクロヘキセン−1,2−エポキサイド,2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメタクリレ
ート,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
アクリレート等が挙げられるが必ずしもこれに限定され
るものではない。。
【0029】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
シランに対するモノエポキシ化合物の濃度は,1〜20
重量%が好ましい。1%より少ないと塗膜に十分な可撓
性が得られず,20重量%より多いと重合転化率が低く
なり膜物性に悪影響を与えると共に,架橋密度も粗にな
り落書き,貼り紙,汚れに対する効果が十分得られな
い。
【0030】d)金属キレート化合物は任意のものが使
用できるが,アルミニウムキレート化合物,チタニウム
キレート化合物,ジルコニウムキレート化合物が好まし
い。特に好ましいのは,アルミニウムキレート化合物
で,例えば,エチルアセトアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート,アルミニウムトリス(エチルアセトア
セテート),アルキルアセトアセテートアルミニウムジ
イソプロピレート,アルミニウムモノアセチルアセトネ
ートビス(エチルアセトアセテート),アルミニウムト
リス(アセチルアセトネート)等が挙げられるが必ずし
もこれに限定されるものではない。。
【0031】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
シランに対するc)金属キレート化合物の濃度は,0.
1〜100mmol%が望ましい。0.1mmol%よ
り少ないと低温では重合が起こり難く,100mmol
%より多いと重合転化率80%より低くなり,塗工後の
膜物性に悪影響を与える。
【0032】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
シラン化合物,a)脂環式エポキシ基を有するアルコキ
シシランに対して0.1〜100mmol%の金属キレ
ート化合物,0.1〜5重量%のb)エポキシ基を有す
るオルガノポリシロキサン化合物,および1〜20重量
%のc)モノエポキシ化合物を室温で混合することによ
り,重合転化率80%以上の液状樹脂混合物が得られ
る。重合転化率が80%以上であれば,脂環式エポキシ
基を有するアルコキシシランが残留していても,潜在的
な架橋剤となるため塗膜物性に影響はない。(重合転化
率は,GPCのピーク面積比から推定。)
【0033】重合転化率が80%未満,すなわち,脂環
式エポキシ基を有するアルコキシシランが20%以上残
留すると,アルコキシシリル基の架橋密度が増し収縮に
より膜にひび割れを生じる。
【0034】本発明の硬化性樹脂組成物は,液状でその
まま塗工することも可能であるが,湿気硬化による架橋
基アルコキシシリル基を多く含有するため,空気中にさ
らすと極めて保存安定性が悪い。そのため,任意のd)
有機溶剤で希釈して硬化性樹脂ワニスとして使用する。
【0035】d)有機溶剤に特に限定はないが,原料で
あるa)脂環式エポキシ基を有するアルコキシシランの
アルコキシ基の炭素数より大きい炭素数のアルコール
を,アルコキシ基の当量よりも多く含む有機溶剤である
ことが好ましい。
【0036】硬化性樹脂組成物の重合触媒に用いたc)
金属キレート化合物は,アルコキシシリルのアルコール
交換反応の触媒となるため,希釈溶剤にアルコキシシリ
ル基の炭素数より大きいアルコールを用いると,アルコ
キシシリル基の加水分解反応が遅くなり安定化する。
【0037】アルコールは,脂環式エポキシ基を有する
アルコキシシランのメトキシ基あるいはエトキシ基より
大きなアルキル基を有し,室温で留去するものが望まし
く。プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,n
−ブタノール,ブチルセルロルブなど一般に塗料で用い
るアルコールが使用できるが,必ずしもこれに限定され
ない。他の溶剤も一般に塗料でも用いられる有機溶剤を
併用してもしなくてもよい。有効成分5〜60重量%が
好ましい。
【0038】2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシランを用いた場合,メトキシシリ
ル基は加水分解しやすいため,それに続く縮合反応が起
こりやすく,無希釈あるいはアルコールを含まない有機
溶剤で希釈して保存すると皮ばりを生じたり,ゲル化し
やすい。
【0039】そこで,メトキシ基に比べて炭素数の多い
イソプロピルアルコール(以下IPAと略記する。)で
希釈すると,室温1週間でほぼ完全にイソプロポキシ基
に置換される。イソプロポキシシリル基は,メトキシ基
に比べて炭素数が大きく,分岐しているため,加水分解
されにくく,長期にわたって保存することができる。ア
ルコール交換はGPCによる分子量の経時変化の追跡で
確認できる。
【0040】重合およびアルコール交換反応は,室温で
も十分進行するが,重合後,液温が低下して増粘し,撹
拌効率が悪くなったり,アルコール交換率にバラツキを
生じる。品質を一定に保つためには,重合時およびアル
コールで希釈後1時間程度,70〜100℃の温度で加
熱すること望ましい。
【0041】アルコール交換反応は平衡反応なので,塗
布後,過剰のアルコールやその他の有機溶剤が乾燥によ
りなくなってしまえば,c)金属キレート化合物が触媒
として働き,加水分解および縮合反応が促進され,硬化
する。
【0042】しかし,c)金属キレート化合物は一部の
アルコキシシリル基と反応して重合開始剤やアルコール
交換触媒として働いたり,配位子がアルコールと反応す
るなどして十分な触媒活性を有していない。
【0043】そこで,架橋を促進するため,改めてf)
アルコキシシリル基の硬化促進剤を加えてから溶工する
ことが好ましい。f)アルコキシシリル基の硬化促進剤
は,c)金属キレート以外のもので,e)有機溶剤に溶
解しやすく,触媒活性に優れるものが望ましく,ジ−n
−ブチル錫ジラウレート,オクチル酸錫,アルキルチタ
ン酸塩,オクチル酸鉛などのカルボン酸金属塩,モノブ
チル錫サルファイド,ジ−n−ブチル錫ジ−オクチルメ
ルカプタイドなどのスルフィド型,メルカプチド型有機
錫化合物,p−トルエンスルフォン酸,フタル酸等の酸
性硬化促進剤,テトラエチルペンタミン,トリエチレン
ジアミン,N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル
トリメトキシシランなどのアミン類,が挙げられる。こ
れらの硬化促進剤の添加量は,硬化性樹脂組成物に対し
て0.001〜10重量%で使用するのが好ましい。
0.001重量%より少ないと促進効果はほとんどな
く,10重量%より多いと硬化が速すぎて下地に対する
密着性が低下し膜の膨れひび割れの原因となる。通常,
硬化促進剤は主剤の希釈材と同じ有機溶剤で,1〜20
重量%に希釈して用いるが,直接添加してもかまわな
い。
【0044】本発明の硬化性樹脂ワニスのアルコキシシ
リル基は,有機溶剤中のより大きなアルキル基を有する
アルコールと交換反応が起こり,安定化されているため
硬化促進剤を添加しても可使時間が長い。一方,塗工
後,希釈溶剤がなくなると硬化反応が促進されるため1
時間以内に指触可能なまで硬化し,常温で約1日で落書
き/貼り紙防止性能が発現される。さらにそのまま放置
することにより,2週間から1ヶ月で鉛筆硬度4H以上
に達する。
【0045】本発明の硬化性樹脂組成物中には,種々の
目的のため,各種添加成分を加えることができる。例え
ば,硬化物性向上,粘度調節あるいはコストダウンのた
めにフィラー,希釈剤あるいは樹脂成分を加えたり,付
加価値を与えるために抗菌剤,防黴剤あるいは防腐剤等
を添加したり,着色するために顔料を添加することがで
きる。
【0046】
【実施例】以下に,実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。
【0047】(表1〜7の説明)以下の様にに略記す
る。 S−530:サイラエースS−530,チッソ(株)
製,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン FM−5525:サイラプレーンFM−5525,チッ
ソ(株)製,両末端エポキシ基含有ポリジメチルシロキ
サン(上記構造式1において,l=n=3,m=13
0,R= メチル基,X=Y=グリシドキシ基,Mn=1
0000) Ex−121:デナコールEx−121,ナガセ化成工
業(株)製,2−エチルヘキシルグリシジルエーテル Ex−192:デナコールEx−192,ナガセ化成工
業(株)製,アルキルグリシジルエーテル (アルキル
炭素数12〜13が主成分) Ex−141:デナコールEx−141,ナガセ化成工
業(株)製,フェニルグリシジルエーテル ALCH−TR:川研ファインケミカル(株)製,アル
ミニウムトリス(エチルアセトアセテート) IPA:イソプロピルアルコール 硬化促進剤:ジ−n−ブチル錫ジラウレートの5重量%
イソプロピルアルコール溶液 <硬化性樹脂の調整> [樹脂1〜8]表1に従って,a)S−530,b)官
能基含有オルガノポリシロキサン,c)モノエポキシ化
合物を混合し,これを75℃で撹拌しながら,c)AL
CH−TRを加えることにより,5〜10分後,100
〜180℃の発熱を伴うエポキシの開環重合が起こり,
表3に示す樹脂1〜8が得られた。
【0048】[樹脂9〜10]表1に従って,b)官能
基含有オルガノポリシロキサンとc)モノエポキシ化合
物を混合し,これを75℃で撹拌しながら,c)ALC
H−TRを加えたが,発熱も増粘も起こらないまま樹脂
9〜10が得られた。 [樹脂11]表1に従って,a)S−530,b)官能
基含有オルガノシロキサン,c)モノエポキシ化合物を
混合し,表3に示す樹脂11が得られた。 <硬化性樹脂ワニスの調整> [樹脂ワニスA〜M]表2に従って,開環重合が終了し
75℃まで液温が下がった樹脂1〜9,および12をそ
れぞれ30gを有機溶剤70gに溶解し,75℃で1時
間撹拌することにより表3に示す樹脂ワニスA〜Mが得
られた。
【0049】<塗液の調整> [実施例1〜9,比較例1〜4]表4に従って,調整し
た樹脂ワニスA〜M 100gと硬化促進剤 10gを
混合して実施例1〜9および比較例1〜4の塗液を調整
した。 <恒温室条件>温度25℃,湿度65%に設定した。 <塗布条件>調整した実施例1〜9および比較例1〜4
の塗液を,恒温室内でガラス板(20cm×10cm)
に5ミルのアプリケーターで塗布した。 <塗液の可使時間>調整した実施例1〜9および比較例
1〜4の塗液10gを50mlのサンプル管に入れ,密
栓して恒温室内で放置し,ななめに動かして流動性がな
くなるまでの時間を可使時間とした。
【0050】結果を表4に示す <塗膜の硬化時間>実施例1〜9および比較例1〜4の
塗液をガラス板に塗布後,恒温室内で指触により跡がつ
かなくなるまでの時間を塗膜の硬化時間とした。結果を
表4に示す。 <塗膜の表面状態>実施例1〜9および比較例1〜4の
塗液をガラス板に塗布後,恒温室内で24時間後,塗膜
状態を以下のように評価した。
【0051】 ○:透明かつ平滑。 △:平滑だが不透明。 ×:不透明で平滑でない。あるいは硬化・造膜しない。 結果を表4に示す。 <調整24時間後の塗膜の表面状態>実施例1〜9およ
び比較例1〜4の塗液10gを50mlのサンプル管入
れ密栓して,恒温室内で24時間保存してからガラス板
に塗布後,恒温室内で24時間後,塗膜状態を以下のよ
うに評価した。
【0052】 ○:透明かつ平滑。 △:平滑だが不透明。 ×:不透明で平滑でない。あるいは硬化・造膜しない。 結果を表4に示す。 <塗膜の硬度>実施例1〜9および比較例1〜4の塗液
をガラス板に塗布後,恒温室内で24時間後,塗膜硬度
をJIS K 5400 塗料一般試験方法 8.4
鉛筆引っかき値 8.4.2 手かき法に準拠して鉛筆
硬度として評価した。
【0053】結果を表5に示す。なお,比較例2〜4は
造膜しなかったので評価しなかった。 <塗膜の油性マジックインキ非着性能>塗膜の硬度試験
終了後,油性マジックインキで落書きを行い,その非着
性を以下の様に評価した。 ○:付着しにくい。 △:やや付着しにくい。 ×:付着する。
【0054】結果を表5に示す。なお,比較例2〜4は
造膜しなかったので評価しなかった。 <塗膜の油性マジックインキ汚れ除去性能>油性マジッ
クで落書きを行ってから24時間後に,乾布で擦り除去
性能を以下の様に評価した。 ○:容易に除去できる。 △:強く擦れば除去できる。 ×:除去できない。
【0055】結果を表5に示す。なお,比較例2〜4は
造膜しなかったので評価しなかった。 <塗膜のセロテープ非着性能>塗膜の硬度試験終了後,
長さ3cmのセロテープの半分を張り付けて,残り半分
を持ち上げてガラス板が持ち上がるかどうかで評価し
た。 ○:剥がれて持ち上がらない。 △:一部持ち上がるがすぐ剥がれる。 ×:完全持ち上がる。
【0056】結果を表5に示す。なお,比較例2〜4は
造膜しなかったので評価しなかった。 <塗膜の可撓性>塗膜のセロテープ非着性能試験終了
後,恒温室に6ヶ月放置した時の塗膜の外観から評価し
た。 ○:クラックがない。 △:ヘアークラックがある。 ×:大きなクラックがあり,剥落している。 <硬化性樹脂ワニス経時変化の確認> [塗膜硬度の経時変化の確認]実施例1および9で用い
た樹脂ワニスAおよびI 80gをサンプル瓶に入れて
密栓し,50℃の恒温水槽に入れ,1ヶ月後の粘度変化
を測定した。結果を表6に示す。
【0057】<硬化性樹脂組成物のポリマー分子量とポ
リマー/残留モノマー比> [分子量分布の測定]硬化性樹脂ワニスA〜Jの分子量
分布を,定法に従って,GPC測定によって求め,図1
に示すように,開環重合によるポリマー(S−530を
主成分するモノマーの重合物)と残留モノマー(S−5
30,加水分解物,あるいはアルコール交換による生成
物)の比をピークの面積比から,それぞれの分子量を重
量平均分子量(Mwと略記)から求めた。結果を表3に
示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【発明の効果】本発明の硬化性樹脂組成物およびそのワ
ニスは,コンクリート,モルタル,セラミック,石材,
金属板,ガラス等の無機基材上,あるいは紙,プラスチ
ックシート,フィルム,塗装面等の有機基材上で常温硬
化し,耐候性,潤滑性,離剥性に優れた塗膜を形成する
ため,建築・土木分野等における落書き防止塗料,貼り
紙防止塗料,着氷着雪防止塗料等に有用な硬化性樹脂組
成物およびそのワニスならびに硬化物に関す。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1で用いた樹脂ワニスAのGPCに
よる分子量分布図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 183/06 C09D 183/06 // C09D 5/00 5/00 K

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
    シラン化合物, b)エポキシ基を有するオルガノポリシロキサン化合
    物,およびc)モノエポキシ化合物を含む単量体混合物
    をd)金属キレート化合物を触媒に用いて共重合して得
    られる硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の硬化性樹脂組成物,および
    e)有機溶剤からなることを特徴とする硬化性樹脂ワニ
    ス。
  3. 【請求項3】f)アルコキシシリル基の硬化促進剤を含
    むことを特徴とする請求項2記載の硬化性樹脂ワニス。
  4. 【請求項4】e)有機溶剤が,アルコールを含む有機溶
    剤であることを特徴とする請求項2または3記載の硬化
    性樹脂ワニス。
  5. 【請求項5】アルコールの炭素数が,a)脂環式エポキ
    シ基を有するアルコキシシランのアルコキシ基の炭素数
    より大きいことを特徴とする請求項4記載の硬化性樹脂
    ワニス。
  6. 【請求項6】a)脂環式エポキシ基を有するアルコキシ
    シラン化合物のアルコキシ基の当量よりも多いe)アル
    コールを含むことを特徴とする請求項4または5記載の
    硬化性樹脂ワニス。
  7. 【請求項7】請求項2〜6いずれか記載の硬化性樹脂ワ
    ニスにて、被塗布基材がコンクリート、モルタル、セラ
    ミック、石材、金属板、ガラスから選ばれる無機基材ま
    たは紙、プラスチックシート、プラスチックフイルム、
    塗装面から選ばれる有機基材に塗布、硬化されたことを
    特徴とする硬化物。
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