JPH11293428A - 電解コンデンサー用高静電容量アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサー用高静電容量アルミニウム箔の製造方法

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JPH11293428A
JPH11293428A JP10094763A JP9476398A JPH11293428A JP H11293428 A JPH11293428 A JP H11293428A JP 10094763 A JP10094763 A JP 10094763A JP 9476398 A JP9476398 A JP 9476398A JP H11293428 A JPH11293428 A JP H11293428A
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foil
crystal plane
electrolytic capacitor
rolling
aluminum
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JP10094763A
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Inventor
Tsutomu Sakurai
強 櫻井
Kozo Hoshino
晃三 星野
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解コンデンサー用Al箔表面の(100) 結晶面
の占有率を95% 以上とし、高静電容量化を可能とする電
解コンデンサー用Al箔の製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウムの純度が99.9% 以上の高
純度アルミニウム鋳塊を均質化熱処理、熱間圧延および
冷間圧延を各々行った後に、10〜50℃/hr の昇温速度で
かつ200 〜300 ℃の温度で中間焼鈍を行い、その後5 〜
40% の圧延率で最終冷間圧延および450 〜600 ℃の温度
での最終焼鈍を施し、箔表面の(100) 結晶面の占有率を
95% 以上とすることである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサー
用高静電容量アルミニウム箔の製造方法に係り、特に高
圧用に好適な電解コンデンサー用アルミニウム箔の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム (以下Alと言う) は、電気
化学的にエッチングすることにより表面積を拡大でき、
また、陽極酸化により表面に耐電圧性の酸化皮膜が形成
され、誘電体として利用でき、電解コンデンサーの電極
箔として利用した場合に、比較的大きな静電容量を得る
ことができる。したがって、Al電解コンデンサーは、他
のコンデンサーに比べて、小型で大容量で、しかも安価
に製造でき、エレクトロニクス機器などの電子回路に不
可欠な電子部品として広く汎用されている。
【0003】Al電解コンデンサーの基本構造はリード線
を各々配した陽極Al箔と陰極Al箔の両極2枚のAl箔の間
にセパレート紙を挟み、円柱状に巻いた後、セパレート
紙に電解液を含浸させ、パッケージ内に封入した構造と
なっている。通常、このAl箔乃至Al合金箔素材には、Al
純度が、陽極用には99.96 %以上、あるいは99.9%以
上、また、陰極用には99%以上、あるいは99.8%以上の
各々高純度Alが使用される。
【0004】このような構成からなるAl電解コンデンサ
ーの静電容量(C) は、主としてAl箔(特に陽極Al箔)の
表面積と、陽極Al箔の表面(エッチングピット)に設け
る誘電体酸化皮膜(バリヤー酸化皮膜)の厚さによって
決定され、具体的には次式、C=8.855 ×10-8εS /d
(μF) 〔但し、ε:誘電率(8 〜9)、S :誘電体の表
面積(cm2) 、d :誘電体の厚み(cm2) 〕で表される。
【0005】したがって、Al電解コンデンサーの静電容
量を大きくするためには、Al箔の表面積を拡大して、誘
電体の表面積を大きくすることが重要となる。このAl箔
の表面積の拡大は、素材Al箔コイル(厚さ0.02〜0.11m
m、幅500mm 程度) を、塩酸などの塩素イオン含有の電
解液中に浸漬するとともに、交流や直流電流を付与し、
連続的乃至段階的に電解エッチングすることによって行
われる。そして、この電解エッチングにより、Al箔の表
面に微細な凹部乃至粗面状のピット層(以下エッチング
ピットと言う)が連続的に形成され、この結果、Al箔の
表面の実効面積が拡大し、電極箔としての高い静電容量
を確保する。
【0006】また陽極用のAl電極箔の場合、Al箔の表面
には、誘電体層であるバリヤー酸化皮膜が必要となり、
このバリヤー酸化皮膜の形成は、前記交流や直流の電解
エッチング工程に続く、化成(陽極酸化)処理工程によ
って、同じく連続的に行われる。
【0007】このように、電解エッチング工程は、Al箔
の表面積を拡大(Al箔の表面を粗面化)し、実効面積を
拡大して、単位面積当たりの高い静電容量を確保し、電
解コンデンサーの小型化、高容量化を可能とする上で、
非常に重要な工程になっている。
【0008】この内、特に高圧用のAl箔の場合、電解エ
ッチング後の化成(陽極酸化)処理工程の化成電圧が20
0 〜700Vの高圧で行われ、生成する酸化皮膜の厚さが0.
2 〜0.7 μm 程度と厚い。このため、前記電解エッチン
グピットが浅ければ、この酸化皮膜でピットが埋められ
てしまう。したがって、電解エッチングピットには、酸
化皮膜で埋められないだけのピット深さが必要である。
この点も含め、また、前記高静電容量化からも、必要エ
ッチングピット深さは益々深くなる傾向にあり、より具
体的には、高圧用のAl箔に要求されるトンネル状のエッ
チングピットの深さは30〜40μm 程度に達している。こ
れに対し、電解コンデンサー用Al箔の方は、前記電解コ
ンデンサの小型化や高容量化に伴い、110 μm 以下、場
合によっては90μm 以下の箔厚まで薄肉化されている。
このように、最近の高圧用のAl箔の場合、厚みが110 μ
m 以下の薄い箔に対し、箔両面の合計で60〜80μm 程度
の深さのトンネル状のエッチングピットを設ける必要が
生じている。
【0009】従来から、この高圧用のAl箔のトンネル状
のエッチングピットの形成には、直流電解エッチングに
よるトンネルエッチングが採用されている。このトンネ
ルエッチングは、箔表面に微細で多数のそして箔の厚み
方向に深いトンネル状のエッチングピットを形成するた
め、電解エッチングを段階的に行い、初期エッチングピ
ットを起点に更に箔の厚み方向にエッチングピットを連
続的に形成する方法である。この直流電解エッチングに
よるトンネルエッチングによれば、低圧用のAl箔の交流
電解エッチングによる海綿状エッチングピットのよう
な、非常に細かいエッチングピットではなく、箔の厚み
方向に前記深いエッチングピットを形成することができ
る。
【0010】このトンネル状のエッチングピットは、Al
箔の表面の結晶方位に関係し、特に(100) 結晶面に垂直
に成長する。このため、従来からAl箔の表面に多数の(1
00)結晶面を形成させる、即ち、Al箔の表面の(100) 結
晶面の占有率 (キューブ存在比率) を高くする方法が種
々提案されている。
【0011】例えば、特開昭59−918 号公報には、Fe、
Si等の不純物量を30ppm 以下に規制し、その他の不純物
量も10ppm 以下に規制した高純度Alを、鋳造、熱間圧
延、および冷間圧延した後、再結晶を起こさず、亜再結
晶粒 (サブグレイン) が生成する温度150 〜250 ℃で1
時間以上の中間焼鈍を行い、その後圧延率40% 以下の最
終冷間圧延を行ってから、500 ℃以上で30分以上の最終
焼鈍を行い、前記サブグレインを(100) 結晶面生成の核
にすることが開示されている。
【0012】特開昭60−110853号公報には、熱間圧延工
程と最終焼鈍工程との間に、Al板に(1)(a)200 〜400 ℃
の第一次焼鈍処理+(b)75%以上の圧下率で冷間圧延する
工程、(2) (a) 200 〜400 ℃の第一次焼鈍処理+(b)75%
以上の圧下率で冷間圧延+(c) 200 〜400 ℃の第二次焼
鈍処理+(d)5〜35% の圧下率で冷間圧延する工程を設け
て、最終焼鈍後の再結晶集合組織における立方体方位の
結晶=(100)結晶面を多くすることが開示されている。
【0013】特開平01−201447号公報には、最終的に再
結晶焼鈍を施すに際し、再結晶焼鈍の昇温時の少なくと
も100 〜300 ℃の温度範囲を1.5 ℃/min以下の昇温速度
で加熱し、低温で発生した数少ない(100) 再結晶粒が周
囲の未回復の加工組織をエネルギーとして大きく成長さ
せるようにすることが開示されている。
【0014】特開平05−287465号公報には、最終焼鈍の
過程において、微量元素の箔表面近傍での偏析量をピー
クとするために、再結晶が終了した時点からは、その温
度よりも高くしないように焼鈍温度を制御することが開
示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術において
は、共通して90% 以上のキューブ存在比率を得ようとす
るものである。しかし近年、益々高圧用の電解コンデン
サー用Al箔には高い静電容量が要求されるようになって
いる。このため、本発明者らが知見したところによれ
ば、直流電解エッチング時に、この高静電容量化に適応
したAl箔のトンネル状のエッチングピットを形成するた
めには、前記キューブ存在比率を95% 以上、好ましくは
98% 以上とする必要がある。
【0016】しかし、前記従来技術においては、その各
々の実施例からしても、最大でも94% 程度のキューブ存
在比率しか得られておらず、再現性よくキューブ存在比
率を95% 以上、好ましくは98% 以上とすることができな
い。
【0017】本発明は、これらの点に鑑み、電解コンデ
ンサー用Al箔表面の(100) 結晶面の占有率 (キューブ存
在比率) を95% 以上とし、高静電容量化を可能とする電
解コンデンサー用Al箔の製造方法を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明電解コンデンサー用高静電容量アルミニウム
箔の製造方法の要旨は、アルミニウムの純度が99.9% 以
上の高純度アルミニウム鋳塊を均質化熱処理、熱間圧延
および冷間圧延を各々行った箔に、10〜50℃/hr の昇温
速度でかつ200 〜300 ℃の温度で中間焼鈍を行い、その
後5 〜40% の圧延率で最終冷間圧延および450 〜600 ℃
の温度で30分以上の最終焼鈍を施し、箔表面の(100) 結
晶面の占有率を95% 以上とすることである。
【0019】本発明者らは、電解コンデンサー用アルミ
ニウム箔の製造工程の内、特に、冷間圧延における中間
焼鈍の条件、それも、前記従来技術に開示の無い、特に
中間焼鈍の昇温速度が、箔表面の(100) 結晶面の占有率
に大きく係わっていることを知見した。
【0020】また、中間焼鈍の昇温速度が10〜50℃/hr
の範囲、好ましくは20〜40℃/hr の特定の範囲とすると
ともに、最終冷間圧延の圧延率および最終焼鈍の温度と
時間を特定の範囲とすることにより、箔表面の(100) 結
晶面の占有率を95% 以上とすることが可能であることを
知見した。
【0021】より具体的には、中間焼鈍の昇温速度を前
記範囲とすることにより、中間焼鈍後の箔の板厚方向に
再結晶粒を3 個以上存在させるとともに、箔内部に存在
する(100) 結晶面を、箔内部の(200) 結晶面のX 線回折
強度で、ランダムなアルミニウムの(200) 結晶面のX 線
回折強度に対して0.1 〜5.0 倍存在させることが可能と
なる。そして、この箔内部に存在する(100) 結晶面が、
最終焼鈍時に箔内部より成長して、箔表面に貫通し、箔
表面の(100) 結晶面の高占有率を保証する。なお、本発
明では、この中間焼鈍後の箔の内部に存在する(100) 結
晶面の量を、(100) 結晶面の量と良く相関するとともに
X 線回折強度で定量的に測定可能な(200) 結晶面の量に
置き換えて表現している。
【0022】そして、このような前組織を有する箔を、
特定範囲の最終冷間圧延の圧延率で製品箔に加工および
最終焼鈍の温度と時間で製品箔を処理することにより、
電解エッチング前の製品箔表面の(100) 結晶面の占有率
を95% 以上とすることが可能となる。したがって、箔の
直流電解エッチングにより、深くて密なトンネル状のエ
ッチングピットが得られ、電解コンデンサーとして用い
られた場合に高い静電容量が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】(Al箔の純度) まず、本発明にお
けるAl箔の純度について、以下に説明する。本発明に使
用するAl箔は99.9% 以上、好ましくは99.98%以上の高純
度Alであることが必要である。Al箔の純度が99.9% 未満
であるならば、不純物量が多すぎ、箔表面の(100) 結晶
面の占有率を95% 以上とすることが困難であり、高静電
容量化が達成できない。
【0024】本発明において、Al箔中のFe、Cu、Si、Z
n、Mn、Ga、P 、V 、Ti、B 、Cr、Ni、Ta、Zr、C 、B
e、In、希土類元素などの元素は基本的に不純物であ
る。これら不純物元素が多い場合、箔表面に濃化してい
るこれらの元素が、電解エッチング後の化成処理によっ
て形成される誘電体酸化皮膜中に必然的に含有され、誘
電体酸化皮膜を劣化させる。誘電体酸化皮膜が劣化した
場合、特に250Vの高耐電圧が要求される高圧用の電解コ
ンデンサーの場合には、使用中に漏れ電流が発生する可
能性がある。例えば、パソコン1 台当たり電解コンデン
サーは100 〜数100 個も使用され、この内1 個でも前記
漏れ電流により性能不良となると、パソコン全体が使用
不可となるような事態が生じる。したがって、これら不
純物元素の含有量はできるだけ低くすべきである。しか
し、これら不純物元素低減の技術的制約や低減コストの
問題もあり、各々30ppm 以下の含有は許容される。
【0025】次に、本発明の各製造工程の要件につい
て、その臨界的な意義を説明する。 (均質化熱処理) まず、Al合金鋳塊の均質化熱処理条件
は通常の方法で良く、均質化を達成するとともに、Al合
金特性への影響や再溶解を防止することを考慮すると、
500 〜600 ℃の温度で処理することが好ましい。
【0026】(熱間圧延) 均質化熱処理後の熱間圧延も
通常のAl板の熱間圧延方法の条件で良い。しかし後述す
る中間焼鈍により、箔表面の(100) 結晶面の占有率を95
% 以上とするためには、粗圧延から仕上げ圧延までの圧
延率を好ましくは95〜99.5% とし、また、仕上げ温度を
240 〜300 ℃の温度とすることが好ましい。これらの条
件は、熱間圧延時にAl板に導入される歪みをAl板内に均
一に蓄積させ、かつその後の集合組織を安定に生じさせ
るために必要な条件である。前記圧延率が95% 未満で
は、Al板内に導入される歪みが不均一となり、一方、圧
延率が99.5% を越えると、Al板内に導入される歪みが過
多となる。仕上げ温度が240 ℃未満では、Al板内に導入
される歪みが過多となり、一方、仕上げ温度が300 ℃を
越えると、Al板内に導入される歪みが過少となる。
【0027】(冷間圧延) この熱間圧延の後、通常の冷
間圧延を行う。中間焼鈍前の冷間圧延は熱間圧延により
製作したAl板をAl箔の厚みにするためのものであり、中
間焼鈍前の冷間圧延の圧延率は箔の厚みによる所望の値
で良く、後述する最終の冷間圧延で100mm 程度の製品箔
としうる箔の厚みにより決定される。これらを考慮する
と、冷間圧延の圧延率の好ましい範囲は概ね95〜99.5%
である。
【0028】(中間焼鈍) そして、この箔への冷間圧延
を行った後に、10〜50℃/hr の昇温速度でかつ200 〜30
0 ℃の温度で中間焼鈍を行う。この中間焼鈍条件、特に
その昇温速度の条件は、箔の板厚方向に再結晶粒を3 個
以上、好ましくは5 個以上存在させるとともに箔内部に
(200) 結晶面を所定量存在させるために重要である。
【0029】中間焼鈍の昇温速度が10℃/hr 未満、好ま
しくは20℃/hr 未満では、昇温過程において再結晶が進
んでしまい、箔の板厚方向に再結晶粒を3 個以上存在さ
せることができなくなる。また、箔表面が再結晶してし
まい、その後の加工を加えても(100) 面以外の結晶粒
は、回転できずにそのまま残ってしまうため、高いキュ
ーブ存在比率を得られない。即ち、箔内部に存在する(1
00) 結晶面を、箔内部の(200) 結晶面のX 線回折強度
で、ランダムなアルミニウムの(200) 結晶面のX 線回折
強度に対して0.1 〜5.0 倍存在させることが不可能とな
る。この結果、続く最終冷間圧延および最終焼鈍によっ
て、Al箔表面の(100) 結晶面の占有率を95%以上とする
ことが不可能となり、(100) 結晶面以外の結晶粒が多く
なる。このため、中間焼鈍の昇温速度の下限は10℃/hr
以上、好ましくは20℃/hr 以上とする。
【0030】一方、中間焼鈍の昇温速度が50℃/hr を越
えると、高純度Alゆえに、昇温過程において結晶粒の異
常成長が起き、結晶粒の粗大化が生じる。このため、同
じく箔の板厚方向に再結晶粒を3 個以上存在させること
ができなくなる。また、箔表面が再結晶してしまい、そ
の後の加工を加えても(100) 面以外の結晶粒は、回転で
きずにそのまま残ってしまうため、高いキューブ存在比
率を得られない。また、箔コイルの昇温速度をこれ以上
上げることには設備的或いは経済的にな困難な面もあ
る。このため、中間焼鈍の昇温速度の上限は50℃/hr 以
下、好ましくは40℃/hr 以下とする。
【0031】本発明において、中間焼鈍後の箔表面に存
在させる結晶面を(100) 結晶面ではなく、(200) 結晶面
のX 線回折強度で規定しているのは、(100) 結晶面自体
のX線回折強度が、消滅則のために測定不可能であるこ
とによる。この(100) 結晶面自体のX 線回折強度を、(2
00) 結晶面のX 線回折強度との比で規定する方法は、
「軽金属(1981)、Vol.31、No.5、334 〜340 頁」の「9
9.99%Alの圧延および再集合組織に及ぼす熱間圧延温度
の影響」等の文献に開示されている通り、本技術分野で
Al内部の特定の結晶方位を同定する際に通常用いられる
方法である。即ち、予めASTMカードによる各回折面から
の強度比と概ね一致した、(111) 、(200) 、(220) 、(3
11) 、(222) 、(400) 、(331) 、(420) 、(422) などの
9個の結晶面を各々同じ割合で有する粉末試料をランダ
ムなAl= 標準サンプルとし、このランダムなAlの(200)
結晶面のX 線回折強度と、測定対象Al箔の(200) 結晶面
のX 線回折強度との比を求める。したがって、本発明で
言うランダムなAlとは、Al板やAl箔内部の種々の方位の
結晶面をX 線回折により求めるために、本技術分野で汎
用されている前記標準サンプルのことである。また、X
線回折強度の測定条件としては、X 線照射角度(2θ) を
=30 °〜140 °まで変化させたステップスキャン方式と
した。
【0032】なお、製品箔表面の(100) 結晶面の占有率
の測定は、後述する実施例の通り、箔表面組織のマクロ
観察により直接測定可能である。しかし製造途中の中間
材である中間焼鈍後の箔内部の(100) 結晶面をマクロ観
察によっては測定しにくい。したがって、本発明では、
箔表面に存在させる(100) 結晶面を、(100) 結晶面の量
と良く相関するとともに、X 線回折強度で測定可能な(2
00) 結晶面のX 線回折強度で置き換えて測定することに
より数値化している。また、(100) 結晶面と(200) 結晶
面とは、厳密には異なる結晶面である。しかし、両者は
法線 (方向) は等しく、他面 (他結晶面) に比較して、
(100) 結晶面に近い。この点、より厳密には、エッチン
グピット法により箔内部の(100) 結晶面を測定すること
は可能であるものの、この方法は前記マクロ観察による
方法よりも何倍もの時間を要し、現実的ではない。した
がって、前記(200) 結晶面のX 線回折強度で置き換えて
測定する方法が汎用されている。
【0033】本発明では、前記した通り、最終焼鈍後の
Al箔表面の(100) 結晶面の占有率95% 以上を確実に保証
するための目安として、前記(200) 結晶面のX 線回折強
度が、ランダムなAlの(200) 結晶面のX 線回折強度の0.
1 〜5.0 倍とする、好ましくは0.5 〜5.0 倍とすること
が必要である。
【0034】しかし、従来のAl箔製造工程における中間
焼鈍の昇温速度は遅く、必然的に10℃/hr 未満のレベル
となる。これは、箔のAlが薄く、コイルに巻き取られた
場合に箔の隙間へ大量の空気を巻き込み、これにより箔
コイルの伝熱速度 (昇温速度) がいたって遅くなるから
である。この結果、後述する通り、従来の中間焼鈍の昇
温速度では、本発明のように中間焼鈍後の箔の板厚方向
に再結晶粒を3 個以上存在させるとともに、箔内部の(2
00) 結晶面をランダムなAlの(200) 結晶面のX線回折強
度に対して0.1 〜5.0 倍存在させることができなかっ
た。
【0035】(最終冷間圧延) また、最終の冷間圧延の
圧延率は5 〜40% と規定する。圧延率が5 % 未満の場
合、中間焼鈍後の箔の板厚方向に再結晶粒を3 個以上存
在させるとともに箔内部に(200) 結晶面の回折強度で表
す(100) 結晶面を多く存在させても、最終焼鈍後の際に
(100) 結晶粒に再結晶させる駆動力がなくなり、(100)
結晶面以外の結晶粒が成長する箔表面部分が多くなる。
一方、圧延率が40% を越える場合、粒成長の駆動力が大
きくなりすぎ、やはり最終焼鈍後の際に(100) 結晶面以
外の結晶粒として成長してしまう。したがって、いずれ
の場合にも、最終焼鈍後のAl箔表面の(100) 結晶面の占
有率95% 以上を確実に保証することができなくなる。
【0036】(最終焼鈍) 最終焼鈍は450 〜600 ℃の温
度範囲で30分以上行う必要がある。この最終焼鈍条件
は、最終冷間圧延後のAl箔を、十分な再結晶組織とし
て、Al箔表面の(100) 結晶面の占有率を95% 以上とする
ためのものである。最終焼鈍の温度が450 ℃未満乃至最
終焼鈍の時間が30分未満では、十分な(100) 結晶面の再
結晶粒が得られず、(100) 結晶面以外の他の結晶面が多
くなり、(100) 結晶面の占有率を95% 以上とすることが
できない。このため、直流エッチング後の拡面率が低下
して、高静電容量が得られない。
【0037】一方、最終焼鈍の温度が600 ℃を越える
と、コイルの状態でAl箔を焼鈍した場合、薄いAl箔同士
が拡散接合によってブロッキングするため、製品化する
ことができなくなる。また、これら最終焼鈍の効果をよ
り有効に発揮するための好ましい最終焼鈍の温度範囲は
500 〜580 ℃である。
【0038】また、最終焼鈍の時間が長時間となって
も、Al箔表面の(100) 結晶面の占有率は低下しないが、
生産性が低下するので経済的ではない。このため、最終
焼鈍の時間の上限は10時間程度とするのが好ましい。
【0039】この他、本発明で特に説明していない、Al
鋳塊の面削、熱間圧延後のAl板の巻き取り、あるいはAl
箔やAl箔の脱脂乃至洗浄などの前処理工程や、Al箔地や
Al箔の矯正、所定幅へのAl箔地やAl箔のスリットなどの
付帯工程は、全て常法に従うとともに、適宜選択的に行
われる。また、本発明Al箔は、常法と同様に、前記のよ
うな適当な前処理後、直流電解エッチングにより箔表面
が拡面化されて、電解コンデンサーに使用される。
【0040】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。Alの純度
が99.9% 以上の高純度Al鋳塊をDC鋳造により作製し、54
0 ℃×6 時間の均質化熱処理、250 ℃の仕上げ温度で9
8.7% の圧延率で熱間圧延および97.4% の圧延率で冷間
圧延を各々行ってAl箔とした。その後、各々表1 に示す
昇温速度および処理温度でAl箔の中間焼鈍を行い、各々
表1 に示す箔地の板厚方向の再結晶粒個数と箔地内部の
(200) 結晶面X 線回折強度とした。更にこの箔を、各々
表1 に示す圧延率で最終冷間圧延および最終焼鈍を施
し、100mm 厚で幅500mm のコイル状の製品箔とした。こ
れらの箔表面の(100) 結晶面の占有率を各々表1 に示
す。
【0041】中間焼鈍後の箔および最終焼鈍後の箔の分
析のためのサンプリング部位は各々コイルの中央部とし
た。また、中間焼鈍後の箔の板厚方向に再結晶粒個数
は、中間焼鈍後の箔サンプルの圧延方向に平行方向の断
面を研磨、電解エッチング後、ミクロ組織を200 倍の光
学顕微鏡により観察して求めた。更に、箔内部の(200)
結晶面は、X線回折法により(200) 面の回折強度を測定
し、標準サンプルである前記ランダムなAl表面の(200)
結晶面のX 線回折強度との比 (サンプルの(200)面X線
回折強度/ ランダムなAlの(200) 面X線回折強度) を求
めた。また、箔表面の(100) 結晶面の占有率は、最終焼
鈍後の箔サンプルを塩酸、硝酸、フッ酸の混酸を使用し
てマクロエッチングを施し、このサンプル表面を等倍に
よる画像解析装置を使用して観察し、2 値価して、(10
0) 結晶面を同定するとともに、予め用意した箔表面の
(100) 結晶面の占有率が88% 、95% の標準サンプルと比
較して占有率を求めた。
【0042】そして、前記コイル状の製品箔を、更に、
5wt%塩酸+20wt% 硫酸水溶液にて、液温85℃、電流密度
0.2A/cm2×電解時間50秒の条件で第1 直流電解エッチン
グを行い、初期エッチングピットを設け、続いて、0.5w
t%塩酸+0.4wt%シュウ酸水溶液にて、液温85℃、電流密
度0.07A/cm2 ×電解時間650 秒の条件で第2 直流電解エ
ッチングを行い、所望のエッチングピットを設けた。こ
れら電解エッチング後のAl箔コイルを、アジピン酸アン
モニウム水溶液(60 ℃) 、化成電圧375Vにて、化成処理
( 陽極酸化処理) して誘電体( バリヤー型酸化皮膜) を
設けた。この箔コイルの幅方向端部と幅方向中心部につ
いて、等価直列回路( 測定液; アジピン酸アンモニウム
水溶液、30℃、測定周波数; 120Hz 、測定電圧50mv) に
て静電容量 (μF/cm2)を各々測定した。これらの結果も
表1 に示す。
【0043】更に、電解エッチング後の箔の折曲強度も
測定し、これらの結果も表1 に示す。なお、箔の折曲強
度は、M.I.T 型試験機を使用して評価する。具体的に
は、試験材の箔を45°の角度に折り曲げ、その後、元に
戻して、今度は反対方向に45°の角度に折り曲げる行為
を1 回とし、この行為を箔が切断するまで繰り返した回
数を測定することにより評価する。M.I.T 型試験機の折
り曲げの条件としては、試験材の折り曲げ面の曲率半径
を1mm とし、250gの引張荷重を印加して、毎分175 回の
繰り返し速度で実施した。
【0044】なお、比較のために、Al純度が低い箔 (比
較例No.5) 、本発明の中間焼鈍の範囲、最終冷間圧延の
圧延率の範囲および最終焼鈍の範囲から外れる箔 (比較
例No.6〜13) も、これら条件以外は前記発明例の製造条
件と同じく作製して、各々の特性を前記発明例と同じく
測定乃至評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0045】表1 から分かる通り、発明例No.1〜4 のAl
箔は、本発明要件を満足している乃至本発明条件範囲内
で製作しているため、最終焼鈍後のキューブ存在比率が
95%以上であり、電解エッチング後の箔の静電容量およ
び折曲強度が著しく高い。この発明例No.1〜4 の中で
も、好ましい条件範囲内で製作した発明例No.4の箔は、
最終焼鈍後のキューブ存在比率が98% 以上であり、電解
エッチング後の箔の静電容量および折曲強度も、他の発
明例に比して高い。したがって、これらの結果から本発
明要件の臨界的な意義と、好ましい要件の意義が裏付け
られる。
【0046】これに対し、Al純度が低すぎる比較例No.
5、中間焼鈍の昇温速度が低すぎる比較例No.6、中間焼
鈍の昇温速度が高すぎる比較例No.7は、いずれも箔の板
厚方向に再結晶粒を3 個以上存在させることができな
い。また、(200) 結晶面のX 線回折強度が低すぎる比較
例No.8、最終冷間圧延率が低すぎる比較例No.9、最終冷
間圧延率が高すぎる比較例No.10 、最終焼鈍温度が低す
ぎる比較例No.11 、最終焼鈍温度が高すぎる比較例No.1
2 、最終焼鈍時間が短すぎる比較例No.13 は、いずれも
最終焼鈍後の箔表面の(100) 結晶面の占有率が95% 以下
である。したがって、これら比較例はいずれも電解エッ
チング後の箔の静電容量および折曲強度が発明例に比し
て著しく劣っている。したがって、これらの結果からも
本発明要件の臨界的な意義が裏付けられる。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、電解コンデンサー用Al
箔表面の(100) 結晶面の占有率 (キューブ存在比率) を
95% 以上とし、高静電容量化を可能とする電解コンデン
サー用Al箔の製造方法を提供することができる。したが
って、電解コンデンサー用Al箔の機能を向上させるとと
もに、用途を拡げることができる点で、多大な工業的価
値を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 661 C22F 1/00 685Z 685 686B 686 691B 691 691C 694A 694 H01G 9/04 346

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムの純度が99.9% 以上の高純
    度アルミニウム鋳塊を均質化熱処理、熱間圧延および冷
    間圧延を各々行った箔に、10〜50℃/hr の昇温速度でか
    つ200 〜300 ℃の温度で中間焼鈍を行い、その後5 〜40
    % の圧延率で最終冷間圧延および450 〜600 ℃の温度で
    30分以上の最終焼鈍を施し、箔表面の(100) 結晶面の占
    有率を95% 以上とすることを特徴とする電解コンデンサ
    ー用高静電容量アルミニウム箔の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記中間焼鈍により、箔の板厚方向に再
    結晶粒を3 個以上存在させるとともに箔内部の(200) 結
    晶面のX 線回折強度をランダムなアルミニウムの(200)
    結晶面のX 線回折強度に対して0.1 〜5.0 倍存在させる
    請求項1に記載の電解コンデンサー用高静電容量アルミ
    ニウム箔の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記箔の板厚方向に再結晶粒を5 個以上
    存在させる請求項2に記載の電解コンデンサー用アルミ
    ニウム箔の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記(200) 結晶面のX 線回折強度がラン
    ダムなアルミニウムの(200) 結晶面のX 線回折強度の0.
    5 〜5.0 倍である請求項2または3に記載の電解コンデ
    ンサー用高静電容量アルミニウム箔の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記最終冷間圧延の圧延率を5 〜20% と
    する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電解コンデ
    ンサー用高静電容量アルミニウム箔の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記最終焼鈍温度を500 〜580 ℃とする
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ
    ー用高静電容量アルミニウム箔の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高純度アルミニウムのアルミニウム
    の純度が99.98%以上のである請求項1乃至6のいずれか
    1項に記載の電解コンデンサー用高静電容量アルミニウ
    ム箔の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電解コンデンサーが高圧用である請
    求項1乃至7のいずれか1項に記載の電解コンデンサー
    用高静電容量アルミニウム箔の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2019194092A1 (ja) * 2018-04-02 2021-04-08 日本ケミコン株式会社 電解コンデンサ
CN113871204A (zh) * 2021-08-17 2021-12-31 乳源东阳光优艾希杰精箔有限公司 一种铝电解电容器用光箔及其应用

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