JPH11312690A - 電界効果トランジスタ - Google Patents

電界効果トランジスタ

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JPH11312690A
JPH11312690A JP12126098A JP12126098A JPH11312690A JP H11312690 A JPH11312690 A JP H11312690A JP 12126098 A JP12126098 A JP 12126098A JP 12126098 A JP12126098 A JP 12126098A JP H11312690 A JPH11312690 A JP H11312690A
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layer
effect transistor
drain
substrate
field effect
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JP12126098A
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English (en)
Inventor
Shigeru Nakajima
成 中島
Masateru Yanagisawa
昌輝 柳沢
Toru Yamada
亨 山田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電界効果トランジスタのドレインコンダクタ
ンスの周波数分散を低減する。 【解決手段】 電界効果トランジスタは、半絶縁性Ga
As化合物半導体の基板2の表層に離間して設けられた
ソース領域18およびドレイン拡散層18と、低エネル
ギのイオン注入によって注入された不純物を有しソース
領域18およびドレイン拡散層18の間にあり基板2の
表層に形成された動作層20と、動作層20上に形成さ
れたゲート電極24と、を備える。イオン注入によって
不純物を注入して、基板2の深部のキャリア捕獲準位の
密度と比べてキャリア捕獲準位の密度が低い表層の低準
位部分に動作層20を形成するので、周波数分散が低減
される。交流ドレインコンダクタンス値が、直流ドレイ
ンコンダクタンス値の1.4倍以内にできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界効果トランジス
タに関し、特にドレインコンダクタンスの周波数分散が
低減された電界効果トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】GaAs(ヒ化ガリウム)に代表される
III−V族化合物半導体は、電子移動度がSi(シリ
コン)に比較して大きい。このため、この半導体を採用
して半導体デバイスを作製すれば、優れた高周波特性が
達成される。このような半導体を使用して実用化されて
いる半導体デバイスには、電界効果トランジスタ(ME
S−FET:Metal Semiconductor Field Effect Trans
istor)がある。このトランジスタは、ショットキー接
合を有するゲート電極を制御電極として、ソース・ドレ
イン間の電流を制御している。
【0003】この電界効果トランジスタには、動作層が
半絶縁性基板の表層に設けられ、またこの両側にキャリ
ア濃度の高いn+層が分離されて設けられている。この
+層上には、合金化されたAuGe/Niのオーミッ
ク電極が形成されている。動作層上には、ショットキー
接合をGaAsと形成可能な金属を用いてゲート電極が
形成されている。動作層およびn+層は、いずれもGa
As基板に対してドナー不純物となる元素をイオン注入
法によって導入して、この不純物を活性化して形成され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような電界効果ト
ランジスタでは、ドレインコンダクタンスの周波数分散
と総称される現象が見られる。この周波数分散とは、電
界効果トランジスタのドレインコンダクタンスが周波数
特性を持つことをいい、特に低い周波数でのドレインコ
ンダクタンスにおいて大きな周波数依存性が見られる。
【0005】ドレインコンダクタンスは、電界効果トラ
ンジスタを使用した回路の電圧増幅度を決める重要な因
子であるため、このコンダクタンスが周波数分散を持つ
と、回路の振る舞いが動作周波数によって変動してしま
う。つまり、低い周波数における増幅度と高い周波数に
おける増幅度が異なる値になってしまう。このため、ラ
ンダムパルスを増幅するような場合、正しくパルスを増
幅できなくなる。例えば、データとして「0」が継続し
た後に「1」に遷移する場合と、データとして「0」と
「1」が交互に繰り返す場合とでは、電界効果トランジ
スタの応答特性が異なるため、PCM通信では、ビット
エラーが発生してしまう。
【0006】そこで、本発明の目的は、ドレインコンダ
クタンスの周波数分散が低減された電界効果トランジス
タを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電界効果トラン
ジスタは、(1)半絶縁性化合物半導体の基体の表層に離
間して設けられたソース領域およびドレイン領域と、
(2)イオン注入によって注入された不純物を有し前記ソ
ース領域および前記ドレイン領域の間にあり前記基体の
表層に形成された動作層と、(3)動作層上に形成された
ゲート電極と、を備えた電界効果トランジスタであっ
て、周波数20Hz以上20kHz以下の範囲における
当該電界効果トランジスタの交流ドレインコンダクタン
ス値の最大値が、直流ドレインコンダクタンス値の1.
4倍以内である。
【0008】このように、イオン注入法によって不純物
を注入して基体の表層に動作層を形成して、交流ドレイ
ンコンダクタンス値が直流ドレインコンダクタンス値の
1.4倍以内であるようにするので、ドレインコンダク
タンスの周波数分散が低減される。
【0009】本発明の電界効果トランジスタでは、基体
は、この基体の深部におけるキャリア捕獲準位の密度と
比べてキャリア捕獲準位の密度が低い低準位部分を表層
に有し、動作層は、低準位部分内に形成されているよう
にしてもよい。
【0010】このように、基体が備える低準位部分内に
動作層を形成するようにすれば、捕獲準位に捕獲された
キャリアによるドレインコンダクタンスへの影響が低減
される。
【0011】本発明の電界効果トランジスタでは、半絶
縁性化合物半導体はGaAsであり、不純物の元素はS
iであるようにしてもよい。
【0012】このように、GaAs半絶縁性化合物半導
体にSiを不純物として導入するようにすれば、n導電
型動作層が好適に形成される。
【0013】本発明の電界効果トランジスタでは、動作
層は、30keV以上の加速エネルギでSiF3 +をイオ
ン注入法によって注入して形成されるようにしてもよ
い。
【0014】このように、30keV以上の加速エネル
ギでSiF3 +のイオン注入を行って動作層を形成するよ
うにすれば、安定した加速エネルギでイオン注入が行え
ると共に、浅い動作層が形成される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明について図面を参照しなが
ら説明する。図面において同一の部分には同一の符号を
付して、その説明を省略する。
【0016】図1(a)〜図(c)および図2(a)〜
図2(c)は、本発明の電界効果トランジスタを主な製
造工程を示す工程断面図である。以下、これらの図面を
参照して、n型電界効果トランジスタを半絶縁性GaA
s基板上に形成する場合について説明する。なお、他の
III−V族化合物半導体基板に適用することもでき、
またSi基板上にGaAs等のIII−V族化合物半導
体層を形成した場合も適用できる。
【0017】まず、GaAs半導体基板上に動作層を形
成するための不純物導入を行う(動作層形成工程)。図
1(a)を参照すると、半絶縁性GaAs半導体基板
(以下、基板という)2にレジストを塗布してフォトリ
ソグラフィ技術によってイオン注入用のマスク4を形成
する。マスク材4は、動作層を形成すべき領域を含む部
分に開口部を有している。このマスク材4をマスクにし
て不純物イオンをイオン注入6によって導入すると、動
作層となるべき領域に動作層不純物層8を形成できる。
イオン注入が終了した後、マスク材4は剥離される。
【0018】イオン注入の条件について詳述する。不純
物元素は、例えばSiを使用することが好ましく、イオ
ン化されたSi+を加速エネルギ10keVでイオン注
入する。ドーズ量は、作製する電界効果トランジスタの
閾値に依存するが、例示すれば、8.0×1012cm-2
程度が回路特性上の理由から好ましい。また、注入する
イオンとして、29SiF+ 3を採用することが好ましい。
このようなイオン種を採用すれば、実際にSiが持つ加
速エネルギを等価的に小さくできる。つまり、この場合
には、30keV×29/86の値は約10keVとな
り、この値が実効的な加速エネルギとなる。このため、
加速エネルギを十分に安定して制御できるエネルギ範囲
でイオン注入装置を使用できるため、形成される動作層
不純物層の深さの制御性も増す。なお、以下、特に断ら
ない限り加速エネルギと記載するものは、実効的な加速
エネルギも含む。
【0019】図4は、活性層の不純物プロファイルであ
る。図4を参照すると、加速エネルギ10keVで注入
された不純物のプロファイルと、加速エネルギ30ke
Vで注入された不純物のプロファイルを示しており、横
軸は基板2の表面から基板深部へ向けて測った距離、縦
軸は注入された不純物の濃度を対数目盛で示している。
上記のイオン注入条件の下では、不純物プロファイル
は、例えば近似的にガウス分布で表される。10keV
の加速エネルギでイオン注入した場合、イオン注入のプ
ロジェクション・レンジ(平均飛程距離、Rp:Project
ion Range)は約0.01μmであり、分布の半値幅は
0.008μm程度である。30keVでSiイオンを
イオン注入した場合のプロジェクション・レンジおよび
半値幅は、それぞれ0.026μmおよび0.017μ
mである。したがって、プロジェクション・レンジで両
者を比較すれば1/3となり、半値幅で両者を比較すれ
ば1/2となるので、低エネルギでイオン注入すること
によって、不純物層の薄層化が図れる。なお、動作層2
0は、例えば不純物濃度が1017cm-3程度の領域であ
るとすると、動作層の厚さは、エネルギ10keVでは
600Å程度であり、またエネルギ30keVでは90
0Å程度である。
【0020】次いで、基板表層にn+層不純物層を形成
するための不純物の導入を行う(n+層形成工程)。図
1(b)を参照すると、動作層形成工程と同様にして、
基板2上にイオン注入用のマスク10を形成する。マス
ク材10は、n+層を形成すべき領域を含む部分に開口
部を有している。このマスク材10をマスクにして不純
物イオンをイオン注入12によって導入すると、n+
となるべき領域にn+層不純物層14を形成できる。図
1(b)の例では、n+層不純物層14は動作層不純物
層8の両端に配置される。
【0021】イオン注入の条件について詳述すれば、不
純物元素としては、例えばSiを使用することが好まし
く、そしてイオン化されたSi+の加速エネルギおよび
ドーズ量としては、それぞれ100keVおよび4.0
×1013cm-2程度が回路特性上の理由から好ましい。
【0022】なお、動作層不純物層8の形成に先立って
+層不純物層14を行うようにしてもよい。
【0023】この後、動作層不純物層8およびn+層不
純物層14の不純物を活性化し、また基板2の表層の結
晶性を回復するためのアニールを行う(アニール工
程)。不純物の活性化は、基板2を加熱してGaサイト
にSiを置換させることによって行う。図1(c)を参
照すると、アニール工程の際には、蒸気圧の高いAs基
板2から抜けることを防止するために、基板2の表面に
保護膜16を形成するキャップアニール法を採用してい
る。アニール工程によって、動作層不純物層8の不純物
が活性化されて動作層20が形成され、またn+層不純
物層14の不純物が活性化されてn+層18が形成され
る。このアニール工程によって、基板2の表層にn+
18および動作層20が形成され、この動作層20の深
さはn+層18の深さよりも浅い。
【0024】このような保護膜16は、アニール温度に
おいてAs原子が基板から解離することを防止しつつ、
且つ結晶中に存在する過剰なAsを基板表層の部分につ
いて低減する作用を有している。また、この膜16は、
不純物であるSi原子のGaサイトへの置換を促進し活
性化率を向上させるために結晶中のGaを引き抜く作用
を備えていることが好ましい。過剰なAsは、ドレイン
コンダクタンスに影響を与える捕獲準位を形成すると考
えられるため、このような保護膜16を基板2の表面に
形成してアニールすれば、基板表層の過剰なAsの密度
が低減されるため、電子捕獲準位の密度が低い低準位領
域15が基板表層に形成される。この低準位領域15内
に動作層が形成されるように、動作層を薄層化して且つ
浅く形成すれば、電子捕獲準位の影響を受けにくい電界
効果トランジスタが形成される。
【0025】保護膜16を例示すれば、シリコンおよび
窒素を含む窒化シリコン化合物、例えばシリコン窒化膜
(SiN)が好適である。アニール温度としては、80
0℃程度が好ましい。このようにすれば、アニール中に
基板からAsが解離することを防止しつつ、格子間の過
剰なAsが保護膜16中に侵出する。なお、アニールの
熱処理条件の下では、イオン注入によって導入された不
純物のプロファイルは、実質的に変化しない。したがっ
て、上記のように、低準位領域15内に動作層を形成す
るように、動作層不純物層を浅く形成可能なイオン注入
条件を設定することが好適である。
【0026】次に、n+層18上にオーミック電極を形
成する(オーミック形成工程)。オーミック電極は、例
えばリフトオフ法を用いて形成する。基板2にレジスト
を塗布してフォトリソグラフィ技術によってオーミック
電極形成用のマスクを形成する。マスク材26は、オー
ミック電極(図2(c)の30)を形成すべき領域に開
口部を有している。このマスク材26をマスクにして、
基板2側から順にAuGe層、Ni層からなるオーミッ
ク金属層28を積層する。これらの層の形成は、例えば
蒸着法を使用することが好ましい。図2(b)は、この
ようにオーミック金属層28を堆積した後のウエハ断面
を示している。この金属層28の形成後、レジスト剥離
液によってレジストを剥離すると、レジストに開口部を
設けた部分にのみ上記の電極層(図2(c)の30)が
残る。この後に、オーミック電極層30と基板2とを合
金化するためにアロイを行う。アロイの熱処理条件は、
例えば450℃、1分間で行うことが好ましい。アロイ
を行うことによって、GaAsとオーミック金属との合
金化が起こるので、基板表層のn+層に対して良好なオ
ーミック接合を有するオーミック電極30を形成でき
る。
【0027】続いて、基板2上にゲート電極24を形成
する(ゲート形成工程)。ゲート電極24は、例えばリ
フトオフ法を用いて形成する。基板2にレジストを塗布
してフォトリソグラフィ技術によってゲート電極形成用
のマスクを形成する。マスク材(図示せず)は、ゲート
電極24を形成すべき領域に開口部を有している。この
マスク材をマスクにして、基板2側から順にTi層、P
t層、Au層を積層する。これらの層の形成は、例えば
蒸着法使用することが好ましい。このような方法によれ
ば、基板のGaAsに対してTiの良好なショットキー
接合を形成できる。これらの層の形成後、レジスト剥離
液によってレジストを剥離すると、レジストに開口部を
設けた部分にのみ上記の電極層が残る。図2(a)は、
このようにゲート電極を形成した後のウエハ断面を示し
ている。
【0028】この後、基板2の全面に層間絶縁膜32を
堆積する。この絶縁膜32上にソースn+層18、ドレ
インn+層18、およびゲート電極24等を相互に配線
して接続するための配線36を形成する(配線形成工
程)。オーミック電極30に達する開口部、例えばコン
タクト孔、を層間絶縁膜32に形成した後に、配線メタ
ルを堆積しパターン形成して配線メタル層を形成すれ
ば、オーミック電極30に対して電気的に接続された配
線32を形成できる。図2(c)は、このように配線3
2を形成した後のウエハ断面を示している。
【0029】このような製造工程を経ることによって、
電界効果トランジスタが作製された。このトランジスタ
は、多くの化合物半導体において電子移動度が正孔移動
度に比べて大きいため、n導電型トランジスタにおいて
好適である。このとき、キャリア捕獲準位は、電子捕獲
準位となる。このような電界効果トランジスタの構造を
図2(c)および図3を参照して説明する。図3は、上
記工程の結果、完成した電界効果トランジスタの平面図
であり、図3のA−A’断面が図2(c)の断面図とな
っている。なお、図3において、基板内の表層に形成さ
れるn+層18を破線、n型動作層20を一点鎖線で示
した。
【0030】これらの図面によれば、電界効果トランジ
スタは、(1)半絶縁性GaAs半導体基板2の表層に離
間して設けられたソース領域およびドレイン領域となる
+層18と、(2)イオン注入によって注入された不純物
を有しソース領域18およびドレイン領域18の間にあ
り基板の表層に形成された動作層20と、(3)動作層2
0上に形成されたゲート電極24と、を備える。動作層
20は、n+層18と同一の導電型であり、基板表層に
離れて設けられたn+層18の間に設けられ、またそれ
ぞれのn+層18に達して、これらの層18に接触して
又は一部重なって形成されている。ゲート電極24は、
この離間して設けられた一対のn+層(ソース拡散層お
よびドレイン拡散層)18に挟まれて動作層20上に設
けられているので、基板上面から見たときに動作層20
を二分する。このため、一方のn+層18(ドレイン拡
散層)から動作層20を経由して他方のn+層(ソース
拡散層)18に至るキャリアは、必ずゲート電極24と
重なる動作層20の部分を通過する。つまり、ゲート電
極24に加えられる電圧によって動作層20内に伸びる
空乏層の深さが変わりチャネル断面積が変化するので、
この電圧によってドレイン電流を制御できる。
【0031】基板2は、深部におけるキャリア捕獲準位
の密度と比べてキャリア捕獲準位の密度が低い低準位部
分15を表層に有し、また動作層20は低準位部分15
内に形成されている。このためには、上記の説明からも
分かるように、イオン注入の加速エネルギは、低準位部
分15内に動作層20を形成するように好適に決定され
る必要がある。
【0032】このような構造の電界効果トランジスタで
は、低エネルギのイオン注入によって、基板2の表層の
低準位部分15内に動作層20を形成しているので、捕
獲準位の捕獲キャリアからドレインコンダクタンスが受
ける影響が小さくできる。このため、ドレインコンダク
タンスの周波数分散が低減される。具体的には、交流ド
レインコンダクタンス値が直流ドレインコンダクタンス
値の約1.4倍以内であるような、優れた特性を有する
電界効果トランジスタが得られている。この値は、交流
コンダクタンス値の最大値において達成されていること
が好ましい。
【0033】このように電界効果トランジスタにドレイ
ンコンダクタンスの周波数分散が現れるのは、以下のよ
うに考えられている。化合物半導体基板中には様々な電
子捕獲準位が存在する。これらの捕獲準位の振る舞いを
統計的にとらえる。捕獲準位に電子が捕獲されると、捕
獲準位の状態はそのライフタイムで緩和して伝導帯に電
子を放出する。このような捕獲準位を有する基板に形成
されたデバイスが、捕獲準位のライフタイムに相当する
動作周波数で動作すると、捕獲準位の影響を顕著に受け
る。このような捕獲準位は、例えばGaAs基板ではラ
イフタイムがミリ秒程度のものも存在し、数kHz程度
の動作周波数を境にしてその低周波数側と高周波数側に
おいてデバイス特性に大きな差が生じる。これがドレイ
ンコンダクタンスの周波数分散となっていると考えられ
ている。
【0034】図5は、電界効果トランジスタのドレイン
電圧Vdに対するドレイン電流Idの特性を模式的に示
した特性図であり、横軸はドレイン電圧を示し、縦軸は
ドレイン電流を示す。図5では、直流および交流におけ
る電界効果トランジスタのドレイン電流特性を示した模
式的に示している。ドレインコンダクタンスgdは、ド
レイン電流の飽和特性領域におけるドレイン電圧の変化
に対するドレイン電流の傾き(単位のドレイン電圧変化
に対するドレイン電流の変化の割合)であり、図5によ
れば高周波におけるドレイン電流の飽和特性は、直流に
おける飽和特性と比べて悪化する。つまり、ドレインコ
ンダクタンスの直流における値は、図5に示した交流の
値に比べて大きい。
【0035】実際の電界効果トランジスタでは、ドレイ
ン電圧の周波数を数Hz〜数百kHzの範囲で走査し
て、ドレインコンダクタンスを測定する。ドレインコン
ダクタンス特性の周波数依存性は、この特性に影響を与
えるキャリア捕獲準位のライフタイムに依存する。測定
実験においては多くの場合、数十Hz〜数kHzの辺り
で、ドレインコンダクタンスに変化が現れる。このた
め、この特性において高周波における測定とは、この変
化が現れる周波数よりも高い周波数である数十kHz程
度以上、例えば100kHzをいう。
【0036】電界効果トランジスタのドレインコンダク
タンスの測定方法について説明する。図6は、電界効果
トランジスタのドレインコンダクタンスを測定するため
の接続図である。図6を参照すると、n型電界効果トラ
ンジスタのソース端子はグランドに接続され、ドレイン
端子は負荷抵抗の一端に接続され、ゲート端子はゲート
電圧源Vgに接続されている。負荷抵抗の他端は、ドレ
イン電圧源Vdに接続されている。ドレイン電圧源Vd
は、交流電圧△Vdをドレイン端子に印加し、ゲート電
圧源Vg直流電圧源である。負荷抵抗の値はRであっ
て、本測定では数Ω〜数十Ω程度のものを使用する。
【0037】図6に示した測定系において、ドレインコ
ンダクタンスを求める手順を示す。Vbを固定値部分、
またVi(t)を振幅Viおよび周波数fで時間的に変
化する部分として、Vd(t)=Vb+Vi(t)とな
る交流電圧をドレイン端子に与えて、負荷抵抗Rの両端
に現れる電圧Vo+△Vo(△Voは交流成分)を測定
する。ドレインコンダクタンス値は、交流電圧変化に基
づく電流変化分を△Idとすると、△Id/△Vdで表
される。したがって、△Vo=R×△Idであるから、
コンダクタンス値は△Vo/(R×△Vd)となる。
【0038】図7は、このようにして求められた交流お
よび直流のドレインコンダクタンス比の特性を示した特
性図であり、横軸は動作層のイオン注入の加速エネル
ギ、縦軸は直流ドレインコンダクタンス値に対する交流
ドレインコンダクタンス値の比gd(RF)/gd(D
C)である。なお、図7の特性の測定条件は、 交流周波数 :20Hz〜20kHz ドレイン電圧源 :2.0V ドレイン電圧振幅値 :200mV ゲート電圧バイアス値:0.5V 負荷抵抗 :50Ω である。
【0039】図7を参照すると、従来の電界効果トラン
ジスタにおいて使用されていた動作層のイオン注入の加
速エネルギが30keVにおいては、特性比が1.5で
ある。一方、加速エネルギ20keVにおいては、特性
比が1.35、加速エネルギ10keVにおいては、特
性比が1.2まで低減されることが示されている。これ
は、低エネルギのイオン注入によって、低準位部分に動
作層が形成されたためであると考えている。このような
実験によって従来よりも優れた特性比1.4以下の電界
効果トランジスタが得られ、T=298Kでは50Hz
および少なくとも50Hzにおいては、特性比が1.4
以下となる。
【0040】なお、このような測定条件の下に複数の温
度、例えば室温T=298K(25℃)およびT=77
K(窒素温度)において、ドレインコンダクタンスの測
定を行った。
【0041】図8は、T=T1、T2(T1>T2)におい
て測定したドレインコンダクタンスの周波数依存性を模
式的に示した特性図である。横軸には周波数を対数目盛
で示し、縦軸にはドレインコンダクタンスを示す。図8
を参照すると、T=T1の特性曲線においては、直流で
の測定値gd(DC)とすると、周波数が高くなるにつ
れてgdが大きくなる。ある程度の高い周波数になる
と、周波数依存性は小さくなり、そしてほぼ一定になっ
ている。このgdの傾向は、T=T2の特性曲線がT=T
1の特性曲線に比べて高周波数側に移動している点を除
いて、T=T2においてもほぼ同様である。本願では、
周波数20Hz〜20kHzにおけるドレインコンダク
タンスgd(RF)の最大値とgd(DC)との比をとる
ことが好適と考えた。この最大値をgd(AC)と記載
する。
【0042】図8に示した特性から、ドレインコンダク
タンスに寄与しているキャリア捕獲準位の活性化エネル
ギを求めることができる。例えば、T=T1、T2それぞ
れの特性曲線の変曲点における値を対数目盛の縦軸に、
1/Tを横軸に描いて、アウレニウスプロットすればよ
い。これらの測定値が、右下がりの直線、つまりexp
(−△E/kT)で表されると仮定して統計的な処理を
行うと、その直線の傾きから△Eが求められる。
【0043】実施の形態において図面を用いながら説明
したように、基板の極く表層に存在する低準位部分内に
動作層が形成されるようにしたので、動作層を走行する
キャリアが捕獲準位に捕らえられ確率が低くなる。この
ため、ドレインコンダクタンスの周波数分散が低減され
る。
【0044】このドレインコンダクタンスが周波数分散
を低減できると、ドレインコンダクタンスが回路の電圧
増幅度を決定する重要な因子であるため、この回路の電
圧増幅度の動作周波数による変動を小さくできる。
【0045】したがって、本発明の電界効果トランジス
タは、幅広い周波数を含む信号を取り扱う回路に好適で
ある。例えば、従来の電界効果トランジスタを使用した
PCM通信の回路においては、長時間データ0の伝送が
連続した後にデータ1に遷移する場合の回路の応答特性
と、データ0とデータ1とが繰り返される場合の回路の
応答特性とが大きく異なっていた。しかし、本発明の電
界効果トランジスタを使用した回路では、応答特性の差
を縮小することができるので、PCM通信におけるビッ
トエラーを低減できる。
【0046】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係わる電界効果トランジスタは、動作層が基板の表層に
形成されるようにしたので、動作層を走行するキャリア
が捕獲準位に捕らえられ確率を低くできる。このため、
ドレインコンダクタンスの周波数分散が低減される。し
たがって、動作周波数によって特性の変動が低減された
電界効果トランジスタが提供される。このような電界効
果トランジスタは、幅広い周波数を含む信号を取り扱う
回路に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜図1(c)は、本発明に係わる電
界効果トランジスタを製造工程を示す工程断面図であ
る。
【図2】図2(a)〜図2(c)は、本発明に係わる電
界効果トランジスタを製造工程を示す工程断面図であ
る。
【図3】図3は、本発明に係わる電界効果トランジスタ
の平面図である。
【図4】図4は、動作層の不純物プロファイルである。
【図5】図5は、電界効果トランジスタのドレイン電圧
Vdに対するドレイン電流Idの特性を模式的に示した
特性図である。
【図6】図6は、電界効果トランジスタのドレインコン
ダクタンスを測定するための接続図である。
【図7】図7は、交流および直流のドレインコンダクタ
ンス比の特性を示した特性図である。
【図8】図8は、ドレインコンダクタンスの周波数依存
性を模式的に示した特性図である。
【符号の説明】
2…基板、4…マスク材、6…注入イオン、8…動作層
不純物層、10…マスク材、12…注入イオン、14…
+層不純物層、15…低準位領域(層)、16…保護
膜、18…n+層、20…動作層、24…ゲート電極、
26…マスク材、30…オーミック金属、32…層間絶
縁膜、34…配線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半絶縁性化合物半導体の基体の表層に離
    間して設けられたソース領域およびドレイン領域と、 イオン注入によって注入された不純物を有し前記ソース
    領域および前記ドレイン領域の間にあり前記基体の表層
    に形成された動作層と、 前記動作層上に形成されたゲート電極と、を備えた電界
    効果トランジスタであって、 周波数20Hz以上20kHz以下の範囲における当該
    電界効果トランジスタの交流ドレインコンダクタンス値
    の最大値が、直流ドレインコンダクタンス値の1.4倍
    以内である、ことを特徴とする電界効果トランジスタ。
  2. 【請求項2】 前記基体は、この基体の深部におけるキ
    ャリア捕獲準位の密度と比べてキャリア捕獲準位の密度
    が低い低準位部分を表層に有し、 前記動作層は、前記低準位部分内に形成されている、を
    備えることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トラ
    ンジスタ。
  3. 【請求項3】 前記半絶縁性化合物半導体はGaAsで
    あり、前記不純物の元素はSiである、ことを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載の電界効果トランジス
    タ。
  4. 【請求項4】 前記動作層は、30keV以上の加速エ
    ネルギでSiF3 +をイオン注入法によって注入して形成
    される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の電界効果トランジスタ。
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