JPH1134197A - シート状複合材、複合管及び建造物の補強・補修方法 - Google Patents

シート状複合材、複合管及び建造物の補強・補修方法

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JPH1134197A
JPH1134197A JP19220697A JP19220697A JPH1134197A JP H1134197 A JPH1134197 A JP H1134197A JP 19220697 A JP19220697 A JP 19220697A JP 19220697 A JP19220697 A JP 19220697A JP H1134197 A JPH1134197 A JP H1134197A
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sheet
fiber
composite material
composite
reinforcing
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JP19220697A
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English (en)
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Shintaro Ikeda
新太郎 池田
Toru Fukusato
亨 福里
Kenzo Uchida
健三 内田
Masahiko Kido
賢彦 城戸
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Nippon Kokan Koji KK
Nippon Felt Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kokan Koji KK
Nippon Felt Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚みのある成形品を簡易に製造可能なように
構成されたシート状複合材を提供する。また、高強度で
製造が容易なパイプを提供する。さらに、高強度で耐久
性に優れた補強層を迅速・簡易に施工可能な建造物の補
強・補修方法を提供する。 【解決手段】 シート状複合材を構成する繊維シート材
を、織布からなる基布2と、この基布2に積層されてニ
ードリングにより一体化される化学繊維からなる不織繊
維集合体4・5とを有するものとする。特に、基布2を
通電によって発熱する炭素繊維等の導電性繊維とし、含
浸する合成樹脂材を熱硬化性樹脂とし、不織繊維集合体
4・5をポリエステル繊維からなるものとする。また、
このようにしてなるシート状複合材を筒状に曲成してパ
イプとする。あるいは、このシート状複合材を建造物に
固着して補強・補修層を形成するものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維シート材に合
成樹脂材を含ませてなるシート状複合材と、このシート
状複合材から形成される複合管と、シート状複合材を用
いて行われる建造物の補強・補修方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】繊維シート材に合成樹脂材を含浸させて
なるシート状の繊維強化複合材が広く利用されている。
この種のシート状複合材では、繊維方向の引張応力に対
して極めて高い強度を示すことから、繊維方向の一定し
た織布を強化繊維に用いるのが一般的である。ところ
が、このような織布からなる複合材ではせん断・圧縮等
の多方向からの外力に対する強度が期待し難く、耐衝撃
性も不足しがちである。これらの強度も同時に高めて種
々の外力に対して高強度なものとするには、シート状複
合材全体の厚みを増大するのが最も簡便である。例えば
複合材で形成されたパイプでは、外圧に対する強度を確
保するには管厚を増大するのが効果的であり、これは耐
久性を高める上でも望ましい。また、建造物の補強・補
修を行うために建造物表面にシート状の繊維強化複合材
で補強層を形成する場合にも、耐久性を高める上で厚み
のある補強層が望まれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、シート状複
合材の厚みを増大するには、複数枚の繊維シート材を合
成樹脂を含浸させながら順次積層していくといった成形
方法が採用され、成形に手間を要する上に、シートに沿
った向きのせん断強度が低くなり、層間剥離を起こす。
特に合成樹脂をはじく特性を有する炭素繊維ではこの傾
向が強く、層間せん断強度を確保しつつ、厚みのある製
品を作るのが面倒である。
【0004】本発明は、このような従来技術の不都合を
解消するべく案出されたものであり、その第1の目的
は、厚みのある製品を簡易に製造可能なように構成され
たシート状複合材を提供することにある。また、本発明
の第2の目的は、高強度で製造が容易な複合管を提供す
ることにある。さらに、本発明の第3の目的は、高強度
で耐久性に優れた補強層を迅速・簡易に施工可能な建造
物の補強・補修方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、シート状複合材を構成する
繊維シート材を、織布からなる基布と、その少なくとも
一面に積層されてニードリングにより一体化される化学
繊維からなる不織繊維集合体とを有するものとした。こ
れによると、高強度板材や発熱体等といった成形品の用
途に応じた種々の機能を備えた基布に対して不織繊維集
合体を積層したため、この不織繊維集合体の層厚でもっ
て容易に繊維シート材全体の厚みを増大させることがで
きる。この不織繊維集合体は、原料繊維をカードに通す
等して得られたバット(ウェブ)に比較的軽くニードリ
ングを行うことで製作することができ、複数枚のバット
を順次積層しながらニードリングで接合することで所望
の厚さの不織繊維集合体を得ることができる。そして、
この不織繊維集合体は、含浸する合成樹脂材との親和性
に富む化学繊維からなるため、厚みを大きくしても合成
樹脂材の含浸が素早く行われ、しかも、この化学繊維と
基布の繊維とがニードリングによって相互に絡み合わさ
れているため、基布の繊維層内への合成樹脂材の含浸も
促進され、一回の含浸処理で済むようになり、製造が容
易になる上、繊維シート材に沿った向きのせん断強度を
高めることができる。さらに、繊維シート材に含まれる
不織繊維集合体によって所定形状に成形する際の加工特
性が向上し、例えば、型材の成形面に密接保持するため
に、雌雄の型材で挟み込んだり、あるいはバキュームを
利用して型材に密着させるといった煩雑な保形操作が不
要となり、簡易な製造設備で成形可能となる。なお、合
成樹脂材を含浸させながら繊維シート材を型材に接着す
る成形法も可能であるが、予め繊維シート材に樹脂を含
浸させた中間素材、いわゆるプリプレグシートとした上
で所定の成形加工を行うようにすると、取扱性が良くな
り成形作業の効率を高める上で望ましい。
【0006】特に、前記の基布は、通電によって発熱す
る導電性繊維からなり、前記の合成樹脂材は、基布への
通電による発熱によって硬化する熱硬化性樹脂からなる
ものとすると好ましい。これによると、内部の基布が発
熱して合成樹脂材を加熱硬化させるため、厚みのあるシ
ート状複合材を簡易・迅速に硬化させることができる。
その上、加熱温度、すなわち導電性繊維の発熱温度は電
流で精度良く調整可能であり、しかも発熱体となる基布
が全面に配されていることから合成樹脂材を均一に加熱
することができるため、加熱硬化作業に特殊な熟練は不
要である。
【0007】その上、前記の基布が炭素繊維からなるも
のであると良い。基布をなす導電性繊維は、金属繊維等
の通電によって所要の熱を発生可能なものであれば特に
限定されないが、炭素繊維とすると、成形品の引張強度
を効果的に高めることができる。また、炭素繊維は合成
樹脂材との親和性に乏しいが、本シート状複合材では炭
素繊維に対して化学繊維が絡み合わされるため、炭素繊
維への合成樹脂材の含浸が迅速に行われる。なおこの場
合、ニードリングによって炭素繊維が折損するのを抑制
するため、予め炭素繊維をシリコンオイル系の調合油に
浸漬する等の潤滑処理を行うと良い。
【0008】一方、前記の不織繊維集合体をなす化学繊
維がポリエステル繊維であると良く、これによると、比
較的安価で強度も高く、しかも耐熱性に優れたものとす
ることができる。
【0009】また、前記第2の目的を果たすために、本
発明においては、前記のシート状複合材を筒状に曲成し
て複合管を形成するものとした。これによると、管厚が
大きく外力に対して高強度な複合管を比較的容易に製造
することが可能となる。特に、基布が通電によって発熱
する導電性繊維からなり、合成樹脂材が熱硬化性樹脂で
あると、型材によって所定の筒状に保形した状態で通電
するだけで成形され、工数をより一層削減すると共に製
造設備を簡略化することができる。
【0010】さらに、前記第3の目的を果たすために、
本発明においては、前記のシート状複合材を建造物の躯
体表面に固着して補強・補修層を形成して建造物の補修
・補強を行うものとした。これによると、厚みのある耐
候性に優れた補強層を比較的簡単に形成することができ
る。しかも、前記のシート状複合材は加工特性に優れて
いることから、建造物の外面形状に柔軟に対応可能であ
り、迅速かつ簡易な施工が可能となる。特に、基布が通
電によって発熱する導電性繊維からなり、合成樹脂材が
熱硬化性樹脂であると、シート状複合材を合成樹脂材が
未硬化の状態で建造物に貼り付けた後、電極を介して基
布に通電して合成樹脂材を加熱硬化させることで強固な
補強・補修層が形成される。このため、施工機材を簡略
化すると共に、迅速でかつ熟練を要しない施工が可能と
なる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明の構成を詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明に基づき構成されたシート
状複合材を示している。このシート状複合材1は、炭素
繊維のマルチフィラメント糸を平織して形成されたカー
ボンクロス2と、カーボンクロス2の全面に渡って均等
に通電可能なようにカーボンクロス2の両側縁部に接合
された一対の金属繊維電極3と、カーボンクロス2の一
方の面に積層された厚手のポリエステル繊維集合体4
と、カーボンクロス2の他方の面に積層された薄手のポ
リエステル繊維集合体5とからなる積層シート6にマト
リックス樹脂を含浸させてなるものである。積層シート
6をなすカーボンクロス2と金属繊維電極3とポリエス
テル繊維集合体4・5とはニードリングにより繊維が相
互に絡み合った状態になっている。
【0013】カーボンクロス2は、一対の金属繊維電極
3を介して通電することで電流に応じた温度に発熱する
ものであり、マトリックス樹脂にエポキシ樹脂等の熱硬
化性樹脂を採用することにより、カーボンクロス2への
通電によってマトリックス樹脂を加熱硬化させるように
なっている。なお、カーボンクロス2の目付、繊維径、
織物組織、並びにポリエステル繊維集合体4・5の目
付、繊維長、繊維径は、成形品に要求される強度や厚さ
等、用途に応じて適宜選択される。
【0014】金属繊維電極3は、銅製の切削繊維の繊維
束からなっている。この切削繊維は、金属板ロールの端
面を切刃で切削することで得られる極細の連続繊維であ
り、この切削繊維を複数本、縒りや平編等にて適宜結束
することで金属繊維電極3が形成される。切削繊維の線
径や本数は、成形品の形状等、用途に応じて適宜選択さ
れる。なお、この金属繊維電極3は切削繊維の不織布を
帯状に形成したものであっても良い。また、材質は銅の
他、スチール等でも良い。さらに、成形時に支障がなけ
れば、金属繊維電極3に銅棒からなる心材を設けるよう
にしても良い。
【0015】このようにしてなるシート状複合材1は以
下に説明する手順に従って製造することができる。
【0016】まず、図2に示すように、所定の目付とな
るように形成された厚手のポリエステル繊維集合体4の
上面にカーボンクロス2を重ねる。このカーボンクロス
2は、ニードリングによる炭素繊維の損傷を抑えるた
め、予めシリコン系の調合油に所定時間(例えば一昼
夜)浸漬する等して炭素繊維表面を潤滑処理しておく。
【0017】次に、金属繊維電極3を、給電装置との結
線が可能なように端部がはみ出した状態でカーボンクロ
ス2の両側部に重ねておき、比較的軽くニードリングを
行い、ポリエステル繊維集合体4にカーボンクロス2と
金属繊維電極3とを絡ませる。このとき、針深は比較的
短くして、カーボンクロス2の炭素繊維がポリエステル
繊維集合体4の裏面から突き出ないようにする。また、
ニードリング中は金属繊維電極3を引張しておく。
【0018】こうしてポリエステル繊維集合体4にカー
ボンクロス2と金属繊維電極3とが一体化されると、カ
ーボンクロス2の上面に薄手のポリエステル繊維集合体
5を重ねて置き、軽くニードリングを行い、各々の繊維
を相互に絡ませて一体化する。
【0019】以上のようにして積層シート6が製作され
ると、室温硬化樹脂によるハンドレイアップによりマト
リックス樹脂を含浸して所望の成形品を得る他、含浸さ
せたマトリックス樹脂が可塑状態のままのプリプレグシ
ートとした上で、所望の成形加工を行えば良い。本シー
ト状複合材1は、平板や後記のパイプ、あるいは波板
等、種々の形状に容易に成形可能である。
【0020】マトリックス樹脂に熱硬化性樹脂を使用し
た場合、オートクレーブやホットプレス等の加熱成形法
にて成形することも可能であるが、本シート状複合材1
は、カーボンクロス2に通電した際の発熱によってマト
リックス樹脂を加熱硬化させることが可能であり、型材
と給電装置とがあれば成形加工を行うことができ、製造
設備を極めて簡易なものとすることができる。
【0021】積層シート6にマトリックス樹脂を含浸さ
せてプリプレグシートを作成するには、例えば積層シー
ト6を二つ折りにした上でポリエチレン製のスリーブに
入れ、このスリーブの一端からマトリックス樹脂を流し
込む一方で、他端からスリーブ内の空気を真空ポンプで
吸引すれば、容易に積層シート6に樹脂を含浸させるこ
とができる。
【0022】図3は、本発明によるシート状複合材1の
中間素材であるプリプレグシート11を用いた複合管の
製作状況を示している。
【0023】まず、プリプレグシート11をコアシリン
ダ12に巻き付ける。このとき、厚手のポリエステル繊
維集合体4側を外にして、金属繊維電極3を軸線方向に
配置すると共に、この金属繊維電極3が設けられた両端
縁が所定幅に渡って互いに重なり合うように巻き付け
る。コアシリンダ12は、両端が閉止された円筒部材1
3の外周面に、ゴムチューブ14が両端全周を気密接着
された状態で装着されたものである。このコアシリンダ
12にプリプレグシート11を巻き付けるにあたり、ゴ
ムチューブ14の表面にはシリコンオイル等の剥離剤を
予め塗布しておく。
【0024】ついで、プリプレグシート11が巻き付け
られたコアシリンダ12を、二つ割りの金型15内に挿
入する。そして、コアシリンダ12内にコンプレッサ1
6からの圧縮空気を導入する。すると、図4に示すよう
に、円筒部材13の周壁部分に多数開設された通気孔1
7を経て圧縮空気がゴムチューブ14内に導入され、ゴ
ムチューブ14が膨張する。これにより、プリプレグシ
ート11が拡径して、その外面が金型15の内面に圧接
し、所定の口径、管厚に保形される。このとき、プリプ
レグシート11の両端の重合部ではポリエステル繊維集
合体4・5が適当に収縮するため、段差のない全周に渡
って略均一な管厚にすることができる。
【0025】この状態で、直流電源装置18を作動させ
て金属繊維電極3を介してカーボンクロス2に通電する
と、カーボンクロス2が発熱してマトリックス樹脂が硬
化する。これで、所定口径、管厚を有する繊維補強され
た合成樹脂製の複合管が得られる。
【0026】また、これと同様な方法で、ヒューム管等
のコンクリート管の内面に本シート状複合材からなる樹
脂ライニング層を形成することができ、これにより、高
強度で、かつ耐薬品性並びにシール性に優れた二重管を
簡単に製造することができる。この場合、金型15に代
わってコンクリート管の内部にコアシリンダ12を挿入
し、ゴムチューブ14を膨張させてプリプレグシート1
1をコンクリート管の内面に圧接させた上で、プリプレ
グシート11を加熱・硬化させれば良い。
【0027】図5は、本発明によるシート状複合材1の
中間素材であるプリプレグシート21を用いて、橋脚等
のコンクリート柱22を全体的に被覆補強する状況を示
している。所定寸法のプリプレグシート21をコンクリ
ート柱22の全周に巻き付け、給電ケーブル23を介し
て金属繊維電極3に通電してプリプレグシート21を加
熱硬化させる。この場合、加熱硬化に先だって脱泡ロー
ラで脱泡した上で仕上げローラで外面を平滑に仕上げる
ようにすると良い。
【0028】図6は、型枠を用いる場合を示している。
ここでは、前記と同様に所定寸法のプリプレグシート2
1をコンクリート柱22の全周に巻き付けた上で、方形
状断面をなすコンクリート柱22の各面に対応した型枠
パネル24を、その内面がプリプレグシート21に密着
するように建て込む。金属繊維電極3に接続された給電
ケーブル23は、型枠パネル23の上下の端部に設けら
れた切り欠きから引き出されており、これに接続された
直流電源装置18を作動してプリプレグシート21を加
熱硬化させる。なお、型枠パネル23の離型を容易にす
るため、型枠パネル23の内面にフッ素系またはシリコ
ン系の離型剤、あるいは油脂類を予め塗布しておく。
【0029】これにより厚みのある補強層がコンクリー
ト柱22の外周に形成されるが、より一層厚みのある補
強層を形成したい場合には、図7に示すように、コンク
リート柱22に巻き付けられたプリプレグシート21の
外面に対して所定寸法(例えば、5〜6mm)の間隔を
おいて、コ字形状断面をなす型枠パネル25を建て込
み、この型枠パネル25とプリプレグシート21との間
隙に、プリプレグシート21のマトリックス樹脂と同系
統の低粘性樹脂を充填する。このとき、型枠パネル25
の下端部に設けられた注入管26から注入された樹脂が
型枠パネル25の上端からオーバーフローするまで樹脂
をゆっくりと注入する。なお、前記と同様に型枠パネル
25の内面に離型剤等を予め塗布しておく。
【0030】図8は、本発明によるシート状複合材1の
中間素材であるプリプレグシート31を用いて、コンク
リート桁やビル壁といったコンクリート構造物32を部
分的に補修する状況を示している。この場合、コンクリ
ート構造物32の劣化部分を除去した後、下地処理剤3
3を塗布した上で急結性セメントモルタル等の充填材3
4を充填する。そして、平滑仕上げを行った上で、所定
寸法のプリプレグシート31をその粘着性を利用して貼
り付ける。この状態で、カーボンクロス2に通電してプ
リプレグシート31を加熱硬化する。
【0031】これによりコンクリート構造物32の表面
に強固な厚みのある補強層が形成されるが、より一層厚
みのある補強層を形成したい場合には、図9に示すよう
に、プリプレグシート31を覆うように押さえパネル3
5を設け、この押さえパネル35とプリプレグシート3
1との間の間隙に、プリプレグシート31のマトリック
ス樹脂と同系統の樹脂を充填する。押さえパネル35
は、ホールインアンカーボルト36でコンクリート構造
物32に対して固定されているが、近くの不動な物に一
端を固定した控え棒によって支持固定するようにしても
良い。
【0032】なお、以上の説明では、織布からなる基布
としてカーボンクロス2を用いたが、コストを削減する
ために縦糸のみが炭素繊維からなる織布でも良い。さら
に、電磁波シールド等の目的で高い導電性が要求される
場合等には、基布に金属繊維を用いるようにしても良
い。
【0033】また、本シート状複合材1は、使用状態で
カーボンクロス2に常時通電する構成とすればプレート
ヒータになり、融雪ヒータ等の種々の発熱装置に適用可
能である。特に、加工特性に優れていることから、比較
的複雑な形状のものにも適用可能であり、例えば屋根瓦
に適用すれば、高い強度と融雪機能とを併せ持つ利便性
の高いものとすることができる。また、パイプに適用す
れば、内部の流体を保温する機能を付加することがで
き、寒冷地に敷設されたパイプラインや水道管の凍結防
止に好適である。
【0034】
【実施例】前記のように構成されたシート状複合材1か
ら複合管を実際に製作した。まず、積層シート6の製作
例について以下に示す(図2参照)。
【0035】カーボンクロス2には、繊維径7μ、フィ
ラメント数6,000本のカーボン糸(東レ社製トレカ
T300)で、目付が480g/m2となるように平織
されたものを使用した。ポリエステル繊維集合体4・5
には、繊維長51mm、繊維径6デニールのポリエステ
ル繊維を使用し、厚手のポリエステル繊維集合体4は、
目付を1,000g/m2、薄手のポリエステル繊維集
合体5は、目付を50g/m2とした。金属繊維電極3
には、繊維径30μの銅製連続繊維を30本束ねたもの
を使用した。
【0036】厚手のポリエステル繊維集合体4は、前記
のポリエステル繊維をカードに通して製作された、見掛
けの厚さ2mm、目付200g/m2の綿状のバット
(ウェブ)を5枚積層して形成した。まず、ニードル条
件を植毛本数30万本/m2、針深15mmとして1枚
のバットに対してニードリングを行い、これに別のバッ
トを重ね合わせて前記と同様のニードル条件でニードリ
ングを行い、以下バットを1枚ずつ順次積層しながらニ
ードリングを繰り返し行って5枚のバットを一体化し
た。さらに、バットを載せずにニードリングを行う空打
を植毛本数40万本/m2、針深10mmのニードル条
件で4回行い、目付1,000g/m2のポリエステル
繊維集合体4を得た。
【0037】カーボンクロス2とポリエステル繊維集合
体4と金属繊維電極3とを一体化するニードリングは、
植毛本数40万本/m2、針深6mmのニードル条件で
2回行った。薄手のポリエステル繊維集合体5を一体化
するニードリングも、同様の植毛本数40万本/m2
針深6mmのニードル条件で1回行った。これで、各繊
維が相互に絡み合って一体化した積層シート6を得た。
【0038】次に、この積層シート6を用いた複合管の
製作例について説明する(図3参照)。
【0039】まず、軸方向長さ400mm、周方向長さ
815mmの積層シート6にエポキシ樹脂を含浸させて
プリプレグシート11を作成した。含浸樹脂量は、主剤
が730g、硬化剤が320gであった。
【0040】ついで、このプリプレグシート11を両端
部が40〜50mmの幅で重なり合うように外径φ21
0mmのコアシリンダ12に巻き付け、内径φ250m
mの金型15に挿入した。そして、カーボンクロス2に
通電してエポキシ樹脂を硬化させた。このとき、電圧
4.5V、電流8A、30分間の通電で完全硬化した。
また、電圧4V、電流6Aで10分間の通電の後、電圧
3V、電流4Aで20分間の通電を行い、合計30分間
の通電で完全硬化した。これにより、内径240mm、
管厚5mmの複合管を得た。
【0041】
【発明の効果】このように本発明によれば、基布に不織
繊維集合体を積層して繊維シート材を形成したため、繊
維シート材全体の厚みを容易に増大することができ、し
かも繊維シート材をなす基布繊維と不織繊維集合体の化
学繊維とがニードリングにより相互に絡み合った状態と
なっているため、合成樹脂材の含浸が素早く行われると
共に、シートに沿った向きのせん断強度も高められ、高
強度で厚みのある製品を簡易に製造することが可能とな
る。その上、繊維シート材を構成する不織繊維集合体に
よって、成形時の加工特性が向上する。特に、基布が通
電によって発熱する導電性繊維からなり、合成樹脂材が
基布への通電による発熱によって硬化する熱硬化性樹脂
からなるものとすると、成形加工の工数を削減すると共
に成形装置を簡略化する上で大きな効果がある。さら
に、基布が炭素繊維からなるものであると、成形品の引
張強度を高める上で効果的であり、不織繊維集合体がポ
リエステル繊維からなるものであると、比較的安価で強
度も高く、しかも耐熱性に優れたものとすることができ
る。
【0042】また、前記のシート状複合材を筒状に曲成
して形成された複合管では、管厚の大きな高強度なもの
を極めて簡単に製造することが可能となる。さらに、前
記のシート状複合材を建造物の表面に固着して補強・補
修層を形成するものとすると、厚みのある耐候性に優れ
た補強層を迅速かつ簡易に形成することができ、現場で
の施工性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシート状複合材を示す断面図。
【図2】図1に示したシート状複合材の製造過程を示す
斜視図。
【図3】本発明による複合管の製造過程を示す斜視図。
【図4】図3に示した複合管の製造過程の断面図。
【図5】本発明によるコンクリート柱の全体的な補強状
況の第1例を示す断面図。
【図6】同じく本発明によるコンクリート柱の全体的補
強状況の第2例を示す断面図。
【図7】同じく本発明によるコンクリート柱の全体的補
強状況の第3例を示す断面図。
【図8】本発明によるコンクリート構造物の部分的補修
状況の第1例を示す断面図。
【図9】同じく本発明によるコンクリート構造物の部分
的補修状況の第2例を示す断面図。
【符号の説明】
1 シート状複合材 2 カーボンクロス 3 金属繊維電極 4・5 ポリエステル繊維集合体 6 積層シート 11 プリプレグシート 12 コアシリンダ 13 円筒部材 14 ゴムチューブ 15 金型 16 コンプレッサ 17 通気孔 18 直流電源装置 21 プリプレグシート 22 コンクリート柱 23 給電ケーブル 24 型枠パネル 25 型枠パネル 26 注入管 31 プリプレグシート 32 コンクリート構造物 33 下地処理剤 34 充填材 35 押さえパネル 36 アンカーボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 健三 埼玉県蕨市南町2−11−7−301 (72)発明者 城戸 賢彦 埼玉県鴻巣市原馬室88番地 日本フエルト 株式会社埼玉工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑状態の合成樹脂材を繊維シート材
    に含ませてなるシート状複合材であって、 前記繊維シート材が、織布からなる基布と、該基布の少
    なくとも一面に積層されてニードリングにより一体化さ
    れる化学繊維からなる不織繊維集合体とを有することを
    特徴とするシート状複合材。
  2. 【請求項2】 前記基布は、通電によって発熱する導
    電性繊維からなり、前記合成樹脂材は、前記基布への通
    電による発熱によって硬化する熱硬化性樹脂からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のシート状複合材。
  3. 【請求項3】 前記基布は炭素繊維からなることを特
    徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のシート状複
    合材。
  4. 【請求項4】 前記不織繊維集合体はポリエステル繊
    維からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載のシート状複合材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載のシート状複合材を筒状に曲成してなることを特徴と
    する複合管。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載のシート状複合材を建造物に固着して補強・補修層を
    形成することを特徴とする建造物の補強・補修方法。
JP19220697A 1997-07-17 1997-07-17 シート状複合材、複合管及び建造物の補強・補修方法 Pending JPH1134197A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100747746B1 (ko) 2006-03-15 2007-08-17 현대본드에스티에스 주식회사 튜브 제조장치
JP4751334B2 (ja) * 2004-09-30 2011-08-17 齊藤 武久 発熱ホース
KR101258708B1 (ko) 2006-10-10 2013-04-26 에스케이케미칼주식회사 콘크리트 구조물의 보강방법
CN103722830A (zh) * 2013-12-25 2014-04-16 苏州曼诚纺织有限公司 一种防静电保暖面料
JP2018188779A (ja) * 2017-05-12 2018-11-29 東レ・デュポン株式会社 補強用布帛
JP2020011454A (ja) * 2018-07-19 2020-01-23 東レ・デュポン株式会社 補強用複合シート

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