JPH11381A - 殺菌方法および殺菌装置 - Google Patents

殺菌方法および殺菌装置

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JPH11381A
JPH11381A JP9169575A JP16957597A JPH11381A JP H11381 A JPH11381 A JP H11381A JP 9169575 A JP9169575 A JP 9169575A JP 16957597 A JP16957597 A JP 16957597A JP H11381 A JPH11381 A JP H11381A
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潔 早川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大掛りな高圧発生装置を必要とすることなく
簡便に高圧を発生させ、食品や医療用具、酵素液や血清
などの効果的な殺菌処理を行うことができる方法を提供
する。 【解決手段】 可撓性の容器16内に被殺菌物およびそ
の周囲を満たす液体を密封し、また、可撓性の容器16
内に被殺菌液を密封し、その容器を耐圧容器本体10内
に収容した後、耐圧容器本体内に凍結媒体18を充満さ
せて密栓14により液体注入口12を閉塞し、耐圧容器
を冷却させて内部の凍結媒体を凍結させ、耐圧容器内部
に凍結媒体の凍結に伴う高圧を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、細菌類や黴など
の各種微生物を死滅させる殺菌方法、特に、高圧と低温
を利用した簡易な殺菌方法、ならびに、その方法の実施
に使用される殺菌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種微生物の物理的殺菌法として、加
熱、冷凍、紫外線照射などといった一般に広く行われて
いる方法のほか、微生物を高圧雰囲気中に置いて死滅さ
せる方法があり、この高圧処理による殺菌法は、被殺菌
物の劣化や変性を伴わずに殺菌することができるため、
近年、主に食品の殺菌法として検討され一部で用いられ
てきた。また、殺菌効果を高めるために、低温下で高圧
処理する殺菌法も検討されている。
【0003】上記した高圧殺菌では、微生物を有効に死
滅させるために、例えば100MPa前後以上といった
高圧を必要とし、従来は、油圧ポンプなどを用いて高圧
を発生させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高圧殺菌法では、高圧を発生させるために大掛りな高圧
発生装置を必要とし、従来から行われている他の殺菌法
に比べて多大な装置コストを要する、といった問題点が
ある。そして、より殺菌効果を高めようとすると、さら
に高い圧力で微生物を処理する必要があり、殺菌性の向
上には装置コストの増大を伴うこととなる。
【0005】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたものであり、大掛りな高圧発生装置を必要とする
ことなく簡便に高圧を発生させて、食品や医療用具等の
食品以外の物品、酵素液、血清等の生体液や液状の医薬
品などの殺菌処理を行うことができる殺菌方法、ならび
に、その方法を好適に実施することができる殺菌装置を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
被殺菌物を耐圧容器内に収容し、その耐圧容器内に液体
状態の凍結媒体を充満させて気体を排除した状態で、耐
圧容器内に被殺菌物と凍結媒体とを密封した後、耐圧容
器を冷却させて内部の凍結媒体の全部または一部を凍結
させることにより殺菌することを特徴とする。
【0007】請求項2に係る発明は、被殺菌液を耐圧容
器内に充満させて気体を排除した状態で、耐圧容器内に
被殺菌液を密封した後、耐圧容器を冷却させて内部の被
殺菌液の全部または一部を凍結させることにより殺菌す
ることを特徴とする。
【0008】請求項3に係る発明は、被殺菌物およびそ
の周囲を満たすための充填液体と、液体状態の凍結媒体
とを、変形可能な隔離部材によって互いに隔て、かつ、
耐圧容器内に充満させて気体を排除した状態で、耐圧容
器内に被殺菌物および充填液体と凍結媒体とを密封した
後、耐圧容器を冷却させて内部の凍結媒体の全部または
一部を凍結させることにより殺菌することを特徴とす
る。
【0009】請求項4に係る発明は、請求項3記載の殺
菌方法において、被殺菌物を変形可能なプラスチック製
容器または袋内に収容し、その容器または袋内に充填液
体を充満させて気体を排除した状態で、容器または袋内
に被殺菌物と充填液体とを密封したものを、耐圧容器内
に収容した後、その耐圧容器内に液体状態の凍結媒体を
充満させて気体を排除した状態で、耐圧容器内に被殺菌
物および充填液体と凍結媒体とを密封することを特徴と
する。
【0010】請求項5に係る発明は、被殺菌物と液体状
態の凍結媒体とを、変形可能な隔離部材によって互いに
隔て、かつ、耐圧容器内に充満させて気体を排除した状
態で、耐圧容器内に被殺菌液と凍結媒体とを密封した
後、耐圧容器を冷却させて内部の凍結媒体の全部または
一部を凍結させることにより殺菌することを特徴とす
る。
【0011】請求項6に係る発明は、請求項5記載の殺
菌方法において、被殺菌液を変形可能なプラスチック製
容器または袋内に充満させて気体を排除した状態で、容
器または袋内に被殺菌液を密封したものを、耐圧容器内
に収容した後、その耐圧容器内に液体状態の凍結媒体を
充満させて気体を排除した状態で、耐圧容器内に被殺菌
液と凍結媒体とを密封することを特徴とする。
【0012】請求項7に係る発明は、液体状態の凍結媒
体と不凍液体とを、変形可能な隔離部材によって互いに
隔て、かつ、第1の耐圧容器内に充満させて気体を排除
した状態で、第1の耐圧容器内に凍結媒体と不凍液体と
を密封したものを、冷却させて、内部の凍結媒体の全部
または一部を凍結させ、その時に発生する圧力を、第2
の耐圧容器内に密封された被殺菌物およびその周囲を満
たす充填液体または被殺菌液に対し、前記不凍液体を介
して作用させることにより殺菌することを特徴とする。
【0013】請求項8に係る発明は、請求項7記載の殺
菌方法において、凍結媒体を変形可能なプラスチック製
容器または袋内に充満させて気体を排除した状態で、容
器または袋内に凍結媒体を密封したものを、第1の耐圧
容器内に収容した後、その第1の耐圧容器内に不凍液体
を充満させて気体を排除した状態で、第1の耐圧容器内
に凍結媒体と不凍液体とを密封したものを使用すること
を特徴とする。
【0014】請求項9に係る発明は、請求項1または請
求項3ないし請求項8のいずれかに記載の殺菌方法にお
いて、凍結媒体として、冷却させたときに凍結と共晶生
成により膨張する塩類溶液を用いることを特徴とする。
【0015】請求項10に係る発明は、内部に液体を収
容可能で、液体注入口が形設された耐圧容器本体と、こ
の耐圧容器本体の前記液体注入口を、耐圧容器本体の内
部圧力の上昇時にも液密に閉塞する密栓とから殺菌装置
を構成したことを特徴とする。
【0016】請求項11に係る発明は、内部がダイヤフ
ラムによって2つの室に仕切られ、一方の室が密閉され
てその内部に凍結媒体が充満させられるとともに、他方
の室の内部に液体を収納可能でその他方の室側に液体注
入口が形設された耐圧容器本体と、この耐圧容器本体の
前記液体注入口を、耐圧容器本体の内部圧力の上昇時に
も液密に閉塞する密栓とから殺菌装置を構成したことを
特徴とする。
【0017】請求項12に係る発明は、密閉された内部
に、凍結媒体を充満させて密封した変形可能なプラスチ
ック製容器もしくは袋が収容され、その容器もしくは袋
の周囲が不凍液体で満たされた圧力発生側耐圧容器、ま
たは、内部がダイヤフラムによって2つの室に仕切ら
れ、一方の室が密閉されてその内部に凍結媒体が充満さ
せられるとともに、他方の室が密閉されてその内部に不
凍液体が充満させられた圧力発生側耐圧容器と、内部に
不凍液体を収容可能で、開口部が形設された殺菌側耐圧
容器本体、または、内部がダイヤフラムによって2つの
室に仕切られ、一方の室が密閉されてその内部に不凍液
体が充満させられるとともに、他方の室の内部に液体を
収納可能でその他方の室側に液体注入口が形設された殺
菌側耐圧容器本体と、前記殺菌側耐圧容器本体の開口部
または前記殺菌側耐圧容器本体の液体注入口を、殺菌側
耐圧容器本体の内部圧力の上昇時にも液密に閉塞する密
栓と、前記圧力発生側耐圧容器の内部または前記圧力発
生側耐圧容器の他方の室の内部と、前記殺菌側耐圧容器
本体の内部または前記殺菌側耐圧容器本体の一方の室の
内部とを連通させ、内部に不凍液体が充満させられた耐
圧配管とから殺菌装置を構成したことを特徴とする。
【0018】請求項1に係る発明の殺菌方法では、耐圧
容器内に充満させられて密封された凍結媒体、例えば水
が、氷点以下の温度に冷却されて凍結することにより、
また、請求項2に係る発明の殺菌方法では、耐圧容器内
に充満させられて密封された被殺菌液、例えば酵素液
が、凝固点以下の温度に冷却されて凍結することによ
り、それぞれ体積膨張するが、凍結媒体または被殺菌液
は、耐圧容器内に封じ込められていて、耐圧容器の内壁
面により内容物全体としての体積膨張が抑えられ、それ
に伴って耐圧容器内部に高圧が発生する。この高圧によ
る殺菌作用と凍結による殺菌作用とにより、被殺菌物に
付着しまたは被殺菌液中に存在する細菌類や黴などの微
生物が死滅する。
【0019】請求項3に係る発明の殺菌方法では、耐圧
容器内に充満させられて密封され変形可能な隔離部材に
よって互いに隔てられた充填液体と凍結媒体とのうち、
凍結媒体、例えば水が、また、請求項5に係る発明の殺
菌方法では、耐圧容器内に充満させられて密封され変形
可能な隔離部材によって互いに隔てられた被殺菌液、例
えば酵素液と凍結媒体とのうち、凍結媒体、例えば水
が、氷点以下の温度に冷却されて凍結することにより体
積膨張するが、凍結媒体および充填液体または被殺菌液
は、耐圧容器内に封じ込められていて、耐圧容器の内壁
面により内容物全体としての体積膨張が抑えられ、それ
に伴って耐圧容器内部に高圧が発生し、その高圧が、凍
結媒体と隔離部材で隔てられた充填液体または被殺菌液
にかかる。この高圧による殺菌作用と低温による殺菌作
用とにより、充填液体中の被殺菌物に付着しまたは被殺
菌液中に存在する細菌類や黴などの微生物が死滅する。
【0020】請求項4および請求項6に係る各発明の殺
菌方法では、耐圧容器内に充満させられて密封された凍
結媒体が、凝固点以下の温度に冷却されて凍結すること
により体積膨張するが、耐圧容器の内壁面により内容物
全体としての体積膨張が抑えられ、それに伴って耐圧容
器内部に発生した高圧が、プラスチック製容器または袋
内に充満させられて密封された充填液体または被殺菌液
にかかり、充填液中の被殺菌物または被殺菌液の殺菌が
行われる。
【0021】請求項7に係る発明の殺菌方法では、第1
の耐圧容器内に充満させられて密封され変形可能な隔離
部材によって互いに隔てられた凍結媒体と不凍液体との
うち、凍結媒体、例えば水が、氷点以下の温度に冷却さ
れて凍結することにより体積膨張するが、凍結媒体およ
び不凍液体ならびに充填液体または酵素液は、第1およ
び第2の各耐圧容器内に封じ込められていて、第1およ
び第2の各耐圧容器の内壁面により内容物全体としての
体積膨張が抑えられ、それに伴って耐圧容器内部に高圧
が発生し、その高圧が、第2の耐圧容器内に密封された
充填液体または被殺菌液にかかる。この高圧による殺菌
作用により、充填液体中の被殺菌物に付着しまたは被殺
菌液中に存在する細菌類や黴などの微生物が死滅する。
【0022】請求項8に係る発明の殺菌方法では、プラ
スチック製容器または袋内に充満させられて密封された
凍結媒体が、凝固点以下の温度に冷却されて凍結するこ
とにより体積膨張するが、第1および第2の各耐圧容器
の内壁面により内容物全体としての体積膨張が抑えら
れ、それに伴って耐圧容器内部に発生した高圧が、第2
の耐圧容器内の充填液体または被殺菌液にかかり、充填
液体中の被殺菌物または被殺菌液の殺菌が行われる。
【0023】請求項9に係る発明の殺菌方法では、凍結
媒体が冷却されて凍結するときの体積膨張が、水を冷却
して凍結させるときの体積膨張より大きくなるので、耐
圧容器の内部により高い圧力が発生する。
【0024】請求項10に係る発明の殺菌装置を使用す
るには、耐圧容器本体内に被殺菌物を収容し、その耐圧
容器本体内に液体注入口を通して凍結媒体、例えば水を
注入し、耐圧容器本体内に水を充満させて気体を排除し
た状態で、液体注入口を密栓によって液密に閉塞し、耐
圧容器本体内に被殺菌物と水とを密封し、または、耐圧
容器本体内に液体注入口を通して被殺菌液、例えば酵素
液を注入し、耐圧容器本体内に酵素液を充満させて気体
を排除した状態で、液体注入口を密栓によって液密に閉
塞し、耐圧容器本体内に酵素液を密封する。あるいは、
耐圧容器本体内に、被殺菌物とその周囲を満たす充填液
体とが密封されたプラスチック製容器または袋を収容
し、または、被殺菌液、例えば酵素液が密封されたプラ
スチック製容器または袋を収容し、その耐圧容器本体内
に液体注入口を通して凍結媒体、例えば水を注入し、耐
圧容器本体内に水を充満させて気体を排除した状態で、
液体注入口を密栓によって液密に閉塞し、耐圧容器本体
内に被殺菌物および充填液体または酵素液と水とを密封
する。その後に、耐圧容器本体を冷却して内部の水を氷
点以下の温度で凍結させることにより、上記したよう
に、耐圧容器本体の内部に高圧が発生して、高圧による
殺菌作用と凍結による殺菌作用または低温による殺菌作
用とにより、被殺菌物に付着しまたは酵素液中に存在す
る細菌類や黴などの微生物が死滅する。
【0025】請求項11に係る発明の殺菌装置を使用す
るには、耐圧容器本体の他方の室内に被殺菌物を収容
し、その他方の室内に液体注入口を通して不凍液体を注
入し、他方の室内に不凍液体を充満させて気体を排除し
た状態で、液体注入口を密栓によって液密に閉塞し、他
方の室内に被殺菌物と不凍液体とを密封し、または、耐
圧容器本体の他方の室内に液体注入口を通して被殺菌
液、例えば酵素液を注入し、他方の室内に酵素液を充満
させて気体を排除した状態で、液体注入口を密栓によっ
て液密に閉塞し、他方の室内に酵素液を密封する。その
後に、耐圧容器本体を冷却して、一方の室内に密封され
た凍結媒体、例えば水を氷点以下の温度で凍結させるこ
とにより、上記したように、耐圧容器本体の内部に高圧
が発生して、高圧による殺菌作用と低温による殺菌作用
とにより、被殺菌物に付着しまたは酵素液中に存在する
細菌類や黴などの微生物が死滅する。
【0026】請求項12に係る発明の殺菌装置を使用す
るには、殺菌側耐圧容器本体の他方の室内に被殺菌物を
収容し、その他方の室内に液体注入口を通して不凍液体
を注入し、他方の室内に不凍液体を充満させて気体を排
除した状態で、液体注入口を密栓によって液密に閉塞
し、他方の室内に被殺菌物と不凍液体とを密封し、また
は、殺菌側耐圧容器本体の他方の室内に液体注入口を通
して被殺菌液、例えば酵素液を注入し、他方の室内に酵
素液を充満させて気体を排除した状態で、液体注入口を
密栓によって液密に閉塞し、他方の室内に酵素液を密封
する。そして、圧力発生側耐圧容器を冷却して、圧力発
生側耐圧容器内部に収容されたプラスチック製容器もし
くは袋内の凍結媒体、例えば水を氷点以下の温度で凍結
させることにより、または、圧力発生側耐圧容器の一方
の室内に密封された凍結媒体、例えば水を氷点以下の温
度で凍結させる。これにより、上記したように、圧力発
生側耐圧容器の内部に高圧が発生する。発生した高圧
は、圧力発生側耐圧容器内の容器もしくは袋の周囲を満
たす不凍液体、または、圧力発生側耐圧容器の他方の室
内に充満した不凍液体、および、耐圧配管内に充満した
不凍液体を介し、殺菌側耐圧容器本体内の被殺菌物およ
びその周囲を満たす不凍液体に作用し、または、さらに
殺菌側耐圧容器本体の一方の室内の不凍液体を介して他
方の室内の酵素液に作用する。この高圧による殺菌作用
により、被殺菌物に付着しまたは酵素液中に存在する細
菌類や黴などの微生物が死滅する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
について図1ないし図4を参照しながら説明する。
【0028】図1は、この発明に係る殺菌方法を実施す
るために使用される殺菌装置の構成の1例を示す概略縦
断面図である。この殺菌装置は、内部に液体を収容可能
で、液体注入口12が形設された耐圧容器本体10と、
この耐圧容器本体10の液体注入口12を閉塞する密栓
14とから構成されている。耐圧容器本体10は、例え
ば100〜200MPa以上の高圧に耐える構造を有し
ており、例えばステンレス鋼材で厚肉に形成されてい
る。密栓14は、耐圧容器本体10の内部圧力が100
〜200MPa以上に上昇しても、内部に密封された液
体が漏出しないように、耐圧容器本体10の液体注入口
12を液密に閉塞することができる構造となっている。
【0029】被殺菌物、例えば医療用具の殺菌処理を行
おうとするときは、まず、医療用具を変形可能なプラス
チック製容器16(または袋)内に収容し、その容器1
6内に充填液体、例えば水、エタノールなどを充満させ
て空気を排除し、容器16内に医療用具と充填液体とを
密封する。また、被殺菌液、例えば酵素液の殺菌処理を
行おうとするときは、酵素液をプラスチック際容器16
(または袋)内に充満させて空気を排除し、容器16内
に酵素液を密封する。そして、容器16を耐圧容器本体
10内に収容した後、耐圧容器本体10内に液体注入口
12を通して液体状態の凍結媒体18を注入し、耐圧容
器本体10内に凍結媒体18を充満させて空気を排除
し、その状態で密栓14により液体注入口12を閉塞し
て、耐圧容器本体10内に、容器16内に密封された医
療用具および充填液体または酵素液と凍結媒体18とを
密封する。凍結媒体としては、水あるいは硫酸マグネシ
ウムや硫酸カリウム等の塩類の水溶液などが使用され
る。この凍結媒体の条件は、常温で液状であって取扱い
が容易であり、適当な温度、例えば0〜−20℃程度の
温度で凝固し、凝固時に体積膨張することであり、凝固
時の体積膨張が大きいもの程好ましい。
【0030】医療用具および充填液体または酵素液が入
った容器16を収容し凍結媒体18を密封した耐圧容器
本体10と密栓14とからなる殺菌装置は、冷凍庫内へ
入れられ、冷却される。殺菌装置が冷却されて、凍結媒
体18の温度が凝固点以下(凍結媒体18が水であると
きは氷点以下)となることにより、凍結媒体18が凝固
し始め、凍結媒体18の温度の低下に従って凍結媒体1
8の凍結が進み、凍結に伴って凍結媒体18が部分的に
体積膨張する。ところが、凍結媒体18は、耐圧容器本
体10内に充満した状態で密封されているため、耐圧容
器本体10の内壁面により内容物全体としての体積膨張
が抑えられ、それに伴って耐圧容器本体10の内部に高
圧が発生する。そして、凍結媒体18の凍結により発生
した高圧が、プラスチック製容器16内に密封された充
填液体または酵素液にかかり、その高圧による殺菌作用
と低温による殺菌作用とにより、医療用具に付着した
(または酵素液中に存在する)細菌類などの微生物が死
滅する。
【0031】なお、上記した殺菌処理では、被殺菌物を
プラスチック製容器16内に収容し、その容器16内に
充填液体を充満させて密封し、また、被殺菌液をプラス
チック製容器16内に充満させて密封し、その容器16
を耐圧容器本体10内に収容し、その耐圧容器10内に
凍結媒体18を充満させて密封し、この殺菌装置を冷却
するようにしたが、被殺菌物をそのまま耐圧容器本体1
0内に収容し、その耐圧容器本体10内に凍結媒体を充
満させて密封し、また、被殺菌液をそのまま耐圧容器本
体10内に注入し充満させて密封し、この殺菌装置を冷
却するようにしてもよい。このときは、高圧による殺菌
作用と凍結による殺菌作用とにより、微生物を死滅させ
ることができる。また、充填液体、例えばエタノールと
接触すると不都合を生じる物品を殺菌処理したり、食肉
等の食品を殺菌処理したりする場合などには、それらの
物品や食品を真空包装して、その被殺菌物をプラスチッ
ク製容器16内に収容したりそのまま耐圧容器本体10
内に収容したりするとよい。
【0032】図2は、殺菌装置の別の構成例を示す概略
縦断面図である。この殺菌装置は、ステンレス鋼材など
で厚肉に形成され耐圧構造を有する耐圧容器本体20の
内部が、変形可能なダイヤフラム(仕切り板もしくは
膜)22によって2つの室、すなわち凍結室24と殺菌
室26とに仕切られている。凍結室24は、密閉されて
その内部に凍結媒体28が常に充満させられている。殺
菌室26側には液体注入口30が形設されており、液体
注入口30は密栓32によって液密に閉塞され、内部圧
力の上昇時にも内部に密封された液体が漏出しない構造
となっている。
【0033】図2に示した殺菌装置を使用して被殺菌
物、例えば医療用具の殺菌処理を行おうとするときは、
医療用具34を殺菌室26内に収容し、その殺菌室26
内に水、エタノールなどの充填液体36を充満させて空
気を排除し、その状態で密栓32により液体注入口30
を閉塞して、殺菌室26内に医療用具34および充填液
体36を密封する。また、被殺菌液、例えば酵素液の殺
菌処理を行おうとするときは、酵素液を殺菌室26内に
注入して充満させ、空気を排除した状態で密栓32によ
り液体注入口30を閉塞して、殺菌室26内に酵素液を
密封する。そして、この殺菌装置を冷凍庫内で冷却す
る。殺菌装置が冷却されて、凍結室24内の凍結媒体2
8の温度が凝固点以下に下降すると、凍結媒体28が凝
固し始め、凍結媒体28の温度の低下に従って凍結媒体
28の凍結が進み、凍結に伴って凍結媒体28が体積膨
張する。ところが、凍結媒体28は、耐圧容器本体20
の凍結室24内に充満した状態で密封され、殺菌室26
内には充填液体36(または酵素液)が充満した状態で
密封されているため、耐圧容器本体20の内壁面により
内容物全体としての体積膨張が抑えられ、それに伴って
耐圧容器本体20の内部に高圧が発生する。そして、凍
結媒体28の凍結により発生した高圧が、殺菌室26内
に密封された充填液体36(または酵素液)にかかり、
その高圧による殺菌作用と低温による殺菌作用とによ
り、医療用具34に付着した(または酵素液中に存在す
る)細菌類などの微生物が死滅する。
【0034】次に、図3は、殺菌装置のさらに別の構成
例を示す概略縦断面図である。この殺菌装置は、圧力発
生側耐圧容器38と殺菌側耐圧容器40と耐圧配管42
とから構成されている。圧力発生側耐圧容器38は、ス
テンレス鋼材などで厚肉に形成されて耐圧構造を有し、
内部に、凍結媒体が密封されたプラスチック製袋44
(または容器)が収容されている。袋44の周囲は不凍
液体、例えばエタノール46で満たされている。また、
殺菌側耐圧容器40は、ステンレス鋼材などで厚肉に形
成されて耐圧構造を有し、液体注入口50が形設された
耐圧容器本体48と、耐圧容器本体48の内部圧力の上
昇時にも液体注入口50を液密に閉塞する密栓52とか
ら構成されている。さらに、耐圧配管42も耐圧構造を
有しており、耐圧配管42によって圧力発生側耐圧容器
38の内部と殺菌側耐圧容器40の耐圧容器本体48の
内部とが連通されている。そして、耐圧配管42の内部
にエタノールが充填されている。
【0035】図3に示した殺菌装置を使用して、例えば
酵素液の殺菌処理を行うには、まず、酵素液をプラスチ
ック製容器54(または袋)内に充満させて空気を排除
し、容器54内に酵素液を密封する。次に、容器54を
殺菌側耐圧容器40の耐圧容器本体48内に収容した
後、耐圧容器本体48内にエタノール46を充満させて
空気を排除し、その状態で密栓52により液体注入口5
0を閉塞して、殺菌側耐圧容器40内に、容器54内に
密封された酵素液およびその周囲を満たすエタノール4
6を密封する。そして、圧力発生側耐圧容器38を冷凍
庫内へ入れて、その耐圧容器38を冷却する。耐圧容器
38が冷却されて、その内部の袋44内に密封された凍
結媒体の温度が凝固点以下となることにより、凍結媒体
が凝固し始め、温度低下に従って凍結媒体の凍結が進
み、凍結に伴って凍結媒体が膨張しようとする。ところ
が、圧力発生側耐圧容器38は、袋44に入った凍結媒
体とエタノール46とによって満たされ、耐圧配管42
内にはエタノールが充填され、殺菌側耐圧容器40内
は、容器54に入った酵素液とエタノール46とによっ
て満たされているため、圧力発生側耐圧容器38および
殺菌側耐圧容器40の各内壁面により内容物全体として
の体積膨張が抑えられ、それに伴って圧力発生側耐圧容
器38の内部ならびにそれと連通した殺菌側耐圧容器4
0の内部に高圧が発生する。この発生した高圧が、プラ
スチック製容器54内に密封された酵素液にかかり、そ
の高圧による殺菌作用により、酵素液中に存在する細菌
類などの微生物が死滅する。
【0036】また、図4は、殺菌装置のさらに別の構成
例を示す概略縦断面図である。この殺菌装置は、圧力発
生側耐圧容器54と殺菌側耐圧容器40と耐圧配管42
とから構成されている。圧力発生側耐圧容器54は、ス
テンレス鋼材などで厚肉に形成されて耐圧構造を有して
おり、内部が変形可能なダイヤフラム56によって2つ
の室、すなわち凍結室58と不凍室60とに仕切られて
いる。凍結室58は、密閉されてその内部に凍結媒体6
2が常に充満させられている。不凍室60内は、不凍液
体、例えばエタノール46で満たされている。殺菌側耐
圧容器40および耐圧配管42は、図3に示した殺菌装
置と同じであり、耐圧配管42によって圧力発生側耐圧
容器54の不凍室60の内部と殺菌側耐圧容器40の耐
圧容器本体48の内部とが連通されている。
【0037】図4に示した殺菌装置を使用して、例えば
食肉の殺菌処理を行うには、食肉を真空包装し、その真
空包装物64をそのまま殺菌側耐圧容器40の耐圧容器
本体48内に収容し、耐圧容器本体48内にエタノール
46を充満させて空気を排除した状態で蜜栓52により
液体注入口50を閉塞し、殺菌側耐圧容器40内に真空
包装物64およびエタノール46を密封する。そして、
圧力発生側耐圧容器54を冷凍庫内へ入れて、その耐圧
容器54を冷却する。耐圧容器54が冷却されて凍結室
58内の凍結媒体62の温度が凝固点以下に下降する
と、凍結媒体62が凝固し始め、温度低下に従って凍結
媒体62の凍結が進み、凍結に伴って凍結媒体62が膨
張しようとする。ところが、圧力発生側耐圧容器54の
凍結室58および不凍室60は、凍結媒体62およびエ
タノール46によってそれぞれ満たされ、耐圧配管42
内にはエタノールが充填され、殺菌側耐圧容器40内
は、エタノール46によって満たされているため、圧力
発生側耐圧容器54および殺菌側耐圧容器40の各内壁
面により内容物全体としての体積膨張が抑えられ、それ
に伴って圧力発生側耐圧容器54の内部ならびにそれと
連通した殺菌側耐圧容器40の内部に高圧が発生する。
この発生した高圧が真空包装物64にかかり、その高圧
による殺菌作用により、真空包装された食肉に付着した
細菌類などの微生物が死滅する。
【0038】なお、図3および図4にそれぞれ示した殺
菌装置において、殺菌側耐圧容器を、図2に示したよう
な構成とし、圧力発生側耐圧容器38の内部または圧力
発生側耐圧容器54の不凍室60の内部と殺菌側耐圧容
器の一方の室の内部とを耐圧配管によって連通させるよ
うな構成とすることもできる。
【0039】
【実施例】以下、この発明のより具体的な実施例につい
て、実験例およびその結果を示しながら説明する。
【0040】[実験方法] 〔1.実験材料の調製〕耐塩性の味噌用酵母チゴサッカ
ロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomy
ces rouxii) IAM 12880を5%加
塩の麦芽汁培地において30℃の温度で5日間培養し、
菌体を滅菌水で洗浄した後、菌体を滅菌水に懸濁させ、
その懸濁液0.3mlをプラスチック袋内に密封して被
加圧試料aとした。非耐塩性酵母サッカロマイセス・セ
レビシエ(Saccharomyces cerevi
siae) IAM 4274を麦芽汁培地において、
乳酸菌ラクトバチルス・ブレビス(Lactobaci
llus brevis)IFO 12005をGYP
培地において、大腸菌エッセリシア・コリー(Esch
erichia coli) IFO 3972をミュ
ーラー・ヒントン培地において、それぞれ30℃の温度
で2日間培養し、それぞれ菌体を滅菌水で洗浄した後、
それぞれ菌体を滅菌水に懸濁させ、それぞれ懸濁液0.
3mlをプラスチック袋内に密封して、それぞれ被加圧
試料b、c、dとした。また、麹黴アスペルギルス・オ
リゼー(Aspergillus oryzae) H
−3およびアスペルギルス・ニガー(Aspergil
lus niger) IFO 9455をそれぞれ、
ポテトデキストロース寒天培地において30℃の温度で
7日間培養し、それぞれ発生した胞子を滅菌水に懸濁さ
せ、それぞれ懸濁液0.3mlをプラスチック袋内に密
封して、それぞれ被加圧試料e、fとした。
【0041】〔2.高圧発生の方法〕耐圧容器として、
図5に縦断面図を示すような構造のステンレス製耐圧容
器(コマ・インターナショナル社製、耐圧性300気
圧、内部充填容量20ml、L1=283mm、L2=
241mm、L3=174mm、D=38.1mm)を
用い、この耐圧容器内に被加圧試料a〜fをそれぞれ収
容し、耐圧容器内から蒸留水をオーバーフローさせなが
ら耐圧容器内に蒸留水を充満させ、耐圧容器内に被加圧
試料および蒸留水を密封した。この耐圧容器を、各種の
温度に設定された冷凍庫内へ入れ、24時間冷却した。
また、比較試験のために外部からの加圧を行う装置とし
て、三菱重工業(株)製の食品用加圧試験装置(MFP
−7000)を使用した。
【0042】〔3.耐圧容器の内部に発生する圧力の測
定方法〕図6に縦断面図を示すように、圧力計(長野計
器(株)製、ダイヤフラム式、Type KH78型)
66が接続された耐圧容器(光高圧(株)製、内容量1
67ml)68内に、水を密封したゴム風船(空気を抜
き木綿糸で封止したもの)70を収容し、その周囲をエ
タノール(不凍液体、圧力伝達媒体)72で満たし、上
部開口からエタノールをオーバーフローさせながら密栓
74で上部開口を閉塞して、水を密封したゴム風船70
およびエタノール72を耐圧容器68内に密封した。こ
の際、圧力計66に接続したチューブ76内および耐圧
容器68内の空気を完全に追い出してエタノール72で
置換するようにした。そして、耐圧容器68を、所定の
温度に設定された恒温槽78内に貯留された冷媒(エタ
ノールと水)80中に浸漬させて冷却し、耐圧容器68
の内部に発生する圧力を測定した。
【0043】〔4.菌数の測定方法〕耐塩性味噌用酵母
チゴサッカロマイセス・ルキシー IAM 12880
については5%加塩の麦芽寒天培地を用い、非耐塩性酵
母サッカロマイセス・セレビシエ IAM 4274に
ついては麦芽寒天培地を用い、麹黴アスペルギルス・オ
リゼー H−3およびアスペルギルス・ニガー IFO
9455についてはそれぞれポテトデキストロース寒
天培地を用い、乳酸菌ラクトバチルス・ブレビス IF
O 12005についてはBCPプレートカウントアガ
ールを用い、大腸菌エッセリシア・コリー IFO 3
972についてはミューラー・ヒントン寒天培地を用い
て、それぞれ希釈平板培養法により菌数を測定する。
【0044】[実験結果] 〔1.耐圧容器の内部での高圧の発生〕図6に示した装
置を使用し、ゴム風船70内に140mlの水を密封
(耐圧容器68内のエタノール量27ml)した耐圧容
器68を、−22℃の温度に設定された恒温槽78内の
冷媒80中に浸漬させたとき、耐圧容器68の冷却によ
る耐圧容器68内部の圧力上昇は、図7に示すような曲
線となった。すなわち、耐圧容器68内部の圧力上昇
は、耐圧容器68を恒温槽78内の−22℃の冷媒80
中に浸漬させてから15分後に始まり、時間の経過に従
って圧力が上昇していき、1時間後に141MPaの圧
力に達して、平衡状態となった。
【0045】また、恒温槽78の設定温度を−5℃、−
10℃、−15℃、−20℃および−22℃とし、その
各温度の冷媒80中に耐圧容器68を30分以上浸漬さ
せた後に、耐圧容器68の内部の圧力を測定した結果、
−5℃のときに60MPa、−10℃のときに103M
Pa、−15℃〜−22℃のときに141MPaとなっ
た。この結果を図8に、ブリッジマン(Bridgem
an)の水・氷の平衡曲線Aと共に示す。
【0046】図8に示すように、実験の結果は−15℃
近辺まで水・氷の平衡曲線Aに重なるが、その後は、温
度降下させても耐圧容器68内部の圧力上昇はみられな
い。この実験結果は、以下のことを示していると考えら
れる。すなわち、耐圧容器68を冷却すると、ゴム風船
70内において0℃以下の温度で氷が生成し、ゴム風船
70の体積が膨張するが、耐圧容器68の内壁面によっ
て内容物全体としての体積膨張が抑えられるため、それ
に伴って耐圧容器68内部の圧力が上昇するとともに、
耐圧容器68内のエタノール72およびゴム風船70内
の水と氷がそれぞれ圧縮される。そして、耐圧容器68
内部に発生した圧力は、ブリッジマンの平衡曲線Aに従
ってゴム風船70内の水の氷点を降下させる。一方、耐
圧容器68は継続的に温度降下し続けているため、ゴム
風船70内での新たな氷の生成、耐圧容器68内部の圧
力上昇、耐圧容器68内のエタノール72およびゴム風
船70内の水と氷の圧縮、ならびに、ゴム風船70内の
水の氷点降下が同時的に進行すると考えられる。そし
て、ゴム風船70内に未凍結水が存在する間は、温度・
圧力は、平衡曲線A上を低温・高圧側へと変化し、未凍
結水が無くなると、水の凍結に伴う新たな圧力の発生は
無くなるので、温度・圧力は、平衡曲線Aから下方側へ
離脱し、温度のみが低下する。この実験例のように、耐
圧容器68内にゴム風船70内の水140mlとエタノ
ール27mlとを収容した比率では、−15℃近辺の温
度でゴム風船70内の水の凍結がほぼ終了したものと考
えられる。
【0047】〔2.高圧による殺菌〕図5に示した耐圧
容器内に被加圧試料aおよびbをそれぞれ各別に収容
し、その耐圧容器内へ水を充満させて、耐圧容器内にそ
れぞれの被加圧試料a、bと水とを密封した後、各種の
温度に設定した冷凍庫内に耐圧容器を入れて冷却し、そ
れぞれ24時間保持したときの生菌数の変化を調べた。
この結果を図9に示す。図中、折線aが、被加圧試料a
(耐塩性味噌用酵母チゴサッカロマイセス・ルキシー
IAM 12880)を耐圧容器内に密封して耐圧容器
を冷却したときの結果を、折線bが、被加圧試料b(非
耐塩性酵母サッカロマイセス・セレビシエIMF 42
74)を耐圧容器内に密封して耐圧容器を冷却したとき
の結果を、折線a’が、被加圧試料aを開放容器に入れ
て開放容器を冷却したときの結果を、折線b’が、被加
圧試料bを開放容器に入れて開放容器を冷却したときの
結果をそれぞれ示す。
【0048】図9に示した結果から明らかなように、両
酵母共に、温度の低下に伴って生存率が低下し、−10
℃以下の温度では完全に死滅した。これに対し、常圧で
低温にしたものは、酵母の生存率が全く変化しなかっ
た。
【0049】比較のために、食品用加圧試験装置を使用
し、室温でそれぞれの被加圧試料a、bを加圧したとき
の生菌数の変化を調べた。この結果を図10に示す。図
中、折線a”が、被加圧試料aを常温で加圧した結果
を、折線b”が、被加圧試料bを常温で加圧した結果を
それぞれ示す。図10から、常温下で酵母を死滅させる
ためには、200MPaの圧力が必要であることが分か
った。
【0050】他の被加圧試料c〜fについても、それぞ
れを耐圧容器内に密封して、−20℃の温度に設定され
た冷凍庫内に耐圧容器を入れて冷却し、24時間保持し
たときの生菌数の変化を調べた。この結果を表1に、被
加圧試料a、bについての結果も併せて示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1に示した結果より、乳酸菌、大腸菌お
よび両麹黴のいずれも、完全に死滅した。これに対し、
開放容器内で試料を冷却したものは、生存率の変化がそ
れ程無かった。
【0053】この発明に係る殺菌方法による微生物の致
死要因としては、氷点以下での低温による殺菌効果と高
圧による殺菌効果とが考えられるが、開放容器内で微生
物を低温処理しても、表1に示したように高い生存率が
得られることから、低温による殺菌効果は主要な致死要
因ではないと考えられる。したがって、耐圧容器での密
封冷却による微生物の死滅は、氷点以下の冷却に伴う耐
圧容器の内部の圧力上昇によるものと考えられ、このと
き発生する圧力は、図8に示すように少なくとも140
MPaに達する。
【0054】
【発明の効果】請求項1ないし請求項9に係る各発明の
殺菌方法によると、大掛りな高圧発生装置を必要とする
ことなく簡便に高圧を発生させて、食品や医療用具等の
物品、酵素液、血清等の生体液や液状の医薬品などを効
果的に殺菌処理することができる。また、請求項10な
いし請求項12に係る各発明の殺菌装置を使用すると、
上記した効果を奏する殺菌方法を好適に実施することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る殺菌方法を実施するために使用
される殺菌装置の構成の1例を示す概略縦断面図であ
る。
【図2】殺菌装置の別の構成例を示す概略縦断面図であ
る。
【図3】図1及び図2に示した殺菌装置とは異なる殺菌
装置の構成例を示す概略縦断面図である。
【図4】殺菌装置のさらに別の構成例を示す概略縦断面
図である。
【図5】高圧発生の実験に使用した耐圧容器の構造を示
す縦断面図である。
【図6】耐圧容器の内部に発生する圧力を測定するため
に使用した装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図7】耐圧容器の内部での高圧発生の実験結果を示
し、冷却時間−発生圧力曲線を示す図である。
【図8】同じく、冷却温度と発生圧力との関係を示す図
である。
【図9】高圧による殺菌効果を調べるための実験の結果
を示し、冷却温度と生菌数との関係を示す図である。
【図10】室温で被加圧試料を加圧したときの生菌数の
変化を調べた実験結果を示し、圧力と生菌数との関係を
示す図である。
【符号の説明】
10、20 耐圧容器本体 12、30 液体注入口 14、32 密栓 16、54 プラスチック製容器 18、28、62 凍結媒体(水) 22 ダイヤフラム 24 凍結室 26 殺菌室 34、64 医療用具 36 充填液体(エタノール) 38、54 圧力発生側耐圧容器 40 殺菌側耐圧容器 42 耐圧配管 44 プラスチック製袋 46 不凍液体(エタノール) 48 殺菌側耐圧容器の耐圧容器本体 50 殺菌側耐圧容器の液体注入口 52 殺菌側耐圧容器の密栓 56 圧力発生側耐圧容器のダイヤフラム 58 圧力発生側耐圧容器の凍結室 60 圧力発生側耐圧容器の不凍室

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被殺菌物を耐圧容器内に収容し、その耐
    圧容器内に液体状態の凍結媒体を充満させて気体を排除
    した状態で、耐圧容器内に被殺菌物と凍結媒体とを密封
    した後、耐圧容器を冷却させて内部の凍結媒体の全部ま
    たは一部を凍結させることを特徴とする殺菌方法。
  2. 【請求項2】 被殺菌液を耐圧容器内に充満させて気体
    を排除した状態で、耐圧容器内に被殺菌液を密封した
    後、耐圧容器を冷却させて内部の被殺菌液の全部または
    一部を凍結させることを特徴とする殺菌方法。
  3. 【請求項3】 被殺菌物およびその周囲を満たすための
    充填液体と、液体状態の凍結媒体とを、変形可能な隔離
    部材によって互いに隔て、かつ、耐圧容器内に充満させ
    て気体を排除した状態で、耐圧容器内に被殺菌物および
    充填液体と凍結媒体とを密封した後、耐圧容器を冷却さ
    せて内部の凍結媒体の全部または一部を凍結させること
    を特徴とする殺菌方法。
  4. 【請求項4】 被殺菌物を変形可能なプラスチック製容
    器または袋内に収容し、その容器または袋内に充填液体
    を充満させて気体を排除した状態で、容器または袋内に
    被殺菌物と充填液体とを密封したものを、耐圧容器内に
    収容した後、その耐圧容器内に液体状態の凍結媒体を充
    満させて気体を排除した状態で、耐圧容器内に被殺菌物
    および充填液体と凍結媒体とを密封する請求項3記載の
    殺菌方法。
  5. 【請求項5】 被殺菌物と液体状態の凍結媒体とを、変
    形可能な隔離部材によって互いに隔て、かつ、耐圧容器
    内に充満させて気体を排除した状態で、耐圧容器内に被
    殺菌液と凍結媒体とを密封した後、耐圧容器を冷却させ
    て内部の凍結媒体の全部または一部を凍結させることを
    特徴とする殺菌方法。
  6. 【請求項6】 被殺菌液を変形可能なプラスチック製容
    器または袋内に充満させて気体を排除した状態で、容器
    または袋内に被殺菌液を密封したものを、耐圧容器内に
    収容した後、その耐圧容器内に液体状態の凍結媒体を充
    満させて気体を排除した状態で、耐圧容器内に被殺菌液
    と凍結媒体とを密封する請求項5記載の殺菌方法。
  7. 【請求項7】 液体状態の凍結媒体と不凍液体とを、変
    形可能な隔離部材によって互いに隔て、かつ、第1の耐
    圧容器内に充満させて気体を排除した状態で、第1の耐
    圧容器内に凍結媒体と不凍液体とを密封したものを、冷
    却させて、内部の凍結媒体の全部または一部を凍結さ
    せ、その時に発生する圧力を、第2の耐圧容器内に密封
    された被殺菌物およびその周囲を満たす充填液体または
    被殺菌液に対し、前記不凍液体を介して作用させること
    を特徴とする殺菌方法。
  8. 【請求項8】 凍結媒体を変形可能なプラスチック製容
    器または袋内に充満させて気体を排除した状態で、容器
    または袋内に凍結媒体を密封したものを、第1の耐圧容
    器内に収容した後、その第1の耐圧容器内に不凍液体を
    充満させて気体を排除した状態で、第1の耐圧容器内に
    凍結媒体と不凍液体とを密封したものを使用する請求項
    7記載の殺菌方法。
  9. 【請求項9】 凍結媒体として、冷却させたときに凍結
    と共晶生成により膨張する塩類溶液を用いる請求項1ま
    たは請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の殺菌方
    法。
  10. 【請求項10】 内部に液体を収容可能で、液体注入口
    が形設された耐圧容器本体と、この耐圧容器本体の前記
    液体注入口を、耐圧容器本体の内部圧力の上昇時にも液
    密に閉塞する密栓とから構成されたことを特徴とする殺
    菌装置。
  11. 【請求項11】 内部がダイヤフラムによって2つの室
    に仕切られ、一方の室が密閉されてその内部に凍結媒体
    が充満させられるとともに、他方の室の内部に液体を収
    納可能でその他方の室側に液体注入口が形設された耐圧
    容器本体と、この耐圧容器本体の前記液体注入口を、耐
    圧容器本体の内部圧力の上昇時にも液密に閉塞する密栓
    とから構成されたことを特徴とする殺菌装置。
  12. 【請求項12】 密閉された内部に、凍結媒体を充満さ
    せて密封した変形可能なプラスチック製容器もしくは袋
    が収容され、その容器もしくは袋の周囲が不凍液体で満
    たされた圧力発生側耐圧容器、または、内部がダイヤフ
    ラムによって2つの室に仕切られ、一方の室が密閉され
    てその内部に凍結媒体が充満させられるとともに、他方
    の室が密閉されてその内部に不凍液体が充満させられた
    圧力発生側耐圧容器と、 内部に不凍液体を収容可能で、開口部が形設された殺菌
    側耐圧容器本体、または、内部がダイヤフラムによって
    2つの室に仕切られ、一方の室が密閉されてその内部に
    不凍液体が充満させられるとともに、他方の室の内部に
    液体を収納可能でその他方の室側に液体注入口が形設さ
    れた殺菌側耐圧容器本体と、 前記殺菌側耐圧容器本体の開口部または前記殺菌側耐圧
    容器本体の液体注入口を、殺菌側耐圧容器本体の内部圧
    力の上昇時にも液密に閉塞する密栓と、 前記圧力発生側耐圧容器の内部または前記圧力発生側耐
    圧容器の他方の室の内部と、前記殺菌側耐圧容器本体の
    内部または前記殺菌側耐圧容器本体の一方の室の内部と
    を連通させ、内部に不凍液体が充満させられた耐圧配管
    とから構成されたことを特徴とする殺菌装置。
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