【発明の詳細な説明】
ケチミン硬化剤ならびにケチミンを用いて作製された迅速硬化性の磁気記録媒体
およびフィルム
発明の背景
本発明は、新規なケチミン硬化剤に関する。本発明はまた、特定のケチミン硬
化剤を使用して作製された迅速硬化性フィルムに関する。本発明はまた、特定の
ケチミン硬化剤を使用して作製された迅速硬化性磁気記録媒体に関する。より詳
細には、本発明は、媒体中の磁性層および/または裏面コーティング(存在する
場合のみ)が、特定のケチミン硬化剤と、非ブロック化芳香族イソシアネート末
端プレポリマ架橋剤と、の併用によって作製された迅速硬化性磁気記録媒体に関
する。
発明の背景
磁気記録媒体は、一般的には、非磁性支持体の少なくとも1つの面上に配設さ
れた磁性コーティングを有する。特定の磁気記録媒体において、磁性コーティン
グには、ポリマバインダ中に分散された磁性顔料が含まれる。磁性コーティング
にはまた、滑剤、研磨剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、湿潤剤、帯電防止剤
、殺細菌剤、殺真菌剤、界面活性剤、塗布助剤、非磁性顔料などが含まれる。
また、いくつかの形態の磁気記録媒体(例えば、可撓性磁気記録テープ)は、
非磁性支持体の他方の面上に塗布された裏面コーティングを有し、これにより媒
体の耐久性、導電性、およびトラッキング特性の改良がなされている。裏面コー
ティングには、典型的には、ポリマバインダが含まれるが、滑剤、研磨剤、熱安
定剤、酸化防止
剤、分散剤、湿潤剤、帯電防止剤、殺真菌剤、殺細菌剤、界面活性剤、塗布助剤
、非磁性顔料などの他の成分が含まれていてもよい。
ほとんどの従来型磁気記録媒体の磁性コーティングおよび裏面コーティングは
、磁気記録媒体に適切な物理的および機械的性質を付与するために、硬化させる
必要のある材料から誘導される。こうした磁気記録媒体を作製するには、磁性コ
ーティングまたは裏面コーティング(必要に応じて)の未硬化成分を、好適な溶
剤に溶解し、顔料と共にミルにかけて均一な分散体にする。次に、得られた分散
体を非磁性支持体上に塗布し、その後、コーティングを乾燥し、必要な場合には
カレンダ処理し、続いて硬化させる。
種々の方法で硬化させることができる。その1つの手法によれば、磁性コーテ
ィングまたは裏面コーティングのポリマバインダは、ヒドロキシ官能基とポリイ
ソシアネート架橋剤との化学反応によって架橋を起こさせるヒドロキシ官能性ポ
リマから誘導される。ポリイソシアネート架橋剤は、典型的には、分散体を支持
体上に塗布する直前に分散体に添加される。
磁気記録媒体の性能に影響を及ぼす要因の1つは、ポリイソシアネート架橋剤
の反応性である。ポリイソシアネート架橋剤の架橋速度が遅すぎる場合、または
硬化のレベルが低すぎる場合、該架橋剤を含有するコーティングは、硬化反応が
十分に進むまで、劣ったグリーン強度を有する傾向を示すだろう。その結果、不
便で経費のかかる時間的遅延を行ってより完全に硬化させる処理を製造工程に組
み込まないかぎり、コーティングは、後続の処理中に損傷(例えば、スリットエ
ッジ損傷)を受けやすくなるだろう。従って、良好なグリーン強度を有するコー
ティングを得るために、迅速反応性架橋剤が望まれる。
しかしながら、ポリイソシアネート架橋剤は、反応が速すぎても
いけない。ポリイソシアネート架橋剤を分散体に添加すると、架橋反応が起こる
につれて分散体の粘度が徐々に増加し始める。これらの架橋反応が速く進みすぎ
ると、磁性分散体の粘度が増加して該分散体の濾過および非磁性支持体上への塗
布が著しく困難になる恐れがある。
ほとんどの配合物において、ポリマおよび湿潤剤に由来するヒドロキシ同等基
と比べて過剰のイソシアネートを使用して磁気記録媒体を硬化させる。過剰のイ
ソシアネートは、塗布後、大気中の水と反応する。この水との反応によって、コ
ーティングの機械的性質を改良するポリウレアが形成される。ポリウレア生成反
応は、通常、非常に遅く、反応完了までに数週間または数ヶ月を要する。この期
間はテープの性質が変化し、硬化がほぼ完了するまでは劣悪な製品を生じる可能
性がある。未硬化テープは、ヘッド付着物、デブリ、エンボスなどの製品に関す
る多くの問題、ならびにテープの低いグリーン強度に起因する製造上の問題を引
き起こす可能性がある。
磁気記録媒体中で使用されてきた市販のポリイソシアネート架橋剤は、商品名
DESMODUR CB-701としてBayer(以前はMiles,Inc.)から市販されて
いる。この製品は、トリメチロールプロパンおよび1,3-ブタンジオールと、トル
エンジイソシアネート(TDI)とのブレンド(30重量%のテトラヒドロフランを
含有する)を末端保護することによって得られる付加物の混合物である。この混
合物は反応が比較的遅い。この材料から調製されたコーティングは、ゆっくりし
た硬化プロフィルおよび劣ったグリーン強度を呈するとともに、こうしたコーテ
ィングを有する支持体を適切な幅にスリットして磁気記録テープを作製するとき
に、コーティングがスリットエッジ損傷を受けやすい。
特定のケチミン(ただし、後述される式Iの化合物ではない)が、
ポリウレタン系およびエポキシ系における硬化剤として使用されてきた。これら
の特定のケチミンを使用すると、ポリイソシアネート架橋剤の過剰のNCO基と
の反応によって全体の硬化速度が増大する。これらの所定のケチミンは、脂肪族
ポリイソシアネートとの併用により、またブロック化芳香族ポリイソシアネート
との併用により、良好なポットライフを呈するとの報告がなされている。しかし
ながら、これら2つのタイプのポリイソシアネート(脂肪族およびブロック化芳
香族)は、磁性コーティング中で使用するうえでは都合が悪い。脂肪族ポリイソ
シアネートは、ポリマバインダのヒドロキシルとの反応が遅すぎて硬化時間が長
くなるという点で許容できず、一方、ブロック化芳香族ポリイソシアネートは、
官能基を非ブロック化して硬化を開始させるために高温処理(100℃)が必要であ
る。この高温処理を行うと、磁性コーティングおよびフィルム支持体が劣化する
ので、許容できない。非ブロック化芳香族ポリイソシアネートが、磁性コーティ
ングの硬化および/または架橋のために独占的に使用されているが、磁性コーテ
ィング中での使用が試みられてきた特定のケチミン(後述される式Iの化合物で
はない)は、非ブロック化芳香族イソシアネートと併用した場合、良好なポット
ライフを示さない。
種々のケチミン、ブロック化イソシアネートを有するケチミンなどが、米国特
許第4,101,497号、同第4,481,348号、同第3,267,078号、同第5,002,830号、同第
4,513,112号、同第3,420,800号、および同第4,906,674号に開示されている。
従って、磁気記録媒体の製造において、コーティング形成に使用される磁性分
散体のポットライフに悪影響を与えずに1週間以内に完全な硬化が行える硬化剤
の必要性が存在する。
発明の概要
本発明者らは、特定の新規なケチミンを見出した。本発明者らは、これらの新
規なケチミンならびに従来はこうした目的に使用されなかった特定の式(後述の
式I)を有する特定の既知のケチミンを使用すると、驚くべきことに、非ブロッ
ク化芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋剤と併用した場合、従来のコーテ
ィングを行った場合に観測される硬化度よりも大きい硬化度を24時間以内に達成
するフィルムならびに磁性コーティングおよび裏面コーティングが得られること
を見出した。本発明に係る有用なこれらのケチミン硬化剤は、特に、粘度上昇に
関して、分散体のポットライフにまったく悪影響を及ぼさないことが分かった。
本発明の所定のフィルム組成物は、24時間後に少なくとも80%が硬化し、一方、
いくつかの従来型のフィルム組成物は、24時間で約23%が硬化する。式Iに属す
るこれらのケチミン硬化剤を用いて作製されたコーティングは、これらのケチミ
ンを使用せずに作製されたコーティングと比較して、より良好なグリーン強度、
より良好な硬化プロフィル、改良された靭性、および改良されたスリットエッジ
品質を呈した。
本発明の1態様は、新規なクラスのケチミン硬化剤に関する。これらの新規な
ケチミンは、後述する式Iに属する。本発明は、
から成る群より選ばれるケチミンを含む新規な化合物を提供する。
本発明のもう1つの態様は、
(a)式I:
〔式中、
Xは、N、O、S、Si、およびPから成る群より選ばれる1つ以上の原子を
任意に含有しうる有機部分であり;
Yは、芳香族基および
から成る群より選ばれ;
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、-H、アルキル基、アリール
基、およびアルカリール基から成る群より選ばれ;
Zは、芳香族基および
から成る群より選ばれ;
R4、R5、およびR6は、それぞれ独立に、-H、アルキル基、アリール基、お
よびアルカリール基から成る群より選ばれ;
nは、少な<とも2の数であり;
YおよびZは、これらが結合するC-原子と共に、交互にシクロアルキル基を
形成してもよく;
式I中のNがX中の芳香族炭素と結合し、かつYおよびZがいずれも芳香族基
でない場合、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6から成る群より選ばれる4つ
以下の基は-Hであってもよく、かつR1、R2、R3、R4、R5、およびR6から
成る群より選ばれる残りの基は、独立に、アルキル基、アリール基、およびアル
カリール基から成る群より選ばれ;
式I中のNがX中の脂肪族炭素と結合し、かつYおよびZがいずれも芳香族基
でない場合、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6から成る群より選ばれる3つ
以下の基は-Hであってもよく、かつR1、R2、R3、R4、R5、およびR6から
成る群より選ばれる残りの基は、独立に、アルキル基、アリール基、およびアル
カリール基から成る群より選ばれる〕
のケチミンと、
(b)少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポリ
マと、
(c)任意に、非水性溶剤と、
(d)任意に、少なくとも1つのヒドロキシ官能基を有する有機ポリマ(ただし
、該有機ポリマは、該非水性溶剤が存在する場合は該非水性溶剤中に分散可能で
ある)と、
を含んでなるフィルム形成組成物に関する。
本発明はまた、該フィルム形成組成物を硬化させることによって作製されるフ
ィルムに関する。
「少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポリマ
」という用語はまた、本明細書中において、「非ブロック化芳香族イソシアネー
ト末端プレポリマ」とも記す。
分散体および組成物に対して本明細書中で使用される「安定」という用語は、
少なくとも約20分のポットライフを有する分散体および組成物を意味する。
本発明のもう1つの態様は、磁気記録媒体中で使用するための磁性分散体に関
するが、該分散体には、
(a)少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポリ
マと、
(b)式Iのケチミンと、
(c)少なくとも1つのヒドロキシ官能基を有するバインダと、
(d)非水性溶剤と、
(e)磁性顔料、非磁性顔料、およびこれらの混合物から成る群より選ばれる顔
料と、
(f)任意に、ヘッドクリーニング剤と、
(g)任意に、湿潤剤と、
(h)任意に、滑剤と、
が含まれる。
本発明はまた、該磁性分散体から作製された磁気記録媒体に関する。
本発明は、
(a)任意に、少なくとも1つのヒドロキシ官能基を有する有機ポリマと、
(b)少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポリ
マと、
(c)式Iのケチミンと、
を含有する成分の反応生成物を含んでなる新規なフィルムを提供する。
本発明はまた、本発明のフィルムを作製する新規な方法を提供するが、該方法
は、
(a)(i)式Iのケチミンと、
(ii)少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポ
リマと、
(iii)任意に、非水性溶剤と、
(iv)任意に、少なくとも1つのヒドロキシ官能基を有する有機
ポリマと、
を含有する組成物を調製する工程と、
(b)該組成物のコーティングを作製する工程と、
(c)該コーティングを大気の湿分に曝露することによって該コーティングを硬
化させる工程と、
を含む。
本発明はまた、非磁性支持体上に配設された少なくとも1つのコーティングを
有する新規な磁気記録媒体を提供するが、各コーティングは、独立に、
(a)少なくとも1つのヒドロキシ官能基を有するバインダと、
(b)少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポリ
マと、
(c)式Iのケチミンと、
(d)非水性溶剤と、
(e)磁性顔料、非磁性顔料、およびこれらの混合物から成る群より選ばれる顔
料と、
(f)任意に、ヘッドクリーニング剤と、
(g)任意に、湿潤剤と、
(h)任意に、滑剤と、
を含有する成分の反応生成物を含む。
本発明はまた、本発明の磁気記録媒体を作製する新規な方法を提供するが、該
方法は、
(a)少なくとも1つの分散体〔ただし、各分散体は、独立に、
(i)式Iのケチミンと、
(ii)少なくとも2つの非ブロック化芳香族イソシアネート基を有するプレポ
リマと、
(iii)少なくとも1つのヒドロキシ官能基を有するバインダと、
(iv)非水性溶剤と、
(v)磁性顔料、非磁性顔料、およびこれらの混合物から成る群より選ばれる
顔料と、
(vi)任意に、ヘッドクリーニング剤と、
(vii)任意に、湿潤剤と、
(viii)任意に、滑剤と、
を含有する〕を調製する工程と、
(b)非磁性支持体上に該分散体のコーティングを作製する工程と、
(c)該コーティングを大気の湿分に曝露することによって該コーティングを硬
化させる工程と、
を含む。
図面の簡単な説明
図1は、実施例16〜22および比較例23に対するメチルエチルケトン(MEK)溶
解率を表すグラフである。
図2は、実施例16〜22および比較例23に対するMEK溶解率を表すグラフであ
る。
発明の詳細な説明
本発明には特定の(式Iの)ケチミンが記載されているが、驚くべきことに、
このケチミンを架橋剤として利用すると、非ブロック化芳香族イソシアネート末
端プレポリマを架橋剤として含有するポリマ系の架橋を促進することができる。
これらの架橋剤は、非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマを架橋剤
として使用する磁性組成物およびコーティングに特に有用である。本発明に係る
有用なケチミンは、許容しうるポットライフを有するとともに支持体上に塗布す
ると迅速に硬化できる樹脂系を形成する安定なフィルム形成組成物および安定な
磁気記録媒体分散体を提供するために使用することが好ましい。ケチミン硬化剤
本発明に係る有用なケチミン硬化剤は、上記の式Iの化合物である。式Iのケ
チミンの混合物もまた、本発明に有用である。
式IのX基は、典型的には、数平均分子量が約25〜約20,000、好ましくは、約
25〜約500である。所定のX基としては、例えば、ヘキシル、シクロヘキシル、
ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、
ジエチルトリル、フェニル、トリス(2-アミノヘキシル)、ベンジル、メチレンジ
ベンジル、ポリメチレンジベンジルなどから成る群より選ばれる基が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
式IのY基は、典型的には、約1個〜約20個、好ましくは約1個〜約12個、最
も好ましくは約1個〜約9個の炭素原子を含有する。所定の芳香族基Yとしては
、例えば、ベンジル、フェニル、フルフリルなどから成る群より選ばれる基が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
Yが芳香族でない場合、好ましくは、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立
に、-H、シクロヘキシル、メチル、t-ブチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、ベンジル、メチルベンジル
などから成る群より選ばれる。
Z基は、典型的には、約1個〜約20個、好ましくは約1個〜約12個、最も好ま
しくは約1個〜約9個の炭素原子を含有する。所
定の芳香族基Zとしては、例えば、ベンジル、フェニル、フルフリルなどから成
る群より選ばれる基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。Zが芳
香族でない場合、好ましくは、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立に、-H、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、ペンチル、シク
ロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルベンジル、メチルベンジルなどから成る
群より選ばれる。
式Iのケチミンは、好ましくは、非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレ
ポリマ架橋剤と混合された場合、20時間を超えるポットライフを有する。例えば
、分散体中または組成物中において、ポットライフが、約3時間を超えることが
好ましく、約24時間を超えることが最も好ましい。本発明のコーティングおよび
フィルムは、組成物または分散体がゲル化する前に、塗布されるかまたは他の方
法により形成される。
ケチミンは、典型的には、ケトンとアミンとを混合することによって調製され
る。式Iのケチミンを調製するために使用できるケトンの代表的な例としては、
ピナコロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジイソプロピルケトン、3-
メチル-2-ブタノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、フェンチョン、5-ノナ
ノン、2,4-テトラメチル-3-ペンタノン、および式Iのケチミンの調製が可能な
任意の他のモノケトンから成る群より選ばれるケトンが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
式Iのケチミンを調製するために使用できるアミンの代表的な例としては、4,
4'-メチレンジアニリン、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、1,4-フェニレン
ジアミン、1,3-フェニレンジアミン、キシレンジアミン、商品名「Jeffamines
」としてTexaco Companyから
入手可能なポリエーテルアミン、1,6-ヘキサンジアミン、トリス(2-アミノエチ
ル)アミン、ポリ4'-4'メチレンジアニリン、4,4'-メチレンビス(3-クロロ-2,6-
ジエチルアニリン)、2,4-トルエンジアミン、および式Iのケチミンを調製する
ために使用できる芳香族または脂肪族の任意の他のジアミンまたはより多官能性
のアミンから成る群より選ばれるアミンが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
本発明では、安定なフィルム形成組成物中および磁性分散体中に、特定のケチ
ミンと非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋剤とを併用して含
有させる。分散体または組成物を支持体上に塗布した後、大気中の水によってケ
チミンが加水分解を受け、ケトンおよびアミンを生成する。ケチミンの加水分解
は、通常、約24時間で完了する。この反応は大気中の水とイソシアネートとの反
応よりも速いので、本発明の特定のケチミンを使用すれば、より速い硬化速度を
有する製品(例えば、フィルムおよび磁気媒体)が得られる。
ケチミンの加水分解により発生されるケトンは蒸発し、アミンは非ブロック化
芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋剤の残留イソシアネート部分と容易に
反応する。この迅速な反応により、従来型の配合系で観測されたよりも更に速く
良好な物理的性質が製品に付与される。ケチミン硬化剤を使用して調製された分
散体および組成物は、半相互侵入網目の形成が可能なために、更に速い速度でよ
り靭性の大きい製品が作製できる。
本発明の組成物および/または分散体を硬化させる際、必要に応じて、熱を加
えてもよい。熱を加えた場合、イソシアネートがケチミンと直接に反応して系を
硬化させることができる。熱を加えた場
合、ケチミンとイソシアネートとの反応速度は、ケチミンの加水分解と同じ程度
またはそれよりも速くなり、また大気中の水/イソシアネート反応よりもかなり
速くなる。熱を加える場合、典型的には、系の温度が約25℃〜約60℃となるよう
に加熱する。温度が高すぎると、磁気記録媒体を作製する場合には、磁性裏地の
劣化を生じる恐れがある。「ポリケチミンポリイソシアネートコーティングの最
近の進歩−それらの化学および用途」、M.Bock and R.Halpaap,Journal of Coatings Technology
,Vol 59,No.755,pages 131-135(1987)を参照
されたい。
ケチミンの必要量は、配合物中に非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレ
ポリマ架橋剤がどれだけ存在するかによって代わる。十分な非ブロック化芳香族
イソシアネート末端プレポリマ架橋剤および式Iのケチミンを存在させる必要が
あり、NCOとイミンとの当量比は、フィルムに対しては0.5以上であり、磁気
記録媒体に対しては好ましくは約1.1〜50である。非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋剤
非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋剤は、式Iのケチミン
硬化剤と組合せて使用される。これらのプレポリマには、ヒドロキシ官能基が含
まれていない。「非ブロック化」とは、NCO基と保護剤との反応(この反応を
行った場合、NCO基を遊離するために特別な条件が必要となる)が行われてい
ないことを意味する。当業者は、ブロック化プレポリマと非ブロック化プレポリ
マとを識別することが可能であろう。使用可能な非ブロック化芳香族イソシアネ
ート末端プレポリマとしては、例えば、Bayer(以前はMiles Company)製の
CB-701、Dow Chemical製のIsonate 181、お
よび当業者に周知の多くの他の非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリ
マが挙げられる。非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマを調製する
ために使用されるイソシアネート、ジオール、およびトリオールに関する制約は
ない。これらのプレポリマの有用な数平均分子量は、典型的には約100〜5000、
より好ましくは約500〜1500である。
非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマは、好ましくは、NCO基
とヒドロキシ基との当量比が約0.3〜10となる量で使用される。溶剤
本発明に係る有用な非水性溶剤は、良好なフィルム形成特性を有する組成物お
よび分散体を提供する溶剤である。当業者は、この目的のために有用な非水性溶
剤を選択することができるであろう。
本発明に係る有用な非水性溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノ
ン、キシレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、こ
れらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。非水性溶
剤が、痕跡量(溶剤の重量を基準に0.1重量%未満)の水を含有してもよい場合
もある。痕跡量の水は、典型的には、本発明の系に害を及ぼすことはない。本発
明の分散体および組成物は、それぞれ分散体および組成物の全重量を基準に、典
型的には約1重量%未満、より典型的には約0.5重量%未満である。磁気記録媒体
式Iの特定のケチミンと非ブロック化芳香族イソシアネート末端
プレポリマ架橋剤との組合せが、反応性NCO基を有する架橋剤が必要とされる
任意の用途で有利に利用できるが、ケチミン架橋剤と非ブロック化芳香族イソシ
アネート末端プレポリマ架橋剤との組合せは、特に、磁気記録媒体中での使用に
適している。非磁性支持体
ケチミン硬化剤および非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋
剤は、磁気記録媒体の磁性コーティング中および/または裏面コーティング中に
含有させることができる。これらのコーティングは、典型的には、第1および第
2の対向する主要面を有する非磁性支持体の該主要面上に配設される。非磁性支
持体は、当該技術分野で公知の任意の好適な支持体材料から作製することができ
る。好適な支持体材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(「PE
T」)、ポリイミド、およびポリエチレンナフタレート(「PEN」)などのポリ
マ;セラミックス;ガラス;アルミニウムもしくは銅などの金属;紙;または任
意の他の好適な材料が挙げられる。磁性顔料
本発明の磁性コーティングには、典型的には、ポリマバインダ中に分散された
磁性顔料が含まれる。典型的には、磁性層は、100重量部の磁性顔料および5〜40
重量部のポリマバインダを含有することができる。本発明に使用される磁性顔料
のタイプとしては、当該技術分野で公知の任意の好適な磁性顔料が挙げられるが
、具体的には、γ-Fe2O3、コバルトドープ型γ-Fe2O3、Fe3O4、CrO2、
バリウムフェライト、バリウムフェライト誘導体、金属粒子、これらの混合
物などがある。磁気媒体用接着剤
ポリマバインダおよび磁性顔料の他に、本発明の磁性コーティングは更に、滑
剤、研磨剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、湿潤剤、帯電防止剤、殺真菌剤、
殺細菌剤、界面活性剤、塗布助剤、非磁性顔料、および当該技術分野で利用され
る周知のその他の種類の添加剤などの1つ以上の従来型添加剤を含有することが
できる。
本発明の裏面コーティングには、典型的には、バインダと、必要に応じて、更
に、滑剤、研磨剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、湿潤剤、帯電防止剤、殺真
菌剤、殺細菌剤、界面活性剤、塗布助剤、非磁性顔料、および当該技術分野で利
用される周知のその他の種類の添加剤などの1つ以上の従来型添加剤と、が含ま
れる。有用な非磁性顔料としては、例えば、カーボンブラック、TiO2、アルミ
ナ、α-Fe2O3、これらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。磁気媒体用バインダ
「ポリマバインダ」、「バインダ」、「バインダ成分」、および「磁気媒体用
バインダ」という用語は、本明細書中において互換性のあるものとして使用する
。磁性コーティングおよび/または裏面コーティングを形成するための好適なポ
リマバインダとしては、磁気記録技術分野で従来から使用されている任意のポリ
マ成分が挙げられる。本発明に有用なポリマバインダは、少なくとも1つの側鎖
ヒドロキシ(すなわち、-OH)基を含むものである。この-OH基は、ポリマと非
ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ架橋剤
との架橋を可能にするだけでなく、バインダ中への無機顔料の分散性の向上、溶
剤中へのポリマの溶解性の促進、更に、該ポリマと他のポリマとの相溶性の向上
を可能にする。この-OH基は、第一級、第二級、または第三級であってもよい
が、第一級および/または第二級の-OH基が好ましい。一般的には、好ましい
ヒドロキシ官能性ポリマは、200〜20,000、好ましくは300〜5000の-OH当量を
有する。磁性分散体は、必要に応じて、更に、側鎖-OH基を含まない少なくと
も1つのポリマバインダを含有することもできる。
バインダ成分の1つのポリマまたは複数のポリマ(2つ以上のポリマを使用す
る場合)は、磁気記録媒体の性能を向上させるために、1つ以上の他の種類の側
鎖官能基を含有してもよい。例えば、イソシアネート硬化法および放射線硬化法
の両方を使用して架橋を行うことが望まれる場合、任意のバインダが炭素−炭素
二重結合を含有してもよい。側鎖官能基の他の例として、バインダ成分の任意の
ポリマが、ポリマバインダ中への磁性顔料または非磁性顔料の分散を助長するた
めに側鎖分散基を含有してもよい。「分散基」という用語は、磁性顔料または非
磁性顔料を湿潤させてポリマバインダ中へのこうした顔料の分散を助長できる基
を意味する。好ましくは、分散基は、pH0〜10においてイオン化されるかまたは
イオン化しうる部分である。好適な分散基の代表的な例としては、第四級アンモ
ニウム部分(例えば、1例として-N(CH3)3 +Cl-)、アミン(例えば、1例と
して-N(CH3)2)、米国特許第5,081,213号に記載のヘテロ環部分、スルホベタ
イン(例えば、-N+(CH3)2(CH2CH2CH2SO3 -))、スルフェートに基づ
く塩または酸(例えば、1例として-OSO3Na)、スルホネートに基づく塩ま
たは酸(例えば、1例として-SO3Na)、ホスフェートに基づく塩または酸(
例えば、1例として-OPO(OH)2)、
ホスホネートに基づく塩または酸(例えば、1例として-PO(OH)2)、カルボ
キシルに基づく塩または酸(例えば、1例として-COONa)、これらの混合物
などが挙げられる。
本発明に利用しうる他の樹脂バインダとしては、例えば、本発明の譲受人に譲
渡された米国特許第5,510,187号に記載のアンモニウム湿潤基を有するスチレン
/アクリロニトリルコポリマを含有する非ハロゲン化ビニルコポリマ(本明細書
中では「K樹脂」と記す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塩化ビニルコポリマは、本発明に有用である。有用な塩化ビニルコポリマは、
極性官能基(1つまたは複数)を含有してもよいし、含有しなくてもよい。有用
な塩化ビニルコポリマ樹脂の代表的な例が、米国特許第4,816,683号(Sekisui
Chemicalに譲渡された)に記載されている。これらは、塩化ビニル、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
リド、およびメタクリルオキシエチルホスフェートのコポリマである。これらは
、Sekisui Chemical Co.製の市販品「S-LEC E-C」(E-C130およびE-
C110)と類似しているかまたは同じであると考えられる。Sekisui Chemical
Co.から提供された情報によると、これらは、約84%の塩化ビニル、16%のヒド
ロキシアクリルモノマー(重量基準)、更に、第四級アンモニウムモノマなどの
1%未満の他のモノマを含む。
もう1つのクラスの有用な塩化ビニルコポリマは、Nippon Zeon Co.から市
販されているスルホン化ビニル「MR」樹脂(MR-110、MR-113、MR-120な
ど)である。このタイプのポリマは、米国特許第4,707,410号および同第4,707,4
11号(Nippon Zeonに譲渡された)に記載されている。
もう1つの有用な塩化ビニルコポリマは、カルボキシル基(約56100g/モル)お
よびヒドロキシ基(850g/モル)を含有するUnion Carbide製のUCARMAG
バインダ528であり、米国特許第4,985,314号に記載されている。
極性官能基を含まない塩化ビニルコポリマもまた、有用である。この例として
は、塩化ビニルおよびヒドロキシ当量が約750g/モルとなるまで加水分解された
酢酸ビニルを含有するUnion Carbide製のVAGHが挙げられる。
本発明に利用しうるポリウレタン樹脂としては、例えば、本発明の譲受人に譲
渡された米国特許第5,498,685号に記載の、ポリマ主鎖から出た側基として多座
配位キレート型官能基を含有するポリウレタン(本明細書中では「B樹脂」と記
す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その他の有用なポリウレタンとしては、米国特許第5,384,362号に記載の、マ
クロモノマジオールから調製されたビニルスルホン化および非スルホン化ヒドロ
キシ官能性ポリウレタンコポリマが挙げられる。
本発明に使用できるバインダのその他の例には、磁気記録媒体の技術分野の業
者に周知のすべてのポリマが含まれる。
磁性分散体およびコーティング
磁性コーティングは、種々の方法で非磁性支持体上に塗布することができる。
非磁性支持体上に磁性コーティングを設ける方法の1例を次に述べる。まず、磁
性コーティングの成分を好適な溶剤と一緒に混合し、実質的に均一な分散体を調
製する。ただし、ケチミン硬化剤および非ブロック化芳香族イソシアネート末端
架橋剤は、好
ましくは、塗布直前に磁性分散体の他の成分と一緒に混合する(しかしながら、
いずれの場合においても、分散体が塗布前にゲル化しないように塗布までの時間
を十分に短くする)。次に、分散体を非磁性支持体(下塗りがあってもなくても
よい)上に塗布する。分散体を非磁性支持体上に塗布する際、グラビア塗布法ま
たはナイフ塗布法などの任意の従来型塗布法を使用することができる。次に、塗
布された支持体を磁場内に通して磁性顔料を配向させてもよく、その後で、コー
ティングを乾燥し、必要に応じてカレンダ処理し、続いて硬化させる。独立フィルム
本発明のフィルムは、非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ、少
なくとも1つのヒドロキシ官能基を有する有機ポリマ(必要に応じて)、および
式Iのケチミンから作製することができる。
少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有用な有機ポリマとしては、例えば、
ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、塩化ビニルポ
リマ、アクリル系ポリマ、スチレン系ポリマ、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアル
コール、ポリビニルブチラール、これらの混合物などから成る群より選ばれるポ
リマが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フィルム作製用組成物には更に、必要に応じて、無機充填剤、滑剤、界面活性
剤、触媒、均展剤、これらの混合物などから成る群より選ばれる添加剤が含まれ
ていてもよい。従って、フィルム自体にも、これらが含まれていてもよい。
本発明のフィルムは、次の目的:すなわち、トップコート、接着
剤、保護用コーティング、シーラント、無機物充填コーティングなどに使用する
ことができる。本発明のフィルムは、典型的には、式Iのケチミン硬化剤を用い
ずに硬化させた従来型フィルムよりも靭性が大きい。また、本発明のフィルムは
、典型的には、こうした従来型フィルムよりも迅速に硬化する。実施例
以下の実施例は、本発明の有用性を示すために提示されているが、これらに限
定されるものではない。実施例中および本明細書の他の部分にある部、パーセン
ト、比などはすべて、特に記載のないかぎり、重量単位である。略号
本明細書中では以下の略号を使用する。
Ex.=実施例
rt=室温25℃
Comp.=比較例
eq.=当量
pbw=重量部
MEK=メチルエチルケトン
App.=外観
Tough.=靭性
Mod.=モジュラス
MDI=メチレンジフェニルジイソシアネート実施例1〜3
実施例1〜3により、式Iに属する本発明の新規なケチミンの調製について開
示する。
実施例1
4,4'-メチレンジアニリン/シクロヘキサノンケチミンの調製
250mlフラスコに、4,4'-メチレンジアニリン52.5g(0.530当量)およびシクロヘ
キサノン125gを添加した。155℃において、この反応体の混合および還流を2時
間行い、トラップ中に水10mlを回収した。赤外スペクトル中にはアミンのピーク
は存在しなかった。ケチミン(以下に示す)は、シクロヘキサノン中固形分71%
として得られた。
実施例2
4,4'-メチレンジアニリン/ピナコロンケチミンの調製
250mlフラスコに、4,4'-メチレンジアニリン54.7g(0.552当量)およびピナコロ
ン132gを添加した。110℃において、この反応体の混合および還流を16時間行い
、トラップ中に水10mlを回収した。赤外スペクトル中にはアミンのピークは存在
しなかった。ケチミン(以下に示す)は、ピナコロン中固形分60%として得られ
た。
実施例3
3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン/シクロヘキサノンケチミンの調製
250mlフラスコに、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン52.7g(0.592当量)およ
びシクロヘキサノン135gを添加した。155℃において、この反応体の混合および
還流を24時間行い、トラップ中に水11mlを回収した。赤外スペクトル中にはアミ
ンのピークは存在しなかった。ケチミン(以下に示す)は、シクロヘキサノン中
固形分72%として得られた。
実施例4〜5
実施例4および5により、公知ではあるが式Iに属さないケチミンの調製につ
いて開示する。これらのケチミンは、驚くべきことに、
非ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマと併用される硬化剤として有
用であることを見出した。
実施例4
1,6-ヘキサンジアミン/ピナコロンケチミンの調製
250mlフラスコに、1,6-ヘキサンジアミン41.4g(0.714当量)およびピナコロン1
64gを添加した。110℃において、この反応体の混合および還流を3時間行い、ト
ラップ中に水12mlを回収した。赤外スペクトル中にはアミンのピークは存在しな
かった。ケチミン(以下に示す)は、ピナコロン中固形分58%として得られた。
実施例5
1,6-ヘキサンジアミン/ベンゾフェノンケチミンの調製
250mlフラスコに、1,6-ヘキサンジアミン454g(0.783当量)、ベンゾフェノン98
.7g、チタンブトキシド触媒0.05g、およびトルエン溶剤100gを添加した。125℃
において、この反応体の混合および還流を16時間行い、トラップ中に水10mlを回
収した。赤外スペクトル中にはアミンのピークは存在しなかった。ケチミン(以
下に示す)は、トルエン中固形分58%として得られた。
比較例6および7
比較例6および7では、式Iに属さず、しかも本発明に係る非ブロック化芳香
族イソシアネート末端プレポリマと併用される硬化剤として使用できない公知の
ケチミンの調製について開示する。
比較例6
1,6-ヘキサンジアミン/シクロヘキサノンケチミンの調製
250mlフラスコに、1,6-ヘキサンジアミン42.0g(0.725当量)およびシクロヘキ
サノン151gを添加した。155℃において、この反応体の混合および還流を3時間
行い、トラップ中に水13mlを回収した。赤外スペクトル中にはアミンのピークは
存在しなかった。ケチミン(以下に示す)は、シクロヘキサノン中固形分63%とし
て得られた。
比較例7
1,6-ヘキサンジアミン/メチルエチルケトンケチミンの調製
250mlフラスコに、1,6-ヘキサンジアミン634g(1.094当量)およびメチルエチル
ケトン386gを添加した。85℃において、この反応体の混合および還流を行い、ト
ラップ中にメチルエチルケトン200gおよび水20mlを回収した。赤外スペクトル中
にはアミンのピークは存在しなかった。ケチミン(以下に示す)は、MEK中固
形分60%として得られた。
芳香族イソシアネート末端プレポリマと併用した場合の実施例1〜5および比較 例6〜7のケチミンのポットライフ
イミンとイソシアネートとの当量比が1:1となるように各ケチミンを十分な非
ブロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマと混合することによって、非ブ
ロック化芳香族イソシアネート末端プレポリマ(先に記載のCB-701)と併用し
た場合の実施例1〜5および比較例6〜7のケチミンのポットライフをそれぞれ
評価した。ゲル化が観測されるまでの時間(ポットライフ)を以下に示す。
比較例6〜7は、ポットライフが短いために磁性分散体中で使用
できない。ホスホネート化ポリウレタン(PHPU)
ここで使用したPHPUは次のように調製した:
1リットルフラスコに、EniChem Companyから入手可能なRavecarbTMポリ
カーボネートジオール(OH当量=1000)67.9g(0.068当量)、ネオペンチルグリコ
ール208g(0.400当量)、Akzo Chemicalから入手可能なフィロール(fyrol)6ジオ
ール11.8g(0.093当量)、およびMEK 127gを添加した。次に、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート84.5g(0.676当量)およびジブチルスズジラウレート0.1gを添
加した。この混合物を80℃において2時間加熱した。次に、Union Carbide C
orporationから入手可能なTONETM0305ポリカプロラクトントリオール(OH
当量=180)46.6g(0.254当量)およびMEK 69.5gを添加した。反応混合物を還
流下で1時間加熱した。得られたポリウレタンポリマのテトラヒドロフラン中に
おけるインヘレント粘度は、0.302dl/gであった。このポリマのヒドロキシル当
量は1500、またホルホネート当量は5000と計算された。樹脂B−20,000当量メルカプトコハク酸ポリウレタン
ここで使用した樹脂Bは次のように調製した:
25ガロン反応釜に、Union Carbide Corporationから入手可能なTONETM
0210ポリカプロラクトンジオール7.5kg(17.7当量)、ネオペンチルグリコール1.9
kg(36.7当量)、およびMEK 27kgを添加した。次に、ジブチルスズジラウレー
ト10.2gおよびMDI 8.9kg(71.2当量)を添加した。この混合物を80℃において
2時間加熱した。次に、メルカプトコハク酸195.8g(1.5 当量)、TONETM03
05ポリカプ
ロラクトントリオール6.6kg(36.7当量)、およびMEK 9kgを添加した。反応混
合物を還流下で3時間加熱した。MDIの追加仕込分590g(4.72当量)を添加し、
3時間還流させた。最終インヘレント粘度=0.28dl/g。メルカプトコハク酸当量
の計算値=19,600。ヒドロキシル当量の計算値=1425。樹脂K
ここで使用した樹脂Kは次のように調製した:
非ハロゲン化ビニルコポリマを、以下の成分から調製した:
スチレン161.25pbw、アクリロニトリル50.0pbw、ヒドロキシプロピルアクリレ
ート37.5pbw、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド1.25pbw
、メルカプトプロパンジオール0.5pbw、メチルエチルケトン3.75pbw、および2,2
'-アゾビスイソブチロニトリル1.25pbw。
これらの成分を、1リットルアンバ反応器に仕込んだ。得られた混合物(未溶
解のメタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドが少し含まれてい
た)を、毎分1リットルのN2で7分間パージングし、その後、反応器をシール
した。シールされた反応器およびその内容物を、65℃または70℃の定温浴中で80
時間タンブリングさせた。生成物は、非ハロゲン化ビニルコポリマを含有する透
明で均一な溶液であった。
MEK中におけるサンプルのインヘレント粘度は、F.Rodriguez,「ポリマ
系の因子」,Chemical Engineering Series,2nd Edition(McGraw-Hill)
,pages 181-185に記載の手順に従って測定した。また、Tgも測定した。インヘ
レント粘度は0.30〜0.33であった。Tgは79℃であった。独立フィルムの実施例8〜10、12、14〜15および比較例11および13
樹脂(BおよびK)、イソシアネート架橋剤(CB-701)、およびケチミンを、以
下の表IIに従って混合し、ポリマフィルムを作製した。成分をメチルエチルケト
ン(MEK)に溶解した固形分40%の溶液から、ハンドスプレッドコーティングを
形成した。ポリプロピレンバッキング上にハンドスプレッドを厚さ10ミル(湿潤
厚)に塗布し、次に、60℃においてオーブン中で15分間乾燥させた。その後、ポ
リプロピレンバッキングからポリマフィルムを剥離した。これらのフィルムの硬
化度、外観、靭性、およびモジュラスを測定し、以下の表IIIに報告した。
モジュラスおよび靭性のデータは、幅1/2インチ×長さ4インチ(1.25cm×10.0
cm)のフィルムストリップおよびModel 1122 Instronを使用して得た。数値は
、Instronにより作成された応力歪み曲線から採ったデータにより発生させた。
硬化%の結果は、メチルエチルケトン(MEK)中にフィルムを2時間浸漬し、
未溶解分を秤量することによって得た。実施例10、12、14、および15の場合のよ
うにイソシアネート当量が少し過剰のときに、靭性および硬化に対する最良の結
果が得られる。実施例8および9は、イミンとイソシアネートとの当量比が1:1
であり、比較例11および13よりも靭性は大きいが、硬化性は弱い。実施例8〜10
の濁りのあるコーティングは、フィルム中の4,4'-メチレンジアニリンの結晶化
が原因である可能性が最も強いことが理論づけられる。
実施例16〜22および比較例23
磁性粒子を含有する実施例16〜22および比較例23は、同じ分散体組成より調製
された。ただし、イソシアネートおよびケチミンの量を変化させた。分散体の組
成は次の通りであった:バリウムフェライト顔料(Toda製ΣT 50130) 100部、
アルミナヘッドクリーニング剤5部、ヒドロキシ含有バインダ9.6部(Sekisui
Chemical製EC-130塩化ビニル樹脂4.8部および先に記載したように米国特許第
5,498,685号に調製についての記載のあるPHPUポリウレタン4.8部)、ミリス
チン酸滑剤3部、ブチルミリステート滑剤1.4部、および比60:20:20のメチルエ
チルケトン/トルエン/シクロヘキサノン溶剤278g。上記の固形分30%の分散体
100gに、以下の表IVに明記された量のイソシアネートおよびケチミンを添加した
。
幅6インチ(15.24cm)のポリエステルバッキング上に、実施例16〜22および比
較例23の分散体のハンドスプレッドを塗布した。このコーティングおよびバッキ
ングの6インチ×6インチ片を切り出してバイアルに入れた。バイアルにメチル
エチルケトン約20gを添加し、振盪機上にバイアルを2時間置いた。メチルエチ
ルケトン可溶分をコーティングおよびバッキングから分離し、溶剤を蒸発させた
。もとのコーティングおよびバッキングに対するMEK可溶分の重量比を求めて
図1および2にプロットした。この比は、コーティングの硬化度を示す。比が大
きくなるほど、硬化度が低い。
図1について説明する。約25℃における24時間後の比の値から、ケチミンを含
有する実施例はすべて、ケチミンを含有しない比較例23よりも硬化度が大きかっ
たことが分かる。
図2について説明する。約25℃、9日後において、すべての実施例(16〜22お
よび比較例23)は、24時間後に観測されたものよりも大きな硬化度を呈する。し
かしながら、実施例17および18は、ケチミンの配合を最適化することによって更
に硬化度を改良できることを示している。
本明細書を検討するかまたは本明細書に記載の本発明を実施することにより、
本発明の他の実施態様は当業者には自明となろう。以下に記載の請求の範囲に示
される本発明の範囲および精神を逸脱することなしに、当業者は、本明細書中に
記載の原理に種々の省略、修正、および変更を加えることが可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C09D 5/23 C09D 5/23
175/04 175/04
G11B 5/702 G11B 5/702
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK
,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,
MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R
U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR
,TT,UA,UG,UZ,VN