JPH1180984A - 過酸化水素の製造方法 - Google Patents

過酸化水素の製造方法

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JPH1180984A
JPH1180984A JP9246690A JP24669097A JPH1180984A JP H1180984 A JPH1180984 A JP H1180984A JP 9246690 A JP9246690 A JP 9246690A JP 24669097 A JP24669097 A JP 24669097A JP H1180984 A JPH1180984 A JP H1180984A
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hydrogen peroxide
anode chamber
alkaline
discharged
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Nobuo Yamada
信夫 山田
Haruo Sato
晴雄 佐藤
Tokiya Yaguchi
時也 矢口
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酸化水素の製造方法において電解反応後に
排出されるアルカリ性の陽極電解液を再利用するに当た
り、排出される陽極電解液中に含まれる重金属化合物を
無害化して、長時間高い電流効率と低い槽電圧を維持で
きるとともに、イオン交換膜の劣化等も起きにくい、連
続運転に適した実用的な過酸化水素の製造方法の提供。 【解決手段】 陰極室と陽極室とが隔膜で隔てられた電
解槽を用い、陽極室にアルカリ性水溶液を流通させ、陰
極において酸素を還元して過酸化水素を製造する方法で
あって、陽極室から排出された水溶液にアルカリ源を補
充して再度陽極液として使用する方法において、前記陽
極室から排出された水溶液、この水溶液にアルカリ源を
補充して調製された水溶液、及びアルカリ補充液の少な
くとも1つを凝集沈殿及び濾過処理する方法。凝集沈殿
及び濾過処理の結果、陽極室に供給されるアルカリ性水
溶液中の鉄、クロム及びニッケルの総量を0.5ppm
以下にすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過酸化水素の製造
方法に関する。特に本発明は、パルプの漂白に適した組
成及び濃度の過酸化水素水溶液の製造方法に関する。特
に本発明は、アルカリ比が2.5以下であるアルカリ性
過酸化水素水溶液を長期間安定に製造可能な過酸化水素
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素は古くから有用な漂白剤、酸
化剤として食品、医療品、パルプ、繊維、半導体工業に
おいて使用されている。従来、過酸化水素は2−アルキ
ルアントラキノールを自動酸化させることにより工業的
に得られ、同時に得られるアントラキノンを水素還元し
て元のアントラキノンに戻すことで連続的に大量合成が
行われている。しかし精製するためには精留を繰り返す
等の煩雑な操作が必要であり、しかも過酸化水素が不安
定であり、長期間の保存が不可能なため、さらに輸送に
伴う安全性および汚染対策の面から、オンサイト型の過
酸化水素製造装置の需要が高まっている。そこで、オン
サイト型の簡便な過酸化水素の製造法として、酸素ガス
の還元反応を用いた過酸化水素の製造方法がいくつか提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−20038
9号公報、特開平6−336687号公報、特開平6−
88273号公報には、三次元構造のカーボン陰極とイ
オン交換膜を含む過酸化水素製造装置、該装置を使用
し、高収率な過酸化水素の製造方法及び電極材料が開示
されている。本発明者らは、これらの方法を実用的な装
置において運転するためにさらに種々検討を重ねた。そ
の結果、実用化に際して問題点があることが判明した。
即ち、陽極電解液を循環使用するために、反応後に排液
される陽極電解液を電解装置に再供給していくと、経時
的に電流効率が低下し、槽電圧が上昇し、さらにはイオ
ン交換膜の劣化等が引き起こされるという問題があるこ
とがわかった。さらに検討したところ、このような問題
は電解反応時に陽極電解液中に溶出し、あるいは補充さ
れるアルカリ源中に含まれる重金属イオン、重金属水酸
化物、重金属酸化物等の重金属化合物が蓄積することが
原因であることも判明した。
【0004】従来の電解による過酸化水素の製造陽極反
応は、陽極室中に存在する水酸イオンの酸化による酸素
ガスの発生反応であり、式で表される。 4OH- → O2+2H2O +4e 一方の過酸化水素製造の陰極反応は酸素ガスの還元反応
であり、式で表される。 O2+H2O +2e → OH- +HO2 - また、従来の電解による過酸化水素の分解は式〜に
より表される。 OH- +HO2 - → O2+H2O +2e H2O +HO2 - +2e → 3OH- 2HO2 - → 2OH- +O2
【0005】式〜の過酸化水素分解反応は、生成す
る過酸化水素イオンが接触分解の触媒能を有する金属や
金属酸化物に接触することにより進行することが知られ
ている。一方、電解反応においては、陰極液中に不純物
として金属や金属酸化物が含まれていたり、陰極給電板
から金属や金属酸化物が溶出する可能性がある。さら
に、陽極液中の不純物や陽極からの溶出物が隔膜を通じ
て陰極室に流出する可能性もある。電解法による過酸化
水素の製造における電流効率の経時的低下の原因として
は、これらの金属や金属酸化物が過酸化水素を含んだ生
成液(陰極生成液)中に存在することで、過酸化水素が
接触分解するためと推測される。
【0006】ところで過酸化水素の製造に使用される鉄
やステンレスの陽極は、希薄なアルカリ性溶液中では不
安定であり、酸化物が溶出する。そのため、陽極には電
極反応量に対して十分に過剰な濃度のアルカリ性水溶液
が供給され、排出される水溶液も依然としてかなりの濃
度のアルカリ性水溶液である。そこで、経済的な観点及
び環境保全の観点から、陽極から排液されるアルカリ性
水溶液は再利用されることが望ましい。陽極液を再使用
する場合、希薄になった排陽極液にアルカリ(例えば、
苛性ソーダ)を補充して、電解反応以前のアルカリ濃度
となるように調整される。この際、濃度調整用に添加さ
れる濃アルカリ(苛性ソーダ等)中に含まれる重金属化
合物が、循環回数の増加と共に循環陽極液中に蓄積され
る。前述のように、微量に陽極から溶出した重金属化合
物も循環陽極液中に蓄積されるために重金属化合物濃度
は上昇する。
【0007】廃液中に含まれる重金属、とりわけ水銀の
様な有害重金属を分離し除去する工業的な方法はこれま
でもいくつか提案されている。例えば、特開昭53−8
1477号公報には、排煙処理液中の重金属をアルカリ
性で硫化物とし、生成した沈殿を除去した後、さらに酸
性下で活性炭により除去する方法が開示されている。し
かしながら、この方法では、排液中の重金属化合物を除
去するために排液に硫化ソーダやpH調整のための硫酸、
塩酸を加えるなどの処理が必要である。さらに、十分な
除去効果を得るためにはpHをアルカリ性から酸性へ変化
させる必要もある。そのため、アルカリ性の電解液を再
利用しようとする過酸化水素の製造方法にそのまま適用
することは出来ない。
【0008】また、特開昭53−67956号公報に
は、重金属を含んだ廃水をアルカリ性にし交流による電
解フェライト法で、重金属をフェライト化し廃液から磁
気分離する方法が開示されている。しかし、フェライト
生成のための電解槽などの除去装置が必要であり、オン
サイト型の装置として実用的でない。
【0009】そこで本発明の目的は、過酸化水素の製造
方法において電解反応後に排出されるアルカリ性の陽極
電解液を再利用するに当たり、排出される陽極電解液及
びアルカリ補充液中に含まれる重金属化合物を無害化し
て、長時間高い電流効率と低い槽電圧を維持できるとと
もに、イオン交換膜の劣化等も起きにくい、連続運転に
適した実用的な過酸化水素の製造方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、陰極室と陽極
室とが隔膜で隔てられた電解槽を用い、陽極室にアルカ
リ性水溶液を流通させ、陰極において酸素を還元して過
酸化水素を製造する方法であって、陽極室から排出され
た水溶液にアルカリ源を補充して再度陽極液として使用
する方法において、前記陽極室から排出された水溶液、
この水溶液にアルカリ源を補充して調製された水溶液、
及びアルカリ補充液の少なくとも1つを凝集沈殿及び濾
過処理することを特徴とする方法に関する。特に、凝集
沈殿及び濾過処理により、陽極室に供給されるアルカリ
性水溶液中の鉄、クロム及びニッケルの総量を0.5p
pm以下にすことが好ましく、本発明は、上記隔膜がイ
オン交換膜である場合に特に有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法では、陽極室から排
出された水溶液にアルカリ源(例えば、固体のアルカリ
源または水溶液であるアルカリ補充液)を補充して再度
陽極液として使用する。このように陽極液を循環使用す
ると、金属や金属酸化物等が蓄積し、これらの金属や金
属酸化物等は、前述の通り、隔膜を通じて陰極室へ流出
して陰極液中の過酸化水素の分解を促進するとともに、
隔膜の劣化を促進してしまう。特に、隔膜がイオン交換
膜である場合、膜の劣化が顕著である。そこで本発明で
は陽極室から排出された水溶液、この水溶液にアルカリ
源を補充して調製された水溶液、及びアルカリ補充液の
少なくとも1つを凝集沈殿及び濾過処理する。
【0012】凝集沈殿及び濾過処理した水溶液を陽極液
として、または凝集沈殿及び濾過処理した補充液を補充
した水溶液を陽極液として電解装置に再供給することに
より、隔膜を通じて陰極へ移動する金属量を低減でき
る。その結果、陰極で生成した過酸化水素の分解を抑制
でき、過酸化水素生成の電流効率が高く維持される。得
られた過酸化水素水溶液は、そのまま陰極液取出口から
槽外に取り出され、所定の用途に使用できる。また、隔
膜を通じて陰極へ移動する金属酸化物量を低減できるた
め、金属酸化物が隔膜中に堆積して寿命が短縮化するこ
とがなくなり、長期間安定した電解操作を行なうことが
可能になる。即ち、隔膜、特にイオン交換膜の保護の観
点からも本発明の方法は有効である。
【0013】本発明において凝集沈殿及び濾過処理され
るのは、陽極室から排出されアルカリ源を補充する前の
水溶液であっても、陽極室から排出された水溶液にアル
カリ源(固体のアルカリまたはアルカリ補充液)を補充
して調製された水溶液であっても、アルカリ補充液であ
ってもよい。さらに、これらの2つであっても差し支え
ない。
【0014】陽極室から排出される水溶液中の重金属の
含有量は比較的多く、陽極室から排出されアルカリ源を
補充する前の水溶液、及び陽極室から排出された水溶液
にアルカリ源を補充して調製された水溶液の凝集沈殿及
び濾過処理は、陽極室に供給されるアルカリ性水溶液中
の鉄、クロム及びニッケルの総量が0.5ppm 以下になる
条件で行うことが好ましい。凝集沈殿及び濾過処理後の
水溶液中の鉄、クロム及びニッケルの総量が0.5ppm を
超える場合、本発明が目的とする十分な効果が得られな
い場合がある。上記鉄、クロム及びニッケルの総量は、
好ましくは0.4ppm 以下、より好ましくは0.3ppm 以下
である。尚、上記鉄、クロム及びニッケルの総量は、低
ければそれだけ、本発明の効果は高くなる。しかし、凝
集剤の使用量が増加して濾過材への負荷が多くなり、実
用的な観点から好ましくなく、上記鉄、クロム及びニッ
ケルの総量の下限は0.1 ppm 程度である。また、鉄、ク
ロム及びニッケルの各成分についても、それぞれ0.3pp
m 以下であることが好ましく、より好ましくは0.2ppm
以下である。
【0015】またアルカリ補充液に含まれる重金属の含
有量は、陽極室から排出される水溶液中の濃度に比べて
低い場合がある。しかし、アルカリ補充液中に含まれる
重金属化合物が低濃度であっても凝集沈殿させた後に濾
過することによりさらに水溶液を精製することができ
る。この場合には、水溶液中に含まれる鉄、クロム及び
ニッケルの総量を0.1ppm以下に削減することもできる。
【0016】上記水溶液の凝集沈殿及び濾過処理方法に
制限はなく、処理する水溶液に凝集剤を添加し、次いで
濾過することにより行うことができる。凝集沈殿に用い
る凝集剤としては、例えば、水溶性の2価または3価の
金属塩である1種又は2種以上を用いることができる。
さらに、2価または3価の金属塩としては、カルシウ
ム、マグネシウム、バリウム及びアルミニウムからなる
群から選ばれる金属の水溶性の塩を挙げることができ
る。より具体的には、硫酸マグネシウム、塩化カルシウ
ム、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化バ
リウム等を挙げることができる。
【0017】上記カルシウム、マグネシウム、バリウム
及びアルミニウム等の水溶性の2価または3価の金属塩
は、水酸化物生成時にコロイド状の重金属化合物が凝集
するために濾過処理により重金属を無害化することがで
きる。凝集剤の添加量は被処理液に含まれる重金属化合
物量や添加後の濾過能力に応じて適宜決定できるが、概
ね0.1 〜100ppm程度である。水溶液への凝集剤の添加
は、処理対象である水溶液に凝集剤を連続的に添加する
ことで行うことも可能であるが、攪拌槽中で処理対象で
ある水溶液に凝集剤を添加した後、沈殿を沈降分離する
バッチ式を採用することもできる。バッチ式では沈降分
離により得られる上澄み液が濾過されるため、濾過材の
負荷を低減できる長所があるもの、沈降分離に時間がか
かるため、大規模な攪拌槽が必要となるという欠点もあ
る。
【0018】凝集剤を添加後の濾過には、耐アルカリ性
のあるポリオレフィン、弗素化ポリオレフィン、ポリア
ミド、ポリエステル、及びこれらの混合物から選ばれた
材質を使用した濾過材を用いることが好ましい。さら
に、濾過材の賦活・再生に酸を使用する場合には、耐酸
性の材質であることがより好ましい。濾過材が有する孔
径は、被処理液中に含まれる重金属化合物量や凝集剤の
種類に応じて適宜決定できるが、概ね0.05〜10μm 程度
である。また濾過材の形状や型式には特に制限はない
が、平膜型、チューブ型、スパイラル型、限外濾過膜を
中空糸状に加工したファインチューブ型等を挙げること
ができる。また、操作方式は、バッチ式、再循環式、単
一パス式、連続向流式及びこれらの組合せから任意に選
択した方式を採用することができる。また、濾過材を適
宜洗浄しながら使用することもできる。
【0019】被処理液が、陽極室から排出されアルカリ
源を補充する前の水溶液の場合、凝集沈殿及び濾過処理
後、アルカリ源(凝集沈殿及び濾過処理を施したもの、
または未処理のものでもよい)を補充して所定のアルカ
リ濃度となるように調整した後、電解反応に供給され
る。また、被処理液が、陽極室から排出された水溶液に
アルカリ源を補充して調製された水溶液の場合、凝集沈
殿及び濾過処理後にそのまま、電解反応に供給すること
ができる。また、被処理液が、アルカリ補充液の場合、
凝集沈殿及び濾過処理後に、陽極室から排出され凝集沈
殿及び濾過処理を施した水溶液、または陽極室から排出
され凝集沈殿及び濾過処理を施していない水溶液に混合
して、電解反応に供給することができる。凝集沈殿及び
濾過処理を施した水溶液は、所望により、さらに活性炭
による重金属の除去処理等を行うこともできる。
【0020】本発明は、陰極室と陽極室とが隔膜、例え
ば、イオン交換膜で隔てられた電解槽を用い、陽極室に
アルカリ性水溶液を流通させ、陰極において酸素を還元
して過酸化水素を製造する方法である。このような過酸
化水素の製造方法は公知であり、この方法に使用する装
置や条件等は、例えば、特開平6−200389号公
報、特開平6−336687号公報、特開平6−882
73号公報、特開平8−120476号公報、特開平9
−78281号公報等に記載の公知のものをそのまま使
用できる。
【0021】上記隔膜は、例えばイオン交換膜であり、
イオン交換膜としては、陰極においてアルカリ性の過酸
化水素水溶液を得るので、カチオン交換膜を使用する。
イオン交換膜はフッ素樹脂系及び炭化水素系のいずれで
も良いが、耐食性の面から前者が好ましい。前者の例と
してはスルホン酸基或いはカルボン酸基を有するナフイ
オン117、ナフイオン350、ナフイオン902及び
ナフイオン961(以上デュポン社製)がある。イオン
交換膜は陽極や陰極で生成した各イオンが対極で消費さ
れることを防止するとともに、本発明のような電解液の
電導度が低い場合でも電解を速やかに進行させる機能を
有している。
【0022】陰極室及び陽極室に供給されるアルカリ水
溶液としては、通常水酸化ナトリウム水溶液が用いられ
るが、他に水酸化カリウム等の水溶液を用いることもで
きる。従って、アルカリ源補充用のアルカリは、通常は
水酸化ナトリウムであり、他に水酸化カリウム等のアル
カリを用いることもできる。
【0023】陰極で得られたアルカリ性の過酸化水素水
溶液はそのまま、希釈又は濃縮することなしに使用され
ることが好ましく、従って、運転条件も過酸化水素の使
用目的に応じて適宜変動させることができる。例えば、
パルプの漂白に使用する場合、過酸化水素水溶液中のア
ルカリ比率は漂白の使用条件に近い方が好ましい。従っ
て、陰極室に供給されるアルカリ水溶液濃度は高くない
ことが望ましく、陽極室に供給されるアルカリ水溶液濃
度より低いことが好ましい。具体的には陰極室のアルカ
リ濃度は0.6モル以下、好ましくは0.4モル以下が
適当であり、より好ましくは、アルカリを含まない、例
えば、イオン交換水であることが適当である。一方、陽
極室のアルカリ濃度は10重量%以下であるが、低すぎ
ると電解液の抵抗損失が大きくなるばかりか、前述の理
由から陽極の劣化が生じ易くなる。そこで、陽極室のア
ルカリ濃度は、10重量%以下で、0.6モル(2.4 重
量%)以上、好ましくは0.9モル(3.6 重量%)以上
であることが適当である。
【0024】陽極の形状は特に限定されないが、前述の
通り、金網状、スポンジ状、フェルト状及び粉末焼結に
よる多孔性を有する形状とし、電解液との接触効率の良
い形状とすることが好ましい。尚、陰極やイオン交換膜
の支持体としての剛直を備えるという観点から、上記陽
極は、繊維状金属集合体のシートと金属多孔板とからな
ることが好ましい。そして、前記繊維状金属集合体のシ
ートがカチオン交換膜と密着した状態で電解槽内に設置
されていることが、陰極との極間距離を短縮して、槽電
圧を低下させるという観点から特に好ましい。
【0025】陰極は、アルカリ水溶液中の酸素を還元し
て過酸化水素を製造する方法において用いられるガス拡
散電極をそのまま用いる。例えば、特開平6−2003
89号に記載の充填密度0.3以上の炭素繊維材料を挙
げることができる。炭素繊維材料としては、炭素繊維の
編物を例示することができ、炭素繊維の編物としては、
例えば市販のグラファイトクロスを挙げることができ
る。グラファイトクロス以外の炭素繊維材料であっても
良い。
【0026】さらに、陰極として、多孔質の無定形炭素
材料を例示することもできる。多孔質の無定形炭素材料
は、非結晶質で実質的に無配向、即ち異方性のない多孔
質の炭素材料である。そのような炭素材料としては、例
えば、多孔質の無定形炭素繊維材料及び多孔質の無定形
炭素成形体を挙げることができる。
【0027】本発明の製造方法において、陰極室には、
酸素もしくは酸素含有ガス、空気等の酸素源を供給す
る。この酸素源として、二酸化炭素を除去した酸素もし
くは酸素含有ガス、空気を使用することが好ましい。二
酸化炭素を除去した酸素含有ガスとして、空気より窒素
ガスを吸着して除去し、酸素分を取り出したPSA酸素
を使用することが工業的には好ましい。
【0028】本発明の方法により、パルプの漂白に適し
た過酸化水素濃度とアルカリ濃度を有する過酸化水素を
長期間安定して効率的に製造することができる。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに詳しく
説明するが、これらの実施例は本発明を限定するもので
はない。 〔実施例1〕電極面積がそれぞれ0.005m2となるよう
に高さが0.1mで幅が0.05mのステンレス繊維を編ん
で調製した陽極、黒鉛製フェルトから成る陰極を陽イオ
ン交換膜ナフイオン117(デュポン社製)の両面に密
着させた。陰極室に、市販の酸素ガスボンベから酸素ガ
スを毎時4リットルで、かつ純水を毎分1mlで噴霧供給
し、陽極室には濃度80g/lの十分な量の水酸化ナト
リウムを毎分2mlで供給した。この陽極中の金属量
(鉄、クロム、ニッケル)を表1に示した。温度を30
℃として両極間に2A(400A/m2)の電流を2時間
流した。
【0030】この間槽電圧と生成液濃度はほぼ一定して
おり、槽電圧は2.0V、陰極生成液は17.3 g/lの過
酸化水素を含む濃度47g/lである水酸化ナトリウム
水溶液が得られた。陰極生成液中の重量比(水酸化ナト
リウム/過酸化水素)は2.7、過酸化水素生成の電流効
率は82%であった。これらの値は参考値として表2に
示した。陽極からは水酸化ナトリウム濃度が61g/l
で排液された。排陽極液中の金属量(鉄、クロム、ニッ
ケル)を表1に示した。
【0031】この排陽極液に水酸化ナトリウムを添加し
て、80g/lに調節した後、溶液1リットルに対して
凝集剤として無水硫酸マグネシウムが10ppm(10
mg)になるように予め調製しておいた無水硫酸マグネ
シウム1%(g/ml)水溶液を1ml添加した。添加
後、直ちに、孔径1μmの濾紙(No5C、東洋濾紙株
式会社製)を使用し、濾過した。濾液中の金属量(鉄、
クロム、ニッケル)を表1に示す。
【0032】上述の濾液を再び電解槽の陽極室に毎分2
mlで供給した。温度を30℃とし両極間に2A(400
A/m2)の電流を2時間流した。この間槽電圧と生成液
濃度はほぼ一定しており、槽電圧は2.0V、陰極生成液
は16.5g/lの過酸化水素を含む濃度47g/lであ
る水酸化ナトリウム水溶液が得られた。陰極生成液中の
重量比(水酸化ナトリウム/過酸化水素)は3.8、過酸
化水素生成の電流効率は78%であった。これらの結果
を表2に示したが、参考値をやや下回った値であった。
【0033】〔実施例2〕実施例1で得られた排陽極液
に水酸化ナトリウムを添加して、80g/lに調節した
後、溶液1リットルに対して凝集剤として無水硫酸マグ
ネシウムが10ppm(10mg)になるように予め調
製しておいた無水硫酸マグネシウム1%(g/ml)水
溶液を1ml添加した。添加後、直ちに、孔径1μmの
濾紙(No5C、東洋濾紙株式会社製)を使用し、濾過
した。得られた濾液をさらに、孔径0.1μmのPTF
Eフィルター(MCF010、東洋濾紙株式会社製)を
使用し、濾過した。この濾液中の金属量(鉄、クロム、
ニッケル)を表1に示す。二段濾過により金属量がより
低減されていることが分かる。
【0034】上述の濾液を再び電解槽の陽極室に毎分2
mlで供給した。温度を30℃とし両極間に2A(400
A/m2)の電流を2時間流した。この間槽電圧と生成液
濃度はほぼ一定しており、槽電圧は2.0V、陰極生成液
は18.0g/lの過酸化水素を含む濃度45g/lであ
る水酸化ナトリウム水溶液が得られた。陰極生成液中の
重量比(水酸化ナトリウム/過酸化水素)は2.5、過酸
化水素生成の電流効率は85%であった。これらの結果
を表2に示したが、実施例1で示された参考値と同様の
値であった。
【0035】〔比較例1〕排陽極液を凝集沈殿及び濾過
処理をしなかったこと以外は実施例1と同一条件で排陽
極液を電解槽の陽極室に再供給し、同一条件で電解を行
なった。2時間後には槽電圧が2.0Vから2.2Vに上昇
し、陰極生成液中の過酸化水素濃度は13g/lまで低
下していた。重量比は2.8から3.8となり、過酸化水素
の電流効率は79%から59%に低下した。これらの結
果を表2に示した。また、イオン交換膜表面に鉄、クロ
ムが析出し劣化していた。
【0036】〔比較例2〕実施例1で得られた排陽極液
に水酸化ナトリウムを添加して、80g/lに調節した
後、溶液に凝集剤を全く添加せず、孔径1μmの濾紙
(No5C、東洋濾紙株式会社製)を使用し、濾過し
た。得られた濾液をさらに、孔径0.1μmのPTFE
フィルター(MCF010、東洋濾紙株式会社製)を使
用し、濾過した。この濾液中の金属量(鉄、クロム、ニ
ッケル)を表1に示す。実施例1に比べて金属の除去量
が少ないことが分かる。
【0037】上述の凝集剤無添加の凝集沈殿及び濾過処
理で得られた処理液を再び電解槽の陽極室に毎分2mlで
供給した。温度を30℃とし両極間に2A(400A/
m2)の電流を2時間流した。2時間後の槽電圧は2.0
V、陰極生成液中の過酸化水素濃度は13.5g/lまで
低下していた。重量比は2.8から3.5となり、過酸化水
素の電流効果は79%から65%に低下した。これらの
結果を表2に示したが、実施例1で示された値を下回っ
ていた。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、過酸化水素の製
造方法において電解反応後に排出されるアルカリ性の陽
極電解液を再利用するに当たり、排出される陽極電解液
中に含まれる重金属化合物及びアルカリ補充液に含まれ
る重金属化合物を無害化して、長時間高い電流効率と低
い槽電圧を維持できるとともに、イオン交換膜の劣化等
も起きにくい、連続運転に適した実用的な過酸化水素の
製造方法を提供することができる。さらに、本発明の方
法によれば、隔膜中に堆積して寿命が短縮化することが
なくなり、隔膜保護の観点からも好ましい。隔膜の寿命
を延長できるため長期間安定した電解操作を行なうこと
が可能になる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極室と陽極室とが隔膜で隔てられた電
    解槽を用い、陽極室にアルカリ性水溶液を流通させ、陰
    極において酸素を還元して過酸化水素を製造する方法で
    あって、 陽極室から排出された水溶液にアルカリ源を補充して再
    度陽極液として使用する方法において、 前記陽極室から排出された水溶液、この水溶液にアルカ
    リ源を補充して調製された水溶液、及びアルカリ補充液
    の少なくとも1つを凝集沈殿及び濾過処理することを特
    徴とする方法。
  2. 【請求項2】 陽極室に供給されるアルカリ性水溶液中
    の鉄、クロム及びニッケルの総量が0.5ppm以下に
    なるように凝集沈殿及び濾過処理を行う請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 凝集沈殿処理を水溶性の2価または3価
    の金属塩である1種又は2種以上の凝集剤を用いて行う
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 2価または3価の金属塩が、カルシウ
    ム、マグネシウム、バリウム及びアルミニウムからなる
    群から選ばれる金属の水溶性の塩である請求項3に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 隔膜がイオン交換膜である請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の方法。
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