JPS637780A - 細胞への鉄供給方法 - Google Patents

細胞への鉄供給方法

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JPS637780A
JPS637780A JP61152111A JP15211186A JPS637780A JP S637780 A JPS637780 A JP S637780A JP 61152111 A JP61152111 A JP 61152111A JP 15211186 A JP15211186 A JP 15211186A JP S637780 A JPS637780 A JP S637780A
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Noritsugu Yabe
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Muneaki Iizuka
飯塚 宗秋
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山根 績
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は鉄イオンをキレート剤により安定化して細胞に
供給する方法及びそれに使用する無血清合成培地に関す
るものである。
[従来の技術] 例えば、動物細胞を生体から切り離していわゆる試験管
内で培養するためには、当該細胞をよく吟味された栄養
分(アミノ酸、ビタミン、糖、電解質など)を含む等張
緩新液より構成される培地−これらはイーグルの)IB
M 、 RPM11640、ハムのF12培地などとし
てなじみのものである−に適当量の動物血清を加えた培
養液が必要である。
このとき、血清は細胞の生育や増殖などにとって必要な
栄養環境をつくる役目の他に、各種の細胞増殖因子や脂
溶性ビタミン、脂質成分など或は種々の金属元素の細胞
内補給と言う重要な任務を司っている。すなわち血清の
存在によって、初めて細胞の培養が可能となったわけで
ある。
しかしながら血清は動物の繁殖環境、飼料の種類、健康
状態、採血時期成は産地などによってその品質に大きな
変動があることは周知の事実であり、細胞培養を行なう
に当っては綿密な予備培養試験のもと高品質の血清を入
手することとなる。これらの血清の選別には手間がかか
るが、血清の適否は培養の成否に直結し且つ培養液の原
価の中で血清の占める割合が8割以上を占めるほど高価
なのでおろそかにはできない。
この様に、手間と費用をかけた血清添加培地でも、培地
細胞から産業的或は医学的に重要な活性因子を抽出・精
製する際は、血清成分の存在は邪魔物となり、これらの
血清成分の除去操作が必要となる。
そこで血清を添加せず化学的に合成された成分のみで構
成された、いわゆる無血清培地の開発が要望されて久し
い。
しかしながら、これ迄に公表された無血清培地には、化
学的に構成成分が解明されていない血清アルブミン分画
を含んでいたり、血清より分離したトランスフェリン蛋
白を必須因子として添加しているのが実状である。
以下にこれ迄公表されてきた無血清培地の代表例を参考
として表示する。
(D  CITTL培地〔ダルフレアー(F、 J、 
Darf’1er)、インセル(P、A、 In5el
)等、1982年〕基礎培地−ダルベッコ変法イーグル
培地十ノλムのF12培地(1: 1) 添加物−カゼイン、インスリン、テストステロン、リノ
ール酸 (n)  5FFD培地(H,ムラカミ等、1982年
)基礎培地−ダルベツコ変法イーグル培地十ノ1ムのF
12培地(1: 1) 添加物−インスリン、トランスフェリン、エタノールア
ミン、セレン (至) KSLM培地(T、カワモト等、1983年)
基礎培地−PPM11640+ダルベツコ変法イーグル
培地+ハムのPL2培地 (2: 1 : 1) 添加物−インスリン、トランスフェリン、低比重リポ蛋
白、遊離脂肪酸不含牛血 清アルブミン、オレイン酸、エタノ ールアミン、2−メルカプトエタノー ル、セレン、ヘペス 血清添加培地の性能が血清の品質に影響を受ける事は前
述の通りであるが、無血清培地にアルブミンを添加する
場合にもアルブミン中に含まれる夾雑成分(アルブミン
は生体内で多くの重要な元素類と機能的に結合している
と言われている。)が培地性能に与える影響は少なくな
い。
更に、これら培地性能の変動要因を生む血清或は血清ア
ルブミンを除去した場合でも無血清培地の微量添加因子
としてトランスフェリンは必要とされていた。トランス
フェリンは、細胞にとって必須元素である鉄と結合し、
細胞内に取り込む役割を果すことが証明され、高価な血
清蛋白成分であるにも拘らず無血清培地に使われ続けて
きた。
[発明が解決しようとする問題点コ このように動物細胞の培養において鉄の供給は不可欠で
あるため、従来は血清或は血清成分としてアルブミン画
分や高価なトランスフェリンを合成培地に添加していた
ので、培養液のコストが高くなり或は量的な制限を受け
ていた。
又、培養液から目的の成分を抽出する場合は、これらの
添加蛋白質が不純物となりめんどうな除去操作が必要と
なる。
例えば、従来の無血清培地に添加されるトランスフェリ
ンは、通常ヒト血清より工業的に分離・精製され、高価
なものであり、培養液1リツトルに対し概略5〜lom
g使用され、培養液原価の約20〜40%を占る。動物
細胞による物質生産を考えるとき、トランスフェリン蛋
白の一部或は全部を安価な化学合成物質で代替すること
は、培養液の原価低減のみならず、生産物の精製におい
てもメリットは大きい。
又、ワクチンウィルス増殖に供される細胞の培養におい
ては蛋白成分が少ないほどワクチン接種時の副作用(ア
ナフィラキシ−など)は少ないと言われているのでワク
チン製造における安全性への寄与も大きい。
更に医学、生物学或は農学など細胞培養に関連する研究
分野で、いま最も注目されているテーマは生物の癌化及
び老化の発生メカニズムの解析であろう。従来の血清を
必要とする培地はもとより、アルブミンやトランスフェ
リン等の血清成分は少なからず抗癌、老化に関与する因
子を含んでいるとみなされているので、血清成分を含ま
ない培養系の提供は新らしい研究の進展を約束するもの
として貢献度は大きい。
更に又、臨床医学的には胃潰瘍等に起因する或は遺伝的
素因による貧血や金属元素欠如疾患の病体解明に役立つ
ほか、治療法に対しても新らしい方法論を提供するもの
となろう。
他方、トランスフェリンを介さない鉄の細胞内への取り
込みは、実験的には2価鉄を細胞に素早く接触させるこ
とで可能である事は証明されている。
しかしながら、2価鉄は通常用いられる動物細胞培養用
培地の液性(中性〜弱アルカリ性)では直ちに酸化され
、水酸化第2鉄として沈殿し、産業上実用的ではない。
本発明は、トランスフェリンを含まない無血清培地にお
いて、鉄をより安定な3価鉄として処方し、同時に鉄を
適当にキレート結合する化学合成物を添加することによ
り細胞培養を可能とするもので、蛋白成分であるトラン
スフェリンの一部或は全部を代替しようとするものであ
る。
[問題点を解決するための手段] すなわち、本発明の目的は、細胞が必要とする不溶化し
やすい鉄元素を、安定な形で細胞内に供給することにあ
る。
従来、誤飲した毒性を有する重金属類を解毒する目的で
キレート剤を投与し、体内に於て安定な錯体を形成させ
て排泄させる方法が知られている。即ち、この様なキレ
ート剤は体内の臓器や組織に不溶化し、沈着した重金属
を可溶化させ、体外に出す作用がある訳である。
本発明者等はこの様なキレート剤のもつ解毒作用の意味
をとらえ、鋭意研究の結果、或種のキレート剤は沈殿を
形成し易い金属元素を錯体として安定化することにより
、細胞に積極的に供給し得るという事を初めて細胞培養
の分野において確立したのである。
即ち、本発明は鉄をキレート剤により安定化して細胞に
供給することを特徴とする細胞への鉄供給方法と、鉄イ
オン・及びキレート剤を含有することを特徴とする細胞
用無血清合成培地にかかるものである。
ここで、細胞内に取り込まれる鉄は主として3価鉄イオ
ンであるが、細胞は2価鉄イオンも取り込み可能である
従って、無機又は有機の第2鉄塩或は無機又は有機の第
1鉄塩を鉄源として使用することができる。これらの鉄
源は培養細胞に悪影響を与えないものであればいずれも
使用可能であるが、例えば塩化第2鉄、硫酸第1鉄など
の可溶性のものが好ましい。
しかしながら、培養液或は体液のplは中性乃至弱アル
カリ性であるため、2価鉄イオンは3価鉄イオンに酸化
され、更に水酸化第2鉄となって沈殿し易い。
キレート剤は中性乃至弱アルカリ性で3価鉄イオンと安
定な錯体を形成するものを使用する。
2価鉄イオンよりも3価鉄イオンとより安定な錯体を形
成するものが好ましい。しかし、3価鉄との結合力が強
すぎると3価鉄イオンを細胞へ供給する際の妨げとなる
ので、3価鉄イオンとのキレート安定度定数(1ogK
ML)が15以下のものを使用する。例えば、エチレン
ジアミンニプロピオン酸塩酸塩、ヒドロキシエチルイミ
ノ二酢酸、イミノ二酢酸などが挙げられる。
鉄の供給対象となる細胞は動物又は植物由来の細胞のい
ずれでもよく、鉄依存性の細胞にはすべて適用可能であ
る。
培地の処方としては種々の処方のものが使用可能であり
、例えば後記実施例に示した処方が適当である。又、市
販の基礎培地も使用することができる。
基礎培地としては一般的な無血清合成培地例えばイーグ
ルHEM 、RPMI1640、ダルベツコ変法イーグ
ル培地、ハムのF12等を単独で或は二種以上を混合し
て使用することができる。
以上において、培養液11当りの鉄イオンの濃度は0,
05〜loaMが適当であり、キレート剤の濃度は0.
1〜15mMが適当である。
本質的にはトランスフェリンやアルブミン画分、血清等
は添加不要であるが、少量のトランスフェリンを必要(
と応じて添加してもよい。
次に、本発明の無血清合成培地の調製方法を述べる。
先ず、2倍濃度の無血清合成培地(増殖因子として、例
えばインスリン、エタノールアミン、セレン、上皮性成
長因子、トリヨードサイロニンなどを含有する。)を調
製しておく。別途0.2〜30mMのキレート剤溶液を
調製すると共に鉄化合物溶液を調製し、先ずキレート剤
溶液に鉄化合物溶液を加えて錯体を形成させる。しかる
後前記2倍濃度の無血清合成培地と錯体溶液を等量混合
する。
前もって当該金属類とキレート剤を結合させておく事が
重要で、この前処理をしないでそれぞれ単独に培地の他
の成分と混合するならば効果は半減する。
鉄を例として調製方法を示す。2価鉄或は3価鉄の無機
塩0.2〜2gを11となる様に0.01規定の塩酸で
溶解し、このうち1容を99容のキレート剤溶液に加え
る。こうして調製した錯体溶液と2倍濃度の無血清合成
培地を等量混合して目的とするトランスフェリンを含ま
ない培養液を得る。或は必要があれば適宜トランスフェ
リンを補給してもよい。又は錯体溶液を予め準備してお
き、これに他の培地成分を順次添加して所望の無血清合
成培地を処方しても勿論さしつかえない。
最終的に得られた培養液は当然のことながら一過減菌し
て無菌的に保存する。
なお、合成培地に補添されるインスリン、セレン、エタ
ールアミン、上皮性成長因子、トリヨードサイロニンな
どは細胞の増殖性を向上させるのに寄与するもので、既
に公知の物質であり、無血清培養での必須成分の一部を
構成するものである。
[作   用] この様にして調製したアルブミン及びトランスフェリン
を含まないか、微量のトランスフェリンを含む無血清合
成培地を用いて、ノ1イブリドーマなどのリンパ球系細
胞や線維芽細胞などの間質系細胞もしくは腎細胞などの
上皮系細胞の培養を行なうと、以下の試験例の如く良好
な培養結果が得られた。
試験例1 予め血清及びキレート剤などを添加していない培地(例
えばイーグルMENとRPM11840培地の1:1の
混合)で2日間、マウスハイブリドーマC2a ”−E
 T細胞を37℃の5%炭酸ガス岬卵器でで前培養し細
胞周期を停止させた後、後記実施例1.2.3の各培地
及び実施例1.2.3の処方より塩化第二鉄を除きトラ
ンスフェリンを添加した培地及び対照としてキレート剤
を添加しない培地の各々11!を12穴培養プレートに
同一培地を3穴宛分注し、前培養しておいたC2a−E
1細胞の5X10’個を播き、3日間37℃の5%炭酸
ガス解卵器で本培養した。それぞれの培地の細胞増殖支
持能力は増殖してきた生細胞数をかぞえその多寡で判定
した。その結果を表−1に示す。
トランスフェリンによる鉄の細胞内供給(これは通常血
清の添加によってまかなえられる)の代りにキレート剤
を使用することで細胞の増殖が行なわれることが明らか
である。しかし、トランスフェリンやキレート剤を添加
せずに鉄のみの補給では、細胞周期の再回転は起こらな
い。
これによってキレート剤として使用した化合物の有効性
が明らかである。
試験例2 後記実施例1の培地、及びこの処方より塩化第二鉄を除
去した培地、或はこれらの鉄添加もしくは鉄不含培地に
鉄をまた結合させていないアポトランスフェリンもしく
は鉄イオンを飽和結合したホロトランスフェリンなどを
更に添加した培地、又はキレート剤を含んでいない無血
清培地を準備し、これらの各々の培地でのハイブリドー
マ(C2a−El)の増殖支持能を試験例1の実施要領
に準じて行い判定した。その結果を第1図に示す。
遊離の鉄或はホロトランスフェリンの存在下ではキレー
ト剤により細胞の増殖性を著しく向上させる。無血清無
アルブミン培養条件下においてはトランスフェリンの濃
度はこれまで知られている無血清培地の処方では通常5
mg71以上、平均的には10mg/’fで使用されて
いる。第1図より明らかなように、キレート剤を添加す
ることにより、常置の10分の1程度のトランスフェリ
ンかあれば、あとは3価鉄の補給によって細胞の増殖が
改善される。これは鉄トランスフェリン結合体(ホロ型
)が細胞表面の受容体を介して細胞内に取り込まれ、鉄
は細胞内に、トランスフェリンはアポ型となって細胞外
にはき出され再度培養液中の3価鉄イオンと結合して細
胞の増殖及び代謝に利用される、いわゆるトランスフェ
リン周期をキレート剤が円滑に行わせているためである
。すなわち、キレート剤による鉄錯体はトランスフェリ
ンの不存在下においても細胞の増殖を支持し、かつトラ
ンスフェリンの存在下にあっては、トランスフェリン周
期の回転を促進させ鉄の利用効率を著しく改善するもの
である。
試験例3 後記実施例3の培地1厭にマウスハイブリドーマC2a
−E1細胞を5XlO’個播き、3日間37℃5%炭酸
ガス4卵器で培養したのち、再び5X10’の細胞数に
もどし新鮮な実施例3の培地で培養をくり返す継代培養
を行なった。その結果を第2図に示す。
トランスフェリンの不存在下において鉄錯体の添加によ
り細胞が継代培養できる。このことはほぼ完全にトラン
スフェリンの必要性(従来の知見)を根底からくつがえ
すものである。
試験例4 トランスフェリンの代りに塩化第二鉄(6水塩) 80
mg/ jと下記表−2に示すキレート剤を表−2に示
す濃度に添加し、マウスハイブリドーマC2a−E I
細胞を用いて前記試験例1の実施要領に準じて行い判定
した。その結果を表−2に示す。
3価鉄イオンとのキレート安定度定数が15.87以上
のキレート剤は、3価鉄イオンとの結合力が強すぎるた
め、錯体として安定化された鉄イオンを細胞が利用する
ことができず、細胞は増殖しない。以上の結果からキレ
ート剤の3価鉄イオンのキレート安定度定数は15以下
が好ましいことがわかる。
試験例5 後記実施例3の培地及びこの培地の処方中塩化第二鉄の
代りにトランスフェリンを添加した培地、対照として実
施例3の培地よりイミノ二酢酸を除去した培地を用いて
NLFK細胞(ネコ腎細胞)の増殖支持能を試験例1の
実施要領に準じて行なった。但しこの細胞は基質接着性
細胞なので細胞計測にあたってはトリプシン処理によっ
て器壁より細胞をはがして行なった。結果を表−3に示
す。
表−3 本培養穴4個の平均値士漂準偏差(XIO’個の細胞数
/培養穴)接着性の細胞でもリンパ球系細胞(浮遊細胞
)と同様なキレート剤による効果を認めた。即ちこのよ
うなキレート剤の作用は培養細胞−般へとその使用を拡
大できることを示唆するものである。
試験例6 実施例3の培地及び対照としてトランスフェリンを添加
した培地の111にマウスノ\イブリドーマ細胞R2−
Pt−E4−OB細胞(P3U−1ミエローマ由来抗犬
パルボウイルス抗体を産生)の5×104個を播き3日
間37℃の5%炭酸ガスm卵器で培養する。その後、そ
の培養上清の抗体価を酵素免疫測定法を用いて半定量し
た。その結果を第3図に示す。
キレート剤を用いた無トランスフェリン培養においても
トランスフェリン添加培養と同等の抗体生産が認められ
た。これは、将来治療用にモノクローナル抗体を用いる
場合、精製時でのトランスフェリンの混入を減じ、純度
の高い抗体を得ることができることを示すものである。
試験例7 後記実施例3の培地及び対照として10%牛脂児血清添
加のイーグルMEM培地にlX105個のNLFK細胞
と、10’−8TCID切/x1単位の犬パルボウィル
スを共に播き8日間37℃の5%炭酸ガス貯卵器で培養
し、その培養上清のウィルスΩを測定した。その結果を
第4図に示す。
従来法の血清培養と同程度或はそれ以上のウィルス収量
を認めた。ワクチン製造用の腎細胞への鉄錯体の適用は
、ウィルス精製の簡素化を可能にするものであり、ワク
チン製造の産業分野においても有用なものである。
試験例8 実施例4.5の各培地及びこれらの処方から鉄及びキレ
ート剤を除いた培地、或は対照として10%牛血清添加
のイーグルMENをそれぞれ3 、5cm直径の培養皿
に1.5yfに分注し、これに正常ヒト線維芽細胞を2
XIO’個播き、5日間37℃の5%炭酸ガス解卵器7
%酸素ガス及び88%窒素ガスで培養する。そののち、
トリプシンで培養皿壁より細胞をはがし、増殖細胞数を
数えた。その結果を第5図に示す。
従来は、この種の正常細胞ではトランスフェリン不存在
下においては細胞か器壁にはりついて、しかも培養環境
の酸化還元電位が還元側に傾いている2価鉄(硫酸第一
鉄)を加えた直後のみに増殖することか知られている。
しかし、ここに示されたように、前もって培養液に処方
として3価鉄を錯体として加えておくだけで増殖し、こ
れまで知られていなかった事が新しく判明した。無アル
ブミン無トランスフェリン培地での正常の細胞のこのよ
うな新しい発想に基づく培養法はとりわけ、細胞内代謝
機能の発現制御に関する研究のみならず抗癌、老化の機
構解明に対しても新規の研究方法論を提供するものであ
る。
[実 施 例] 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 下記諸成分を2回蒸溜水に溶解し、A液とする。
諸成分          量 L−アルギニン        193.846mg 
/ IL−アルギニン塩酸     152.248L
−アスパラギン(1水塩)   85.052L−アス
パラギン酸      19.384L−シスチン2塩
酸      63.00OL−シスチン塩酸(1水塩
)   30.484L−グルタミン酸       
 19.384L−グルタミン        890
.770グルタチオン          0.970
グリシン           19.692L−チロ
シン         54.26OL−ヒスチジン 
       14.5311L−ヒスチジン塩酸(1
水塩)  40.748L−ヒドロキシプロリン   
 19.384L−インロイシン       98.
912L−ロイシン         98.912L
−リジン塩酸       109.594L−メチオ
ニン        29.092L−フェニルアラニ
ン     45.588L−プロリン       
   29.384L−セリン         59
.078L−スレオニン        95.954
L−トリプトファン      14.548L−バリ
ン         94.014ビオチン     
       0.218パントテン酸カルシウム  
   1.212コリン塩酸          52
.908重酒石酸コリン        1.746葉
酸             1.9401−イノシト
ール       35.864ニコチン酸アミド  
      1.940パラアミノ安息香酸     
 0.970塩酸ピリドキシン        0.9
70塩酸ピリドキサール      0.970リボフ
ラビン          0.290塩酸チアミン 
         1.940ジアノコバラミン   
     0.00734モノエタノールアミン   
  40.000牛インシユリン        20
.000プトレシン2塩酸       0.025ピ
ルビン酸ナトリウム     220.000チミジン
            0.025ヒボキサンチン 
       0.050亜セレン酸ナトリウム   
   0.0034グルコース         3,
908.674塩化ナトリウム      12,41
2.778塩化カリウム         775.7
78塩化カルシウム       194.042硝酸
カルシウム        67.362硫酸マグネシ
ウム       138.014リン酸−水素ナトリ
ウム    77BJ54リン酸二水素ナトリウム  
 111.574炭酸水素ナトリウム    2,80
0.000硫酸カナマイシン       60.00
0カナマイシン         58.212フエノ
ールレツド       10.888次に4.436
gのエチレンジアミンニブロビオン酸塩酸塩を8001
1の2回蒸留水に溶解し、水酸化ナトリウムを用いてp
Hを7.2〜7.4に調整する(B液)。塩化第二鉄の
0.2〜20gを(この量は培養に供する細胞によって
適宜加減してよい)1!の0.O1規規定度の塩酸に溶
解する(C液)。B液の99容とC液の1容を混合して
D液とする。A液の1容とD液の1容を混合して所望の
無血清培地を得る。
実施例2 実施例1におけるエチレンジアミンニブロピオン酸塩酸
塩の代わりにヒドロキシエチルイミノ二酢酸2.283
gを用いてB液を調製し、実施例1に準じて無血清合成
培地を調製した。
実施例3 実施例1におけるエチレンジアミンニブロビオン酸塩酸
塩の代わりにイミノ二酢酸2.1.28gを用いてh液
を調製し、実施例1に準じて無血清合成培地を調製した
実施例4 下記諸成分を2回蒸溜水に溶解し、E液とする。
諸成分          量Cmg/ 1 )イーグ
ルM E M       18.800アミノ酸 L−アスパラギン酸     26.6L−グルタミン
       58.4グリシン          
15.0L−グルタミン酸       0.3L−プ
ロリン         7.0L−セリン     
   21.0 ビタミン、ホルモン 葉酸            0.001トリヨードサ
イロニン     0.0004マウス上皮性成長因子
    0.02インスリン          2.
0ビタミンBI2          0.04ビオチ
ン           0.04その他有機酸塩 プトレシン塩酸       0.04ピルビン酸ナト
リウム    220.0塩化コリン        
 82.Oチミジン           0.14ヒ
ポキサンチン        0.48微量元素 硫酸鋼(5水塩)        0.00001硫酸
マンガン(7水塩)     0.0000048モリ
ブデン酸アンモニウム(1水塩) 0.0024 塩化ニッケル(6水塩’)     0.000024
メタバナジン酸アンモニウム O,0OQ10B亜セレ
ン酸          0.00078緩衝剤 炭酸水素ナトリウム   2,800 水酸化ナトリウム     300 次に0.1Bgの硫酸第一鉄もしくは、0.2gの塩酸
第二鉄を11の0.01規定程度の塩酸に溶解する(G
液)。実施例1におけるB液の99容とF液の1容を混
合しくH液)、これにG液を171000容添加して!
液を得る。E液の1容と1液の1容を混合して所望の無
血清合成培地とする。
実施例5 実施例1のB液にエチレンジアミンニブロピオン酸塩酸
塩の代わりにイミノ二酢酸2.283gを用いてB液を
調製し、実施例4に準じて無血清合成培地を調製した。
以上調製された無血清合成培地は低蛋白吸着性のメンブ
ランフィルタ−(孔径0.22111、米国ミリポア社
のGV膜として入手できる)を用いて一過滅菌し、無菌
状態を保ち冷暗所にて貯蔵する。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の細胞への鉄供給方法によ
れば、培養細胞の増殖に不可欠であり且つ重要な作用を
果す鉄イオンを安定な錯体としたので、血清、アルブミ
ン画分、トランスフェリン等の蛋白成分を介することな
く、鉄イオンを細胞内に取り込み可能とし利用し得るよ
うにすることができる。従って、細胞は増殖し継代培養
も可能となる。
又、本発明の無血清合成培地によれば、鉄化合物をキレ
ート剤により安定な錯体としたので、鉄が不溶化するこ
となく細胞内に取り込まれて利用され、細胞が増殖し、
継代培養が可能となる。従って、従来適合検査の必要で
あった血清、アルブミン画分、或は高価なトランスフェ
リンを本質的には添加する必要がなくなり、安価に且つ
品質の安定した培地を大量に供給することができる。更
に、トランスフェリンを添加する場合でも従来の10分
の1程度でよい。
更に又、トランスフェリン等の血清蛋白質を全く含まな
い完全無血清合成培地により細胞培養が可能となるため
、細胞生産物の分離・精製、使用の際に手間が省けると
ともに、新らしい発想に基づく培養法により新規な研究
方法論の展開が期待で−きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は細胞の増殖支持能におけるキレート剤、塩化第
二鉄(6水塩)、アポトランスフェリン、ホロトランス
フェリンの効果を比較した図、第2図は本発明による継
代培養における細胞増殖状態を示す線図、第3図は本発
明により培養した細胞の培養生産物量と鉄添加量との関
係を示す図、第4図は本発明により培養した犬バルボウ
イルスの培養土浦中のウィルス量の比較図、第5図は本
発明による正常ヒト線維芽細胞の培養細胞数比較図であ
る。 第2図 第3図 第5図

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)鉄をキレート剤により安定化して細胞に供給するこ
    とを特徴とする細胞への鉄供給方法。 2)鉄が3価及び/又は2価の鉄イオンである特許請求
    の範囲第1)項記載の細胞への鉄供給方法。 3)キレート剤が中性乃至弱アルカリ性で少なくとも2
    価鉄イオンよりも3価鉄イオンとより安定な錯体を形成
    するキレート剤である特許請求の範囲第1)項記載の細
    胞への鉄供給方法。 4)キレート剤が3価鉄イオンとのキレート安定度定数
    が15以下のキレート剤である特許請求の範囲第1)項
    記載の細胞への鉄供給方法。 5)キレート剤がエチレンジアミン二プロピオン酸塩酸
    塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸のい
    ずれかである特許請求の範囲第1)項記載の細胞への鉄
    供給方法。 6)キレート剤の濃度が0.1〜15mMである特許請
    求の範囲第1)項記載の細胞への鉄供給方法。 7)細胞が動物細胞、植物細胞のいずれかである特許請
    求の範囲第1)項記載の細胞への鉄供給方法。 8)合成培地内において鉄を細胞に供給する方法である
    特許請求の範囲第1)項記載の細胞への鉄供給方法。 9)合成培地が無血清合成培地、トランスフェリン非添
    加無血清合成培地、トランスフェリン少量添加無血清合
    成培地のいずれかである特許請求の範囲第8)項記載の
    細胞への鉄供給方法。 10)3価及び/又は2価の鉄イオンと、中性乃至弱ア
    ルカリ性で少なくとも2価鉄イオンよりも3価鉄イオン
    とより安定な錯体を形成するキレート剤を含有すること
    を特徴とする細胞用無血清合成培地。 11)キレート剤が3価鉄イオンとのキレート安定度定
    数が15以下のキレート剤である特許請求の範囲第10
    )項記載の細胞用無血清合成培地。 12)キレート剤がエチレンジアミン二プロピオン酸塩
    酸塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸の
    いずれかである特許請求の範囲第10)項記載の細胞用
    無血清合成培地。 13)鉄イオンの濃度が0.05〜10mMである特許
    請求の範囲第10)項記載の細胞用無血清合成培地。 14)キレート剤の濃度が0.1〜15mMである特許
    請求の範囲第10)項記載の細胞用無血清合成培地。 15)基礎培地がイーグルMEM、RPMI1640、
    ダルベッコ変法イーグル培地、ハムのF12のいずれか
    又はこれらの二種以上の混合培地である特許請求の範囲
    第10)項記載の細胞用無血清合成培地。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63141584A (ja) * 1986-12-04 1988-06-14 Chemo Sero Therapeut Res Inst 細胞培養用培地
USRE39792E1 (en) 1990-10-17 2007-08-21 Smithkline Beecham Corporation Method for culturing Chinese hamster ovary cells

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63141584A (ja) * 1986-12-04 1988-06-14 Chemo Sero Therapeut Res Inst 細胞培養用培地
USRE39792E1 (en) 1990-10-17 2007-08-21 Smithkline Beecham Corporation Method for culturing Chinese hamster ovary cells
USRE41974E1 (en) 1990-10-17 2010-11-30 Glaxosmithkline Llc Method for culturing Chinese hamster ovary cells

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