微多孔膜およびその製造方法
技術分野
本発明は、 微多孔膜に関する。 特に、 血漿製剤やバイオ医薬品等か
や細菌等の病原体を除去する医用分離フィルター、 半導体製品を製造するのに使 用されるフォトレジスト等の薬液ろ過や、 L S Iや液晶製造時のゥヱットステー ションでの循環ろ過に使用する電子産業用フィルター、 油水分離フィルターや液 ガス分離フィルタ一等の産業プロセス用フィルター、 上下水の浄化を目的とする 水処理用分離膜、 リチウムイオン電池等の非水電解液系電池用セパレーター、 二 ッケル水素電池等のアル力リ電解液系電池用セパレーターの前駆体、 及ぴポリマ 一電池用の固体電解質支持体等の広範囲な用途に利用できる微多孔膜に関する。 背景技術
半導体製品を製造するのに使用される薬液や処理水等から微粒子や固形不純物 を除去する電子産業用フィルターに用いられる微多孔膜が、 近年、 種々の高分子 材料を用いて開発されている。
これらの微多孔膜に用いられる高分子材料としては、 ポリアミド、 ポリエチレ ン、 ポリプロピレン、 セルロースアセテート、 ポリフッ化ビニリデン、 及ぴポリ テトラフルォロエチレンが一般的である。 このような高分子材料の中で、 電子産 業用フィルターとしての使用に耐え得る、 耐薬品性に富む材料は、 ポリエチレン とポリテトラフルォロエチレンのみである。 ポリテトラフルォロエチレンは含フ ッ素化合物であり、 最近は廃棄物処理等の問題を有しているのに対して、 ポリエ チレンは、 廃棄物に関する問題も少なく、 しかも安価であり、 成形加工性に富む ため、 有用な材料といえる。
上記の半導体製品は、 年々微細パターン化する傾向にあり、 現在ではサブミク ロンのサイズにまで到達している。 これに対し、 半導体製品に使用される薬液や 処理水中に含まれる微粒子の管理サイズは、 上記パターンサイズの 1 Z 2以下を 要求される。 したがって、 ろ過対象の散粒子サイズに応じて、 微多孔膜に要求さ
れる平均孔径は 0 . 0 5〜0 . 5 μ πιもの広範囲に及ぶ。
血漿製剤やバイオ医薬品等の製剤を人体に投与する際に、 製剤中に含まれるか もしれない細菌、 ウィルス、 及び病原性蛋白等の病原体に対する危機感がクロー ズアップされている。 このような病原体を物理的に除去する技術として、 分離膜 による膜ろ過法が有用な手段として脚光を浴びつつある。 このような用途に使用 される微多孔膜は、 一般に医用分離フィルターと呼ばれる。
ウィルスの種類としては、 直径 0 . 0 2〜0 . 0 3 μ mのパルボウイルス、 ポ リオウィルス、 EMCウィルス、 A型肝炎ウィルス等のように極めて小さなサイ ズのものから、 直径 0 . 0 4〜0 . 0 7 // mの B型肝炎ウィルス、 S V 4 0ウイ ルス、 B V Dウィルス、 シンドビスウィルス等のように中程度のサイズのもの、 そして、 直径 0 . 0 8〜0 . 1 0 μ mの H I Vウィルス等のように大きなサイズ のものがある。 このようなウィルス群を、 そのサイズに合わせて膜ろ過法によつ て物理的に除去するためには、 平均孔径 0 . 0 1〜0 . 1 μ πιの範囲で自由に孔 径を制御できる技術と高レ、微粒子阻止性能が必要となる。
製剤の成分である蛋白質は、 疎水性吸着を生じ、 分離膜の微孔に目詰まりをひ き起こして分離膜の処理量を低下させたり、 製剤の成分を変質させるトラブルが 起きる。 したがって、 このような蛋白質吸着を防ぐために、 医用分離フィルター は親水性材料等の蛋白質非吸着性物質で被覆されている必要がある。 このような 要求から、 医用分離フィルターの素材としては、 多くの場合、 親水性を付与し得 る素材であることが好ましい。
また、 微多孔膜を医用分離フィルタ一として使用する際には、 フィルターを構 成する材料に付着している病原体を何らかの方法によって滅菌処理することが不 可欠である。 滅菌処理方法には、 薬剤滅菌法、 線滅菌法、 電子線滅菌法、 及び 高圧蒸気滅菌法がある。 薬剤滅菌法は薬剤を使用するため、 人体に有害な薬剤が フィルターに残留する可能性があり、 適用範囲が限定される。 γ線滅菌法や電子 線滅菌法は、 病原体の死骸がフィルターに残留するため、 敬遠される場合がある。 したがって、 広く利用されている滅菌方法は、 上述の問題点が無い高圧蒸気滅菌 法である。 高圧蒸気滅菌をフィルターに施すためには、 微多孔膜に耐熱性が要求 されることになる。
このような血漿製剤、 バイオ医薬品、 及び半導体薬液は、 一般に高粘度の液体 であるため、 ろ過処理速度が遅く、 生産性に問題を抱えている。 このような問題 を解決するために、 極めて高い透過速度を有する微多孔膜が有用となる。 また、 高粘度の液体を取り扱うと、 ろ過圧力が高くなる傾向にあり、 破断、 破裂、 損傷、 寸法変形などが起こらない高強度な微多孔膜が必要となる。 特に、 微小孔径とな る程、 微多孔膜にかかるろ過圧力は高くなり、 膜強度に対する要求が更に強くな る。
ポリエチレン製の微多孔膜に関する従来技術として、 特開昭 5 7— 6 6 1 1 4 号公報及ぴ特開平 5— 4 9 8 7 8号公報には、 ラメラ延伸開孔法による一軸延伸 で製造された中空糸状の微多孔膜が開示されている。 この公報において得られた 微多孔膜は、 一軸延伸方向に配列したミクロフイブリルの配列方向とは直角方向 に連結した、 結節部ないしスタックドラメラからなる短冊状構造を有する。 スタ ックドラメラからなる結節部は一見して紐状の形態をしているが、 延伸により配 向された構造物ではなく、 本発明の微多孔膜に見られるマクロフイブリルとは明 確に異なる構造物である。 このため、 一軸延伸方向に直角の方向の強度が低い、 という問題があった。
特開平 6— 3 2 5 7 4 7号公報には、 ミクロフィプリルからなる葉脈状開孔構 造を有する非水電解液電池用セパレーターが開示されている。 この公報における 微多孔膜は、 実質的に超高分子量ポリエチレンからなり、 可塑剤を使用する相分 離法により、 希薄な溶液から調製されたシート状の成形体から可塑剤を除去した 後に二軸延伸して得られる。 しかし、 この公報における微多孔膜は、 マクロフィ ブリルに囲まれた 3〜1 0 / mもの粗大な開口部を有しており、 また、 膜厚方向 のマクロフイブリルの積層段数は膜厚 1 mあたり僅かに 0 . 3〜0 . 5段であ るため、 微粒子阻止性能を保証できない、 という懸念があった。
米国特許第 5 2 3 8 6 2 3号公報には、 ポリオレフイン溶液をパターン化され た冷却ロールに接触させて冷却固化させることにより、 微多孔膜の表面にスキン が有る領域と無い領域をパターン化させて形成させる微多孔膜の製造方法が開示 されている。 該公報では、 高密度ポリエチレン 2 0重量%と鉱油 8 0重量%が使 用され、 相分離法により形成された多孔質シートを 2 X 2倍に二軸延伸して微
多孔膜が得られている。 し力 し、 該公報において得られた微多孔膜は、 希薄なポ リエチレン溶液から調製された結果、 相分離によつて形成された球晶が粗大なも のであったため、 延伸とともに球晶間隙が拡張されて形成された開口部の直径は 1 0 μ mと粗大なものとなり、 マクロフイブリル骨格は脆弱で強度が低レ、という 問題があった。
特開昭 5 9 - 6 4 6 4 0号公報には、 非孔質粒子が互いに分離され、 かつ、 隣 接する粒子を複数のミクロフイブリルが連結した多孔構造を有するシート状の微 多孔膜が開示されている。 この公報の微多孔膜に見られる非孔質粒子とは、 相分 離法により形成された球晶である。 また、 この公報の微多孔膜は、 相分離法によ り調製された多孔質シートを延伸して得られる。 しかし、 延伸倍率は、 延伸応力 が降伏を示す降伏点近傍での延伸倍率、 すなわち 1 . 5倍程度に制限されるため、 球晶は伸長変形しないためにマクロフイブリルとならず、 配向が付与されていな いので強度が低い、 という問題点があつた。
特開平 7— 2 2 8 7 1 8号公報には、 ラメラ結晶からなる、 均一にミクロフィ ブリルィヒした多孔構造を有する微多孔膜が開示されている。 この公報における微 多孔膜は、 実質的に超高分子量ポリエチレンからなり、 可塑剤を使用する相分離 法により希薄な溶液から調製されたシート状の成形体を二軸延伸した後に、 可塑 剤を除去して得られる。 し力 し、 この公報における微多孔膜は、 マクロフィプリ ル及ぴそれに囲まれた開口部を有さないために、 分離膜に要求される高レ、透過性 能を持たない。
発明の開示
本発明は、 高い透過性能、 高い微粒子阻止性能、 及び高い強度性能により特徴 付けられるポリエチレン樹月旨からなる微多孔膜を提供することを目的とする。 本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 強度を維持 しつつ、 従来に無い高い透過性能を発現する微多孔膜を得ることに成功し、 本発 明をなすに至った。
すなわち、 本発明は、
[ 1〕 重量平均分子量が 3 8万未満のポリエチレン樹脂からなる気孔率 5 0 〜9 5 %、 平均孔径 0 . 0 1〜: 1 mの微多孔膜であって、 平均直径 0 . 2〜1
μ mのマクロフイブリルが微多孔膜全体に亘って相互に連結した三次元網目状の 骨格と、 該骨格により形成された平均直径 0. 1 μιη以上 3 μπι未満の開口部と 力、らなり、 開口部は、 マクロフイブリルから分岐した平均直径 0. 0 1 111以上 0. 2 μ πι未満のミクロフイブリルによって橋架けされてスクリーンを形成して いることを特徴とする微多孔膜、
[ 2 ] 前記マクロフイブリルが相互に連結した三次元網目状の骨格を形成し つつ、 微多孔膜の膜厚方向に積層した断面構造を有し、 膜厚 l /zmあたりの積層 段数が 0. 5を超えている [1 ] 記載の微多孔膜、
[3] 架橋構造を有し、 ゲル分率が 1〜9 9 w t %である [1] 又は [2] 記載の微多孔膜、
[4] 1 2 1 °Cの熱水浸漬試験における二軸方向の熱収縮率が 0〜 2 5 %で ある [1] 、 [2] 又は [3] 記載の微多孔膜、
[5] (a) 重量平均分子量が 3 8万未満のポリエチレン樹脂 3 0〜 5 0 w t %、 及ぴ該ポリエチレン樹脂と混合した際に熱誘起型固液相分離を発現する 可塑剤 5 0〜 7 0 w t %を含む組成物を、 溶融混練して均一分散させた後に冷却 固化させて成形体とする工程、
(b) 上記工程 (a) の後に該可塑剤の実質的部分を除去する工程、 及び
( c) 上記工程 (b) の後に、 2〜 4倍の延伸倍率で少なくとも一軸方向に少な くとも 1回の延伸を行う工程、
を含む微多孔膜の製造方法、
[6] 8 0〜 1 40 °Cでの加熱処理の工程を含む [ 5 ] 記載の方法、
[7] 前記加熱処理の工程が、 熱固定、 熱緩和及ぴ熱水処理の群から選ばれ る工程であることを特徴とする [6] 記載の方法、
[8] 架橋処理の工程を含む [5] 、 [6] 又は [7] 記載の方法、
[9] 前記架橋処理の工程が、 電子線、 γ線及ぴ紫外線からなる群から選ば れる放射線を照射する工程である [8] 記載の方法、
[1 0] 親水処理の工程を含む [5] 、 [6] 、 [7] 、 [8] 又は [9] 記載の方法、
[1 1] 前記親水処理の工程が、 グラフト処理、 コーティング処理及び酸ィ匕
処理からなる群から選ばれる工程である [10] 記載の方法、
[12] [5] 、 [6] 、 [7] 、 [8] 、 [9] 、 [10] 又は [1 1] 記載の方法で得られた微多孔膜、
[1 3] [1] 、 [2] 、 [3] 、 [4] 又は [12] 記載の微多孔膜を用 いる電子産業用フィルター、 及び
[14] [1] 、 [2] 、 [3] 、 [4] 又は [12] 記載の微多孔膜を用 いる医用分離フィルター、
である。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の微多孔膜の表面構造を表す模式図である。
図 2は、 本発明の微多孔膜の断面構造を表す模式図である。
図 3は、 本発明の熱誘起型固液相分離と同定される組成物、 及び熱誘起型液液 相分離と同定される組成物の混練トルク特性図である。
図 4は、 本発明の実施例 1において得られた微多孔膜の表面構造を示す走査型 電子顕微鏡写真 (撮影倍率 10000倍) である。
図 5は、 本発明の実施例 1において得られた微多孔膜の断面構造を示す走查型 電子顕微鏡写真 (撮影倍率 10000倍) である。
図 6は、 本発明の実施例 2において得られた微多孔膜の表面構造を示す走査型 電子顕微鏡写真 (撮影倍率 10000倍) である。
図 7は、 本発明の実施例 2において得られた微多孔膜の断面構造を示す走査型 電子顕微鏡写真 (撮影倍率 10000倍) である。
図 8は、 本発明の比較例 1において得られた微多孔膜の表面構造を示す走查型 電子顕微鏡写真 (撮影倍率 10000倍) である。
図 9は、 本発明の比較例 1において得られた微多孔膜の断面構造を示す走査型 電子顕微鏡写真 (撮影倍率 10000倍) である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の微多孔膜は、 シート状、 フィルム状、 又は中空糸状の形態であること が好ましく、 中でも、 シート状又はフィルム状の形態であることがより好ましレ、。 本発明の微多孔膜の膜厚は、 好ましくは 26 μ π!〜 1 nim、 より好ましくは 3
0 μπ!〜 500 / m、 最も好ましくは 35 μ π!〜 100 xmである。 膜厚が 26 μ m未満であると、 微多孔膜の強度や微粒子阻止性能が不十分となり、 1 mmを 超えると透過性能が低下する傾向があり好ましくない。
本発明の微多孔膜の気孔率は、 50〜 95 %であり、 好ましくは 70〜 95 %、 より好ましくは 71〜 80 %である。 気孔率が 50 %未満であると透過性能が不 十分となり、 95%を超えると微多孔膜の強度や微粒子阻止性能が不十分となる ため好ましくない。
本発明の微多孔膜の平均孔径は、 0. 01〜1 μπιであり、 好ましくは 0. 0 1 5〜0. 5 μπι、 より好ましくは 0. 02〜0. 3 μπιである。 平均孔径が 0. 01 /m未満である場合、 透過性能が低下する。 一方、 平均孔径が 1 μηιを超え るような微多孔膜は産業上有用ではない。
本発明の微多孔膜の孔径分布は、 好ましくは 1. 0〜1. 8、 より好ましくは 1. 1〜 1. 7、 最も好ましくは 1. 2〜 1. 6である。 孔径分布は、 微多孔膜 の平均孔径に対する最大孔径の比で定義される。 平均孔径は微多孔膜の透過性能 を左右する要素であるのに対し、 最大孔径は微多孔膜の微粒子阻止性能を左右す る要素である。 孔径分布が 1. 0未満であるような微多孔膜を製造することは不 可能である。 一方、 孔径分布が 1. 8を超えると微粒子阻止性能を悪化させる傾 向があり好ましくない。
本発明の微多孔膜の透水量は、 好ましくは 0. 1 X 1 0—
9 m
3 /秒 · πι
2 · P a以上、 より好ましくは 0. 3 X 1 0—
9m"Z秒 · m
2 ♦ P a以上、 最も好 ましくは 0. 5 X 1 0一
9 m
3Z秒 · m
2 · P a以上である。 透水量は前記平均 孔径に左右されるため、 透水量のみで一概に優劣を評価するわけにはいかないが、 透水量が 0. 1 X 1 0—
· m
2 · P a未満であると、 ろ過処理量の低 下を来す原因となり好ましくなレ、。
本発明の微多孔膜のマトリクス突き刺し強度は、 好ましくは 0. 10 N以上で あり、 より好ましくは 0. 13N以上、 最も好ましくは 0. 1 5N以上である。 突き刺し試験における最大荷重として求められる突き刺し強度は、 本質的に、 微 多孔膜の膜厚と気孔率に左右される値であり、 本発明のような極めて高い気孔率 を有する微多孔膜の強度の指標としては不適切である。 したがって、 本発明にお
ける微多孔膜の真の強度を評価する指標としてのマトリクス突き刺し強度とは、 突き刺し試験における最大荷重を前記膜厚及ぴ気孔率によってポリマーマトリク スの厚み 1 mあたりの強度とレて規格ィヒしたものである。 マトリクス突き刺し 強度が 0 . 1 O N未満であると、 微多孔膜の力学的耐久性が不足するため、 例え ば、 微多孔膜を電子産業用フィルターとしての用途に使用する場合、 ろ過圧力に 耐えられず膜が破断する可能性があり好ましくない。
本発明の微多孔膜の多孔構造は、 マクロフイブリルが微多孔膜全体に亘って相 互に連結した三次元網目状の骨格と、 該骨格により形成された開口部とカゝらなり、 開口部は、 マクロフイブリルから分岐したミクロフイブリルによって橋架けされ てスクリーンを形成していることを特徴とする。
図 1は、 本発明の微多孔膜の表面の模式図、 図 2は、 その断面の模式図である。 図 1及ぴ 2において、 本発明の微多孔膜は、 三次元網目状の骨格を形成してい るポリエチレンのマクロフイブリノレ 1、 マクロフイブリルから分岐し、 マクロフ イブリルの骨格間を橋架けしているミクロフイブリル 2、 マクロフイブリル 1の 相互の間隙に形成された空間である開口部 3、 及ぴ開口部に形成されたスクリー ン 4からなつている。
開口部 3は、 膜厚方向にスクリーン 4を介して連通している。 ミクロフイブリ ノレ 2は、 延伸により高度に配向した微細な構造体であり、 紐状ないし繊維状等の 形状を呈している。 マクロブイブリル 1は、 ミクロフイブリルが数本ないし数十 本の単位で密着し結束した構造体である。 スクリーン 4は、 ミクロフイブリルが 開口部を橋架けすることにより、 開口部に形成された網目状の薄!/、層である。 本発明の微多孔膜の多孔構造の機能は、 マクロフィプリルからなる骨格が微多 孔膜の強度を担い、 開口部は流体が透過する経路となり、 そして、 開口部を橋架 けする無数のミクロフィプリルからなるスクリーンが微粒子を捕捉することであ る。
本発明の微多孔膜に見られるミクロフィプリルの平均直径は 0 . 0 1 m以上 0 . 2 m未満であり、 好ましくは 0 . 0 3〜0 . 1 7 /χ πι、 より好ましくは 0 . 0 5〜0 . 1 5 μ πιである。
後述するように、 ミクロフイブリルとは直径が 0 . 2 μ未満であるフィブリル
を指し、 その平均直径とは、 0. 2 未満のフィブリルの直径の平均値を指す。 平均直径が 0. 0 1 μ m未満のミクロフイブリルは存在しない。
本発明の微多孔膜の骨格を形成するマクロフィプリルの平均直径は 0. 2〜 1
Aim、 好ましくは 0. 2 5〜0. 8 m、 より好ましくは 0. 2 8〜0. 5 m である。 マクロフィプリルの平均直径が 1 μπιを超えると、 微多孔膜の多孔構造 が粗大となり、 微粒子を阻止する性能が低下するため望ましくない。
本発明の微多孔膜に見られる開口部の平均直径は 0. 1 μ m以上 3 μ m未満で あり、 好ましくは 0. 5〜2. 5 m、 より好ましくは 1〜2. 5 mである。 開口部の平均直径が 0. 1 m未満であると、 透過性能が低下するため望ましく ない。 一方、 開口部の平均直径が 3 μχη以上となると微粒子阻止性能や強度が低 下するため好ましくない。
開口部の平均直径は、 後述するように、 本発明の微多孔膜の表面多孔構造に見 られるマクロフイブリル骨格により囲まれた開口の直径を円相当径として計測し、 平均化した値である。
開口部の平均直径は、 後述する微多孔膜の製造条件により制御することができ る。 すなわち、 ポリエチレン樹脂と可塑剤からなる糸且成物中に占めるポリエチレ ン樹脂の重量分率を 3 0〜5 0w t %とし、 かつ延伸倍率を 2〜 4倍とすること により、 0. 1 μ πι以上 3 μ未満の範囲に調節することができる。
本発明の微多孔膜のフイブリル分散度は、 好ましくは 0. 5〜 0. 9 5であり、 より好ましくは 0. 5 5〜0. 9、 最も好ましくは 0. 6〜0. 8である。 フィ ブリル分散度とは、 微多孔膜を構成するマクロフイブリル及びミクロフイブリル からなるフィプリル群の直径に対する標準偏差と平均直径との比をいう。 本発明 の微多孔膜のように、 相対的に大きい直径を有するマクロフイブリルと相対的に 小さい直径を有するミクロフイブリルが存在する場合に、 フイブリル分散度が概 ね 0. 5〜0. 9 5の範囲となる。 フィプリル分散度が上記範囲にあると、 微多 孔膜の透過†生能、 微粒子阻止性能、 及び強度性能のバランスが優れているため好 ましい。
本発明の微多孔膜のフイブリル配向度は、 好ましくは 0. 0 1〜 0. 2 5であ り、 より好ましくは 0. 0 1〜0. 2 3、 最も好ましくは 0. 0 1〜0. 2であ
る。 フィブリル配向度とは、 微多孔膜の表面におけるフィブリル群の方向性を評 価した指標であり、 本発明の微多孔膜の表面構造に見られるように、 ほぼ方向性 を持たないフィブリル群から構成されている場合に、 フイブリル配向度が概ね 0 . 0 1〜0 . 2 5の範囲となる。 フィブリル配向度が 0 . 2 5を超えると、 本発明 のように極めて高い気孔率を有する微多孔膜の場合には、 引き裂き破壊が発生し 易くなり好ましくない。
本発明の微多孔膜における、 特に、 断面構造の特徴としては、 マクロフィプリ ルが相互に連結した三次元網目状の骨格を形成しつつ、 マクロフイブリルが微多 孔膜の膜厚方向に積層した形態を有する。 電子顕微鏡による観察では、 マクロフ イブリルからなる骨格に囲まれた開口部は、 膜厚方向に扁平な楕円形状の空泡を 形成し、 あたかも隔壁によって閉塞されているように見える。 し力 し、 開口部は ミクロフイブリルによって橋架けされて形成されたスクリーンを形成しており、 スクリーンは極めて連通性が高く、 透過性能を阻害する隔壁とはなっていない。 本発明の微多孔膜のマクロフイブリルの膜厚 1 μ mあたりの積層段数は、 0 . 5を超えることが好ましく、 より好ましくは 0 . 7〜5、 最も好ましくは 1〜3 である。 積層段数が 0 . 5以下であると、 微多孔膜の強度を担うマクロフイブリ ル骨格が脆弱となり強度が低下しやすくなり、 また、 微粒子を捕捉するためのス クリーンの数が減るため微粒子阻止性能が低下しやすくなり好ましくない。 一方、 積層段数が多くなり過ぎると、 気孔率が低下して透過性能が低下する傾向にあり 好ましくない。
本発明の ί教多孔膜は、 架橋構造を有し、 ゲル分率が 1〜 9 9 w t %であること が好ましく、 より好ましくは 5〜9 9 w t %、 そして最も好ましくは 1 0〜9 9 w t %である。 架橋構造を規定するゲル分率が 1 w t %未満であると耐熱性能が 不十分となる。 ゲル分率が 9 9 w t %を超える場合には、 過度の放射線照射が必 要となり、 照射損傷によるポリマーの劣化等により、 強度性能が低下する懸念が める。
本発明の微多孔膜は、 1 2 1 °Cの熱水浸漬試験における二軸方向の熱収縮率が 0〜2 5 %であることが好ましく、 より好ましくは 0〜2 2 %、 そして最も好ま しくは 0〜 2 0 %である。 上記の熱収縮率とは、 微多孔膜を医用分離:
として使用する際に要求される蒸気滅菌に対する耐久性の指標である。 したがつ て、 微多孔膜の縦横二軸方向の熱収縮率は、 何れも 0〜 2 5 %であることが好ま しい。 熱収縮率が 2 5 %を超えると、 蒸気滅菌の際に、 微多孔膜が寸法変化や透 過性能の低下を来たすため好ましくない。 一方、 熱収縮率が 0 %未満となる場合 は、 微多孔膜が熱膨張することを意味するが、 このようなケースは極めてまれで める。
本発明の微多孔膜は、 ポリエチレン樹脂及びポリエチレン樹脂と混合した際に 熱誘起型固液相分離を発現する可塑剤を含む組成物を溶融混練して均一溶液とし た後に冷却固化させて成形体とし、 次に、 可塑剤の実質的部分を除去して多孔質 成形体とし、 その後に延伸倍率 2〜 4倍で少なくとも一軸方向に少なくとも 1回 の延伸を行うことにより製造する。
製造に際して、 1 2 0 °Cでの変形試験における降伏点応力が 1 . 5 M P a以上 の多孔質成形体を使用することが好ましく、 平均直径 1〜 1 0 ^ mの球晶からな る球晶構造を有する多孔質成形体を使用するとより好ましい。
本発明において使用するポリエチレン樹脂は、 通常の押出、 射出、 インフレ一 シヨン、 及びブロー成形に使用するエチレン系重合体であり、 ホモ重合体及び共 重合体をそれぞれ単独で、 又はこれらを混合して使用することができる。 共重合 体としては、 プロピレン、 1—ブテン、 4ーメチノレー 1一ペンテン、 1一へキセ ン、 又は 1—オタテン等との共重合物が挙げられる。 ポリエチレン樹脂の代表例 としては、 低密度ポリエチレン、 線状低密度ポリエチレン、 中密度ポリエチレン、 高密度ポリエチレン等があり、 中でも、 高密度ポリエチレンが加工性等の点から 好ましい。
本発明において使用するポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、 3 8万未満で あり、 好ましくは 3 5万未満、 より好ましくは 3 0万未満である。 平均分子量は、 G P C (ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー) 測定等により得られる重量 平均分子量を指すものであるが、 一般に、 平均分子量が 1 0 0万を超えるような 樹月旨については、 正確な G P C測定が困難であるので、 その代用として粘度法に よる粘度平均分子量をあてることができる。 一般に高分子量ポリエチレンないし 超高分子量ポリエチレンと称されるような重量平均分子量が 3 8万以上となるポ
リエチレン樹脂を使用すると、 積層段数が減少する傾向にあり、 微粒子阻止性能 が低下する。
本発明の微多孔膜の効用を阻害しない範囲で、 更に、 熱可塑性樹脂を混合して も差し支えない。 熱可塑性樹脂としては、 ポリプロピレン樹脂、 ポリ 4一メチル 1一ペンテン樹脂等のポリオレフイン樹脂や、 ポリエステル樹脂、 ポリアミド樹 月旨、 ポリフッ化ビニリデン樹脂、 ポリフエ二レンエーテル樹脂、 及びポリアセタ ール樹脂等が使用できる。
本発明において使用する可塑剤は、 ポリエチレン樹脂と混合した際に、 樹脂の 結晶融点以上において均一溶液を形成し、 かつ、 熱誘起型固液相分離を発現する 不揮発性溶媒である。 可塑剤の形態は、 概ね常温 2 0 °Cにおいて、 液体であって も固体であっても差し支えない。 また、 可塑剤は単独で使用しても、 2種以上の 可塑剤を混合して使用しても差し支えない。 熱誘起型相分離とは、 樹脂及び可塑 剤を含む均一な一相溶液に温度刺激を与えることにより誘発される相分離のこと をいう。 熱誘起型相分離には、 上記の一相溶液が樹脂リッチな固相と可塑剤リツ チな液相とに相分離する形態と、 樹脂が濃厚な液相と希薄な液相とに相分離した 後に濃厚な液相が固化する形態とがある。 前者を熱誘起型固液相分離、 後者を熱 誘起型液液相分離と呼ぶ。
このような熱誘起型固液相分離を発現する可塑剤としては、 ステアリン酸エス テル等の長鎖アルキルエステル類、 ステアリルアルコール等の高級脂肪酸アルコ ール類、 流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素系可塑剤等が挙げら れ、 中でも、 流動パラフィンが好適である。
一方、 本発明においては、 熱誘起型液液相分離を発現する可塑剤を使用すると、 得られた微多孔膜は、 孔径が大きくなり過ぎたり、 積層段数が小さくなる傾向が あり、 微粒子阻止性能を損なう懸念がある。
本発明において使用するポリエチレン樹脂と可塑剤の比率については、 実行可 能な混練温度において均一溶液を得ることができ、 かつ、 成形体を形成し得るの に充分な比率である必要がある。 具体的には、 ポリエチレン樹脂と可塑剤からな る組成物中に占めるポリエチレン樹脂の重量分率は、 3 0〜5 0 w t %であり、 好ましくは 3 3〜 4 5 w t %、 より好ましくは 3 6〜 4 5 w t %である。 ポリェ
チレン樹脂の重量分率が 3 0 w t %未満であると、 開口部の直径が大きくなつた り、 マクロフイブリルの積層段数が小さくなり、 膜強度の低下や微粒子阻止性能 の低下を来すため好ましくない。 一方、 ポリエチレン樹脂の重量分率が 5 0 w t %より大きいと、 多孔構造の成形体を得難くなる傾向にあり、 透過性能に劣るも のとなり望ましくない。
本発明において、 多孔質成形体は熱誘起型固液相分離により形成される球晶か らなる球晶構造を有していることが必須である。 球晶とは、 ポリエチレン樹脂か らなる放射状に成長した球状の結晶をいう。 本発明の微多孔膜の構造的特徴であ るマクロフイブリルは、 球晶が延伸により伸長された結果、 形成されたものであ る。 開口部は、 球晶の相互間に存在するミクロボイド、 又は球晶相互間の接合が 微弱な部分が延伸により空間的に拡張したものである。 球晶の平均直径は 1〜 1 0 i mであることが好ましく、 より好ましくは 1〜5 z m、 最も好ましくは 1〜 3 μ mである。 球晶の平均直径が 1 μ m未満となると、 生産上、 実行不可能な非 常に速い冷却固化速度を要するため不利である。 また、 球晶の平均直径が 1 0 μ πιを超えると、 製造される微多孔膜の開口部の拡大や積層段数の低下をもたら し、 強度性能や微粒子阻止性能を阻害するため好ましくない。
本発明において、 シート状の成形体は、 ポリエチレン樹脂と可塑剤の均一溶液 を τダイ等を介してシート状に押し出すか、 圧縮成形機を使用してシート状に圧 縮成形し、 その後、 熱伝導体に接触させて、 樹脂の結晶化温度より充分に低い温 度まで冷却することにより製造する。 熱伝導体としては、 金属、 水、 空気、 又は 可塑剤自身が使用できるが、 特に、 金属製のロールに接触させて冷却する方法が 最も熱伝導の効率が高く好ましい。 また、 金属製のロールに接触させる際に、 口 —ル間で挟み込む等して力レンダー成形又は熱間圧延を施すと、 更に熱伝導の効 率が高まり、 相分離により生成する球晶の大きさを相対的に小さく制御すること ができるため好ましい。
この際のロール温度は、 好ましくは 2 0〜1 3 0 °C、 より好ましくは 2 0〜1 0 0 °C、 最も好ましくは 2 0〜6 0 °Cである。 ロール温度が 2 0 °C未満であるこ とは生産上において実用的ではない。 ロール温度が 1 3 0 °Cを超えると、 球晶の 大きさが大きくなり微粒子阻止性能が低下するので好ましくない。
本発明において、 中空糸状の成形体を得る方法は、 例えば、 ポリエチレン樹脂 と可塑剤の均一溶液を中空紡口等を介して中空状又は筒状に押し出し、 押し出し 物を冷媒浴中に引き込んだり、 及び Z又は該押し出し物の中空形態の内側に冷媒 を通す等して冷却固化させる。
本発明において、 成形体から可塑剤を抽出する第一の方法は、 抽出溶剤が入つ た容器中に所定の大きさに切り取った成形体を浸漬し充分に洗浄した後に、 付着 した溶剤を風乾させる力 又は熱風によって乾燥させることにより多孔質成形体 を得る。 この際、 浸漬の操作や洗浄の操作を多数回繰り返して行うと多孔質成形 体中に残留する可塑剤が減少するので好ましい。 また、 浸漬、 洗浄、 乾燥の一連 の操作中に成形体の収縮を抑えるために、 その端部を拘束することが好ましい。 可塑剤を抽出する第二の方法は、 抽出溶剤で満たされた槽の中に連続的に成形 体を送り込み、 可塑剤を除去するのに充分な時間をかけて槽中に浸漬し、 しかる 後に付着した溶剤を乾燥させることにより多孔質成形体を得る。 この際、 槽内部 を多段分割することにより濃度差が生じた各槽に順次、 成形体を送り込む多段法 や、 成形体の走行方向に対し逆方向から抽出溶剤を供給して濃度勾配を生じさせ るための向流法のような公知の手段を適用すると、 抽出効率が高められ好ましレ、。 上記第一及ぴ第二の方法においては、 何れも可塑剤を成形体から実質的に除去す ることが重要である。 また、 抽出溶剤を、 溶剤の沸点未満の範囲内で加温すると、 可塑剤と溶剤との拡散を促進することができ抽出効率を高めることができるので 更に好ましい。
本努明において使用する抽出溶剤は、 ポリエチレン樹脂に対して貧溶媒であり、 可塑剤に対して良溶媒であり、 かつ、 沸点が微多孔膜の融点より低いことが好ま しい。 このような抽出溶剤としては、 例えば、 n—へキサンゃシクロへキサン等 の炭化水素類、 塩ィ匕メチレンや 1, 1, 1一トリクロロェタン等のハロゲン化炭 化水素類、 エタノールゃィソプロパノール等のアルコール類、 ジェチルエーテル ゃテトラヒドロフラン等のエーテル類、 ァセトンや 2—ブタノン等のケトン類が 挙げられる。 更に、 環境適応性、 安全性、 衛生性を考慮すると、 前記溶剤の中で もアルコーノレ類及ぴケトン類が好適である。
本発明において、 可塑剤を除去して得られた多孔質成形体に関して、 1 2 0 °C
において変形試験を行った場合の降伏点応力が、 1 . 5 M P a以上であることが 好ましく、 より好ましくは 1 . 7 M P a以上、 最も好ましくは 2 . O M P a以上 である。 多孔質成形体の降伏点は変形倍率 1 . 5倍近傍に存在し、 本発明のよう な降伏点応力の高さが意味するところは定かでないが、 本発明の微多孔膜のよう な特異な多孔構造の形成機構に関与している。 降伏点応力が 1 . 5 M P a未満で あると、 本発明の微多孔膜を特徴付ける多孔構造が形成されない。
本発明において、 可塑剤の実質的部分を除去する工程の後に、 少なくとも一軸 方向に、 少なくとも 1回の延伸を施すことが必須である。 少なくとも一軸方向の 延伸とは、 縦方向一軸延伸、 横方向一軸延伸、 同時二軸延伸、 又は逐次二軸延伸 を指すものであり、 中でも、 同時二軸延伸又は逐次二軸延伸がより好ましい。 少 なくとも 1回とは、 1段延伸、 多段延伸、 多数回延伸のことをいう。
延伸温度は、 縦方向 Z横方向ともに、 2 0〜1 4 0 °Cであることが好ましく、 より好ましくは 3 0〜1 3 5 °C、 最も好ましくは 5 0〜1 2 5 °Cである。 延伸温 度が 2 0 °C未満であると、 孔径が小さくなり過ぎる傾向があり、 透過性能を阻害 するため好ましくない。 延伸温度が 1 4 0 °Cを超えると、 微多孔膜が融解するこ とにより多孔構造が失われ、 透過性能を損なうので好ましくない。
相分離法により得られた多孔質成形体を延伸する際にかかる延伸応力は、 通常、 延伸倍率 1 . 5倍近傍に応力の降伏点が存在し、 それ以下の延伸倍率では球晶の 伸長変形が生じず、 マクロフイブリルによる骨格が形成されない。 延伸倍率 2〜 4倍の範囲では、 球晶の伸長変形に伴い、 マクロフイブリルの三次元骨格及ぴ開 口部が形成される。
この際の延伸応力が大きい場合には、 極めて多数のミクロフイブリルがマクロ フィブリルから解離して開口部に微細なスクリーンを形成し、 一方、 延伸応力が 小さレ、場合には、 上記と比して少数のミクロフイブリルがマクロフィプリルから 解離するに留まり、 開口部にはやや粗いスクリーンが形成される。 前者の場合に は小孔径となり、 後者の場合には大孔径となる傾向がある。 そして、 延伸倍率が 4倍を超えると開口部が拡大し、 定かではないが、 マクロフイブリルからなる骨 格が破壌される傾向にある。
したがって、 延伸倍率は、 縦方向 Z横方向ともに、一軸方向の倍率で 2〜4倍
であることが必須であり、 好ましくは 2 . 5〜4倍、 最も好ましくは 3〜4倍で ある。 延伸倍率が 4倍を超えると、 微多孔膜の表面構造における開口部の平均直 径が 3 μ mを超える粗大な多孔構造となるため微粒子阻止性能に劣るものとなる。 同時に、 延伸倍率が 4倍を超えると、 微多孔膜の強度が低下するため望ましくな レ、。
一般的には、 延伸倍率を高くするほど微多孔膜に配向を付与することができる ので、 高強度の微多孔膜を得ることができるが、 本発明の微多孔膜の場合には、 延伸倍率を高くしていくと 4倍までは強度が増すが、 4倍を超すと強度が低下す る、 という予期せぬ傾向が見られた。 本発明者らは、 この点について、 鋭意研究 の結果、 このような強度に関する逆転の傾向は、 微多孔膜の多孔構造に起因する ことを見いだした。 すなわち、 本発明における微多孔膜は、 マクロフイブリルが 骨格をなすことにより強度を担う機能を有するため、 延伸倍率に伴って開口部が 粗大化すると、 マクロフィプリルからなる骨格が脆くなり、 結果、 強度が低下す ると推測される。
本発明の微多孔膜を製造する工程で、 更に加熱処理を施すことが好ましい。 加熱処理は、 可塑剤を除去する前、 延伸する前、 及び/又は延伸した後に施す ことができる。 可塑剤を除去する前に加熱処理を行うことにより可塑剤を除去し た際の微多孔膜の寸法安定性の向上を、 延伸する前に加熱処理を施すことにより 微多孔膜の強度の向上を、 延伸した後に加熱処理を施すことにより耐熱性の向上 を期待できる。
加熱処理の分類としては、 熱固定、 熱緩和、 及び熱水処理等が挙げられる。 熱 固定とは、 微多孔膜の端部を拘束する等して寸法変化をさせない環境下で行う加 熱処理のことを指す。 熱緩和とは、 微多孔膜の寸法減少を許しながら行う加熱処 理のことを指す。 熱固定や熱緩和を行う方法としては、 熱風循環式の恒温槽ゃテ ンタ一式延伸機を使用し微多孔膜に熱風や輻射熱を浴びせる方法、 加熱温調した 金属製の口ール等に微多孔膜を接触させる方法がある。
そして、 熱水処理とは、 熱水中に微多孔膜を浸漬して行う加熱処理、 及び熱媒 としての熱水や水蒸気を微多孔膜に直接的に又は間接的に接触させて行う加熱処 理のことを指す。 熱水処理には、 微多孔膜に付着している病原体を滅する蒸気滅
菌の役割、 微多孔膜に含有するか又は付着する何らかの不純物や不要物を除去す る役割がある。
加熱処理の温度は、 好ましくは 8 0〜 1 4 0 °C、 より好ましくは 1 0 0〜 1 3 0 °Cである。 加熱処理の温度が 8 0 °C未満であると加熱処理の効果が得られず、 1 4 0 °Cを超えると微多孔膜の細孔が閉塞して透過性が失われるため、 いずれも 好ましくない。
本発明においては、 本発明の微多孔膜の特徴を害さない範囲内で、 架橋処理及 び/又は親水処理を施すことが好ましい。
架橋処理とは、 微多孔膜を構成するポリエチレンに分子間架橋を形成させるた めの処理を指し、 これにより耐熱性の向上が期待できる。 架橋処理の時期として は、 特に限定は無いが、 延伸した後、 加熱処理した後、 又は延伸した後と加熱処 理した後に施すと、 耐熱性が更に良好となるため好ましい。 架橋処理の方法とし ては、 電子線、 y線、 又は紫外線等の放射線を照射することにより、 物理的に架 橋する手法が好ましい。 この際、 放射線の照射は一度に実施してもよいが、 数度 に分けて照射しても差し支えない。 また、 微多孔膜に温風を当てたり、 加熱ロー ルに接触させて温調する等して、 照射の際の温度を比較的高温にすると、 架橋効 率が高められ、 更に耐熱性が向上し好ましい。
放射線を照射する場合の吸収線量は、 好ましくは 1 0〜 2 0 0 0 k G y、 更に 好ましくは 5 0〜5 0 0 k G y、 最も好ましくは 5 0〜 2 0 0 k G yである。 吸 収線量が 2 0 0 0 k G yを超えるような過度の照射は、 微多孔膜の強度低下を来 すので好ましくない。
親水処理とは、 本来、 疎水性であるポリエチレン製の微多孔膜に親水性を付与 する処理を指し、 これにより、 血漿製剤、 バイオ医薬品、 上下水道水、 及び半導 体製品の処理水などのような水系のろ過対象液をろ過することが可能となる。 親 水処理の順序は、 特に限定はない。 親水処理の方法としては、 グラフト処理、 コ 一ティング処理、 又は酸ィ匕処理の何れかを施すことが好ましい。
グラフト処理とは、 微多孔膜への放射線の照射によりポリエチレン分子中に生 成したラジカルに、 親水性官能基を有するモノマーを反応させる処理のことであ る。
コーティング処理とは、 自己親水性を有する薬剤やポリマーを微多孔膜にコー トすることにより、 ポリエチレンのマトリタスの表層に親水性を有するコート層 を形成させる処理のことである。
酸化処理とは、 例えばオゾンや酸などの酸化剤を使用したり、 紫外線ゃプラズ マ等を使用して、 微多孔膜を構成するポリエチレン分子に直接的に酸素含有官能 基を導入する処理のことである。
本発明において使用する組成物には、 更に目的に応じて、 酸化防止剤、 結晶核 剤、 帯電防止剤、 難燃剤、 滑剤、 紫外線吸収剤等の添加剤を混合しても差し支え なレ、。
本発明の微多孔膜は、 血漿製剤やバイォ医薬品等からウイルスや細菌等の病原 体を除去する医用分離フィルター、 半導体製品を製造するのに使用されるフォト レジスト等の薬液ろ過や、 L S Iや液晶製造時のゥエツトステーションでの循環 ろ過に使用する電子産業用フィルタ一、 油水分離フィルタ一や液ガス分離フィル ター等の産業プロセス用フィルター、 上下水の浄ィ匕を目的とする水処理用分離膜、 リチウムイオン電池等の非水電解液系電池用セパレーター、 ニッケル水素電池等 のアル力リ電解液系電池用セパレーターの前駆体、 及びポリマー電池用の固体電 解質支持体等の広範囲な用途に利用できる。
以下、 実施例により本発明を具体的に説明する。
本発明に用いる試験方法は次の通りである。
(1) 膜厚
ダイャルゲ一ジ (尾崎製作所製ピーコック N 0. 25) を使用して測定する。
(2) 気孔率
微多孔膜の体積 V (cm3) と質量 W (g) を測定し、 次式を用いて気孔率 ε (%) を計算する。 式中、 ρは樹脂の密度 (gZcm3) である。
ε = 100 X (1— WZ (p XV) )
(3) マトリクス突き刺し強度
カトーテック社製圧縮試験機 KES— G5を用いて、 針先端の曲率半径 0. 5 mm、 突き刺し速度 2mmZ秒、 測定温度 23 ± 2 °Cの試験条件で突き刺し試 験を行い、 破壊点における最大荷重 E (N) を観測する。 最大荷重 E、 気孔率 ε
(%) 、 及ぴ膜厚 t ( m) から、 次式の通りに規格化してマトリクス突き刺し 強度 S (N) とする。
S= 1 00 X Έ/ ( t X ( 1 00— ε ) )
(4) 透水量
差圧 9. 8 X 1 04P a、 温度 2 5°Cにおける純水の透過量 r (m3) を測定 し、 試料面積 Y (m2) 、 差圧 P (P a) 、 及び測定時間て (秒) 力 ら、 次式の 通りに計算して透水量 R (m3Z秒 · πι2 · Ρ &) とする。
R= τ/ ( τ X Υ X Ρ)
(5) 平均孔径
ハーフドライ法に準拠し、 湿潤液体として表面張力 γが 9〜1 6mN/mのフ ロンを使用して、 乾燥曲線及び湿潤曲線について、 印加圧力及び空気透過量の測 定を行い、 得られた乾燥曲線の 1Z2の曲線と湿潤曲線とが交わる圧力 PHD (P a) から、 次式により平均孔径 dHD (^m) を求める。
(6) 孔径分布
バブルポィント法に準拠し、 湿潤液体として表面張力 yが 9〜 1 6 mNZmの フロンを使用して、 湿潤曲線について、 印可圧力及び空気透過量の測定を昇圧モ 一ドで行!/、、 得られた湿潤曲線における最初のバブルが発生した圧力 P B p (P a) から、 次式により最大孔径 dB P (μπι) を求める。 最大孔径と平均孔 径の比 (dBPZdHD) から、 孔径分布を求める。
dR P= 28 60 X γ/ΡΒ Ρ
(7) スチレンラテックス阻止率
上述の方法により測定される平均孔径の値とほぼ同等のサイズを有するスチレ ンラテックスを使用して、 微多孔膜の微粒子阻止性能を評価する。 例えば後述す る実施例 2及び比較例 2においては、 平均粒径 0. 254 μのスチレンラテツク スを使用する。
平均粒径 0. 254 mのスチレンラテツタス 0. 001 5 w t %、 及ぴ凝集 抑止剤としてのドデシル硫酸ナトリウム 0. 05 w t %からなる水溶液を調製し 測定原液とする。 微多孔膜試料を用い、 差圧 9. 8 X 1 03 P aにおいて、 上記
測定原液のろ過試験を行う。 ろ液中に含まれるスチレンラテックス濃度を、 分光 光度計を使用して測定波長 250 nmで測定し、 阻止率 (%) として算出する。
(8) 重量平均分子量及び分子量分布
装置として WATERS (商標) / ^ 50—GPC、 カラムとして
S h o d e X (商標) ZGPCAT—S 07/S ( 1本) 及び T o s o h/TS K-GE LGMH6-HT (2本) 、 溶媒として 1, 2, 4一トリクロ口べンゼ ンを用い、 1 60°C、 2. 5時間の条件で試料を溶解して試料濃度 0. 05% (インジェクション量 500 μ 1 ) に調整する。 測定温度 140°Cにて GPC (ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー) 測定を行い、 ポリスチレン標準試 料に対してポリエチレン換算定数 0. 48を用い 3次で計算したキヤリプレーシ ヨンカーブから、 重量平均分子量 (Mw) 及び数平均分子量 (Mn) を求め、 分 子量分布 MwZMnを算出する。
(9) 微多孔膜の多孔構造の観測
表面構造の観測に関しては、 適当な大きさに切り取つた微多孔膜を導電性両面 テープにより試料台に固定し、 厚み 10 nm程度のオスミウムプラズマコーティ ングを施して検鏡用試料とする。 超高分解能走査型電子顕微鏡装置
(UHRSEM) を用いて、 加速電圧 1. 0〜2. 0 k V、 撮影速度 40秒 Zフ レームの条件下にて、 所定倍率で微多孔膜の表面構造観察を行う。
断面構造の観測に関しては、 適当な大きさに切り取つた微多孔膜に洗浄等の前 処理を施した上で、 液体窒素温度にて凍結割断を行い断面を剖出する。 これを試 料台に固定した後、 厚み 10 nm程度のオスミウムプラズマコーティングを施し、 検鏡用試料とする。 前記表面構造観察において使用した装置及び条件下にて、 所 定倍率で微多孔膜の断面構造観察を行う。
(10) 画像処理による多孔構造解析
前記表面構造観察にて撮影した倍率が 5000〜: 10000倍の表面像写真を ィメ一ジスキャナ一で読み取り、 写真の単位面積あたりの情報量が 2. 6 k B/ c m 2のィメ一ジ像を取得する。 精密な多孔構造解析を行うためには、 単位面積 あたりの情報量を 1〜10 kBZcm とする。 次に、 イメージ像を、 旭化成 (株) 製画像処理システム I P— 1000 P C型を用い、 写真の単位面積あたり
の解像度 8 6 7画素 Zcmzにて手動二値化を行い、 二値化画像を取得して多孔 構造の解析を行う。 精密な多孔構造解析を行うためには、 単位面積あたりの解像 度を 5 0 0〜2 0 0 0画素/ c m2とする。 手動二値化の際には、 イメージ像に おける 2ピークからなる濃淡分布の谷間にしきい値を設け、 濃色ピーク (空孔 部) と淡色ピーク (フイブリル部) を分離して二値ィヒ画像を得る。
(1 1) ミクロフイブリル及びマクロフィプリルの平均直径、 フィプリル分散度 前記画像処理システムを用い、 微多孔膜の表面像写真から得られた前記二値ィ匕 画像におけるフィブリル群の個々の直径を壁間距離法により測定し、 直径 0. 2 i m未満のフィプリル群の平均直径をミクロフイブリルの平均直径 ( πι) とし、 直径 0. 2 m以上のフィブリル群の平均直径をマクロフイブリルの平均直径 (μ m) とする。
フィブリル群全体の平均直径ズ (μπι) と直径に対する標準偏差 σ (// m) を 計算し、 次の関係式によりフィブリル分散度 φを求める。
Φ = σ / %
( 1 2 ) フイブリル配向度
前記画像処理システムを用い、 微多孔膜の表面像写真におけるフィブリル群の 個々の方向分布を測定し、 その方位角度を 0〜1 8 0° の範囲に 1 8分割し、 分割された方位角度 Θ i (° ) におけるフィブリルの本数 n i (本) 、 及び全フ ィブリルの本数 N (本) から頻度分布 f iを求め、 次式によりフイブリル配向度 λを絶対値として計算する。 ema χは最大頻度を与える方位角度を表し、 iは
:!〜 1 8の整数とする。
f i = n j /N
λ = \ ∑ ( f j X (c o s 2 ( Θ m a x— Θ i ) — s i n 2 ( Θ ma x―
Θ i) ) ) I
( 1 3) 開口部の平均直径
微多孔膜の表面像写真を用い、 平均直径 0. 2 μ m未満のミクロフイブリルを 消去して、 前記画像処理システムにより 2値化画像を取得し、 画像解析を行う。 個々の開口部面積 Z i (/z m2) 、 開口部数 n (個) を演算処理にて計数する。 円周率を πとし、 次式から円相当径01 ( rn) を算出する。 円相当径 を平
均化したものを開口部の平均直径 D ( πι) と定義する。
D i = (4 X Z iム)
D= (∑D i) Zn
(14) マクロフイブリルの積層段数
微多孔膜の断面像写真を用いて、 膜厚方向への開口部の積層個数 n (個) 及び 膜厚 t (u rn) を測定する。 積層個数は、 微多孔膜の平面に対し法線方向に引い た線上を横切るマクロフイブリルの個数を計数し、 この操作を少なくとも 10回 繰返すことにより平均値として求める。 断面構造において、 開口部とマクロフィ プリルは交互に積層した構造形態となっているため、 次式により求まる φをマク ロフイブリルの積層段数として定義する。
(1 5) 相分離機構の同定
(株) 東洋精機製作所製ラポプラストミル (型式 30C1 50) に二軸スクリ ユー (型式 R 100H) を装着したものを混練装置として使用する。 ポリエチレ ン樹脂、 可塑剤等を所定の比率で混合した組成物をラポプラストミルに投入し、 スクリユー回転数 50 r p mとして、 所定の温度で溶融混練する。 この際の混練 時間は自由に選択できるが、 混練トルクが安定するまでに必要とする時間や、 樹 脂の分解劣化の防止を考慮すると、 5〜 10分が好ましい。
次に、 スクリユー回転数を 1 0 r pmに設定し、 スクリユー混練を継続したま まヒーターを切断して混練物を空冷することにより、 混練温度 (°C) と混練トル ク (J) との相関を測定し特性図を得る。 特性図において、 冷却に伴って混練ト ルクが急上昇する温度を固液相分離に伴う変曲点とみなすことができる。 概ね、 ポリエチレン樹脂と可塑剤からなる混合物は、 後述する参考例 2及び図 3に示す 通り、 約 100°C〜約 1 30°Cの範囲に前記固液相分離に伴う変曲点が存在する。 ただし、 特性図において、 前記固液相分離に伴う変曲点より高い温度範囲におい て、 冷却に伴って混練トルクが急降下する温度を有する場合があり、 このような 場合は液液相分離系と同定することができる。 このような液液相分離系の例を参 考例 3及ぴ図 3に示す。 したがって、 冷却に伴って混練トルクが急上昇する温度 を有し、 かつ、 混練トルクが急上昇する温度より高い温度範囲に、 混練トルクが '
急降下する温度を有さない相分離系を熱誘起型固液相分離と定義した。
(16) 変形試験における降伏点応力
試料として多孔質成形体を用い、 装置として (株) 東洋精機製作所製の試験二 軸延伸機を使用し、 変形温度 1 20 °C及ぴ変形速度 20 %/秒、の条件下で、 同時 二軸方向の変形試験を行う。 変形試験において、 変形倍率 1. 5倍近傍に存在す る降伏点の応力を測定し、 降伏点応力 (MP a) とする。
(1 7) ゲル分率
AS TM-D 2765に基づき、 一定の大きさに切り取った試料を沸騰パラキ シレン中で 1 2時間可溶分溶出操作を施した際の、 溶出操作前の試料重量 W
0 (g) と溶出操作後の残存重量 (g) の比から、 次式のようにゲル分率 G (w t %) を算出する。
(18) 熱水浸漬試験及び熱収縮率
縦横約 10 cm角に切り取った試料の寸法を測定した後、 水中に浸漬し、 高圧 蒸気滅菌装置を使用して熱水浸漬試験を行う。 試験条件としては、 試験温度を 1 21 + 2°C、 試験時間を 30分とする。 試験終了後、 試料を水中から引き上げて 十分に乾燥した後、 再び試料の寸法を測定する。
試験前の縦横の試料寸法を L 0 MD及び L 0 TDとし、 試験後の縦横の試料寸法 を MD及ぴ L TDと 9ると、 縦横の熱収縮率し MD及び C TD (0 ) は次式の ように定義する。
MD= 100 X (L MD一 L MD) Z MD
C TD二 100 X ( L TD― L TDノ Z TD
(1 9) 蛋白質吸着試験
ゥシ免疫グロプリン溶液 (L i f e Te c hn o l o g y社製) を 0. 1 5 Nの食塩水で希釈して 3 w t %とする。 更に生理食塩水で希釈して、 100 p pmグロブリン溶液を調製し、 波長 280 nmにおける吸光度 A0 (a b s) を測定する。
次に、 調製した 100 p pmグロブリン溶液から約 100m 1を採取し、 これ を浸漬液とし、 含有するグロブリン重量 Xo (g) を算出する。 また、 微多孔膜
試料約 0. 1 gを切り取り、 正確に試料重量 W (g) を測定する。
微多孔膜試料を 23°C及び 24 hの条件下において浸漬液に浸漬し、 その後試 料を引き上げる。 再び、 浸漬液の吸光度 (a b s) を測定することにより、 試験後の浸漬液に含有するグロブリン重量 (g) を算出し、 次式の通りに吸 着量ひ (mg/g) を求める。
X1=X0XA1/A0
a= (X0-X 2) /W 高密度ポリエチレン (重量平均分子量 25万、 分子量分布 7、 密度 0. 95 6) 、 及びポリエチレンに対して 0. 3wt%の 2, 6—ジ一 t一ブチル _p— クレゾールをヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、 35 mm二軸押出 機に投入した。 更に、 組成物の比率が、 ポリエチレン 4 Ow t %に対して流動パ ラフィン (37. 8°Cにおける動粘度 75. 9 c S t) 60wt%となるように、 押出機に流動パラフィンを注入して 200°Cで溶融混練した。 混練物を、 コート ハンガーダイを経て表面温度 40°Cに制御された冷却ロール上に押出キャストす ることにより、 厚さ 200 mのシート状の成形体を得た。
成形体を 2—ブタノン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後、 付着し た 2—ブタノンを乾燥除去し、 多孔質成形体を得た。 多孔質成形体の 120°Cに おける変形試験を行ったところ、 降伏点応力は 2. 2MP aであった。 また、 多 孔質成形体の多孔構造を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、 平均直径 1. 5 μ mの球晶から構成された球晶構造を有していた。
参考例 2
本発明の微多孔膜を形成させる相分離に関し、 その機構を解析した。 参考例 1 に記載の高密度ポリエチレン、 流動パラフィン、 及ぴ 2, 6—ジー tーブチルー p—クレゾールからなる組成物を調製し、 ラボプラストミルに投入した。 混練温 度 200°C、 スクリユー回転数 50 r pmで 5分間の溶融混練を行い、 樹脂温度 及び混練トルクが安定するのを待った。 次に、 スクリユー回転数を 10 r pmに 設定し、 スクリユー混練を継続したままヒ ターを切断し、 開始温度 200°Cか ら混練物を空冷することにより、 温度低下に伴う混練トルクの変化を観察し、 相
分離機構の評価を行った。 図 3に示す特性図より、 この組成物は熱誘起型固液相 分離を発現することが判明した。
参考例 3
可塑剤としてフタル酸ジ ( 2—ェチルへキシル) を使用し、 混練温度を 2 3 0 °Cとしたこと以外は、 参考例 2と同様にして相分離機構の評価を行った。 図 3に 示す特性図から、 この組成物は 1 8 0 °Cに熱誘起型液液相分離点を有する熱誘起 型液液相分離を発現することが判明した。
実施例 1
参考例 1で得られたシート状の成形体を 2—プタノン中に浸漬して流動パラフ インを抽出除去した後に、 付着した 2—ブタノンを乾燥除去した。 更に試験二軸 延伸機を用い、 縦延伸倍率並びに横延伸倍率を 3倍に、 縦延伸温度及び横延伸温 度を 7 0 °Cに、 縦延伸速度を 5 0 0 %/秒に、 並びに横延伸速度を 2 0 % 秒に 各々設定し、 逐次二軸延伸を行レ、微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の構造解析及び性能評価を行った結果を表 1に示す。 図 4及 ぴ 5に、 得られた微多孔膜の走査型電子顕微鏡写真を示す。 この微多孔膜は、 マ クロフイブリルからなる骨格から構成され、 その開口部は、 極めて微細に分散し た多数のミクロフイブリルによって緻密なスクリーンが形成されており、 その結 果、 平均孔径は極めて微小なものとなった。
実施例 2
縦延伸温度及び横延伸温度を 1 2 0 °Cに設定したこと以外は、 実施例 1に記載 の方法と同様にして微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の構造解析及び性能評価を行つた結果を表 1に示す。 図 6及 ぴ 7に、 得られた微多孔膜の走査型電子顕微鏡写真を示す。 この微多孔膜は、 マ クロフイブリルからなる骨格から構成され、 その開口部は、 ミクロフイブリルに よって橋架けされたスクリーンが形成されていた。 得られた微多孔膜は高い透水 量を有しており、 しかも、 平均粒径 0 . 2 5 4 mのスチレンラテックス粒子の 阻止率を測定したところ 9 9 %以上と高かつた。
実施例 3
縦延伸温度及び横延伸温度を 5 0 °Cに設定したこと以外は、 実施例 1に記載の
方法と同様にして微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の構造解析及び性能評価を行った結果を表 1に示す。 この微 多孔膜は、 マクロフイブリルからなる骨格から構成され、 その開口部は、 極めて 微細に分散した多数のミクロフイブリルによつて緻密なスクリーンが形成されて おり、 その結果、 平均孔径は極めて微小なものとなった。
比較例 1
参考例 1において得られたシート状の成形体を、 試験二軸延伸機を用いて、 縦 延伸倍率及び横延伸倍率を 3倍に、 延伸温度を 1 2 0 °Cに、 延伸速度を 2 0 %/ 秒に、 各々設定し、 同時二軸延伸を行った後に、 2—ブタノン中に浸漬して流動 パラフィンを抽出除去して微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜の構造解析及び性能評価を行つた結果を表 1に示す。 図 8及 ぴ 9に、 得られた微多孔膜の走查型電子顕微鏡写真を示す。 この微多孔膜にはマ クロフイブリルからなる骨格や開口部が存在せず、 全体として均一に分散したミ クロフイブリルから構成されていた。 また、 この微多孔膜は、 気孔率が低く、 透 水量が不十分であった。
比較例 2
超高分子量ポリエチレン (粘度平均分子量 3 0 0万、 密度 0 . 9 5 ) 、 及びポ リエチレンに対して 0 . 3 w t %の 2, 6—ジー t—プチノレ一 ρ—クレゾ一ノレを ヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、 3 5 mm二軸押出機に投入した。 更に、 組成物の比率が、 ポリエチレン 1 5 w t %に対して流動パラフィン (3 7 . 8 °Cにおける動粘度 7 5 . 9 c S t ) 8 5 w t %となるように、 押出機に流動パ ラフィンを注入して 2 0 0 °Cで溶融混練した。 混練物を、 コートハンガーダイを 経て表面温度 1 0 0 °Cに制御された冷却ロール上に押出キャストすることにより、 厚さ 8 0 0 i mのシート状の成形体を得た。
得られた成形体を 2—プタノン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後 に、 付着した 2—ブタノンを乾燥除去した。 更に試験二軸延伸機を用い、 縦延伸 倍率及び横延伸倍率を 6倍に、 延伸速度を 2 0 %ノ秒に、 並びに延伸温度を 1 3 5 °Cに設定し、 同時二軸延伸を行レ、微多孔膜を得た。
表 1に得られた微多孔膜の性能を示す。 この微多孔膜の構造解析を行つたとこ
ろ、 開口部の平均直径は 9 . 5 μ πιに粗大化しており、 また、 膜厚 1 μ ιηあたり のマクロフイブリルの積層段数は僅かに 0 . 4であった。 得られた微多孔膜に関 し、 平均粒径 0 . 2 5 4 mのスチレンラテックス粒子の阻止率を測定したとこ ろ 8 9 %であり、 微粒子阻止性能が不十分であった。
実施例 4
試験二軸延伸機を用い、 表 2に示す通り、 縦延伸温度及び横延伸温度を 1 1 0 °Cに、 縦延伸倍率及び横延伸倍率を 2〜 4倍に変更して逐次二軸延伸を行ったこ と以外は、 実施例 1と同様にして微多孔膜を得た。
表 2の実験番号 1〜 3に得られた微多孔膜の性能を示す。 得られた微多孔膜の 孔径分布は狭く、 微粒子阻止の性能上、 好ましい態様を示した。 この微多孔膜の マトリタス突き刺し強度は、 実験番号 3における延伸倍率 4 X 4倍の際に最大 となった。 後述する比較例 3のように延伸倍率 5 X 5倍以上では、 マトリクス 突き刺し強度が低下する傾向が見られた。
比較例 3
試験二軸延伸機を用い、 表 2に示す通り、 縦延伸倍率及び横延伸倍率を、 1 .
5、 5及び 6倍に変更して逐次二軸延伸を行ったこと以外は、 実施例 4と同様に して微多孔膜を得た。
表 2の実験番号 4〜 6に得られた微多孔膜の性能を示す。 得られた微多孔膜の 孔径分布は広く、 好ましくない態様を示した。
比較例 4
参考例 1に記載の高密度ポリエチレン 2 0 w t %、 及ぴ流動パラフイン 8 0 w t %を、 二軸押出機を使用して 2 0 0 °Cで溶融混練した。 混練物をコートハン ガーダイを経て冷却ロール上に押出キャストしたが、 溶融粘性が低すぎるためシ 一ト状に成形できなかった。
改めて、 ラポプラストミルを使用し、 混練温度 2 0 0 °C、 スクリユー回転数 5 0 r p mで 5分間の溶融混練を行い混練物を得た。 得られた混練物を 2 0 0 °Cに 加熱した圧縮成形機を使用してシート状にプレスし、 続いて水冷した圧縮成形機 を使用して冷却固化させ、 厚さ 2 0 0 μ mのシート状の成形体を得た。
成形体を 2—プタノン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後、 付着し
た 2—ブタノンを乾燥除去し、 多孔質成形体を得た。
次に、 試験二軸延伸機を用い、 縦延伸倍率及び横延伸倍率を 2倍に、 延伸速度 を 2 0 %Z秒に、 並びに延伸温度を 1 2 0 °Cに設定し、 同時二軸延伸を行い表 3 に記載の微多孔膜を得た。
この微多孔膜の構造解析を行つたところ、 開口部の平均直径が 1 0 μ m、 マク ロフイブリルの平均直径が 1 . 7 7 // mの粗大化した構造を有しており、 平均孔 径が 0 . 9 3 5 μ πιであり、 孔径分布が 1 . 7と広かった。 また、 マトリクス突 き刺し強度は僅かに 0 . 0 4 Νであり、 強度性能が低かつた。
比較例 5
参考例 1で得られたシート状の成形体を 2ーブタノン中に浸漬して流動パラフィ ンを抽出除去した後に、 付着した 2—プタノンを乾燥除去した。 更に試験ニ軸延 伸機を用い、 縦延伸倍率及び横延伸倍率を 1 . 7倍に、 延伸温度を 1 2 0 °Cに、 延伸速度 2 0 %Z秒に各々設定して同時二軸延伸を行い、 表 3に記載の微多孔膜 を得た。 この微多孔膜の構劍军析を行ったところ、 マクロフイブリル骨格からな る開口部や、 マクロフイブリルの積層構造は形成されておらず、 本発明の微多孔 膜が有する多孔構造を有していなかった。
実施例 5
参考例 1で得られたシート状の成形体を 2—ブタノン中に浸漬して流動パラフ インを抽出除去した後に、 付着した 2—ブタノンを乾燥除去した。 更に試験二軸 延伸機を用い、 縦延伸倍率及び横延伸倍率を 3倍に、 延伸温度を 5 0 °Cに、 延伸 速度を 1 0 %Z秒に各々設定して同時二軸延伸を行い、 表 4の実験番号 7に記載 の微多孔膜を得た。 続いて、 金属枠に固定した状態で熱風循環式恒温槽の中にお いて 5分間の加熱処理を行い、 実験番号 8〜 9に記載の微多孔膜を得た。 表 4に 示す通り、 加熱処理を施した微多孔膜の熱収縮率は向上していた。
実施例 6
実施例 5の実験番号 8において得られた微多孔膜に、 加速電圧 1 5 0 k V、 及 び照射温度 2 5 °Cの条件の下で、 吸収線量を 5 0〜1 5 0 k G yの範囲で変更し て電子線を照射し、 架橋処理を施して、 表 4の実験番号 1 0〜: 1 2に記載の微多 孔膜を得た。 表 4に示す通り、 架橋処理を施した微多孔膜の熱収縮率は向上して
レ、た。
実施例 7
実施例 1で得られた微多孔膜に親水処理を施した。 親水化剤として、 ヒドロキ シプロピルァクリ レート 8 w t %、 及ぴポリエチレングリコールジァクリレート 1 w t %を溶解したィソプロパノール溶液を調製した。 この溶液に微多孔膜を 5 分間浸漬した後に引き上げ、 微多孔膜の表面に付着している余分な溶液を十分に 拭って除去した。
続いて、 コノ レト 6 0線源を使用し、 吸収線量 1 0 0 k G yの条件下で γ線を 照射してグラフト処理を施した後、 エタノールを使用して十分に洗浄し、 親水処 理された微多孔膜を得た。 ここで、 グラフト処理によるグラフトポリマーの重量 増加分を測定したところ、 ポリエチレン 1 0 0重量部に対して 2 2重量部であつ た。 得られた微多孔膜の透水量は 1 . 4 X 1 0— Z秒 · m 2 · P aであり、 高い透過性能を有していた。
実施例 8
実施例 1及び実施例 7において得られた微多孔膜に関し、 1 0 0 p p mゥシ免 疫グロブリン溶液を使用して蛋白質吸着試験を行った。
実施例 1で得られた微多孔膜の場合、 微多孔膜 1 gあたりの吸着量は 5 6 m g であり、 蛋白質の吸着が認められた。
一方、 実施例 7で親水処理を施された微多孔膜の場合、 微多孔膜 l gあたりの 吸着量は O m gであり、 蛋白質の吸着が全く認められなかった。 実施例 7で得ら れた微多孔膜は医用分離フィルターとしての使用に好適であつた。
表 1
表 2 実施例 4 比較例 3 実験番号 実験番号 実験番号 実験番号 実験番号 実験番号 1 2 3 4 5 6 縦延伸倍率 〔倍〕 2 3 4 1. 5 5 6 横延伸倍率 〔倍〕 2 3 4 1. 5 5 6 膜厚 〔 m〕 8 3 4 2 2 9 1 20 1 7 1 3 気孔率 〔%〕 7 1 80 80 5 5 78 7 7 平均孔径 (Mm] 0. 1 50 0. 1 74 0. 1 7 3 0. 1 28 0. 204 0. 2 6 7 孔径分布 1. 6 1. 5 1. 5 1. 8 1. 8 1. 9
9. 7 1 7. 1 1 9. 4 4. 1 22. 4 29. 8
〔X10- VZ秒 ·πι2·Ρ&〕 卜リ グス矢 s し
0. 1 5 0. 24 0. 3 2 0. 06 0. 2 6 0. 2 1 強度 〔N〕 マクロノィノ リノレの
0. 50 0. 3 5 0. 28 0. 27 0. 28 平均直径 C^m]
ヘン ノィ ノ ソ (ノ
0. 1 3 0. 1 1 0. 1 0 0. 1 1 0. 1 2 平均直径 [Mm] 開口部の平均直径 開口部
1. 1 1. 8 2. 5 3. 3 4. 1 し t mj なし 積層段数 1. 2 2. 2 3. 0 積層なし 3. 5 3. 5
表 3
表 4 実施例 5 実施例 6 夹 番 ¾ 実験番号 実験番号 実験番号 実験番号 実験番号 7 8 9 10 11 12 力 D孰 揮 / 度
処理なし 120 125 120 120 120
〔。c〕
¾fi惯擦々^几 ¾ノ
処理なし 処理なし 処理なし 50 100 150 吸収線量 〔kGy〕 膜厚 Om〕 58 50 47 51 50 47 気孔率 〔%〕 74 71 65 71 70 69 平均孔径 〔 m〕 0. 050 0. 089 0. 105 0. 1 0 9 0. 919 0. 102 孔径分布 1. 5 1. 5 1. 5 1. 5 1. 5 1. 5 H 牛
35 22 12 21 21 18
〔%〕
埶 ϊ^Η iJΧvネ'日千ノ Τ丄 "Π
32 • 22 11 21 20 17
〔%〕 刀
0 18 50 58
〔重量0 /0〕 ン ノ イ ノ "ソΠ バ
0. 30 0. 31 0. 28 0. 30 0. 31 0. 30 の平均直径 〔μηι〕
^ Πフノブ lj /し
0. 11 0. 12 0. 12 0. 12 0. 12 0. 13 の平均直径 〔μιη〕 開口部の平均直径
1. 8 1. 8 1. 8 1. 8 1. 8 1. 8 し m〕 積層段数 2. 1 2. 3 2. 5 2. 3 2. 2 2. 2
産業上の利用可能性
本発明の微多孔膜は、 高い透過性能、 高い微粒子阻止性能、 及び高い強度性能 を有し、 フィルター材料として有用である。