明 細 書
炭素繊維織物の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、炭素繊維糸条力 なるたて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸力 s 蛇行せずに真直に配列している品位に優れた一方向性炭素繊維織物の製造方法 に関する。詳しくは、生産性 (生産速度)を格段に高めつつ、炭素繊維糸条からなる たて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸が蛇行せずに真直に配列している炭 素繊維織物を得ることができる炭素繊維織物の製造方法に関する。
背景技術
[0002] 従来より、ガラス繊維織物では、例えば特許文献 1、 2にあるように、エアジェット織 機を用いて製織されている場合が多い。これは、用いるガラス繊維の破断伸度が約 4 %と高いため毛羽立ち難いこと、その繊度が例えば 8〜: LOOtexと小さぐ織密度 (た て糸本数、よこ糸本数)が密であること、製織する織物がガラス繊維を二方向に配列 している二方向織物であること、の条件が揃っているために工業的な製織が可能とな つているためである。
[0003] 一方、炭素繊維織物では、例えば特許文献 3にあるように、シャトル織機や、レビア 織機などを用いて製織されている場合が多い。これは、特許文献 1に、織機の一例と してエアジェット織機が、また、織物の一例として炭素繊維等の無機繊維力もなる織 物が記載されているものの、具体的にエアジェット織機で炭素繊維織物を製織する 具体的な態様の説明がないこと、また、炭素繊維の破断伸度が約 1. 5〜2%と低い ため容易に毛羽立つこと、その繊度が例えば 333〜3, 333texと大きぐ織密度が粗 であることなどの理由から、実際にエアジェット織機を用いて炭素繊維織物を工業的 に製織することは困難であると考えられていたためである。
[0004] し力しながら、シャトル織機やレビア織機を用いて炭素繊維織物を製造するにあた つては、下記の理由から、高い生産性、すなわち高い生産速度 (織機の回転数)を実 現できずにいた。
[0005] A.織機の製織機構の制約
(1)シャトル織機またはレビア織機を用いた場合、シャトルやレビアによる、よこ糸挿 入運動に物理的な速度の上限が存在すること。
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、シャトルやレビアとたて糸とが直接 接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
(3)たて糸の供給に関して、高回転での製織時に、隣り合うたて糸同士が、たて糸の 開口運動により擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
[0006] B.製織する織物の制約
(1)炭素繊維糸条をたて糸およびよこ糸に用いた二方向性織物の場合、用いる織機 および製織条件によっては、よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、たて糸と よこ糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
[0007] C.用いる炭素繊維の制約
(1)炭素繊維糸条の破断伸度が低いため、容易に毛羽立つこと。
[0008] また、シャトル織機やレビア織機で製織する場合、ヘルドの開閉口におけるヘルド 静止角度を小さくすることは難しぐそのために、たて糸の張力変動が大きくなり、製 織された炭素繊維織物には無視できないほどの凹凸が生じ易いという問題があった 。特に、炭素繊維織物においては、太繊度の炭素繊維糸条をたて糸とし、細繊度の 補助糸(例えば、ガラス繊維ヤーン)をよこ糸とした一方向性織物が、例えばコンクリ ート構造物の補修'補強用途などに広く用いられているが、力かる一方向性織物を製 織する場合、炭素繊維織物の織成、搬送または卷取の各工程において、太繊度の 炭素繊維糸条であるたて糸が僅かに動くことにより、細繊度であるよこ糸が簡単にズ レてしま!、、蛇行して (屈曲して)真直に配列できな ヽと 、う問題があった。
[0009] なお、前記の生産性の問題に対しては、特許文献 4に、水を用いたウォータージェ ット織機にて、炭素繊維織物を製造する内容が開示されている。この文献には、繊度 が 200texの炭素繊維を用いて、たて糸およびよこ糸の何れもが炭素繊維で構成さ れた平織組織の炭素繊維織物を、 0. 8mZ分の速度で製造可能である旨の記載が ある。しかしながら、水を用いて炭素繊維織物を製織すると、炭素繊維糸条に付与さ れて ヽた表面処理剤(サイジング剤ゃカップリング剤など)が水によって流出ある 、は 劣化してしま!/、、製織された炭素繊維織物で所望する物性を得ることが難 、と!、う
問題がある (ガラス繊維織物でも同様)。また、表面処理剤が溶けだした廃液の処理 という点でも問題がある。したがって、ウォータージェット織機にて炭素繊維織物を製 造することは、工業的な製織方法として現実的でない。
[0010] このように、特許文献 1〜4をはじめとした従来の技術では、高い生産性を実現した 炭素繊維織物の製造方法は見出されておらず、力かる技術が渴望されている。 特許文献 1:特開 2000 -8241号公報
特許文献 2:特開平 08 - 325943号公報
特許文献 3 :特開平 11— 001839号公報
特許文献 4:特開平 06 - 341034号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] そこで本発明は、上記背景技術に挙げた問題点を解決することを課題とし、炭素繊 維糸条力 なるたて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸が蛇行せずに真直に 配列して 、る品位に優れた炭素繊維織物を、高 、生産性 (生産速度)で得ることがで きる炭素繊維織物の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] 上記目的を達成するための本発明は、次の(1)〜(19)のいずれかの構成を有す るものである。
(1)繊度が 400〜6, OOOtexの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条 の 1Z5以下の補助繊維をよこ糸として製織する一方向性炭素繊維織物の製造方法 であって、製織に際し、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度が 0〜50° の範囲 内としたエアジェット織機を用いる、炭素繊維織物の製造方法。
(2)前記炭素繊維織物のたて糸密度が 1〜8本 Zcm、よこ糸密度が 0. 4〜8本 Zc mである、前記(1)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(3)織成する炭素繊維織物の少なくともよこ糸挿入側とは反対側の端部に、該炭素 繊維織物を織成するよこ糸を用いて別組織を同時に織成するとともに、該別組織と 前記炭素繊維織物との間でよこ糸を切断してそれら別組織と炭素繊維織物とを分離 し、該別組織に撚りを加える、前記(1)または(2)に記載の炭素繊維織物の製造方
法。
(4)穴を有したガイドに前記別組織を通し、該ガイドを回転させることで前記別組織 に撚りを加える、前記(3)に炭素繊維織物の製造方法。
(5)前記別組織を織成しながら、または、織成した後に、該別組織と前記炭素繊維織 物との距離が広くなるように該別組織を導ぐ前記 (3)または (4)に記載の炭素繊維 織物の製造方法。
(6)前記炭素繊維織物が平織、綾織または糯子織の組織であり、前記別組織が平織 、力もみ織またはそれらの組み合わせの組織である、前記(3)〜(5)のいずれかに記 載の炭素繊維織物の製造方法。
(7)織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に、軸が該よこ糸の飛走方向 と交差するように管状体を配置し、または、軸が屈曲している管状体を配置し、炭素 繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を該管状体の一方の開口力 他方の開 口へと通す、前記( 1)〜(6)の 、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(8)前記エアジェット織機は、エアを噴射する 1つのメインノズルおよび複数のサブノ ズルを有し、それぞれのサブノズルはよこ糸飛走方向に関して該メインノズルの下流 側に織物幅 2〜15cm当たり 1つの間隔で配置され、かつ、よこ糸飛走方向に関して 前記メインノズルの上流側に、エアを噴射する補助メインノズルを有し、それらノズル 力 エアを噴射してよこ糸を飛走させる、前記(1)〜(7)の 、ずれかに記載の炭素繊 維織物の製造方法。
(9)前記エアジェット織機は、ヘルドの開口量が 10〜75mmの範囲内である、前記( 1)〜(8)の 、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(10)ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制する、前記(1)〜( 9)の 、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(11)前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、それぞれの サブノズルは、該サブノズルの中心と箴羽の中心とが織物の長手方向に平行な実質 的に同一の直線上に存在するように配置される、前記(1)〜(10)のいずれかに炭素 繊維織物の製造方法。
(12)前記エアジェット織機は、箴の箴羽厚が 0. l〜2mmの範囲内である、前記(1)
〜(11)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(13)前記エアジェット織機は、箴打のストローク量が 50〜 150mmの範囲内である、 前記(1)〜(12)の 、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(14)前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、箴入幅が 1 00〜350cmの範囲内であり、かつ、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルとそ れに隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、よこ糸挿入側とは反対側における最端 部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離の方が短い、前記(1)〜(1 3)の 、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(15)前記エアジェット織機は、箴入幅が 100〜350cmの範囲内であり、かつ、該箴 入幅の両端部以外の箴入幅内に耳組織を形成する、前記(1)〜(14)のいずれかに 記載の炭素繊維織物の製造方法。
(16)よこ糸が、ガラス繊維と有機繊維との紡績糸、ガラス繊維の紡績糸、有機繊維 の紡績糸、ガラス繊維と有機繊維との交絡加工糸、ガラス繊維の交絡加工糸、およ び有機繊維の交絡加工糸からなる群力も選ばれる少なくとも一種である、前記(1)〜 (15)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
( 17)よこ糸が、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント糸をカバリングした力 バリング糸である、前記(1)〜(16)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(18)製織した炭素繊維織物を所定長 L1で一且卷き取り、巻き取った炭素繊維織物 を所定長 L1の半分以下である製品長 L2に分割して再度巻き取る、前記(1)〜(17) の!、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(19)たて糸である炭素繊維糸条は、各ボビン力も解舒して引き揃えられ、直接エア ジェット織機に導かれる、前記(1)〜(18)の 、ずれかに記載の炭素繊維織物の製造 方法。
発明の効果
本発明によれば、炭素繊維織物の工業的な生産には現実的でないとされていたェ アジエツト織機を用いて一方向性炭素繊維織物を製織することで生産性を高めること ができるうえに、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度を 0〜50° の範囲内とする ことで炭素繊維糸条のたて糸長を均一にできる。さらに、よこ糸挿入においてよこ糸
に張力を付与し難いエアジェット織機を用いた製織においても、よこ糸が蛇行せずに 真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物を製造することができる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]本発明で用い得るエアジェット織機における各種ノズルおよび管状体の位置関 係を示す概略平面図である。
[図 2]本発明で用い得るエアジェット織機における各種ノズルおよび管状体の別態様 の位置関係を示す概略正面図である。
[図 3]本発明で用い得るエアジェット織機におけるサブノズルと箴羽との位置関係を 示す概略平面図である。
[図 4]本発明で用い得るエアジェット織機におけるサブノズルと箴羽との位置関係を 示す概略平面図である。
[図 5]本発明で用い得るエアジェット織機での糸道の一例を示す概略断面図である。
[図 6]本発明で用い得るエアジェット織機での糸道の別の一例を示す概略断面図で ある。
[図 7]本発明における織成の一例を示す概略平面図である。
符号の説明
[0015] 1 箴羽
la 箴羽群
2、 2a、 2b、 2c、 2d、 2e サブノズル
3 織物の長手方向に対する箴羽の中心線
4 織物の長手方向に対するサブノズルの中心線
5、 5a、 5b、 5c たて糸
6 へノレド、
7 箴
8a、 8b 押さえバー
9a, 9b 押さえバーがない場合の糸道
10 エアジェット織機
11a, l ib ィージンダロール
12 メインノズル
13 補助メインノズル
14 よこ糸
15a 屈曲した管状体
15b よこ糸の飛走方向と角度を有する方向に配置された管状体
16 ストレッチノズル
17 別組織のたて糸
18a、 18b、 18c 炭素繊維織物
19aゝ 19b 別組織
19c 耳組織
A よこ糸挿入側
B 反よこ糸挿入側
D1 サブノズルの中心と箴羽の中心との織物の長手方向に対するズレ
D2 箴打ストローク量
D3 ヘルド開口量
D4 たて糸が開口をはじめる箇所力もへルドまでのたて糸長
Ll、 L2、 L3 サブノズル同士の配置間隔
発明を実施するための最良の形態
[0016] 本発明においては、繊度が 400〜6, OOOtexの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度 が該炭素繊維糸条の 1Z5以下の補助繊維をよこ糸として一方向性炭素繊維織物を 製織するに際し、エアジェット織機を用いる。
[0017] 前述したように、シャトル織機や、レビア織機で炭素繊維織物を製造する場合には
(1)シャトル織機またはレビア織機を用いた場合、シャトルやレビアによる、よこ糸挿 入運動に物理的な速度の上限が存在する、
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、シャトルやレビアとたて糸とが直接 接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つ、
という問題 (前記 A(l)、 (2)項の問題)があった。しかしながら、エアジェット織機を用 いることにより、シャトルやレビアなどの物理的な速度の影響を受けず、また、たて糸と
シャトルやレビアなどとの擦過が本質的に発生しな 、。ここでウォータージェット織機 を用いると、織糸である炭素繊維糸条に予め付着されているサイジング剤(多くは水 溶性の榭脂組成物)の脱落'付着量のムラが発生する懸念があり、かつ、織物を後か ら乾燥させる工程が必要となる問題がある。
[0018] 力かるエアジェット織機を用いる製織においては、ヘルドの開閉口におけるヘルド 静止角度を 0〜50° の範囲内、好ましくは 0〜25° の範囲内、より好ましくは 0° と する。力かるへルド静止角度は小さければ小さいほど好ましい。
[0019] ヘルド静止角度とは、よこ糸を挿入する織機の繰り返し動作の 1周期分を、織機の モーター主軸 (クランク)の回転角度、すなわち 360度に割り振った場合に、ヘルドの 開閉口の動き(変位)において連続して変位に動きがない範囲の角度をいう。
[0020] 一般的なシャトル織機やレビア織機などを用いると、よこ糸挿入手段であるシャトル やレビアとたて糸群とが局所的に接触したりする場合があり、製織時に負荷されるた て糸それぞれへの張力を均一にすることができない。また、シャトルやレビアなどを杼 口に挿入するため、ヘルドの開口量を大きぐかつ、シャトルやレビアが運動する間 はへルドを開口した状態で静止させざるを得ない。そのため、たとえば一般的なレビ ァ織機では、ヘルド静止角度が 150〜220° となってしまう。このことにより、製織の 運動が間欠運動 (不連続運動)となり、たて糸が張ったり緩んだりして不安定となるだ けでなく、たて糸それぞれへの張力を不均一にする原因の一つとなっていた。このこ とに起因して、得られる炭素繊維織物におけるたて糸の長さの差を 0. 15%以下、か つ、たて糸の長さの変動係数を 8%以下とすることができないだけでなぐ停止してい たたて糸が動き出すために炭素繊維糸条とへルドとの擦過も大きくなり毛羽も多く発 生するため、品位に優れる織物を得ることが難し力つた。一方、エアジェット織機にお いてはへルドの開口状態を長く維持する必要がない。すなわち、エアジェット織機を 用いることにより、よこ糸挿入手段とたて糸群との物理的な接触が皆無となり、かつ、 開口状態を維持するためにへルドを長い間静止する必要がないため、ヘルド静止角 度を 0〜50° の範囲内とすることができ、製織時に負荷されるたて糸それぞれへの 張力をより均一にすることができる。その結果、たて糸の長さの差が 0. 15%以下であ り、かつ、たて糸の長さの変動係数が 8%以下である炭素繊維織物を容易に得ること
ができる。より好ましいたて糸の長さの差は 0. 1%以下、更に好ましくは 0. 05%以下 である。また、より好ましい変動係数は 6%以下、更に好ましくは 4%以下である。上 記範囲のたて糸の長さの差およびその変動係数であると、床上に織物を延反した場 合の織物の凹凸が最小限に抑制されて外観品位に優れるだけでなぐ得られた織物 を CFRPに成形した際に優れた力学特性を発揮することになる。なお、上記たて糸の 長さの差およびたて糸長さの変動係数は、次の手順で測定される。
(a)炭素繊維織物が弛まな 、ように 5500mmを延反して無張力下で静置する。
(b)測定基準として、延反した織物の長手方向と垂直に 1箇所切断する。
(c)測定基準から、織物幅方向の両端部のたて糸それぞれに関して 5000mmを測 長し、その箇所を結んだ線で切断する。測長にあたっては、織物が弛まないように延 反して無張力下で静置して 5000mmを長尺メジャーで測長する。
(d)織物を分解しながら、織物全幅に渡りたて糸を 5本おきに順に抜き取る。
(e)抜き取つたたて糸長さを 0. 1mmの桁までそれぞれ測長する。測長にあたっては 、たて糸が蛇行しな 、ように手で引つ張る程度の張力をかけながら長尺メジャーで測 長する。
(f)測長したたて糸長さの最大値と最小値との差を算出する。算出した差を 5000m mで除して 100を乗じた値をたて糸の長さの差とする(単位は0/ 0)。
(g)測長したたて糸長さの全ての値の標準偏差および平均値を算出する。算出した 標準偏差を平均値で除して 100を乗じた値を変動係数とする(単位は%)。
元来、エアジェット織機は、ガラス繊維の二方向性織物の工業的な製造に用いられ てきたが、これは、用いるガラス繊維の破断伸度が約 4%と高く毛羽立ち難いことだけ が理由ではない。その他、用いるガラス繊維の繊度が例えば 8〜: LOOtexと細ぐ織 密度 (たて糸本数、よこ糸本数)が密な織物を対象としているため、よこ糸の飛走にお いて噴射するエアの漏れを最小限にでき、かつ、よこ糸の蛇行 (屈曲)が顕在化しな い、という条件が揃っているためである(FUTURE TEXTILES, p81〜84、堀照 夫、繊維社)。一方、本発明では、用いる炭素繊維糸条はガラス繊維に比べて毛羽 立ち易くかつ太繊度であること、製造する織物が一方向性織物であること、というエア ジェット織機を用いるには不利な障害が明確に複数存在する。それにも係わらず、本
発明においては、一方向性炭素繊維織物をエアジェット織機で製織するというコンセ ブトに想致し、さらには上記の不利な障害を解決してエアジェット織機による製織を 実現したものである。
本発明で製造する炭素繊維織物においては、たて糸密度が 1〜8本 Zcm、よこ糸密 度が 0. 4〜8本 Zcmであるのが好ましい。より好ましくはたて糸密度が 2〜6本 Zcm 、よこ糸密度が 1〜6本 Zcm、更に好ましくはたて糸密度が 3〜5本 Zcm、よこ糸密 度が 2〜5本 Zcmの範囲であるのが好ましい。たて糸密度が小さすぎると、炭素繊維 織物の形態安定性に劣るだけでなぐたて糸の隙間が大きくなりすぎ、エアジェット織 機のよこ糸挿入効率があまりにも低下し過ぎる場合がある。一方、たて糸密度が大き すぎると、前記 A項 (3)に記載の通り、炭素繊維糸条の擦過による毛羽が多くなり、炭 素繊維織物の品位を損なう場合がある。また、よこ糸密度が小さすぎると、炭素繊維 織物の形態安定性に劣り、得られる織物の取扱性に劣りやすい。一方、よこ糸密度 が大きすぎると、炭素繊維織物の製造速度を高速にすることが困難に場合があるだ けでなく、よこ糸の蛇行を抑制しきれな 、場合がある。
[0022] 本発明の炭素繊維織物の製造方法は、たて糸同士の隙間が 0. 1〜0. 8mm,好ま しくは 0. 15-0. 6mm、より好ましくは 0. 2〜0. 5mmの範囲である炭素繊維織物を 製造するのに適している。得られる織物において、たて糸同士の隙間が小さすぎると 、前記 A項 (3)に記載の通り、炭素繊維糸条の擦過による毛羽が多くなり、炭素繊維 織物の品位を損なう場合があるだけでなぐ炭素繊維織物を製織した後にマトリックス 榭脂を含浸させて CFRP (炭素繊維強化プラスチック)を成形する場合に、マトリック ス榭脂の含浸性を阻害する場合がある。エアジェット織機を用いる場合は、製織時に 炭素繊維糸条の間に突出するサブノズル (詳細は後述)が炭素繊維糸条と擦過する ため、炭素繊維糸条の毛羽が想像以上に多くなつてしまう場合がある。一方、たて糸 同士の隙間が大きすぎる場合には、毛羽は抑制されるが、よこ糸挿入効率が低下す る場合があり、さら〖こは、 CFRPを成形した場合に、榭脂リッチ部分を大きく形成し、 C FRPの力学特性を低下させる場合がある。
[0023] 本発明においては、織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側(以下、「反 よこ糸挿入側」と ヽぅ)に、両端が開口して ヽる管状体を配置し、炭素繊維織物を織成
するために挿入して飛走させたよこ糸を該管状体の一方の開口力 他方の開口へと 通すことが好ましい。よこ糸と該管状体の内壁との摩擦でよこ糸のたるみを防ぐことが できる。管状体は、軸が直線のもののほか、軸が屈曲しているようなものでもよぐ軸 が直線の管状体は、該軸がよこ糸の飛走方向と交差するように (平行にならないよう に)管状体を配置する。
[0024] 具体的に図 1、図 2に示す。図 1は、エアジェット織機における各種ノズルおよび管 状体の位置関係を示す概略平面図である。図 2は、他の態様における各種ノズルお よび管状体の位置関係を示す概略正面図である。なお、いずれの図においても、た て糸は省略している。
[0025] 図 1、図 2のエアジェット織機 10では、少なくともメインノズル 12およびサブノズル 2a 、 2b ' · 'からエアを噴射し、よこ糸 14を、よこ糸挿入側 A力も反よこ糸挿入側 Bへと、 箴羽群 laを通過させながら飛走させる。よこ糸がよこ入れされた後には、箴 7にて箴 打ちして、たて糸とよこ糸 14とを織成する。
[0026] ここで、メインノズルとは、織機のよこ糸挿入側に配置され、飛走させるよこ糸に対し て最初に圧空を付与するノズルであり、サブノズルとは、該メインノズルによって飛走 しているよこ糸をさらに飛走させ続けるため、補助的に圧空を作用させるノズルのこと をいう。
[0027] 本発明で用いるエアジェット織機としては、よこ糸挿入側 Aに 1つのメインノズル 12 配置し、よこ糸挿入側 Aと反よこ糸挿入側 Bとの間に、複数のサブノズル 2a、 2b ' · ·を 、織物幅 2〜15cm当たり 1つの間隔で配置したものが好ましい。サブノズルの好まし い配置間隔は、織物幅 3〜12cm当たりに 1つ、更に好ましくは織物幅 4〜10cm当 たりに 1つである。また、サブノズルの総数は、織物幅により異なる力 織物幅が 100c mの場合は 7〜30個、織物幅が 350cmの場合は 23〜105個の範囲内が好ましい。
[0028] これら複数のサブノズル 2a、 2b · · ·の配置は、特にエアジェット織機の箴入幅が後 述するような範囲(箴入幅が 100〜350cmの範囲内)のような広幅である場合、よこ 糸挿入側 Aにおける最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離よ りも、反よこ糸挿入側 Bにおける最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの 間の距離の方が短くなるようにすることが好ましい。具体的には、よこ糸挿入側 Aにお
けるサブノズル同士の配置間隔 L 1よりも、反よこ糸挿入側 Bに向かつてサブノズル同 士の配置間隔 L2、 L3の方が広くならないように配置されているのが好ましい。より好 ましくは、サブノズル同士の配置間隔がよこ糸挿入方向に沿って短くなるように配置 するのが好ましい。複数のサブノズル 2a、 2b ' · ·が力かる態様で配列されていると、メ インノズル 12からのエアを効率的に活用できるだけでなぐ反よこ糸挿入側 Bにおけ るよこ糸の飛走を安定させることができ、よこ糸挿入自体を長期間安定して行うことが できる。もちろん、力かるサブノズル同士の配置間隔 L1〜L3の関係は織物幅によつ て適宜選択されるものである力 例えば L1 >L2>L3としてもよいし、 L1 >L2 = L3 としてちよい。
[0029] さらに、本発明において、エアジェット織機としては、よこ糸挿入側に配置されるメイ ンノズルが複数個存在するようなものを用いてもよい。たとえば、よこ糸挿入側 Aに配 置されるメインノズル 12よりもよこ糸飛走方向の上流側に、もう一つのメインノズル (補 助メインノズル 13)を有するものを用いるのが好ましい。さらに好ましくは、メインノズル 12、補助メインノズル 13それぞれからエアを実質的に同時に噴射してよこ糸を飛走 させるのが好ましい。力かる補助メインノズル 13を用いることにより、次の挿入のため に待機して 、るよこ糸に急激なエアを噴射して飛走させる必要がなくなる。すなわち、 メインノズルが 1つの場合、よこ糸の 1箇所にエアを噴射して飛走させるために、必然 的にそのエアの圧力を高くせざるを得ない。し力しながら、補助メインノズル 13を併用 し、メインノズルを複数個とする場合には、よこ糸の複数箇所にエアを噴射して飛走さ せることになるので、エア圧力を低くすることができる。このことにより、よこ糸切れやよ こ糸割れ 'ばらけ、よこ糸毛羽などを抑制できるだけでなぐ飛走し難いよこ糸も飛走 させることができ、よこ糸の選択の自由度を広くとることができる。なお、エアを実質的 に同時に噴射するとは、織機の主軸 (クランク)角度における 20° 以内の範囲でエア を噴射することをいう。
[0030] また、エアジェット織機にぉ 、て、それぞれのサブノズルは、該サブノズルの中心と 箴羽の中心とが、織物の長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するよう に配置されることが好ましい。換言すれば、サブノズルと箴羽との位置関係を示す、 エアジェット織機の部分拡大図である図 3、 4に示すように、エアを噴射するサブノズ
ル 2の中心と箴羽 1の中心とが、織物の幅方向に関して実質的に同じ位置に揃うよう に設けることが好ましい。
[0031] なお、本発明において、サブノズルの中心と箴羽の中心とが、長手方向に平行な実 質的に同一の直線上に存在するとは、長手方向に完全に平行な同一直線上に存在 している状態はもちろんのこと、後述するような問題を生じないのであれば、図 4に示 すように若干ずれている態様も含むものとする。具体的には、サブノズル 2の中心と箴 羽 1の中心との、織物の幅方向に関するズレ D1が、 0〜3mmの範囲内であることを 指す。より具体的には、 D1は、織物の幅方向に関するサブノズルの中心線 4と、織物 の幅方向に関する箴羽の中心線 3との距離で示される。サブノズル 2の中心と箴羽 1 の中心とが実質的に同一直線上に配置されていないと、サブノズル 2がたて糸 5b (炭 素繊維糸条)と擦過してしまうため、該炭素繊維糸条における毛羽の発生を抑制する ことができない場合がある。すなわち、サブノズル 2の中心と箴羽 1の中心とが実質的 に同一直線上に配置されてこそ、たて糸 5aとの擦過を抑制することができるのである
[0032] 箴の箴羽厚は、 0. l〜2mm、好ましくは 0. 3〜0. 8mm、より好ましくは 0. 4〜0.
7mmの範囲内であるのが良い。箴羽厚が小さすぎると、サブノズル 2の物理的な寸 法の差異が大きくなりすぎ、サブノズル 2が突出しすぎてたて糸 5と擦過してしまう場 合がある。一方、箴羽厚が大きすぎると、箴自体の重量が大きくなりすぎるだけでなく 、箴羽 1間のたて糸 5の通る糸道が細くなり、箴羽 1がたて糸 5と強く擦過し過ぎてしま う場合がある。
[0033] 続いて、図 5、図 6は、それぞれエアジェット織機の一例を示す概略断面図である。
[0034] エアジェット織機における箴打ストローク量 D2は、 50〜150mm、好ましくは 60〜1 30mm,より好ましくは 70〜90mmの範囲内であるのが良い。箴打ストローク量 D2が 小さすぎると、よこ糸挿入のスペースを形成できない場合がある。一方で、箴打スト口 ーク量 D2が大きすぎると、箴打自体の動きが大きくなりすぎて本発明の課題である 高速ィ匕を阻害する場合があるだけでなぐ炭素繊維糸条と箴羽との擦過も大きくなり 、炭素繊維糸条カもの毛羽を抑制することができない場合がある。なお、箴打スト口 ーク量 D2とは、最も前進した箴位置 (箴打時)と、最も後退した箴位置 (よこ糸挿入時
)とを結んだ直線距離を指す。
[0035] また、前記 A項(3)の制約に対して、エアジェット織機におけるヘルド開口量 D3は 、 10〜75mm、好ましくは 20〜65mm、より好ましくは 30〜60mmの範囲内である のが良い。力かる範囲のへルド開口量 D3であると、高回転での製織時に、隣り合うた て糸同士の擦過を最小限にし、炭素繊維糸条の毛羽立ちを抑制することができる。 より具体的には、開口量が大きすぎると、たて糸張力の絶対値が高くなるため炭素繊 維糸条の毛羽立ちが多くなり、開口量が小さすぎると杼ロ(よこ糸が通過するための 空間)の形成が十分でなぐよこ糸挿入を安定して行えないだけでなぐたて糸とよこ 糸との擦過が相対的に強くなり、毛羽が発生する場合がある。なお、ヘルド開口量 D 3とは、開口上死点でのヘルドのメイルの位置と、閉口下死点でのヘルドのメイルの 位置とを結んだ直線距離を指す。
[0036] そして、エアジェット織機には、ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分 的に抑制する押さえバーを設けることが好ましい。押さえバー 8a、 8bとは、具体的に 図 5、図 6に示すように、ィージンダロール l la、 l ibとへルド 6との間(間丁)に設けら れるものであって、ィージンダロール l la、 l ibを経てへルド 6に導入されるたて糸 5c を押さえ、該たて糸 5cの開口が、押さえバー 8a、 8bがない場合の本来の糸道 9a、 9 bで形成される開口よりも小さくなるように抑制する役割を果たすものを指す。すなわ ち、該たて糸による開口をより小さく抑制するものをいう。ヘルドに導入されるたて糸 の開口を少なくとも部分的に抑制することで、開口運動による隣り合うたて糸 5c同士 の擦過を更に低減することができる。
[0037] なお、少なくとも部分的に抑制するとは、図 5に示すように、複数本のたて糸 5cの全 部を押さえて全体の開口を抑制してもよいし、図 6に示すように、複数本のたて糸 5c のうちの一部を押さえて一部の開口を抑制してもよいという意味である。
[0038] 押さえバー 8a、 8bとしては、開口を抑制できるものであればよぐ例えば自由回転口 ール (特に表面梨地加工したもの)、固定ロール (特に表面鏡面加工したもの)、パイ プ、ビーム、バーなどの様々な形態が挙げられる。たて糸と押さえバーとの擦過を最 小限に抑制する観点からは、梨地力卩ェした自由回転ロールであるのが好ましい。
[0039] さらに、上記効果を最大限に発現させるためには、間丁の間にたて糸の張力変動
を吸収するィージング機構(図 5、 6では位置が変化できるィージンダロール l la、 11 bに相当)を備えるのが好ましい。力かるィージング機構により、特に、開口運動によ る隣り合うたて糸 5c同士の擦過を低減するために、たて糸が開口をはじめる箇所から ヘルドまでのたて糸長 D4を短くした場合でも、安定かつ均一なたて糸張力を実現で きる。かかる効果は、たて糸が開口をはじめる箇所力もへルドまでのたて糸長 D4が、 ヘルドの開口量の 10倍以下の時に特に顕著に発現する。かかるィージング機構は、 ヘルド枚数と同じ数だけ備えられ、通糸されるへルド毎にィージング機構が使 、分け るのが更に好ましい。また、かかるィージング機構は、ィージンダロール l la、 l ibを パネなどによりたて糸の張力変動により運動させる消極方式であってもよいが、織機 駆動動力や別モータなどにより強制的に運動させる積極方式であるのが好ましい。 積極方式であると、より高 、速度にぉ ヽても毛羽低減に貢献できる。
[0040] 本発明において、エアジェット織機の箴入幅は 100〜350cmが好ましい。さらに好 ましくは 130〜310cm、より好ましくは 150〜260cmの範囲内である。一般的なシャ トル織機やレビア織機などを用いると、よこ糸挿入手段であるシャトルやレビアが直接 よこ糸を挿入する必要があるため、織機幅すなわち織機の箴入幅に制約があった。 一方、エアジェット織機においては、よこ糸はエアで挿入するため、前記サブノズルを 幅方向に追加するだけで容易に箴入幅を広くすることができる。すなわち、エアジェ ット織機を用いる効果を最大限に発現させるためには、上記範囲内のような広幅で製 織するのが好ましい。
[0041] 続いて、図 7に示す、エアジェット織機での織成の一例を示す概略平面図に基づい て、さらに好ましい態様を説明する。
エアジェット織機の箴入幅が上記範囲内のような広幅である場合、箴入幅の両端部 以外の箴入幅内に耳組織 19cを形成して、複数幅の炭素繊維織物 18a、 18b ' · ·を 得るのが好ましい。一般的には箴入幅の両端部のみに耳組織を形成して 1巾の炭素 繊維織物を得るが、両端部以外の箴入幅内にも耳組織 19c…を形成して、 2巾以 上の炭素繊維織物 18a、 18b…を同時に得ると、より一層生産性が向上できる。より 好ましくは、 2〜12巾、更に好ましくは 3〜7巾の範囲内である。 12巾を越えると、箴 入幅内に耳組織を形成するための装置 (例えば、耳組装置、デュープヘルド、 "クロ
ッカー"ヘルドなど)などが多く必要となり、高速ィ匕の妨げになるだけでなぐ装置配置 上の制約を受ける場合もある。
[0042] なお、エアジェット織機を用いる製織において、よこ糸挿入後にヘルドを開閉口して 炭素繊維織物を織成した後、よこ糸の房耳を織物幅内にタックインすることもできる。 タックイン装置で房耳を織物幅内に折り返すことにより、シャトル織機で製織したが如 き房耳がない織物を得ることができる。タックインされた耳組織を有する一方向性炭 素繊維織物は、例えばコンクリート補修'補強に用いられる場合、コンクリートに榭脂 を塗布して一方向性炭素繊維織物を接着する場合に、塗布する榭脂量を最小限〖こ 抑帘 Uすることができる。
[0043] 本発明では、上記 B項(1)の制約に対しては、繊度が 400〜6, OOOtexの炭素繊 維糸条をたて糸とし、補助繊維をよこ糸とした一方向性炭素繊維織物を製織する。本 発明で用いる炭素繊維糸条の繊度が小さすぎると、たて糸の織密度が密になりすぎ 、前記 A項 (3)に記載の通り、炭素繊維糸条の毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品 位を損なう。一方、用いる炭素繊維糸条の繊度が大きすぎると、たて糸の隙間が大き くなりすぎ、エアジェット織機のよこ糸挿入効率が低下する。また別の視点力もは、炭 素繊維糸条の繊度が上記の範囲であると、炭素繊維糸条を安価に入手することがで きる。力かる範囲の炭素繊維糸条を用いてエアジェット織機により製織することは、一 層生産性を向上させることを意味し、本発明の効果が大きく発揮されるのである。
[0044] 本発明で用いる補助繊維は、たて糸である炭素繊維糸条の繊度の 1Z5以下、好 ましくは 1Z20〜: LZ500、より好ましくは、 1Z100〜1Z250の繊度のものを用いる 。力かる繊度が大きすぎると、一方向性織物において炭素繊維糸条を屈曲させること による力学特性の低下を誘発する。一方、カゝかる繊度が小さすぎると、補助繊維の強 度が低くなりすぎることを意味し、製織時によこ糸切れが多く発生する場合がある。
[0045] よこ糸挿入をエアジェット織機で行った場合、よこ糸に炭素繊維糸条を用いると、炭 素繊維糸条が容易に毛羽立つこと、発生した毛羽がノズルなどの織機部品に詰まる 問題が発生する場合がある。力かる補助繊維をよこ糸に用いた一方向性織物である と、よこ糸挿入をエアジェット織機で行っても前記問題が発生せず、炭素繊維織物の 生産性を損なうことがない。
[0046] カゝかる補助繊維としては、例えばガラス繊維、金属繊維などの無機繊維 (炭素繊維 は除く)や、ァラミド繊維、 PBO繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリビニノレア ルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリフエ-レンサルファイド繊 維、綿繊維などの有機繊維を用いることができるが、中でも、特に加熱時収縮率が小 さく炭素繊維織物の幅方向の収縮を最小限にできる、炭素繊維以外の無機繊維が 好ましぐ毛羽発生を最小限に抑えるものとしてとりわけガラス繊維が好ましい。
[0047] また、補助繊維としては、エアの噴射によるよこ糸の飛走性の観点から、紡績糸、撚 糸、交絡加工糸、またはカノ リング加工糸(芯糸に鞘糸を巻き付けた複合糸)が好ま しい。具体例としては、ガラス繊維および Zもしくは有機繊維の紡績糸、または、ガラ ス繊維および Zもしくは有機繊維の交絡力卩ェ糸(好ましくはタスランカ卩ェ糸)であるの が好ましい。力かる補助繊維を用いると、単なるフィラメント糸に比べ格段にエアジェ ットによる飛走性を安定させることができる。また、織成した後の、炭素繊維糸条との 摩擦係数を大きくすることができ、本発明の課題であるよこ糸の蛇行を最小限に抑制 することもできる。別の具体例として、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント 糸をカノくリングしたカノくリング力卩ェ糸も好ましい。カバリングカ卩ェ糸において、ガラス 繊維および有機繊維のいずれもがフィラメント糸であっても、カバリングカ卩ェによって よこ糸の糸割れ'よこ糸毛羽などを抑制できエアジェットによる飛走性を安定性させる ことができる。ここで用いる好ましい有機繊維としては、低融点ポリマー繊維(共重合 ポリアミド、共重合ポリエステル、ポリオレフイン、共重合ポリオレフインなど力 なる繊 維)が挙げられる。かかる低融点ポリマー繊維を用いると、得られた炭素繊維織物を 加熱することにより炭素繊維糸条と補助繊維とを接着して目どめを行うことができ、得 られた炭素繊維織物にぉ 、てよこ糸が蛇行せずに真直に配列して 、る品位に優れ た形態を維持することが容易になる。
[0048] 別の視点から、本発明では、前記 C項(1)の制約に対して、 JIS— R7601 (1986)「 炭素繊維試験方法」に沿って測定された引張強度が 4, OOOMPa以上、好ましくは 5 , OOOMPa以上である炭素繊維糸条を用いるのが良い。かかる範囲の引張強度であ ると、毛羽が発生しにくぐ品位の高い炭素繊維織物が製造できる。なお、引張強度 に上限はなぐ高ければ高い方が好ましいが、現在考えられる技術範囲では 7, 000
MPaが上限と考えられる。
ところで、従来、炭素繊維織物の製造に用いられていたシャトル織機やレビア織機で は、よこ糸を直接引っ張って挿入するためよこ糸自体に張力を付与することができ、 本発明の課題であるよこ糸の蛇行に関する問題は比較的顕在化し難いが、よこ糸の 挿入にお 、てよこ糸に直接張力を付与できな 、エアジェット織機にぉ 、ては、かかる 問題が顕在化しやすい。しかしながら、本発明においては、織成前および/または 織成後によこ糸に張力を付与することにより、力かる課題を解決することが好ましい。 以下に、図 7を参照しながら詳細に説明する。
まず、織成する炭素繊維織物の、少なくとも反よこ糸挿入側 Bの端部に、炭素繊維織 物を構成するよこ糸と同じよこ糸 14にて別組織 19bを同時に織成する。このとき、織 成された炭素繊維織物や別組織 19は、連続的に下流側へと搬送されるが、下流側 では、別組織 19bと炭素繊維織物 18bとの間でよこ糸を切断して、搬送中の別組織と 炭素繊維織物とを部分的に分離し、別組織に撚りを加える。もちろん、反よこ糸挿入 側 Bと同様に、よこ糸挿入側 Aの端部に、炭素繊維織物と同じよこ糸 14にて別組織 1 9aを同時に織成し、さら〖こは、箴入幅の両端部以外の箴入幅内に別組織を織成し、 それら別組織に撚りを加えてもよい。カゝかる別組織 19a、 19b…を加撚することによ り、炭素繊維織物 18a、 18b、 18c ' · ·中に織成されたよこ糸 14に張力を加えることが でき、よこ糸が真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物をさらに容易に得るこ とがでさる。
[0049] 別組織に撚りを加える方法としては、例えば、穴を有したガイドを用い、該穴に別組 織を通してガイドを回転させたり、別組織の上下面をそれぞれエンドレスベルトで挟 み込んでベルトを回転させたりする方法を例示できる。中でも、装置が簡便でェアジ エツト織機上に容易に取り付けられると 、うことからは、前者が好ま 、。
[0050] 更に、よこ糸 14に張力を加えためには、前記別組織を織成しながら、または、織成 した後に、前記別組織 19a、 19bと炭素繊維織物 18a、 18bとの間の距離が広くなる ように、別組織を導くのが好ましい。そのように別組織を導く方法としては、下流側で 与える撚りを大きくしたり、下流側で分離された別組織を把持して炭素繊維織物 18a 、 18bから退避させる方向に導いたりする方法を例示できる。より効率的に効果を発
現させるためには、別組織 19a、 19bと炭素繊維織物 18a、 18bとの間でよこ糸が切 断される前に別組織と炭素繊維織物との距離が広がるように、下流側で与える撚りを 大きくする方法が好ましい。
[0051] また、かかる態様では、一方向性炭素繊維織物 18a、 18b、 18c…が平織、綾織ま たは糯子織の組織であり、別組織 19a、 19b ' · ·が平織、力もみ織またはそれらの組 み合わせの組織であるのが好ましい。特に上述の様によこ糸に張力付与させるため には、別組織のたて糸 17とよこ糸 14との交錯が多いまたは強い方が好ましい。した がって、別組織はからみ織組織であるのが特に好ましい。なお、一方向性炭素繊維 織物 18a、 18b、 18cのたて糸 5は、繊度が 400〜6, OOOtexの炭素繊維糸条である 力 別組織 19a、 19b ' · ·のたて糸 17は高価な炭素繊維糸条である必要はなぐ上 述のよこ糸に用いる補助繊維と同じものを用いるのが好ましい。なお、炭素繊維糸条 ではなぐ補助繊維として説明した上記繊維を、別組織のたて糸 17として用いる場合 、加熱時収縮率力 、さく炭素繊維織物の収縮を最小限に抑制できるという点から、よ こ糸と同様のガラス繊維をたて糸 17として用いるのが好ましいが、糸切れを最小限に 抑制すると 、う観点からは有機繊維であるァラミド繊維を力かるたて糸 17として用い るのが好ましい。
[0052] そして、織成前および Zまたは織成後によこ糸に張力を付与するためには、図 1、 図 2に示して前述したように、織成する炭素繊維織物の反よこ糸挿入側に、両端が開 口している管状体 15a、 bを配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸 14を該管状体 15a、 bの一方の開口(入口)から他方の開口(出口)へと通すことも好 ましい。
[0053] 具体的に、図 1に示す態様においては、屈曲している管状体 15aが箴 7の裏側(よ こ糸が挿入されない側)に配置されており、箴入幅の端部にまで飛走してきたよこ糸 1 4に、ストレッチノズル 16などを用いて箴の表側力も裏側に向力 エアを吹き付けるこ とで、該よこ糸 14が管状体 15aの中を通過する。また、図 2においては、直線状の管 状体 15bが、よこ糸の飛走方向と交差するように(すなわち、飛走方向に平行になら ないように)、かつ、箴の表側 (よこ糸が挿入される側)に配置されており、箴入幅の端 部にまで飛走してきたよこ糸 14に、ストレッチノズル(図示せず)などを用いて管状体
の出口に向力 エアを吹き付けることで、よこ糸 14が管状体 15bの中を通過する。力 かる管状体へは、ストレッチノズルなどによるエアの吹きつけだけでなぐ管状体内を 減圧することにより、更に効率的かつ確実によこ糸を管状体の中を通過させることが できる。
[0054] 織成前および Zまたは織成後によこ糸に張力を付与するためには、挿入したよこ糸 を反よこ糸挿入側 Bに配置されたクランプ手段(図示せず)で直接的に把持してもよ い。力かるクランプ手段は、よこ糸が挿入されたことを検出する検出器力 の信号と同 期して運動するものが好ましい。また、ヘルドの閉口運動の直前に挿入したよこ糸に 、よこ糸挿入側 Aに引き戻す方向の力を付与してもよい。力かる態様によっても、織 成前および Zまたは織成後によこ糸に張力を付与することもできる。よこ糸に引き戻 す方向の力を付与する方法としては、よこ糸挿入側に配置されている、よこ糸を通過 させるガイド位置を、箴打ごとによこ糸が引き戻される方向に移動させるという方法や 、よこ糸を貯留するプーリング装置(引き込み装置)を設置して、よこ糸が飛走してい る時以外は、よこ糸が引き戻される方向に常に張力を付与しておく方法などが挙げら れる。装置が簡易になるという点からは、前者が好ましい。
[0055] また、本発明では、製造する炭素繊維織物に線状または点状の形態で榭脂を接着 するのが好ましい。榭脂が織物に接着していると、炭素繊維織物の形態を安定させる ことができ、炭素繊維織物の取扱性を向上させることができる。
[0056] 榭脂は、繊維形態、粒子形態、水に溶解または分散させたェマルジヨン形態やディ スパージヨン形態など、任意の形態にて炭素繊維織物に付与して接着させることがで きる。中でも、簡易に接着できること、および、上記の機能発現の面から、固形の繊維 形態、固形の粒子形態の榭脂を用い、それを織物に接着させるのが好ましい。かか る繊維形態の場合、炭素繊維糸条ゃ補助繊維と引き揃えて共に製織し、接着しても よいし、炭素繊維糸条ゃ補助繊維と、カバリング加工、合撚加工、混紡などにより複 合糸を形成したものを用いて共に製織し、接着してもよい。特に、織物の取り扱いを 向上させる場合は、繊維形態の榭脂をよこ糸として引き揃えて挿入したり、炭素繊維 または補助繊維とカノリング加工ゃ合撚加工して複合糸にしたものをよこ糸として挿 入して接着すると効果的である。また、粒子形態の榭脂を用いる場合、製織した炭素
繊維織物の表面に、固形の粒子状榭脂を塗布して接着してもよいし、水などの液体 に分散させた状態で、その分散体を塗布して接着してもよ!ヽ。
[0057] 炭素繊維織物に接着する榭脂としては、炭素繊維織物の取扱性を向上させる、お よび Zまたは、炭素繊維織物を用いた複合材料の力学特性を向上させるものであれ ば特に限定されず、熱硬化性榭脂および,または熱可塑性榭脂を適宜選択して使 用することができる。織物の取り扱いを向上させるというだけの観点からは、エポキシ 、不飽和ポリエステル、ビュルエステル、フエノキシ、ポリアミド、ポリエステル、ポリビ- ルフォルマールおよびポリオレフインカ 選ばれる少なくとも 1種であるのが好ましぐ その中でもとりわけエポキシ、ポリアミドがとりわけ好ましい。かかる榭脂は、 DSC (示 差走査熱量計)にて絶乾状態から 20°CZ分の昇温速度で測定される融点 Tm (融点 を有さないものはガラス転移点 + 50°C)が 150°C以下であるのが好ましい。一方、融 点 Tmは炭素繊維織物を通常環境下で扱う場合の取扱性の面から、 50°C以上であ るのが好ましい。
[0058] 力かる榭脂を接着させる方法としては、炭素繊維織物と熱源とを接触させて加熱し てもよいし、炭素繊維織物と熱源とを接触させずに加熱することにより、付着した榭脂 を織物に接着させてもよい。例えば lmZ分以上の高速で炭素繊維織物を製造する 場合、炭素繊維織物と熱源とを接触させて加熱するのが好ましい。より好ましくは、熱 源と接触させて加熱する方法と、接触させずに加熱する方法とを、併用して加熱する のがよい。本発明では、熱伝導性に優れる炭素繊維を用いるので、前記熱源を複数 個で連続して炭素繊維織物の製造工程に配置することにより、例えば lmZ分以上 の高速でも榭脂を効率的に接着させることができる。カゝかる熱源としては、接触させる 場合は加熱ロールや熱板が挙げられる。また、接触させない場合は、遠赤外線や近 赤外線などの放射熱ヒーターなどが挙げられる。
[0059] 更に、より一層生産性を高くするため、製織した炭素繊維織物を所定長 L1で一旦 巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長 L1の半分以下である製品長 L2に分割 して再度巻き取ることが好ましい。本発明で得られる炭素繊維織物は、主に CFRPの 強化材として用いられるため、巻き取らずに箱詰めされると、皺や屈曲が発生して炭 素繊維糸条を損傷したり、炭素繊維糸条の配列 (真直性)を乱す場合がある。そのた
め、巻き取られた態様を製品形態とするのが好ましい。
[0060] 一方、巻き取ることを前提とすると、本発明により高い生産速度を達成しても卷取長 が短いと、織機を頻繁に停機させる必要があり、本発明の効果が効率よく発現され難 い。したがって、上述の通り、製品長 L2の 2倍以上の長さの所定長 L1を連続して製 織し、製品コアとは異なる中間コア (例えば、紙管、鉄管等)に一且卷き取ることが好 ましい。こうすることにより、織機の停機頻度を最小限に抑え、一層高い生産速度 (織 機の回転数)を達成することができる。一且卷き取った所定長 L1の炭素繊維織物は 、別工程で所定長 L1の半分以下である製品長 L2に分割して再度巻き取るのが好ま しい。
[0061] 所定長 L1は、製品長 L2の 3倍以上がより好ましぐ更には 5倍以上が好ましい。ま た、別の視点からは、所定長 L1は 300m以上が好ましぐ 500m以上がさらに好まし く、 700m以上がより好ましくはである。
[0062] 本発明においては、たて糸である炭素繊維糸条を各ボビン力も解舒して引き揃え て、直接織機に導いて製織することが好ましい。一旦、各ボビンを整経または部分整 経してから (ビーミングしてから)シート状のたて糸群を引き揃えて織機に導くと、特に 、繊度が 400〜6, OOOtexである太繊度の炭素繊維糸条を用いる場合、各炭素繊 維糸条での厚みムラが発生し易ぐ糸条間に糸長の差が生じる場合が多い。このこと に起因して、緩んだ炭素繊維糸条が製織中にバタつ 、てその配列 (真直性)を乱す 場合がある。更に、得られた織物自体にも凹凸が発生して、織物品位に劣る場合が ある。上記問題は、整経または部分整経を行わずに、各ボビン力 炭素繊維糸条を それぞれ引き揃えて直接織機に導き製織することによって解消される。
実施例
[0063] 以下に、本発明の実施例、比較例について説明する。なお、各特性については下 記のように評価した。
[0064] (製織性)
少なくとも 300mの連続運転が可能力否かで判断した。
A: 300m以上の連続運転が可能
B: 300m以上の連続運転が不可能
(発生毛羽)
製織時のへルド、箴に引つ力かったたて糸の毛羽発生の量を、比較例 1のときの量 を基準に目視で判断した。
A:比較例 1のときの量よりも極めて少ない
B:比較例 1のときの量よりも少な!/ヽ
C :比較例 1のときの量
(よこ糸飛走性)
製織時のよこ糸の毛羽発生の量を、比較例 1のときの量を基準に目視で判断した。 A:比較例 1のときの量よりも極めて少ない
B:比較例 1のときの量よりも少な!/ヽ
C :比較例 1のときの量
(織物取扱性)
織物を 15cmの正方形にハサミで切り出した際の、目ズレと解れ性を目視確認した
A:製品として無視できるほどの目ズレ、解れ
(織物におけるたて糸長さ差およびたて糸長さ変動係数)
次の手順で測定した。
(a)炭素繊維織物が弛まな 、ように 5500mmを延反して無張力下で静置する。
(b)測定基準として、延反した織物の長手方向と垂直に 1箇所切断する。
(c)測定基準から、織物幅方向の両端部のたて糸それぞれに関して 5000mmを測 長し、その箇所を結んだ線で切断する。測長にあたっては、織物が弛まないように延 反して無張力下で静置して 5000mmを長尺メジャーで測長する。
(d)織物を分解しながら、織物全幅に渡りたて糸を 5本おきに順に抜き取る。
(e)抜き取つたたて糸長さを 0. 1mmの桁までそれぞれ測長する。測長にあたっては 、たて糸が蛇行しな 、ように手で引つ張る程度の張力をかけながら長尺メジャーで測 長する。
(f)測長したたて糸長さの最大値と最小値との差を算出する。算出した差を 5000m mで除して 100を乗じた値をたて糸の長さの差とする(単位は0/ 0)。
(g)測長したたて糸長さの全ての値の標準偏差および平均値を算出する。算出した 標準偏差を平均値で除して 100を乗じた値を変動係数とする(単位は%)。
[0065] (織物におけるたて糸隙間)
次の手順で測定した。
(h)炭素繊維織物から 15cm長を切り出す。
(i)切り出した織物を光学顕微鏡で観察して、織物全幅にわたって、たて糸同士の隙 間の距離を順に 0. Olmmの桁まで測定し、それらの値の平均値を算出する。
[0066] (織物における榭脂含浸性)
2枚重ねた一方向性織物の上面に常温硬化型エポキシ榭脂 (東レ (株)製 TSレジ ン (S) )を垂らして、ハンドレイアップ法で含浸させた際の裏面への含浸性を目視で 確認した。
A:樹脂が速やかに含浸
B :Aより遅いが、製品として用いることができる程度の時間で榭脂が含浸
(織物の凹凸)
床上に一方向織物を 5m延反して目視確認した。製品として無視できないほどの凹 凸(高低差が 3mm程度以上の凹凸)の有無で判断した。
A:製品として無視できな 、ほどの凹凸なし
B :製品として無視できないほどの凹凸(高低差が 3mm程度以上の凹凸)あり
(織物におけるよこ糸の蛇行)
A:比較例 2、もしくは、比較例 2と同等の真直性
B:比較例 2のときの真直性よりも若干劣るが、製品として無視できるほどの蛇行
(実施例 1)
以下のたて糸、よこ糸を用いて、たて糸密度が 2. 5本 Zcm、よこ糸密度が 3本 Zc mである一方向性織物(平織組織、炭素繊維目付 200gZm2)を、エアジェット織機 ( 津田駒工業 (株)製 ZA100)にて 1. lmZ分の速度で製織した。
[0067] たて糸:繊度が 800texの炭素繊維糸条 (JIS— R7601 (1986)に沿って測定され た引張強度 4, 900MPa、撚数 0ターン Zm)
よこ糸:ガラスヤーン(ECE225 1/0 1. 0Z)に、共重合ナイロン糸(5. 5tex、融
点 110°C)を 250ターン Zmにてカバリングしたもの(繊度 28tex)
炭素繊維糸条 (たて糸)は、各ボビン力も解舒して引き揃えて、整経せずに直接箴 入幅 127cmにて織機に導いた。たて糸が開口をはじめる箇所力もへルドまでのたて 糸長は、ヘルド開口量の 12倍とした。また、図 5に示すように、押さえバー 8aとして自 由回転ロール (表面梨地加工)を用い、ヘルドに導入されるたて糸の開口を部分的 に抑制するようにした。(本来押さえバー 8aがない場合の糸道 9aよりも、該押さえバ 一 8aを配置することにより抑制されたたて糸 5cの開口量 (鉛直方向の長さ)が、該押 さえバー 8aの位置において 5cm小さくした)。
[0068] よこ糸挿入は、メインノズル 1個(0. 25MPa)、サブノズル 16個(0. 4MPa)により、 打込回数が 340回 Z分となるように行った。ここで、サブノズルの配置間隔は、よこ糸 挿入側から順に 70mm間隔で 2つ、 55mm間隔で 6つ、 50mm間隔で 4つ、 45mm 間隔で 4つ、となるようにして、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルと隣り合うサ ブノズルとの間の距離よりも、反よこ糸挿入側における距離を短くした。
[0069] また、ヘルドの開口量は 60mm、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度は 0° 、 箴打ストロークは 85mm、箴羽厚は 0. 5mmであった。サブノズルと箴羽とは、それら の中心が、織物の長手方向に平行な同一直線上に存在するように配置した。また、 モーター駆動の積極方式のィージング機構を用い、たて糸の張力変動を吸収した。
[0070] 織成後は、熱源である 4つの加熱ローラーと織物とを直接接触させながら加熱する ことにより、よこ糸に用いた共重合ナイロン糸を炭素繊維糸条に接着した。
[0071] 力かる製織において、ヘルド、箴での毛羽発生は抑制されており、少なくとも 300m の連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは僅 かにバラツキがあった力 飛走性としては製織に問題ないレベルであった。
[0072] 製織した炭素繊維織物を所定長 300mで一且卷き取り、巻き取った炭素繊維織物 を製品長である 50mに分割して再度巻き取った。このことにより、連続して 300m長を 製織でき、 50m毎に織機を停機させる必要はなぐ高速での製織を継続することがで きた。すなわち生産性に優れていた。
[0073] 得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、 取扱性に優れていた。また、たて糸同士の隙間が 0. 15mmであり、十分に隙間が開
いているので、榭脂を含浸させた際の含浸性にも優れていた。また、一方向性織物 におけるたて糸の長さの差は 0. 06%、その変動係数は 4%であり、床上に一方向織 物を 5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られな力つた。よ こ糸は、僅かに蛇行して配向し、レビア織機を用いた比較例 2よりは若干劣るものの、 製品として問題になる程ではなかった。
[0074] (実施例 2)
下記の点を変更した以外は、実施例 1と同様にして炭素繊維織物を製織した。 'エアジェット織機として広幅機 (箴入幅 152cm)を用いた点
•サブノズルを 24個とし、それらサブノズルの配置間隔を、よこ糸挿入側力も順に 70 mm間隔で 2つ、 55mm間隔で 10つ、 50mm間隔で 10つ、 45mm間隔で 4つ、とな るようにして、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルと隣り合うサブノズルとの間 の距離よりも、反よこ糸挿入側における距離を短くした点
'よこ糸のガラスヤーンとしてガラスバルキーヤーン(ECE225 1/0 1. 0Zのタズラ ン加工糸)を用い、それを実施例 1と同じ共重合ナイロン糸でカノリングした点
•図 6に示すように、押さえバー 8bとして自由回転ロール (表面梨地力卩ェ)を用い、へ ルドに導入されるたて糸 5cを部分的に開口しないように (押さえバー 8bの位置までた て糸 5cの糸道が揃うように、たて糸が開口をはじめる箇所 (押さえバー 8b)からへルド までのたて糸長 D4がへルド開口量の 5倍となるように)抑制し織機に導 ヽた点
•パネによる消極方式のィージング機構を用 、た点
•加熱ローラーに加えて遠赤外線ヒーター 2つと織物とを接触させずに織成後に加熱 した点
カゝかる製織においても、たて糸へルド、箴での毛羽発生は実施例 1よりも抑制され ており、少なくとも 300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側 への到着タイミングが実施例 1よりも安定しており、飛走性が安定していた。
[0075] 製織した炭素繊維織物を所定長 300mで一且卷き取り、巻き取った炭素繊維織物 を製品長である 50mに分割して再度巻き取った。
[0076] 得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、 取扱性に優れていた。また、たて糸同士の隙間が 0. 21mmであり、十分に隙間が開
いているので、榭脂を含浸させた際の含浸性にも優れた。また、一方向性織物にお けるたて糸の長さの差は 0. 07%、その変動係数は 5%であり、床上に一方向織物を 5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られな力つた。よこ糸 は実施例 1と同様に、僅かながら蛇行して配向していたものの製品として問題になる 程ではなかった。
[0077] (実施例 3)
下記の点を変更した以外は、実施例 1と同様にして炭素繊維織物を製織した。 •炭素繊維織物のたて糸密度を 3. 9本 Zcm、よこ糸密度を 5本 Zcm、炭素繊維目 付を 315gZm2にした点
•織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側および反よこ糸挿入側の端部に、炭素繊維 織物(平織組織)と同じよこ糸にて別組織 (絡織組織)を同時に織成するとともに、下 流側で、よこ糸を別組織と炭素繊維織物との間で切断して別組織と炭素繊維織物と を分離し、分離された別組織の一部を、穴を有したガイドに通して、該ガイドを回転さ せ別組織に撚りを加えた点 (すなわち、前記別組織を織成しながら前記別組織と炭 素繊維織物との距離が広くなるように別組織を導くようにした点)
•織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に軸が屈曲している管状体を配 置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を、箴の表側から裏側に向か つて吹き付けたエアによって該管状体の一方の開口力も他方の開口へと通した点 'メインノズルを複数個設けた点(すなわちメインノズル 12の上流側に補助メインノズ ルを配置した点)
力かる製織においては、実施例 1と同様にたて糸へルド、箴での毛羽発生は抑制さ れており、少なくとも 300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入 側への到着タイミングは、実施例 2と同様に安定しており、飛走性が安定していた。
[0078] 製織した炭素繊維織物を所定長 300mで一且卷き取り、巻き取った炭素繊維織物 を製品長である 50mに分割して再度巻き取った。
[0079] 得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、 取扱性に優れた。たて糸同士の隙間は 0. 1mmであり、実施例 1、 2ほどではないが 、隙間が開いているので榭脂を含浸させた際の含浸性は良好であった。また、一方
向性織物におけるたて糸の長さの差は 0. 05%、その変動係数は 4%であり、床上に 一方向織物を 5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られな かった。よこ糸、実施例 2よりも蛇行が抑制されており、レビア織機を用いた比較例 2と同レベル〖こ、非常に真直に配向されていた。
[0080] (実施例 4)
下記の点を変更した以外は、実施例 3と同様にして炭素繊維織物を製織した。 '炭素繊維織物の織組織を平織に替えて 2,2綾織組織とし、別組織を絡織に替え て平織組織とした点、
•前記別組織を織成した後に前記別組織と炭素繊維織物との距離が広くなるよう〖こ 別組織を導いた点
•屈曲した管状体に替えて直線上の管状体を、軸がよこ糸の飛走方向と交差するよう に箴の表側に配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸に、管状体の 出口に向力うエアを吹き付けて、該よこ糸を管状体の中へ通した点
•よこ糸挿入側によこ糸を通過させるガイドを配置し、そのガイド位置を箴打ごとによこ 糸が引き戻される方向に移動させ、挿入したよこ糸によこ糸挿入側に引き戻す方向 の力を付与した点
•よこ糸として、カノリングカ卩ェ糸に替えてガラス繊維と共重合ナイロン糸(5. 5tex、 融点 110°C)との紡績糸を用 ヽた点
カゝかる製織においても、実施例 3と同様にへルド、箴での毛羽発生は抑制されてお り、少なくとも 300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への 到着タイミングが実施例 2、 3と同様に安定しており、飛走性が安定していた。
[0081] 製織した炭素繊維織物を所定長 300mで一且卷き取り、巻き取った炭素繊維織物 を製品長である 50mに分割して再度巻き取った。
[0082] 得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、 取扱性に優れた。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は 0. 07%、その 変動係数は 5%であり、床上に一方向織物を 5m延反したところ、製品として問題にな る程度の凹凸は全く見られな力つた。よこ糸の蛇行は実施例 3と同様に抑制されてお り、よこ糸が非常に真直に配向されていた。
[0083] (実施例 5)
下記の点を変更した以外は、実施例 1と同様にして炭素繊維織物を製織した。 •管状体に替えて、よこ糸が挿入されたことを検出する検出器力 の信号と同期して 運動するクランプ手段を設け、該クランプ手段で挿入したよこ糸を把持し、よこ糸に張 力を付与した点
カゝかる製織においても、実施例 1と同様にへルド、箴での毛羽発生は抑制されてお り、少なくとも 300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への 到着タイミングは実施例 1と同様であり、飛走性として製織には問題な ヽレベルであ つた o
[0084] 製織した炭素繊維織物を所定長 300mで一且卷き取り、巻き取った炭素繊維織物 を製品長である 50mに分割して再度巻き取った。
[0085] 得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、 取扱性に優れていた。たて糸同士の隙間が 0. 1mmであり、実施例 1、 2ほどではな いが、隙間が開いているので榭脂を含浸させた際の含浸性は良好であった。また、 一方向性織物におけるたて糸の長さの差は 0. 07%、その変動係数は 5%であり、床 上に一方向織物を 5m延反したしたところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く 見られな力つた。よこ糸の蛇行は、実施例 3、 4と同レベルに抑制されており、よこ糸が 非常に真直に配向されていた。
[0086] (実施例 6)
下記の点を変更した以外は、実施例 1と同様にして炭素繊維織物を製織した。 •押さえバー 8aを用いず、ヘルドに導入されるたて糸の開口を部分的に抑制しないよ うにした点
力かる製織においても、ヘルド、箴での毛羽発生は実施例 1に比べて若干多いもの の製品として問題になる程度ではなぐ少なくとも 300mは連続運転が可能であった 。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは実施例 1と同様であり、飛走性 として製織には問題な ヽレべノレであった。
[0087] 製織した炭素繊維織物を所定長 300mで巻き取った。
[0088] 得られた一方向性織物は、実施例 1とほぼ同等のものであった。具体的には、線状
に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れた。また、たて糸同 士の隙間が 0. 17mmであり、十分に隙間が開いているので、榭脂を含浸させた際の 含浸性にも優れていた。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は 0. 08%、 その変動係数は 4%であり、床上に一方向織物を 5m延反したところ、製品として問題 になる程度の凹凸は全く見られな力つた。よこ糸は、僅かに蛇行して配向し、レビア 織機を用いた比較例 2よりは若干劣るものの、製品として問題になる程ではな力 た
[0089] (比較例 1)
たて糸およびよこ糸に、繊度が 200texの炭素繊維糸条 (東レ製"トレ力(登録商標) "T300B— 3K、JIS— R7601 (1986)に準拠して測定された引張強度 3, 540MPa 、撚数 0ターン Zm)を用いて、たて糸密度およびよこ糸密度が 5本 Zcmである二方 向性織物 (炭素繊維目付 200gZm2)を、ウォータージェット織機にて製織した。製織 は、 0. 8mZ分(よこ糸打込 400回 Z分)の速度で、ヘルドの開口量力 ¾0mmの条件 で、消極方式のィージング機構を用い、押さえバーを用いずに、たて糸が開口をはじ める箇所力もへルドまでのたて糸長がヘルド開口量 (80mm)の 12倍で製織した。炭 素繊維糸条は、各ボビン力 解舒して引き揃えて、一旦整経してたて糸ビームを得、 これを用いて製織を行った。
[0090] なお、織成後に引き続いて、熱源である 4つのローラーと織物とを直接接触させるこ とにより、炭素繊維糸条に付着した水分を乾燥させた。なお、この乾燥工程は、エア ジェット織機では必要なぐウォータージェット織機でのみ必須となる工程であった。
[0091] 力かる製織において、よこ糸打込部、ヘルド、箴で毛羽が非常に多く発生し、停機 しての毛羽除去なしに 200m以上の連続運転は困難であった。また、たて糸に糸長 差が生じ、得られた織物自体にも製品として問題になる程度の凹凸が発生していた。 また、二方向性織物におけるたて糸の長さの差は 0. 3%、その変動係数は 17%であ つた o
[0092] (比較例 2)
実施例 1と同じたて糸およびよこ糸を用い、同じたて糸密度およびよこ糸密度の一 方向性織物を、レビア織機にて製織した。炭素繊維糸条は、各ボビン力も解舒して引
き揃えて、整経せずに箴入幅 100cmにて織機に導いた。製織は、ヘルドの開口量 8 5mm、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度 150° 、箴打ストローク 100mm、箴 羽厚 0. 2mmでの条件で、ィージング機構および押さえバーを用いずに、たて糸が 開口をはじめる箇所力もへルドまでのたて糸長がヘルド開口量(80mm)の 12倍とな るようにして製織した。
[0093] その結果、 0. 6mZ分 (よこ糸打込 180回 Z分)の速度でしか実施例 1と同レベル の毛羽を抑制した製織ができな力 た。また得られた一方向性織物は、線状に共重 合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。たて糸同士の隙間 が 0. 15mmであり、十分に隙間が開いていたが、一方向'性織物におけるたて糸の 長さの差が 0. 21%、その変動係数が 11%であった。また、床上に一方向織物を 5m 延反すると、高低差が 5mm以上はある凹凸散在していた。なお、よこ糸の蛇行は抑 制されており、非常によこ糸が真直に配向されていた。
[0094] 以上の結果を表 1にまとめる。
[0095] [表 1]
産業上の利用可能性
[0096] 以上説明したように、本発明の炭素繊維織物の製造方法では、織物の生産性 (生 産速度)を、エアジェット織機を用いることにより格段に高めることが可能となる。
[0097] 得られた炭素繊維織物は、よこ糸が蛇行せずに真直に配列して、かつ、たて糸の 長さの差およびたて糸の長さの変動係数が特定範囲の、品位の優れた織物となる。 力かる炭素繊維織物は、一般産業分野、特に土木 ·建築分野に用いられる補修 '補 強用途の織物や、真空成形方法などで CFRPへ成形するための織物や、ホットメルト 法などでプリプレダに後加工するための織物として好適である。