JP2000204902A - タ―ビン、タ―ビンロ―タ、及びタ―ビン動翼 - Google Patents

タ―ビン、タ―ビンロ―タ、及びタ―ビン動翼

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JP2000204902A
JP2000204902A JP11002669A JP266999A JP2000204902A JP 2000204902 A JP2000204902 A JP 2000204902A JP 11002669 A JP11002669 A JP 11002669A JP 266999 A JP266999 A JP 266999A JP 2000204902 A JP2000204902 A JP 2000204902A
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turbine
rotor
disk
metal
sacrificial anode
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Hiroshi Yamauchi
博史 山内
Toshio Kawakami
寿雄 川上
Mamoru Hirota
広田  守
Takeshi Onoda
武志 小野田
Ryoichi Kaneko
了市 金子
Tatsuo Haigo
達雄 拝郷
Masayuki Misawa
政之 三澤
Yoshiji Tsuji
義嗣 辻
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Kansai Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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Kansai Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タービンロータのディスクや動翼が、SCC
や腐食疲労等で腐食損傷するのを防止する。 【解決手段】 ディスク2の周縁部には嵌合凸部2A
が、動翼3には翼溝3Aがそれぞれ形成され、嵌合凸部
2Aを翼溝3Aに嵌合させることにより、各動翼3がデ
ィスク2に接合されている。ディスク2と動翼3との接
合面には亜鉛4が設けられている。亜鉛4はロータの軸
に対し同心円状に配置されている。このようにすれば、
亜鉛はタービン材を構成するいずれの材料より電位が低
いため、タービン材の応力腐食割れや腐食疲労、孔食と
いった腐食損傷の発生を抑えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタービン、タービン
ロータ、及びタービン動翼に係り、特に、タービンを構
成する金属の腐食防止を図ったタービン、タービンロー
タ、及びタービン動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、蒸気タービンにおいてはケーシ
ング内部にロータが設けられている。そのロータの概略
断面を図5に示す。図5に示すように、円柱状のロータ
1の外周面には複数個のディスク2が形成されている。
従来、ディスク2はロータ1の外周面に嵌合された構造
であったが、最近では、鍛造金属からの削り出しによ
る、ディスク2とロータ1とが一体成形されたものが多
い。ディスク2の周縁部には、図1に示すように嵌合凸
部2Aが形成され、この嵌合凸部2Aを動翼3の翼溝3
Aに嵌合させることにより、動翼3がディスク2に接合
されている。そして、蒸気を動翼3に衝突させることに
より、蒸気の持つ内部エネルギを運動エネルギに変換し
て、ロータ1を回転させる。そのとき、嵌合凸部2Aと
翼溝3Aとの嵌合部には、ディスク2側及び動翼3側に
遠心力による応力が付加される他、起動、停止、負荷変
動等により低サイクルの繰り返し応力が加わる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、ディスク2と動
翼3との結合部(ダブテイル)は0.1mm以下のすき
間が応力緩和等のために付与されいる。蒸気中には極微
量であるが、塩化物イオン等の腐食媒が混入している。
そして、この腐食媒は蒸気とともに、隣り合った動翼3
のすき間やディスク2と動翼3とのすき間をぬって結合
部の奥深くへ進入し、温度や圧力が一定条件に達すると
液滴化する。さらにプラントの起動、停止、負荷変動を繰
り返すうちに腐食媒が濃縮されることがある。このよう
に、ディスク2と動翼3との結合部の腐食性環境が強ま
ると、動翼3やディスク2にき裂が発生するSCC(応
力腐食割れ)や腐食疲労といった腐食損傷が生じ、プラ
ントの停止を余儀なくされることがある。
【0004】なお、タービンの防食をはかるために、従
来、タービン材の材料組成を耐食性を向上させる元素を
添加したり、もしくは添加量を増加させる等の方法が考
案されているが、この方法ではタービン材を作るメーカ
(鉄鋼メーカ)で予め元素を添加しておかなければなら
ず、メーカから一旦納入されてしまったタービン材に対
しては防食対策を行うことができない。
【0005】また、特開平7−54607号公報には、
低圧の蒸気タービンに還元剤である水素を注入し、ター
ビンを構成する金属部材の電位を低下させて防食する方
法が提案されているが、この方法はタービンを使用する
側、すなわちユーザ側で還元剤を注入しなければなら
ず、もし還元剤の注入を怠ると、タービンの腐食損傷が
発生する恐れがある。
【0006】さらに特開平7−77008号公報には、
ディスク及び動翼に対して結合部内面を塗装剤で被覆す
る方法が提案されているが、この方法でも、万一、塗装
剤がはがれたときには金属面が露出してしまい、タービ
ンの腐食損傷が発生する恐れがある。
【0007】本発明の目的は、SCCや腐食疲労等によ
る腐食損傷を確実に防止するとともに、その防止策をタ
ービン製造時に作り込むことが可能なタービン、タービ
ンロータ、及びタービン動翼を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】一般的な蒸気タービンで
は構造材料として鉄鋼が用いられている。腐食とは金属
が酸化して金属イオンあるいは酸化物などの金属化合物
に変化し、同時に電子を放出する反応のことである。こ
のとき、単独で金属は酸化することは決してありえず、
必ず金属が酸化する際に放出した電子を受容する化学種
が必要である。酸素分子はその最たるものである。酸素
自身は電子を受け取り、水が存在すれば水酸化物イオン
へと変化する。この反応を還元反応といい、酸化反応と
還元反応は必ず対をつくり、かつ同じ当量分だけ反応が
進む。
【0009】材料の腐食を考える場合、材料が接してい
る環境を知る必要がある。蒸気タービンが接する環境は
次にようであると考えられる。ロータを回転させるため
の蒸気はボイラで生成される。ボイラへ供給される給水
は構造材が腐食しないように化学薬品を給水に添加して
適当なpHや溶存酸素濃度に調製される。給水処理方法
に関してはボイラのタイプや大きさに応じてJIS等で
定められており、貫流型のボイラではAVT(全揮発性
処理)とCWT(酸素処理)が主である。AVTはアン
モニアでおおよそpHを9.5、また溶存酸素濃度を7
ppb以下にする処理である。CWTはpHを8.5前
後とし、溶存酸素濃度をおおよそ20〜200ppbと
する処理である。CWTはAVTに比較するとボイラ水
壁管でのスケール成長を抑制する等の利点を有する。こ
のため、CWT運用を採用する火力プラントが増加して
いる。
【0010】しかし、タービンのディスクと動翼との嵌
合部での腐食にとって、CWTは金属を腐食させる酸素
を含んでいるため良い方向に働かないと考えられる。C
WTの効果は流水環境下で初めて発現するものであっ
て、上記嵌合部のように酸素を含んだ水が滞留する部位
ではかえって腐食を助長することがあるためである。一
方のAVTは酸素を含んでいないため、ディスクと動翼
との嵌合部での腐食は進行しないと考えられがちである
が、プラントの起動時に酸素を多量に含む補給水が用い
られると、タービンまで酸素が到達することになる。さ
らに環境と材料の組み合わせによっては水自身が酸化剤
となることもあり、酸素を含まない水処理であっても万
全ではない。
【0011】上述したように、タービンのディスクと動
翼との嵌合部に塩化物イオンのような腐食媒が進入する
と、腐食はさらに加速される。ある一定濃度の塩化物イ
オンおよび酸化剤が存在すると、タービン材に孔食が発
生し、そこを起点としたSCCや腐食疲労破壊に発展す
ることがある。
【0012】防食方法の一つとして犠牲陽極法が利用さ
れることがある。犠牲陽極とは腐食から守りたい金属
に、その守りたい金属より腐食しやすい金属(犠牲陽
極)を接触させ、その金属を優先的に腐食させる方法で
ある。この時の守りたい金属と犠牲陽極の電位の関係を
みてみると、守りたい金属の電位は犠牲陽極の電位より
高くなる。
【0013】そこで、請求項1に記載の発明は、ロータ
外周に形成されたディスクに動翼が嵌合により接合さ
れ、高速流体流を前記動翼に衝突させることにより、前
記流体の持つ内部エネルギを運動エネルギに変換して、
前記ロータを回転させるタービンにおいて、タービン本
体を構成する金属の中で最も卑な電位を有する金属より
低い電位を有する犠牲陽極用の金属を、前記タービン本
体のうちで組成の異なる金属が隣り合う部位に設けたこ
とを特徴としている。
【0014】タービン本体に使用されている材料は組成
の異なるいくつかの材料で構成されていることが普通で
あり、その部位に、最も低い腐食電位を有する材料より
低い電位を有する金属を設けることにより、タービンの
腐食を防止することができる。
【0015】請求項2に記載の発明は、上記と同様な構
成のタービンにおいて、タービン本体を構成する金属の
中で最も卑な電位を有する金属より低い電位を有する犠
牲陽極用の金属を、前記ディスクと前記動翼との接合部
又はその近傍のディスク外表面、動翼外表面、またはデ
ィスクと動翼の双方の外表面に設けたことを特徴として
いる。
【0016】タービンにおいては、最も腐食による影響
が大きい場所はディスクと動翼との接合部のすき間であ
る。上記構成によれば、ディスク及び動翼の少なくとも
一方にこれらの材料より低い腐食電位を有する金属が設
けられているので、接合部又はその近傍での腐食損傷を
防止することができる。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項2におい
て、前記犠牲陽極用の金属は、前記ディスク及び動翼の
外表面のうち、前記ロータの軸方向に対して垂直な部位
に設けられていることを特徴としている。この部位は、
タービンを駆動するための流体が激しく衝突するため腐
食が発生しやすいが、犠牲陽極用の金属を設けることに
より、その腐食の発生を効果的に防ぐことができる。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項2又は3
において、前記流体が蒸気である場合、蒸気発生装置へ
の給水の電気伝導度、もしくは主蒸気、タービン抽気蒸
気、ヒータドレンのいずれかの電気伝導度が2μS/c
m未満のときは、前記犠牲陽極用の金属の全部または一
部を、前記ディスクと前記動翼との接合部から10mm
〜30mmの範囲に配置したことを特徴としている。
【0019】また、請求項5に記載の発明は、請求項2
又は3において、前記流体が蒸気である場合、蒸気発生
装置への給水の電気伝導度、もしくは主蒸気、タービン
抽気蒸気、ヒータドレンのいずれかの電気伝導度が2μ
S/cm以上で且つ20μS/cm以下のときは、前記
犠牲陽極用の金属の全部または一部を、前記ディスクと
前記動翼との接合部から30mm〜50mmの範囲に配
置したことを特徴としている。
【0020】犠牲陽極の効果が及ぶ距離は流体の電気伝
導度に依存する。そのため、犠牲陽極から守りたい部位
までの距離を考慮する必要がある。請求項4のように、
蒸気発生装置への給水の電気伝導度が2μS/cm以下
のとき、犠牲陽極に防食の効果を得るためには、ディス
クと動翼との接合部から犠牲陽極までの距離を30mm
以下にする必要がある。一方、犠牲陽極をディスクと動
翼との接合部に近づけすぎると、その部分での水素脆化
が生じる恐れがあるので、10mm以上距離を隔てる必
要がある。また、請求項5のように、蒸気発生装置への
給水の電気伝導度が2μS/cm以上で且つ20μS/
cm以下のとき、ディスクと動翼との結合部から30m
m〜50mm離れた位置に犠牲陽極を設けることによ
り、結合部での水素脆化を抑えた防食が可能となる。
【0021】請求項6に記載の発明は、上記と同様な構
成のタービンにおいて、タービン本体を構成する金属の
中で最も卑な電位を有する金属より低い電位を有する犠
牲陽極用の金属を、前記ディスクと前記動翼との接合部
の外表面側に形成するとともに、その形成された部分
は、前記ロータの中心軸を含む面内で前記接合部を見た
とき、接合部全長の20%以下であることを特徴として
いる。
【0022】上記請求項1〜5に記載の発明では流体が
液体状態にある必要があり、ディスクと動翼との結合部
の腐食を防ぐためには、犠牲陽極と結合部との間にイオ
ン伝導性を持たせる必要がある。タービンの運転状況に
よっては結合部に液体が存在するが、結合部近傍の外表
面における流体が気体状態であることがある。この場合
は、犠牲陽極として作用しなくなるため、結合部内面の
うち応力が低い部位に犠牲陽極を接触させることによっ
て、外表面が気体状態であっても結合部の防食を図るこ
とが可能となる。
【0023】請求項6の構成によれば、犠牲陽極用の金
属が形成された部分は応力が比較的小さいので、犠牲陽
極周辺での水素脆化の影響を最小限に抑えながら、結合
部内面の防食を図ることができる。
【0024】請求項7に記載の発明は、上記と同様な構
成のタービンにおいて、タービン本体を構成する金属の
中で最も卑な電位を有する金属より低い電位を有する犠
牲陽極用の金属を、前記動翼の隣り合うダブティル面の
少なくとも一方の面に設けたことを特徴としている。
【0025】上記構成によれば、隣り合うダブティル面
に犠牲陽極が設けられているので、防食を図ることがで
きる。この場合も、ディスクと動翼との結合部内面に犠
牲陽極が設けられてないので、請求項6の場合と同様
に、水素脆化の影響を最小限に抑えることができる。
【0026】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれかにおいて、前記犠牲陽極用の金属が亜鉛または
アルミニウムであることを特徴としている。これらの金
属の電位は一般的なタービンに使用されている材料の腐
食電位より低いため、タービン本体の腐食を効果的に防
止できる。
【0027】請求項9に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれかにおいて、前記犠牲陽極用の金属が粉体状で、
有機塗料もしくは無機塗料で担持されていることを特徴
としている。上記構成によれば、犠牲陽極用の金属を薄
く広くタービン材に接触させることができる。これによ
って、タービンのホイールバランスの変化を最小限に抑
えてタービン材を防食させることができる。
【0028】次に、請求項10及び11はタービンロー
タの発明であり、請求項12〜14はタービン動翼の発
明である。
【0029】すなわち、請求項10に記載の発明は、デ
ィスクと、該ディスクに嵌合により接合された動翼とを
備えたタービンロータにおいて、ロータ本体を構成する
金属より低い電位を有する犠牲陽極用の金属が、前記デ
ィスクの前記動翼との接合部又はその近傍に設けられて
いることを特徴としている。
【0030】請求項11に記載の発明は、請求項10に
おいて、前記犠牲陽極用の金属は、前記ディスクのう
ち、前記ロータ本体の軸方向に対して垂直な部位に設け
られていることを特徴としている。
【0031】さらに、請求項12に記載の発明は、翼部
と、該翼部を支えるダブティルとを備え、該ダブティル
をディスクに嵌合させるタービン動翼において、動翼本
体を構成する金属より低い電位を有する犠牲陽極用の金
属が、前記ダブティルの前記ディスクとの接合部に設け
られていることを特徴としている。
【0032】請求項13に記載の発明は、請求項12に
おいて、前記犠牲陽極用の金属は、前記動翼本体のう
ち、前記ロータの軸方向に対して垂直な部位に設けられ
ていることを特徴としている。
【0033】請求項14に記載の発明は、上記と同様な
構成のタービン動翼において、動翼本体を構成する金属
より低い電位を有する犠牲陽極用の金属が、前記ダブテ
ィルの隣り合う面の少なくとも一方の面に設けられてい
ることを特徴としている。
【0034】本発明における犠牲陽極を設ける部位は、
低圧蒸気タービンの最終段動翼とディスクとが接触する
部位又はその近傍であり、好ましくはその1つ手前の動
翼とディスクとの接触部分とその近傍である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様を図面
に従って説明する。 (実施の形態1)図1はディスク2と動翼3との接合部
を拡大して示した斜視図、図2はその断面図である。図
に示すように、ディスク2の周縁部には嵌合凸部2A
が、動翼3には翼溝3Aがそれぞれ形成され、嵌合凸部
2Aを翼溝3Aに嵌合させることにより、各動翼3がデ
ィスク2に接合されている。そして、高速流体流である
蒸気が動翼3に衝突することにより、ディスク2を介し
て低圧蒸気タービンのロータ1(図5参照)を回転させ
ることができる。
【0036】低圧蒸気タービンで最も腐食が懸念される
場所は異材が接触している最終段動翼3とディスク2の
接合部である。材料組成が異なれば、腐食電位にも差違
が生じ、腐食電位の低い材料側の腐食がより促進され
る。
【0037】本実施の形態では、動翼3の翼溝3A内面
に犠牲陽極としての亜鉛4(図では太線で示してある)
がロータ1の軸に対し同心円状に設けられている。な
お、亜鉛4はディスク2の嵌合凸部2Aの表面に設けて
もよい。亜鉛はタービン材を構成するいずれの材料より
電位が低い。例えば、30℃、pH8.5、溶存酸素濃
度150ppbのいわゆるCWT(複合水処理)環境下
における亜鉛の電位は、−1.0Vvs.SSSC(飽和
KCl 銀/塩化銀参照電極)である。通常、動翼材と
して使用されている12クロム鋼の腐食電位は同環境中
で−0.2Vvs.SSSC程度であり、また、ロータ材
(ディスク部分を含めて)の3.5NiCrMoV鋼で
は動翼材と同じで−0.2Vvs.SSSC程度か、ある
いはそれより若干低い。
【0038】本実施の形態によれば、薄板の挿入、溶融
めっき、電気めっき、Zn粉末を接着剤のペーストに混
入して塗布等によって、亜鉛4を動翼3またはディスク
2に設けることにより、動翼3やディスク2の腐食電位
は−0.2Vvs.SSSCより低くなる。腐食電位が低
くなればなるほどタービン材の応力腐食割れや腐食疲
労、孔食といった腐食損傷の発生が抑制されるので、タ
ービンの腐食損傷を予防することができる。
【0039】(実施の形態2)本実施の形態では、図3
〜図5に示すように、ディスク2と最終段動翼3との接
合部近傍のディスク2側の外表面に、実施の形態1と同
様に、犠牲陽極としての亜鉛5が設けられている。この
亜鉛5はディスク2のうちロータ1の軸方向に対して垂
直な部位(ディスク2の端面)に設けられている。亜鉛
5はディスク2の端面に円形状に設けられている。な
お、亜鉛5は上記接合面近傍の動翼3側の外表面に設け
ても良く、また、接合面近傍のディスク2側と動翼3側
の双方の外表面に設けても良い。
【0040】上記のように亜鉛5を設けた場合、その亜
鉛5の犠牲陽極としての防食効果は無限の距離まで及ぼ
すことはないので、防食したい場所になるべく近づける
必要がある。
【0041】CWT環境下における犠牲陽極の効果はお
およそ30mm先までであるので、亜鉛5を設ける場所
は接合部からの距離aが30mm以内としてある。た
だ、最も効果的な場所は、上記実施の形態1で示したよ
うにディスク2と動翼3との接合部内面であるが、この
部位に犠牲陽極を設けると、犠牲陽極に隣接する場所で
原子状水素が発生し、この水素が材料の脆化を引き起こ
す可能性がある。脆化が進んだ材料は靭性を失い、強度
を落とすため、応力が加わるような場合は脆性破壊を引
き起こす。このようなときは、本実施の形態が有効とな
る。
【0042】本実施の形態によれば、蒸気が直接接触す
る部分、すなわちディスク2や動翼3の外表面に犠牲陽
極として亜鉛5を設けたので、ディスク2と動翼3との
接合部内面における材料の水素脆化を防ぎながら、ター
ビン材の腐食を防ぐことができる。
【0043】図6は、30℃における亜鉛(犠牲陽極)
からの距離と動翼材(12クロム鋼)の腐食電位との関
係を表した図である。環境はそれぞれAVT(All
Vollatile Treatment:全揮発性処
理、pH8.5、溶存酸素濃度<7ppb、電気伝導度
8.0μS/cm)およびCWT(CombinedW
ater Treatment:複合水処理、pH9.
5、溶存酸素濃度150ppb、電気伝導度1.0μS
/cm)である。図7は、図6と同じように30℃にお
ける犠牲陽極からの距離とロータ材(3.5NiCrM
oV鋼)の腐食電位との関係を表した図である。
【0044】図6及び図7を求めるために用いた装置の
概要を図8に示す。図8に示すように、板状の試験片6
(大きさは20×5×300mm)の片側に亜鉛5が接
触した状態で設けられ、そこから一定の間隔で参照電極
7が複数個配置されている。そして、亜鉛5とそれぞれ
の参照電極7との間の電位差はエレクトロメータ8で測
定される。
【0045】AVT環境では図6の動翼材、図7のロー
タ材ともに亜鉛からの距離にかかわらず腐食電位は−
0.8Vvs.SSSCである。一方、CWT環境中では
動翼材、ロータ材ともに亜鉛からの距離が長くなるほ
ど、腐食電位は上昇し、長距離では−0.2Vvs.SS
SCに達する。AVT環境に比較してCWT環境中にお
ける腐食電位が高い理由は溶存酸素濃度が大きいためで
ある。一般に腐食電位は低いほど、応力腐食割れ、腐食
疲労、孔食といった腐食損傷が抑制される。CWTの場
合、亜鉛からの距離が30mm以内で腐食電位が低くな
っており、この領域が犠牲陽極により防食されることが
図よりわかる。
【0046】この他、CWT環境では1.0μS/cm
と非常に低いため、亜鉛の電位低減効果が及ぶ距離が短
かくなる。電気伝導度が2.0μS/cmまでは図6及
び図7に示した挙動と差がない。逆に、電気伝導度が
2.0μS/cmより高くなれば更に長い距離でも電位
が低くなる。例えば、ディスク2と動翼3との接合部内
面に塩化ナトリウムのような腐食媒が存在するようなと
きは、電気伝導度が著しく上昇するので、実際は亜鉛の
効果が及ぶ距離は30mmよりさらに長くなる。
【0047】亜鉛5からの距離が0mm〜10mmにお
ける腐食電位を観察すると、−0.9Vvs.SSSC以
下まで低下しているときもみられる。電位が−0.9V
vs.SSSC程度まで低下すると、その部分では防食
はされるものの、原子状水素が発生する可能性があり、
それによる材料の水素脆化が危惧される。よって脆化に
より材料の破壊が懸念される場所から10mm以上、犠
牲陽極を離す必要があり、かつ、防食したい場所から3
0mm以内に犠牲陽極を設置する(図4のaの部分)。こ
れにより適切な防食処理を施すことができる。
【0048】次に、腐食電位に及ぼす電気伝導度の影響
について述べる。CWT処理水に硫酸ナトリウム(中性
塩)を添加して電気伝導度だけを上昇させたところ、電
気伝導度が2μS/cmより大きく、かつ20μS/c
m以下の場合、ディスク2と動翼3との接合部から50
mmまでの位置、場合によっては接合部から30mmま
での位置で腐食電位は−0.9Vvs.SSSC以下とな
った。よって、電気伝導度が2μS/cmより大きく、
かつ20μS/cm以下が見込まれる場合、ディスク2
と動翼3との接合部から少なくとも30mm以上、50
mm以下離れた距離に犠牲陽極を設置するのがよい。
【0049】普通、実際のタービン表面に存在する水の
電気電導度を直接測定することは困難である。しかし、
貫流型ボイラの場合は給水と復水との水質に大きな差が
ないことを考えると、給水の電気伝導度を代用して良
い。あるいはより直接的な主蒸気、タービン抽気蒸気、
ヒータドレン等を代用しても良いし、または過去のプラ
ント運転データを代用することもできる。これらの方法
で推定された電気伝導度にしたがい、図4のaの値を決
めることで、適切なタービンの防食ができる。
【0050】本実施の形態では給水処理方法としてAV
T及びCWTの環境下における亜鉛5の位置を規定した
ものであるが、その他の水処理方法にも応用可能であ
る。具体的な位置についてはタービン材が接する水の電
気伝導度に依存するが、いずれにせよ、ディスク2と動
翼3との接合部と亜鉛(犠牲陽極)との間にイオン伝導
性が保たれる位置に亜鉛5が設けられていれば、防食の
効果は期待される。
【0051】(実施の形態3)本発明の実施の形態3を
図9及び図10を用いて説明する。図9はディスク2と
動翼3との接合部を拡大して示した斜視図、図10はそ
の断面図である。本実施の形態では、ディスク2と動翼
3との接合面のうち、ディスク2側の接合面に亜鉛10
が溶着されており、その溶着位置はディスク2の端面側
である。ここで、ディスク2と動翼3との接合部の断面
形状を直線化し、その長さをL1としたとき、亜鉛10
が溶着される部位L2の長さはディスク2と動翼3の接
合部において外表面からの距離がL1の20%以下とす
る。この領域は動翼2の底面の長さにおおよそ等しい。
なお、亜鉛10はディスク2の全周にわたって設けられ
ている。
【0052】上述した実施の形態2ではディスク2の外
表面に犠牲陽極が設けられており、このような構成はタ
ービンが湿り環境であるときに防食効果が発現する。タ
ービンの運転状況によっては、ディスクと動翼との接合
部内面に液体が存在するが、外表面は乾き蒸気になって
いることがある。本実施の形態では、ディスク2と動翼
3との接合面に亜鉛10が存在しているので、タービン
の表面が乾き蒸気であっても接合面の防食を行うことが
できる。ただし、ディスク2と動翼3との接合面に亜鉛
10があると水素脆性の恐れがあるので、その亜鉛10
は、最も応力が集中する接合面上端の突起部11(一段
フック)において水素脆化が生じないような位置に配置
されている。その位置は、接合面の両端側で、かつ接合
面の全長L1の20%以下の範囲である。
【0053】(実施の形態4)図11は本発明の実施の
形態4を示しており、ディスク2と動翼3との接合部を
拡大して示した斜視図である。実施の形態1・3では、
動翼3からみると、その底面に犠牲陽極が設けられた構
成であったが、本実施の形態では、図に示すように、複
数個の動翼3のうち動翼3同士が隣り合う側面に亜鉛1
2が設けられている。亜鉛12は、1個の動翼3につい
て片側の面だけでも良く、また両側の面に設けられてい
ても良い。図に示すように、亜鉛は形成面で周辺で縁が
残るようにするのが好ましい。
【0054】本実施の形態によっても、実施の形態1〜
3と同様に、タービン材の腐食を防ぐ効果がある。
【0055】なお、上述した実施の形態1〜4では犠牲
陽極として亜鉛を用いたが、アルミニウムでも良い。ま
た、亜鉛やアルミニウム以外で、タービンを構成する金
属の腐食電位より低い金属であれば、単体の金属、合金
など、形状、組成はいずれであっても良いし、複数の種
類を選んでも良い。犠牲陽極を設ける方法も、金属板で
あっても良いし、溶着、めっきでも良い。
【0056】また、実施の形態1〜3では犠牲陽極がデ
ィスク2の全周にわたって設けられていたが、犠牲陽極
を円周上に部分的に設けた構成でも良く、さらに犠牲陽
極の形状、大きさ、厚さは問わない。
【0057】また、タービンのホイールバランスの調整
が困難である、あるいは使用中に、犠牲陽極が剥離・消
耗し、ホイールバランスが崩れるおそれがあるときは、
その他の薄膜形成手段を用いて犠牲陽極を形成しても良
い。また、金属粉末を有機接着剤もしくは無機接着剤で
担持し、塗料と同じようにタービンに塗布する手段を用
いても良い。この他に、タービン材の不動態化を助ける
働きを有する薬品を混在してあっても良い。この場合、
粉末の周囲が絶縁層で覆われないよう、粉末間の電子伝
導が維持できるような粉末の大きさ及び濃度とする必要
がある。
【0058】さらに、上述した各実施の形態では本発明
では、ディスク2と動翼3との接合部の構造として、I
nverted Fir−Tree型を例にしたが、こ
の他にもAxial Fir−Tree型、Multi
ple ForK型などいずれの構造であっても応用可
能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
タービン本体を構成する金属の中で最も卑な電位を有す
る金属より低い電位を有する犠牲陽極用の金属を設けた
ことにより、犠牲陽極用の金属が優先的に腐食して、デ
ィスクと動翼との接合部等の腐食が生じやすい部位の防
食を図ることができる。その結果、SCCや腐食疲労等
によるタービン材の腐食損傷を確実に防止するが可能と
なる。
【0060】また、ディスクと動翼との接合面やディス
ク及び動翼の外表面に、犠牲陽極を固定するだけでよい
から、タービン製造時に腐食防止の策を施すことが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるディスクと動翼と
の接合部を拡大して示した斜視図である。
【図2】図1に示した接合部の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2によるディスクと動翼と
の接合部を拡大して示した斜視図である。
【図4】図3に示した接合部の断面図である。
【図5】動翼が接合されたロータの断面図である。
【図6】亜鉛からの距離と動翼材の腐食電位との関係を
示した図である。
【図7】亜鉛からの距離とロータ材の腐食電位との関係
を示した図である。
【図8】図6及び図7の結果を求めるための装置構成を
示した図である。
【図9】本発明の実施の形態3によるディスクと動翼と
の接合部を拡大して示した斜視図である。
【図10】図9に示した接合部の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4によるディスクと動翼
との接合部を拡大して示した斜視図である。
【符号の説明】
1 ロータ 2 ディスク 3 動翼 4,5,10,12 亜鉛 6 試験片 7 参照電極 8 エレクトロメータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 寿雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 広田 守 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 小野田 武志 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 金子 了市 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 拝郷 達雄 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 三澤 政之 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 辻 義嗣 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 3G002 EA06 4K060 AA02 BA13 BA45 EA20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータ外周に形成されたディスクに動翼
    が嵌合により接合され、高速流体流を前記動翼に衝突さ
    せることにより、前記流体の持つ内部エネルギを運動エ
    ネルギに変換して、前記ロータを回転させるタービンに
    おいて、 タービン本体のうちで組成の異なる金属が隣り合う部位
    に犠牲陽極用の金属を設けたことを特徴とするタービ
    ン。
  2. 【請求項2】 ロータ外周に形成されたディスクに動翼
    が嵌合により接合され、高速流体流を前記動翼に衝突さ
    せることにより、前記流体の持つ内部エネルギを運動エ
    ネルギに変換して、前記ロータを回転させるタービンに
    おいて、 前記ディスクと前記動翼との接合部又はその近傍のディ
    スク外表面、動翼外表面、またはディスクと動翼の双方
    の外表面に犠牲陽極用の金属を設けたことを特徴とする
    タービン。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のタービンにおいて、 前記犠牲陽極用の金属は、前記ディスク及び動翼の外表
    面のうち、前記ロータの軸方向に対して垂直な部位に設
    けられていることを特徴とするタービン。
  4. 【請求項4】 請求項2〜3のいずれかに記載のタービ
    ンにおいて、 前記流体が蒸気である場合、蒸気発生装置への給水の電
    気伝導度、もしくは主蒸気、タービン抽気蒸気、ヒータ
    ドレンのいずれかの電気伝導度が2μS/cm未満のと
    きは、前記犠牲陽極用の金属の全部または一部を、前記
    ディスクと前記動翼との接合部から10mm〜30mm
    の範囲に配置したことを特徴とするタービン。
  5. 【請求項5】 請求項2〜3のいずれかに記載のタービ
    ンにおいて、 前記流体が蒸気である場合、蒸気発生装置への給水の電
    気伝導度、もしくは主蒸気、タービン抽気蒸気、ヒータ
    ドレンのいずれかの電気伝導度が2μS/cm以上で且
    つ20μS/cm以下のときは、前記犠牲陽極用の金属
    の全部または一部を、前記ディスクと前記動翼との接合
    部から30mm〜50mmの範囲に配置したことを特徴
    とするタービン。
  6. 【請求項6】 ロータ外周に形成されたディスクに動翼
    が嵌合により接合され、高速流体流を前記動翼に衝突さ
    せることにより、前記流体の持つ内部エネルギを運動エ
    ネルギに変換して、前記ロータを回転させるタービンに
    おいて、 前記ディスクと前記動翼との接合部の外表面側に犠牲陽
    極用の金属を形成するとともに、その形成された部分
    は、前記ロータの中心軸を含む面内で前記接合部を見た
    とき、接合部全長の20%以下であることを特徴とする
    タービン。
  7. 【請求項7】 ロータ外周に形成されたディスクに動翼
    が嵌合により接合され、高速流体流を前記動翼に衝突さ
    せることにより、前記流体の持つ内部エネルギを運動エ
    ネルギに変換して、前記ロータを回転させるタービンに
    おいて、 前記動翼の隣り合うダブティル面の少なくとも一方の面
    に犠牲陽極用の金属を設けたことを特徴とするタービ
    ン。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のタービ
    ンにおいて、 前記犠牲陽極用の金属が亜鉛またはアルミニウムである
    ことを特徴とするタービン。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載のタービ
    ンにおいて、 前記犠牲陽極用の金属が粉体状で、有機塗料もしくは無
    機塗料で担持されていることを特徴とするタービン。
  10. 【請求項10】 ディスクと、該ディスクに嵌合により
    接合された動翼とを備えたタービンロータにおいて、 前記ディスクの前記動翼との接合部又はその近傍に犠牲
    陽極用の金属が設けられていることを特徴とするタービ
    ンロータ。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のタービンロータに
    おいて、 前記犠牲陽極用の金属は、前記ディスクのうち、前記ロ
    ータ本体の軸方向に対して垂直な部位に設けられている
    ことを特徴とするタービンロータ。
  12. 【請求項12】 翼部と、該翼部を支えるダブティルと
    を備え、該ダブティルをディスクに嵌合させるタービン
    動翼において、 前記ダブティルの前記ディスクとの接合部に犠牲陽極用
    の金属が設けられていることを特徴とするタービン動
    翼。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のタービン動翼にお
    いて、 前記犠牲陽極用の金属は、前記動翼本体のうち、前記ロ
    ータの軸方向に対して垂直な部位に設けられていること
    を特徴とするタービン動翼。
  14. 【請求項14】 翼部と、該翼部を支えるダブティルと
    を備え、該ダブティルをディスクに嵌合させるタービン
    動翼において、 前記ダブティルの隣り合う面の少なくとも一方の面に犠
    牲陽極用の金属が設けられていることを特徴とするター
    ビン動翼。
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