JP2000218140A - 膜を組み込んだモジュ―ルおよびその製造法 - Google Patents

膜を組み込んだモジュ―ルおよびその製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】残存有機溶媒が少なく、膜だけではなく本体の
劣化も起こらない膜を組み込んだモジュールと、そのモ
ジュールを煩雑な工程を必要とせず、簡単な工程で効率
的に製造する方法を提供する。このモジュールは、水処
理関係および医療用途に好適に用いられる。 【解決手段】電子線の照射によって、充填液中の有機溶
媒濃度もしくは充填液がない場合はモジュール内に超純
水を入れ80℃で24時間保存した後の水中の有機溶媒
濃度を50ppb以下とした、膜を組み込んだモジュー
ルで、膜としてはポリスルホン膜が好適に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、残存有機溶媒の少
ない膜を組み込んだモジュール、詳しくは残存有機溶媒
を少なくし膜やモジュールの劣化を防止した膜を組み込
んだモジュールとそのモジュールの製造法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、人工腎臓等の医療分野あるいは水
処理関係で使用されているモジュールには、分離膜や半
透膜が組み込まれている。このような分離膜や半透膜の
製膜には通常有機溶媒が用いられるが、この製膜時に用
いられている有機溶媒は一般には製膜後、膜からは除去
されにくく、特に高沸点の極性溶媒の場合は高濃度に残
存し、この残存有機溶媒の影響で、膜劣化やモジュール
劣化が起こり、水処理関係あるいは医療用途においてモ
ジュール使用時の安全性の点での影響が懸念されてい
た。特に、医療用途において血液浄化に応用される膜の
場合は、残存有機溶媒を除去するために膜の洗浄を強化
し、常温の水のみならず高温の熱水を用いて洗浄した
り、あるいは高圧蒸気滅菌を施し有機溶媒の残存量の低
減化を進めてきた。しかしながら、これらの方法では、
なお残存有機溶媒量を50ppb以下に抑えることはで
きなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点を克服すべく残存有機溶媒の分解性に着目し鋭意検
討した結果、本発明に到達した。
【0004】本発明の目的は、残存有機溶媒が少なく、
モジュール内部に組み込まれている膜だけではなく本体
の劣化も起こらない膜を組み込んだモジュールを提供す
ることにある。
【0005】また本発明の他の目的は、煩雑な工程を必
要とせず、簡単な工程で効率的に残存有機溶媒を除去で
きる上記モジュールの製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成せんとするものであって、本発明のモジュールは、膜
を組み込んだモジュールにおいて、充填液中の有機溶媒
濃度もしくは充填液がない場合はモジュール内に超純水
を入れ80℃で24時間保存した後の水中における有機
溶媒濃度が、50ppb以下であることを特徴とするも
のであり、前記の膜としては、例えばポリスルホンやポ
リメチルメタクリレート等からなる分離膜や半透膜が挙
げられる。
【0007】また本発明のモジュールの製造法は、膜を
組み込んだモジュールに電子線を照射して、有機溶媒を
分解せしめることを特徴とするもので、残存する有機溶
媒の濃度が50ppb以下になるまで電子線を照射す
る。この電子線の照射で、高沸点の極性溶媒も速やかに
分解することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】分離膜や半透膜等の膜が組み込ま
れたモジュールは、一般産業用、水処理用および血液処
理用等の様々な用途に使用されている。特に血液処理用
モジュールは、メディカル用途において、血漿交換療法
や人工透析治療、さらには人工肝臓、エンドトキシンフ
ィルター、バイオリアクター等の医療用途および産業用
途等、各種用途に用いることができるが、細胞との相互
作用を伴うために特に安全性に配慮する必要がある。
【0009】本発明のモジュールに組み込まれる膜は、
膜を構成するポリマーの有機溶媒溶液を調整し、これを
膜状または中空糸膜状等に成形することによって得られ
るが、この際、使用した有機溶媒が製膜した膜中に取り
込まれ残存する。有機溶媒はポリマーの良溶媒であり使
用するポリマーの種類により異なる。
【0010】本発明で用いられるポリマーとしては、ポ
リスルホンやポリメチルメタクリレート等が挙げられ
る。また、使用される有機溶媒としては、塩化メチレン
(沸点:39.95℃)、クロロホルム(沸点:61.
2℃)、1−メチル−2−ピロリドン(沸点:202
℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点:164.
5〜166℃)、テトラヒドロフラン(沸点:65〜6
7℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)等が
挙げられる。
【0011】本発明において、膜を組み込んだモジュー
ル自体の製造は通常の公知の方法を用いればよく、製膜
後モジュール形態に加工するまでにどのような工程を経
てもかまわない。
【0012】本発明の特徴の一つは、かかるモジュール
において、残存する有機溶媒をできるだけ少なくするも
のであり、具体的には、充填液中の有機溶媒濃度、もし
くは充填液がない場合はモジュール内に超純水を入れ8
0℃で24時間保存した後の水中の有機溶媒濃度を50
ppb以下、好ましくは30ppb以下とするものであ
る。残存有機溶媒をこのように少なくすることにより、
膜自体の劣化を抑えるとともに、モジュール本体の劣化
をも抑えることができる。
【0013】本発明においては、驚くべきことに、組み
立てられたモジュールに電子線を照射するだけで、充填
液中の有機溶媒を分解させることができ、これにより残
存有機溶媒によるモジュールの劣化や水処理関係、医療
用途での安全性の問題が生じない上記のモジュールを製
造することができる。
【0014】電子線の照射は、純水・生理食塩水等の充
填液を充填した状態のモジュールおよび中空糸が乾燥状
態であるモジュール、中空糸にグリセリン等の保湿剤が
付着した状態のモジュールに対し行なうことができる。
【0015】本発明で用いられる電子線は、線量密度が
例えば5×102〜5×105kGy/hrのように高い
電子線が好ましく、出力では1KW以上がよい。従来の
γ線照射のように電子線に比べ線量密度が低く単位時間
当たりの放射線量が少ない場合(約1/1000)は、
十分な有機溶媒の分解作用が得られない。電子線のエネ
ルギーについては、物質透過性の観点からより高いエネ
ルギーの電子線がよいが、実際に使用できるエネルギー
には上限がある。好適には、5MeV〜10MeVのエ
ネルギーであれば、市販の電子線加速器がありそれらを
用いることができる。
【0016】本発明で照射する電子線の線量は、照射前
の残存している極性有機溶媒の濃度に依存するので特定
はできないが、好ましくは1KGy〜50KGy、より
好ましくは1KGy〜30KGyであり、具体的には、
例えば残存有機溶媒が100ppm程度であれば15K
Gy程度が必要であり、また、残存有機溶媒が50pp
m以下であれば5KGy以下の線量でも残存溶媒濃度を
50ppb以下にすることができる。したがって、照射
線量を低減するには、照射前に膜を組み込んだモジュー
ルをできるだけ洗浄して残存有機溶媒濃度をできるだけ
低減しておくことが望ましい。
【0017】本発明の膜を組み込んだモジュールとして
は、一般産業用、水処理用および血液処理用等で用いら
れているモジュール等があるが、特に、メディカル用途
において血漿交換療法や人工透析治療、さらには人工肝
臓、エンドトキシンフィルターおよびバイオリアクター
等の医療用途に用いられる透析器等の血液処理用モジュ
ールに好適である。
【0018】以下、実施例によって本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0019】
【実施例】(実施例1)N,N−ジメチルアセトアミド
(以下DMAc)を有機溶媒としてポリスルホンを溶解
させたポリマー溶液から成形したポリスルホン系中空糸
(内径200μm、膜厚40μm)型人工透析器を洗浄
し、この透析器の充填液中のDMAcの濃度を120p
pmになるように調製した。次に、この透析器(モジュ
ール)に15KGyの電子線を照射したところ、充填液
中のDMAc濃度は、20ppb以下になった。吸収線
量の測定は、最大径を有するモジュール中心部に埋め込
んだCTAフィルム線量計を用いた(以下の実施例およ
び比較例も同様の方法で吸収線量の測定を行なった)。
【0020】残存DMAcの測定は、GC−MS法(ガ
スクロマトグラフィーとマススペクトル分析を組み合わ
せた方法)によった。
【0021】また、膜の強伸度特性評価(テンシロンに
よる引っ張り試験)により物理強度(破断強度18.5
gf)には変化が認められないことを確認した。また、
6ヶ月後再測定しても18.3gfと変化無かった。引
っ張り試験は初期試料長50mm、引っ張り速度50m
m/分、温度25℃、湿度50〜60%で行った。 (比較例1)実施例1と同じ、充填液中のジメチルアセ
トアミド(DMAc)の濃度を120ppmに調製した
ポリスルホン系中空糸型人工透析器を、500ml/m
inで15分間血液側ノズルから超純水で洗浄した。残
存ジメチルアセトアミドの濃度は1.2ppmであっ
た。 (比較例2)実施例1と同じ、充填液中のDMAcの濃
度を120ppmに調製したポリスルホン系中空糸型人
工透析器を、500ml/minで15分間血液側ノズ
ルから超純水で洗浄した後、さらに80℃の熱水で15
分間洗浄した。残存DMAcの濃度は120ppbであ
った。 (比較例3)実施例1と同じ、充填液中のDMAcの濃
度を120ppmに調製したポリスルホン系中空糸型人
工透析器を、500ml/minで15分間血液側ノズ
ルから超純水で洗浄した後、80℃の熱水で15分間洗
浄し、さらにγ線を25Gy照射した。残存DMAcの
濃度は112ppbであった。 (実施例2)比較例1の洗浄処理を施したポリスルホン
系中空糸型人工透析器に、さらに5KGyの電子線を照
射したところ、充填液中のDMAc濃度は、20ppb
以下になった。膜の強伸度特性評価(テンシロンによる
引っ張り試験)により物理強度(18.3gfから変化
なし)には変化が認められないことを確認した。また、
1ヶ月後に測定しても18.2gfと変化がなかった。 (実施例3)比較例2の洗浄処理を施したポリスルホン
系中空糸型人工透析器に、さらに5KGyの電子線を照
射したところ、充填液中のDMAc濃度は、20ppb
以下になった。膜の強伸度特性評価(テンシロンによる
引っ張り試験)により物理強度(18.5gfから1
8.3gf)には変化が認められないことを確認した。
また、1ヶ月後18.5gfと変化なかった。 (実施例4)比較例3の洗浄処理を施したポリスルホン
系中空糸型人工透析器に、さらに5KGyの電子線を照
射したところ、充填液中のDMAc濃度は、20ppb
以下になった。膜の強伸度特性評価(テンシロンによる
引っ張り試験)により物理強度(18.1gfから1
8.2gf)には変化が認められないことを確認した。
また、1ヶ月後にも18.2gfと変化なかった。 (実施例5)DMAcを有機溶媒としてポリスルホンを
溶解させたポリマー溶液から成形したポリスルホン系中
空糸(内径200μm、膜厚40μm)型人工透析器を
洗浄し、モジュールを乾燥させた。次にこの透析器(モ
ジュール)に15KGyの電子線を照射した。このモジ
ュール内に超純水を入れて80℃で24時間保存した後
の水中におけるDMAc濃度は、20ppb以下であっ
た。 (比較例4)実施例5と同様にして作成した乾燥モジュ
ールに25KGyのγ線をを照射した。このモジュール
内に超純水を入れて80℃で24時間保存した後の水中
におけるDMAc濃度は、1.5ppmであった。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、特に高沸点の極性溶媒
を用いて製造した膜を組み込んだモジュールにおいても
残存有機溶媒量が少なく、残存する有機溶媒の影響で膜
劣化、モジュール劣化を起こすことがなく、水処理関係
および医療用途において使用時の安全性が確保されるモ
ジュールが得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜を組み込んだモジュールにおいて、充
    填液中の有機溶媒濃度もしくは充填液がない場合はモジ
    ュール内に超純水を入れ80℃で24時間保存した後の
    水中における有機溶媒濃度が、50ppb以下であるこ
    とを特徴とする膜を組み込んだモジュール。
  2. 【請求項2】 前記膜が分離膜または半透膜であること
    を特徴とする請求項1記載の膜を組み込んだモジュー
    ル。
  3. 【請求項3】 前記膜がポリスルホン膜であり、有機溶
    媒がN,N−ジメチルアセトアミドである請求項1また
    は2記載の膜を組み込んだモジュール。
  4. 【請求項4】 医療用途に用いられる請求項1〜3のい
    ずれかに記載の膜を組み込んだモジュール。
  5. 【請求項5】 膜を組み込んだモジュールに電子線を照
    射して、残存する有機溶媒を分解せしめることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の膜を組み込んだモ
    ジュールの製造法。
  6. 【請求項6】 前記電子線の照射量が1〜50KGyで
    ある請求項5記載の膜を組み込んだモジュールの製造
    法。
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