JP2000218346A - 鋼の連続鋳造用鋳型およびその製造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造用鋳型およびその製造方法

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JP2000218346A
JP2000218346A JP11024271A JP2427199A JP2000218346A JP 2000218346 A JP2000218346 A JP 2000218346A JP 11024271 A JP11024271 A JP 11024271A JP 2427199 A JP2427199 A JP 2427199A JP 2000218346 A JP2000218346 A JP 2000218346A
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cobalt
tungsten
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Tetsuya Matsuyama
徹哉 松山
Takuo Ota
拓男 太田
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Satosen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐食性、耐熱衝撃性、耐摩耗性等に優れ、長寿
命の鋼の連続鋳造用鋳型およびその製造方法の提供。 【解決手段】(1) 銅または銅合金製鋳型の表面にCo:
が5〜60重量%、W:0.5〜10重量%、残部がNiおよび不
可避的不純物からなる1層の合金めっき層を有する連続
鋳造用鋳型。(2)Ni:50〜75g/リットル、Co:0.5〜20g/リッ
トル、W:1〜14g/リットル、有機酸:5〜120g/リットル含有
し、pHが2.1〜4.0であるめっき液を使用し、電気めっき
法によりめっき層を形成することを特徴とする上記(1)
の鋳型の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れ、長
期の使用に耐える鋼の連続鋳造用鋳型、およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造は、水冷式の銅または銅合
金製鋳型の上部から溶鋼を注入し、下部から冷却されて
固化した鋳片を引き抜くことにより、連続的に鋳造を行
う方法である。この方法に使用される鋳型には、鋳型そ
のもののコスト削減のため、また、鋳型の補修、交換等
による鋳造作業の中断を少なくして連続鋳造の生産性を
上げるため、長期の使用に耐えることが要求される。
【0003】鋼の連続鋳造用鋳型は、高温の溶鋼に曝さ
れて熱衝撃を受けるだけでなく、凝固した鋳片が鋳型内
壁に沿って摺動するため摩耗する。その上、鋳型内部は
水冷されているから、その内部と表面の温度差による熱
応力も受ける。さらに、鋳型と鋳片との潤滑性を高める
ために使用されるパウダーや、鋳片の二次冷却に使用さ
れる冷却水による腐食も受ける。このように鋳型の使用
条件はきわめて苛酷であるが、その使用寿命の延長は連
続鋳造の生産性の向上とコストの低減に欠かせない。
【0004】鋳型の長寿命化対策のもっとも有力なもの
が鋳型表面にめっき皮膜を設けることである。例えば、
特公昭 55-40341号公報では鋳型表面にニッケル又はコ
バルトからなる層、その上にこれら金属とりん(P)お
よびほう素(B)とからなる合金層をめっきした多層め
っき(いわゆるマルチコーティング)の鋳型が提案され
ている。これに類する多層めっき鋳型は、特開昭56-154
261号公報、特開平1-143741号公報、特開平1-170549号
公報等でも提案されている。これらの鋳型は多くの場
合、溶鋼注入時に飛散する溶鋼(いわゆるスプラッシ
ュ)が鋳型表面に付着しないように最外面にはクロムめ
っきを施している。
【0005】上記のような多層めっき鋳型は、優れた耐
久性を有し、広く実用化されているが、複数回のめっき
作業が必要なために、製造工程が複雑でコストが高くな
る。また、最外面にクロムめっきを施すものにおいて
は、そのめっきに六価クロムを使用するため、環境保護
の面で好ましくない。
【0006】そこで、本出願人は、先に1層のめっき皮
膜を持つだけで優れた耐久性を有する鋳型を開発した
(特公平4-59064号公報参照)。この皮膜は0.05重量%
から0.5重量%未満のホウ素(B)を含有するニッケル
めっき皮膜である。しかし、このめっき皮膜を有する鋳
型も、近年の過酷な鋳造条件(特に前記パウダーの組成
の変化)による腐食等に対応するにはなお改良の余地が
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】めっきによる表面保護
層の形成は、鋳型寿命の延長に寄与し大きな成果を上げ
てきた。しかし、製鉄業界では、従来にも増して生産効
率の向上と生産コストの削減が推進されており、連続鋳
造用鋳型についてもその低廉化と一層の長寿命化が強く
求められている。先に述べた各種のめっき皮膜を持つ鋳
型も、その耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性において、近
年の厳しい要求には十分に対応できるものではない。
【0008】本発明は、製造コストを下げるために、1
層のめっき皮膜で鋳型の長寿命化を達成することを課題
とし、そのめっき皮膜によって鋳型に耐食性、耐摩耗
性、その他の連続鋳造用鋳型に要求される多様な特性を
持たせることを目的としてなされた。
【0009】硬質で耐食性にも優れためっき皮膜として
ニッケル−タングステンめっきが知られている(例え
ば、特開昭60-135592号公報、特開昭61-6291号公報、特
開平4-365890号公報、特公昭60-45715号公報、参照)。
しかしながら、これらのめっき皮膜のタングステン含有
量はいずれも20重量%以上で、後述するように連続鋳造
用鋳型の保護皮膜としては耐熱衝撃性に劣り、使用でき
ない。
【0010】従来のニッケル−タングステンめっき皮膜
を形成させるためのめっき液は、アルカリ性または中性
である。めっき液をアルカリ性にするには、通常アンモ
ニア系薬品が使用されるが、その場合、強いアンモニア
臭が作業環境をわるくする。また、使用後のめっき液の
廃液処理の際に、重金属の分離が困難になるだけでな
く、アンモニアはアンモニア性窒素あるいは硝酸性窒素
となり処理液中に残留して、海洋、河川、湖沼等の富栄
養化の原因になる。一方、めっき液を中性にする場合に
は大量の緩衝剤を用いる必要がある。この緩衝剤の強力
な緩衝作用は、めっき廃液の処理における重金属の凝集
沈殿の妨げになると共に、放流水のBOD及びCODを高める
要因となり、環境管理上好ましくない。
【0011】先にあげた特開昭56-154261号公報にはニ
ッケル−コバルト−タングステン−りんの四元合金を得
る条件として、めっき液のpHを1.5〜2とした実施例が
記載されているが、この範囲では酸による緩衝作用が強
くあるものの、大量の酸が必要となること、電流効率が
悪くなること等により、コスト面で不利である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、連続鋳造鋳
型の保護層として従来のめっきに優るめっきを探求した
結果、特定組成のニッケル−コバルト−タングステンの
3元合金めっき皮膜が、従来から連続鋳造用鋳型に用い
られているめっき皮膜よりも耐食性や耐摩耗性等の諸性
質が優れていること、さらに連続鋳造用鋳型のように熱
負荷の大きい条件下での使用においてもクラックの発生
がないことを見出した。また、そのようなめっき皮膜を
有する鋳型の製造方法として、めっきの作業環境の改善
および環境汚染防止に配慮しためっき方法も併せて開発
した。
【0013】本発明の要旨は下記(1)の鋳型、および(2)
のその製造方法にある。
【0014】(1) 銅または銅合金からなる鋼の連続鋳
造用鋳型であって、その少なくとも溶鋼に接する表面
に、コバルトが5〜60重量%、タングステンが0.5〜10重
量%、残部がニッケルおよび不可避的不純物からなる1
層の合金めっき層を有することを特徴とする鋳型。
【0015】(2) 少なくともニッケルを50〜75g/リット
ル、コバルトを0.5〜20g/リットル、タングステンを1〜14g
/リットル、有機酸を5〜120g/リットル含有し、pHが2.1〜4.0
であるめっき液を使用し、電気めっき法によりめっき層
を形成することを特徴とする上記(1)の連続鋳造用鋳型
の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の基礎となった多数
の試験結果に基づき、本発明を詳しく説明する。
【0017】1.本発明の鋳型について 鋳型本体は通常の連続鋳造用鋳型と同じく、銅または銅
合金で作製された水冷式の鋳型である。その表面に前記
組成のコバルト−タングステン−ニッケル3元合金のめ
っき層を有する。なお、このめっき層は、鋳型の全表面
にあっても良いが、溶鋼に接する鋳型内表面だけにあっ
てもよい。めっき層の厚さは、およそ0.5mmから4.0mm程
度まででよい。また、その皮膜は、前記特公昭4-59064
号公報に図示したように鋳型内面の下方ほど厚みが増す
テーパー状の皮膜であってもよい。
【0018】以下、めっき被膜の組成を前記のように定
めた理由を試験結果に基づいて説明する。
【0019】[試験1]まず、タングステンの適正含有
量を定めるために、タングステン−ニッケルの2元合金
めっきについて検討した。試験条件は次のとおりであ
る。
【0020】厚さ1mm、面積1dm2の銅板を、通常の方
法により脱脂し、硫酸で活性化させた後、その一表面に
ニッケル源として硫酸ニッケルを、タングステン源とし
てタングステン酸ナトリウムを使用し、下記の試験用
には厚さ1mm、下記の試験用には厚さ100μmのめっ
きを施した。めっき皮膜中のタングステン含有量は、め
っき液中のタングステン濃度を表1に示すように調整し
て変化させた。液の組成は下記のとおりである。めっき
は液温50℃、電流密度3A/dm2で行った。
【0021】<液組成> 硫酸ニッケル:350g/リットル(ニッケルとして73g/リット
ル) クエン酸:100g/リットル ほう酸:30g/リットル 液のpH:3 得られた試験片を用いて耐ヒートクラック性および耐食
性を調べた。それぞれの試験条件は下記のとおりであ
る。
【0022】耐熱衝撃性試験(ヒートサイクル試験) 500℃で10分間加熱し、室温まで自然冷却するのを1サイ
クルとし、10サイクル後の割れ(ヒートクラック)の発
生状況を観察した。
【0023】耐食性試験 常温の30%塩酸液に10日間浸漬した後のニッケルの溶出
量(腐食液中のニッケル濃度)を測定して評価した。な
お非めっき部はマスキング材により腐食液の影響を受け
ないように処置をした。
【0024】さらに、長さ150mm、幅30mm厚さ5mmの銅
板に皮膜厚さ2mmのめっきを施した試験片を作製(他の
めっき条件は前記と同じ)し、耐熱間摩耗性を調べた。
その試験条件は下記のとおりである。
【0025】耐熱間摩耗試験 めっきした表面を約500℃に加熱しながら1kgの加重を
付加した直径20mmの固定鋼球(材質はS45C)を押しつけ
る。その状態で、供試体を90mmの距離にわたって1分間
に22往復させる。これを30分間行った後のめっき皮膜の
摩耗状況を調べた。
【0026】表1にめっき皮膜の組成および試験結果を
併せて示す。皮膜組成は、供試体の一部をEDXにて分析
して確認した。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示すように、皮膜のタングステン含
有量が0.4重量%以下の場合は、耐食性および耐熱間摩
耗ともに劣るが、耐食性および耐熱間摩耗性は、タング
ステン含有量が増すにつれて改善される。しかし、タン
グステンが10重量%を超えると、熱衝撃試験(ヒートサ
イクル試験)で10サイクルに満たないうちにクラックの
発生がみられる。特にタングステン含有量が20重量%以
上の皮膜ではわずか1回の加熱−冷却でクラックが発生
している。なお、念のため(株)山本鍍金試験器製のス
パイラル応力計で電着応力を測定したところ、表1に示
すように8サイクルで割れの発生した皮膜の応力は著し
く大きかった。
【0029】上記の試験結果から、皮膜のタングステン
含有量は0.5〜10重量%が適正範囲である。さらに、電
着応力まで考慮すれば、望ましいのは、2〜4重量%の
範囲であると言える。
【0030】[試験2]試験1の結果に基づき、皮膜中
のタングステン含有量を2重量%の一定とし、めっき液
中のニッケルとコバルトの含有量を変え、皮膜のニッケ
ルとコバルトの含有量を変化させた試験片を作製した。
めっき基体は試験1と同じにし、前処理も同じである。
めっき液組成は次のとおりである。
【0031】<液組成> 硫酸ニッケル:200〜400 g/リットル(ニッケルとして42〜
84g/リットル) 硫酸コバルト:2〜150g/リットル(コバルトとして0.4〜30
g/リットル) タングステン酸ナトリウム:4g/リットル(タングステンと
して2.5g/リットル) クエン酸:100g/リットル ほう酸:30g/リットル 液のpHは3に調整し、電流密度は4A/dm2を基準とし
て適宜変更して電気めっきを行った。皮膜中のコバルト
含有量(重量%)を表2に示す。なお皮膜中のタングス
テン含有量はほぼ2重量%であり、残部はニッケルであ
る。
【0032】上記の試験片を用いて、試験1と同様の方
法で前記〜の試験を行った。ただし、の耐食性試
験は40℃で行い、また、の耐熱間摩耗試験は60分間実
施した。いずれも試験1よりも厳しい条件である。試験
結果を表2に示す。なお、耐熱衝撃試験では全ての試験
材にクラックは発生しなかったので、表2にはその結果
を記載していない。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示すように、コバルトを5重量%お
よび10重量%含有するものでは、ニッケルの溶出と摩耗
がわずかにみられるが十分に実用に耐える耐食性と耐摩
耗性を備えている。コバルト含有量が20〜50重量%の範
囲では、ニッケル、コバルトの溶出も摩耗もまったくみ
られない。コバルト60重量%のものにはわずかに摩耗が
生じたが、この程度は実用に差し支えはない。
【0035】上記の結果から、コバルトの含有量は5〜
60重量%が適当であり、さらに望ましいのは20〜60重量
%の範囲であるといえる。なお、試験2では、皮膜のタ
ングステン含有量を2重量%の一定として試験を行った
が、タングステン含有量を0.5〜10重量%の範囲で変化
させて試験でも同じような傾向であった。
【0036】上記の試験1および試験2の結果に基づい
て本発明の鋳型のめっき皮膜の組成をコバルトが5〜60
重量%、タングステンが0.5〜10重量%、残部がニッケ
ルおよび不可避的不純物からなるものと決定した。この
皮膜は鋳型表面に直接施すことができ、下地めっき等は
不必要である。また、このめっき層には、溶鋼飛沫(ス
プラッシュ)がクロムめっき皮膜と同様に付着し難い。
従って、従来の鋳型のように耐スプラッシュ性を持たせ
るためのクロムめっきを最外層に施す必要もない。即
ち、上記の組成の合金メッキは1層だけで必要な特性の
すべてを備えている。
【0037】2.本発明の製造方法について 本発明方法で使用するめっき液は、前記のとおり、少な
くともニッケルを50〜75g/リットル、コバルトを0.5〜20g
/リットル、タングステンを1〜10g/リットル、有機酸を5〜120
g/リットル含有し、pHが2.1〜4.0の液である。
【0038】まず、前記の表1から、皮膜中のタングス
テン含有量を0.5〜10重量%にするためには液のタング
ステンの含有量は1〜14g/リットル とするのが適当である
ことが分かる。
【0039】次に、表2からわかるように、皮膜中のコ
バルト含有量を5〜60重量%とするには、液中のコバル
ト含有量は、0.5〜20g/リットル が適当である。前記のと
おり、皮膜はニッケル−コバルト−タングステンの3元
合金である。従って、上記コバルトおよびタングステン
以外の成分は実質的にニッケルである。そのニッケルを
析出させるのに必要な液のニッケル含有量が50〜75g/リ
ットルである。
【0040】ニッケル源およびコバルト源として使用可
能な化合物を確かめるために下記の試験3を実施した。
【0041】[試験3]ニッケル系めっきは、ニッケル
源として塩化物、硫酸塩およびスルフアミン酸塩、ある
いはこれらの混合系が使用され、最近では酢酸塩も使用
されるようになっている。これらのアニオン種が使用可
能かどうかを検討するためイオン種を変え、求める皮膜
が析出するかどうかを調べた。
【0042】液の金属濃度は、ニッケル約66g/リットル、
コバルト約16g/リットルとし、タングステンはタングステ
ン酸ナトリウム4g/リットル(タングステンとして2.5g/リッ
トル)、酒石酸15g/リットル、ほう酸30g/リットルを添加し、pH
が2.8のめっき液となるように調整し、電流密度2.5A/d
2でめっきを行い、めっき皮膜のコバルトおよびタン
グステンの含有量を調べた。なお、臭素イオンおよび塩
素イオン濃度は10g/リットルとし、ニッケル塩として添加
した。その結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】表3に示すように、アニオンの種類を変え
ても皮膜組成には大きく影響していない。即ち、ニッケ
ル源として前記の各種のアニオン種が使用できることが
確認された。
【0045】液に添加する有機酸に関しては、下記の試
験4を実施した。
【0046】[試験4]めっき皮膜の組成として、コバ
ルト:50重量%、タングステン:2重量%、残部:ニッ
ケルを目標とし、キレート剤を種々変え、めっき析出時
の応力およびめっき皮膜の耐食性について検討した。使
用しためっき液は下記のとおりである。
【0047】<液組成> 硫酸ニッケル:350g/リットル(ニッケルとして73g/リット
ル) 硫酸コバルト:60g/リットル(コバルトとして12.5g/リット
ル) タングステン酸ナトリウム:4g/リットル(タングステンと
して2.5g/リットル) ほう酸:30g/リットル この液に表4に示す種類と量の有機酸を添加し、pHを3
に調整し、電流密度3〜5A/dm2、液温50℃の条件でめ
っきを行い、皮膜中のコバルトおよびタングステンの含
有量を測定した。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】表4に示すように、どの有機酸でもほぼ目
標どおりのめっき皮膜組成が得られた。
【0050】次に、めっき液のpHの影響を調べるために
下記の試験5を実施した。
【0051】[試験5]下記の組成のめっき液を建浴
し、pHを1.9から4.2まで変化させ、電流密度3A/dm2
液温50℃でめっきを行い、皮膜組成を調べた。その結果
を表5に示す。
【0052】<液組成> スルフアミン酸ニッケル:350g/リットル(ニッケルとして
63g/リットル) 臭化ニッケル:10g/リットル(ニッケルとして2.7g/リット
ル) スルフアミン酸コバルト:80g/リットル(コバルトとして1
5g/リットル) タングステン酸ナトリウム:4g/リットル(タングステンと
して2.5g/リットル) クエン酸ナトリウム:100g/リットル ほう酸:30g/リットル
【0053】
【表5】
【0054】先の表1に示したように、皮膜のタングス
テン含有量が0.5重量%よりも少ないと、耐熱間摩耗性
に劣り、10重量%を超えると熱衝撃試験でクラックの発
生が認められる。表5に示す結果とこれらを考慮する
と、本発明の皮膜を得るに適したpHの範囲は2.1〜4.0で
ある。その中でも、望ましいタングステン含有量が得ら
れる好ましい範囲は2.5〜3.5、より好ましくは2.8〜3.3
である。
【0055】次に電流密度であるが、従来のニッケル−
タングステンめっきでは、多くは5A/dm2以上であり、
特開昭61-6291号公報に記載のように20A/dm2としてい
るものもある。本発明では連続鋳造鋳型に求められる耐
熱衝撃、耐摩耗性、耐食性等の様々な要求に対応する必
要があり、これらを満足する範囲として、従来のニッケ
ル−タングステンめっきにおけるよりも低いタングステ
ン含有量を設定した。そこで、この設定したタングステ
ン量を安定して得るのに適当な電流密度の範囲を確かめ
るために次の試験6を実施した。
【0056】[試験6]下記の組成(pH:2.8、液温:5
0℃)の液を使用し、電流密度を0.5A/dm2から5.5A/d
2まで変化させ、析出皮膜のコバルト含有量およびタ
ングステン含有量、耐食性、耐熱間摩耗性および耐熱衝
撃性を調べた。その結果を表6に示す。
【0057】<液組成> スルフアミン酸ニッケル:350g/リットル(ニッケルとして
63g/リットル) 臭化ニッケル:10g/リットル(ニッケルとして2.7g/リット
ル) スルフアミン酸コバルト:80g/リットル(コバルトとして1
5g/リットル) タングステン酸ナトリウム:4g/リットル(タングステンと
して2.5g/リットル) クエン酸ナトリウム:100g/リットル ほう酸:30g/リットル
【0058】
【表6】
【0059】表6に示すとおり、電流密度が高くなるに
つれ、めっき皮膜のコバルトおよびタングステン含有量
は増加傾向にある。電流密度が0.5から5.5A/dm2
での範囲では本発明で定めたタングステン含有量(0.5
〜10重量%)およびコバルト含有量(5〜60重量%)の
皮膜が確実に得られる。そして、これらの成分の含有量
は、電流密度の調整によって調整できることが明らかで
ある。なお、電流密度のより望ましい範囲は1.0〜4A/
dm2である。
【0060】めっき液のニッケル源としては、ニッケル
のスルフアミン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物および臭
化物のうちから選ばれたものが使用できる。具体的に
は、例えば、スルフアミン酸ニッケル、硫酸ニッケル、
酢酸ニッケル、塩化ニッケルおよび臭化ニッケルであ
る。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0061】同じくコバルト源として、コバルトのスル
フアミン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物および臭化物の
うちから選ばれたものが使用できる。具体的には、例え
ば、スルフアミン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバ
ルト、塩化コバルトおよび臭化コバルトである。ニッケ
ル源と同じくこれらも単独で使用してもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0062】めっき液に添加する有機酸としては、酢
酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の
カルボン酸、およびグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒
石酸、クエン酸等のオキシカルボン酸のうちの1種また
は2種以上を併せて使用することができる。これらの有
機酸のナトリウム塩またはカリウム塩を使用することも
可能である。
【0063】緩衝剤としては、ほう酸、またはほう酸ナ
トリウム塩もしくはほう酸カリウム塩が使用できる。
【0064】前記の試験3から試験6までの結果を総合
して、本発明の鋳型製造方法では、めっき液として、少
なくともニッケルを50〜75g/リットル、コバルトを0.5〜20
g/リットル、タングステンを1〜14g/リットル、有機酸を5〜12
0g/リットル含有し、pHが2.1〜4.0、好ましくは2.5〜3.5、
さらに好ましくは2.8〜3.3である液を使用することとし
た。めっき液のpHの調整は、構成する化合物の酸成分お
よびアルカリ成分でおこなえば良い。例えば、pHを下げ
る場合にはスルフアミン酸系ではスルフアミン酸を、硫
酸系では硫酸を、酢酸系では酢酸を添加すれば良い。
【0065】pHが2.1〜4.0のめっき液を使用する本発明
方法であれば、従来のアルカリ液または中性液を使用す
る場合の前述の弊害がない。なお、めっき液にはほう酸
を15〜50g/リットル、臭素を2〜20g/リットル添加するのが望
ましい。しかし、ニッケルまたは/およびコバルトを臭
化物以外のハロゲン化物、例えば、塩化物として添加す
る場合には、臭素は必ずしも必要でなく、またニッケル
または/およびコバルレトを酢酸塩として添加する場合
には、ほう酸量を減じることができる。
【0066】めっきの際の電流密度は、0.5〜5A/dm
2の範囲で選ぶのが望ましい。先の試験6に示したよう
に、めっき液の組成を変えなくても電流密度の調整によ
ってめっき皮膜のタングステンおよびコバルトの含有量
を調整することができる。
【0067】なお、めっき液の温度は40〜70℃でよい。
望ましいのは40〜65℃、より望ましいのは45〜60℃であ
る。
【0068】
【実施例】表7に示す組成の液を使用して、Ni−Wめっ
き、Co−Wめっき、Ni−Co(いずれも比較例)、および
本発明のNi−Co−W3元合金めっき、ならびに参考例と
して特公平4-59064号公報のNi−B合金のめっきを行っ
て耐食性および耐熱間摩耗性を比較した。
【0069】耐食性試験用めっき基材には厚さ2mm、面
積1dm2の銅板を、熱間摩耗試験用めっき基材には長さ
150mm、幅30mm、厚さ5mmの銅板を用い、前者には厚さ10
0μm、後者には厚さ2mmのめっきを施した。
【0070】Ni−Wめっきは、特公昭60-45715号公報の
記載を参考にして行い、Co−Wめっきは同公報記載のニ
ッケル塩をコバルト塩に置き換え、pH2.8とし、皮膜中
のタングステン含有量が2%となるめっき条件でめっき
を行った。また、Ni−Coめっきは、本発明の三元合金め
っき液からタングステン酸ナトリウムを除いた組成の液
を使用して実施した。さらに、Ni−B合金のめっきは、
特公平4-59064号公報の実施例3に基づいて行った。そ
れぞれのめっきに使用した液の組成(添加した薬品と添
加量)を表7に示す。
【0071】耐食性試験では、40℃の30%塩酸に30日間
浸漬して、腐食液中に溶出したニッケルまたはコバルト
量により評価した。耐熱間摩耗試験は、前記の試験1の
の方法(ただし、試験時間は60分)で実施した。表8
に皮膜組成と、各試験の結果を示す。
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】表8に示すように、本発明のめっき皮膜を
施したものは、Ni−W、Ni−Co、Co−WおよびNi−Bのど
のめっきを施したものよりも優れた耐食性および耐熱間
摩耗性を示している。
【0075】
【発明の効果】ニッケル−コバルト−タングステンの3
元合金のめっき皮膜を有する本発明の連続鋳造用鋳型
は、優れた耐食性、耐熱間摩耗性および耐熱衝撃性を有
する。上記の3元合金のめっき皮膜は、1層だけで鋳型
に長寿命を付与できるものであり、耐スプラッシュ性
(溶鋼飛沫が付着し難いこと)にも優れているので、最
外面にクロムめっきを施す必要もない。
【0076】本発明の鋳型製造方法は、pHが2.1〜4.0の
めっき液を使用するものであるから、作業性に優れ、環
境汚染のおそれもない。また、そのめっき液は電解によ
る液中の有機酸の分解が殆ど無く、長期間の使用が可能
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅または銅合金からなる鋼の連続鋳造用鋳
    型であって、その表面にコバルトが5〜60重量%、タン
    グステンが0.5〜10重量%、残部がニッケルおよび不可
    避的不純物からなる1層の合金めっき層を有することを
    特徴とする鋳型。
  2. 【請求項2】少なくともニッケルを50〜75g/リットル、コ
    バルトを0.5〜20g/リットル、タングステンを1〜14g/リット
    ル、有機酸を5〜120g/リットル含有し、pHが2.1〜4.0である
    めっき液を使用し、電気めっき法によりめっき層を形成
    することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造用
    鋳型の製造方法。
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