JP2000220036A - 中空糸状シリカとその製造方法 - Google Patents
中空糸状シリカとその製造方法Info
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Abstract
材料を製造する新しい技術を提供する。 【解決手段】 中性のpHを有し塩が添加された水溶液
中でコラーゲン(好ましくは、I型のコラーゲン)とア
ルコキシシラン(例えばテトラエトキシシラン)を常温
下に保持して、コラーゲン繊維の表面にシリカを沈着さ
せた後、凍結乾燥および焼成を行いコラーゲンを除去す
る工程を含む中空糸状シリカの製造方法。外径50〜100n
mの円柱形状内部に内径25〜50nmの中空部分が存在する
中空糸状シリカ、特に、中空部分が内径3nm程度の複数
のシリカ中空繊維の束から構成されている中空糸状シリ
カが得られる。
Description
担体、生体有機分子固定化用担体(バイオリアクター、
バイオセンサー)、吸着剤または断熱材などへの応用が
期待される新規な形状のシリカとその製造方法に関す
る。
表面積の大きさおよび孔径に起因する分子の選択性か
ら、触媒やその担体、バイオリアクターやバイオセンサ
ー用支持体、吸着剤、クロマトグラフ用材料等として多
用され、更なる改良が試みられている。これらの多孔材
料の調製には何らかの鋳型を用いる方法が使われてい
る。鋳型を用いた材料調製法としてはこれまでにも様々
な手法が提示されている。例えば、両親媒性物質の自己
組織化を利用して無機の多孔材料を調製できることなど
が知られている(例えば、P. Yang他、Nature, 396, 152
(1998)。本発明者らも、イオン性低分子ゲル中に形成
される繊維状自己組織体を鋳型に中空糸状シリカを調製
できることを示した(特願平10-325920)。
と同様に様々な高次構造を有するものがあり、鋳型とし
て用いることが試みられている。例えばバクテリアと無
機塩の混合溶液からバクテリアの分泌した網状の組織体
を引き上げると数百μmの直径を有する無機繊維を得ら
れることが報告されている(N. H. Mendelson, Scienc
e, 258, 1633 (1992))。このように生体材料を鋳型と
して用いれば、その特異な性状に応じた特徴的な性状の
材料を得ることができると期待されるが、実用性のある
材料を製造できる技術として具現化されたものは少な
い。
関連物質を鋳型として利用して無機多孔材料を製造する
新しい技術を確立することにある。
特性に注目して上記目的を達成したものであり、中性の
pHを有し塩が添加された水溶液中でコラーゲンとアル
コキシシランを常温下に保持して、コラーゲン繊維の表
面にシリカを沈着させた後、凍結乾燥および焼成を行い
コラーゲンを除去する工程を含むことを特徴とする中空
糸状シリカの製造方法を提供する。本発明の中空糸状シ
リカの製造方法の好ましい態様においては、アルコキシ
シランはテトラエトキシシランであり、また、コラーゲ
ンはI型のコラーゲンである。
て製造され、外径50〜100nmの円柱形状内部に内径25〜5
0nmの中空部分が存在する中空糸状シリカを提供する。
特に、本発明の好ましい態様に従えば、これまでに見ら
れなかったユニークな形状のシリカ、すなわち、上記中
空部分が内径3nm程度(2〜4nm)の更に細いシリカ中空
繊維の束から構成された蓮根様形状から成る中空糸状シ
リカが提供される。
素イオンなどを触媒として重合、架橋しながら酸化物重
合体を生成してゲル化することはよく知られている。本
発明は、このようなゾル‐ゲル重合反応がコラーゲン繊
維を鋳型としてこのコラーゲン繊維上で進行したことに
基づくものと考えられる。
pH、すなわちpH=7付近(一般にpH=6.5〜7.5)におい
てコラーゲンとアルコキシシランを長時間保持すること
により、コラーゲン繊維の表面にシリカが沈着するが、
これは、主として、以下のような静電的な相互作用によ
るものと解される:コラーゲンは両性電解質であり、そ
の等電点はpH=8〜9であるので、pH=7付近ではカチオ
ン電荷を帯びていると考えられる。一方、アルコキシシ
ランのシラノール基の等電点は約pH=2であるから、pH
=7付近ではアニオンとして挙動するものと考えられる。
しかも、コラーゲンはpH=7付近でのみ特徴的な安定し
た繊維構造をとる。かくして、コラーゲン繊維の表面に
シラノール基を介してシリカが吸着され、ゾル‐ゲル重
合反応が進行してシリカの繊維が形成するものと思われ
る。
着、成長(重合)が生じたことは得られた生成物を顕微鏡
観察すると中空糸形状のシリカが生成しており、特にそ
の中空構造が多数のチューブの束(細いシリカ中空繊維
の束)から構成されていることからも推測される。さら
に、この構造は焼成前後でほとんど異なるところはな
く、また一旦コラーゲン繊維を生成してからシリケート
溶液に浸漬しても形成すること等から、コラーゲンが鋳
型となったことは明らかである。
型にして中空糸状シリカ(シリカ繊維)を調製するには、
予めコラーゲン繊維を形成しておき、これをアルコキシ
シラン水溶液に浸漬してシリカを沈着させる手法と、適
当なバッファーによりpHが調整された水溶液に当初か
らコラーゲンとケイ素アルコキシドを添加、混合する手
法とがあるが、中空形状の明瞭な中空糸状シリカを得る
ためには、通常、後者の方が好ましい。またコラーゲン
溶液は粘稠なのでこれを他の成分と混合するのに激しく
攪拌するか、静置して自然に混合していくのを待つかと
いう選択もあるが、表面の荒れの少ないシリカ繊維を得
ることができる点から後者の方が好ましい。恐らく激し
い攪拌はコラーゲン分子に何らかの損傷を与え繊維の形
成を阻害するものと考えられ、むしろ静置することで生
じる濃度勾配のついた初期状態から繊維の成長が始まる
ことにより分子間の配向が揃い繊維構造の形成に有利に
働くものと考えられる。
沈着(吸着)させた後、凍結乾燥および焼成することによ
って中空糸状のシリカ、特に中空糸形状が複数束になっ
た構造を得るための要因の一つは、コラーゲン繊維にシ
リカを沈着させる水溶液中のイオン強度である。すなわ
ち、十分量のシリケート(アルコキシシラン)を存在さ
せるとともに、コラーゲン分子間の静電反発力を遮蔽し
得るような塩を添加することが必要である。
子間の凝集が促進され、より凝集した形状のコラーゲン
繊維(すなわち鋳型)を得ることができ、その結果、こ
れにシリカが吸着すると中空構造の明瞭な中空糸状シリ
カ(シリカ繊維)を調製できる。但し、塩が高濃度すぎる
とコラーゲン表面へのシリカの静電的吸着を阻害する方
向に働くと考えられ、塩の濃度には最適な値が存在す
る。本発明において用いられる塩の例としては、NaClな
どの塩化物や、硝酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩などが挙げ
られ、これらの塩は、一般に、コラーゲンの重量に対し
て1/10〜30倍程度、濃度1〜1000(mmol dm-3)で用いら
れるのが好ましく、更に好ましくは、コラーゲンの重量
に対して2〜10倍、濃度として50〜600(mmol dm-3)で
用いられる。
するのに用いられるアルコキシシランとしては、テトラ
メトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEO
S)などが挙げられる。得られる中空糸状シリカ(シリカ
繊維)の表面が滑らかであり、繊維内部の中空状態の微
細構造が明確に出現する点から、TEOSを使用することが
好ましい。これは、TEOSの反応速度がTMOSより遅いため
鋳型表面に吸着した後の成長が鋳型に沿った形で平均的
に生じやすいためではないかと考えられる。中空糸状シ
リカを得るのに好ましいTEOSの量と濃度は、コラーゲン
重量に対して0.5〜200倍、10〜2000(mmol dm-3)であ
り、更に好ましくは、5〜100倍、100〜1000(mmol d
m-3)である。
ゲンは、一般に、線維性のI、IIまたはIII型のコラーゲ
ンである。特に好ましいのは、生体内の主要タンパク質
であり、安定な繊維構造を有するI型(タイプI)コラー
ゲンである。
を吸着(沈着)させる工程は、塩が添加され、コラーゲン
とシリカ(アルコキシシラン)を含有する中性pHの水溶
液を、常温、一般的には30〜40℃(例えば37℃)におい
て、保持することによって実施される。該水溶液をこの
ように保持して2日間位経過するとコラーゲン繊維にシ
リカが沈着した形状が出現し始め、以後、時間の経過と
ともにその形状が安定化する。したがって、コラーゲン
繊維にシリカを沈着させるこの工程は、少なくとも2日
間以上、好ましくは10日間以上、一般的には12〜16日
間、コラーゲンとアルコキシシランを含有する水溶液を
保持することにより実施される。
に、焼成を行い、コラーゲン等の有機物を除去する。焼
成処理は、低温(例えば200℃)および高温(例えば500℃)
において窒素雰囲気で加熱した後、最終的に高温(例え
ば500℃)において空気中で加熱することによって行
う。
5〜50nmの中空糸状シリカが得られるが、中空部分は単
一の場合に限られず、条件によって、複数の微細なチュ
ーブ(細いシリカ中空繊維)が束状に集合しているもの
も作製可能である。アルコキシシランの濃度が適正であ
ると、微細なチューブ構造が一本毎に分離して見え、絡
み合いながら繊維内部を繊維軸に沿って貫通しているよ
うな中空糸状シリカが得られる。アルコキシシランの濃
度(シリカの濃度)が高いと一本毎の輪郭が明瞭に分離し
て見えにくくなり、一方、アルコキシシラン濃度が低い
と内部の微細なチューブ構造が不明確になる上にシリカ
繊維自体が網のように結合して1本毎に分離して見える
本数が少なくなる傾向がある。この内部チューブの1本
毎の直径はいずれも2〜4nmである。また、塩濃度に関し
ても微細チューブによる束状構造形成に関して適正な値
があり、高いと微細構造のないチューブとなり、低すぎ
るとチューブ構造は不明確となる。
リカ繊維がその繊維軸に沿って繊維径をほぼ同一の周期
で変化させているものが得られることがあることであ
る。更にその周期は約60〜80nmであり、これはコラーゲ
ン繊維の持つ67nmの周期構造と近い値であり、シリカの
成長がこの周期構造を反映して生じたことを示唆してい
る。アルコキシシランの濃度が高すぎたり低すぎたりす
ると、シリカ繊維表面の細かな凹凸が多くなり、上記の
ような周期構造の存在が不明確になる傾向がある。ま
た、塩濃度が高すぎると外径変動は小さくなり、少なす
ぎると不規則で小さな間隔の変動となる。
め実施例を示すが、本発明はこの実施例によって制限さ
れるものではない。実施例1 塩としてNaClを添加した50mmol/dm3のリン酸緩衝液
(0.1ml)に、TEOSと1mlのコラーゲン溶液(I型、3mg/
ml、pH=3の塩酸水溶液;日本ハム(株)社製)を攪拌
することなく混合した。TEOSおよびNaClの濃度は表1に
示している。実験No.1〜3は、塩(NaCl)濃度を一定に
してTEOS濃度を変えたものであり、実験No.4〜7はTEOS
濃度を一定にして塩濃度を変えたものである。
槽中(37℃)で14日間保存した後、凍結乾燥(−2℃、真
空中)した。各々のサンプルの一部は焼成してコラーゲ
ン等の有機物を除去した。それぞれ電子顕微鏡にて観察
した。焼成条件:窒素流通下、200℃で1時間→窒素流通
下(1リットル/分)、500℃で2時間→空気流通下(1リッ
トル/分)、500℃で4時間。結果は表1にまとめてい
る。
乾燥後)および焼成後のTEM(透過電子顕微鏡)写真を、そ
れぞれ、図1および図2として示す。コラーゲン、TEOS
およびNaClの量比により、微細なチューブ(繊維)が束
になって中空部分を形成し、コラーゲン繊維の周期構造
に相応して外径が変動している中空糸状シリカが得られ
ることが観察される。
の焼成前の繊維の形状を示す透過電子顕微鏡写真であ
る。
の焼成後の繊維の形状を示す透過電子顕微鏡写真であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 中性のpHを有し塩が添加された水溶液中
でコラーゲンとアルコキシシランを常温下に保持して、
コラーゲン繊維の表面にシリカを沈着させた後、凍結乾
燥および焼成を行いコラーゲンを除去する工程を含むこ
とを特徴とする中空糸状シリカの製造方法。 - 【請求項2】 アルコキシシランがテトラエトキシシラ
ンであることを特徴とする請求項1の中空糸状シリカの
製造方法。 - 【請求項3】 コラーゲンがI型のコラーゲンであること
を特徴とする請求項1または請求項2の中空糸状シリカの
製造方法。 - 【請求項4】 外径50〜100nmの円柱形状内部に内径25
〜50nmの中空部分が存在することを特徴とする中空糸状
シリカ。 - 【請求項5】 中空部分が内径3nm程度の複数のシリカ
中空繊維の束から構成されていることを特徴とする請求
項4の中空糸状シリカ。
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| JP02134799A JP3869142B2 (ja) | 1999-01-29 | 1999-01-29 | 中空糸状シリカとその製造方法 |
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- 1999-01-29 JP JP02134799A patent/JP3869142B2/ja not_active Expired - Fee Related
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