JP2000253893A - D−セリンの製造法 - Google Patents

D−セリンの製造法

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JP2000253893A
JP2000253893A JP11061199A JP6119999A JP2000253893A JP 2000253893 A JP2000253893 A JP 2000253893A JP 11061199 A JP11061199 A JP 11061199A JP 6119999 A JP6119999 A JP 6119999A JP 2000253893 A JP2000253893 A JP 2000253893A
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cysteine
thiophenol
phenyl
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Yasuko Matsuba
松葉  泰子
Sadao Yoshino
節生 吉野
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】効率的に高収量で高光学純度のD−セリンを製
造する方法の提供。 【解決手段】トリプトファンシンターゼ活性を有する微
生物菌体あるいはその処理物を、DL−セリンおよびチ
オフェノールを含む反応液に作用させ、L−セリンから
S−フェニル−L−システインを合成し該反応液中に残
るD−セリンを取得するD−セリンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酵素法によるDL−
セリンからのD−セリンの製造法に関するものである。
本発明により、高効率でD−セリンを製造することが可
能であり、かつ反応副生物であるS−フェニル−L−シ
ステインとの分離も容易であることから高収量で、かつ
光学純度の高いD−セリンを得ることが可能である。
【0002】D−セリンは医薬、食品、農薬等の中間体
原料として、産業上、有用性の高い化合物として期待さ
れているアミノ酸である。一方、副生物として得られる
S−フェニル−L−システインもまた、医薬中間体原料
として重要なアミノ酸の一つであり工業的にも高価値な
アミノ酸である。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】D−セ
リン製法としては、DL−セリンから光学分割法により
D−セリンを取得する方法が知られているが、光学分割
の収率などに問題が多く工業的に有利な方法とは言いが
たい。また、酵素法によるD−セリン製法については、
チロシナーゼ活性を有する微生物菌体を用いた製造法
(特開平5−91895号公報)及びトリプトファンシ
ンターゼの存在下でDL−セリンからD−セリンを分取
する方法(特開昭62−19098号公報)が知られて
いる。
【0004】しかし、特開平5−91895号公報の場
合、高収率でD−セリンを得るためには、原料となるフ
ェノールをDL−セリン中のL−セリンに対し過剰に加
えて反応する必要があり、生産効率が悪い。また特開昭
62−19098号公報の場合、反応終了後、生成した
L−システインをL−シスチンに酸化、変換してD−セ
リンと分離するか、またはアセトンなどのカルボニル化
合物を添加してLーシステインと複合体を形成させ、こ
の複合体とD−セリンを分離させるなどの方法を示して
いる。この方法では、D−セリンと副生物との分離工程
が煩雑であり、工業的な製法として問題がある。
【0005】本発明は、医薬、食品、農薬等の中間体原
料として重要なD−セリンを、酵素法によるDL−セリ
ンからのD−セリン製造法に関し、効率的に高収量で高
光学純度のD−セリンを製造することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは上記
課題を解決するために種々検討した結果、トリプトファ
ンシンターゼ活性を有する微生物菌体またはその処理物
をDL−セリン及びチオフェノールを含む反応液に作用
させ、酵素法によりL−セリンからS−フェニル−L−
システインを合成した後、該反応液中に残るD−セリン
と生成したS−フェニル−L−システインを濾過により
分離し、高収量でかつ高光学純度のD−セリンを取得で
きることを見出し、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、以下のものである。 1)トリプトファンシンターゼ活性を有する微生物菌体
あるいはその処理物を、DL−セリンおよびチオフェノ
ールを含む反応液に作用させ、L−セリンからS−フェ
ニル−L−システインを合成し該反応液中に残るD−セ
リンを取得することを特徴とするD−セリンの製造法。 2)pH9.0から10.5の水溶液中において反応さ
せる1)記載の製造法。 3)20〜60℃で反応させる1)又は2)記載の製造
法。 4)チオフェノールの濃度を10重量%以下とし、DL
−セリン中のL−セリンに対して1.1倍モル以上加え
ることとする1)記載の製造法。 5)DL−セリン濃度を1〜15重量%として反応させ
る1)記載の製造法。
【0008】本発明では、S−フェニル−L−システイ
ンの溶解度とD−セリンの溶解度差を利用することによ
り、濾過により容易に、効率良くD−セリンを分離する
ことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるトリプトファ
ンシンターゼの生産菌としては、エシェリヒア・コリな
ど原核細胞の微生物あるいは該酵素の生産性を高めたD
NA組み替え技術の応用により創成された形質転換微生
物であってもよい。また、トリプトファンシンターゼが
サッカロミセス・セレヴイシエ、あるいはカビなど真核
細胞の微生物から得られたものであってもよく、それら
真核細胞微生物の該酵素の生産性を高めるためDNA組
み替え技術の応用により創成された形質転換微生物であ
ってもよい。好ましくは、エシェリヒア・コリ MT−
10242(FERMBP−20)、ノイロスポラ・ク
ラッサ ATCC 14692などが挙げられる。より
好ましくは微生物乾燥菌体1gあたり1時間に1g以上
のトリプトファンを合成できるトリプトファンシンター
ゼ活性を有する微生物である。
【0010】トリプトファンシンターゼ生産菌を培養す
るための培地としては、炭素源、窒素源、無機物および
必要に応じて少量の微量栄養素を含むものであれば、合
成培地または天然培地のいずれも使用可能である。しか
し、一般には微量のトリプトファン、アントラニル酸ま
たはインドールを培地に添加することが好ましい。
【0011】培地に使用する炭素源および窒素源は使用
菌の利用可能なものならいずれの種類を用いてもよい。
【0012】炭素源としては、グルコース、フルクトー
ス、グリセロール、シュクロース、マルトース、マンノ
ース、澱粉、澱粉加水分解物、糖蜜など種々の炭水化合
物が使用できる。
【0013】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸ア
ンモニウムなどの各種の無機および有機アンモニウム塩
類、または肉エキス、酵母エキス、コーン・ステイープ
・リカー、カゼイン加水分解物、フィッシュミールある
いはその消化物、脱脂大豆粕あるいはその消化物などの
天然有機窒素源が使用可能である。天然有機窒素源の多
くの場合は窒素源であるとともに炭素源にもなり得る。
【0014】無機物としては、燐酸一水素カリウム、燐
酸二水素カリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、
塩化ナトリウム、硫酸第一鉄などが必要に応じて使用で
きる。
【0015】培養は、振とう培養あるいは通気撹拌深部
培養などの好気的条件下で行う。培養温度は好ましくは
20〜50℃、特に好ましくは30〜37℃の範囲であ
る。培養中の培地のpHは中性付近に維持することが望
ましい。培養時間は通常1〜3日間である。
【0016】エシェリヒア・コリの培養菌体からのトリ
プトファンシンターゼの抽出法は、ザ・ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Jou
rnal of Biological Chem
istry)(Vol.252,No.19,p.65
94〜6599(1977))、ノイロスポラ・クラッ
サの培養菌体からの抽出法は同誌Vol.250,N
o.8,2941〜2946(1975)に記載されて
いるが、本発明に使用されるトリプトファンシンターゼ
は、必ずしも純粋である必要はない。
【0017】すなわち、トリプトファンシンターゼ生産
菌の培養物、培養物から遠心分離などの方法によって採
取した生菌体、その乾燥菌体、あるいは菌体を破砕、自
己消化、超音波処理などによって得られた菌体処理物、
さらにはこれらの菌体よりの抽出物ならびに該抽出物よ
り得られる酵素の粗精製物であっても利用可能である。
また、これらの固定化酵素または固定化菌体でもよい。
【0018】反応液中のDL−セリンの濃度は特に制限
しないが、好ましくは1〜15重量%である。反応液中
のチオフェノールの濃度は、酵素反応を阻害しない範囲
でなければならず好ましくは10重量%以下の濃度で使
用される。
【0019】また、光学純度の高いD−セリンを取得す
るためには、添加するチオフェノールはDL−セリン中
のL−セリンに対して1.1倍モル以上であることが好
ましい。なお、反応中にチオフェノールを逐次添加して
もよい。また、反応に際して、基質の他に補酵素である
ピリドキサルリン酸を0.1〜100ppmの範囲で添
加することが望ましい。
【0020】反応液に添加するトリプトファンシンター
ゼの量は、前記したような酵素の分離、精製あるいは処
理方法によって異なるが、特に制限はなく、基質濃度、
酵素活性、反応時間、その他の条件によって適時変更し
得る。
【0021】本発明のD−セリン合成酵素反応はpH
9.0〜10.5のアルカリ性下で行われる。好ましく
はpH9.0〜10.0の範囲である。用いるアルカリ
としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニ
ア水などが使用可能である。pHが9.0より低いと、
S−フェニル−L−システインを合成する酵素反応速度
が極めて小さいため、未反応のL−セリンが反応液中に
残存し光学純度の高いD−セリンを得ることができな
い。また、pHが10.5を超えるとS−フェニル−L
−システインを合成する酵素反応速度は再び低下するた
め、未反応のL−セリンの残存により光学純度の高いD
−セリンを得ることはできない。
【0022】酵素反応の温度は好ましくは20〜60℃
で行われるが、酵素の安定性と反応速度の点で特に好ま
しくは、30〜40℃で行う。なお、反応はチオフェノ
ールの酸化を防止するため、窒素雰囲気下で行うことが
好ましい。
【0023】また、反応は、バッチ法もしくは固定化酵
素を用いた連続法により、静置もしくは撹拌下に行われ
る。5%以上のチオフェノール濃度で反応する場合は、
撹拌はゆるやかに行うほうがよい。5重量%〜10重量
%のチオフェノール濃度で反応する場合は、反応液の撹
拌動力を、20KW/m3以下にて行うことが望まし
い。反応時間は通常5〜40時間である。
【0024】S−フェニル−L−システインは水に対す
る溶解度が低く、通常、酵素反応の進行にともない、S
−フェニル−L−システインが反応液中で結晶となり析
出する。反応終了液のpHを塩酸または硫酸などの適当
な酸により酸性に調整し、析出した結晶を溶解後、活性
炭吸着処理などにより微生物細胞もしくは酵素と未反応
のチオフェノールを除去する。その後、適当なアルカリ
で中和すれば、難溶のS−フェニル−L−システインの
結晶が析出するため、濾過操作で容易にD−セリンと副
生物であるS−フェニル−L−システインを分離するこ
とができる。
【0025】S−フェニル−L−システイン結晶を酸溶
解させる際、pHは1.5以下に調整することが好まし
い。S−フェニル−L−システインは、水溶液のpHが
1.5以下でないと1重量%以上の濃度で溶解させるこ
とができず、容積効率が悪くなるためである。
【0026】また、活性炭吸着処理は、微生物細胞また
は酵素あるいは微生物細胞由来成分を吸着除去させると
ともに、活性炭に吸着されない一部の未反応のチオフェ
ノールを充分に除去するため、同時に溶液に空気あるい
は酸素を通気させることが好ましい。通気により、チオ
フェノールが酸化され不溶性の固体となるので濾過によ
り除去可能となるためである。通気量は、好ましくは
0.01〜6.0倍容積比/Hrである。また活性炭吸
着処理温度は40〜90℃、特に好ましくは40〜60
℃で行う。
【0027】用いる活性炭は特に制限されることはな
く、PM−SX、PM−PA、PM−KI、PM−K
S、PM−AA(以上、三井製薬)WPH、PCB−
G、ADP(以上東洋カルゴン)、白鷺A、白鷺M、白
鷺C、カルボラフィン(以上、武田薬品工業)、太閤S
タイプ、太閤Kタイプ(以上、二村化学)などを用いる
ことができる。活性炭の添加量は、通常、溶液の質量に
対して0.5〜6%の量を添加するが、酵素反応のトリ
プトファンシンターゼ源として用いた酵素または微生物
細胞の量および未反応チオフェノールの量によって、活
性炭の添加量は変更し得る。また、活性炭吸着処理時に
濾過助剤としてラジオライトなどを使用することについ
ても、特に制限されることはない。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって本発明の方法を説明す
る。
【0029】実験例1 トリプトファンシンターゼ生産菌であるエシェリヒア・
コリ MT−10242(FERM BP−20)
を、第1表に示す組成の培地150ml が入った50
0ml容の坂口フラスコに接種し、30℃で24時間振
とう培養した。この培養液600ml(フラスコ4本
分)を第2表に示す組成の培地10Lを仕込んだ20L
のジャーファーメンターに接種し、30℃、pH6.8
(濃アンモニア水でコントロール)で、グルコースを逐
次添加しながら40時間通気培養した。培養終了後、遠
心分離により菌体を集菌し、得られた湿菌体をトリプト
ファンシンターゼ源とした。
【0030】
【表1】 pH7.0に調整
【0031】
【表2】
【0032】実施例1 実験例1と同様の方法でエシェリヒア・コリMT−10
242(FERM BP−20)の湿菌体を得た。DL
−セリン54.4g、ピリドキサルリン酸8mgを含む
水溶液385gを35℃まで加温し、45%Na0Hで
pH9.5に調整した。この水溶液に、上記遠心菌体を
乾燥菌体換算で0.96%濃度となるように加え総重量
468.7gになるように蒸留水を加えた後、40℃
で、27時間窒素雰囲気下で撹拌することにより反応を
行った。チオフェノールは、仕込み時に15.7g(反
応液に対し約3.2%濃度)、4時間、7時間後にそれ
ぞれ7.8g(反応液に対し約1.5%濃度)を加え、
反応スケールは500gで行った。反応終了後、反応液
に濃塩酸を加えて、pHを0.5とした後、蒸留水52
7gを加えてS−フェニル−L−システインの析出結晶
を完全に溶解させた。50℃まで昇温し活性炭27.4
gとラジオライト22.4gを加え、液中に空気を通気
しながら50℃で3時間、撹拌した。その後、濾過を行
い、濾液を45%NaOHでpH3.0に調整し30℃
で1時間晶析した。晶析液の濾過を行い、S−フェニル
−L−システイン結晶とD−セリンを分離した。濾液中
のD−セリン量は22.0mg/gであり、光学純度9
8.7%eeであり、収率95%であった。なお、D−
セリンの光学純度分析は液体クロマトグラフィーによっ
て行い、その分析条件は以下に示した通りである。
【0033】D−セリンの光学純度分析条件 カラム;ダイセル CROWNPAKTM CR(+) 移動相;過塩素酸水溶液(pH1.3) 流速;0.4ml/min 温度;0℃ 検出試薬;OPA試薬 Ex=365nm Em=4
55nm
【0034】
【発明の効果】本発明によればDL−セリン中のL−セ
リンをS−フェニル−L−システインに効率良く変換
し、未反応のD−セリンを濾過操作で容易にS−フェニ
ル−L−システインと分離することで、光学純度の高い
D−セリンを高収量で取得することが可能である。本発
明で工業的規模でのD−セリン製造法が確立されたこと
で各種中間体として期待のもてる該化合物の取得方法が
明らかになり、本発明の意義は大きい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリプトファンシンターゼ活性を有する微
    生物菌体あるいはその処理物を、DL−セリンおよびチ
    オフェノールを含む反応液に作用させ、L−セリンから
    S−フェニル−L−システインを合成し該反応液中に残
    るD−セリンを取得することを特徴とするD−セリンの
    製造法。
  2. 【請求項2】pH9.0から10.5の水溶液中におい
    て反応させる請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】20〜60℃で反応させる請求項1又は2
    記載の製造法。
  4. 【請求項4】チオフェノールの濃度を10重量%以下と
    し、DL−セリン中のL−セリンに対して1.1倍モル
    以上加えることとする請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】DL−セリン濃度を1〜15重量%として
    反応させる請求項1記載の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010025124A1 (de) 2010-06-25 2011-12-29 Forschungszentrum Jülich GmbH Verfahren zur Herstellung von D-Aminosäuren, Mikroorganismus, sowie Vektor

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DE102010025124A1 (de) 2010-06-25 2011-12-29 Forschungszentrum Jülich GmbH Verfahren zur Herstellung von D-Aminosäuren, Mikroorganismus, sowie Vektor

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