JPH0611232B2 - L−含硫アミノ酸の製造方法 - Google Patents

L−含硫アミノ酸の製造方法

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JPH0611232B2
JPH0611232B2 JP5956886A JP5956886A JPH0611232B2 JP H0611232 B2 JPH0611232 B2 JP H0611232B2 JP 5956886 A JP5956886 A JP 5956886A JP 5956886 A JP5956886 A JP 5956886A JP H0611232 B2 JPH0611232 B2 JP H0611232B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、トリプトファンシンターゼの存在下にβ−置
換−L−アラニンを金属硫化物、金属水硫化物、金属多
硫化物、硫化アンモニウム、水硫化アンモニウムまたは
多硫化アンモニウムと反応させ、L−システインおよび
/またはL−シスチンを製造する方法に関する。
L−システインおよびL−シスチンは、輸液の成分など
の医薬用途のほか、化粧品用、食品添加剤などとして広
く使用されている。
(従来の技術) 従来、L−システインおよびL−シスチンの代表的製法
としては、(1)毛髪などの天然物から抽出する方法、
(2)化学合成法(たとえば、特開昭57-200356)、
(3)DL−2−アミノチアゾリン−4−カルボン酸か
ら酵素的に合成する方法(特公昭54-2272)、(4)β
−置換アラニンをシステインデスルフヒドラーゼの存在
下、金属硫化物または金属水硫化物と反応させる方法
(特公昭57-21311)などが知られているが、工業的な製
法としては必ずしも有利な方法とは思われない。
(発明が解決しようとする問題点) このような状況のもとで、本発明者らは、安価なL−シ
ステインおよび/またはL−シスチンの新しい製造法に
関して研究を重ねた結果、トリプトファンシンターゼの
存在下にβ−置換−L−アラニンを、金属硫化物、金属
水硫化物、金属多硫化物、硫化アンモニウム、水硫化ア
ンモニウムまたは多硫化アンモニウムと反応させること
により、L−システインおよび/またはL−シスチン
が、生成することを見出し、この知見に基ずいて本発明
を完成した。
(問題を解決するための手段) トリプトファンシンターゼは、微生物、高等植物などに
広く存在していることが知られており(例えば、Bacter
iological Reviews,Vol.39,No.2,p.87-120(1975))、本
発明においても酵素源は特に限定されないが、通常は微
生物起源のものが用いられる。トリプトファンシンター
ゼを生産する菌株としては、たとえば、エシェリヒア・
コリ(Escherichia coli)MT-10232(FERM BP-19)、エシエ
リヒア・コリMT-10242(FERM BP-20)、ノイロスポラ・ク
ラッサ(Neurospora crassa)ATCC-14692、サッカロミセ
ス・セレビシエ(Saccharomyces cerevis-iae)ATCC 2678
7などがある。エシエリヒア・コリの培養菌体からのト
リプトファンシンターゼの抽出法については、The Jour
nal of Biological Chemistry,Vol.249,No.24,p.7756-7
763(1974年)、ノイロスポラ・クラッサの培養菌体から
の抽出法については、同Vol.250,No.8,p.2941-2946(197
5年)、サッカロミセス・セレビシエの培養菌体からの抽
出法については、European Journal of Biochemistry,V
ol.102,p.159-165(1979年)に記載され知られている。
しかし、本発明に使用されるトリプトファンシンターゼ
は、必ずしも抽出された純粋な物である必要はない。す
なわち、トリプトファンシンターゼ生産菌の培養物、培
養物から遠心分離などの方法によって採取した生菌体、
その乾燥菌体あるいは菌体を磨砕、自己消化、超音波処
理などをすることによって得られる菌体処理物、更に
は、これらの菌体よりの抽出物並びに該抽出物より得ら
れる酵素の粗製物であっても利用できる。もちろん、こ
れらの固定化物でもよい。
トリプトファンシンターゼ生産菌を培養するための培地
としては、炭素源、窒素源、無機物および必要に応じて
少量の微量栄養素を含むものであれば、合成培地または
天然培地の何れも使用可能である。培地へ微量のトリプ
トファンまたはインドールを添加することが有効なこと
もある。また、培地へ微量のインドールアクリル酸を添
加することによりトリプトファンシンターゼ生産量が高
まることもある。
培養は、振盪培養あるいは通気攪拌培養などの好気的条
件下で行う。培養温度は20〜40℃、通常は25〜37℃の範
囲である。培養液のpHは5〜8である。
トリプトファンシンターゼは、インドール-3-グリセロ
燐酸とL-セリンからL-トリプトファンを合成する反応の
他に種々の反応を触媒する多機能酵素であることは良く
知られている。〔例えば、Advances in Enzymology and
Related Areas of Molecular Biology,Vol.49,p.127-1
85(1979))しかしながら、トリプトファンシンターゼに
より本発明の反応は、本発明者らが初めて見出したもの
である。
反応基質であるβ−置換−L−アラニンとしては、例え
ばβ−クロロ−L−アラニン、β−ブロモ−L−アラニ
ンなどのβ−ハロゲノ−L−アラニン、O−メチル−L
−セリン、O−エチル−L−セリンなどのO−アルキル
−L−セリン、S−メチル−L−システイン、S−エチ
ル−L−システインなどのS−アルキル−L−システイ
ン、O−アセチル−L−セリン、O−ベンジル−L−セ
リン、S−ベンジル−L−システィンL−セリン O−
サルフェート、などを用いることができる。
もう一方の基質である硫化物、水硫化物などとしては、
例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウムな
どの金属硫化物、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、
水硫化リチウムなどの金属水硫化物、多硫化ナトリウ
ム、多硫化カリウムなどの金属多硫化物、硫化アンモニ
ウム、水硫化アンモニウム、多硫化アンモニウムなどを
用いることができる。また、これらの硫化物、水硫化物
などは反応液中において金属水酸化物または水酸化アン
モニウムと硫化水素より生成したものでもよい。
本発明においては、トリプトファンシンターゼの存在
下、通常pH6〜10の水性媒質中で、β−置換−L−アラ
ニンと硫化物、水硫化物または多硫化物と反応させる。
反応温度は20〜60℃が適当である。反応時間は、酵素力
価、基質濃度、その他の条件により異なるが、回分反応
では通常1〜100時間である。反応は、静置またはゆる
やかな攪拌下に行われる。基質であるβ−置換−L−ア
ラニンと硫化物、水硫化物または多硫化物の濃度は特に
制限はないが、通常は0.1〜30重量%程度である。基質
は反応開始時に全量を反応液に添加しても良いし、反応
の進行にともない分割添加することも可能である。反応
液中には硫化物、水硫化物または多硫化物がβ−置換−
L−アラニンに対して当モル以上存在することが望まし
い。反応に際しては、基質の他に補酵素であるピリドキ
サル燐酸を微量添加することが望ましい。
このようにして反応を行うと、反応液中にはL−システ
インが生成するが、L−システインは酸化されてL−シ
スチンに変化しやすいので、反応の進行とともに反応液
中には通常、L−システインとL−シスチンが共存し、
徐々にL−シスチンの量が増大する。しかしながら、反
応条件を制御することによりL−システインとL−シス
チンの濃度比を変えることも可能である。
反応液からL−システインまたはL−シスチンを採取す
るには通常の方法を用いることができる。例えば、反応
終了後反応液に通気して大部分のL−システインをL−
シスチンに酸化すれば、L−シスチンは水に難溶なので
容易に単離できる。またこのようにして得られたL−シ
スチンを電解還元すればL−システインを得ることがで
きる。
L−システインとL−シスチンの定量は、液体クロマト
グラフィーで行った。生成したシステインとシスチンが
L-体であることは、光学異性体分離用カラムを用いた液
体クロマトグラフィーにより確認した。
(実施例) 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 肉エキス1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、KH2P
O40.2%、pH 7.0の液体培地にエシェリヒア・コリMT-10
242(FERM BP-20)を接種し、30℃にて20時間振盪培養し
た。培養終了後、遠心分離して菌体を集め、O.Adachiら
の方法(The Journal of Biological Chemistry,Vol.24
9,No.24,p.7756-7763(1974年))に従って精製操作を行
い、比活性が9.2単位/mgの力価のトリプトファンシン
ターゼを取得し、この酵素を用いて以下の反応を行っ
た。トリプトファンシンターゼの活性は、C.Yanofskyら
の方法(Methods in Enzymology,Vo1.5,P.801-807(196
2))により測定し、pH7.8、37℃において1μmol/mi
nのトリプトファンをL−セリンとインドールから合成
する酵素量を1単位とした。
O−メチル−L−セリン50mM、第1表に示した硫化物、
水硫化物または多硫化物100mM、ピリドキサール燐酸0.1
mMを含み1N-HClによりpH8.5に調整した反応液10mlにト
リプトファンシンターゼを0.5mg添加し、35℃で10時間
ゆるやかに振盪した。
生成したL−システインおよびL−シスチンの濃度と両
方の和のO−メチル−L−セリンに対する収率を第1表
に示した。
実施例2 ノイロスポラ・クラッサATCC-14692を用い、W.H.Matche
ttらの方法(The Journal of Biological Chemistry,Vo
l.250,No.8,P.2941-2946(1975年))に従い、培養および
酵素精製を行い、比活性が1.3単位/mgの力価のトリプ
トファンシンターゼを取得し、この酵素液を用いて以下
の反応を行った。
O−メチル−L−セリン50mM、水硫化ナトリウム100m
M、ピリドキサール燐酸0.1mM、およびトリプトファンシ
ンターゼ1.3単位を含むpH8.5の反応液10mlを、35℃で10
時間ゆるやかに振盪した。反応液中には、12mMのL−シ
ステインと4mMのL−シスチンが生成した。
実施例3 ペプトン1%、酵母エキス0.5%、グルコース2%、イ
ンドールアクリル酸0.01%、pH 6.0の液体培地にサッカ
ロミセス・セレビシェATCC-26787を接種し、30℃にて20
時間振盪培養した。
培養終了後、遠心分離して菌体を集め、M.Dettwilerら
の方法(European Journal of Biochemistry,Vol.102,
P.159-165(1979年))に従い酵素精製を行い、比活性が1.
2単位/mgの力価のトリプトファンシンターゼを取得
し、この酵素液を用いて以下の反応を行った。
O−メチル−L−セリン50mM、水硫化ナトリウム100m
M、ピリドキサール燐酸0.1mM、およびトリプトファンシ
ンターゼ1.2単位を含むpH8.5の反応液10mlを、35℃で10
時間ゆるやかに振盪した。反応液中には、11mMのL−シ
ステインと3mMのL−シスチンが生成した。
実施例4 肉エキス1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、KH2P
O40.2%、pH 7.0の液体培地にエシェリヒア・コリMT-10
242(FERM BP-20)を接種し、30℃にて20時間振盪培養し
た。培養終了後、遠心分離して菌体を集め、これをトリ
プトファンシンターゼの酵素源として用いた。この湿菌
体1g当たりのトリプトファンシンターゼ活性は120単位
であった。
O−メチル−L−セリン200mM、硫化ナトリウム300mM、
ピリドキサールリン酸0.1mM、湿菌体5gを含むpH8.5(HC
lにより調整)の反応液100mlを、35℃で24時間振盪し
た。反応終了後、ジチオスレイトールにより反応液中の
L−シスチンをL−システインに還元してから、L−シ
ステインの生成量を測定したところ、98mMであった。
実施例5 実施例1で取得したトリプトファンシンターゼを用いて
以下の反応を行った。
第2表に示したβ−置換−L−アラニン300mM、水硫化
ナトリウム600mM、ピリドキサール燐酸0.1mMを含む480m
Mトリスアミノメタン−HCl緩衝液(pH8.5)100mlにトリ
プトファンシンターゼを500単位添加し、35℃で1時間ゆ
るやかに振盪した。反応終了後、ジチオスレイトールに
より反応液中のL−シスチンをL−システインに還元し
てから、L−システインの生成量を測定した。結果を第
2表に示した。
実施例6 肉エキス1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、KH2P
O40.2%、pH 7.0の液体培地にエシェリヒア・コリMT-10
232(FERM BP-19)を接種し、30℃にて20時間振盪培養し
た。培養終了後、遠心分離して菌体を集め、−20℃にて
凍結保存したものをトリプトファンシンターゼの酵素源
として用いた。この湿菌体1g当たりのトリプトファン
シンターゼ活性は、89単位であった。
O−メチル−L−セリン200mM、硫化ナトリウム300mM、
ピリドキサールリン酸0.1mMおよび湿菌体5gを含む100
mMトリスアミノメタン-HCl緩衝液(pH8.5)100mlを、35
℃で10時間ゆるやかに振盪した。反応終了後、ジチオス
レイトールにより反応液中のL−シスチンをL−システ
インに還元してから、L−システインの生成量を測定し
たところ114mMであった。
実施例7 実施例6で取得した湿菌体を用いて以下の反応を行っ
た。
O−メチル−L−セリン200mM、水硫化ナトリウム1000m
M、ピリドキサールリン酸0.1mM、湿菌体5gを含むpH8.
0の反応液100mlを、35℃で10時間ゆるやかに攪拌した。
反応開始後、2時間目と5時間目にL−セリンを2.1g
ずつ反応液に添加した。反応中は、6規定のリン酸を添
加することにより反応液のpHを8.0に維持した。反応終
了後の反応液中には、4.3gのL−システインと1.1
gのL−シスチンが蓄積していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:645) (C12P 13/12 C12R 1:865)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリプトファンシンターゼの存在下に一般
    式[I]で表されるβ−置換−L−アラニンを、金属硫
    化物、金属水硫化物、金属多硫化物、硫化アンモニウ
    ム、水硫化アンモニウムまたは多硫化アンモニウムと反
    応させることを特徴とするL−システインおよび/また
    はL−シスチンの製造法。 一般式[I] (但し、Xはハロゲン原子、−OR基または−SR基を
    示す。(Rはアルキル基、アセチル基、ベンジル基また
    はスルホン酸基を示す。))
JP5956886A 1986-03-19 1986-03-19 L−含硫アミノ酸の製造方法 Expired - Fee Related JPH0611232B2 (ja)

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