JP2000335947A - 人工軽量骨材、その製造方法及びセメント硬化体 - Google Patents

人工軽量骨材、その製造方法及びセメント硬化体

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Takashi Osugi
高志 大杉
Takeshi Inoue
毅 井上
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨材として利用した場合にセメント硬化体の
耐久性が損なわれず機械的強度が十分に発現される人工
軽量骨材及びその製造方法、並びに前記人工軽量骨材を
用いて得られたセメント硬化体の提供。 【解決手段】 例えば塩化ビニル樹脂であるプラスチッ
ク粉砕物の表面の全部あるいは一部が、炭酸化処理され
たセメント硬化体によって被覆されてなる人工軽量骨
材、及び、例えば塩化ビニル樹脂であるプラスチック粉
砕物とセメントと水とを混合して造粒した後に、好まし
くは温度100℃以下の超臨界状態の二酸化炭素によっ
て、炭酸化処理を行う人工軽量骨材の製造方法、並び
に、前記人工軽量骨材とセメントと水とが混合され硬化
されてなるセメント硬化体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックを骨
材としてセメント材料に大量に混入し得る、廃棄物プラ
スチックの有効利用が可能な人工軽量骨材及びその製造
方法、並びに前記人工軽量骨材を用いて得られたセメン
ト硬化体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、セメント成形体や構造物の軽量化
を目的として、軽量骨材が使用されているが、天然軽量
骨材は吸水率が高く、施工時に多量の水の添加を必要と
するため成形体強度を低下する原因となっていた。この
ため、天然軽量骨材の表面をセメントで被覆し、更に炭
酸化処理を行うことにより骨材の吸水性を改善した人工
骨材が提案されている(特開平6−92700号公報参
照)。
【0003】一方、軽量骨材としてプラスチック廃材を
利用した例も見られるが、プラスチック材料を直接セメ
ントスラリーに混入した場合、プラスチックとセメント
の親和性が低いために大量にプラスチックを添加すると
成形体の耐久性や機械的強度が低下する。また、注型成
形等に使用する際の流動性の高いスラリー中にプラスチ
ック材料を混入した場合、両者の比重差が大きすぎるた
めに分離が起こるという問題点が生じる場合がある。
【0004】これに対してプラスチックとセメントの親
和性を高めることを目的として、プラスチック材料の表
面を化学的に無機質化して無機質マトリックスとの接着
性を高めることにより、成形体の強度低下を抑制するこ
とが提案されている(特開平10−265252号公報
参照)。
【0005】しかし、前者の方法では、天然軽量骨材が
高価なため、得られる軽量骨材も廉価なものにはなり得
ず、後者の方法でも、プラスチック材料表面の無機質化
のために金属アルコキシドを有機溶媒(及び水)に加え
た溶液中にプラスチック材料を浸漬した後、加熱処理を
しなければならず、作業が煩瑣で使用される組成が限定
され、やはり、廉価なものにはなり得ないといった問題
点が残されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたものであり、プラスチック廃棄
物を利用して人工軽量骨材を製造するにあたり、骨材と
して利用した場合にセメント硬化体の耐久性が損なわれ
ず機械的強度が十分に発現される人工軽量骨材及びその
製造方法、並びに前記人工軽量骨材を用いて得られたセ
メント硬化体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の本発明は、プラスチック粉砕物の表
面の全部あるいは一部が、炭酸化処理されたセメント硬
化体によって被覆されてなる人工軽量骨材を提供する。
また、請求項2記載の本発明は、プラスチック粉砕物と
セメントと水とを混合して造粒した後に、炭酸化処理を
行う人工軽量骨材の製造方法を提供する。また、請求項
3記載の本発明は、炭酸化処理を温度100℃以下の超
臨界状態の二酸化炭素によって行う請求項2記載の人工
軽量骨材の製造方法を提供する。また、請求項4記載の
本発明は、請求項1記載の人工軽量骨材とセメントと水
とが混合され硬化されてなるセメント硬化体を提供す
る。
【0008】また、請求項5記載の本発明は、プラスチ
ックが塩化ビニル樹脂である請求項1記載の人工軽量骨
材を提供する。また、請求項6記載の本発明は、プラス
チックが塩化ビニル樹脂である請求項2又は3記載の人
工軽量骨材の製造方法を提供する。以下本発明を更に詳
細に説明する。本発明に用いられるプラスチックは、特
に限定されることはなく、塩化ビニル樹脂、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリスチレン等の汎用熱可塑性樹
脂が好適に用いられる。これらの樹脂は、各種分野にお
ける使用量が多く従って廃棄物として利用される割合が
高いからであるが、その他、熱硬化性樹脂も使用可能で
ある。
【0009】前記汎用熱可塑性樹脂の中でも、塩化ビニ
ル樹脂の廃棄物は油化等が技術的に困難であり、現状で
は埋め立て以外に有効な処分方法が確立されていないた
め本発明で使用するにあたって非常に好適である。プラ
スチック粉砕物は、通常、各種成形体として成形された
物の粉砕物が用いられるが、成形工程において形成され
た廃棄物の粉砕物であっても構わない。プラスチック粉
砕物の粒径は、使用する目的に合致するものであれば特
に限定されず、細骨材として利用する200μm程度か
ら、粗骨材として利用する5mm以上のものまで様々な
大きさの範囲とされる。
【0010】本発明において炭酸化処理されたセメント
硬化体とは、前記プラスチック粉砕物の表面に付着させ
たセメント未水和原料もしくはセメント水和物を、炭酸
ガスもしくは超臨界状態の二酸化炭素に曝すことによっ
て炭酸化処理したものである。この炭酸化処理されたセ
メント硬化体は、前記プラスチック粉砕物の全部あるい
は一部を被覆しているものであり、被覆厚は制限されな
いが、厚すぎると軽量骨材としての軽量化効果が損なわ
れるため好ましくない。また、被覆状態としてはプラス
チック粉砕物から容易に脱落しない程度の範囲を被覆し
ていることが好ましく、具体的にはプラスチック粉砕物
の表面積の半分以上を被覆していることが好ましい。
【0011】本発明に用いられるセメントは、水和に伴
い水酸化カルシウムが生成するセメントであれば特に限
定されず、例えば、普通ポルトランドセメント、特殊ポ
ルトランドセメント,アルミナセメント等を使用するこ
とが出来るが、炭酸化処理時の緻密化効果が大きいとい
う点でポルトランド系セメントが好ましい。
【0012】ここに、ポルトランド系セメントとは一般
にエーライト( C3S:3CaO・SiO2)或いはビーライト
( C2S:2CaO・SiO2)と呼ばれる未水和珪酸カルシウム
化合物を主成分とするセメントであり、普通ポルトラン
ドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルト
ランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポ
ルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、
各種低アルカリ形ポルトランドセメント等のポルトラン
ドセメントや、高炉セメント、シリカセメント、フライ
アッシュセメント等の混合セメント、白色セメント等が
挙げられる。
【0013】本発明の人工軽量骨材の製造方法は、プラ
スチック粉砕物とセメント及び水を混合して造粒した後
に炭酸化処理を行うものであり、プラスチック粉砕物、
水、セメントの混合方法については特に限定されるもの
でなく、プラスチックの種類、粒径等により適当な方法
を用いて良い。例えばプラスチック粉砕物とセメントを
混合した後に、造粒機等の中で攪拌しながら水を添加す
る方法や、プラスチック粉砕物に予め調製したセメント
ペーストを添加して造粒する方法等が挙げられる。ま
た、造粒方法についても一般の造粒方法でよく、転動式
のものや圧縮成形方法等が採用される。
【0014】本発明の炭酸化処理とはセメントの硬化過
程においてアルカリ成分、特にカルシウム成分が炭酸化
される処理をいう。炭酸化処理の方法としては任意の濃
度の炭酸ガスや、超臨界状態の二酸化炭素を利用するこ
とができる。炭酸化処理は造粒工程によって最終的な形
状となった段階以降に行い、好ましくはセメントの水和
初期段階、具体的にはセメント中に含まれる珪酸カルシ
ウム化合物の水和率が0%(実質的には造粒直後)から
30%の範囲、より好ましくは20%以下である。
【0015】本発明において、珪酸カルシウム化合物の
水和率とは、セメント原料中に含まれる未水和珪酸カル
シウム化合物量をA 、水和率測定時の残存未水和珪酸カ
ルシウム化合物量をB とすると、{(A-B )/A }×10
0 で示される値をいう。セメント中の未水和珪酸カルシ
ウム化合物(エーライト及びビーライト)量の測定方法
としては、X線回折測定装置や各磁気共鳴装置(ケイ素
を用いた29SiNMR)を利用する公知の方法を用いるこ
とができる(NMRを利用した方法の参考文献:G.Parr
y-Jones,Cementand Concrete Research, Vol.19, p228-
234,1989参照)。
【0016】水和あるいは硬化が進行した段階で炭酸化
処理を行うと既に水和組織がある程度形成されているた
め、組織間の充填によりセメント被覆膜の強度がある程
度向上するものの、上記の水和初期段階に炭酸化処理を
行うほどの効果は得られない。
【0017】本発明の人工軽量骨材の製造方法において
は、好ましくは、炭酸化処理を温度100℃以下の超臨
界状態の二酸化炭素によって行うことによって、より効
果的に耐久性、機械的物性を発現することができる。こ
こに、超臨界状態の二酸化炭素とは、温度31℃以上で
且つ圧力7.4MPa(75kgf/cm2)以上の状態にあ
る二酸化炭素をいう。超臨界状態であっても100℃を
越える加熱を行うと、セメント組織の炭酸化は、より迅
速・確実に進行するが、樹脂とセメント組織の膨張率が
大きく異なるため、樹脂/セメント界面の密着状が損な
われるおそれがあり、また、気体状態の二酸化炭素を利
用して100℃以下の温度で処理した場合、セメント組
織の炭酸化反応が不十分となるおそれがある。
【0018】従って、100℃以下の超臨界状態の二酸
化炭素を利用して炭酸化処理することが好ましいのであ
る。特に、セメント皮膜の厚みが大きい場合は気体状態
の二酸化炭素による処理では炭酸化反応が不十分となる
おそれがあるため、超臨界状態の二酸化炭素で処理する
ことが好適である。
【0019】本発明のセメント硬化体は、上述の本発明
に係る人工軽量骨材とセメントと水とが混合され水和反
応により硬化されたセメント硬化体である。前記軽量骨
材の添加量は、セメント硬化体内に実質的に添加可能な
範囲(骨材の実績率)以下であれば特に限定されない
が、プラスチックの含有量が30体積%以下である場
合、特に本発明の骨材を使用しなくてもプラスチックを
微粉砕して添加することで或る程度の強度発現と軽量化
の目的を達成することができる。従ってプラスチックの
含有率が30体積%以上である場合、本発明の軽量骨材
を使用した本発明に係るセメント硬化体は非常に有意義
である。
【0020】(作用)本発明の人工軽量骨材は、プラス
チック粉砕物の表面を炭酸化処理されたセメント硬化体
である非常に硬質な材料によって被覆されているため、
被覆面が強固である。また造粒後に炭酸化して製造する
ことで目的とする硬質な皮膜を容易・簡便に得ることが
できる。更に、炭酸化処理を温度100℃以下の超臨界
状態の二酸化炭素によって行う場合は、樹脂とセメント
との密着性を損うことなく、セメント組織の炭酸化を行
うことが可能となる。
【0021】この様な人工軽量骨材は、表面がセメント
系材料で形成されているため、骨材として使用した際に
セメント材料への親和性が向上し、骨材としての機能を
十分に発現し、得られたセメント硬化体はその強度を十
分維持したものとなる。また、骨材の主材料として廃棄
物が利用可能であるため、廃棄物の有効利用という観点
からも非常に有用である。
【0022】
【実施例】(実施例1)廃棄物として発生した塩化ビニ
ル樹脂成形体を、粒径5mm程度に粉砕したもの100
重量部に対して、普通ポルトランドセメント25重量部
を添加して混合し、パン型転動式造粒機に入れ、水8重
量部を添加しながら造粒した。造粒後、造粒物をオート
クレーブに入れ、温度40℃、圧力10MPaの超臨界
状態の条件で15分間二酸化炭素処理を行って軽量骨材
とした。
【0023】(実施例2〜4)廃棄物として発生した塩
化ビニル樹脂成形体を、破壊し裁断し最終的に粒径20
0μm程度に分級したもの100重量部に対して、普通
ポルトランドセメント50重量部を添加して混合し、流
動層転動式造粒機に入れ、水100重量部を添加しなが
ら造粒した。造粒後、造粒物を60℃の二酸化炭素雰囲
気中で3時間養生し、軽量骨材とした。
【0024】実施例1及び2によって製造した軽量骨材
の比重、吸水率を表1に示した。次に実施例1及び2で
製造した軽量骨材を用い、表2に示した配合組成のセメ
ント及び水からなる混合物から、200×200×30
mmのセメント硬化体を成形した(実施例3、4)。養
生は自然養生7日間とした。また、これらのセメント硬
化体製造用混合物の単位体積質量(t/m3 )を算出し
た。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】(比較例1)実施例1の軽量骨材の代わり
に、実施例1で使用した塩化ビニル樹脂粉砕物をそのま
ま利用した以外は実施例3と同様にしてセメント硬化体
を成形しようとしたが、注型時に、塩化ビニル樹脂粉砕
物が他の成分と分離した。
【0028】(比較例2)実施例1の軽量骨材を炭酸化
処理せずに利用した以外は、実施例3と同様にしてセメ
ント硬化体を成形した。実施例3、4及び比較例1、2
で成形したセメント硬化体について引張強度の測定を行
った。これらの結果を表2に示した。
【0029】〔引張強度の測定〕得られたセメント硬化
体を所定寸法に切断して試験片とし、JIS A111
3に準拠して割裂破壊による引張強度を測定した。結果
を表2に示した。
【0030】〔寸法変化の測定〕実施例3、4及び比較
例2で得られたセメント硬化体の角材を60℃で24時
間乾燥し、室温で水中に24時間浸漬した際の寸法変化
を測定した。その結果を図1に示した。尚、乾燥時の寸
法は60℃のオーブンからセメント硬化体を取り出した
後、ドライキャビネットで1時間放置した後に測定し、
湿潤時の寸法は水中から取り出した直後に測定した。
【0031】表1から判る通り、実施例で製造した軽量
骨材は低比重、低吸水率の軽量骨材となっている。ま
た、これらを使用したセメント硬化体は、実施例3及び
4では良好な引張強度を発現しているのに対して、比較
例1ではプラスチック粉砕物のみを骨材として使用を試
みたが、プラスチックのみでは骨材が分離して均質なセ
メント硬化体の製造が不可能であった。更に比較例2で
は炭酸化処理を行わずに、一応プラスチック粉砕物の表
面がセメント硬化体によって被覆されてなる骨材を得て
セメント硬化体を成形したが、引張強度の低下が認めら
れた。
【0032】また、図1では、実施例3及び比較例2で
製造したセメント硬化体の乾湿繰り返し試験時の寸法変
化が示されているが、比較例2では繰り返しと共に著し
い寸法変化の蓄積が認められた。
【0033】
【発明の効果】本発明の人工軽量骨材は上述の通り特定
され、プラスチック粉砕物の表面が、炭酸化されたセメ
ント硬化体といった強固な材料で被覆されているため、
低比重且つ低吸水率であるので、セメント材料への混合
に適した軽量骨材であり、廉価に提供し得る。また、本
発明の人工軽量骨材の製造方法は、プラスチック粉砕物
とセメントの造粒物とした後に炭酸化処理を行うことに
よって容易・簡便に上述の人工軽量骨材を製造すること
ができ、結局、人工軽量骨材を廉価に提供し得る。
【0034】また、本発明に係るセメント硬化体は、上
述の人工軽量骨材がセメント材料への親和性が高く、骨
材としての機能を十分に発現し得るものであり、一方、
上述の人工軽量骨材を多量に充填することが可能である
ため、低比重でありながら機械的強度に優れ、更に乾湿
繰り返し試験時の寸法変化の蓄積が小さく、耐久性の良
好なセメント硬化体である。特に、本発明において、プ
ラスチックが塩化ビニル樹脂である場合は、上述の人工
軽量骨材、又は、上述の人工軽量骨材の製造法におい
て、一般に廃棄物処理困難な塩化ビニル樹脂を有効に利
用することができて、極めて有意義である。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3及び比較例2で製造したセメント硬化
体の乾湿繰り返し試験時の寸法変化を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック粉砕物の表面の全部あるい
    は一部が、炭酸化処理されたセメント硬化体によって被
    覆されてなることを特徴とする人工軽量骨材。
  2. 【請求項2】 プラスチック粉砕物とセメントと水とを
    混合して造粒した後に、炭酸化処理を行うことを特徴と
    する人工軽量骨材の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭酸化処理を温度100℃以下の超臨界
    状態の二酸化炭素によって行うことを特徴とする請求項
    2記載の人工軽量骨材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の人工軽量骨材とセメント
    と水とが混合され硬化されてなることを特徴とするセメ
    ント硬化体。
  5. 【請求項5】 プラスチックが塩化ビニル樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の人工軽量骨材。
  6. 【請求項6】 プラスチックが塩化ビニル樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項2又は3記載の人工軽量骨材の製
    造方法。
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