【発明の詳細な説明】
核酸に関する配列特異的結合性オリゴマーおよびアンチセンス
ストラテジーにおけるそれらの用途
この発明は、核酸結合特性を有するオリゴマーであって、モノマー単位として
1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオシド類似体により完全または部分的に
構成されるオリゴマーに関するものである。さらにこの発明は、アンチセンス技
術におけるオリゴマーの用途およびオリゴマーの製造方法に関するものである。
アンチセンス技術は、DNAまたはRNA分子のコーディングセンス鎖の機能
が相補的アンチセンス鎖により遮断され得るという原理に基づいている。アンチ
センス技術は、様々な適用性があり、例えば診断、治療、DNA修飾および単離
等で使用され得る。これらの技術では、アンチセンス鎖自体の安定性に加えて、
センスおよびアンチセンス鎖により形成される二重らせんまたは三重らせんの安
定性並びにセンス鎖に対するアンチセンス鎖の結合親和力が重要である。同様に
、分解酵素、例えばヌクレアーゼに対するオリゴマー、二重らせんまたは三重ら
せんの感受性は、有効性に関連した因子である。
オリゴヌクレオチドは、モノマーがヌクレオチドのオリゴマーである。ヌクレ
オチドは、ヌクレオシドの燐酸エステルであり、プリンまたはピリミジン塩基お
よび糖により構成される。各ヌクレオチドのバックボーンは、交互になった糖お
よび燐酸基により構成される。
ヌクレオチドの安定性および結合親和力は、例えば塩基の修飾により影響され
得る。その方向での研究では(1−5)、上記修飾の結果、二重らせんは安定性の
劣るものにしかならないことが示された。バックボーンにおける改変またはそこ
への新規構造の組み込みにより、ヌクレアーゼ安定性は高められたが、相補鎖に
関する結合親和力については副作用がもたらされただけだった。糖を修飾するこ
とにより、標的分子に対する親和力は限定的に増加しただけであった(6−8)。
この発明の目的は、既知オリゴマーと比べて安定性および結合親和力が改善さ
れた新規オリゴマーを提供することである。
ヘキシトールがその2位のところでピリミジンまたはプリン塩基の複素環に結
合している1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−D−アラビノ−ヘキシトー
ルヌクレオシド類似体により完全または部分的に構成されるオリゴマーは、天然
に存在するオリゴヌクレオチドに結合し得ることが見いだされた。少なくとも部
分的にオリゴマーを構成しているモノマーは、式I:
(式中、Bは、ピリミジンまたはプリン塩基から誘導される複素環である)
により示される。モノマーは燐酸ジエステル架橋により互いに連結されており、
これらのオリゴマーの構造は式II:
[式中、Bはピリミジンまたはプリン塩基から誘導される複素環であり、lは0
〜15の整数、kおよびmは各々1〜15の整数であるが、ただしk>1の場合
mは0であり得、m>1の場合kは0であり得、Xは酸素または硫黄を示す]
で示される。式IIで示される化合物の塩で可能なものは全てこの発明に包含され
る。式Iで示されるモノマーは、ヨーロッパ特許出願第92201803.1号
の対象である。式IIのオリゴマーは新規化合物である。それらは、天然2’−デ
オキシヌクレオシドから成るオリゴヌクレオチドとある種の類似性を示すが、メ
チレン基が環オキシドおよび炭素間に組み込まれ、塩基に結合されているため、
モノマーの糖は拡大されている。
この発明によると、式IIで示されるオリゴマーおよびそれらの塩類は、式III
[式中、kは整数であり、Bは式IおよびIIの場合と同じ意味を有する]
で示される天然オリゴヌクレオチドに対する配列特異的結合性を呈することが見
いだされた。従って、新規種類に属するハイブリドンまたは配列特異的結合性ポ
リマーが見いだされた。
少なくとも部分的にピラノースヌクレオシドにより構成されるこの発明による
オリゴマーが高い結合親和力を有するという事実は、非常に驚くべきことである
。モノマーのピラノースヌクレオチドから構築されるオリゴヌクレオチドの研究
は、特にエシェンモーザー等のグループにより過去数年間にわたって手がけられ
てきた。エシェンモーザーは、核酸に関する糖ビルディングブロックとしてのフ
ラノースの自然淘汰について調べた(9)。しかしながら、彼は、天然に存する
フラノース−DNAとの良好な結合を達成するために適当なアンチセンス分子が
満たすべき必要条件については示さなかった。
しかしながら、本発明者らは、どのピラノース様オリゴヌクレオチドが天然フ
ラノース−DNAとの安定した二重らせんを形成し得るかを調査した(10、1
1)。理論的には、ピラノースオリゴヌクレオチドは、二重らせん形成中におけ
るエントロピー変化が少ないため、フラノースオリゴマーを凌ぐ自由エネルギー
利点を有する。
しかしながら、以前に本発明者らにより試験されたピラノース様オリゴヌクレ
オチドは、天然フラノース−DNAの相補鎖に全く結合し得ないかまたは充分に
は結合し得なかった。これらのピラノース様オリゴヌクレオチドは、2,3−ジ
デオキシ−B−D−エリトロ−ヘキソピラノシルヌクレオシド(式V)、2,4
−ジデオキシ−β−D−エリトロ−ヘキソピラノシルヌクレオシド(式VI)およ
び/または3,4−ジデオキシ−β−D−エリトロ−ヘキサピラノシルヌクレオ
シド(式VII)により各々構成された。
従って、配列特異的結合性が、糖ビルディングブロックとしてピラノースを含
む式IIのオリゴマーについて見いだされるという事実は、よりいっそう驚くべき
ことである。フラノース化合物のフラン環をピラン環に拡大しても、天然オリゴ
ヌクレオチドと結合し得るオリゴマーは得られなかった。すなわち、ペントーフ
ラノシル環を1,5−アンヒドロヘキシトール環に拡大する効果は、予想され得
なかった。
従って、この発明による化合物は、1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−
D−ヘキシトールが、アラビノ−立体配置に従いその2位のところでピリミジン
またはプリン塩基の複素環に結合しているヌクレオシド類似体のオリゴマーであ
る。
オリゴマーは、燐酸ジエステルまたはチオ燐酸ジエステルとして互いに結合し
た上記ヌクレオシド類似体により構成される。オリゴマーは、式II(ただし、k
、l、m、BおよびXは上記の意味を有する)により示され得る。オリゴマーは
、専ら式Iで示されるヘキシトールヌクレオシド類似体により構成され得るか(
ただし、式IIの1は0に等しい)、または天然2’−デオキシヌクレオシドを分
子に散在した状態またはその一端に有し得る(ただし、式IIの1は0またはそれ
より大きい)。ヘキシトールは(D)−立体配置を有し、置換基の立体化学はア
ラ
ビノ立体配置に従う。
基Bがピリミジン塩基から誘導される場合、それはシトシン、5−メチルシト
シン、ウラシルまたはチミンであり得る。Bがプリン塩基から誘導される場合、
それはアデニン、グアニン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチンもしくは
キサンチン環またはこれらのうちの1つに関するデアザ誘導体であり得る。
この発明のモノマー成分のヌクレオシド類似体は、様々な方法で製造され得、
製造方法の1つはヨーロッパ特許出願第92.201803.1号の対象である。
これらの合成についてはフェルヘッゲン等(12)にも同様に報告されている。
モノマーからオリゴマーへの組立は、古典的計画に従っており、標準ホスホルア
ミダイト化学(参考文献13参照)またはH−ホスホレート化学(参考文献14
参照)により行われ得る。手順は全て、好都合には標準的オリゴヌクレオチド合
成の場合と同様にDNA自動合成装置で行われる。これらの標準条件については
「メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」(15)を参照。
好ましい方法は、「6’−方向」での組立用に入ってくるビルディングブロッ
クとしてヘキシトールヌクレオシド類似体のホスホルアミダイトを利用するホス
ホルアミダイト方法である。ホスホルアミダイトは、式VIII(ただし、B*はオ
リゴヌクレオチド合成に適した保護塩基部分である(例、各々式IX、X、XIお
よびXIIにより示されるチミン、N4−ベンゾイルシトシン、N6−ベンゾイルア
デニンおよびN2−イソブチリルグアニン))により示される。
式VIIIで示される生成物は、標準的方法に従って製造され得る。シトシン、アデ
ニンまたはグアニンの塩基部分の保護は、式Iで示される化合物のヒドロキシル
部分に関する一時的保護ストラテジーに従い達成される(16)。しかしながら
、好ましくは、塩基保護は、上記式Iのモノマーの合成における中間体である、
4,6−ベンジリデン保護ヌクレオシド類似体1a−dのアシル化により行われ
る。
環外アミノ官能基のアシル化後、ベンジリデン部分は80%酢酸により除去さ
れ、3a−dが得られる。化合物3cを得るため、p−ニトロ−フェニルエチル
基はDBUにより除去され得る。
1,5−アンヒドロヘキシトール類似体3a−dの1次ヒドロキシル官能基は
、ジメトキシトリチル基により保護され得、4a−dが得られる。オリゴヌクレ
オチド鎖への組み込みに適したホスホルアミダイトビルディングブロック5a−
dへの変換は、2−シアノ−エチル・N,N−ジイソプロピルクロロホスホルア
ミダイトにより達成され得る。1,5−アンヒドロヘキシトール類似体を含む支
持体の製造は、化合物4a−dをスクシニル化して6a−dを得、これらはカル
ボジイミドを利用して長鎖アルキルアミノ多孔質ガラス固相担体(CCAA−C
PG)または適当なアミノ官能化ポリスチレン(例、テンタゲル(商標)−RA
PPポリメア)のアミノ官能基に結合され得、7a−dが得られる(支持体の官
能性化、すなわち参考文献17)。
構築後、得られたオリゴヌクレオチドは、支持体から開裂され、16時間55
℃でのアンモニア処理により脱保護される。上記式IIの得られたオリゴマーの精
製は、幾つかの方法で達成され得る(18)。好ましい精製方法では、12とい
う塩基性pHでのアニオン交換FPLCを行い、可能な2次構造を全て崩壊する
(10)。脱塩は、単純なゲル濾過技術、次いで凍結乾燥により行われ得る。許
容し得る塩類は全て慣用的方法で製造され得る。 上記で述べたところによると、これらのオリゴマーは、天然オリゴヌクレオチ
ドへの配列特異的結合性を示す。それらは、相補的天然オリゴデオキシヌクレオ
チドに対して非修飾配列の場合よりも強い結合性を示し、かなり高い生化学的安
定性があると考えられる。このように、それらは、診断、ハイブリダイゼーショ
ン、核酸の分離、部位特異的DNA修飾および治療を含むアンチセンスストラテ
ジー並びに現在天然オリゴデオキシヌクレオチドにより遂行されている全アンチ
センスストラテジーに関して有利に使用され得る。
実施例
以下、実施例において、この発明による化合物並びにそれらの化学合成および
出発物質の製造についてさらに説明するが、それらはこの発明の限定を意図した
ものではない。次の略語が使用されている。
FABMS=高速原子衝撃質量分析法
Thgly=チオグリセリン
NBA=ニトロベンジルアルコール
1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−2−置換−D−アラビノ−ヘキシト
ールヌクレオシド類似体およびそれらの4,6−O−ベンジリデン保護誘導体の
合成については、フェルヘッゲン等(12)により報告されている。
実施例1
塩基保護ヌクレオシド類似体
1.1.1,5−アンヒドロ−2−(N6−ベンゾイルアデニン−9−イル)−
2,3−ジデオキシ−D−アラビノヘキシトール(3b)
20mlの乾燥ピリジン中2.3g(6.51ミリモル)の1,5−アンヒドロ
−4,6−O−べンジリデン−2−(アデニン−9−イル)−2,3−ジデオキシ
−D−アラビノ−ヘキシトールから成る溶液に、0.9ml(7.8ミリモル)
のベンゾイルクロリドを0℃で加えた。室温で4時間撹拌後、混合物を氷浴で冷
却し、2mlのH2Oを加えた。1.5mlの濃縮NH3溶液(33%g/v)を
加え、室温で45分間さらに撹拌した後、混合物を濃縮した。残留物をカラムク
ロマトグラフィー(CH2Cl2−MeOH、98:2)により精製すると、1.
9
2g(4.19ミリモル、64%収率)の1,5−アンヒドロ−4,6−O−ベン
ジリデン−2−(N6−ベンゾイルアデニン−9−イル)−2,3−ジデオキシ−
D−アラビノヘキシトールが得られた。
これをさらに60℃で5時間100mlの80%酢酸で処理することにより、
ベンジリデン部分を除去した。濃縮し、トルエンと共濃縮し、カラムクロマトグ
ラフィー(CH2Cl2−MeOH、95:5〜90:10)により精製すると、
この実施例の標記化合物1.10g(2.98ミリモル、71%収率)が得られた
。
1.2.1,5−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−2−(N2−イソブチリルグ
アニン−9−イル)−D−アラビノヘキシトール(3c)
N2−イソブチリル−O6−[2−(p−ニトロフェニル)エチル]グアニン(
1.85g、7.5ミリモル)を1,5−アンヒドロ−4,6−O−ベンジリデン−
3−デオキシ−D−グルシトール(1.18g、5ミリモル)によりアルキル化
し、16時間無水ピリジン中1.5ml(10ミリモル)のDBUによりp−ニ
トロフェニル−エチル基を除去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2
Cl2−MeOH、99:1〜97:3)により精製した後、1.35gの粗1,
5
−アンヒドロ−4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジデオキシ−2−(N2−イ
ソブチリル−グアニン−9−イル)−D−アラビノヘキシトールが得られた。1
00mlの80%HOAcによりベンジリデン部分を加水分解すると(60℃で
5時間)、カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2−MeOH、90:10)後
に、所望の化合物3c(610mg、1.74ミリモル、34%全体収率)が得
られた。
UV(MeOH)λmax273nm
実施例2
ヌクレオシド類似体のジメトキシトリチル化
2.1.1,5−アンヒドロ−6−O−ジメトキシトリチル−2−(チミン−1
−イル)−2,3−ジデオキシ−D−アラビノヘキシトール(4a)
1,5−アンヒドロ−2−(チミン−2−イル)−2,3−ジデオキシ−D−ア
ラビノ−ヘキシトール(3a)(330mg、1.29ミリモル)を、20ml
の無水ピリジンに溶かし、480mg(1.42ミリモル)のジメトキシトリチ
ルクロリドを加えた。混合物を室温で一夜撹拌し、100mlのCH2Cl2で希
釈し、100mlの飽和NaHCO3溶液で2回洗浄した。有機層を乾燥し、濃
縮し、トルエンと共濃縮した。生成した残留物をカラムクロマトグラフィー(1
%トリエチルアミン含有CHCl3中0〜3%MeOHの勾配による)により精
製すると、泡状物として373mg(0.67ミリモル、52%)の標記化合物
が得られた。 2.2.1,5−アンヒドロ−6−O−ジメトキシトリチル−2−(N6−ベン
ゾイルアデニン−9−イル)−2,3−ジデオキシ−D−アラビノヘキシトール
(4b)
25mlの乾燥ピリジンに370mg(1ミリモル)のヌクレオシド3bおよ
び400mg(1.2ミリモル)のジメトキシトリチルクロリドを溶かした溶液
を、室温で16時間撹拌した。混合物を100mlのCH2Cl2で希釈し、10
0mlの飽和NaHCO3溶液で2回洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮し、トル
エンと共濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0.2%ピリジン含有
CH2Cl2中0〜3%のMeOH)により精製すると、泡状物として400mg
(0.6ミリモル、収率63%)の化合物4bが得られた。FABMS(Thg
ly、NaOAc)m/c:694(m+Na)+、240(B+2H)+。
2.3.1,5−アンヒドロ−6−O−ジメトキシトリチル−2−(N2−イソブ
チリルグアニン−9−イル)−2,3−ジデオキシ−D−アラビノヘキシトール
(4c)
25mlの乾燥ピリジンに580mg(1.65ミリモル)のヌクレオシド3
cおよび670mg(20ミリモル)のジメトキシトリチルクロリドを溶かした
溶液を、室温で16時間撹拌した。混合物を100mlのCH2Cl2で希釈し、
100mlの飽和NaHCO3溶液で2回洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮し、
トルエンと共濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(0.2%ピリジン
含有CH2Cl2中0〜3%のMeOHの勾配)により精製すると、泡状物として
770mg(1.18ミリモル、収率71%)の化合物4cが得られた。FAB
MS(NBA)m/e:654(M+H)+。
2.4.アミダイトビルディングブロック(5a−c)の製造
2.5mlの乾燥CH2Cl2中6’−O−保護ヌクレオシド(0.5ミリモル)
、3当量の乾燥N,N−ジイソプロピル−エチルアミンおよび1.5当量の2−シ
アノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロ−ホスホルアミダイトから成る混合
物を、室温で3時間撹拌した。0.5mlのEtOHを加え、さらに25分間撹
拌した後、混合物を5%NaHCO3−溶液(15ml)および飽和NaCl溶
液で洗浄し、乾燥し、濃縮した。Et3Nでのフラッシュカラムクロマトグラフ
ィーにより、白色泡状物としてアミダイトが得られ、これを少量の乾燥CH2C
l2に溶かし、100mlの冷(−50℃)n−ヘキサンに滴下した。沈澱物を
分離し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥し、そのままDNA合成に使用した。
下表は、種々のアミダイトに関する溶離溶媒および沈澱後の収率を示す。
実施例3
6−O−保護ヌクレオシド類似体のスクシニル化
3.1.1,5−アンヒドロ−6−O−ジメトキシトリチル−4−O−スクシニ
ル−2−(チミン−1−イル)−2,3−ジデオキシ−D−アラビノヘキシトー
ル(6a)
5mlの無水ピリジン中80mg(0.14ミリモル)の4a、9mg(0.0
7ミリモル)のDMAPおよび43mg(0.14ミリモル)の琥珀酸無水物か
ら成る混合物を、室温で24時間撹拌した。反応が不完全なので、追加量の43
mg(0.43ミリモル)を加え、混合物をさらに24時間撹拌した。溶液を濃
縮し、トルエンと共濃縮した。残留物をCH2Cl2に溶かし、有機層を飽和Na
Cl溶液および水で洗浄し、乾燥し、濃縮すると、白色泡状物として78mg(
0.12ミリモル、86%収率)の6aが得られた。
3.2.1,5−アンヒドロ−6−O−ジメトキシトリチル−4−O−スクシニ
ル−2−(N6−ベンゾイルアデニン−9−イル)−2,3−ジデオキシ−D−ア
ラビノヘキシトール(6b)
6aについて記載したのと同じ方法を用いて、6bを合成した。260mg(
0.39ミリモル)の量の4bから、泡状物として256mg(0.33ミリモル
、85%収率)の標記化合物が得られた。
実施例4
オリゴヌクレオチドの生成
4.1.固体支持体の製造
4mlの無水ピリジン中80マイクロモルのスクシネート(6a、b)、40
0mgの予備活性化LCAA−CPG(17)、5mg(40ミリモル)のDM
AP、35μlのEt3Nおよび153mg(800マイクロモル)の1−(3
−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド.HClから成る混合
物を、まず5分間音波処理し、次いで室温で16時間撹拌した。撹拌後、CPG
固体支持体を濾過し、ピリジン、メタノールおよびCH2Cl2により逐次洗浄し
、次いで減圧下乾燥した。1.5mlの1−メチルイミダゾール(THF中)(
アプライド・バイオシステムズ)および1.5mlの無水酢酸−ルチジン−TH
F1:1:8(アプライド・バイオシステムズ)を用いて、支持体の表面の未処
理部位を覆った。室温で4時間撹拌後、固体支持体を濾過し、CH2Cl2で洗浄
し、減圧下乾燥した。比色定量ジメトキシトリチル分析により、7aについては
18.
5マイクロモル/gおよび7bについては21.5マイクロモル/gのローディ
ングが示された。
4.2.DNA−合成
オリゴヌクレオチド合成は、ホスホルアミダイト法(末端ジメトキシトリチル
脱離)を用い、ABI 381A DNA合成装置(アプライド・バイオシステ
ムズ)において行われた。得られた配列を脱保護し、濃縮アンモニア処理(55
℃、16時間)により固体支持体から開裂した。緩衝液A(下記参照)で溶離す
るNAP−10(商標)カラム(セファデックスG25−DNA級、ファーマシ
ア)により精製後、勾配系[A=10ミリモルNaOH、pH12.0、0.1モ
ルNaCl、B=10ミリモルNaOH、pH12.0、0.9モルNaCl、使
用勾配はオリゴにより異なる、流速2ml/分]によるモノ−Q(商標)HR1
0/10アニオン交換カラム(ファーマシア)において精製を行った。低圧液体
クロマトグラフィーシステムは、メルク−日立L6200Aインテリジェント・
ポンプ、モノQ(商標)HR10/10カラム(ファーマシア)、ウビコードS
JI 2138 UV検出装置(ファーマシア−LKB)および記録装置により構
成された。生成物含有分画をNAP−10(商標)カラムで脱塩し、凍結乾燥した
。
実施例5
融解温度
オリゴマーを、緩衝液:0.1モルNaCl、0.02モル燐酸カリウムpH=
7.5、0.1ミリモルEDTAに溶かした。80℃、260nmで吸光度を測定
し、1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオシド類似体が変性状態で天然ヌク
レオシドの場合と同じ吸収係数を有するものとして、濃度を決定した。
アデニンモノマーの場合 エプシロン=15000
チミンモノマーの場合 エプシロン=8500
グアニンモノマーの場合 エプシロン=12500
シトシンモノマーの場合 エプシロン=7500
全実験における濃度は、各鎖約4マイクロモルであった。ウビコン940分光光
度計により、融解曲線を決定した。キュベットホルダー全体を循環している水に
よるサーモスタットでキュベットを調温し、キュベットに直接浸したサーミスタ
ーで溶液温度を測定した。温度制御およびデータ獲得は、IBM/Pc AT互
換性コンピューターにより自動的に行われた。試料を加熱し、0.2℃/分の速
度で冷却すると、加熱および冷却融解曲線間に差異は全く観察され得なかった。
吸光度対温度曲線の第1微分係数を調べることにより、融解曲線を評価した。合
成されたオリゴヌクレオチドの例をそれらの融解点と一緒に表1〜4に示す。
表1
A13/T13二重らせんの中央に単一アンヒドロヘキシトールヌクレオシド(A
*、T*)が組み込まれた(0.1モルNaCl濃度で測定された)オリゴヌクレ
オチドの融解点。
表1から明らかなのは、1,5−アンヒドロ−2−(アデニン−9−イル)−2,
3−ジデオキシ−D−アラビノーヘキシトールをオリゴデオキシアデニレートに
組み込むと、天然2’−デオキシアデノシンの挿入とほぼ同一のヘリックス−コ
イル転移が行われることである。しかしながら、オリゴデオキシアデニレート/
オリゴチミジン二重らせんに1つの誤対合があると、二重らせんの安定性に多大
な効果を及ぼすことは注意すべきである。これに反して、1,5−アンヒドロ−
2,3−ジデオキシ−2−(チミン−1−イル)−D−アラビノヘキシトールに
よりチミジンをオリゴチミジレートに置換すると、融解温度は実質的に下がる。
2,4−ジデオキシ−β−D−エリトロ−ヘキソピラノシルヌクレオシド(ただ
し、A*.G[A*:9−2,4−ジデオキシ−β−D−エリトロヘキソピラノシ
ル)アデニン]誤対合の方が、A*.T[A*:9−2,4−ジデオキシ−β−D
−エリトロヘキソピラノシル)アデニン]塩基対合よりもハイブリダイゼーショ
ンの安定性を高くする)による我々の実験室の以前の観察結果とは反対に(11
)、モデルとしてオリゴデオキシアデニレート/オリゴチミジン二重らせんを用
いたとき、1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオシドとの塩基対合特異性に
おける改変は無い。
表2
0.1モルNaClで測定された、完全修飾オリゴヌクレオチドおよび両端が
修飾されたオリゴヌクレオチドの融解温度。
(1)284nmで測定
1本鎖オリゴA*およびオリゴT*は両方とも規則正しい構造を示すが、高塩濃度
での結果とは反対に(結果は示されていない)、ポリT*はホモ二本鎖形成の場
合と同じ傾向は示さない。これは、オリゴA*およびオリゴT*の両場合とも、温
度に従ったUV吸収のある程度の直線的増加により立証される。オリゴT*およ
びオリゴデオキシアデニレートの当モル混合物は、284nmで測定したとき4
9%の淡色性で45℃の融解点を示す。塩濃度を変えることにより、構造転移が
DNAで行われることが知られており、この場合も事実は明らかにこの通りであ
る。オリゴT*:オリゴデオキシアデニレート会合は低塩濃度で有利であり、オ
リゴT*ホモ二本鎖の形成は高塩濃度で有利である。しかしながら、260nm
での複合体の熱反応は、オリゴT*:オリゴデオキシーアデニレート会合が古典
的ヘリックス−コイル転移ではないことを示している。260nmでは、まず淡
色性が減少し、46℃で最小値を示し(融解点は484nmで観察される)、次
いで増加する。アデニン(A*)およびグアニン(G*)ヌクレオシド類似体を含
む完全修飾された混合配列(2つの6量体および1つの12量体)も同様に評価
された。
表3
完全修飾6量体の融解温度
1モルNaCl、20ミリモルKH2PO4、pH7.5、EDTA 0.1モルで
測定。
2本鎖は、相補的配列:
16および17の場合、5’−TCTCCT(20)、および
18および19の場合、5’−TCTCTC(21)
により各々形成された。
これらの配列のうちの幾つかの場合融解点は6量体について測定され得たが、
1モルNaCl(20ミリモルK2HPO4、pH7.5および01ミリモルED
TA)中でこれらのオリゴヌクレオチドの熱変性を試験した。最も重要な現象は
、ピラノース様オリゴヌクレオチドおよびそれらの天然対応物質間における2本
鎖の明確な形成である。さらに、これらの修飾2本鎖は、全くワトソン−クリッ
ク
塩基対のみで構成される対照2本鎖よりも安定している。
しかしながら、注意を引くのは、逆平行相補的オリゴヌクレオチドを伴った配
列16(31.2℃)および17(Tm=14.7℃)に関する融解温度の差異が
大きいことである。両修飾オリゴが3G*および3A*を含み、それらの配列順序
のみ異なる場合、16に関する融解温度は18の場合の2倍である。この配列依
存的効果は、対照オリゴヌクレオチド17および19では僅かしか表されていな
い。
表4
A*およびG*を含む完全修飾12量体の融解温度
0.1モルNaClで測定
(24)5’−TCT CCT CTC CCT
12量体の場合を見ても、相補的逆平行配列24を伴う両配列を評価した場合、
やはり完全修飾オリゴヌクレオチドの安定性が、その対照配列23と比べて高く
、融解温度が16℃高いことに気付く。
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