JP2000512181A - 多塩基性アニオン対イオンを有する治療剤の強化電気的移送 - Google Patents

多塩基性アニオン対イオンを有する治療剤の強化電気的移送

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Abstract

(57)【要約】 治療剤カチオンと多塩基性アニオン対イオンとを包含する治療剤の改良された電気的移送を提供する。式:MXの多価金属化合物[式中、Mは少なくとも+2の原子価を有し、多塩基性アニオン対イオンと反応する金属カチオンであり、XはpH増強性アニオンである]によって治療剤を処理することによって、改良された電気的移送が得られる。患者中への電気的移送式投与に関して治療剤と競合する種の減少が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】 多塩基性アニオン対イオンを有する治療剤の強化電気的移送 技術分野 本発明は一般に、改良された電気的移送式薬物投与方法に関する。より詳しく は、本発明は、イオン導入式に投与される多塩基性アニオン対イオンを有する治 療剤の流量(flux)を改良する方法に関する。 発明の背景 薬物又は治療剤の経皮投与は重要な薬剤投与経路である。経皮薬物投与は胃腸 での分解と肝臓での代謝を回避し、同時に、患者の血流への薬物又は作用剤(age nt)の緩慢であるが、制御された全身投与を可能にする。これは、狭い治療指数 と、短い半減期と、強力な活性とを有する薬物又は作用剤にとって特に魅力的な 投与経路である。 大抵の化合物の経皮浸透は受動的な拡散プロセスである。患者の皮膚を通る作 用剤の最大流量、即ち、皮膚の一定面積を通して投与される作用剤量は主として 薬物の分配係数(partition coefficient)と溶解度特性とによって決定される。 しかし、経皮浸透はイオン導入(iontophoresis)によって強化されることができ る。 イオン導入は、治療剤又は薬物の経皮輸送が駆動力として電気的反発作用を用 いることによって強化又は制御されるプロセスである。例えば電気的移送式デバ イスの作用剤含有溜めに外部電界を加えることによって、同じ電荷の薬物又は作 用剤は皮膚を通しての反発力によって駆動される。経皮投与は、このようなもの として、受動的プロセスよりもむしろ、より制御可能なプロセスになるので、作 用剤又は薬物の輸送流量は増加する。 イオン導入式デバイスは1900年代の初期から知られている。1934年の 英国特許明細書第410,009号は初期デバイスの欠点の1つ、即ち、患者が 電源の近くに固定される必要があることを克服したポータブルのイオン導入式デ バイスを述べている。さらに最近では、多くの米国特許がイオン導入分野におい て発行されており、このことはこの形式の薬物投与モデルに対する関心が復活し たことを意味する。例えば、Vemon等の米国特許第3,991,755号; Jacobsen等の米国特許第4,141,359号;Wilsonの米国特 許第4,398,545号:及びJacobsenの米国特許第4,250,8 78号はイオン導入式デバイスの例と、それらの幾つかの応用例(applications) を述べている。 現在知られているイオン導入式デバイスでは、少なくとも2つの電極が用いら れる。これらの電極の両方が、身体の皮膚の一部と密接に電気的に接触するよう に配置される。“アクティブ”又はドナー電極と呼ばれる一方の電極は、それか らイオンの(又はイオン化可能な)作用剤、薬物先駆体又は薬物がイオン導入に よって皮膚を介して身体中に投与される電極である。カウンター若しくはリター ン電極と呼ばれる、他方の電極は身体を通しての電気回路を閉じるように作用す る。電極によって接触される患者の皮膚と共に、電気エネルギー源、例えばバッ テリーへの電極の結合によって回路が完成する。 経皮投与されるべき種の電荷に依存して、アノード又はカソードのいずれかが “アクティブ”又はドナー電極になりうる。例えば、身体中に駆動されるべきイ オン物質が正に荷電されるならば、アノードがアクティブ電極であり、カソード が回路の完成に役立つ。他方では、投与されるべきイオン物質が相対的に負に荷 電するならば、カソード電極がアクティブ電極であり、アノード電極はカウンタ ー電極になる。 或いは、アノードとカソードの両方を用いて、身体中に適当な電荷の薬物を投 与することができる。このような場合には、両方の電極がアクティブ電極又はド ナー電極であると考えられる。例えば、アノード電極は正に荷電した物質を身体 中に駆動することができ、カソード電極は負に荷電した物質を身体中に駆動する ことができる。 既存のイオン導入式デバイスは一般に、身体中にイオン導入式に投与される又 は導入されるイオン化された又はイオン化可能な種(又はこのような種の先駆体 )の溜め又は供給源を必要とする。イオン化された又はイオン化可能な種(又は このような種の先駆体)の、このような溜め又は供給源の例は、上記Jacob senの米国特許第4,250,878号に述べられているようなポウチ、W ebsterの米国特許第4,382,529号に述べられているような予成形 (pre-formed)ゲル体、及びSanderson等の米国特許第4,722,72 6号の一般に円錐状又はドーム状の成形品を包含する。このような薬物溜めは、 イオン導入式デバイスのアノード又はカソードに電気的に接続して、1種以上の 望ましい種又は作用剤の固定した又は再生可能な供給源を与える。 さらに最近では、ドナー電極アセンブリとカウンター電極アセンブリが“マル チーラミネート(multi-laminate)”構造を有するイオン導入式投与デバイスが開 発されている。これらのデバイスでは、ドナー電極アセンブリとカウンター電極 アセンブリがそれぞれ、(通常は)ポリマーマトリックスの多重層によって形成 される。例えば、Parsiの米国特許第4,731,049号は、親水性ポリ マーに基づく電解質溜め及び薬物溜め層と、皮膚接触ヒドロゲル層と、任意に1 つ以上の半透過性膜層とを有するドナー電極アセンブリを開示している。さらに 、Ariura等の米国特許第4,474,570号は、電極アセンブリが導電 性樹脂フィルム電極層と、親水性ゲル溜め層と、アルミニウムホイル導体層と、 絶縁性バッキング層とを包含するデバイスを開示している。 イオン導入式投与デバイスにおける薬物溜めマトリックス及び電解質溜めマト リックスとして用いるために、ヒドロゲル類が一部にはそれらの高い平衡水含量 とそれらの迅速な吸水能力とのために、特に好まれている。さらに、ヒドロゲル 類は皮膚及び粘膜との良好な生体適合性を有する傾向がある。 イオン導入は薬物の局所投与及び全身投与の両方に用いられている。イオン導 入プロセスは多くの薬剤又は薬物の経皮投与に用いられている。例えば、電流供 給の強度、プロフィル及び期間のような電気的要素と、例えば、pH又はイオン 強度のような物理化学的な要素との制御が浸透の速度及び期間を調節することを 可能にする。本明細書で意図するように、投与されるべき特定の治療剤は完全に 荷電(即ち、100%イオン化)されるか、完全に無荷電であるか、又は部分的 に荷電され、部分的に無荷電であることができる。治療剤又は種は電気的移動(e lactromigration)、電気的浸透、又は両方の組合せによって投与されることがで きる。電気的浸透は一般に、治療種(therapeutic species)溜めへの動電力(elec tromotive force)の供給の結果としての、治療種が含有される溶媒の移動から生 ずる。 中程度から重度の痛覚の全身管理のための鎮痛薬の経皮投与が特に重要である 。薬物投与の速度と期間との制御は、過剰な投与量の可能な危険性と不充分な投 与量の不快感とを避けるために、鎮痛薬の経皮全身投与にとって特に重要である 。 経皮投与経路に適用されている鎮痛薬の1種類は合成アヘン剤、4−アニリン ヒペリジン類のグループである。合成アヘン剤、例えばフェンタニールとある種 のその誘導体、例えばスフェンタニール及びアルフェンタニールは経皮投与に特 に良好に適する。これらの合成アヘン剤はそれらの迅速な鎮痛開始と、高い効力 と、短い作用期間とを特徴とする。これらはモルヒネよりもそれぞれ80倍と8 00倍大きい効力を有すると推定される。これらの薬物は、用いられる形態にお いて、弱い塩基、即ち、その主要な部分が酸性溶液中でカチオンであるアミンで ある。さらに、これらの薬物又は作用剤は多塩基性アニオン・対イオン、例えば 、シトレート、タルトレート及びマレエートを有する。 この発明に好ましく用いられるアミン薬物は、例えばフェンタニールクエン酸 、スフェンタニールクエン酸のような、クエン酸塩として製薬的に入手可能であ る。これらの鎮痛性クエン酸塩のイオン導入式投与のin vitro研究とi n vivo研究とが報告されている。例えば、ThysmanとPreat,Anesth.Analg .,77巻(1993),61〜66を参照のこと。 血漿濃度を測定するin vivo研究において、ThysmanとPreat は、pH5のクエン酸塩緩衝剤中においてイオン導入式投与のためのフェンタニ ール及びスフェンタニールの単純拡散を比較した。単純拡散は検出可能な血漿濃 度を生じなかった。到達可能な血漿濃度は、皮膚を横切ることができる薬物の最 大流敏と、薬物の薬物動力学クリアランス変数とに依存した。イオン導入式投与 は受動的な経皮バッチに比べて顕著に減少した遅延時間(lag time)(即ち、ピー ク血漿レベルに達するために要する時間)を有することが報告された(1.5時 間対14時間)。したがって、これらの薬物の受動的投与を凌駕する、薬物のア クティブ電気的移送式(electrotranstophoretic)投与には、多くの問題がまだあ る。例えば、フェンタニールは酸性溶液中でカチオンFH+(Fはフェンタニー ルを表す)として存在する。多塩基性クエン酸アニオンを有するフェンタニール の製薬 的に入手可能な形であるフェンタニールクエン酸は、フェンタニールによる塩形 成にクエン酸の3つのカルボン酸基の1つのみを関係させるように思われる。皮 膚の最適化透過選択性(optimized permselectivity)のためのpH、即ち、pH =6.0において、残りの2つのカルボン酸基はイオン化して、イオン化におい て発生したプロトン(H+)が電気的移送プロセスにおける投与に関してFH+と 競合する。この競合はFH+剤の投与の総合効率を低下させる。 以前の研究は例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのような塩基による フェンタニールクエン酸の中和を含めていた。水酸化ナトリウム又は水酸化カリ ウムのような塩基によるフェンタニールクエン酸のこのような中和が、プロトン と同様に、電気的移送プロセス中の投与に関してフェンタニールカチオンと競合 する、他の小さい一価カチオンを導入することと殆ど同じであることが判明して いる。 現在までに、当該技術分野は、電気的移送プロセスにおいて競合イオンを減ず るというこの問題に対して解決策で答えていない。 発明の概要 本発明は、治療剤が溶液中に作用剤カチオンと多塩基性アニオン対イオンとを 含む場合に、電気的移送によって体表を通して治療剤を投与するための改良され た電気的移送式デバイスと方法を提供する。電気的移送式デバイスは投与される べき治療剤と、溶液中で金属カチオンMとpH増強性アニオンXとを形成する化 合物との溶液を含有するドナー溜めを含み、金属カチオンMは少なくとも+2の 電荷を有し、前記多塩基性アニオン対イオンと反応して、錯体(complex)を形成 する。この方法は該溶液を体表に対して治療剤−伝達関係に置くことと、電気的 移送によって治療剤を体表を通して投与することを含む。 本発明の他の態様は、電気的移送式投与デバイスのドナー溜め中の治療剤の溶 液のpHを調節する方法である。この方法は治療剤の溶液中に、式: MX (I) [式中、Mは少なくとも+2の原子価を有し、前記多塩基性アニオン対イオンと 反応して、錯体を形成する金属カチオンであり、XはpH増強性アニオンである ]で示される多価金属化合物を加えることを含む。 Mは好ましくはアルミニウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、チ タン及び亜鉛から成る群から選択される。Xは好ましくは、オキシド、ヒドロキ シド、カーボネート、アルコキシド、アルキル、ヒドリド、アセトニルアセトネ ート及び混合アセトニルアセトネート−アルコキシドから成る群から選択される 。最も好ましいのは、Mがカルシウム、亜鉛又はアルミニウムであり、Xがオキ シド又はヒドロキシドであるような式I化合物である。治療剤は好ましくは塩で あり、より好ましくはアミンであり、最も好ましくはフェンタニールクエン酸、 スフェンタニールクエン酸及びアルフェンタニールクエン酸から成る群から選択 されるアミン塩である。 別の態様では、本発明は式: [式中、R1とR2は同じ又は異なるものであることができ、−H、−OH、低級 アルキル、カルボキシル又はアルコキシから成る群から選択され;R3は−H、 −OH、低級アルキル又はアルコキシから成る群から選択され;R4とR5は同じ 又は異なるものであることができ、−H、−OH、アルキル、低級アルキル、ア ルコキシ又はカルボキシルから成る群から選択され;Yは投与されるべきアミン 薬物であり:Mは金属カチオンであり;nは2以上の値を有する整数である] で示されるアミン薬物錯体である。好ましくは、式(II)のアミン錯体の生成 定数は1x104である。 好ましい態様では、本発明は式:[式中、Mはアルミニウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、チタン 及び亜鉛から成る群がら選択される金属カチオンであり;Yはフェンタニール、 スフェンタニール又はアルフェンタニールであり;nは2以上の値の整数である ]で示される錯体であり、この金属錯体(III)の生成定数は約1x104よ り大きい。式(III)の好ましい錯体は、水素(−H)を含む、式(II)の R1、R2、R4及びR5と、ヒドロキシル(−OH)を含むR3とを有する。 さらに他の態様では、本発明はイオン導入式デバイスのための薬物溜めを提供 する。この溜めは、イオン導入によって投与されるべき作用剤と、この作用剤に よって飽和された、両面(opposite sides)を有するヒドロゲルディスクと、該ヒ ドロゲルディスクの片面(one side)上に層状に重ねられた式(I)の多価金属化 合物とを包含する。投与されるべき作用剤はフェンタニール、スフェンタニール 又はアルフェンタニールであり、適当には、ポリカルボン酸の塩の形状である。 或いは、ヒドロゲルディスクが作用剤の塩と、式(I)の金属化合物の両方を含 有する。ヒドロゲルディスクは本質的に任意の適当なヒドロゲルを含むことがで きる。好ましくは、このディスクは例えばポリ(アクリルアミド)、ポリ(2− ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート )、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(n−メチロールアクリルアミ ド)、ポリ(ジアセトンアクリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタク リレート)、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ(アリルアルコール)から成る 群から選択されるヒドロゲルを含む。ヒドロキシル官能性縮合ポリマー(即ち、 ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類)も、適当な合成ポリマ ーの例である。ゲルマトリックスとしての使用に適した天然生成ポリマー(又は その誘導体)はセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、セルロースと ヒドロキシレートセルロース(hydroxylate cellulose)、メチルセルロースとヒ ド ロキシル化メチルセルロース、例えばグアー、イナゴマメ(locust)、カラヤ、キ サンタン、ゼラチン及びこれらの誘導体のようなガムによって例示される。 さらに他の態様では、本発明はイオン導入式デバイスを提供する。このデバイ スは薬物溜めを包含するドナー電極と;カウンター電極と;ドナー電極とカウン ター電極とに電気的に結合した電気エネルギー源とを包含する。薬物溜めはイオ ン導入によって投与されるべき作用剤と、この作用剤によって飽和された、両面 を有するヒドロゲルディスクと、該ヒドロゲルディスクの片面上に層状に重ねら れた式(I)の多価金属化合物とを包含する。投与されるべき作用剤はフェンタ ニ−ル、スフェンタニール又はアルフェンタニールであり、ポリカルボン酸の塩 の形状である。或いは、ヒドロゲルディスクが作用剤の塩と、式(I)の金属化 合物の両方を含有する。ヒドロゲルディスクは上述したようなヒドロゲルを含む 。多価金属化合物も上述したものであり、好ましくは式(I)の化合物を含む。 本明細書で用いるかぎり、“処理する”なる用語は、非限定的に、“反応させ る”、“沈降させる”、“錯形成する(complexing)”、“キレート化する”及び “混合する”を包含するものと広範囲に解釈すべきである。 本明細書で用いるかぎり,、“多塩基性アニオン対イオン”なる用語は、典型 的にカルボン酸に関連して、塩形成のために利用可能な2個以上の水素原子を有 する任意のカルボン酸を意味するものと意図される。ジカルボン酸、トリカルボ ン酸及びテトラカルボン酸(及びそれ以上のカルボン酸)が本発明によって考え られるが、これらを本発明を限定するものと解釈すべきではない。例えば、非限 定的に、この用語はその範囲内にポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及び一般 に任意のポリカルボン酸を含む。多塩基性アニオン対イオンの他のファミリーは 、スチレン/マレイン酸のコポリマー類であると考えられる。当業者はこの定義 を他の化学種に適用することができるであろう。 本明細書で用いるかぎり、及び当該技術分野で一般的に用いられるように、“ ポリデンテート(polydentate)”又は“ジデンテート(didentate)”なる用語は、 単一リガンドが金属イオンと共に形成する配位結合の数を意味する。これらの用 語は大ざっぱには、上記で定義した“多塩基性”なる用語と同義語である。 本発明の他の利点と、特定の適用、組成的変化及び物理的性質(physical attr ibutes)についてのより詳細な理解とは、以下の図面、好ましい実施態様の詳細 な説明、及び添付請求の範囲を検討するならば得られると考えられる。図面は例 示と説明のためのみのものであり、本発明の範囲を限定するものとは意図されな いことが明白に理解される。 図面の簡単な説明 本発明の好ましい典型的な実施態様を以下において添付図面に関連して説明す る: 図1は、本発明による電気的移送式薬物投与デバイスの分解組み立て図である 。 発明を実施するための態様 本発明は広範囲には、治療剤をイオン導入式投与するための改良された方法と 、そのための投与系とに関する。より詳しくは、本発明はある一定の薬物又は治 療剤の電気的移送式投与による投与に特に良好に適する。本発明の実施における 好ましい治療剤は塩基性であり、好ましくはアミンであり、最も好ましくは上述 したようなフェンタニールと関連種である。したがって、本発明を次にこのよう な好ましい種に関連して詳細に説明する。しかし、本発明のこのような説明が例 示であることのみを意味し、発明の全範囲を限定するもと見なすべきでないこと を、当業者は理解するであろう。 本発明は、その態様の1つにおいて、アミン薬物塩又はアミン治療剤のイオン 導入式薬物投与における流量を増加させる方法である。本発明の好ましい実施に よる治療のためのアミン薬物塩は4−アニリンピペリジン類の合成アヘン剤から 選択される。多くの治療剤と同様に、これらの化合物は水溶液中でカチオンとし て存在する。これらの合成アヘン剤はクエン酸塩として製薬的に入手可能である 。本発明による好ましい合成アヘン剤は、例えばフェンタニールクエン酸、スフ ェンタニールクエン酸及びアルフェンタニールクエン酸のアミンクエン酸塩であ る。 フェンタニールクエン酸(遊離フェンタニール塩基20mg/ml)の水溶液 は約3.8のpHを有する。アミン塩を例えば酸化物又は水酸化物、例えば酸化 亜鉛又は水酸化カルシウムのような多価金属化合物によって処理する、即ち、中 和するならば、pHは上昇し、薬物カチオンの電気的移送は増強されることが判 明している。化学量論量の金属化合物の添加(即ち、金属化合物1モル/モル クエン酸アニオン)はpHを約5〜6、皮膚の透過選択性のための最適pHにま で高める。 例えばフェンタニールクエン酸のようなアミンクエン酸塩では、クエン酸のカ ルボン酸基の1つのみがアヘン剤アミンとの塩形成に関係する。残りの2つのカ ルボン酸基はイオン化され、プロトンが電気的移送に関してフェンタニールカチ オン、FH+と競合する。しかし、例えばクエン酸のようなポリカルボン酸はポ リデンテートリガントとしても作用する、即ち、カルボン酸基はリガンドとして 作用する。一般に、多価金属イオンはポリデンテートリガンドに強く結合する。 それ故、理論によって縛られるのを意図するわけではないが、本発明の方法によ って得られた結果に関して提案された機構は、カルボン酸基と多価金属塩基との 反応が金属イオンとカルボン酸基との間の錯形成(complexation)を生じる、即ち 、酸基が金属イオンを錯化する(complex)ためのビデンテートリガンドとして作 用するということである。このような中和/錯形成は、塩としてのフェンタニー ルクエン酸と多価金属塩基化合物としての酸化亜鉛とを示す下記式によって生じ る: このような反応において、水溶液中の多価金属イオンの濃度は、例えば、酸基 の中和に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いる場合のナトリウム又はカ リウムのような非錯形成金属イオンに比べて、大きく減少する。溶液中の金属イ オン濃度が無視できる程度であるならば、フェンタニールカチオンの電気的移送 は低下しない。 リガンドとの金属錯体の安定性は生成定数、Kによって表され、生成定数Kは 以下に示すように、錯化金属イオンと非錯化金属イオンとの間の平衡の尺度を与 える。 Mn++ L3- ⇔ ML+n-3 式中、Mn+は上記で説明したように金属カチオンであり、Lは例えばシトレート のような−3の電荷を有するリガンドである。それ故、生成定数Kは下記のよう に表される: リガンドによる金属イオンの錯形成に関するKが大きいならば、溶液中の金属イ オンの濃度は小さい。この場合に、本発明による金属イオンは例えばフェンタニ ールクエン酸の2つのカルボン酸基に強く結合する。それ故、アミン塩薬物によ る錯形成から生ずる遊離金属イオンの濃度は典型的に<0.05mM(又は治療 剤の約0.01%未満)であり、生成定数Kは約1x10+4〜約1x10+8又は それ以上の範囲内である。 他の態様では、本発明は、対象(subject)に対する水性媒質中のアミン薬物の 強化されたイオン導入式投与を生じるアミン薬物の組成物である。この組成物は 、水性媒質中に、下記式の錯体を含む: 式中、YH+はフェンタニール、スフェンタニール及びアルフェンタニールから 成ろ群から選択されるカチオン薬物であり;Mはアルミニウム、カルシウム、コ バルト、銅、鉄、ニッケル、チタン及び亜鉛から成る群から選択される多価金属 イオンであり:nは2以上の値の整数であり;M−COO-結合の生成定数は1 x104より大きい。Mが亜鉛、カルシウム及びアルミニウムであり、水性媒質 中の式(III)の錯体のpHが約5〜6であるような、式(III)の組成物 が好ましい。 フェンタニールに構造的に類似した化合物であるN−メチルピペリジンを式( I)の化合物と反応させたモデル化合物研究によって初めて、錯体形成と改良さ れた電気的移送とが確認された。N−メチルピペリジンクエン酸の赤外(IR) スペクトルを、N−メチルピペリジンクエン酸の水溶液に化学量論量の酸化 亜鉛を添加することによって形成された錯体のIRスペクトルと比較した。この IRスペクトルは誘導された化合物(derived compound)に一致したが、クエン酸 亜鉛及びN−メチルピペリジンクエン酸のIRスペクトルとは明らかに異なった 。 アヘン剤アミンクエン酸(opiate amine citrate)の改良された電気的移送は本 発明によって実証されている。式(I)の化合物によって中和されたフェンタニ ールクエン酸を電気的移送式デバイスに供給して、電気的移送式流量を測定した 。式(I)化合物による処理がフェンタニールの電気的移送式流量(mg/cm2 −時)を約25%〜約150%改良することが判明している。 本発明の方法は電気的移送式薬物投与系に関して如何なる意味でも限定されな いので、本発明の方法を非常に多様な電気的移送式薬物投与系と共に用いること ができることは、当業者によって理解されるであろう。電気的移送式薬物投与系 の例に関しては、Theeuwes等への米国特許第5,147,296号、T heeuwes等への米国特許第5,080,646号、Theeuwes等へ の米国特許第5,169,382号及びGyory等への米国特許第5,169 ,383号を参照することができ、これらの特許の開示は本明細書に援用される 。 図1は、本発明の方法と共に用いることができる典型的な電気的移送式投与デ バイスを説明する。デバイス10は上部ハウジング16と、回路板アセンブリ1 8と、下部ハウジング20、アノード電極22と、カソード電極24と、アノー ド溜め26と、カソード溜め28と、皮膚適合性接着剤30とを含む。上部ハウ ジング16は、患者の皮膚上のデバイス10の保持を容易にする側方ウィング1 5を有する。上部ハウジング16は好ましくは射出成形可能なエラストマー(例 えば、エチレンビニルアセテート)から構成される。印刷回路板アセンブリ18 は個別の要素40に結合した集積回路19とバッテリー32とを含む。回路板ア センブリ18は開口13aと13bを貫通するポスト(図1に示さず)によって ハウジング16に取り付けられ、ポストの末端はハウジング16に回路板アセン ブリ18を熱固定する(heat stake)ために加熱/溶融される。下部ハウジング2 0は上部ハウジング16に接着剤30によって結合し、接着剤30の上面34は 下部ハウジング20と、ウィング15の底面を含めた上部ハウジング16とに付 着する。 ボタンセルバッテリー32は、回路板アセンブリ18の下側に(部分的に)示 す。デバイス10に電力を与えるために他の種類のバッテリーを用いることもで きる。 デバイス10は一般に、バッテリー32と、電子回路19、40と、電極22 、24と、薬物/化学物質溜め26、28から構成され、これらの全ては自立型 ユニット中に組み込まれる。回路板アセンブリ18の出力(図1に示さず)は下 部ハウジング20中に形成されたくぼみ25、25’中の開口23、23’を通 して、導電性接着剤42、42’によって電極24と22に電気的に接触する。 その結果として、電極22と24は薬物溜め26と28の上面44’、44と直 接機械的及び電気的に接触する。薬物溜め26、28の底面46’、46は接着 剤30中の開口29’、29を通して患者の皮膚に接触する。 デバイス10は任意に、患者が薬物の投与量を電気的移送によって自己投与す ろことを可能にする特徴を有する。プッシュボタン・スイッチ12を圧し下げる と、回路板アセンブリ18上の電子回路が予め定められたDC電流を電極/溜め 22、26と24、28とに予め定められた長さの投与間隔(delivery interval )にわたって供給する。プッシュボタン・スイッチ12は便利にはデバイス10 の上面に配置され、衣服を通して容易に作動される。短時間(例えば、3秒間) 内のプッシュボタン・スイッチ12の二重押圧を用いて、デバイスに薬物投与を 開始させ、それによってデバイス10の不注意な始動の可能性を最小にすること が好ましい。好ましくは、デバイスは、持ち上げられるLED14及び/又は、 例えば“ビーパー”からの可聴音シグナルによって、薬物投与間隔の開始の視覚 による及び/又は聴覚による確認を使用者に伝達する。薬物は予め定められた投 与間隔にわたって例えば腕上での電気的移送によって患者の皮膚を介して投与さ れる。 アノードドナー電極22は好ましくは銀から構成され、カソードカウンター電 極24は好ましくは塩化銀から構成される。溜め26と28の両方は好ましくは ポリマーヒドロゲル材料から構成される。電極22、24と溜め26、28は下 部ハウジング20によって保持される。 プッシュボタン・スイッチ12、回路板アセンブリ18上の電子回路及びバッ テリー32は上部ハウジング16と下部ハウジング20との間に接着剤によって “シールされる”。上部ハウジング16は好ましくはゴム又は他のエラストマー 材料から構成される。下部ハウジング20は好ましくは、くぼみ25、25’を 形成するように容易に成形され、開口23、23’を形成するために容易にカッ トされることができるプラスチック又はエラストマーシート材料(例えば、ポリ エチレン)から構成される。組み立てられたデバイス10は好ましくは耐水性( 即ち、耐スプラッシ性)であり、最も好ましくは防水性である。この系は身体に 容易に順応する低いプロフィルを有するので、装着部位における及び装着部位周 囲の動きの自由を可能にする。溜め26と28はデバイス10の皮膚接触面に配 置され、正常な取り扱い及び使用中の偶発的な電気的ショートを防止するために 充分に分離されている。 デバイス10は、上面34と身体接触面36とを有する周辺接着剤30によっ て体表(例えば、皮膚)に接着する。接着面36は、デバイス10が正常な使用 者の活動中に身体上の適所に留まることを保証し、予定の(例えば24時間)装 着期間後の妥当な除去をなお可能にするような接着性を有する。上部接着面34 は下部ハウジング20に接着し、ハウジングくぼみ25、25’内に電極と薬物 溜めとを保持し、上部ハウジング16に付着した下部ハウジング20を保持する 。 溜め26と28は一般に、アノード溜め26中に均一に分配された薬物溶液と 共に、ゲルマトリックスを含む。約1x10-4M〜1.0M以上の範囲内の薬物 濃度を用いることができ、この範囲の低い部分内の薬物濃度が好ましい。ゲルマ トリックスのために適したポリマーは本質的に任意の合成及び/又は天然生成ポ リマー材料を含むことができる。活性剤の溶解性を強化するために、活性剤が極 性及び/又はイオン化可能である場合には、極性が好ましい。任意に、ゲルマト リックスは水膨潤性である。適当な合成ポリマーの例は、非限定的に、ポリ(ア クリルアミド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−ヒド ロキシプロピルアクリレート)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ( n−メチロールアクリルアミド)、ポリ(ジアセトンアクリルアミド)、ポリ( 2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)及びポリ( アリルアルコール)を包含する。ヒドロキシル官能性縮合ポリマー(即ち、ポ リエステル類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類)も、適当な極性合成ポリ マーの例である。ゲルマトリックスとしての使用に適した極性天然生成ポリマー (又はその誘導体)はセルロースエーテル、メチルセルロースエーテル、セルロ ースとヒドロキシル化セルロース、メチルセルロースとヒドロキシル化メチルセ ルロース、例えばグアー、イナゴマメ、カラヤ、キサンタン、ゼラチン及びこれ らの誘導体のようなガムによって例示される。イオン性ポリマー(ionic polymer )も、利用可能な対イオンが薬物イオン又は、活性剤に比べて反対に荷電した他 のイオンであるならば、マトリックスに使用可能である。 本発明のpH調節された薬物溶液は薬物溜め、例えば直前に述べたゲルマトリ ックス中に組み込まれて、上記で例示したような電気的移送式薬物投与系を任意 に用いて、患者に投与される。薬物溶液の組み込みは多様な方法で、即ち、溶液 を溜めマトリックス中に吸収させることによって、薬物溶液をヒドロゲル形成前 のマトリックス材料と混合することによって、又はマトリックス形成後の溜めマ トリックス中に溶液を吸収させることによっておこなうことができる。或いは、 薬物と化合物MXとを乾燥した溜めマトリックス中に入れて、後で液体溶媒(例 えば、水)を乾燥マトリックスに加えることができる(例えば、使用時に)。 化合物MXを好ましくはドナー溜め26の全体中に分配する。最も好ましくは 、化合物MXのモル装入量(molar loading)は溜め26中の治療剤のモル装入量 に等しい。組成(formulation)のpHが調節される方法(way)のために、競合イオ ン又は異質の(extraneous)汚染物は避けられ、薬物流量は最適化する。 ドナー溜め26は典型的に約1cm2〜約50cm2の範囲内の皮膚接触面積を 有する。一般的にいうと、約50〜5000μAの範囲内の電流が薬物投与中に 用いられる。 上述したように、本発明は、作用剤カチオンと多塩基性アニオン対イオンとを 含む本質的に任意の治療種の電気的移送式投与に適用可能である。本発明が有望 である他の治療種の例は、非限定的に、リスリド・マレエート(lisride maleate )、ロキサピン・スクシネート(loxapine succinate)、メタラミノール・ビタル トレート及びオキサレート二水和物(mataraminol bitartrate and oxalate dihy drate)、エピネフリン・ビタルトレート(epinephrine bitartrate)、ブロビンカ ミン.フマレート(brovincamine fumarate)、ジエチルカルバマジン・シトレー ト(diethylcarbamazine citrate)、ジメチデン・マレエート(dimethidene malea te)、デクストロモラミド・タルトレート(dextromoramide tartrate)、アセプロ マジン・シトレート(acepromazine citrate)、ジエチルカルバマジン・シトレー トを包含する。一般的にいうと、酸化亜鉛が、選択された治療剤と反応させるた めに好ましい種MXである。本発明の全範囲を理解する当業者は、本発明を適用 することができる他の多くの治療種が存在することを恐らく認識するであろう。 本発明を下記実施例によってさらに説明するが、これらの実施例を本発明の範囲 を限定するものと解釈すべきではない。実施例に述べたプロセス工程は、他に指 定しないかぎり、室温及び大気圧において実施される。 実施例1 水酸化カルシウムによる中和と錯体形成の実証 アミンクエン酸塩と水酸化カルシウムとの反応を研究するために、即ち、特に 、クエン酸塩溶液のpHを調節する水酸化カルシウムの能力を評価するために、 モデル化合物試験を開始した。選択したアミンは合成アヘン剤とのその構造的類 似性のためにN−メチルピペリジンであった。 N−メチルピペリジニウムクエン酸(N-methylpiperidinium citrate)は、エタ ノール中でのクエン酸とN−メチルピペリジンとの反応によって製造した。クエ ン酸とエタノールとを25℃において完全に溶解するまで混合した。N−メチル ピペリジンをクエン酸溶液に5分間にわたって滴加した。塩を熱エタノールから 再結晶し、IRスペクトルを測定し、目的化合物と一致することを発見した。 10mlの0.05mM N−メチルピペリジニウムクエン酸水溶液中に、( 等モル量)0.37gの水酸化カルシウムを加えた。この溶液を25℃において 約5分間撹拌した後に、透明な溶液が形成された。約30分間後に、白色沈殿が 形成された。単離した沈殿のIRスペクトルはクエン酸カルシウムのスペクトル と一致した。カルシウムイオンがクエン酸塩分子の2つの酸基と結合した中間体 は単離されなかった。水酸化カルシウムの添加は溶液のpHを3.7から6.1 に調節した。これらの結果は、水酸化カルシウムがクエン酸薬物塩のpHを調 節するために有用であることを示した。 実施例2 酸化亜鉛による中和と錯体形成の実証 N−メチルピペリジニウムクエン酸の水溶液のpHを調節するZnOの能力を 評価するために、実施例1と同様な研究を開始した。酸化亜鉛の添加は、この反 応がクエン酸亜鉛を沈殿として生じなかった点でやや異なる結果をもたらした。 N−メチルピペリジニウムクエン酸は実施例1に述べたように製造した。10 mlの0.05mM N−メチルピペリジニウムクエン酸水溶液中に、等モル量 (0.005モル)の酸化亜鉛を加えた。イソプロピルアルコールによる沈降に よって亜鉛錯体を単離させ、熱イソプロピルアルコール/水から再結晶した。得 られた錯体のIRスペクトルは目的生成物、即ち、2つの酸基に結合した亜鉛イ オンと一致したが、クエン酸亜鉛のIRスペクトルとは明らかに異なった。酸化 亜鉛の添加は溶液のpHを3.7から5.7に調節した。これらの結果は、酸化 亜鉛がクエン酸薬物塩のpHを調節するために有用であることを示した。 実施例3 水酸化カルシウムを塗布したヒドロゲル溜めを用いた中和と錯体形成 この実験では、N−メチルピペリジニウムクエン酸を含有するヒドロゲル(ド ナー溜めとして適切)のpHを水酸化カルシウムの添加によって調節した。下記 組成を有する電気的移送式デバイスに用いるために適したヒドロゲルディスクを 下記のように当該技術分野において公知の方法によって製造した。 物質 重量% 脱イオン水 83.5 非イオン性グアー 0.5 グリセロール 5.0 Mowiol 66−100 10.5 Methocel K100MP 1.0 N−メチルピペリジニウムクエン酸を1枚の秤量紙上で秤量して、ヒドロゲルデ ィスクの表面に移した。非常に水溶性である、このアミンクエン酸塩は5分間未 満でヒドロゲルディスク中に拡散した。これらの吸収済みゲルディスクを密封ポ ウチに入れて5℃において貯蔵した。このゲルのpHを24時間後に測定した。 水酸化カルシウムをヒドロゲルディスクの片面上にスパチュラで均一に広げた。 これらのヒドロゲルのpHを水酸化カルシウムの塗布後72時間と168時間目 に測定した。結果は表1に示す。 表1 NMP-CT* 24時間 Ca(OH)2 Ca(OH)2 72時間 168時間ゲル # モル pH@ mg ml pH@ pH@ 1 1.18x10-4 4.0 9.06 1.22x10-4 5.7 5.8 2 1.18x10-4 4.1 6.73 0.91x10-4 5.0 5.2 3 1.20x10-4 4.1 4.54 0.61x10-4 4.6 4.7 *NMP−CT=N−メチルピペリジニウムクエン酸 ヒドロゲル中での反応は、実施例1の溶液中で観察された反応と相互に関係し た。表1から分かるように、水酸化カルシウムの添加はヒドロゲルのpHを中和 した。表1はまた、金属化合物のクエン酸塩に対するモル比率が1:1に接近す るにつれて、強化された中和が生ずることを示す。7日間後に、白色固体がディ スクの表面上に観察された。この固体は未反応水酸化カルシウム及び/又はクエ ン酸カルシウムの混合物であった。 実施例4 酸化亜鉛を塗布したヒドロゲル溜めを用いた中和と錯体形成 実施例1に述べたように製造したヒドロゲルディスクにN−メチルピペリジニ ウムクエン酸を吸収させた。密封ポウチに入れたゲルを5℃において24時間貯 蔵した後に、ゲルのpHを測定した。次に、酸化亜鉛をヒドロゲルディスクの片 面上にスパチュラで均一に広げた。これらのゲルを密封ポウチに入れてさらに2 4時間貯蔵して、pHを測定した。6日間と7日間後に(即ち、塗布後144時 間と168時間目に)、ゲルのpHを再度測定した。結果は表2に示す。ゲルの 表面上に未反応酸化亜鉛は観察されなかった。 表2 NMP-CT 24時間 添加ZnO 24時間 144時間 168時間ゲル # モル pH@ モル pH@ pH@ pH@ 1 1.17x10-4 3.8 1.20x10-4 6.6 5.6 5.3 2 1.18x10-4 3.8 0.91x10-4 4.4 4.6 4.4 3 1.19x10-4 3.8 0.61x10-4 4.5 4.4 4.3 ヒドロゲル中での反応は、実施例2の溶液中で観察された反応と相互に関係し た。酸化亜鉛はN−メチルピペリジニウムクエン酸と反応して、ヒドロゲルを効 果的に中和した。表2はまた、金属化合物のクエン酸塩に対するモル比率が1: 1に接近するにつれて、強化された中和が生ずることを示す。ゲル中で観察され た比較的大きいpHシフトはゲル中にN−メチルピペリジニウムクエン酸と反応 しないで残留する若干の酸化亜鉛に起因するものであった。より多くの酸化亜鉛 が反応すると、pHは低下した。 実施例5 フェンタニール吸収済みヒドロゲルを用いた中和と錯体形成 酸化亜鉛又は水酸化カルシウムのいずれかを含有するヒドロゲルディスクを下 記組成を有する混合物から製造した: 物質 重量% 非イオン性グアー 0.5 グリセロール 5.0 Mowiol 66−100 8.0 Methocel K100MP 1.0 コレスチラミン 10.0 酸化亜鉛 0.31 又は 水酸化カルシウム 0.28 脱イオン水 残部 これらのヒドロゲルディスクにゲル中の金属化合物に対して1:1のモル比率 でフェンタニールクエン酸を吸収させた。金属作用剤を含まないこの組成のヒド ロゲルは3.8のpHを示す。ヒドロゲル中への水酸化カルシウム又は酸化亜鉛 の添加はこのpHを5.8に上昇させた。 この実施例のヒドロゲルを次に、ヒト表皮サンプルを横切るフェンタニール投 与を評価するために電気的移送式デバイスに組み入れた。これらの系は1cm2 の薬物放出面積を通して100μAの電流を与えた、電気的移送式流量を測定し て、結果を表3に示す。 表3 定常状態要約 添加した 平均流量 標準偏差 金属化合物 (μg/cm2−時) なし 11.8 2.4 酸化亜鉛 15.2 2.1 水酸化カルシウム 29.7 4.2 表3は、定常状態において、酸化亜鉛と水酸化カルシウムの両方が皮膚を通し てのフェンタニール流量を高めることを示す。しかし、水酸化カルシウムの添加 は、錯体形成なしの同じ条件下で実施したデバイスに比べて、系のフェンタニー ル流量を非常に高めた。 実施例6 エピネフリン・ビタルトレートを水中に溶解して、水溶液を製造する。このエ ピネフリン・ビタルトレート溶液にさらに酸化亜鉛を混合する。エピネフリン・ ビタルトレート溶液への酸化亜鉛の添加は、そのpHを高め、錯体を形成する。 この錯体は電気的移送による投与の増強を示す。 要約すると、本発明は塩基性の、主としてアミン薬物塩、主として合成アヘン 剤の電気的移送を、塩形成に関与しない酸基を、イオン導入式投与の前に加熱す る、即ち、中和して、錯体形成することによって改良する方法を提供する。本発 明はまた、合成アヘン剤のそれらのカチオン形での電気的移動を促進する、合成 アヘン剤のアミン金属クエン酸塩錯体形をも提供する。本発明の方法を用いたイ オン導入式デバイスも提供される。 本発明を今までに幾らか専門的に説明し、例示してきたが、当業者は、説明し てきたことにおいてなされうる変化、添加及び削除を含めた種々な改変を理解す るであろう。したがって、これらの改変も本発明に包括されること及び本発明の 範囲が、添付請求の範囲と法律的に適合しうる最も広い解釈によってのみ限定さ れることが意図される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP ,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU, LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI ,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ, VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.治療剤カチオンと多塩基性アニオン対イオンとを含む、投与されるべき 治療剤を包含する、治療剤を体表を通して投与する電気的移送式デバイス(10 )のドナー溜め(26、28)であって、 溶液中で少なくとも+2の原子価を有する金属カチオンMとpH増強性アニオ ンXとを形成する化合物を含み、カチオンMが多塩基性アニオン対イオンと錯体 を形成することを特徴とするドナー溜め(26、28)。 2.化合物が式:MXを有し、式中、Mはアルミニウム、カルシウム、コバ ルト、銅、鉄、ニッケル、チタン又は亜鉛であり;Xはオキシド、ヒドロキシド 、カーボネート、アルコキシド、アルキル、ヒドリド、アセトニルアセトネート 又は混合アセトニルアセトネート−アルコキシドである、請求項1記載のドナー 溜め(26、28)。 3.MXが酸化亜鉛又は水酸化カルシウムである、請求項2記載のドナー溜 め(26、28)。 4.化合物が溜めに、溜めのpHを高めるために加えられる、請求項1記載 のドナー溜め(26、28)。 5.溜め(26、28)が、治療剤の電気的移送式流量に対する体表の透過 選択性が強化されるような範囲内のpHを有する、請求項4記載のドナー溜め( 26、28)。 6.体表が皮膚であり、溜めのpHが約5〜約7の範囲内である、請求項4 記載のドナー溜め(26、28)。 7.前記多塩基性アニオン対イオンがシトレート、オキサレート、マロネー ト、スクシネート、グルタレート、アジペート、ピメレート、マレエート、ポリ アクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドメタンスルホネート、 フマレート、又はこれらの混合物である、請求項4記裁のドナー溜め(26、2 8)。 8.前記多塩基性アニオン対イオンがシトレートである、請求項1記載のド ナー溜め(26、28)。 9.化学量論量の前記化合物がドナー溜め(26、28)に加えられる、請 求項1記載のドナー溜め(26、28)。 10.前記治療剤がクエン酸薬物塩である、請求項1記載のドナー溜め(2 6、28)。 11.多塩基性アニオン対イオンによる金属カチオンMの錯形成が、1x1 04より大きい錯体生成定数を有する、請求項1記載のドナー溜め(26、28 )。 12.溜め(26、28)が治療剤の水溶液を含む、請求項1記載のドナー 溜め(26、28)。 13.溜め(26、28)が治療剤の溶液を含有するマトリックスを含む、 請求項1記載のドナー溜め(26、28)。 14.マトリックスが親水性ポリマーを含む、請求項13記裁のドナー溜め (26、28)。 15.請求項1記載のドナー溜め(26、28)を含む電気的移送式治療剤 投与デバイス(10)。 16.式: [式中、R1とR2は同じ又は異なるものであることができ、H、−OH、低級ア ルキル、カルボキシル又はアルコキシであり;R3は−H、−OH、低級アルキ ル又はアルコキシであり;R4とR5は同じ又は異なるものであることができ、− H、−OH、アルキル、低級アルキル、アルコキシ又はカルボキシルであり;Y はフェンタニール、スフェンタニール又はアルフェンタニールであり;Mは金属 カチオンであり:nは2以上の値を有する整数である] で示されるアミン薬物錯体。 17.金属錯体の生成定数が1x104より大きい、請求項16記載のアミ ン薬物錯体。 18.式: [式中、Mはアルミニウム、カルシウム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、チタン 及び亜鉛から成る群から選択される金属カチオンであり;Yはフェンタニール、 スフェンタニール又はアルフェンタニールである]で示され、この金属錯体の生 成定数が1x104より大きいアミン薬物錯体の組成物。 19.治療剤と化合物の溶液であって、治療剤が溶液中にカチオンと多塩基 性アニオン対イオンとを含む溶液を用意することを含む、治療剤を電気的移送に よって体表を通して投与する電気的移送式デバイス(10)のドナー溜め(26 、28)の製造方法であって、 化合物が溶液中で少なくとも+2の原子価を有する金属カチオンMとpH増強 性アニオンXとを形成し、Mが前記多塩基性アニオンと錯形成することができる ことを特徴とする上記方法。 20.化合物が式:MXを有し、式中、Mはアルミニウム、カルシウム、コ バルト、銅、鉄、ニッケル、チタン又は亜鉛であり;Xはオキシド、ヒドロキシ ド、カーボネート、アルコキシド、アルキル、ヒドリド、アセトニルアセトネー ト又は混合アセトニルアセトネートーアルコキシドである、請求項19記載の方 法。 21.MXが水酸化カルシウム又は酸化亜鉛である、請求項1記載の方法。 22.該溶液に化合物MXを加えることが溶液のpHを少なくとも2pH単 位高める、請求項1記裁の方法。 23.該溶液に化合物MXを加えることが溶液のpHを、治療剤の電気的移 送式流限に対する体表の透過選択性が強化されるようなレベルにまで高める、請 求項22記載の方法。 24.体表が皮膚であり、溶液が約5〜約7の範囲内のpHを有する、請求 項19記載の方法。 25.前記多塩基性アニオン対イオンがシトレート、オキサレート、マロネ ート、スクシネート、グルタレート、アジペート、ピメレート、マレエート、ポ リアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドメタンスルホネート 、フマレート、又はこれらの混合物である、請求項19記載の方法。 26.前記多塩基性アニオン対イオンがシトレートである、請求項19記載 の方法。 27.化合物を、溶液中の非錯形成Mの濃度を実質的に最小にするような量 で、溶液に加える、請求項19記載の方法。 28.前記治療剤がクエン酸薬物塩である、請求項19記載の方法。 29.多塩基性アニオン対イオンによる金属カチオンMの錯形成が、約1x 104より大きい錯体生成定数を有する、請求項19記載の方法。 30.該溶液が水溶液を含む、請求項19記載の方法。
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