JP2003160576A - 4h−ピラン−4−オンの簡便な製造 - Google Patents
4h−ピラン−4−オンの簡便な製造Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 大量合成に適した4H−ピラン−4−オンの
製造方法に関する。 【解決手段】 アセトンジカルボン酸ジアルキルエステ
ル(I)とN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルア
セタール(II)を縮合して合成される2,4−ビスN,
N−ジアルキルアミノメチレンアセトンジカルボン酸ジ
アルキルエステル(III)を強酸で処理し、4H−ピラ
ン−4−オンを製造する。
製造方法に関する。 【解決手段】 アセトンジカルボン酸ジアルキルエステ
ル(I)とN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキルア
セタール(II)を縮合して合成される2,4−ビスN,
N−ジアルキルアミノメチレンアセトンジカルボン酸ジ
アルキルエステル(III)を強酸で処理し、4H−ピラ
ン−4−オンを製造する。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は種々の医薬品の合成原料
として利用価値の高い4H−ピラン−4−オンの製造方
法、及びその方法に有用な中間体及びその製造方法に関
する。4H−ピラン−4−オンは抗菌剤の合成試薬であ
る4H−ピラン−4−チオン、N−アルキルピリジン−
4−チオンの製造原料として用いられる。さらに、4H
−ピラン−4−オンを文献記載の方法に従って接触還元
すれば、医薬品合成に有用な物質であるテトラヒドロ−
4H−ピラン−4−オンを容易に製造することができ
る。 【0002】 【従来技術及び解決課題】式(V): 【化3】 で示される4H−ピラン−4−オンは従来から種々の方
法によって製造されている。例えば、4H−ピラン−4
−オンの合成原料となるケリドン酸の合成法として、E.
R.Riegel及びF.Zwilgmeyerは下記の反応を開示している
[Org.Syn.Coll.Vol.2.126(1943)]。しかし、この反応
は操作が繁雑である。 【化4】 【0003】そして、そのケリドン酸を脱炭酸する方法
としてO.Henbergen及びL.N.Owenは下記の反応を開示し
ている[J.Chem.Soc.,910(1952)]。この反応は脱炭酸
反応に高温が必要なことが欠点である。 【化5】 【0004】さらに、C.Desouza,Y.Hajikarian及びP.WS
heldrrakwは下記の反応を開示している[Synth.Commu
n.,22.755(1992)]。しかし、この反応も脱炭酸反応に
高温が必要である。 【化6】このように、4H−ピラン−4−オンは従来から種々の
方法によって製造されているものの、それらの反応は原
料のケリドン酸の合成操作が繁雑であったり、4H−ピ
ラン−4−オンへの脱炭酸に高温を必要とするなど、4
H−ピラン−4−オンを工業的に大量合成するために適
したものとはいえない。 【0005】 【課題の解決手段】本発明は4H−ピラン−4−オンの
製造方法に関する。本発明者らは新規な化合物である
2,4−ビス−N,N−ジアルキルアミノメチレンアセ
トンジカルボン酸ジアルキルエステル体[以下に記載の
式(III)の化合物]の合成に成功し、これを強酸処理
することを特徴とする4H−ピラン−4−オンの新規な
製造方法[下記反応式における第二および第三工程]を
見いだした。4H−ピラン−4−オンの製造方法は以下
の一連の反応式によって示される。 【化7】 [式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ個別に低級アル
キルであり、好ましくはC1−C7アルキル、更に好まし
くはC1−C4アルキルである] 【0006】ここでは、アセトンジカルボン酸ジアルキ
ルエステル(I)にN,N−ジアルキルホルムアミドジア
ルキルアセタール(II)を縮合させ、2,4−ビス−
N,N−ジアルキルアミノメチレンアセトンジカルボン酸
ジアルキルエステル(III)を生成させ、得られたエ
ステル体(III)を酸処理して4−オキソ−4H−ピ
ラン−3,5−ジカルボン酸ジアルキルエステル(I
V)とし、この化合物(IV)を酸加水分解により脱炭
酸し、目的とする4H−ピラン−4−オン(V)を製造
する。この製造方法は安全でありかつ操作も簡便である
ので、4H−ピラン−4−オンの大量合成に適した新規
な方法である。 【0007】この4H−ピラン−4−オンの製造方法は
三工程から構成される。第一工程はアセトンジカルボン
酸ジアルキルエステル(I)にN,N−ジアルキルホルム
アミドジアルキルアセタール(II)を反応させ、2,
4−ビス−N,N−ジアルキルアミノメチレンアセトンジ
カルボン酸ジアルキルエステル(III)を生成させる
工程である。この工程の反応は溶媒なしでも進行する
が、その場合は副生成物が多くなるので、溶媒を使用す
るのが好ましい。使用する溶媒は化合物(I)及び(II)
に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン、ジクロロ
エタン及びテトラクロロエタンなどであり、また収率は
低くなるがメタノールも溶媒として使用できる。この反
応は使用する溶媒の沸点付近まで加熱して通常数十分〜
数時間行えば、定量的に進行し、式(I)の化合物は殆ど
消費される。なお、化合物(I)及び化合物(II)とは通
常1:2モル比で、好ましくは1:2以上のモル比で反
応させる。 【0008】式(I)で示されるアセトンジカルボン酸ジ
アルキルエステルには、ジメチルエステル、ジエチルエ
ステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステ
ル、ジプロピルエステル体が包含される。また、式(I
I)で示されるN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキル
アセタールには、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルア
セタール、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセター
ル、N,N-ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、
N,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、
N,N-ジメチルホルムアミドジ-t−ブチルアセタール、N,
N-ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタール、
N,N-ジメチルホルムアミドジネオペンチルアセタール、
N,N-ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N-ジ
エチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N-ジエチル
ホルムアミドジプロピルアセタール、N,N-ジエチルホル
ムアミドジイソプロピルアセタール、N,N-ジエチルホル
ムアミドジ−t−ブチルアセタール、N,N-ジエチルホル
ムアミドジシクロヘキシルアセタール、N,N-ジエチルホ
ルムアミドジネオペンチルアセタール等が包含される。
これらの化合物は殆どが市販されているので容易に入手
可能である。 【0009】第二工程は式(III)の化合物のアミノ部
分を酸存在下に加水分解して閉環させ、式(IV)で示さ
れる4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン酸
ジアルキルエステルとする工程である。本発明者らの条
件検討の結果、希塩酸やリン酸などの弱酸が好ましく、
特にリン酸が最適であることが判明した。酸の使用量
は、化合物(III)に対して好ましくは3当量以上であ
る。使用する溶媒としては該酸が溶解する水溶性の有機
溶媒、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチ
ルなどが好ましいが、塩化メチレンも使用できる。この
工程は反応温度として氷冷下〜室温を使用する。加熱す
れば、脱炭酸も起こり得ることに留意すべきである。反
応時間は通常数時間で完了する。なお、式(IV)の化
合物は文献に記載されていない新規な化合物である。こ
の工程の反応は、強酸条件加熱下で行えば脱炭酸反応も
同時に起こり目的の4H−ピラン−4−オン(V)が直接
得られることが判明した。本発明はこの知見に基づくも
のである。 【0010】第三工程は式(IV)の化合物を酸性条件下
に加熱し、それを式(V)で示される4H−ピラン−4−
オンに変換する工程である。この工程の反応は通常の脱
炭酸条件で進行する。加熱温度は通常数十度〜約150
℃、好ましくは50−100℃である。酸性条件にする
には希硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などを使用し、好ましく
は希硫酸を使用する。上記のC.Desouzaら[Synth.Commu
n.,22.755(1992)]は207℃もの還流温度を用いて4
−オキソ−4H−ピラン−2,6−ジカルボン酸(ケリ
ドン酸)を脱炭酸し、4H−ピラン−4−オンを製造し
ているが、これに比べ、本発明の第三工程反応は条件が
緩和であり操作も容易である。尚、本工程においては、
収率面を考慮すればR1の炭素数が少ない程好ましく、
C1−C4アルキル、とりわけメチルが好ましい。 【0011】一態様として、新規な化合物である式(I
V)の化合物を出発物質とする4H−ピラン−4−オン
を製造するためのこの第三工程の方法を開示する。さら
に、式(I)及び式(II)の化合物を出発物質とする第一
工程、第二工程及び第三工程を包含する4H−ピラン−
4−オンの製造方法を開示する。 【0012】別の態様として、上記第二工程及び第三工
程を包含する、式(III)の化合物を出発物質とする式
(IV)の化合物を経由する4H−ピラン−4−オンの製
造方法を開示する。本発明は、式(III)の化合物か
ら直接4H−ピラン−4−オンを製造する方法に関す
る。上記のように式(III)で示される化合物を強酸の
存在下に加熱条件下で処理すれば、直接4H−ピラン−
4−オンを得ることができる。強酸には例えば希塩酸、
希硫酸を用いる。温度は通常50〜100℃である。 【0013】以下に実施例および参考例を記載し、本発
明方法をさらに詳細に説明するが、これらは単なる例示
であって、本発明の技術的範囲を限定するものではな
い。 【0014】 【実施例】実施例1 式(III)の化合物からの4H−ピラン−4−オンの直
接的製造 アセトンジカルボン酸ジメチルエステル1.74gを氷
水で冷却し、撹拌下にN,N−ジメチルホルムアミドジ
メチルアセタール4.0mlを加える。得られた混合物を
75℃の油浴上1時間加熱する。減圧下にトルエン及び
過剰のアセタール試薬を溜去し、橙黄色油状物質として
2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノメチレン)アセ
トンジカルボン酸ジメチルエステル2.69gを得る。
収率:94.5%。 H1-NMR (CDCl3)δ: 3.03 (12H, brs), 3.64 (6H,s), 7.
59 (2H,s) ppm。IR (film): 1686 cm-1。 得られたエステル体に2mol/l硫酸13mlを加え、
100℃の油浴上1時間加熱する。食塩を加え塩化メチ
レンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、アルミナ1
0gで精製し、10%アセトニトリル/塩化メチレンで
溶出することで、淡橙黄色油状物として4H−ピラン−
4−オン0.254gを得る。収率:28.0%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 7.74 (2H,m,C2-HおよびC6-H), 6.3
7 (2H,m,C3-HおよびC5-H) ppm。 【0015】参考例1 (1) 4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン
酸ジメチルエステルの製造(式(I)及び式(II)の化合
物からの式(IV)の化合物の製造) アセトンジカルボン酸ジメチルエステル174gをトル
エン870mlに溶解し、氷水で冷却後、撹拌下にN,N
−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール320mlを
10分間で加える。75℃の油浴上1時間、さらに10
5℃の油浴上2時間、生成したメタノールを溜出しなが
ら加熱する。減圧下にトルエン及び過剰のアセタール試
薬を溜去し、得られた残渣をアセトン1.45リットル
に溶解させる。この溶液に撹拌下、85%リン酸346
g及びアセトン350mlの混合溶液を室温にて10分間
で加え、得られた混合物を2.5時間撹拌する。アセト
ンを減圧下に除去し、食塩水1リットルを加え、塩化メ
チレンで抽出し、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで
乾燥し、活性炭10gで処理し、減圧下に濃縮し、エー
テル1リットルを加え、析出結晶を濾過する。これによ
り、淡黄色結晶として4−オキソ−4H−ピラン−3,
5−ジカルボン酸ジメチルエステル160gを得る。融
点:107−108℃。収率:75.4%。 元素分析(C9H8O6として) 計算値:C,50.95; H,3.80 (%) 実験値:C,50.94; H,3.89 (%) H1-NMR (CDCl3) δ: 8.43 (2H,s,C2-HおよびC6-H), 3.9
0 (6H,s,CO2CH3) ppmIR (CHCl3): 1755, 1718, 1673, 1
564, 1438, 1319, 1278, 1116, 1058 cm-1 【0016】(2) 4H−ピラン−4−オンの製造(式
(IV)の化合物から式(V)の化合物の製造) 先の工程にて製造した4−オキソ−4H−ピラン−3,
5−ジカルボン酸ジメチルエステル160gに4N硫酸
1.13リットルを加え、105℃の油浴上2.5時間
加熱する。冷却後、塩化メチレン200mlを加え、30
℃以下で40%水酸化ナトリウム水溶液500gを滴下
し、Na2CO3 20gを加えた後、塩化メチレンで抽
出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭10gで処理
し、減圧下に塩化メチレンを除去し、吸湿性の黄色粗結
晶4H−ピラン−4−オン42.7gを得る。収率:5
8.9%。この粗結晶を減圧蒸留し、吸湿性淡黄色結晶
として純粋な4H−ピラン−4−オン38.3g得る。
bp25111〜112℃。収率:52.9%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 7.74 (2H,m,C2-HおよびC6-H), 6.3
7 (2H,m,C3-HおよびC5-H) ppm。 【0017】参考例2 (1) 4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン
酸ジエチルエステル(式(I)及び式(II)の化合物から
の式(IV)の化合物の製造) アセトンジカルボン酸ジエチルエステル25gをトルエ
ン125mlに溶解し、氷水で冷却し、撹拌下にN,N−
ジメチルホルムアミドジメチルアセタール40mlを10
分間で加える。75℃の油浴上1時間、さらに105℃
の油浴上2時間、生成されたメタノールを溜出しながら
加熱する。減圧下にトルエン及び過剰のアセタール試薬
を溜去し、得られた残渣をアセトン200mlに溶解す
る。この溶液に撹拌下、85%リン酸42.9g及びア
セトン43mlの混合溶液を室温にて10分間で加え、2
時間撹拌する。アセトンを減圧下に除去し、食塩水12
0mlを加え、塩化メチレンで抽出し、食塩水で洗浄後、
硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭2.5gで処理し、
減圧下に塩化メチレンを除去し、橙赤色油状物質として
4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン酸ジエ
チルエステル29.65gを得る。収率:99.5%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 8.40 (2H,s,C2-HおよびC6-H), 4.3
6 (4H,q,J=7Hz,CH2CH3), 1.37 (6H,t,J=7Hz,CH2CH3) pp
m 【0018】(2) 4H−ピラン−4−オンの製造(式
(IV)の化合物から式(V)の化合物の製造) 先の工程にて製造した4−オキソ−4H−ピラン−3,
5−ジカルボン酸ジエチルエステル29.65gに2m
ol/l硫酸185mlを加え、105℃の油浴上1.5
時間加熱する。冷却後、30℃以下で50%水酸化ナト
リウム水溶液62gを滴下し、Na2CO 3.3gを
加え、拆出結晶を濾過水で洗浄し、瀘液を塩化メチレン
で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭3gで処
理後、減圧下に塩化メチレンを除去し、茶色の吸湿性油
状物質4.57gを得る。減圧蒸留し、吸湿性淡黄色結
晶として4H−ピラン−4−オン3.19gを得る。b
p 23106〜108℃。収率:27.0%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 7.74 (2H,m,C2-HおよびC6-H), 6.3
7 (2H,m,C3-HおよびC5-H) ppm。
として利用価値の高い4H−ピラン−4−オンの製造方
法、及びその方法に有用な中間体及びその製造方法に関
する。4H−ピラン−4−オンは抗菌剤の合成試薬であ
る4H−ピラン−4−チオン、N−アルキルピリジン−
4−チオンの製造原料として用いられる。さらに、4H
−ピラン−4−オンを文献記載の方法に従って接触還元
すれば、医薬品合成に有用な物質であるテトラヒドロ−
4H−ピラン−4−オンを容易に製造することができ
る。 【0002】 【従来技術及び解決課題】式(V): 【化3】 で示される4H−ピラン−4−オンは従来から種々の方
法によって製造されている。例えば、4H−ピラン−4
−オンの合成原料となるケリドン酸の合成法として、E.
R.Riegel及びF.Zwilgmeyerは下記の反応を開示している
[Org.Syn.Coll.Vol.2.126(1943)]。しかし、この反応
は操作が繁雑である。 【化4】 【0003】そして、そのケリドン酸を脱炭酸する方法
としてO.Henbergen及びL.N.Owenは下記の反応を開示し
ている[J.Chem.Soc.,910(1952)]。この反応は脱炭酸
反応に高温が必要なことが欠点である。 【化5】 【0004】さらに、C.Desouza,Y.Hajikarian及びP.WS
heldrrakwは下記の反応を開示している[Synth.Commu
n.,22.755(1992)]。しかし、この反応も脱炭酸反応に
高温が必要である。 【化6】このように、4H−ピラン−4−オンは従来から種々の
方法によって製造されているものの、それらの反応は原
料のケリドン酸の合成操作が繁雑であったり、4H−ピ
ラン−4−オンへの脱炭酸に高温を必要とするなど、4
H−ピラン−4−オンを工業的に大量合成するために適
したものとはいえない。 【0005】 【課題の解決手段】本発明は4H−ピラン−4−オンの
製造方法に関する。本発明者らは新規な化合物である
2,4−ビス−N,N−ジアルキルアミノメチレンアセ
トンジカルボン酸ジアルキルエステル体[以下に記載の
式(III)の化合物]の合成に成功し、これを強酸処理
することを特徴とする4H−ピラン−4−オンの新規な
製造方法[下記反応式における第二および第三工程]を
見いだした。4H−ピラン−4−オンの製造方法は以下
の一連の反応式によって示される。 【化7】 [式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ個別に低級アル
キルであり、好ましくはC1−C7アルキル、更に好まし
くはC1−C4アルキルである] 【0006】ここでは、アセトンジカルボン酸ジアルキ
ルエステル(I)にN,N−ジアルキルホルムアミドジア
ルキルアセタール(II)を縮合させ、2,4−ビス−
N,N−ジアルキルアミノメチレンアセトンジカルボン酸
ジアルキルエステル(III)を生成させ、得られたエ
ステル体(III)を酸処理して4−オキソ−4H−ピ
ラン−3,5−ジカルボン酸ジアルキルエステル(I
V)とし、この化合物(IV)を酸加水分解により脱炭
酸し、目的とする4H−ピラン−4−オン(V)を製造
する。この製造方法は安全でありかつ操作も簡便である
ので、4H−ピラン−4−オンの大量合成に適した新規
な方法である。 【0007】この4H−ピラン−4−オンの製造方法は
三工程から構成される。第一工程はアセトンジカルボン
酸ジアルキルエステル(I)にN,N−ジアルキルホルム
アミドジアルキルアセタール(II)を反応させ、2,
4−ビス−N,N−ジアルキルアミノメチレンアセトンジ
カルボン酸ジアルキルエステル(III)を生成させる
工程である。この工程の反応は溶媒なしでも進行する
が、その場合は副生成物が多くなるので、溶媒を使用す
るのが好ましい。使用する溶媒は化合物(I)及び(II)
に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン、ジクロロ
エタン及びテトラクロロエタンなどであり、また収率は
低くなるがメタノールも溶媒として使用できる。この反
応は使用する溶媒の沸点付近まで加熱して通常数十分〜
数時間行えば、定量的に進行し、式(I)の化合物は殆ど
消費される。なお、化合物(I)及び化合物(II)とは通
常1:2モル比で、好ましくは1:2以上のモル比で反
応させる。 【0008】式(I)で示されるアセトンジカルボン酸ジ
アルキルエステルには、ジメチルエステル、ジエチルエ
ステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステ
ル、ジプロピルエステル体が包含される。また、式(I
I)で示されるN,N−ジアルキルホルムアミドジアルキル
アセタールには、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルア
セタール、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセター
ル、N,N-ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、
N,N-ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、
N,N-ジメチルホルムアミドジ-t−ブチルアセタール、N,
N-ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタール、
N,N-ジメチルホルムアミドジネオペンチルアセタール、
N,N-ジエチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N-ジ
エチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N-ジエチル
ホルムアミドジプロピルアセタール、N,N-ジエチルホル
ムアミドジイソプロピルアセタール、N,N-ジエチルホル
ムアミドジ−t−ブチルアセタール、N,N-ジエチルホル
ムアミドジシクロヘキシルアセタール、N,N-ジエチルホ
ルムアミドジネオペンチルアセタール等が包含される。
これらの化合物は殆どが市販されているので容易に入手
可能である。 【0009】第二工程は式(III)の化合物のアミノ部
分を酸存在下に加水分解して閉環させ、式(IV)で示さ
れる4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン酸
ジアルキルエステルとする工程である。本発明者らの条
件検討の結果、希塩酸やリン酸などの弱酸が好ましく、
特にリン酸が最適であることが判明した。酸の使用量
は、化合物(III)に対して好ましくは3当量以上であ
る。使用する溶媒としては該酸が溶解する水溶性の有機
溶媒、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチ
ルなどが好ましいが、塩化メチレンも使用できる。この
工程は反応温度として氷冷下〜室温を使用する。加熱す
れば、脱炭酸も起こり得ることに留意すべきである。反
応時間は通常数時間で完了する。なお、式(IV)の化
合物は文献に記載されていない新規な化合物である。こ
の工程の反応は、強酸条件加熱下で行えば脱炭酸反応も
同時に起こり目的の4H−ピラン−4−オン(V)が直接
得られることが判明した。本発明はこの知見に基づくも
のである。 【0010】第三工程は式(IV)の化合物を酸性条件下
に加熱し、それを式(V)で示される4H−ピラン−4−
オンに変換する工程である。この工程の反応は通常の脱
炭酸条件で進行する。加熱温度は通常数十度〜約150
℃、好ましくは50−100℃である。酸性条件にする
には希硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などを使用し、好ましく
は希硫酸を使用する。上記のC.Desouzaら[Synth.Commu
n.,22.755(1992)]は207℃もの還流温度を用いて4
−オキソ−4H−ピラン−2,6−ジカルボン酸(ケリ
ドン酸)を脱炭酸し、4H−ピラン−4−オンを製造し
ているが、これに比べ、本発明の第三工程反応は条件が
緩和であり操作も容易である。尚、本工程においては、
収率面を考慮すればR1の炭素数が少ない程好ましく、
C1−C4アルキル、とりわけメチルが好ましい。 【0011】一態様として、新規な化合物である式(I
V)の化合物を出発物質とする4H−ピラン−4−オン
を製造するためのこの第三工程の方法を開示する。さら
に、式(I)及び式(II)の化合物を出発物質とする第一
工程、第二工程及び第三工程を包含する4H−ピラン−
4−オンの製造方法を開示する。 【0012】別の態様として、上記第二工程及び第三工
程を包含する、式(III)の化合物を出発物質とする式
(IV)の化合物を経由する4H−ピラン−4−オンの製
造方法を開示する。本発明は、式(III)の化合物か
ら直接4H−ピラン−4−オンを製造する方法に関す
る。上記のように式(III)で示される化合物を強酸の
存在下に加熱条件下で処理すれば、直接4H−ピラン−
4−オンを得ることができる。強酸には例えば希塩酸、
希硫酸を用いる。温度は通常50〜100℃である。 【0013】以下に実施例および参考例を記載し、本発
明方法をさらに詳細に説明するが、これらは単なる例示
であって、本発明の技術的範囲を限定するものではな
い。 【0014】 【実施例】実施例1 式(III)の化合物からの4H−ピラン−4−オンの直
接的製造 アセトンジカルボン酸ジメチルエステル1.74gを氷
水で冷却し、撹拌下にN,N−ジメチルホルムアミドジ
メチルアセタール4.0mlを加える。得られた混合物を
75℃の油浴上1時間加熱する。減圧下にトルエン及び
過剰のアセタール試薬を溜去し、橙黄色油状物質として
2,4−ビス(N,N−ジメチルアミノメチレン)アセ
トンジカルボン酸ジメチルエステル2.69gを得る。
収率:94.5%。 H1-NMR (CDCl3)δ: 3.03 (12H, brs), 3.64 (6H,s), 7.
59 (2H,s) ppm。IR (film): 1686 cm-1。 得られたエステル体に2mol/l硫酸13mlを加え、
100℃の油浴上1時間加熱する。食塩を加え塩化メチ
レンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、アルミナ1
0gで精製し、10%アセトニトリル/塩化メチレンで
溶出することで、淡橙黄色油状物として4H−ピラン−
4−オン0.254gを得る。収率:28.0%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 7.74 (2H,m,C2-HおよびC6-H), 6.3
7 (2H,m,C3-HおよびC5-H) ppm。 【0015】参考例1 (1) 4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン
酸ジメチルエステルの製造(式(I)及び式(II)の化合
物からの式(IV)の化合物の製造) アセトンジカルボン酸ジメチルエステル174gをトル
エン870mlに溶解し、氷水で冷却後、撹拌下にN,N
−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール320mlを
10分間で加える。75℃の油浴上1時間、さらに10
5℃の油浴上2時間、生成したメタノールを溜出しなが
ら加熱する。減圧下にトルエン及び過剰のアセタール試
薬を溜去し、得られた残渣をアセトン1.45リットル
に溶解させる。この溶液に撹拌下、85%リン酸346
g及びアセトン350mlの混合溶液を室温にて10分間
で加え、得られた混合物を2.5時間撹拌する。アセト
ンを減圧下に除去し、食塩水1リットルを加え、塩化メ
チレンで抽出し、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで
乾燥し、活性炭10gで処理し、減圧下に濃縮し、エー
テル1リットルを加え、析出結晶を濾過する。これによ
り、淡黄色結晶として4−オキソ−4H−ピラン−3,
5−ジカルボン酸ジメチルエステル160gを得る。融
点:107−108℃。収率:75.4%。 元素分析(C9H8O6として) 計算値:C,50.95; H,3.80 (%) 実験値:C,50.94; H,3.89 (%) H1-NMR (CDCl3) δ: 8.43 (2H,s,C2-HおよびC6-H), 3.9
0 (6H,s,CO2CH3) ppmIR (CHCl3): 1755, 1718, 1673, 1
564, 1438, 1319, 1278, 1116, 1058 cm-1 【0016】(2) 4H−ピラン−4−オンの製造(式
(IV)の化合物から式(V)の化合物の製造) 先の工程にて製造した4−オキソ−4H−ピラン−3,
5−ジカルボン酸ジメチルエステル160gに4N硫酸
1.13リットルを加え、105℃の油浴上2.5時間
加熱する。冷却後、塩化メチレン200mlを加え、30
℃以下で40%水酸化ナトリウム水溶液500gを滴下
し、Na2CO3 20gを加えた後、塩化メチレンで抽
出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭10gで処理
し、減圧下に塩化メチレンを除去し、吸湿性の黄色粗結
晶4H−ピラン−4−オン42.7gを得る。収率:5
8.9%。この粗結晶を減圧蒸留し、吸湿性淡黄色結晶
として純粋な4H−ピラン−4−オン38.3g得る。
bp25111〜112℃。収率:52.9%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 7.74 (2H,m,C2-HおよびC6-H), 6.3
7 (2H,m,C3-HおよびC5-H) ppm。 【0017】参考例2 (1) 4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン
酸ジエチルエステル(式(I)及び式(II)の化合物から
の式(IV)の化合物の製造) アセトンジカルボン酸ジエチルエステル25gをトルエ
ン125mlに溶解し、氷水で冷却し、撹拌下にN,N−
ジメチルホルムアミドジメチルアセタール40mlを10
分間で加える。75℃の油浴上1時間、さらに105℃
の油浴上2時間、生成されたメタノールを溜出しながら
加熱する。減圧下にトルエン及び過剰のアセタール試薬
を溜去し、得られた残渣をアセトン200mlに溶解す
る。この溶液に撹拌下、85%リン酸42.9g及びア
セトン43mlの混合溶液を室温にて10分間で加え、2
時間撹拌する。アセトンを減圧下に除去し、食塩水12
0mlを加え、塩化メチレンで抽出し、食塩水で洗浄後、
硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭2.5gで処理し、
減圧下に塩化メチレンを除去し、橙赤色油状物質として
4−オキソ−4H−ピラン−3,5−ジカルボン酸ジエ
チルエステル29.65gを得る。収率:99.5%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 8.40 (2H,s,C2-HおよびC6-H), 4.3
6 (4H,q,J=7Hz,CH2CH3), 1.37 (6H,t,J=7Hz,CH2CH3) pp
m 【0018】(2) 4H−ピラン−4−オンの製造(式
(IV)の化合物から式(V)の化合物の製造) 先の工程にて製造した4−オキソ−4H−ピラン−3,
5−ジカルボン酸ジエチルエステル29.65gに2m
ol/l硫酸185mlを加え、105℃の油浴上1.5
時間加熱する。冷却後、30℃以下で50%水酸化ナト
リウム水溶液62gを滴下し、Na2CO 3.3gを
加え、拆出結晶を濾過水で洗浄し、瀘液を塩化メチレン
で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭3gで処
理後、減圧下に塩化メチレンを除去し、茶色の吸湿性油
状物質4.57gを得る。減圧蒸留し、吸湿性淡黄色結
晶として4H−ピラン−4−オン3.19gを得る。b
p 23106〜108℃。収率:27.0%。 H1-NMR (CDCl3) δ: 7.74 (2H,m,C2-HおよびC6-H), 6.3
7 (2H,m,C3-HおよびC5-H) ppm。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 式(III): 【化1】 [式中、R1及びR2は個別に低級アルキルである]で示
される化合物を強酸によって処理することを特徴とす
る、式(V): 【化2】 で示される4H−ピラン−4−オンの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002339268A JP2003160576A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 4h−ピラン−4−オンの簡便な製造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002339268A JP2003160576A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 4h−ピラン−4−オンの簡便な製造 |
Related Parent Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29641693A Division JP3563424B2 (ja) | 1993-11-26 | 1993-11-26 | 4h−ピラン−4−オンの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003160576A true JP2003160576A (ja) | 2003-06-03 |
Family
ID=19197785
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002339268A Pending JP2003160576A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 4h−ピラン−4−オンの簡便な製造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003160576A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109535112A (zh) * | 2018-12-28 | 2019-03-29 | 浙江工业大学 | 吡喃-4-酮-3,5-二羧酸二甲酯的制备方法 |
-
2002
- 2002-11-22 JP JP2002339268A patent/JP2003160576A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN109535112A (zh) * | 2018-12-28 | 2019-03-29 | 浙江工业大学 | 吡喃-4-酮-3,5-二羧酸二甲酯的制备方法 |
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|---|---|---|---|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060613 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061017 |