JP2004123782A - 印刷インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルムをPPシートと熱圧着するか、または該フィルムにPP樹脂を押し出しして成形される食品用トレーにおいて、該フィルムに印刷するインキであって、その皮膜の耐油性が良く、熱ラミネートが可能であり、さらに、電子レンジでの加熱でブリスターの発生しないインキを提供する。
【解決手段】(1)塩素化ポリオレフィン樹脂、金属キレート化合物及びエポキシ基を有する化合物を含有するか、または(2)塩素化ポリオレフィン樹脂及び金属キレート化合物を含有するか、または(3)塩素化ポリオレフィン樹脂及びエポキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする印刷インキ組成物である。
【選択図】 無し
【解決手段】(1)塩素化ポリオレフィン樹脂、金属キレート化合物及びエポキシ基を有する化合物を含有するか、または(2)塩素化ポリオレフィン樹脂及び金属キレート化合物を含有するか、または(3)塩素化ポリオレフィン樹脂及びエポキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする印刷インキ組成物である。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムとポリプロピレンシートとを熱圧着するか、または該フィルムにポリプロピレン樹脂を押し出しして成形される食品用トレーにおいて、該フィルムに印刷するインキに関する。また該インキを用いて印刷された意匠性フィルムおよび該フィルムを用いて作られた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン等のフイルムに意匠性の絵柄等を印刷し、無発泡のポリプロピレンシート(以下PPシートと表記する)や発泡のPPシートと該印刷されたフィルムとを熱と圧力によりラミネートして食品用トレー(弁当の容器など)が作られる。この印刷用のインキとしては、塩素化ポリオレフイン樹脂やエチレン−酢酸ビニール樹脂を主成分とする印刷インキ組成物が知られている。フィルムがポリプロピレンフィルムの場合は、加工性が良いことから塩素化ポリプロピレンフィルムも用いられる。
【0003】
特許文献1(特開平10−298233号公報)においては、接着剤、インキ、コーティング剤等に使用される塩素化ポリオレフィン系水性樹脂組成物の発明が記載されている。
【0004】
食品トレーは弁当容器等として食品が詰められコンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売されている。この弁当容器は、温める時に電子レンジを使用することがある。ところでフィルムとしてその加工性の良さから塩素化ポリプロピレンフィルム(以下CPPフィルムと表記する)も用いられるが、該フィルムは油や水のバリア性が不十分であり、該フィルムとPPシートとの密着が良くないと、油が浸透してインキが軟化する。また浸透した水分が電子レンジ等で加熱されて気化すると、その圧力で該フイルムが膨れ上がり(ブリスターともいう)見栄えが悪くなる。又、食事中にお箸の先などで膨れ上がった部分を突き破ると油で軟化したインキが食物に付着して好ましくない。
【0005】
フィルムに印刷するのに2液硬化型の油に強いインキを使用すれば前記の問題は改善されるが、インキ皮膜の耐熱性も高くなるため、通常のラミネート温度ではインキが軟化せず、熱ラミネート加工ができなくなる。
【0006】
即ち、2液硬化型インキの耐油性と、従来のインキの熱ラミネート適性とを併せ持った印刷インキ組成物が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−298233号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、フィルムに印刷してPPシートと熱圧着するか、またはPP樹脂を押し出しして成形される食品用トレーにおいて、該フィルムに印刷するインキであって、その皮膜の耐油性が良く、熱ラミネートが可能であり、さらに、電子レンジでの加熱でブリスターの発生しないインキを提供することである。また該インキで印刷したフィルムを用いて成形したトレー等の積層体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂に、金属キレート化合物及び又はエポキシ基を有する化合物を添加した印刷インキが上記の特性を満たすことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する塗料で、その使用時にエポキシ基を有する化合物を混合して塗工を行うものは知られているが、230℃での30分程度の焼き付けが必要であり、フィルム用の印刷インキとしては使用できない。
【0011】
即ち、本発明の構成は、(1)塩素化ポリオレフィン樹脂、金属キレート化合物及びエポキシ基を有する化合物を含有するか、または(2)塩素化ポリオレフィン樹脂及び金属キレート化合物を含有するか、または(3)塩素化ポリオレフィン樹脂及びエポキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする印刷インキ組成物である。ここで塩素化ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0012】
さらに、使用時にエポキシ樹脂を混合する2液型でなく、予めインキ中にエポキシ基を有する化合物が配合されている1液型インキである。且つ、常温ではインキ皮膜は熱可塑性であり、加熱のみでPPシートとラミネートができる。又、インキ皮膜は成形加工時の熱で硬化し、耐油性を発揮する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する塩素化ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレンを塩素化して得られる。この樹脂には塩素含有量が20〜45%の低塩素化物と、塩素含有量45〜65%の高塩素化物とがある。この中でポリプロピレンに対してより強い接着性を有するのは低塩素化ポリプロピレンである。
【0014】
金属キレート化合物とは、金属イオンが電子受容体となって、電子供与体と配位結合して環状構造を形成する化合物である。金属キレート化合物の金属成分としては、チタン、アルミニウム、鉄等が用いられるが、チタンが好ましい。
【0015】
金属としてチタンが使用されたチタンキレートとしては、チタンアセチルアセトネート、チタンアシレート、チタンアルコキシド等が挙げられるが、特に、チタンアセチルアセトネートが好ましい。チタンキレートの添加量は0.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0%である。
【0016】
エポキシ基を有する化合物とは、その分子内に一つ以上のエポキシ基をもっている化合物であり、1分子中に二つ以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂をも含む。
エポキシ基を有する化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、p−tブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール(IPA)、変性アルコール等のアルコール系溶剤や、これらの混合溶剤等を用いる。
添加剤として、必要に応じて、耐摩耗性向上のためのポリエチレンワックス、ブロッキング防止のための二酸化珪素等を添加しても良い。
【0018】
本発明においては、上記の塩素化ポリオレフイン樹脂に加えて、他の樹脂を併用しても良い。併用する樹脂は、グラビア印刷もしくはフレキソ印刷インキに一般的に用いられるものはいずれでもよい。例を挙げれば、非塩素化ポリオレフイン樹脂、ポリアミド樹脂、ケトン樹脂、ポリビニールブチラール樹脂、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニール樹脂、酢酸ビニール樹脂、塩化ビニールとビニールイソブチールエーテルとの共重合体の樹脂等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用される樹脂成分の割合は、塩素化ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、キレート化合物が0〜20質量部、エポキシ基を有する化合物が0〜20質量部である。
【0020】
インキの配合比としては、樹脂が5〜30質量部、顔料が0〜60質量部、添加剤が0〜10質量部であり、溶剤の添加量は、不揮発分が10〜55%程度になることが好ましく、15%〜45%が特に好ましい。
【0021】
インキの製造は、通常のグラビアインキと同様に、樹脂、顔料、溶剤および助剤を秤量し、良く撹拌してからアトライターやサンドミル等の練肉分散機により練肉して仕上げる。
【0022】
意匠性を付与するために本発明の印刷インキが使用されるフイルムは、通常グラビア印刷に使用されるフイルムが用いられる。例をあげればポリプロピレンフイルム、塩素化ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフイルム、ポリエチレンフイルム、ナイロンフイルム等が挙げられる。これらのフイルムは、コロナ処理、フレーム処理や延伸処理が施されていてもよい。
【0023】
ラミネートされる基材としては、熱可塑性のプラスチックが使用される。好ましくは、ポリオレフイン系の樹脂がよく、体質顔料が配合されていてもよい。又、炭酸ガスやブタンガス、空気等で発泡させたシートでもよい。
【0024】
インキの印刷・塗布方法は、一般的なグラビアコート、シルクスクリーン、フレキソ等の任意の方式が用いられるが、例えば、グラビアコートが好ましく用いられる。
【0025】
インキ皮膜の乾燥膜厚は、0.3〜5μmが好ましく、より好ましくは0.8〜2μmである。乾燥皮膜が厚すぎるとブロッキング(インキ皮膜面同士がくっつく)のトラブルを起こしやすい。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例によって、本発明を具体的に説明する。配合組成その他の数値は質量部を表す。
【0027】
実施例1〔印刷インキ組成物(A)の調整〕
分子量4万〜5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
チタンアセチルアセトネート(松本製薬工業社製:オルガチックスTC−401(N.V.75%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)28.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分25.8%の印刷インキ組成物(A)を調整した。
【0028】
実施例2〔印刷インキ組成物(B)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
エポキシ当量180の特殊エポキシ樹脂(ナガセ化成工業社製:デナコールEX614B(N.V.100%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)29.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分30.3%の印刷インキ組成物(B)を調整した。
【0029】
実施例3〔印刷インキ組成物(C)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
チタンアセチルアセトネート(松本製薬工業社製:オルガチックスTC−401(N.V.75%))1g、
エポキシ当量180の特殊エポキシ樹脂(ナガセ化成工業社製:デナコールEX614B(N.V.100%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)27.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分27.5%の印刷インキ組成物(C)を調整した。
【0030】
実施例4〔印刷インキ組成物(D)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
チタンアセチルアセトネート(松本製薬工業社製:オルガチックスTC−401(N.V.75%))1g、
エポキシ当量145の特殊エポキシ樹脂(ナガセ化成工業社製:デナコールEX−321(N.V.100%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)27.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分27.5%の印刷インキ組成物(D)を調整した。
【0031】
比較例1〔印刷インキ組成物(E)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))60g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)28.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分23.6%の印刷インキ組成物(E)を調整した。
【0032】
比較例2〔印刷インキ組成物(F)の調整〕
分子量10万から12万、塩素含有率31〜33%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン834D(N.V.30%))35g、
MFR65dg/min、酢酸ビニール含有率41%のエチレン−酢酸ビニール共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製:エバフレックスEV40W(N.V.100%))3.5g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)49.9g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分25.6%の印刷インキ組成物(F)を調整した。尚、MFRはメルトフローレートを指す。
【0033】
[評価試験]
上記で作成した実施例の印刷インキ組成物(A),(B),(C),(D),及び比較例のインキ組成物(E),(F)を、ヒガシタニ社製グラビア印刷機を使用し、印刷速度40m/min、175線、30μmの網グラビア版で、厚さ25μmの塩素化ポリプロピレンフィルム(東燃フィルム社製:ポリエース CPP)に印刷を行った。その後、接着性、熱ラミネート適性、ラミネート強度、成形適性、電子レンジ適性について評価し、その結果を表−1に示す。
なお、各評価方法は、以下に記した方法による。
【0034】
〔接着性〕
印刷物を室温で1日放置後、印刷面にニチバン社製セロハンテープ12mmをはりつけ、これを急速にはがした時、印刷皮膜が全くはがれなかったものを(◎)、80%以上フイルムに残ったものを(○)、50〜80%残ったものを(△)、20%以下しか残らなかったものを(×)として評価した。
【0035】
〔熱ラミネート強度〕
厚さ0.75mmの低発泡PPシート(エフピコ社製:ハイスター)の上に、室温で一日放置した印刷物の印刷皮膜面を合わせ、印刷物のフイルム面に厚さ12μmのポリエステルフイルムを置き、林機械製ロール転写機を用いて、温度230℃、速度5m/minの条件で熱ラミネートを行ないポリエステルフイルムを取り払った。その後、180℃の熱風恒温層に40±5秒間放置し、PPフィルム面にクラフトテープ(積水化学製)を貼り付け、25mmの幅に切り、テンシロンで剥離速度500mm/min、180度剥離の条件でラミネート強度を測定した。
【0036】
〔成形試験〕
厚さ0.75mmの低発泡PPシート(エフピコ社製:ハイスター)の上に、室温で一日放置した印刷物の印刷皮膜面を合わせ、印刷物のフイルム面に厚さ12μmのポリエステルフイルムを置き、林機械製ロール転写機を用いて、温度230℃、速度5m/minの条件で熱ラミネートを行なった。その後ポリエステルフイルムを取り除いたラミネート物を、Formech社製真空成形機(Formech 300X型)を用いて直径50mmの半球状の容器を作成し、ブリスターが発生しなかったものを(○)、ブリスターが発生したものを(×)として表示した。
【0037】
〔電子レンジ試験〕
上記で作成した半球状の容器に、サラダ油/水道水=2/8の割合で混合した試験液を3cc入れ、電子レンジ(三洋電機製:EM−650T型)を用いて650Wで60秒加熱し、ブリスターの有無を目視評価した。まったく、ブリスターがないものを(◎)、ブリスターの面積が5%以下のものを(○)、ブリスターの面積が5%から10%のものを(△)、ブリスターの面積が10%以上のもの(×)として評価した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明の印刷インキ組成物は、塩素化ポリプロピレン等のフイルムに対する接着性が良好であり、印刷したフィルムはPP系シートやPP樹脂と熱ラミネート加工が可能であり、成形加工工程の熱によりインキ皮膜の硬化が起こり、トレー等に成形したものを弁当容器に用いた場合に該容器を電子レンジで加熱してもブリスターが発生しないという効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムとポリプロピレンシートとを熱圧着するか、または該フィルムにポリプロピレン樹脂を押し出しして成形される食品用トレーにおいて、該フィルムに印刷するインキに関する。また該インキを用いて印刷された意匠性フィルムおよび該フィルムを用いて作られた積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン等のフイルムに意匠性の絵柄等を印刷し、無発泡のポリプロピレンシート(以下PPシートと表記する)や発泡のPPシートと該印刷されたフィルムとを熱と圧力によりラミネートして食品用トレー(弁当の容器など)が作られる。この印刷用のインキとしては、塩素化ポリオレフイン樹脂やエチレン−酢酸ビニール樹脂を主成分とする印刷インキ組成物が知られている。フィルムがポリプロピレンフィルムの場合は、加工性が良いことから塩素化ポリプロピレンフィルムも用いられる。
【0003】
特許文献1(特開平10−298233号公報)においては、接着剤、インキ、コーティング剤等に使用される塩素化ポリオレフィン系水性樹脂組成物の発明が記載されている。
【0004】
食品トレーは弁当容器等として食品が詰められコンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売されている。この弁当容器は、温める時に電子レンジを使用することがある。ところでフィルムとしてその加工性の良さから塩素化ポリプロピレンフィルム(以下CPPフィルムと表記する)も用いられるが、該フィルムは油や水のバリア性が不十分であり、該フィルムとPPシートとの密着が良くないと、油が浸透してインキが軟化する。また浸透した水分が電子レンジ等で加熱されて気化すると、その圧力で該フイルムが膨れ上がり(ブリスターともいう)見栄えが悪くなる。又、食事中にお箸の先などで膨れ上がった部分を突き破ると油で軟化したインキが食物に付着して好ましくない。
【0005】
フィルムに印刷するのに2液硬化型の油に強いインキを使用すれば前記の問題は改善されるが、インキ皮膜の耐熱性も高くなるため、通常のラミネート温度ではインキが軟化せず、熱ラミネート加工ができなくなる。
【0006】
即ち、2液硬化型インキの耐油性と、従来のインキの熱ラミネート適性とを併せ持った印刷インキ組成物が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−298233号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、フィルムに印刷してPPシートと熱圧着するか、またはPP樹脂を押し出しして成形される食品用トレーにおいて、該フィルムに印刷するインキであって、その皮膜の耐油性が良く、熱ラミネートが可能であり、さらに、電子レンジでの加熱でブリスターの発生しないインキを提供することである。また該インキで印刷したフィルムを用いて成形したトレー等の積層体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂に、金属キレート化合物及び又はエポキシ基を有する化合物を添加した印刷インキが上記の特性を満たすことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂を含有する塗料で、その使用時にエポキシ基を有する化合物を混合して塗工を行うものは知られているが、230℃での30分程度の焼き付けが必要であり、フィルム用の印刷インキとしては使用できない。
【0011】
即ち、本発明の構成は、(1)塩素化ポリオレフィン樹脂、金属キレート化合物及びエポキシ基を有する化合物を含有するか、または(2)塩素化ポリオレフィン樹脂及び金属キレート化合物を含有するか、または(3)塩素化ポリオレフィン樹脂及びエポキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする印刷インキ組成物である。ここで塩素化ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0012】
さらに、使用時にエポキシ樹脂を混合する2液型でなく、予めインキ中にエポキシ基を有する化合物が配合されている1液型インキである。且つ、常温ではインキ皮膜は熱可塑性であり、加熱のみでPPシートとラミネートができる。又、インキ皮膜は成形加工時の熱で硬化し、耐油性を発揮する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する塩素化ポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレンを塩素化して得られる。この樹脂には塩素含有量が20〜45%の低塩素化物と、塩素含有量45〜65%の高塩素化物とがある。この中でポリプロピレンに対してより強い接着性を有するのは低塩素化ポリプロピレンである。
【0014】
金属キレート化合物とは、金属イオンが電子受容体となって、電子供与体と配位結合して環状構造を形成する化合物である。金属キレート化合物の金属成分としては、チタン、アルミニウム、鉄等が用いられるが、チタンが好ましい。
【0015】
金属としてチタンが使用されたチタンキレートとしては、チタンアセチルアセトネート、チタンアシレート、チタンアルコキシド等が挙げられるが、特に、チタンアセチルアセトネートが好ましい。チタンキレートの添加量は0.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0%である。
【0016】
エポキシ基を有する化合物とは、その分子内に一つ以上のエポキシ基をもっている化合物であり、1分子中に二つ以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂をも含む。
エポキシ基を有する化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、p−tブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0017】
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール(IPA)、変性アルコール等のアルコール系溶剤や、これらの混合溶剤等を用いる。
添加剤として、必要に応じて、耐摩耗性向上のためのポリエチレンワックス、ブロッキング防止のための二酸化珪素等を添加しても良い。
【0018】
本発明においては、上記の塩素化ポリオレフイン樹脂に加えて、他の樹脂を併用しても良い。併用する樹脂は、グラビア印刷もしくはフレキソ印刷インキに一般的に用いられるものはいずれでもよい。例を挙げれば、非塩素化ポリオレフイン樹脂、ポリアミド樹脂、ケトン樹脂、ポリビニールブチラール樹脂、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニール樹脂、酢酸ビニール樹脂、塩化ビニールとビニールイソブチールエーテルとの共重合体の樹脂等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用される樹脂成分の割合は、塩素化ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、キレート化合物が0〜20質量部、エポキシ基を有する化合物が0〜20質量部である。
【0020】
インキの配合比としては、樹脂が5〜30質量部、顔料が0〜60質量部、添加剤が0〜10質量部であり、溶剤の添加量は、不揮発分が10〜55%程度になることが好ましく、15%〜45%が特に好ましい。
【0021】
インキの製造は、通常のグラビアインキと同様に、樹脂、顔料、溶剤および助剤を秤量し、良く撹拌してからアトライターやサンドミル等の練肉分散機により練肉して仕上げる。
【0022】
意匠性を付与するために本発明の印刷インキが使用されるフイルムは、通常グラビア印刷に使用されるフイルムが用いられる。例をあげればポリプロピレンフイルム、塩素化ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフイルム、ポリエチレンフイルム、ナイロンフイルム等が挙げられる。これらのフイルムは、コロナ処理、フレーム処理や延伸処理が施されていてもよい。
【0023】
ラミネートされる基材としては、熱可塑性のプラスチックが使用される。好ましくは、ポリオレフイン系の樹脂がよく、体質顔料が配合されていてもよい。又、炭酸ガスやブタンガス、空気等で発泡させたシートでもよい。
【0024】
インキの印刷・塗布方法は、一般的なグラビアコート、シルクスクリーン、フレキソ等の任意の方式が用いられるが、例えば、グラビアコートが好ましく用いられる。
【0025】
インキ皮膜の乾燥膜厚は、0.3〜5μmが好ましく、より好ましくは0.8〜2μmである。乾燥皮膜が厚すぎるとブロッキング(インキ皮膜面同士がくっつく)のトラブルを起こしやすい。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例によって、本発明を具体的に説明する。配合組成その他の数値は質量部を表す。
【0027】
実施例1〔印刷インキ組成物(A)の調整〕
分子量4万〜5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
チタンアセチルアセトネート(松本製薬工業社製:オルガチックスTC−401(N.V.75%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)28.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分25.8%の印刷インキ組成物(A)を調整した。
【0028】
実施例2〔印刷インキ組成物(B)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
エポキシ当量180の特殊エポキシ樹脂(ナガセ化成工業社製:デナコールEX614B(N.V.100%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)29.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分30.3%の印刷インキ組成物(B)を調整した。
【0029】
実施例3〔印刷インキ組成物(C)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
チタンアセチルアセトネート(松本製薬工業社製:オルガチックスTC−401(N.V.75%))1g、
エポキシ当量180の特殊エポキシ樹脂(ナガセ化成工業社製:デナコールEX614B(N.V.100%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)27.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分27.5%の印刷インキ組成物(C)を調整した。
【0030】
実施例4〔印刷インキ組成物(D)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))56g、
チタンアセチルアセトネート(松本製薬工業社製:オルガチックスTC−401(N.V.75%))1g、
エポキシ当量145の特殊エポキシ樹脂(ナガセ化成工業社製:デナコールEX−321(N.V.100%))4g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)27.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分27.5%の印刷インキ組成物(D)を調整した。
【0031】
比較例1〔印刷インキ組成物(E)の調整〕
分子量4万から5万、塩素含有率24.5%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン822(N.V.20%))60g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)28.4g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分23.6%の印刷インキ組成物(E)を調整した。
【0032】
比較例2〔印刷インキ組成物(F)の調整〕
分子量10万から12万、塩素含有率31〜33%の塩素化ポリオレフィン(日本製紙社製:スーパークロン834D(N.V.30%))35g、
MFR65dg/min、酢酸ビニール含有率41%のエチレン−酢酸ビニール共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製:エバフレックスEV40W(N.V.100%))3.5g、
混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:IPA=2:1:1)49.9g、
ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス220MP)0.6g、
顔料(山陽色素社製:ピグメントイエロー1429)11g、
をアトライターで1時間練肉し、不揮発分25.6%の印刷インキ組成物(F)を調整した。尚、MFRはメルトフローレートを指す。
【0033】
[評価試験]
上記で作成した実施例の印刷インキ組成物(A),(B),(C),(D),及び比較例のインキ組成物(E),(F)を、ヒガシタニ社製グラビア印刷機を使用し、印刷速度40m/min、175線、30μmの網グラビア版で、厚さ25μmの塩素化ポリプロピレンフィルム(東燃フィルム社製:ポリエース CPP)に印刷を行った。その後、接着性、熱ラミネート適性、ラミネート強度、成形適性、電子レンジ適性について評価し、その結果を表−1に示す。
なお、各評価方法は、以下に記した方法による。
【0034】
〔接着性〕
印刷物を室温で1日放置後、印刷面にニチバン社製セロハンテープ12mmをはりつけ、これを急速にはがした時、印刷皮膜が全くはがれなかったものを(◎)、80%以上フイルムに残ったものを(○)、50〜80%残ったものを(△)、20%以下しか残らなかったものを(×)として評価した。
【0035】
〔熱ラミネート強度〕
厚さ0.75mmの低発泡PPシート(エフピコ社製:ハイスター)の上に、室温で一日放置した印刷物の印刷皮膜面を合わせ、印刷物のフイルム面に厚さ12μmのポリエステルフイルムを置き、林機械製ロール転写機を用いて、温度230℃、速度5m/minの条件で熱ラミネートを行ないポリエステルフイルムを取り払った。その後、180℃の熱風恒温層に40±5秒間放置し、PPフィルム面にクラフトテープ(積水化学製)を貼り付け、25mmの幅に切り、テンシロンで剥離速度500mm/min、180度剥離の条件でラミネート強度を測定した。
【0036】
〔成形試験〕
厚さ0.75mmの低発泡PPシート(エフピコ社製:ハイスター)の上に、室温で一日放置した印刷物の印刷皮膜面を合わせ、印刷物のフイルム面に厚さ12μmのポリエステルフイルムを置き、林機械製ロール転写機を用いて、温度230℃、速度5m/minの条件で熱ラミネートを行なった。その後ポリエステルフイルムを取り除いたラミネート物を、Formech社製真空成形機(Formech 300X型)を用いて直径50mmの半球状の容器を作成し、ブリスターが発生しなかったものを(○)、ブリスターが発生したものを(×)として表示した。
【0037】
〔電子レンジ試験〕
上記で作成した半球状の容器に、サラダ油/水道水=2/8の割合で混合した試験液を3cc入れ、電子レンジ(三洋電機製:EM−650T型)を用いて650Wで60秒加熱し、ブリスターの有無を目視評価した。まったく、ブリスターがないものを(◎)、ブリスターの面積が5%以下のものを(○)、ブリスターの面積が5%から10%のものを(△)、ブリスターの面積が10%以上のもの(×)として評価した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明の印刷インキ組成物は、塩素化ポリプロピレン等のフイルムに対する接着性が良好であり、印刷したフィルムはPP系シートやPP樹脂と熱ラミネート加工が可能であり、成形加工工程の熱によりインキ皮膜の硬化が起こり、トレー等に成形したものを弁当容器に用いた場合に該容器を電子レンジで加熱してもブリスターが発生しないという効果を有する。
Claims (6)
- 下記の(A)を含有し、さらに(B)及び(C)の二つの内少なくとも一つを含有することを特徴とする印刷インキ組成物。
(A)塩素化ポリオレフィン樹脂。
(B)金属キレート化合物。
(C)エポキシ基を有する化合物。 - 金属キレート化合物の金属成分がチタンである請求項1に記載の印刷インキ組成物。
- 塩素化ポリオレフイン樹脂が無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂である請求項1に記載の印刷インキ組成物。
- 無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有率が18%から41%であり、分子量が4万から7万である請求項1に記載の印刷インキ組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷インキ組成物を用いて印刷したトレー用意匠性フィルム。
- 請求項5に記載のフィルムとポリプロピレンシートとを熱圧着した積層体。
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| JP2002285616A JP2004123782A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 印刷インキ組成物 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007169357A (ja) * | 2005-12-20 | 2007-07-05 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | チタン有機化合物を含有する印刷インキ組成物、該組成物を用いてなるプラスチックシート被覆物およびラミネート積層物 |
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2002
- 2002-09-30 JP JP2002285616A patent/JP2004123782A/ja active Pending
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