JP2004148246A - マイクロカプセル組成物及びそれを用いた感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】感熱感応度が高く生保存性に優れ、微細粒径で経時安定したマイクロカプセル組成物、このマイクロカプセルを感熱記録層に用いた、感度及び発色性が高く生保存性に優れた感熱記録材料、及び高感度で色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供する。
【解決手段】イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料等に利用することができるマイクロカプセル組成物、該マイクロカプセルを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリやプリンター等の記録媒体として普及している感熱記録材料は、主として支持体上に電子供与性染料前駆体の固体分散物を塗布乾燥させた材料を使用している。電子供与性染料前駆体を使用した記録方式は、材料も入手し易くかつ高い発色濃度や発色速度を示す等の利点を有するが、記録後の保存条件や加熱あるいは溶剤等の付着により発色し易く、記録画像の保存性や信頼性に問題があり、多くの改良が検討されてきた。
【0003】
記録画像の保存性を改善するための一つの方法として、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル中に内包し、記録層中で顕色剤と該電子供与性染料前駆体とを隔離することにより、画像の保存性を高める方式が提案されている。この方式によって高い発色性と画像安定性を得ることができる。
【0004】
上記以外の感熱記録材料としては、ジアゾニウム塩化合物を利用した、所謂ジアゾ型の感熱記録材料も研究されている。このジアゾニウム塩化合物は、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物等(カプラー)と反応して染料を形成するものであるが、同時に感光性も有し、光照射によりその活性を失うものである。この様な性質を利用して最近では感熱記録材料にも応用され、ジアゾ化合物とカプラーを熱で反応させて画像を形成し、その後、光照射して定着させることができる光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、この様なジアゾニウム塩化合物を用いた記録材料は、化学的活性が高いため、低温であってもジアゾニウム塩化合物とカプラーが徐々に反応し、貯蔵寿命(シェルフライフ)が短か過ぎるとの欠点があった。これに対する一つの解決手段として、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルで包含し、カプラーや水及び塩基性化合物から隔離する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0006】
また、感熱記録材料の応用分野の一つとして、多色感熱記録材料が注目されてきている。感熱記録による多色画像の再現は、電子写真記録方式やインクジェット記録方式に比べて難しいと言われてきたが、この点に関しては既に、支持体上に電子供与性染料前駆体と顕色剤を主成分とする感熱発色層又はジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と加熱時に反応して発色させるカプラー化合物を含有する感熱発色層を2層以上積層することによって多色感熱記録材料が得られることが見い出されている。この様な多色感熱記録材料においては、優れた色再現性を得るためには、マイクロカプセルの熱発色特性を高度に制御することが必要である。
【0007】
従来、電子供与性染料前駆体やジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル内に包含させるには、一般に有機溶媒中にこれらの化合物を溶解させ(油相)、これを水溶性高分子を含む水溶液(水相)中に加えて乳化分散させる。この際、壁剤となるモノマー或いはプレポリマーを有機溶媒(油相)側か水相側の何れかに添加しておくことにより、有機溶媒相と水相の界面に高分子壁を形成させてマイクロカプセル化することができる(例えば、非特許文献3及び4参照。)。ここで形成されるマイクロカプセル壁としては、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ナイロンなど様々なものが使用可能である。また、ポリウレアやウレタン樹脂は、そのガラス転移温度が室温〜200℃程度にあるためカプセル壁が熱応答性を示し、感熱記録材料を設計するのに好適である。
【0008】
上記マイクロカプセルを形成する方法としては、ポリウレタン或いはポリウレア壁を有するマイクロカプセルの場合、まず有機溶媒中にジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体等の発色成分を溶解し、これに多価イソシアネート化合物を添加し、この有機相溶液を水溶性高分子を含む水相中で分散乳化させる。その後、水相側に重合反応を促進させる触媒を添加するか、又はこの分散乳化液の温度を上げて多価イソシアネート化合物を水等の活性水素を有する化合物で重合させてマイクロカプセル壁を形成する方法が従来から知られている。
【0009】
上記ポリウレア或いはポリウレタン壁の形成材料である多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシナネートとトリメチロールプロパンの付加体、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加体が主として使用されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、上記の様な多価イソシアネート化合物を用いたポリウレア或いはポリウレタンのカプセル壁であっても、前述したジアゾニウム塩化合物を用いた際の短いシェルフライフについてはまだ充分に改善されていない。即ち、シェルフライフが充分に長くない感熱記録材料は、製造後使用するまでの間に、例えば高温高湿の条件下に曝された場合に、「かぶり」と呼ばれる地肌の発色が顕われ、印字画像の視認性を低下させる。この様な問題を解決する為には、例えばマイクロカプセルの壁厚を厚くする等の手段がある。しかしながらこの様な手法を用いると、熱印字時の発色感度の低下を引き起こす。従って、発色性を維持しながらシェルフライフを更に向上させることは非常に困難であった。
【0010】
この様な課題に鑑み、少なくとも1種の(A)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500から2万の化合物と、(B)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートとの付加物を含むイソシアネート化合物の重合により得られるポリマーからなることを特徴とする熱応答性マイクロカプセルが開示されており、カブリと感度の両立するマイクロカプセルが提供されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、ここでの(A)と(B)の反応生成物には遊離のイソシアネート基が残っており、マイクロカプセル形成反応においては、イソシアネート基の水との反応性のために、予め油相に添加しておく必要があるが、(A)の化合物は油相より水相に対する溶解度が高い場合が多く、製造適性の点で問題となることがあった。
【0011】
また、その製造に使用するイソシアネートが少なくとも二官能性イソシアネートと一価のポリ酸化エチレンアルコールとの反応生成物であることを特徴とする、ポリ尿素殻体を有するマイクロカプセルについても開示があるが(例えば、特許文献4参照。)、当該反応生成物においてもイソシアネート基が残っており、、マイクロカプセル形成反応においては、イソシアネート基の水との反応性のために、予め油相に添加しておく必要があるが、一価のポリ酸化エチレンアルコールは油相より水相に対する溶解度が高い場合が多く、製造適性の点で問題となることがあった。
【0012】
【特許文献1】
特開昭62−212190号公報
【特許文献2】
特開平4−26189号公報
【特許文献3】
特開平10−114153号公報
【特許文献4】
特許3266330号公報
【非特許文献1】
佐藤弘次ら著「画像電子学会誌」、第11巻、第4号、290〜296頁、1982年、など
【非特許文献2】
宇佐美智正ら著「電子写真学会誌」、第26巻、第2号、115〜125頁、1987年
【非特許文献3】
近藤朝士著「マイクロカプセル」、日刊工業新聞社、1970年
【非特許文献4】
近藤保ら著「マイクロカプセル」、三共出版、1977年
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記の事情に鑑み、感熱記録材料におけるマイクロカプセルの形成に関して、高い発色性を維持しながら且つシェルフライフを更に向上させる観点より鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。即ち、
本発明の目的は、感熱記録材料及び多色感熱記録材料に好適に使用することができ、カプラー或いは顕色剤との接触により高い発色性示し、且つ生保存性に優れたマイクロカプセル組成物を提供することにある。
また本発明は、高い発色性と優れた生保存性(長いシェルフライフ)を有する感熱記録材料を提供することを目的とする。
更に本発明は、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、下記の本発明のマイクロカプセル組成物及び感熱記録材料によって解決できる。即ち、
<1> イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
<2> イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
<3> イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
<4> 支持体、及びその上に設けられた(1)ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、或いは(2)電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤、を含有する感熱記録層からなる感熱記録材料であって、上記マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物が、上記<1>〜<3>の何れかに記載のマイクロカプセル組成物であることを特徴とする感熱記録材料。
<5> 支持体、及びその上に設けられたシアン、マゼンタ及びイエローの感熱記録層を有し、各感熱記録層が(1)ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、或いは(2)電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤、を含有してなる多色感熱記録材料であって、上記マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物の少なくとも1種が、上記<1>〜<3>の何れかに記載のマイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料。
【0015】
【発明の実施の形態】
第1の本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とする。
第2の本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とする。
第3の本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とする。
【0016】
本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、上記の様にイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種が添加されるが、これ以外にマイクロカプセルの製造に要する他の成分、例えば、カプセルに内包される物質、疎水性有機溶媒、低沸点有機溶媒、水溶性媒体、カプセル壁剤、活性水素化合物、及び各種添加剤等を、上記イソシアネート基を総て反応させた化合物の添加の前後或いは同時に、目的ないし必要に応じて適宜に含有することができる。
本発明のマイクロカプセル組成物は、上記の様な構成及び手順に従って形成されたポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを含有する組成物であるので、微小粒径に制御することが容易で、微細な粒径であっても経時的に安定し、長期シェルフライフを保有し感熱感応度が高く、また発色成分を内包する該マイクロカプセルは、カプラー或いは顕色剤との接触により高い発色性を示し、且つ生保存性(シェルフライフ)にも優れた特性を有する。
以下、本発明の主要な構成要素及び製造手順等について詳細に説明する。
【0017】
(多官能イソシアネート化合物)
まず初めに本発明に用いる、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物について説明する。
この様な多官能イソシアネート化合物としては、分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物として、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
更に、これらの2官能イソシアネート化合物とエチレングリコール類、ビスフェノール類等の2官能アルコール、及びフェノール類との付加反応物も利用できる。
【0018】
更に、3官能以上のイソシーネート化合物も使用できる。この様な多官能イソシーネートの例としては、上記の2官能イソシアネート化合物を主原料とし、これらの3量体(ビューレット或いはイソシアヌレート)、トリメチロールプロパン等のポリオールと2官能イソシアネート化合物の付加体として多官能イソシーネートとしたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等も用いることができる。
特に、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物を主原料とし、これらの3量体(ビューレット或いはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンとのアダクト体として多官能イソシアネートとしたものも好ましい。これらの化合物については岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社発行、1987年)等に詳しく記載されている。
【0019】
これらの中でも、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンとキシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとの付加物が好ましく、特にキシリレン−1,4−ジイソシアネート及びキシリレン−1,3−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンとキシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとの付加物が好ましい。
以上、これらの多官能イソシアネート化合物は、1種単独で使用しても2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
(ポリエーテル誘導体)
次に、分子内に1個の活性水素を有し、且つ平均分子量が500〜20000、或いは300〜5000のポリエーテル誘導体について説明する。
上記活性水素を有する官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられ、この中でも特に水酸基、アミノ基が好ましい。
この様な活性水素を有するポリエーテル誘導体としては特に限定はされないが、例えば、片末端に活性水素を有するポリエーテル類の誘導体等が挙げられる。該ポリエーテル誘導体の分子量が300より小さいと、これらの化合物の導入によりカブリが増加する。一方、該ポリエーテル誘導体の分子量が20000より大きいと、これらの化合物の合成が難しくなり、また高粘度となる為にカプセル製造のための調液、及びカプセル形成が困難になる。
【0021】
上記ポリエーテル誘導体の具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリ(エチレンチオグリコール)等の諸種の誘導体が挙げられる。
【0022】
本発明では、上記ポリエーテル誘導体の繰り返し単位は1種類であっても、2種以上の繰り返し単位からなる共重合体でもよい。また、これらのポリエーテル誘導体は溶融点を有してもよく、この様な場合には特に40〜180℃の溶融点を有する化合物が好ましい。この様な溶融点を有するポリエーテル誘導体としはポリエチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリカプロラクトン等の誘導体が挙げられる。上記溶融点は分子量によっても変化する為に一概には言えないが、例えばポリエチレンオキシド誘導体の場合では、分子量が約1000以上の場合にこの様な溶融点を有する。
【0023】
本発明においては、マイクロカプセル組成物の安定性及びカプセル粒径の制御等の観点より、分子内に1個の活性水素を有し平均分子量が500〜20000又は300〜5000のポリエーテル誘導体としては、下記一般式(I)で表されるポリエーテル誘導体が特に好ましい。
【化1】
【0024】
一般式(I)において、R1はアルキル基、アリール基、アシル基を表す。
R1で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が1〜30のアルキル基が好ましく、特に総炭素数が1〜20のアルキル基が好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、ベヘニル基、ベンジル基、アリル基、オレイル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0025】
R1で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、総炭素数が6〜30のアリール基が好ましく、特に総炭素数が6〜20のアリール基が好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基が好ましく、中でも特にアルキル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアリール基の具体例としては、フェニル基、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基、フルオロフェニル基、スチリルフェニル基、フェニルエテニルフェニル基、メトキシフェニル等が挙げられる。
【0026】
R1で表されるアシル基としては、脂肪族でも芳香族のアシル基でもよく、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が2〜30のアシル基が好ましく、特に総炭素数が2〜20のアシル基が好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、(メタ)アクリロイル基、オレオイル基、ラウロイル基、ステアロイル基、メトキシベンゾイル基等が挙げられる。以上、この様なRで表される基の中でも、アルキル基及びアシル基が好ましく、特にアルキル基を表すことが好ましい。
【0027】
一般式(I)において、Lはアルキレンを表す。
Lで表されるアルキレンとしては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が2〜20のアルキレンが好ましく、特に総炭素数が2〜10のアルキレンが好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基が好ましく、中でも特にアリール基が好ましい。この様なアルキレンとしては、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、フェニルエチレン、シクロヘキシレン、ビニルエチレン、フェノキシメチルエチレン等が挙げられる。
【0028】
一般式(I)の繰り返し単位−(L−O)n−は、n個の繰り返しにおいてそれぞれ独立の基を表してもよいが、同一の基を表すことが特に好ましい。この様な繰り返し単位を有するポリエーテルとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。
nはポリエーテル基の平均付加モル数で11〜440の数を表し、15〜300の数が好ましく、特に15〜200の数が好ましい。
【0029】
一般式(I)において、R2は水素原子又は−(X)m−A−Bを表す。
上記Xは−CO−又は−SO2−を表し、−CO−が好ましい。
上記Aはアルキレン又はアリーレンを表す。
Aで表されるアリーレンとしては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が6〜30のアリーレンが好ましく、特に総炭素数が6〜20のアリーレンが好ましい。置換されている場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基が好ましく、特にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアリーレンの具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレン、メチルフェニレン、メトキシフェニレン等が挙げられる。
【0030】
Aで表されるアルキレンとしては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が1〜30のアルキレンが好ましく、特に総炭素数が1〜20のアルキレンが好ましい。置換されている場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、中でも特にアリール基が好ましい。この様なアルキレンの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、フェニルメチレン等が挙げられる。
【0031】
上記Bは水酸基又はアミノ基を表し、アミノ基が好ましい。
mは0又は1を表し、1が好ましい。
この様な−(X)m−A−Bで表される基の具体例としては、アミノエチル基、アミノプロピル基、4−アミノベンゾイル基、3−アミノベンゾイル基、4−アミノベンゼンスルホニル基、アミノアセチル基、アミノエチルスルホニル基、ヒドロキシアセチル基、4−ヒドロキシベンゾイル基等が挙げられる。
以上、R2で表される基の中では、特に水素原子が好ましい。
【0032】
(処理用のアルコール類)
本発明において、イソシアネート基を総て反応させるための処理に用いるアルコールとしては、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、複素環式アルコール等の群の中から選択して使用することができる。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール等の炭素原子数が1〜8のアルコールが、好ましい具体例として挙げられ、中でも特に、メタノール、エタノール、プロパノール等の様に留去の容易な低沸点のアルコールが好ましい。該処理用の上記アルコール類は、2種以上を併用してもよい。
【0033】
(水酸基を有するアミン類)
本発明に用いる、少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等の群の中から選択して使用することができ、これらの中でも、炭素原子数が2〜30のアミン類が好適に使用される。
上記のアミン化合物において、水酸基はアミノ基に対して炭素原子数が2〜20のアルキレン又は炭素原子数が6〜20のアリーレンを介して結合していることが好ましく、特に炭素原子数が2〜18のアルキレンを介して結合していることが好ましい。上記のアルキレン及びアリーレンは、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよい。この様な水酸基を有している置換基の例として、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
また2級アミンの場合には、アミンの窒素原子に結合する2つの置換基は同一であっても異なっていてもよく、異なる場合には、上記水酸基が結合したアルキレン又はアリーレンの他に、炭素原子数が1〜20のアルキル基又は炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましい。該アルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよい。
この様な少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの具体例としては、エタノールアミン、ヒドロキシプロピルアミン、ヒドロキシデシルアミン、ジエタノールアミン、p−アミノフェノール、N−ヒドロキシエチル−N−ドデシルアミン、N−メチル−p−アミノフェノール等が挙げられる。
【0034】
(本発明の化合物の製造方法)
第1の本発明における、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の製造方法について、以下に具体的に説明する。
【0035】
本発明の上記イソシアネート基を総て反応させた化合物は、前述した多官能イソシアネート化合物に、該化合物のイソシアネート基のモル数と等量又はそれより少ないモル数の前記ポリエーテル誘導体を反応させた後に、残存しているイソシアネート基をアルコールで処理することによりウレタン結合に変化させ、総てのイソシアネート基を消失させたものである。
この際、ポリエーテル誘導体の使用量は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対して0.01〜1.0モルが好ましく、特に0.03〜1.0モルが好ましい。
【0036】
また上記反応で溶媒を使用してもよく、該溶媒としてはトルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、酢酸エチル等の活性水素を持たない低沸点溶媒が好ましく、特にトルエン、アセトニトリル、酢酸エチルが好ましい。溶媒を使用する場合の使用量は、多官能イソシアネート化合物1gに対して0.1ml〜100mlが好ましく、特に0.5mlから20mlが好ましい。
本反応の温度としては、0℃〜100℃又は使用する溶媒の還流温度が好ましく、特に30℃〜70℃が好ましい。
また、ポリエーテル誘導体を反応前に脱水して使用することも好ましく、脱水方法としては真空ポンプで60℃〜100℃に加熱下に数時間攪拌する方法、酢酸エチル等の溶媒と共沸脱水する方法等が挙げられる。
本反応に要する時間は1時間〜8時間が好ましく、特に2時間〜6時間が好ましい。
また本反応には、オクチル酸第1錫やジブチル錫ジアセテート等の触媒を添加してもよい。
【0037】
多官能イソシアネートとポリエーテル誘導体との反応の後に処理するアルコールの使用量は、多官能イソシアネートの残存しているイソシアネート基をウレタン結合に変換するのに十分な量が好ましく、具体的には多官能イソシアネート1gに対して1.0ml〜100mlが好ましく、特に2.0ml〜50mlが好ましい。
該処理に必要な温度は0℃〜100℃又は使用する溶媒の還流温度が好ましく、特に20℃から70℃が好ましい。
該反応に要する時間は30分〜30時間が好ましく、特に1時間〜8時間が好ましい。
また該反応には、オクチル酸第1錫やジブチル錫ジアセテート等の触媒を添加してもよい。
【0038】
次に第2の本発明における、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の製造方法について説明する。
【0039】
本発明の上記イソシアネート基を総て反応させた化合物は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数より少ないモル数のポリエーテル誘導体を反応させた後に、更に、残存しているイソシアネート基のモル数と等量又はそれより少ないモル数の1級又は2級アミンを反応させ、その後に残存しているイソシアネート基をアルコールにより処理することによりウレタン結合に変化させることにより、総てのイソシアネート基を消失させたものである。
この際、ポリエーテル誘導体の使用量は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対して0.01〜0.99モルが好ましく、特に0.03〜0.5モルが好ましい。
その他の多官能イソシアネートとポリエーテル誘導体の反応については上記に記載したものと同様にできる。
【0040】
更に第3の本発明における、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることにより、イソシアネート基を総て反応させた化合物の製造方法について説明する。
【0041】
本発明の上記イソシアネート基を総て反応させた化合物は、ポリエーテル誘導体の活性水素のモル数が多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることにより、総てのイソシアネート基を消失させたものである。
この際、ポリエーテル誘導体の使用量は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対して1.0〜10モルが好ましく、特に1.0〜3.0モルが好ましい。
その他の多官能イソシアネートとポリエーテル誘導体の反応については上記に記載したものと同様にできる。
【0042】
第1及び第2の本発明の前記反応に続く、水酸基を有し1級又は2級アミンとの反応は、上記の反応溶液に1級又は2級アミンを添加してもよいし、多官能イソシアネート化合物とポリエーテル誘導体を別途に反応させておき、当該反応溶液を1級又は2級アミンに添加してもよい。
上記1級又は2級アミンとの反応における1級又は2級アミンの使用量は、ポリエーテル誘導体との反応後に残存しているイソシアネート基1.0モルに対して0.1〜1.0モルが好ましく、特に0.5〜1.0モルが好ましい。
【0043】
上記反応には溶媒を使用してもよく、該溶媒としてはトルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、酢酸エチル等の活性水素を持たない低沸点溶媒が好ましく、特にトルエン、アセトニトリル、酢酸エチルが好ましい。溶媒を使用する場合の使用量は、1級又は2級アミン1gに対して1ml〜200mlが好ましく、特に10ml〜100mlが好ましい。
上記反応の温度は0℃〜100℃又は使用する溶媒の還流温度が好ましく、特に0℃から50℃が好ましい。
上記反応に要する時間は30分間〜8時間が好ましく、特に30分間〜3時間が好ましい。
引き続くアルコールとの処理については、前記に記載と同様にして行なう。
【0044】
(マイクロカプセル組成物)
次に、本発明のマイクロカプセル組成物について説明する。
マイクロカプセルの形成は多官能イソシアネート化合物の重合、例えば分子内に2個以上の活性水素を有する化合物との反応で行なわれる。この様な活性水素を有する化合物の例としては、例えば水の他、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系化合物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の多価アミン系化合物等、又はこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、特に水を用いて重合させることが好ましい。この結果としてポリウレタン/ポリウレア壁が形成される。
【0045】
本発明のマイクロカプセル組成物は、該マイクロカプセルの製造の際に、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも一種を反応させた後に、(3)炭素原子数1〜8のアルコールの少なくとも一種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物、又は、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも一種を反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する炭素原子数2〜30の1級又は2級アミンの少なくとも一種を反応させた後に、(4)炭素原子数1〜8のアルコールの少なくとも一種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物、又は第3の発明の化合物を、油相又は/及び水相に添加したものである。
【0046】
上記のイソシアネート基を総て反応させた化合物はカプセル化の際に、油相又は水相のいずれか一方、又は両方に添加してもよいが、これらの化合物が溶解する方に添加するのが好ましい。また、これらの化合物は1種単独でも2種以上を併用しても構わない。
上記イソシアネート基を総て反応させた化合物の添加量は、油相又は水相の全質量の0.5%〜50%が好ましく、特に1.0%〜30%が好ましい。
【0047】
本発明において、マイクロカプセルの製造に必要な他の成分、即ち、カプセルに封入する物質、疎水性溶媒、水媒体等は、当該技術の現状に対応するものが使用可能である。
本発明のマイクロカプセルに封入することの可能な物質の例は、例えば、香料油、植物保護剤、反応性接着剤及び医薬等を挙げられるが、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体等の発色成分を内包するマイクロカプセルを製造するのに好適である。ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包する場合には、高沸点溶媒に溶解されてマイクロカプセルに封入されている態様が好ましい。
【0048】
また本発明の感熱記録材料は、支持体上に上記マイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられた基本構成を有する。更に、本発明の多色感熱記録材料は、透明支持体上にシアン、マゼンタ及びイエローのマイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられ、これらの中の少なくとも1種は上記マイクロカプセルからなる基本構成を有する。ここで、所望により透明支持体の裏面にブラックの感熱記録層が設けられてもよい。
【0049】
(発色成分及び顕色剤)
本発明のマイクロカプセルに内包される電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられるが、特にトリアリールメタン系化合物及びキサンテン系化合物が、発色濃度が高く有用である。
【0050】
これらの具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン;
【0051】
ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0052】
上記電子供与性染料前駆体と組み合わせて用いられる電子受容性化合物(顕色剤とも言われ、通常はマイクロカプセルには内包されない。)としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。これらの中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノール等を挙げることができる。これらの電子受容性化合物は1種単独でも、2種以上を任意の比率で併用することもできる。
【0053】
本発明の感熱記録層には、その反応を促進するために増感剤を添加することが好ましい。この様な増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましい。その具体例としては、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−トルエンスルホンアミド、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホンアミド、4−n−ペンチルオキシフェニルスルホンアミド等が挙げられる。本発明においては、これらの増感剤を2種以上任意の比率で併用することもできる。
【0054】
マイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩化合物は、公知のものを使用することができる。該ジアゾニウム塩化合物としては、下記一般式
Ar−N2 +・X−
で表わされる化合物をいう。ここで、上式中のArはアリール基を表わし、X− は酸アニオンを表す。
【0055】
上記ジアゾニウム塩化合物は、フェノール化合物或いは活性メチレンを有する化合物と反応し、いわゆる染料を形成可能であり、更に光(一般的には紫外線)照射により分解し、脱窒素してその反応活性を失うものである。この様なジアゾニウム塩の具体例としては、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、2,5−ジヘプチルオキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウム、4−N,N−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ヘキシル−N−(1−メチル−2−(p−メトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム及び4−N−ヘキシル−N−トリルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウムの塩等を挙げることができる。
【0056】
上記ジアゾニウム塩化合物の酸アニオンには、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩、パーフルオロアルキルカルボネート塩、パーフルオロアルキルスルフォネート塩、塩化亜鉛塩、及び塩化錫塩等を用いることができる。中でも好ましくは、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、及び1,5−ナフタレンスルホネート塩が、水溶性が低く有機溶剤に可溶であるので好適である。本発明においては、異なる2種以上のジアゾニウム塩化合物を任意の比率で混合して用いることもできる。
【0057】
ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルを用いた感熱記録層においては、アリールスルフォンアミド化合物等の公知の熱増感剤が添加されていてもよい。具体的には、トルエンスルホンアミドやエチルベンゼンスルホンアミドなどが好適に挙げられる。また本発明においては、異なる2種以上の熱増感剤を混合して用いることもできる。
【0058】
ジアゾニウム塩化合物と反応して色素を形成するカプラー化合物は、通常、乳化分散及び/又は固体分散することにより微粒子化して使用される。該カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシアセトアニリド;
【0059】
1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)−2−メチルカーボネイトシクロヘキサン−3,5−ジオン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)シクロヘキサン−3,5−ジオン、N−フェニル−N−ドデシルバルビツール酸、N−フェニル−N−(2,5−ジオクチルオキシフェニル)バルビツール酸及びN−フェニル−N−(3−ステアリルオキシ)ブチルバルビツール酸等を挙げることができる。これらのカプラー化合物は、2種以上を併用して目的とする発色色相を得ることもできる。
【0060】
更に、色素形成反応を促進させるために、乳化分散及び/又は固体分散して微粒子化した塩基化合物を添加するのが好ましい。該塩基物質としては無機或いは有機の塩基化合物の他、加熱時に分解等によりアルカリ物質を放出するような化合物も含まれる。代表的な塩基化合物としては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素、更にそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0061】
これらの具体例としてはトリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、及び2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾール等を挙げることができる。これらの塩基化合物は、2種以上を併用することもできる。
【0062】
(マイクロカプセルの形成及び感熱記録材料)
本発明のマイクロカプセル組成物は、例えば下記の様にして具体的に作製することができる。マイクロカプセルの芯を形成するための疎水性溶媒としては、沸点100〜300℃の高沸点有機溶媒が好ましい。具体的には、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、ジフェニルエタンアルキル付加物、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェート等の燐酸系誘導体、マレイン酸−ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸エステル類、及びアジピン酸エステル類などを挙げることができる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。前記ジアゾニウム塩化合物や電子供与性染料前駆体の上記疎水性溶媒に対する溶解度が充分でない場合は、更に低沸点有機溶剤を併用することができる。併用する低沸点有機溶媒としては、沸点40〜100℃の有機溶媒が好ましく、具体的には酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン及びアセトン等を挙げることができる。また、これらの低沸点有機溶媒を2種以上混合して用いてもよい。低沸点(沸点約100℃以下のもの)の溶媒のみをカプセル芯に用いた場合には、該溶媒は揮発して、カプセル壁とジアゾニウム塩化合物や電子供与性染料前駆体のみが存在する所謂コアレスカプセルが形成され易い。
【0063】
ジアゾニウム塩の種類によってはマイクロカプセル化反応中の水相側へ移動する場合があり、これを抑制するために、予め酸アニオンを水溶性高分子溶液中に適宜添加してもよい。この様な酸アニオンとしては、PF6 −、B(−Ph)4 −(該Phはフェニル基)、ZnCl2 −、CnH2n+1COO−(該nは1〜9の整数)及びCpF2p+1SO3 −(該pは1〜9の整数)を挙げることができる。
また、保存安定性や発色感度調整等のために種々の添加剤を併用することも可能である。
【0064】
本発明においてマイクロカプセル化の際、マイクロカプセル壁を形成するためのイソシアネート化合物の重合に用いる活性水素を有する化合物としては、一般に水が使用されるが、ポリオールを芯となる有機溶媒中或いは分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、上記活性水素を有する化合物(マイクロカプセル壁の原料の一つ)として用いることができる。具体的にはプロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。またポリオールの代わりに、或いは併用してジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のアミン化合物を使用してもよい。これらの化合物も先の「ポリウレタン樹脂ハンドブック」に記載されている。
【0065】
マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応しないか、極めて反応し難いものが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
本発明に係る化合物は、少なくとも油相あるいは水相のいずれか一方に添加されている必要がある。
【0066】
本発明では、界面活性剤を油相あるいは水相の何れに添加して使用しても良いが、有機溶媒に対する溶解度が低いために水相に添加する方が容易である。添加量は油相の重量に対し0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。一般に乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされており「界面活性剤便覧」(西一郎ら、産業図書発行(1980))、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのアルカリ金属塩を用いることができる。
【0067】
本発明において、界面活性剤(乳化助剤)として芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物や芳香族カルボン酸塩のホルマリン縮合物などの化合物を使用することもできる。具体的には、下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【化2】
〔一般式(A)において、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基を表し、Xは−SO3 −又は−COO−を表し、Mはナトリウム原子又はカリウム原子を表す。qは1〜20の整数を表わす]
上記化合物については特開平6−297856号公報(←特願平5−83721号)に記載されている。
【0068】
また、アルキルグルコシド系化合物も同様に使用することができる。具体的には、下記一般式(B)で表される化合物である。
【化3】
〔一般式(B)において、Rは炭素原子数が4〜18のアルキル基を表す。qは0〜2の整数を表わす。]
本発明においては、いずれの界面活性剤とも単独で使用しても2種以上を適宜に併用してもよい。
【0069】
上記ジアゾニウム塩化合物(あるいは電子供与性染料前駆体)、高沸点溶媒等からなる溶液と多官能イソシアネート化合物との混合液(油相)を、界面活性剤及び水溶性高分子からなる水溶液(水相)に添加する。その際、水溶液をホモジナイサー等の高シェア攪拌装置で攪拌させながら、添加することにより乳化分散させする。乳化後、イソシアネート化合物の重合反応触媒を添加するか、乳化物の温度を上昇させてカプセル壁形成反応を行なう。
【0070】
調製されたジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセル液には、更にカップリング反応失活剤を適宜添加することができる。この反応失活剤としての例としては、ハイドロキノン、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、次亜リン酸、塩化第1スズ及びホルマリンを挙げることができる。これらの化合物については、特開昭60−214992号公報に記載されている。また通常、カプセル化の過程で、水相中にジアゾニウム塩化合物が溶出することが多いが、これを除去する方法として、濾過処理、イオン交換処理、電気泳動処理、クロマト処理、ゲル濾過処理、逆浸透処理、限外濾過処理、透析処理、活性炭処理などの方法を利用することができる。この中でもイオン交換処理、逆浸透処理、限外濾過処理及び透析処理が好ましく、特に、陽イオン交換体による処理、陽イオン交換体と陰イオン交換体の併用による処理が好ましい。これらの方法については、特開昭61−219688号公報に記載されている。
【0071】
本発明においては、感熱発色層中に電子受容性化合物、熱増感剤、カプラー及び塩基性化合物などを添加することができる。これらは、適宜混合して、別々に乳化分散、あるいは固体分散、微粒化して添加、あるいは適宜混合してから、乳化分散あるいは固体分散、微粒化して添加することができる。乳化分散する方法は、有機溶媒中にこれらの化合物を溶解し、水溶性高分子水溶液をホモジナイザー等で攪拌中に添加する。微粒子化を促進するにあたり、前述の疎水性有機溶媒、界面活性剤、水溶性高分子を使用することが好ましい。
【0072】
カプラーおよび塩基性物質、電子受容性化合物、熱増感剤などを固体分散するには、これらの粉末を水溶性高分子水溶液中に投入しボールミル等の公知の分散手段を用いて微粒子化し、使用することができる。微粒子化に際しては、熱感度、保存性、記録層の透明性、製造適性などの多色感熱記録材料及びその製造方法に必要な特性を満足しうる粒子直径を得るように行なうことが好ましい。
【0073】
上記マイクロカプセル液と、上記熱増感剤、電子受容性化合物、カプラー及び塩基性化合物等の調製液とは、適当な割合で混合され支持体上に塗布される。一般には、ジアゾニウム塩化合物1モルに対して、カプラー1〜10モル、好ましくは2〜6モルが適当である。塩基性化合物の最適添加量は塩基性の強度により異なるがジアゾニウム塩化合物の0.5〜5モルが一般的である。電子受容性化合物(顕色剤)は、電子供与性染料前駆体1モルに対して0.5〜30モルの範囲内で一般に添加するが、好ましくは1〜20モルの範囲で適宜添加する。さらに好ましく3〜15モルの範囲内で添加する。熱増感剤は、電子供与性染料前駆体に対して一般に0.1〜20モルの範囲内で添加するが、好ましくは0.5〜10モルの範囲で適宜添加する。
【0074】
これらの塗布液を塗布する支持体としては、感熱記録材料の支持体として公知の材料を使用することができる。例えば、紙、紙上にクレー等を塗布した塗工紙、ポリエチレン、ポリエステル等を紙上にラミネートしたラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また透明支持体としては、上記のポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、さらにポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
【0075】
本発明には、光堅牢性などを更に改善するために感熱発色層の上に保護層を設けてもよい。また、多色感熱材料においては、色再現性を更に良くするために感熱記録層の間に中間層を設けてもよい。これらに用いられる層の素材としては、水溶性高分子化合物もしくは疎水性高分子化合物のエマルジョン(ラテックス)が好ましい。
【0076】
多色感熱記録材料及びその記録方法について述べる。まず初めに低エネルギーの熱記録でジアゾニウム化合物を含有する最外層の感熱層(第1感熱記録層、通常イエロー発色層)を発色させた後、該感熱層に含有されるジアゾニウム化合物の吸収波長域の光を放出する光源を用いて全面光照射して、最上層の感熱層中に残存するジアゾニウム化合物を光分解させる。
【0077】
次いで、前回より高エネルギーで、第1層に含有されるジアゾニウム化合物の吸収波長域の光とは異なった光吸収波長域を有するジアゾニウム化合物を含有する第2層目の感熱層(第2感熱記録層、通常マゼンタ発色層)を発色させた後、該ジアゾニウム化合物の吸収波長域の光を放出する光源を用いて再度全面光照射し、これによって第2層目の加熱層中に残存するジアゾニウム化合物を光分解させる。最後に、更に高エネルギーで、最内層(第3感熱記録層、通常シアン発色層)の電子供与性染料前駆体を含有する層(第3層)を発色させて画像記録を完了する。
【0078】
上記の場合には、最外層及び第2層を透明な感熱層とすることが、各発色が鮮やかになるので好ましい。また本発明においては、支持体として透明な支持体を用い、上記3層のうち何れか一層を透明な支持体の裏面に塗布することにより、多色画像を得ることもできる。この場合には、画像を見る側と反対側の最上層の感熱層は透明である必要はない。
【0079】
上記ジアゾニウム化合物の光分解に使用する光源としては、通常紫外線ランプを使用する。紫外線ランプは管内に水銀蒸気を充填した蛍光管であり、管の内壁に塗布する蛍光体の種類により種々の発光波長を有する蛍光管を得ることができる。
【0080】
多色感熱記録材料においては、上記第3感熱記録層を適当なジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物との組合せで作成することも可能である。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、本実施例において「部」及び「%」は全て、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0082】
[合成例1]:本発明の化合物(1)の合成
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂(株)製の「ユニオックスM−4000」、平均分子量:4350)20部を外温110℃で窒素気流下において乾燥した後に、外温を60℃に戻し、乾燥酢酸エチル15ml、及び多価イソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)1.68部を添加して、60℃で3時間撹拌を行なった。この反応液にメタノール20mlを添加し60℃で2時間撹拌を行なった後に、溶媒を留去し、本発明に係る化合物(1)を20.3g得た。該化合物(1)につきIR吸収スペクトル(KBrセル使用)を測定したところ、NCO基の吸収は認められなかった。
【0083】
[合成例2]:本発明の化合物(2)の合成
合成例1において、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」1.68部の代わりに、ジ(4−イソシアネートフェニル)メタンの0.58部を使用したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(2)を19.8g得た。該化合物(2)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0084】
[合成例3]:本発明の化合物(3)の合成
合成例1において、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」1.68部の代わりに、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製の「ミリオネートMR−200」)の0.60部を使用したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(3)を20.6g得た。該化合物(3)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0085】
[合成例4]:本発明の化合物(4)の合成
合成例1において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル「ユニオックスM−4000」をポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Aldrich社製の「20,250−9」、平均分子量:2000)に変更し、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」の添加量1.68部を3.65部に変更したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(4)を21.6g得た。該化合物(4)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0086】
[合成例5]:本発明の化合物(5)の合成
合成例1において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル「ユニオックスM−4000」をポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Aldrich社製の「20,249−5」、平均分子量:750)に変更し、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」の添加量1.68部を9.74部に変更したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(5)を26.1g得た。該化合物(5)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0087】
[合成例6]:本発明の化合物(6)の合成
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(「ユニオックスM−4000」)50部と多価イソシアネート化合物(「タケネートD110N」)50部の反応混合物(50%酢酸エチル溶液)10部とアセトニトリル20mlの混合物を、氷浴下にエタノールアミン0.52部とアセトニトリル30mlの混合物に22分かけて滴下した。そのまま22分攪拌した後にメタノール20mlを添加し、50℃で30分間攪拌した。溶媒を溜去した後に酢酸エチルとn−ヘキサンを添加し生じた沈殿を濾取して、本発明に係る化合物(6)を5.55g得た。該化合物(6)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0088】
[合成例7]:本発明の化合物(7)の合成
合成例6において、エタノールアミン0.52部を、ジエタノールアミンの0.90部に変更したこと以外は、合成例6と同様にして本発明に係る化合物(7)を5.97g得た。該化合物(7)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0089】
[実施例1]
(I)感熱記録層(A)の塗布液の調製
(1)ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製
ジアゾニウム塩化合物として、420nmに分解の最大吸収波長をもつ下記の化合物(A−1)3.5部及び化合物(A−2)0.9部を酢酸エチル16.4部に溶解し、更に高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニル7.3部及びフタル酸ジフェニル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
【0090】
【化4】
【0091】
上記の混合溶液に、カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液、)4.5部と特開平7−88356号公報(←特願平5−233536号)に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の8.6部を添加し、均一に攪拌した。
別途、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液77部と合成例1で得られた本発明に係る化合物(1)1.2部からなる混合物を用意し、上記ジアゾニウム塩化合物とイソシアネート化合物の混合溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた乳化分散液に水20部を加え均一化した後、40℃にて攪拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20%になる様に濃度を調整して、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.85μmであった。
【0092】
(2)カプラー乳化分散液の調製
カプラー化合物として、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシアセトアニリド2.4部とトリフェニルグアニジン2.5部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホンアミド3.3部、4−n−ペンチルオキシフェニルスルホンアミド1.7部、及び4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール5.0部を、酢酸エチル8.0部に溶解し、「パイオニンA41C」(竹本油脂(株)製)1.0部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、別途、調製したゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)10%水溶液75.0部中に加えて、ホモジナイザーにて40℃で乳化分散した。この乳化分散液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、固形分濃度が26.5%になる様に濃度を調整した。
更に、上記カプラー乳化分散液100部に対して、SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製の商品名「SN−307」、48%液)を26.5%に濃度調整したもの9部を添加して、均一に撹拌してカプラー乳化分散液を得た。
【0093】
(3)感熱記録層(A)用塗布液の調製
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液及び上記カプラー乳化分散液を、内包しているジアゾ化合物/カプラー化合物の質量比が1.0/3.2になる様に混合し、感熱記録層(A)用塗布液を得た。
【0094】
(II)感熱保護層(D)の塗布液の調製
5.0%のイタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製の「KL−318」)水溶液61部に、20.5%のステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の「ハイドリンF115」)2.0部を添加し、下記に示す化合物(D−1)の2%水溶液8.4部、フッ素系離型剤(ダイキン(株)製の「ME−313」)8.0部、小麦粉澱粉(籠島澱粉(株)製の「KF−4」)0.5部を添加し均一に撹拌した。この液を母液と呼ぶ。
【0095】
化合物(D−1) C12H25O−(C2H4O)10−H
【0096】
別途、イオン交換した20%の「カオグロス」(白石工業(株)製)水溶液12.5部、「ポイズ532A」(花王(株)製)0.06部、「ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)1.87部、10%のポリビニルアルコール(クラレ(株)の「PVA105」)水溶液1.25部、2%のドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.39部を混合し、ダイノミルにて微分散を行なった。この液を顔料液と呼ぶ。上記の母液80部に、この顔料液4.4部を加え、30分以上撹拌した。その後、「Wetmaster500」(東邦化学(株)製)2.8部を添加し、更に30分以上撹拌して目的とする感熱保護層(D)用塗布液を得た。
【0097】
(III)感熱記録材料の作製
上質紙上にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーで前記感熱記録層(A)用塗布液及び上記保護層(D)用塗布液をこの順に塗布し乾燥を行い、目的とする感熱記録材料を得た。この際、固形分としての塗布量は1m2当たりそれぞれ4.5gと1.0gであった。
【0098】
(IV)熱記録及び評価
京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用い、下記の様にして上記の感熱記録材料の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積あたりの記録エネルギーが34mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を設定し、該感熱記録材料に印字して、イエローの画像を記録した。
(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、未印字部分の画像を定着させた。このイエロー画像の発色濃度は、マクベス濃度計「RD918型」にて発色部分の光学反射濃度を測定した。その結果を下記の表1の発色濃度として示した。
(3)またシェルフライフ(生保存性)の評価は、得られた感熱記録材料を、温度40℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に24時間保存した後、非印字部分を定着して地肌部分の光学反射濃度を測定した。その結果を下記表1のカブリ濃度として示した。
【0099】
[実施例2]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例2で得られた本発明に係る化合物(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.86μmであった。
【0100】
[実施例3]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例3で得られた本発明に係る化合物(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.46μmであった。
【0101】
[実施例4]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例4で得られた本発明に係る化合物(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.77μmであった。
【0102】
[実施例5]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例6で得られた本発明に係る化合物(6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.75μmであった。
【0103】
[実施例6]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例7で得られた本発明に係る化合物(7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.57μmであった。
【0104】
[実施例7]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いたカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)4.5部と特開平7−88356号公報に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の8.6部の代わりに、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)4.5部と特開平7−88356号公報に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の8.6部及び合成例4で得られた本発明に係る化合物(4)の1.7部を用い、且つ、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液77部と合成例1の本発明に係る化合物(1)1.2部からなる混合物の代わりに、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液の77部だけを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の感熱記録材料を作製した。ここで、上記ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.89μmであった。
【0105】
[実施例8]
実施例7において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いたカプセル壁剤として、合成例4の本発明に係る化合物(4)の代わりに合成例5で得られた本発明に係る化合物(5)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして実施例8の感熱記録材料を作製した。ここで、上記ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.44μmであった。
【0106】
[比較例1]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いたカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)4.5部と特開平7−88356号公報)に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の10.3部を用い、且つ、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液77部と合成例1の本発明に係る化合物(1)1.2部からなる混合物の代わりに、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液の77部だけを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の感熱記録材料を作製した。ここで、上記ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.60μmであった。
【0107】
上記で得られた感熱記録材料(実施例2〜8及び比較例1)についても、実施例1の熱記録及び評価と同様にして、画像部の発色濃度及び非発色部のカブリ濃度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1から明らかな様に、マイクロカプセルの形成の際に、本発明の手順に従ってイソシアネート基を総て反応させた本発明に係わる化合物を添加して製造したマイクロカプセル組成物を用いた感熱記録材料(実施例1〜8)は、本発明の化合物を添加しない比較例1のものに較べて、画像部の発色濃度が高く、地肌部のカブリ濃度が低いことが分かった。
【0110】
[実施例8]
(V)感熱記録層(B)の塗布液の調製
(1)ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製
ジアゾニウム塩化合物として365nmに分解の最大吸収波長をもつ下記化合物(B−1)2.8部、硫酸ジブチル2.8部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製の「イルガキュア651」)0.56部を、酢酸エチル10.0部に溶解した。更に高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニルを5.9部及びリン酸トリクレジル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
【0111】
【化5】
【0112】
カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)7.6部を、上記混合液に更に添加して均一に攪拌した。
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2.0部を加えた6%ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の商品名「MGP−9066」)水溶液64部を用意し、上記ジアゾニウム塩化合物の混合液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0113】
上記で得られた乳化分散液に水20部を加え均一化した後、攪拌しながら40℃で30分反応させ、この後60℃に昇温し、3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後イオン交換樹脂を濾過して、目的とするジアゾニウム塩内包カプセル液を得た。このマイクロカプセルの平均粒径は0.64μmであった。
【0114】
(2)カプラー乳化分散液の調製
カプラー化合物として、下記に示す化合物(B−2)3.0部、トリフェニルグアニジン8.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンを8.0部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール8.0部、下記に示す化合物(B−3)2.0部、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン2.0部を、酢酸エチル10.5部に溶解し、更に高沸点溶媒としてりん酸トリクレジル0.48部、マレイン酸ジエチル0.24部及び「パイオニンA41C」(竹本油脂(株)製)1.27部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、8%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液93部中に加えて、ホモジナイザーにて乳化分散した。この乳化分散液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、目的とするカプラー乳化分散液を得た。
【0115】
【化6】
【0116】
【化7】
【0117】
(3)感熱記録層(B)用塗布液の調製
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液及び上記カプラー乳化分散液を、内包しているジアゾ化合物/カプラー化合物の質量比が1.0/3.2になる様に混合し、目的とする感熱記録層(B)用塗布液を得た。
【0118】
(VI)感熱記録層(C)の塗布液の調製
(1)電子供与性染料前駆体内包カプセル液の調製
電子供与性染料前駆体として3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド0.39部、紫外線吸収剤として285nmに最大吸収波長を持つ2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.19部、及び酸化防止剤として2、5−tert−オクチルハイドロキノン0.29部を、酢酸エチル0.93部に溶解し、更に高沸点溶媒であるフェネチルクメン0.54部を添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)1.0部を、この溶液に更に添加し、均一に撹拌した。
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.07部が添加された6%ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の「MGP−9066」)水溶液36.4部を用意し、上記の電子供与性染料前駆体溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液を一次乳化分散液と呼ぶ。
【0119】
別途3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド6.0部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン3.0部、及び2、5−tert−オクチルハイドロキノン4.4部を、酢酸エチル14.4部に溶解し、更に高沸点溶媒としてフェネチルクメン8.4部を添加し、均一に撹拌した溶液に、先に用いた「タケネートD110N」を7.8部及びメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製の「ミリオネートMR200」)5.9部を添加し、均一に撹拌した。この様にして得られた溶液と、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液1.2部を上記の一次乳化分散液に添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。この液を二次乳化分散液と呼ぶ。この二次乳化分散液に、水60.0部及びジエチレントリアミン0.4部を加えて均一化した後、攪拌しながら65℃に昇温し、3.5時間かけてカプセル化反応を行い、目的とする電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル乳化液を得た。このマイクロカプセルの平均粒子径は1.9μmであった。
【0120】
(2)電子受容性化合物分散液の調製
電子受容性化合物として、「ビスフェノールP」30部をゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の「MGP−9066」)2.0%水溶液82.5部中に添加し、更に2%の2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム水溶液7.5部を加え、得られた混合物をボールミルにて24時間分散して分散液を作製した。この分散液に15%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液36.0部を加え均一に撹拌して、電子受容性化合物分散液を得た。この分散液中の電子受容性化合物の平均粒径は0.5μmであった。
【0121】
(3)感熱記録層(C)用塗布液の調製
次に、前記の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液、上記の電子受容性化合物分散液、15%のゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液及びスチルベン系蛍光増白剤(住友化学(株)製の「Whitex−BB」)を、電子供与性染料前駆体/電子受容性化合物の質量比率が1/14、電子供与性染料前駆体/「#750ゼラチン」の質量比率が1.1/1、且つ電子供与性染料前駆体/蛍光増白剤の質量比率が5.3/1となる様に混合し、目的とする感熱記録層(C)用塗布液を調製した。
【0122】
(VII)中間層(E)用塗布液の調液
14%のゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液に4%ほう酸水溶液8.2部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2%水溶液1.2部、及び下記化合物(E−1)の2%水溶液7.5部を添加し均一に撹拌して、目的とする中間層(E)用の塗布液を調製した。
【0123】
(E−1) (CH3CH2SO2CH2CONHCH2)2−
【0124】
(VIII)多色感熱記録材料の作製
上質紙上にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーで上記感熱記録層(C)用塗布液、上記中間層(E)用塗布液、上記感熱記録層(B)用塗布液、上記中間層(E)用塗布液、実施例1記載の感熱記録層(A)用塗布液及び前記保護層(D)用塗布液を、この順に塗布し乾燥を行い、目的とする多色感熱記録材料を得た。ここで、固形分としての塗布量は1m2あたり各々9.0g、3.0g、8.0g、3.0g、4.7g、1.0gであった。
【0125】
(IX)熱記録及び評価
京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用いて、下記の様に上記感熱記録材料の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積あたりの記録エネルギーが35mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調整し、上記感熱記録材料に印字して、イエローの画像を記録した。(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、(3)再度単位面積あたりの記録エネルギーが80mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を決め、印字して、マゼンタの画像を記録した。更に(4)発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプで15秒間照射し、(5)再度単位面積あたりの記録エネルギーが140mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調整し、印字してシアンの画像を記録した。この結果、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタの記録が重複した記録部分は赤色に、マゼンタとシアンが重複した部分は青色に、イエローとシアンが重複した部分は緑色に、そしてイエロー、マゼンタ、シアンの記録が重複した画像部分は黒色に発色した。未記録部は、灰白色であった。イエロー、マゼンタ、シアンの各発色部分の光学反射濃度を「マクベスRD918」型濃度計で測定した。シェルフライフ(生保存性)の評価は、得られた多色感熱記録材料を温度40℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に24時間放置した後、定着し、地肌部分の光学反射濃度を測定して評価した。
【0126】
【表2】
【0127】
表2より明らかな様に、多色記録材料においても、マイクロカプセルの形成の際に、本発明の手順に従ってイソシアネート基を総て反応させた本発明に係わる化合物を添加して製造したマイクロカプセル組成物を用いた感熱記録材料は、イエロー、マゼンタ、シアンの画像部の発色濃度が高く、地肌部のカブリ濃度が低いことが分かった。
【0128】
【発明の効果】
本発明のマイクロカプセル組成物は、熱に対する感度が高く、カプラー或いは顕色剤との接触により高い発色性示し、また芯材料としてジアゾ化合物を用いた場合は優れた生保存性(長いシェルフライフ)を示す等の優れた特性を有する。従って、上記マイクロカプセルを感熱記録材料の感熱記録層に用いた場合、感熱感度及び発色性が高く、また芯材料としてジアゾ化合物を用いた場合は、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。更に、上記マイクロカプセルを感熱記録層に用いると、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料等に利用することができるマイクロカプセル組成物、該マイクロカプセルを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリやプリンター等の記録媒体として普及している感熱記録材料は、主として支持体上に電子供与性染料前駆体の固体分散物を塗布乾燥させた材料を使用している。電子供与性染料前駆体を使用した記録方式は、材料も入手し易くかつ高い発色濃度や発色速度を示す等の利点を有するが、記録後の保存条件や加熱あるいは溶剤等の付着により発色し易く、記録画像の保存性や信頼性に問題があり、多くの改良が検討されてきた。
【0003】
記録画像の保存性を改善するための一つの方法として、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル中に内包し、記録層中で顕色剤と該電子供与性染料前駆体とを隔離することにより、画像の保存性を高める方式が提案されている。この方式によって高い発色性と画像安定性を得ることができる。
【0004】
上記以外の感熱記録材料としては、ジアゾニウム塩化合物を利用した、所謂ジアゾ型の感熱記録材料も研究されている。このジアゾニウム塩化合物は、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物等(カプラー)と反応して染料を形成するものであるが、同時に感光性も有し、光照射によりその活性を失うものである。この様な性質を利用して最近では感熱記録材料にも応用され、ジアゾ化合物とカプラーを熱で反応させて画像を形成し、その後、光照射して定着させることができる光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、この様なジアゾニウム塩化合物を用いた記録材料は、化学的活性が高いため、低温であってもジアゾニウム塩化合物とカプラーが徐々に反応し、貯蔵寿命(シェルフライフ)が短か過ぎるとの欠点があった。これに対する一つの解決手段として、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルで包含し、カプラーや水及び塩基性化合物から隔離する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0006】
また、感熱記録材料の応用分野の一つとして、多色感熱記録材料が注目されてきている。感熱記録による多色画像の再現は、電子写真記録方式やインクジェット記録方式に比べて難しいと言われてきたが、この点に関しては既に、支持体上に電子供与性染料前駆体と顕色剤を主成分とする感熱発色層又はジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と加熱時に反応して発色させるカプラー化合物を含有する感熱発色層を2層以上積層することによって多色感熱記録材料が得られることが見い出されている。この様な多色感熱記録材料においては、優れた色再現性を得るためには、マイクロカプセルの熱発色特性を高度に制御することが必要である。
【0007】
従来、電子供与性染料前駆体やジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル内に包含させるには、一般に有機溶媒中にこれらの化合物を溶解させ(油相)、これを水溶性高分子を含む水溶液(水相)中に加えて乳化分散させる。この際、壁剤となるモノマー或いはプレポリマーを有機溶媒(油相)側か水相側の何れかに添加しておくことにより、有機溶媒相と水相の界面に高分子壁を形成させてマイクロカプセル化することができる(例えば、非特許文献3及び4参照。)。ここで形成されるマイクロカプセル壁としては、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ナイロンなど様々なものが使用可能である。また、ポリウレアやウレタン樹脂は、そのガラス転移温度が室温〜200℃程度にあるためカプセル壁が熱応答性を示し、感熱記録材料を設計するのに好適である。
【0008】
上記マイクロカプセルを形成する方法としては、ポリウレタン或いはポリウレア壁を有するマイクロカプセルの場合、まず有機溶媒中にジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体等の発色成分を溶解し、これに多価イソシアネート化合物を添加し、この有機相溶液を水溶性高分子を含む水相中で分散乳化させる。その後、水相側に重合反応を促進させる触媒を添加するか、又はこの分散乳化液の温度を上げて多価イソシアネート化合物を水等の活性水素を有する化合物で重合させてマイクロカプセル壁を形成する方法が従来から知られている。
【0009】
上記ポリウレア或いはポリウレタン壁の形成材料である多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシナネートとトリメチロールプロパンの付加体、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加体が主として使用されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、上記の様な多価イソシアネート化合物を用いたポリウレア或いはポリウレタンのカプセル壁であっても、前述したジアゾニウム塩化合物を用いた際の短いシェルフライフについてはまだ充分に改善されていない。即ち、シェルフライフが充分に長くない感熱記録材料は、製造後使用するまでの間に、例えば高温高湿の条件下に曝された場合に、「かぶり」と呼ばれる地肌の発色が顕われ、印字画像の視認性を低下させる。この様な問題を解決する為には、例えばマイクロカプセルの壁厚を厚くする等の手段がある。しかしながらこの様な手法を用いると、熱印字時の発色感度の低下を引き起こす。従って、発色性を維持しながらシェルフライフを更に向上させることは非常に困難であった。
【0010】
この様な課題に鑑み、少なくとも1種の(A)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500から2万の化合物と、(B)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートとの付加物を含むイソシアネート化合物の重合により得られるポリマーからなることを特徴とする熱応答性マイクロカプセルが開示されており、カブリと感度の両立するマイクロカプセルが提供されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、ここでの(A)と(B)の反応生成物には遊離のイソシアネート基が残っており、マイクロカプセル形成反応においては、イソシアネート基の水との反応性のために、予め油相に添加しておく必要があるが、(A)の化合物は油相より水相に対する溶解度が高い場合が多く、製造適性の点で問題となることがあった。
【0011】
また、その製造に使用するイソシアネートが少なくとも二官能性イソシアネートと一価のポリ酸化エチレンアルコールとの反応生成物であることを特徴とする、ポリ尿素殻体を有するマイクロカプセルについても開示があるが(例えば、特許文献4参照。)、当該反応生成物においてもイソシアネート基が残っており、、マイクロカプセル形成反応においては、イソシアネート基の水との反応性のために、予め油相に添加しておく必要があるが、一価のポリ酸化エチレンアルコールは油相より水相に対する溶解度が高い場合が多く、製造適性の点で問題となることがあった。
【0012】
【特許文献1】
特開昭62−212190号公報
【特許文献2】
特開平4−26189号公報
【特許文献3】
特開平10−114153号公報
【特許文献4】
特許3266330号公報
【非特許文献1】
佐藤弘次ら著「画像電子学会誌」、第11巻、第4号、290〜296頁、1982年、など
【非特許文献2】
宇佐美智正ら著「電子写真学会誌」、第26巻、第2号、115〜125頁、1987年
【非特許文献3】
近藤朝士著「マイクロカプセル」、日刊工業新聞社、1970年
【非特許文献4】
近藤保ら著「マイクロカプセル」、三共出版、1977年
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記の事情に鑑み、感熱記録材料におけるマイクロカプセルの形成に関して、高い発色性を維持しながら且つシェルフライフを更に向上させる観点より鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。即ち、
本発明の目的は、感熱記録材料及び多色感熱記録材料に好適に使用することができ、カプラー或いは顕色剤との接触により高い発色性示し、且つ生保存性に優れたマイクロカプセル組成物を提供することにある。
また本発明は、高い発色性と優れた生保存性(長いシェルフライフ)を有する感熱記録材料を提供することを目的とする。
更に本発明は、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、下記の本発明のマイクロカプセル組成物及び感熱記録材料によって解決できる。即ち、
<1> イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
<2> イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
<3> イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
<4> 支持体、及びその上に設けられた(1)ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、或いは(2)電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤、を含有する感熱記録層からなる感熱記録材料であって、上記マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物が、上記<1>〜<3>の何れかに記載のマイクロカプセル組成物であることを特徴とする感熱記録材料。
<5> 支持体、及びその上に設けられたシアン、マゼンタ及びイエローの感熱記録層を有し、各感熱記録層が(1)ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、或いは(2)電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤、を含有してなる多色感熱記録材料であって、上記マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物の少なくとも1種が、上記<1>〜<3>の何れかに記載のマイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料。
【0015】
【発明の実施の形態】
第1の本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とする。
第2の本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とする。
第3の本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とする。
【0016】
本発明のマイクロカプセル組成物は、ポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、上記の様にイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種が添加されるが、これ以外にマイクロカプセルの製造に要する他の成分、例えば、カプセルに内包される物質、疎水性有機溶媒、低沸点有機溶媒、水溶性媒体、カプセル壁剤、活性水素化合物、及び各種添加剤等を、上記イソシアネート基を総て反応させた化合物の添加の前後或いは同時に、目的ないし必要に応じて適宜に含有することができる。
本発明のマイクロカプセル組成物は、上記の様な構成及び手順に従って形成されたポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを含有する組成物であるので、微小粒径に制御することが容易で、微細な粒径であっても経時的に安定し、長期シェルフライフを保有し感熱感応度が高く、また発色成分を内包する該マイクロカプセルは、カプラー或いは顕色剤との接触により高い発色性を示し、且つ生保存性(シェルフライフ)にも優れた特性を有する。
以下、本発明の主要な構成要素及び製造手順等について詳細に説明する。
【0017】
(多官能イソシアネート化合物)
まず初めに本発明に用いる、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物について説明する。
この様な多官能イソシアネート化合物としては、分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物として、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
更に、これらの2官能イソシアネート化合物とエチレングリコール類、ビスフェノール類等の2官能アルコール、及びフェノール類との付加反応物も利用できる。
【0018】
更に、3官能以上のイソシーネート化合物も使用できる。この様な多官能イソシーネートの例としては、上記の2官能イソシアネート化合物を主原料とし、これらの3量体(ビューレット或いはイソシアヌレート)、トリメチロールプロパン等のポリオールと2官能イソシアネート化合物の付加体として多官能イソシーネートとしたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等も用いることができる。
特に、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物を主原料とし、これらの3量体(ビューレット或いはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンとのアダクト体として多官能イソシアネートとしたものも好ましい。これらの化合物については岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社発行、1987年)等に詳しく記載されている。
【0019】
これらの中でも、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンとキシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとの付加物が好ましく、特にキシリレン−1,4−ジイソシアネート及びキシリレン−1,3−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンとキシリレン−1,4−ジイソシアネート又はキシリレン−1,3−ジイソシアネートとの付加物が好ましい。
以上、これらの多官能イソシアネート化合物は、1種単独で使用しても2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
(ポリエーテル誘導体)
次に、分子内に1個の活性水素を有し、且つ平均分子量が500〜20000、或いは300〜5000のポリエーテル誘導体について説明する。
上記活性水素を有する官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられ、この中でも特に水酸基、アミノ基が好ましい。
この様な活性水素を有するポリエーテル誘導体としては特に限定はされないが、例えば、片末端に活性水素を有するポリエーテル類の誘導体等が挙げられる。該ポリエーテル誘導体の分子量が300より小さいと、これらの化合物の導入によりカブリが増加する。一方、該ポリエーテル誘導体の分子量が20000より大きいと、これらの化合物の合成が難しくなり、また高粘度となる為にカプセル製造のための調液、及びカプセル形成が困難になる。
【0021】
上記ポリエーテル誘導体の具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリ(エチレンチオグリコール)等の諸種の誘導体が挙げられる。
【0022】
本発明では、上記ポリエーテル誘導体の繰り返し単位は1種類であっても、2種以上の繰り返し単位からなる共重合体でもよい。また、これらのポリエーテル誘導体は溶融点を有してもよく、この様な場合には特に40〜180℃の溶融点を有する化合物が好ましい。この様な溶融点を有するポリエーテル誘導体としはポリエチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリカプロラクトン等の誘導体が挙げられる。上記溶融点は分子量によっても変化する為に一概には言えないが、例えばポリエチレンオキシド誘導体の場合では、分子量が約1000以上の場合にこの様な溶融点を有する。
【0023】
本発明においては、マイクロカプセル組成物の安定性及びカプセル粒径の制御等の観点より、分子内に1個の活性水素を有し平均分子量が500〜20000又は300〜5000のポリエーテル誘導体としては、下記一般式(I)で表されるポリエーテル誘導体が特に好ましい。
【化1】
【0024】
一般式(I)において、R1はアルキル基、アリール基、アシル基を表す。
R1で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が1〜30のアルキル基が好ましく、特に総炭素数が1〜20のアルキル基が好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、ベヘニル基、ベンジル基、アリル基、オレイル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0025】
R1で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、総炭素数が6〜30のアリール基が好ましく、特に総炭素数が6〜20のアリール基が好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基が好ましく、中でも特にアルキル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアリール基の具体例としては、フェニル基、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基、フルオロフェニル基、スチリルフェニル基、フェニルエテニルフェニル基、メトキシフェニル等が挙げられる。
【0026】
R1で表されるアシル基としては、脂肪族でも芳香族のアシル基でもよく、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が2〜30のアシル基が好ましく、特に総炭素数が2〜20のアシル基が好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアシル基の具体例としては、アセチル基、ベンゾイル基、(メタ)アクリロイル基、オレオイル基、ラウロイル基、ステアロイル基、メトキシベンゾイル基等が挙げられる。以上、この様なRで表される基の中でも、アルキル基及びアシル基が好ましく、特にアルキル基を表すことが好ましい。
【0027】
一般式(I)において、Lはアルキレンを表す。
Lで表されるアルキレンとしては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が2〜20のアルキレンが好ましく、特に総炭素数が2〜10のアルキレンが好ましい。置換基を有する場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基が好ましく、中でも特にアリール基が好ましい。この様なアルキレンとしては、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、フェニルエチレン、シクロヘキシレン、ビニルエチレン、フェノキシメチルエチレン等が挙げられる。
【0028】
一般式(I)の繰り返し単位−(L−O)n−は、n個の繰り返しにおいてそれぞれ独立の基を表してもよいが、同一の基を表すことが特に好ましい。この様な繰り返し単位を有するポリエーテルとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。
nはポリエーテル基の平均付加モル数で11〜440の数を表し、15〜300の数が好ましく、特に15〜200の数が好ましい。
【0029】
一般式(I)において、R2は水素原子又は−(X)m−A−Bを表す。
上記Xは−CO−又は−SO2−を表し、−CO−が好ましい。
上記Aはアルキレン又はアリーレンを表す。
Aで表されるアリーレンとしては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が6〜30のアリーレンが好ましく、特に総炭素数が6〜20のアリーレンが好ましい。置換されている場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基が好ましく、特にハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。この様なアリーレンの具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフタレン、メチルフェニレン、メトキシフェニレン等が挙げられる。
【0030】
Aで表されるアルキレンとしては、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよく、総炭素数が1〜30のアルキレンが好ましく、特に総炭素数が1〜20のアルキレンが好ましい。置換されている場合の上記置換基には、活性水素を有する置換基は含まれず、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、中でも特にアリール基が好ましい。この様なアルキレンの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、フェニルメチレン等が挙げられる。
【0031】
上記Bは水酸基又はアミノ基を表し、アミノ基が好ましい。
mは0又は1を表し、1が好ましい。
この様な−(X)m−A−Bで表される基の具体例としては、アミノエチル基、アミノプロピル基、4−アミノベンゾイル基、3−アミノベンゾイル基、4−アミノベンゼンスルホニル基、アミノアセチル基、アミノエチルスルホニル基、ヒドロキシアセチル基、4−ヒドロキシベンゾイル基等が挙げられる。
以上、R2で表される基の中では、特に水素原子が好ましい。
【0032】
(処理用のアルコール類)
本発明において、イソシアネート基を総て反応させるための処理に用いるアルコールとしては、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、複素環式アルコール等の群の中から選択して使用することができる。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロペンタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール等の炭素原子数が1〜8のアルコールが、好ましい具体例として挙げられ、中でも特に、メタノール、エタノール、プロパノール等の様に留去の容易な低沸点のアルコールが好ましい。該処理用の上記アルコール類は、2種以上を併用してもよい。
【0033】
(水酸基を有するアミン類)
本発明に用いる、少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等の群の中から選択して使用することができ、これらの中でも、炭素原子数が2〜30のアミン類が好適に使用される。
上記のアミン化合物において、水酸基はアミノ基に対して炭素原子数が2〜20のアルキレン又は炭素原子数が6〜20のアリーレンを介して結合していることが好ましく、特に炭素原子数が2〜18のアルキレンを介して結合していることが好ましい。上記のアルキレン及びアリーレンは、置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよい。この様な水酸基を有している置換基の例として、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
また2級アミンの場合には、アミンの窒素原子に結合する2つの置換基は同一であっても異なっていてもよく、異なる場合には、上記水酸基が結合したアルキレン又はアリーレンの他に、炭素原子数が1〜20のアルキル基又は炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましい。該アルキル基、アリール基は置換基を有していてもよく、また分岐を有していてもよい。
この様な少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの具体例としては、エタノールアミン、ヒドロキシプロピルアミン、ヒドロキシデシルアミン、ジエタノールアミン、p−アミノフェノール、N−ヒドロキシエチル−N−ドデシルアミン、N−メチル−p−アミノフェノール等が挙げられる。
【0034】
(本発明の化合物の製造方法)
第1の本発明における、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の製造方法について、以下に具体的に説明する。
【0035】
本発明の上記イソシアネート基を総て反応させた化合物は、前述した多官能イソシアネート化合物に、該化合物のイソシアネート基のモル数と等量又はそれより少ないモル数の前記ポリエーテル誘導体を反応させた後に、残存しているイソシアネート基をアルコールで処理することによりウレタン結合に変化させ、総てのイソシアネート基を消失させたものである。
この際、ポリエーテル誘導体の使用量は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対して0.01〜1.0モルが好ましく、特に0.03〜1.0モルが好ましい。
【0036】
また上記反応で溶媒を使用してもよく、該溶媒としてはトルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、酢酸エチル等の活性水素を持たない低沸点溶媒が好ましく、特にトルエン、アセトニトリル、酢酸エチルが好ましい。溶媒を使用する場合の使用量は、多官能イソシアネート化合物1gに対して0.1ml〜100mlが好ましく、特に0.5mlから20mlが好ましい。
本反応の温度としては、0℃〜100℃又は使用する溶媒の還流温度が好ましく、特に30℃〜70℃が好ましい。
また、ポリエーテル誘導体を反応前に脱水して使用することも好ましく、脱水方法としては真空ポンプで60℃〜100℃に加熱下に数時間攪拌する方法、酢酸エチル等の溶媒と共沸脱水する方法等が挙げられる。
本反応に要する時間は1時間〜8時間が好ましく、特に2時間〜6時間が好ましい。
また本反応には、オクチル酸第1錫やジブチル錫ジアセテート等の触媒を添加してもよい。
【0037】
多官能イソシアネートとポリエーテル誘導体との反応の後に処理するアルコールの使用量は、多官能イソシアネートの残存しているイソシアネート基をウレタン結合に変換するのに十分な量が好ましく、具体的には多官能イソシアネート1gに対して1.0ml〜100mlが好ましく、特に2.0ml〜50mlが好ましい。
該処理に必要な温度は0℃〜100℃又は使用する溶媒の還流温度が好ましく、特に20℃から70℃が好ましい。
該反応に要する時間は30分〜30時間が好ましく、特に1時間〜8時間が好ましい。
また該反応には、オクチル酸第1錫やジブチル錫ジアセテート等の触媒を添加してもよい。
【0038】
次に第2の本発明における、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の製造方法について説明する。
【0039】
本発明の上記イソシアネート基を総て反応させた化合物は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数より少ないモル数のポリエーテル誘導体を反応させた後に、更に、残存しているイソシアネート基のモル数と等量又はそれより少ないモル数の1級又は2級アミンを反応させ、その後に残存しているイソシアネート基をアルコールにより処理することによりウレタン結合に変化させることにより、総てのイソシアネート基を消失させたものである。
この際、ポリエーテル誘導体の使用量は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対して0.01〜0.99モルが好ましく、特に0.03〜0.5モルが好ましい。
その他の多官能イソシアネートとポリエーテル誘導体の反応については上記に記載したものと同様にできる。
【0040】
更に第3の本発明における、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることにより、イソシアネート基を総て反応させた化合物の製造方法について説明する。
【0041】
本発明の上記イソシアネート基を総て反応させた化合物は、ポリエーテル誘導体の活性水素のモル数が多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることにより、総てのイソシアネート基を消失させたものである。
この際、ポリエーテル誘導体の使用量は、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基1.0モルに対して1.0〜10モルが好ましく、特に1.0〜3.0モルが好ましい。
その他の多官能イソシアネートとポリエーテル誘導体の反応については上記に記載したものと同様にできる。
【0042】
第1及び第2の本発明の前記反応に続く、水酸基を有し1級又は2級アミンとの反応は、上記の反応溶液に1級又は2級アミンを添加してもよいし、多官能イソシアネート化合物とポリエーテル誘導体を別途に反応させておき、当該反応溶液を1級又は2級アミンに添加してもよい。
上記1級又は2級アミンとの反応における1級又は2級アミンの使用量は、ポリエーテル誘導体との反応後に残存しているイソシアネート基1.0モルに対して0.1〜1.0モルが好ましく、特に0.5〜1.0モルが好ましい。
【0043】
上記反応には溶媒を使用してもよく、該溶媒としてはトルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、酢酸エチル等の活性水素を持たない低沸点溶媒が好ましく、特にトルエン、アセトニトリル、酢酸エチルが好ましい。溶媒を使用する場合の使用量は、1級又は2級アミン1gに対して1ml〜200mlが好ましく、特に10ml〜100mlが好ましい。
上記反応の温度は0℃〜100℃又は使用する溶媒の還流温度が好ましく、特に0℃から50℃が好ましい。
上記反応に要する時間は30分間〜8時間が好ましく、特に30分間〜3時間が好ましい。
引き続くアルコールとの処理については、前記に記載と同様にして行なう。
【0044】
(マイクロカプセル組成物)
次に、本発明のマイクロカプセル組成物について説明する。
マイクロカプセルの形成は多官能イソシアネート化合物の重合、例えば分子内に2個以上の活性水素を有する化合物との反応で行なわれる。この様な活性水素を有する化合物の例としては、例えば水の他、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系化合物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の多価アミン系化合物等、又はこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、特に水を用いて重合させることが好ましい。この結果としてポリウレタン/ポリウレア壁が形成される。
【0045】
本発明のマイクロカプセル組成物は、該マイクロカプセルの製造の際に、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも一種を反応させた後に、(3)炭素原子数1〜8のアルコールの少なくとも一種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物、又は、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも一種を反応させ、更に(3)少なくとも1個の水酸基を有する炭素原子数2〜30の1級又は2級アミンの少なくとも一種を反応させた後に、(4)炭素原子数1〜8のアルコールの少なくとも一種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物、又は第3の発明の化合物を、油相又は/及び水相に添加したものである。
【0046】
上記のイソシアネート基を総て反応させた化合物はカプセル化の際に、油相又は水相のいずれか一方、又は両方に添加してもよいが、これらの化合物が溶解する方に添加するのが好ましい。また、これらの化合物は1種単独でも2種以上を併用しても構わない。
上記イソシアネート基を総て反応させた化合物の添加量は、油相又は水相の全質量の0.5%〜50%が好ましく、特に1.0%〜30%が好ましい。
【0047】
本発明において、マイクロカプセルの製造に必要な他の成分、即ち、カプセルに封入する物質、疎水性溶媒、水媒体等は、当該技術の現状に対応するものが使用可能である。
本発明のマイクロカプセルに封入することの可能な物質の例は、例えば、香料油、植物保護剤、反応性接着剤及び医薬等を挙げられるが、ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体等の発色成分を内包するマイクロカプセルを製造するのに好適である。ジアゾニウム塩化合物又は電子供与性染料前駆体を内包する場合には、高沸点溶媒に溶解されてマイクロカプセルに封入されている態様が好ましい。
【0048】
また本発明の感熱記録材料は、支持体上に上記マイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられた基本構成を有する。更に、本発明の多色感熱記録材料は、透明支持体上にシアン、マゼンタ及びイエローのマイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられ、これらの中の少なくとも1種は上記マイクロカプセルからなる基本構成を有する。ここで、所望により透明支持体の裏面にブラックの感熱記録層が設けられてもよい。
【0049】
(発色成分及び顕色剤)
本発明のマイクロカプセルに内包される電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられるが、特にトリアリールメタン系化合物及びキサンテン系化合物が、発色濃度が高く有用である。
【0050】
これらの具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン;
【0051】
ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0052】
上記電子供与性染料前駆体と組み合わせて用いられる電子受容性化合物(顕色剤とも言われ、通常はマイクロカプセルには内包されない。)としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。これらの中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノール等を挙げることができる。これらの電子受容性化合物は1種単独でも、2種以上を任意の比率で併用することもできる。
【0053】
本発明の感熱記録層には、その反応を促進するために増感剤を添加することが好ましい。この様な増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましい。その具体例としては、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−トルエンスルホンアミド、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホンアミド、4−n−ペンチルオキシフェニルスルホンアミド等が挙げられる。本発明においては、これらの増感剤を2種以上任意の比率で併用することもできる。
【0054】
マイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩化合物は、公知のものを使用することができる。該ジアゾニウム塩化合物としては、下記一般式
Ar−N2 +・X−
で表わされる化合物をいう。ここで、上式中のArはアリール基を表わし、X− は酸アニオンを表す。
【0055】
上記ジアゾニウム塩化合物は、フェノール化合物或いは活性メチレンを有する化合物と反応し、いわゆる染料を形成可能であり、更に光(一般的には紫外線)照射により分解し、脱窒素してその反応活性を失うものである。この様なジアゾニウム塩の具体例としては、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、2,5−ジヘプチルオキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウム、4−N,N−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ヘキシル−N−(1−メチル−2−(p−メトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム及び4−N−ヘキシル−N−トリルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウムの塩等を挙げることができる。
【0056】
上記ジアゾニウム塩化合物の酸アニオンには、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩、パーフルオロアルキルカルボネート塩、パーフルオロアルキルスルフォネート塩、塩化亜鉛塩、及び塩化錫塩等を用いることができる。中でも好ましくは、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、及び1,5−ナフタレンスルホネート塩が、水溶性が低く有機溶剤に可溶であるので好適である。本発明においては、異なる2種以上のジアゾニウム塩化合物を任意の比率で混合して用いることもできる。
【0057】
ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルを用いた感熱記録層においては、アリールスルフォンアミド化合物等の公知の熱増感剤が添加されていてもよい。具体的には、トルエンスルホンアミドやエチルベンゼンスルホンアミドなどが好適に挙げられる。また本発明においては、異なる2種以上の熱増感剤を混合して用いることもできる。
【0058】
ジアゾニウム塩化合物と反応して色素を形成するカプラー化合物は、通常、乳化分散及び/又は固体分散することにより微粒子化して使用される。該カプラーの具体例としては、例えば、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシアセトアニリド;
【0059】
1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)−2−メチルカーボネイトシクロヘキサン−3,5−ジオン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)シクロヘキサン−3,5−ジオン、N−フェニル−N−ドデシルバルビツール酸、N−フェニル−N−(2,5−ジオクチルオキシフェニル)バルビツール酸及びN−フェニル−N−(3−ステアリルオキシ)ブチルバルビツール酸等を挙げることができる。これらのカプラー化合物は、2種以上を併用して目的とする発色色相を得ることもできる。
【0060】
更に、色素形成反応を促進させるために、乳化分散及び/又は固体分散して微粒子化した塩基化合物を添加するのが好ましい。該塩基物質としては無機或いは有機の塩基化合物の他、加熱時に分解等によりアルカリ物質を放出するような化合物も含まれる。代表的な塩基化合物としては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素及びチオ尿素、更にそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
【0061】
これらの具体例としてはトリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、及び2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾール等を挙げることができる。これらの塩基化合物は、2種以上を併用することもできる。
【0062】
(マイクロカプセルの形成及び感熱記録材料)
本発明のマイクロカプセル組成物は、例えば下記の様にして具体的に作製することができる。マイクロカプセルの芯を形成するための疎水性溶媒としては、沸点100〜300℃の高沸点有機溶媒が好ましい。具体的には、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、ジフェニルエタンアルキル付加物、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェート等の燐酸系誘導体、マレイン酸−ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸エステル類、及びアジピン酸エステル類などを挙げることができる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。前記ジアゾニウム塩化合物や電子供与性染料前駆体の上記疎水性溶媒に対する溶解度が充分でない場合は、更に低沸点有機溶剤を併用することができる。併用する低沸点有機溶媒としては、沸点40〜100℃の有機溶媒が好ましく、具体的には酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン及びアセトン等を挙げることができる。また、これらの低沸点有機溶媒を2種以上混合して用いてもよい。低沸点(沸点約100℃以下のもの)の溶媒のみをカプセル芯に用いた場合には、該溶媒は揮発して、カプセル壁とジアゾニウム塩化合物や電子供与性染料前駆体のみが存在する所謂コアレスカプセルが形成され易い。
【0063】
ジアゾニウム塩の種類によってはマイクロカプセル化反応中の水相側へ移動する場合があり、これを抑制するために、予め酸アニオンを水溶性高分子溶液中に適宜添加してもよい。この様な酸アニオンとしては、PF6 −、B(−Ph)4 −(該Phはフェニル基)、ZnCl2 −、CnH2n+1COO−(該nは1〜9の整数)及びCpF2p+1SO3 −(該pは1〜9の整数)を挙げることができる。
また、保存安定性や発色感度調整等のために種々の添加剤を併用することも可能である。
【0064】
本発明においてマイクロカプセル化の際、マイクロカプセル壁を形成するためのイソシアネート化合物の重合に用いる活性水素を有する化合物としては、一般に水が使用されるが、ポリオールを芯となる有機溶媒中或いは分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、上記活性水素を有する化合物(マイクロカプセル壁の原料の一つ)として用いることができる。具体的にはプロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。またポリオールの代わりに、或いは併用してジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のアミン化合物を使用してもよい。これらの化合物も先の「ポリウレタン樹脂ハンドブック」に記載されている。
【0065】
マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応しないか、極めて反応し難いものが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
本発明に係る化合物は、少なくとも油相あるいは水相のいずれか一方に添加されている必要がある。
【0066】
本発明では、界面活性剤を油相あるいは水相の何れに添加して使用しても良いが、有機溶媒に対する溶解度が低いために水相に添加する方が容易である。添加量は油相の重量に対し0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。一般に乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされており「界面活性剤便覧」(西一郎ら、産業図書発行(1980))、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのアルカリ金属塩を用いることができる。
【0067】
本発明において、界面活性剤(乳化助剤)として芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物や芳香族カルボン酸塩のホルマリン縮合物などの化合物を使用することもできる。具体的には、下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【化2】
〔一般式(A)において、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基を表し、Xは−SO3 −又は−COO−を表し、Mはナトリウム原子又はカリウム原子を表す。qは1〜20の整数を表わす]
上記化合物については特開平6−297856号公報(←特願平5−83721号)に記載されている。
【0068】
また、アルキルグルコシド系化合物も同様に使用することができる。具体的には、下記一般式(B)で表される化合物である。
【化3】
〔一般式(B)において、Rは炭素原子数が4〜18のアルキル基を表す。qは0〜2の整数を表わす。]
本発明においては、いずれの界面活性剤とも単独で使用しても2種以上を適宜に併用してもよい。
【0069】
上記ジアゾニウム塩化合物(あるいは電子供与性染料前駆体)、高沸点溶媒等からなる溶液と多官能イソシアネート化合物との混合液(油相)を、界面活性剤及び水溶性高分子からなる水溶液(水相)に添加する。その際、水溶液をホモジナイサー等の高シェア攪拌装置で攪拌させながら、添加することにより乳化分散させする。乳化後、イソシアネート化合物の重合反応触媒を添加するか、乳化物の温度を上昇させてカプセル壁形成反応を行なう。
【0070】
調製されたジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセル液には、更にカップリング反応失活剤を適宜添加することができる。この反応失活剤としての例としては、ハイドロキノン、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、次亜リン酸、塩化第1スズ及びホルマリンを挙げることができる。これらの化合物については、特開昭60−214992号公報に記載されている。また通常、カプセル化の過程で、水相中にジアゾニウム塩化合物が溶出することが多いが、これを除去する方法として、濾過処理、イオン交換処理、電気泳動処理、クロマト処理、ゲル濾過処理、逆浸透処理、限外濾過処理、透析処理、活性炭処理などの方法を利用することができる。この中でもイオン交換処理、逆浸透処理、限外濾過処理及び透析処理が好ましく、特に、陽イオン交換体による処理、陽イオン交換体と陰イオン交換体の併用による処理が好ましい。これらの方法については、特開昭61−219688号公報に記載されている。
【0071】
本発明においては、感熱発色層中に電子受容性化合物、熱増感剤、カプラー及び塩基性化合物などを添加することができる。これらは、適宜混合して、別々に乳化分散、あるいは固体分散、微粒化して添加、あるいは適宜混合してから、乳化分散あるいは固体分散、微粒化して添加することができる。乳化分散する方法は、有機溶媒中にこれらの化合物を溶解し、水溶性高分子水溶液をホモジナイザー等で攪拌中に添加する。微粒子化を促進するにあたり、前述の疎水性有機溶媒、界面活性剤、水溶性高分子を使用することが好ましい。
【0072】
カプラーおよび塩基性物質、電子受容性化合物、熱増感剤などを固体分散するには、これらの粉末を水溶性高分子水溶液中に投入しボールミル等の公知の分散手段を用いて微粒子化し、使用することができる。微粒子化に際しては、熱感度、保存性、記録層の透明性、製造適性などの多色感熱記録材料及びその製造方法に必要な特性を満足しうる粒子直径を得るように行なうことが好ましい。
【0073】
上記マイクロカプセル液と、上記熱増感剤、電子受容性化合物、カプラー及び塩基性化合物等の調製液とは、適当な割合で混合され支持体上に塗布される。一般には、ジアゾニウム塩化合物1モルに対して、カプラー1〜10モル、好ましくは2〜6モルが適当である。塩基性化合物の最適添加量は塩基性の強度により異なるがジアゾニウム塩化合物の0.5〜5モルが一般的である。電子受容性化合物(顕色剤)は、電子供与性染料前駆体1モルに対して0.5〜30モルの範囲内で一般に添加するが、好ましくは1〜20モルの範囲で適宜添加する。さらに好ましく3〜15モルの範囲内で添加する。熱増感剤は、電子供与性染料前駆体に対して一般に0.1〜20モルの範囲内で添加するが、好ましくは0.5〜10モルの範囲で適宜添加する。
【0074】
これらの塗布液を塗布する支持体としては、感熱記録材料の支持体として公知の材料を使用することができる。例えば、紙、紙上にクレー等を塗布した塗工紙、ポリエチレン、ポリエステル等を紙上にラミネートしたラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また透明支持体としては、上記のポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、さらにポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
【0075】
本発明には、光堅牢性などを更に改善するために感熱発色層の上に保護層を設けてもよい。また、多色感熱材料においては、色再現性を更に良くするために感熱記録層の間に中間層を設けてもよい。これらに用いられる層の素材としては、水溶性高分子化合物もしくは疎水性高分子化合物のエマルジョン(ラテックス)が好ましい。
【0076】
多色感熱記録材料及びその記録方法について述べる。まず初めに低エネルギーの熱記録でジアゾニウム化合物を含有する最外層の感熱層(第1感熱記録層、通常イエロー発色層)を発色させた後、該感熱層に含有されるジアゾニウム化合物の吸収波長域の光を放出する光源を用いて全面光照射して、最上層の感熱層中に残存するジアゾニウム化合物を光分解させる。
【0077】
次いで、前回より高エネルギーで、第1層に含有されるジアゾニウム化合物の吸収波長域の光とは異なった光吸収波長域を有するジアゾニウム化合物を含有する第2層目の感熱層(第2感熱記録層、通常マゼンタ発色層)を発色させた後、該ジアゾニウム化合物の吸収波長域の光を放出する光源を用いて再度全面光照射し、これによって第2層目の加熱層中に残存するジアゾニウム化合物を光分解させる。最後に、更に高エネルギーで、最内層(第3感熱記録層、通常シアン発色層)の電子供与性染料前駆体を含有する層(第3層)を発色させて画像記録を完了する。
【0078】
上記の場合には、最外層及び第2層を透明な感熱層とすることが、各発色が鮮やかになるので好ましい。また本発明においては、支持体として透明な支持体を用い、上記3層のうち何れか一層を透明な支持体の裏面に塗布することにより、多色画像を得ることもできる。この場合には、画像を見る側と反対側の最上層の感熱層は透明である必要はない。
【0079】
上記ジアゾニウム化合物の光分解に使用する光源としては、通常紫外線ランプを使用する。紫外線ランプは管内に水銀蒸気を充填した蛍光管であり、管の内壁に塗布する蛍光体の種類により種々の発光波長を有する蛍光管を得ることができる。
【0080】
多色感熱記録材料においては、上記第3感熱記録層を適当なジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物との組合せで作成することも可能である。
【0081】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、本実施例において「部」及び「%」は全て、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0082】
[合成例1]:本発明の化合物(1)の合成
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本油脂(株)製の「ユニオックスM−4000」、平均分子量:4350)20部を外温110℃で窒素気流下において乾燥した後に、外温を60℃に戻し、乾燥酢酸エチル15ml、及び多価イソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)1.68部を添加して、60℃で3時間撹拌を行なった。この反応液にメタノール20mlを添加し60℃で2時間撹拌を行なった後に、溶媒を留去し、本発明に係る化合物(1)を20.3g得た。該化合物(1)につきIR吸収スペクトル(KBrセル使用)を測定したところ、NCO基の吸収は認められなかった。
【0083】
[合成例2]:本発明の化合物(2)の合成
合成例1において、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」1.68部の代わりに、ジ(4−イソシアネートフェニル)メタンの0.58部を使用したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(2)を19.8g得た。該化合物(2)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0084】
[合成例3]:本発明の化合物(3)の合成
合成例1において、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」1.68部の代わりに、多価イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製の「ミリオネートMR−200」)の0.60部を使用したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(3)を20.6g得た。該化合物(3)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0085】
[合成例4]:本発明の化合物(4)の合成
合成例1において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル「ユニオックスM−4000」をポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Aldrich社製の「20,250−9」、平均分子量:2000)に変更し、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」の添加量1.68部を3.65部に変更したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(4)を21.6g得た。該化合物(4)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0086】
[合成例5]:本発明の化合物(5)の合成
合成例1において、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル「ユニオックスM−4000」をポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Aldrich社製の「20,249−5」、平均分子量:750)に変更し、多価イソシアネート化合物「タケネートD110N」の添加量1.68部を9.74部に変更したこと以外は、合成例1と同様にして本発明に係る化合物(5)を26.1g得た。該化合物(5)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0087】
[合成例6]:本発明の化合物(6)の合成
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(「ユニオックスM−4000」)50部と多価イソシアネート化合物(「タケネートD110N」)50部の反応混合物(50%酢酸エチル溶液)10部とアセトニトリル20mlの混合物を、氷浴下にエタノールアミン0.52部とアセトニトリル30mlの混合物に22分かけて滴下した。そのまま22分攪拌した後にメタノール20mlを添加し、50℃で30分間攪拌した。溶媒を溜去した後に酢酸エチルとn−ヘキサンを添加し生じた沈殿を濾取して、本発明に係る化合物(6)を5.55g得た。該化合物(6)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0088】
[合成例7]:本発明の化合物(7)の合成
合成例6において、エタノールアミン0.52部を、ジエタノールアミンの0.90部に変更したこと以外は、合成例6と同様にして本発明に係る化合物(7)を5.97g得た。該化合物(7)にも、IR吸収スペクトルでNCO基の吸収は認められなかった。
【0089】
[実施例1]
(I)感熱記録層(A)の塗布液の調製
(1)ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製
ジアゾニウム塩化合物として、420nmに分解の最大吸収波長をもつ下記の化合物(A−1)3.5部及び化合物(A−2)0.9部を酢酸エチル16.4部に溶解し、更に高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニル7.3部及びフタル酸ジフェニル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
【0090】
【化4】
【0091】
上記の混合溶液に、カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液、)4.5部と特開平7−88356号公報(←特願平5−233536号)に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の8.6部を添加し、均一に攪拌した。
別途、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液77部と合成例1で得られた本発明に係る化合物(1)1.2部からなる混合物を用意し、上記ジアゾニウム塩化合物とイソシアネート化合物の混合溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた乳化分散液に水20部を加え均一化した後、40℃にて攪拌しながら3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20%になる様に濃度を調整して、ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は、堀場製作所(株)製の粒径分布測定装置「LA−700」で測定した結果、メジアン径で0.85μmであった。
【0092】
(2)カプラー乳化分散液の調製
カプラー化合物として、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシアセトアニリド2.4部とトリフェニルグアニジン2.5部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホンアミド3.3部、4−n−ペンチルオキシフェニルスルホンアミド1.7部、及び4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール5.0部を、酢酸エチル8.0部に溶解し、「パイオニンA41C」(竹本油脂(株)製)1.0部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、別途、調製したゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)10%水溶液75.0部中に加えて、ホモジナイザーにて40℃で乳化分散した。この乳化分散液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、固形分濃度が26.5%になる様に濃度を調整した。
更に、上記カプラー乳化分散液100部に対して、SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製の商品名「SN−307」、48%液)を26.5%に濃度調整したもの9部を添加して、均一に撹拌してカプラー乳化分散液を得た。
【0093】
(3)感熱記録層(A)用塗布液の調製
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液及び上記カプラー乳化分散液を、内包しているジアゾ化合物/カプラー化合物の質量比が1.0/3.2になる様に混合し、感熱記録層(A)用塗布液を得た。
【0094】
(II)感熱保護層(D)の塗布液の調製
5.0%のイタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製の「KL−318」)水溶液61部に、20.5%のステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の「ハイドリンF115」)2.0部を添加し、下記に示す化合物(D−1)の2%水溶液8.4部、フッ素系離型剤(ダイキン(株)製の「ME−313」)8.0部、小麦粉澱粉(籠島澱粉(株)製の「KF−4」)0.5部を添加し均一に撹拌した。この液を母液と呼ぶ。
【0095】
化合物(D−1) C12H25O−(C2H4O)10−H
【0096】
別途、イオン交換した20%の「カオグロス」(白石工業(株)製)水溶液12.5部、「ポイズ532A」(花王(株)製)0.06部、「ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)1.87部、10%のポリビニルアルコール(クラレ(株)の「PVA105」)水溶液1.25部、2%のドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.39部を混合し、ダイノミルにて微分散を行なった。この液を顔料液と呼ぶ。上記の母液80部に、この顔料液4.4部を加え、30分以上撹拌した。その後、「Wetmaster500」(東邦化学(株)製)2.8部を添加し、更に30分以上撹拌して目的とする感熱保護層(D)用塗布液を得た。
【0097】
(III)感熱記録材料の作製
上質紙上にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーで前記感熱記録層(A)用塗布液及び上記保護層(D)用塗布液をこの順に塗布し乾燥を行い、目的とする感熱記録材料を得た。この際、固形分としての塗布量は1m2当たりそれぞれ4.5gと1.0gであった。
【0098】
(IV)熱記録及び評価
京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用い、下記の様にして上記の感熱記録材料の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積あたりの記録エネルギーが34mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を設定し、該感熱記録材料に印字して、イエローの画像を記録した。
(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、未印字部分の画像を定着させた。このイエロー画像の発色濃度は、マクベス濃度計「RD918型」にて発色部分の光学反射濃度を測定した。その結果を下記の表1の発色濃度として示した。
(3)またシェルフライフ(生保存性)の評価は、得られた感熱記録材料を、温度40℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に24時間保存した後、非印字部分を定着して地肌部分の光学反射濃度を測定した。その結果を下記表1のカブリ濃度として示した。
【0099】
[実施例2]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例2で得られた本発明に係る化合物(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.86μmであった。
【0100】
[実施例3]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例3で得られた本発明に係る化合物(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.46μmであった。
【0101】
[実施例4]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例4で得られた本発明に係る化合物(4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.77μmであった。
【0102】
[実施例5]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例6で得られた本発明に係る化合物(6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.75μmであった。
【0103】
[実施例6]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いた本発明に係る化合物(1)の代わりに、合成例7で得られた本発明に係る化合物(7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の感熱記録材料を作製した。ここで、該ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.57μmであった。
【0104】
[実施例7]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いたカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)4.5部と特開平7−88356号公報に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の8.6部の代わりに、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)4.5部と特開平7−88356号公報に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の8.6部及び合成例4で得られた本発明に係る化合物(4)の1.7部を用い、且つ、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液77部と合成例1の本発明に係る化合物(1)1.2部からなる混合物の代わりに、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液の77部だけを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の感熱記録材料を作製した。ここで、上記ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.89μmであった。
【0105】
[実施例8]
実施例7において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いたカプセル壁剤として、合成例4の本発明に係る化合物(4)の代わりに合成例5で得られた本発明に係る化合物(5)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして実施例8の感熱記録材料を作製した。ここで、上記ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.44μmであった。
【0106】
[比較例1]
実施例1において、ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製で用いたカプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)4.5部と特開平7−88356号公報)に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物の30%酢酸エチル溶液4.5部からなる混合物の10.3部を用い、且つ、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液77部と合成例1の本発明に係る化合物(1)1.2部からなる混合物の代わりに、「ScraphAG−8」(日本精化(株)製)0.36部が添加された8%フタル化ゼラチン水溶液の77部だけを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の感熱記録材料を作製した。ここで、上記ジアゾニウム塩内包カプセルの平均粒径は0.60μmであった。
【0107】
上記で得られた感熱記録材料(実施例2〜8及び比較例1)についても、実施例1の熱記録及び評価と同様にして、画像部の発色濃度及び非発色部のカブリ濃度を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1から明らかな様に、マイクロカプセルの形成の際に、本発明の手順に従ってイソシアネート基を総て反応させた本発明に係わる化合物を添加して製造したマイクロカプセル組成物を用いた感熱記録材料(実施例1〜8)は、本発明の化合物を添加しない比較例1のものに較べて、画像部の発色濃度が高く、地肌部のカブリ濃度が低いことが分かった。
【0110】
[実施例8]
(V)感熱記録層(B)の塗布液の調製
(1)ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製
ジアゾニウム塩化合物として365nmに分解の最大吸収波長をもつ下記化合物(B−1)2.8部、硫酸ジブチル2.8部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製の「イルガキュア651」)0.56部を、酢酸エチル10.0部に溶解した。更に高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニルを5.9部及びリン酸トリクレジル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
【0111】
【化5】
【0112】
カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)7.6部を、上記混合液に更に添加して均一に攪拌した。
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2.0部を加えた6%ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の商品名「MGP−9066」)水溶液64部を用意し、上記ジアゾニウム塩化合物の混合液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0113】
上記で得られた乳化分散液に水20部を加え均一化した後、攪拌しながら40℃で30分反応させ、この後60℃に昇温し、3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)4.1部、「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後イオン交換樹脂を濾過して、目的とするジアゾニウム塩内包カプセル液を得た。このマイクロカプセルの平均粒径は0.64μmであった。
【0114】
(2)カプラー乳化分散液の調製
カプラー化合物として、下記に示す化合物(B−2)3.0部、トリフェニルグアニジン8.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンを8.0部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール8.0部、下記に示す化合物(B−3)2.0部、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン2.0部を、酢酸エチル10.5部に溶解し、更に高沸点溶媒としてりん酸トリクレジル0.48部、マレイン酸ジエチル0.24部及び「パイオニンA41C」(竹本油脂(株)製)1.27部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、8%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液93部中に加えて、ホモジナイザーにて乳化分散した。この乳化分散液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、目的とするカプラー乳化分散液を得た。
【0115】
【化6】
【0116】
【化7】
【0117】
(3)感熱記録層(B)用塗布液の調製
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液及び上記カプラー乳化分散液を、内包しているジアゾ化合物/カプラー化合物の質量比が1.0/3.2になる様に混合し、目的とする感熱記録層(B)用塗布液を得た。
【0118】
(VI)感熱記録層(C)の塗布液の調製
(1)電子供与性染料前駆体内包カプセル液の調製
電子供与性染料前駆体として3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド0.39部、紫外線吸収剤として285nmに最大吸収波長を持つ2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.19部、及び酸化防止剤として2、5−tert−オクチルハイドロキノン0.29部を、酢酸エチル0.93部に溶解し、更に高沸点溶媒であるフェネチルクメン0.54部を添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(「タケネートD110N」)1.0部を、この溶液に更に添加し、均一に撹拌した。
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.07部が添加された6%ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の「MGP−9066」)水溶液36.4部を用意し、上記の電子供与性染料前駆体溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液を一次乳化分散液と呼ぶ。
【0119】
別途3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド6.0部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン3.0部、及び2、5−tert−オクチルハイドロキノン4.4部を、酢酸エチル14.4部に溶解し、更に高沸点溶媒としてフェネチルクメン8.4部を添加し、均一に撹拌した溶液に、先に用いた「タケネートD110N」を7.8部及びメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製の「ミリオネートMR200」)5.9部を添加し、均一に撹拌した。この様にして得られた溶液と、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液1.2部を上記の一次乳化分散液に添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。この液を二次乳化分散液と呼ぶ。この二次乳化分散液に、水60.0部及びジエチレントリアミン0.4部を加えて均一化した後、攪拌しながら65℃に昇温し、3.5時間かけてカプセル化反応を行い、目的とする電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル乳化液を得た。このマイクロカプセルの平均粒子径は1.9μmであった。
【0120】
(2)電子受容性化合物分散液の調製
電子受容性化合物として、「ビスフェノールP」30部をゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の「MGP−9066」)2.0%水溶液82.5部中に添加し、更に2%の2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム水溶液7.5部を加え、得られた混合物をボールミルにて24時間分散して分散液を作製した。この分散液に15%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液36.0部を加え均一に撹拌して、電子受容性化合物分散液を得た。この分散液中の電子受容性化合物の平均粒径は0.5μmであった。
【0121】
(3)感熱記録層(C)用塗布液の調製
次に、前記の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液、上記の電子受容性化合物分散液、15%のゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液及びスチルベン系蛍光増白剤(住友化学(株)製の「Whitex−BB」)を、電子供与性染料前駆体/電子受容性化合物の質量比率が1/14、電子供与性染料前駆体/「#750ゼラチン」の質量比率が1.1/1、且つ電子供与性染料前駆体/蛍光増白剤の質量比率が5.3/1となる様に混合し、目的とする感熱記録層(C)用塗布液を調製した。
【0122】
(VII)中間層(E)用塗布液の調液
14%のゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液に4%ほう酸水溶液8.2部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2%水溶液1.2部、及び下記化合物(E−1)の2%水溶液7.5部を添加し均一に撹拌して、目的とする中間層(E)用の塗布液を調製した。
【0123】
(E−1) (CH3CH2SO2CH2CONHCH2)2−
【0124】
(VIII)多色感熱記録材料の作製
上質紙上にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーで上記感熱記録層(C)用塗布液、上記中間層(E)用塗布液、上記感熱記録層(B)用塗布液、上記中間層(E)用塗布液、実施例1記載の感熱記録層(A)用塗布液及び前記保護層(D)用塗布液を、この順に塗布し乾燥を行い、目的とする多色感熱記録材料を得た。ここで、固形分としての塗布量は1m2あたり各々9.0g、3.0g、8.0g、3.0g、4.7g、1.0gであった。
【0125】
(IX)熱記録及び評価
京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用いて、下記の様に上記感熱記録材料の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積あたりの記録エネルギーが35mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調整し、上記感熱記録材料に印字して、イエローの画像を記録した。(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、(3)再度単位面積あたりの記録エネルギーが80mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を決め、印字して、マゼンタの画像を記録した。更に(4)発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプで15秒間照射し、(5)再度単位面積あたりの記録エネルギーが140mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調整し、印字してシアンの画像を記録した。この結果、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタの記録が重複した記録部分は赤色に、マゼンタとシアンが重複した部分は青色に、イエローとシアンが重複した部分は緑色に、そしてイエロー、マゼンタ、シアンの記録が重複した画像部分は黒色に発色した。未記録部は、灰白色であった。イエロー、マゼンタ、シアンの各発色部分の光学反射濃度を「マクベスRD918」型濃度計で測定した。シェルフライフ(生保存性)の評価は、得られた多色感熱記録材料を温度40℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に24時間放置した後、定着し、地肌部分の光学反射濃度を測定して評価した。
【0126】
【表2】
【0127】
表2より明らかな様に、多色記録材料においても、マイクロカプセルの形成の際に、本発明の手順に従ってイソシアネート基を総て反応させた本発明に係わる化合物を添加して製造したマイクロカプセル組成物を用いた感熱記録材料は、イエロー、マゼンタ、シアンの画像部の発色濃度が高く、地肌部のカブリ濃度が低いことが分かった。
【0128】
【発明の効果】
本発明のマイクロカプセル組成物は、熱に対する感度が高く、カプラー或いは顕色剤との接触により高い発色性示し、また芯材料としてジアゾ化合物を用いた場合は優れた生保存性(長いシェルフライフ)を示す等の優れた特性を有する。従って、上記マイクロカプセルを感熱記録材料の感熱記録層に用いた場合、感熱感度及び発色性が高く、また芯材料としてジアゾ化合物を用いた場合は、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。更に、上記マイクロカプセルを感熱記録層に用いると、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を得ることができる。
Claims (5)
- イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させた後に、該反応物を(3)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
- イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が500〜20000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種とを反応させ、更に(3)少なくとも1つの水酸基を有する1級又は2級アミンの少なくとも1種を反応させた後に、該反応物を(4)アルコールの少なくとも1種で処理することによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
- イソシアネート化合物を活性水素を有する化合物で重合してポリウレタン/ウレア壁を有するマイクロカプセルを製造するにあたり、(1)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと(2)分子内に1個の活性水素を有し且つ平均分子量が300〜5000のポリエーテル誘導体の少なくとも1種を、後者の活性水素のモル数が前者のイソシアネート基のモル数を下回らないモル比で反応させることによりイソシアネート基を総て反応させた化合物の少なくとも1種を添加して、上記ポリウレタン/ウレア壁を形成したことを特徴とするマイクロカプセル組成物。
- 支持体、及びその上に設けられた(1)ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、或いは(2)電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤、を含有する感熱記録層からなる感熱記録材料であって、上記マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物が、請求項1〜3の何れかに記載のマイクロカプセル組成物であることを特徴とする感熱記録材料。
- 支持体、及びその上に設けられたシアン、マゼンタ及びイエローの感熱記録層を有し、各感熱記録層が(1)ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、或いは(2)電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤、を含有してなる多色感熱記録材料であって、上記マイクロカプセルを含むマイクロカプセル組成物の少なくとも1種が、請求項1〜3の何れかに記載のマイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料。
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|---|---|---|---|---|
| CN111790325A (zh) * | 2020-07-17 | 2020-10-20 | 中山纳微新材料科技有限公司 | 一种双壳层自修复微胶囊及其制备方法和应用 |
| CN113329812A (zh) * | 2019-05-21 | 2021-08-31 | 弗门尼舍有限公司 | 制备微胶囊的方法 |
| CN114667185A (zh) * | 2019-10-03 | 2022-06-24 | 株式会社德山 | 微球的制造方法 |
| WO2022141717A1 (zh) * | 2020-12-28 | 2022-07-07 | 英达热再生有限公司 | 含缓释胶囊的二次膨胀型高聚物注浆材料及其制备方法 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002318141A patent/JP2004148246A/ja active Pending
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