JP2004192829A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いエネルギー密度および良好なサイクル特性を持つ二次電池を提供する。
【解決手段】少なくとも正極、負極、及び電解質を含む二次電池において、前記正極は、正極活物質として一般式(1)
Figure 2004192829

で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物を含有し、前記負極は、炭素を主成分とする第一の層2と、リチウム成分を吸蔵および放出することのできる材料からなる第二の層3と、リチウム及びリチウム含有化合物の少なくとも一方を含む第三の層4とを含み、第一の層2と第三の層4との間に第二の層3が配置された多層構造を有するものにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムを利用した二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やノートパソコン等のモバイル端末の普及により、その電力源となる二次電池の役割が重要視されている。これらの二次電池には小型・軽量でかつ高容量であり、充放電を繰り返しても、劣化しにくい性能が求められる。この要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体としてその電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が開発されている。中でも、リチウムイオン二次電池は、安定性に優れたエネルギー密度の大きな高容量二次電池として種々の電子機器に利用されている。
【0003】
従来のリチウムイオン二次電池は、正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極活物質として炭素を用いたものであり、これら活物質へのリチウムイオンの挿入反応および脱離反応を利用して充放電を行っている。
【0004】
しかしながら、このリチウムイオン二次電池は特に正極に分子量の大きな金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの二次電池容量は充分とは言えず、より分子量の小さい電極材料を用いて高容量二次電池を開発しようとする試みが検討されてきた。
【0005】
例えば、特許文献1(米国特許第4,833,048号明細書)および特許文献2(日本国特許第2715778号明細書)には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた二次電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を二次電池の原理として利用したものである。
【0006】
しかし、この二次電池は硫黄や炭素といった原子量の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の二次電池という点において一定の効果を示すことができるが、解離した結合が再度結合する効率が小さく、充電状態もしくは放電状態における安定性も不充分である。
【0007】
一方、同じく有機化合物を利用した二次電池として、導電性高分子を電極材料に用いた二次電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンのドープ反応および脱ドープ反応を原理とした二次電池である。ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ソリトンやポーラロン等のエキシトンを、対イオンによって安定化させる反応のことである。一方、脱ドープ反応とはその逆反応に相当し、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化学的に酸化もしくは還元する反応のことを示している。特許文献3(米国特許第4,442,187号明細書)には、このような導電性高分子を正極または負極の材料とする二次電池が開示されている。この二次電池は、炭素や窒素といった原子量の小さな元素のみから構成されたものであり、高エネルギー密度二次電池として開発が期待された。
【0008】
しかし、導電性高分子には、酸化還元によって生じるエキシトンがπ電子共役系の広い範囲にわたって非局在化し、それらが相互作用するという性質がある。これは発生するエキシトンの濃度に限界をもたらすものであり、二次電池のエネルギー密度を制限するものである。このため、導電性高分子を電極材料とする二次電池ではエネルギー密度は不充分である。
【0009】
また、有機化合物を利用した二次電池として、N−オキシド化合物を活物質に用いた二次電池も提案されている。N−オキシド化合物は、導電性高分子と異なり酸化還元の反応部位が局在しているため容量密度が高く二次電池材料として期待されている。しかしN−オキシド化合物は、リチウム含有遷移金属酸化物と異なり、物質中に電解質イオンを含有しない。そのため、正極にN−オキシド化合物を用い、負極に従来の炭素材料を用いた二次電池は、電池容量が電解質中の可動イオン量に依存し電池エネルギー密度が小さくなる問題点があった。この問題点を解決するため、特願2001−307457号には、正極にN−オキシド化合物を用い、負極に金属リチウムを用いた二次電池が提案されているが、負極に金属リチウムを用いた二次電池は、次に述べるようにサイクル特性が不十分である。
【0010】
二次電池の負極には、高エネルギー密度でかつ軽量という観点から金属リチウムが用いられることもあるが、この場合、充放電サイクルの進行にともない、充電時にリチウム表面に針状結晶(デンドライト)が析出し、この結晶がセパレータを貫通し、内部短絡を起こし、電池の寿命が短くなるという課題があった。
【0011】
また、二次電池の負極として、組成式がLi A(AはAlなどの金属を示す。)で表されるリチウム合金を用いることが検討されている。この負極は単位体積当りのリチウムイオンの吸蔵・放出量が多く高容量であるものの、リチウムイオンが吸蔵・放出される際に膨脹・収縮するために充放電サイクルの進行に伴って微粉化が進行する。このため、充放電サイクル寿命が短いという課題があった。
【0012】
一方、二次電池の負極として、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛やハードカーボン等の炭素材料を用いた場合、充放電サイクルを良好に繰り返すことができるが、黒鉛材料は金属リチウムやリチウム合金と比較してその容量は小さく、ハードカーボンは初回充放電における不可逆容量が大きく充放電効率が低いため、エネルギー密度が小さくなる課題があった。
【0013】
そこで二次電池における炭素負極の容量や充放電効率を向上させるためこれまで多くの検討が行われてきた。
【0014】
容量を向上させる方法として、例えば特許文献4(特開平9−259868号公報)には、負極におけるLiイオンの吸蔵・放出助剤として、粒径の小さいアルミニウム、鉛、銀を炭素材料に担持することにより高容量化を図る技術が開示されている。
【0015】
また特許文献5(特開平7−326342号公報)には、カーボン層の表面にLi合金からなる多孔性の層が形成されてなる積層体を活物質として有することを特徴とするリチウム二次電池負極が開示されている。この負極により、大きな放電容量と高い起電力を有しながら、充放電のサイクル寿命に優れたリチウム二次電池を提供することができると記載されている。
【0016】
また、負極の劣化を防止することを目的として、特許文献6(特開平5−234583号公報)では、アルミニウムでコーティングしたカーボン材を負極材料として用いることが提案されている。これにより、リチウムイオンがカーボン層間に溶媒和された状態でインターカレーションすることが防止され、この結果、カーボン層の損傷を防ぎサイクル特性の急速な劣化を抑制できるとされている。
【0017】
一方、充放電効率を改善する方法として、例えば特許文献7(特開平5−144473号公報)には、正極にリチウム含有複合酸化物を、負極に炭素材をそれぞれ用い、正極板と負極板をセパレータとともに渦巻き状に巻き回した非水電解液二次電池において、負極板の最外周部に金属Li箔を貼付し、電位差あるいは濃度差によりリチウムを炭素材中に拡散させることが開示されている。この方法により、高エネルギー密度で耐過放電特性に優れた非水電解液二次電池が得られるとされている。
【0018】
また特許文献8(特開平5−242911号公報)には、正極にリチウム含有化合物を含み、負極にカーボン材料を含むリチウムイオン二次電池において、負極に電気的に接続されている構成部品であって負極活物質以外の構成部品に、電池を組み立てる時に、あらかじめ金属リチウムを電気的に接続することが開示されている。これによりエネルギー密度を高めて、過放電特性を向上できるとされている。
【0019】
また特許文献9(特開平10−144295号公報)には、負極活物質である炭素材料表面にリチウムと合金を作らない導電性金属(銅)を蒸着し、さらに、この導電性金属の表面に金属リチウムを蒸着したことを特徴とする二次電池が開示されている。これにより、負極活物質へリチウムイオンを効率よく吸蔵させて、負極におけるロス容量の補填を確実に行い、初期の充放電効率を高めることができるとともに、電池用容量を増加させ、さらに充放電サイクル特性を向上させることができるとされている。
【0020】
また特許文献10(特開平5−275077号公報)には、負極の構成要素として用いられるカーボン材の表面をリチウムイオン伝導性固体電解質の薄膜でコーティングしたリチウム二次電池用の負極が開示されている。これによりカーボン材を負極として使用し且つ炭酸プロピレンを電解液の有機溶媒の少なくとも一部として使用する、放電特性およびサイクル特性が改良されたリチウム二次電池を提供できるとされている。
【0021】
また特許文献11(特開2000−182602号公報)には、過充電安全性に優れ、高容量であり、低コストで液漏れの少ない安全な非水二次電池を提供することを目的として、マンガンを含む正極活物質を含有する正極シートと、非晶質酸化物または炭素材料を含む負極材料を主体とした層と水不溶性の粒子を含む補助層からなる負極シートを有し、この負極シートにリチウムを主体とした金属箔が貼付された非水二次電池が開示されている。
【0022】
特許文献12(再公表特許WO96/33519号公報)には、高放電電位、高容量で、サイクル性、保存性がよく、安全性に優れた非水二次電池を提供することを課題として、負極材料に、Sn、Mn、Fe、Pb、Geから選ばれる元素の少なくとも一種を含む非晶質酸化物を用いた非水二次電池が開示されている。
【0023】
しかしながら、特許文献4(特開平9−259868号公報)に開示されている粒径の小さいアルミニウム等を炭素材料に担持する技術は、炭素材料中に金属粒子を均一に分散することが困難であり、負極中に金属が局在化しやすく、結果、充放電サイクルを繰り返したとき電界の局所的集中のため電極の充放電状態が不均一になり、電極の変形、活物質の集電体からの剥離等が発生する課題があった。このため高水準のサイクル特性を維持することは困難であった。
【0024】
特許文献12(再公表特許WO96/33519号公報)に開示されているSnB(xは0.4〜0.6、yは0.6〜0.4)金属酸化物アモルファス材料は、初回充放電における不可逆容量が大きく電池のエネルギー密度を充分高くすることが困難であるという課題を有していた。
【0025】
さらに、上記従来技術は、高い動作電圧が得られないという共通の課題を有していた。その理由は、金属と炭素系材料を混合した場合、放電曲線において炭素より高い電圧に金属特有のプラトーを形成するため、負極として炭素のみを使用した場合と比較し動作電圧が低くなるからである。リチウム二次電池は用途に応じて下限電圧が定められている。したがって動作電圧が低くなると使用可能領域が狭くなり、結果として、実際に電池が使用される領域において容量増加を図ることは困難になる。
【0026】
一方、特許文献6(特開平5−234583号公報)に開示されている、アルミニウムを用いた負極材料では、サイクルを繰り返すと急速に容量が低下するという課題を有していた。これは、電解質内に存在する水等の不純物とアルミニウムが反応してアルミニウム表面に薄い絶縁膜が生成することが原因と考えられる。
【0027】
また特許文献7(特開平5−144473号公報)、特許文献8(特開平5−242911号公報)、特許文献5(特開平7−326342号公報)等に開示されている炭素負極に金属Liやリチウム合金を混合、添加、あるいは貼付する等の方法では充放電効率の改善は不十分である。その理由は炭素と、金属Liやリチウム合金とが直に接触すると、金属Liやリチウム合金が炭素表面の活性な官能基や吸着水等の不純物と反応し炭素表面に皮膜を形成するためである。このような皮膜に含まれるリチウムは電気化学的に不活性であり、電池の充放電容量に寄与することができない。よって上記の方法では、充放電効率の改善は不十分である。さらにこれらの皮膜は電気抵抗が大きいため電池の抵抗が増大してしまい、電池の実効容量はむしろ減少する問題点があった。
【0028】
また特許文献10(特開平5−275077号公報)には、負極の構成要素として用いられるカーボン材の表面をリチウムイオン伝導性固体電解質の薄膜でコーティングしたリチウム二次電池用の負極が開示されているが、負極にあらかじめリチウム成分が含有されていないため初回充放電時の不可逆容量が大きく、充放電効率が低いため、エネルギー密度が小さくなる課題があった。
【0029】
また特許文献11(特開2000−182602号公報)には、リチウムを吸蔵・放出可能な非晶質酸化物からなる負極シートにリチウムを主体とした金属箔が貼付された二次電池用負極が開示されているが、非晶質酸化物の負極シートとして具体的に開示されているのは、SnAlBPSiO等の活物質を結着剤で固めた構成のものである。このようなシートは、微視的スケールにおいて金属分布の不均一が生じることは避けられず、結果として電界の局所的集中が発生する。また結着剤がリチウム金属箔と直に接触すると結着剤とリチウム金属箔の一部が反応し抵抗の高い皮膜を生じる。これらの理由により、高水準のサイクル特性を維持することは困難であった。
【0030】
以上述べてきたように、様々な二次電池の提案がなされているが、エネルギー密度が高く、サイクル特性に優れた二次電池は未だ得られていない。
【0031】
【特許文献1】
米国特許第4,833,048号明細書
【特許文献2】
特許第2715778号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,442,187号明細書
【特許文献4】
特開平9−259868号公報
【特許文献5】
特開平7−326342号公報
【特許文献6】
特開平5−234583号公報
【特許文献7】
特開平5−144473号公報
【特許文献8】
特開平5−242911号公報
【特許文献9】
特開平10−144295号公報
【特許文献10】
特開平5−275077号公報
【特許文献11】
特開2000−182602号公報
【特許文献12】
再公表特許WO96/33519号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑み、高いエネルギー密度および良好なサイクル特性を持つ二次電池を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明によれば、以下に示す二次電池が提供される。
【0034】
本発明によれば、少なくとも正極、負極、及び電解質を含む二次電池において、前記正極は、正極活物質として下記一般式(1)
【0035】
【化6】
Figure 2004192829
【0036】
で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物を含有し、前記負極は、炭素を主成分とする第一の層と、リチウム成分を吸蔵および放出することのできる材料からなる第二の層と、リチウム及びリチウム含有化合物の少なくとも一方を含む第三の層とを含み、第一の層と第三の層との間に第二の層が配置された多層構造を有することを特徴とする二次電池が提供される。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明に係る二次電池においては、以下の構成を採用することができる。
【0038】
〔正極の構成〕
本発明の二次電池の正極は、必須の正極活物質として、下記一般式(1)で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物を含有する。
【0039】
【化7】
Figure 2004192829
【0040】
一般式(1)で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物の好適な例として、下記一般式(2)で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物(以後「キノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物」と呼ぶ)が挙げられる。
【0041】
【化8】
Figure 2004192829
【0042】
一般式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。
【0043】
また一般式(1)で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物の好適な例として、下記一般式(3)又は(4)で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物が挙げられる。
【0044】
【化9】
Figure 2004192829
【0045】
一般式(3)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。
【0046】
【化10】
Figure 2004192829
【0047】
一般式(4)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。
【0048】
上記一般式(1)〜(4)で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物は低分子化合物でもオリゴマー又はポリマー化合物でもよい。高分子化合物の場合、その形状は鎖状、分岐状、網目状であってもよい。
【0049】
また、前記一般式(1)で示される部分構造を分子内に有するその他のN−オキサイド化合物として、下記一般式(5)で示される構造を有する化合物が挙げられ、例えばピラジン化合物(n+m+n’+m’=0を満たすもの)やポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物(n+m+n’+m’≧1を満たすもの)、これらのピラジン化合物またはポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物の縮合環に2つの結合手をもつ二価基を構造単位として有するオリゴマー又はポリマー化合物(以後これらの化合物を「直鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドオリゴマー又はポリマー化合物」と呼ぶ)、または上記ピラジン化合物またはポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物の縮合環に一つの結合手を持つ一価基を有する構造単位を有するオリゴマー又はポリマー化合物(以後これらの化合物を「側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドオリゴマー又はポリマー化合物」と呼ぶ)も挙げられる。
【0050】
【化11】
Figure 2004192829
【0051】
一般式(5)において、n、m、n’及びm’はそれぞれ独立に0以上の整数を示す。また、ジアジン環とベンゼン環との縮合の順序は交互であってもランダムであってもよい。また、R、R、R、R、R、R、R、及びRのうち、一つ又は二つは前記結合手であってもよく、その場合の残りの置換基、及び結合手を持たない場合は全ての置換基は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。ただし、nが2以上の場合、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、n’が2以上の場合、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。
【0052】
上記一般式(2)〜(5)において、置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びRのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0053】
また置換または非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられ、一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0054】
また置換または非置換のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2−ジフェニルビニル基、1−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、1−フェニルアリル基、2−フェニルアリル基、3−フェニルアリル基、3,3−ジフェニルアリル基、1,2−ジメチルアリル基、1−フェニル−1−ブテニル基、3−フェニル−1−ブテニル基等が挙げられ、一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0055】
また置換または非置換のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられ、一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0056】
また置換または非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フルオレニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0057】
また置換または非置換の芳香族複素環基としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0058】
また置換または非置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0059】
また置換または非置換のアミノ基は、−NXで表される基であり、置換基XおよびXは、それぞれ独立に、例えば、水素原子、上述の置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換の芳香族炭化水素基、置換または非置換の芳香族複素環基、置換または非置換のアラルキル基等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0060】
また置換または非置換のアルコキシ基および置換または非置換のアルコキシカルボニル基は、それぞれ−OXおよび−COOXで表される基であり、置換基XおよびXとしてはそれぞれ、例えば、上述の置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアラルキル基等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0061】
また置換または非置換のアリールオキシ基および置換または非置換のアリールオキシカルボニル基は、それぞれ−OXおよび−COOXで表される基であり、置換基XおよびXとしてはそれぞれ、例えば、上述の置換または非置換の芳香族炭化水素基、置換または非置換の芳香族複素環基等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0062】
また置換または非置換のアシル基および置換または非置換のアシルオキシ基は、それぞれ−C(=O)Xおよび−OC(=O)Xで表される基であり、置換基XおよびXとしてはそれぞれ、例えば、水素原子、上述の置換または非置換のアルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換シクロアルキル基、置換または非置換の芳香族炭化水素基、置換または非置換の芳香族複素環基、置換または非置換アラルキル基等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
【0063】
また環を形成する2価基の例としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル基、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル基、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイル基、1,3−ブタジエン−1,4−ジイル基、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0064】
また上述の置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、またはホウ素原子で置換されていてもよい。硫黄原子で置換された基としては、例えば、上述のヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基等の酸素含有基の酸素原子が硫黄原子で置き換えられた置換基を挙げることができる。その置換基の例としては、メルカプト基、ジチオカルボキシル基、ヒドロキシ(チオカルボニル)基、メルカプトカルボニル基、メチルチオ基、メトキシチオカルボニル基、メチルチオカルボニル基、メチルジチオカルボキシル基、フェニルチオ基、フェノキシチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、フェニルジチオカルボニル基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基、等が挙げられる。ケイ素原子で置換された基としては、例えば、上述のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基の炭素原子がケイ素原子で置き換えられた置換基を挙げることができる。その置換基の例としては、シリル基、メチルシリル基、シリルメチル基、エチルシリル基、(メチルシリル)メチル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、等が挙げられる。リン原子で置換された基としては、例えば、上述のアミノ基の窒素原子がリン原子で置き換えられた置換基が挙げられる。その置換基の例としては、ホスフィノ基、トリメチルホスフィノ基、トリフェニルホスフィノ基、等が挙げられる。ホウ素原子で置換された基としては、例えば、上述のアミノ基の窒素原子がリン原子で置き換えられた置換基が挙げられる。その置換基の例としては、ジメチルボリル基、ジフェニルボリル基、等が挙げられる。
【0065】
以下にN−オキサイド化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0066】
キノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物の具体例としては、以下の化学式(6)〜(18)に示す化合物が挙げられる。これらの式においてn、m、oがある場合、それぞれ2以上の整数を表す。
【0067】
【化12】
Figure 2004192829
【0068】
【化13】
Figure 2004192829
【0069】
【化14】
Figure 2004192829
【0070】
【化15】
Figure 2004192829
【0071】
【化16】
Figure 2004192829
【0072】
【化17】
Figure 2004192829
【0073】
【化18】
Figure 2004192829
【0074】
【化19】
Figure 2004192829
【0075】
【化20】
Figure 2004192829
【0076】
【化21】
Figure 2004192829
【0077】
【化22】
Figure 2004192829
【0078】
【化23】
Figure 2004192829
【0079】
【化24】
Figure 2004192829
【0080】
本発明におけるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物は、一般式(19)で表されるp−フェニレンジアミン構造を部分構造として有する化合物を過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の有機過酸、ペルオキソ硫酸などの酸化剤で酸化することにより得ることができる。また、一般式(19)で表されるp−フェニレンジアミン構造を部分構造として有する化合物を酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の酸化剤により酸化し、一般式(20)で表されるp−キノンジイミン構造を部分構造として有する化合物とし、さらにこれを過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の有機過酸、ペルオキソ硫酸などの酸化剤で酸化することにより得ることができる。また、一般式(20)で表されるp−キノンジイミン構造を部分構造として有する化合物を過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の有機過酸、ペルオキソ硫酸などの酸化剤で酸化することにより得ることができる。
【0081】
【化25】
Figure 2004192829
【0082】
(一般式(19)においてR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のアシルオキシ基を表す)
【0083】
【化26】
Figure 2004192829
【0084】
(一般式(20)においてR〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、置換もしくは非置換のアシルオキシ基を表す)
一般式(19)及び(20)のR〜Rとしてはそれぞれ、一般式(2)〜(5)の置換基として例示したものを挙げることができる。
【0085】
C.J.ペーダーセン(C.J.Pedersen)、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(Jornal of the American Chemical Society)、2295頁〜2299頁(1957年)には、N,N’−ジフェニル−p−キノンジイミン−N,N’−ジオキサイド(化学式(6))、N,N’−ジシクロヘキシル−p−キノンジイミン−N,N’−ジオキサイド(化学式(8))などの合成法が記載されている。これによれば、N,N’−ジフェニル−p−キノンジイミン−N,N’−ジオキサイドは、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンを原料とし、これを過酸化ベンゾイルで酸化し、N,N’−ジフェニル−p−キノンジイミンとし、さらに、これを過安息香酸により酸化することにより得ることができる。また、N,N’−ジシクロヘキシル−p−キノンジイミン−N,N’−ジオキサイドは、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミンを原料とし、これを過安息香酸により酸化することにより得ることができる。
【0086】
ピラジン化合物、及びポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物の具体例としては、以下の化学式(21)〜(29)に示す化合物が挙げられる。
【0087】
【化27】
Figure 2004192829
【0088】
【化28】
Figure 2004192829
【0089】
【化29】
Figure 2004192829
【0090】
【化30】
Figure 2004192829
【0091】
【化31】
Figure 2004192829
【0092】
【化32】
Figure 2004192829
【0093】
【化33】
Figure 2004192829
【0094】
【化34】
Figure 2004192829
【0095】
【化35】
Figure 2004192829
【0096】
直鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドオリゴマー又はポリマー化合物の具体例としては、以下の化学式(30)〜(37)に示す化合物が挙げられる。これらの式においてnは2以上の整数を表す。
【0097】
【化36】
Figure 2004192829
【0098】
【化37】
Figure 2004192829
【0099】
【化38】
Figure 2004192829
【0100】
【化39】
Figure 2004192829
【0101】
【化40】
Figure 2004192829
【0102】
【化41】
Figure 2004192829
【0103】
【化42】
Figure 2004192829
【0104】
【化43】
Figure 2004192829
【0105】
側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドオリゴマー又はポリマー化合物の具体例としては、以下の化学式(38)〜(44)に示す化合物が挙げられる。これらの式においてn、mはそれぞれ2以上の整数を表す。
【0106】
【化44】
Figure 2004192829
【0107】
【化45】
Figure 2004192829
【0108】
【化46】
Figure 2004192829
【0109】
【化47】
Figure 2004192829
【0110】
【化48】
Figure 2004192829
【0111】
【化49】
Figure 2004192829
【0112】
【化50】
Figure 2004192829
【0113】
本発明におけるジアジンN,N’−ジオキサイド化合物は、対応するジアジン化合物を過酸化物あるいは過酸を用いて酸化するなどの既知の合成法により製造することができる。
【0114】
ピラジン化合物及びポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物の合成法としては、例えば過酸化尿素を用いる方法が、シンレット、1990年9月、533〜535頁(Synlett, P533−535, September 1990)に記載されている。また、化学式(23)で表される化合物ならば、フェナジンのジクロロメタン溶液に、メタクロロ過安息香酸のジクロロメタン溶液を添加し室温で攪拌し、その後、炭酸ナトリウムの飽和水溶液を加えて中和し、常法に従って精製することによって得ることができる。
【0115】
直鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドオリゴマー又はポリマー化合物は、例えば次のようにして製造することができる。直鎖型ジアジンオリゴマー又はポリマー化合物を過酸化物と反応させ、縮合環内の窒素原子をN−オキシド化することによって得ることができる。他の方法として、ポリアセン型ジアジンN,N’−ジオキサイド化合物の縮合環が有する置換基のうちの二つがハロゲンであるジハライド化合物を、有機溶媒中において、ゼロ価ニッケル化合物を加えて脱ハロゲン化して得ることができる。
【0116】
側鎖型ジアジンN,N’−ジオキサイド構造を側鎖に有するオリゴマー又はポリマー化合物は、対応するジアジン誘導体により置換されたオレフィンを例えばラジカル重合させることによりオリゴマー化又はポリマー化し、これを過酸化物あるいは過酸を用いて酸化するなどの既知の合成法により製造することができる。例えば、ポリ(2−ビニルピラジン−N,N’−ジオキサイド)の合成法については、イラニアン・ジャーナル・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジ、1987年、第11巻、第1号、第27〜34頁(Iranian Journal of Science & Technology, P.27−34, Vol.11, No.1, 1987)に記載されている。
【0117】
本発明の二次電池において、正極活物質は固体状態であっても、また、電解質へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし固体状態で用いる場合は、電解液への溶解による容量低下を防ぐため、電解液に対して不溶性または低溶解性のものが好ましい。
【0118】
本発明におけるN−オキサイド化合物のオリゴマー又はポリマーは、N−オキサイド構造を有するモノマーだけから重合したホモポリマーであっても、また他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0119】
本発明の二次電池の正極において、活物質であるN−オキサイド化合物は、単独で用いることもできるが、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、金属酸化物粒子、ジスルフィド化合物、及び導電性高分子等の他の正極活物質と組み合わせて用いてもよい。金属酸化物としては、LiMnO、LiMn(0<x<2)等のマンガン酸リチウムもしくはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO、LiCoO、LiNiO、Li(0<x<2)等が挙げられ、ジスルフィド化合物としては、ジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が挙げられ、導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。
【0120】
本発明におけるN−オキサイド化合物は、正極内で正極活物質として機能し、電極反応の放電反応および充電反応において、反応出発物、生成物または中間生成物として電極中に含有される。
【0121】
また、本発明の二次電池の製造時において、N−オキサイド化合物をそのまま用いてもよいし、電極反応によってN−オキサイド構造に変換され得る化合物を用いて製造してもよい。このような電極反応によって前記N−オキサイド化合物に変化する化合物の例としては、前記N−オキサイド化合物を還元したアニオン体のリチウム塩、あるいは、前記N−オキサイド化合物を酸化したカチオン体と電解質アニオンとからなる塩などが挙げられる。
【0122】
また本発明では、電極反応をより円滑に行うために酸化還元反応を促進させる触媒を電極材料に混合してもよい。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、ならびに金属イオン錯体等が挙げられる。
【0123】
〔負極の構成〕
本発明における負極は、炭素を主成分とする第一の層と、リチウム成分を吸蔵および放出することのできる材料からなる第二の層と、リチウム及びリチウム含有化合物の少なくとも一方を含む第三の層とを含み、第一の層と第三の層との間に第二の層が配置された多層構造を有する。第一、第二、第三の層はそれぞれ単層でも複数層でもよい。第一、第二、第三の層の位置関係については、第一の層と第三の層とが直に接してはならず、これらの間に第二の層が介在する。第一、第二、第三の層が複数存在する場合は第一の層と第三の層とが直に接しなければいかなる積層構造もとることができる。すなわち、以下に示すいずれの形態であってもよい。
(a)第一の層が電極最表面に配置された構成。
(b)第二の層が電極最表面に配置された構成。
(c)第三の層が電極最表面に配置された構成。
【0124】
また、第二の層と第三の層からなる多層膜を第一の層の上部および下部に第一の層を第二の層で挟むように配置した構成や、第一の層と第二の層からなる多層膜を第三の層の上部および下部に第三の層を第二の層で挟むように配置した構成を採用することもできる。このように、第一の層が第二の層に挟まれた配置、あるいは第三の層が第二の層に挟まれた配置とすることにより、高い充放電効率および良好なサイクル特性を維持しつつ、電池容量を一層向上させることができる。
【0125】
本発明において、第二の層はリチウム成分を吸蔵および放出することのできる材料からなるものとすることが望ましい。リチウム成分を吸蔵する形態としては、合金等を形成する形態のほか、当該材料と合金を形成することなく構造体中にリチウムを取り込む形態も含む。
【0126】
本発明の負極において、第二の層はアモルファス構造とすることが好ましい。アモルファス構造への電気化学的なLiのドープ・脱ドープは、結晶構造よりも卑な電位で起こるため、高い動作電圧および高い充放電効率を維持しつつ電池容量を増加させることができる。ここで、本発明におけるアモルファスとは、CuKα線を用いたX線回折法の2θ値で15〜40度に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものをいう。
【0127】
アモルファス構造は、結晶体と比較して、構造的に等方であるため外部からの応力に対する強度に優れる上、化学的に安定である。このため電解液と反応を起こしにくく、充放電のサイクルを繰り返した際の安定性に優れ、容量劣化が発生しにくい。
【0128】
また第二の層は、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法により形成した層とすることが好ましい。これらの成膜法を用いた場合、アモルファス状のリチウムイオン導電性膜が負極上に均一に得られる。この膜により正極と負極間の電解分布を均一にすることができる。このため電界の局所的集中が起こらず、サイクルを経ても集電体から活物質が剥離する等の破損が発生せず安定した電池特性が得られる。
【0129】
本発明における第二の層を構成するリチウムイオン導電性材料は、リチウム成分を透過できる材料であれば特に制限はないが、Si、Ge、Ag、Sn、In及びPbからなる群から選択される一または二以上の元素を含むものが挙げられ、Si、Ge、Ag、Sn、In、Pb、これらの酸化物あるいは複合酸化物、及びこれらの硫化物あるいは硫化物からなる群から選択される一または二以上の材料が好ましい。また、B、P、Al、W3h−1(h=1、2、3、4)、Mo3i−1(i=1、2、3、4)、TiO、TiOからなる群から選択される一または二以上の材料も用いることができる。これらはリチウムもしくはリチウムイオンを吸蔵及び放出することのできる材料である。このような材料を選択し、かつアモルファス構造を具備することにより、高い動作電圧および高い充放電効率を維持しつつ電池容量を増加させることができる。特に、第二の層を、Si、Ge、Sn、Pb及びこれらの酸化物からなる群から選択される一または二以上の材料からなるものとすれば、動作電圧、充放電効率および電池容量をより顕著に改善できる上、製造も容易となる点から、これらの材料が好ましい。このうち、特にSi、Sn及びこれらの酸化物は、リチウムを吸蔵した際の構造変化が小さく、充放電を繰り返しても劣化しにくく、良好なサイクル特性が得られる点で好ましい。
【0130】
本発明において、第三の層を構成する物質はLi又はLi含有化合物であれば特に制限はないが、好ましくは金属リチウム、リチウム合金、窒化リチウムやLi3−xN(M=Co、Ni、Cu)等のリチウム窒化物、これらの一または二以上を含む混合物である。このような材料は電気化学的に多くのリチウムを放出することができるため、電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0131】
また本発明において、第三の層を構成する物質はアモルファス構造とすることが好ましい。アモルファス構造は、結晶と比較して、構造的に等方であるため化学的に安定で電解液と副反応を起こしにくい。このため、第三の層に含まれるLiが電池エネルギー密度の向上に効果的に利用される。
【0132】
また本発明において、第三の層を構成する物質は、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法により形成した層とすることが好ましい。これらの成膜法を用いた場合、負極全体に均一なアモルファス状の層を作製することができる。また溶媒を用いる必要がないため、副反応が起こりにくくより純度の高い層を作製することができ、第三の層に含まれるLiが電池エネルギー密度の向上に効果的に利用される。
【0133】
図1、図2、図4、図5に、本発明の二次電池における負極の構造例(断面構造)を示す。
【0134】
集電体1は、充放電の際、電流を電池の外部に取り出したり外部から電池内に電流を取り込んだりするための電極部材である。この集電体1は導電性の金属箔であればよく、たとえば、Al、Cu、ステンレス、Au、W、Mo等を用いることができる。
【0135】
炭素負極2は、前記の第一の層に相当し、充放電の際、Liを吸蔵あるいは放出する負極部材である。この炭素負極2はLiを吸蔵可能な炭素であり、例えば、天然黒鉛、石油コークス、石炭コークス、ピッチコークス、カーボンブラック、樹脂焼成炭素、有機高分子焼成体、熱分解気相成長炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、低温焼成炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素材料、及びこれらの混合物を例示できる。
【0136】
第2負極層3は、前記の第二の層に相当し、リチウムイオン導電性を持つ負極部材である。このような材料としてB、P、Al、W3h−1(h=1、2、3、4)、Mo3i−1(i=1、2、3、4)、TiO、TiO、並びにSi、Ge、Ag、Sn、In、Pb、これらの酸化物あるいは複合酸化物および硫化物あるいは複合硫化物が挙げられ、これらを単独または一種以上を組み合わせて用いることができる。また、リチウムイオン導電性を高めるために、この材料にハロゲン化リチウム、リチウムカルコゲナイド等を添加してもよい。またこの材料はアモルファスであることが好ましい。アモルファス材料を用いることにより、リチウムのドープ・脱ドープが起こる電位を結晶に比べて卑にすることができ、この結果、電池の動作電圧を高くすることができる。また第2負極層3は、CVD法、蒸着法、またはスパッタ法により形成することが好ましい。これらの方法で作製すれば、アモルファス層を均一な膜質および膜厚で形成することができる。
【0137】
第3負極層4は、前記の第三の層に相当し、リチウム又はリチウム含有化合物からなる負極部材である。このような材料として、金属リチウム、リチウム合金、リチウム窒化物(窒化リチウム(LiN)やLi3−xN(M=Co、Ni、Cu)等)及びこれらの混合物が挙げられ、これらを単独または一種以上を組み合わせて用いることができる。またこの材料はアモルファスであることが好ましい。アモルファス材料を用いることにより、電解液との副反応を抑制し、材料中に含まれるリチウムを効率よく不可逆容量の補填に利用することができる。この結果、電池の初回充放電効率が向上し、エネルギー密度を高くすることができる。第3負極層4は、CVD法、蒸着法、またはスパッタ法により形成することが好ましい。これらの方法で作製すれば、アモルファス層を均一な膜質および膜厚で形成することができる。
【0138】
負極の積層構造は、図1に示すように集電体1上に、炭素負極層2(第1負極層)、第2負極層3、及び第3負極層4の順で積層された構造、図2に示すように集電体1の両面にそれぞれ炭素負極層2、第2負極層3、及び第3負極層4の順で積層された構造、図4に示すように図1に示す積層構造の第3負極層4上にさらに第2負極層3及び炭素負極層2が積層された構造、図5に示すように集電体1上に、第3負極層4、第2負極層3、炭素負極層2、第2負極層3、及び第3負極層4の順で積層された構造を採用することもできる。
【0139】
〔導電補助材およびイオン伝導補助材〕
本発明では、電極を形成する際に、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材やイオン伝導補助材を混合させてもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維等の炭素質微粒子、銅、銀、金、白金等の金属微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられる。また、イオン伝導補助材としては、ゲル電解質、固体電解質が挙げられる。
【0140】
〔結着剤〕
本発明では、電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、電極材料に結着剤を混合してもよい。このような結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂バインダーが挙げられる。
【0141】
〔集電体およびセパレータ〕
本発明おける集電体としては、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス等の金属箔や金属平板、メッシュ状電極、炭素電極等を用いることができる。また、このような集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。
【0142】
また、負極集電体と正極集電体との電気的接触を防ぐ目的で、両者の間にプラスティック樹脂等からなる絶縁パッキンを配置した構成としてもよい。
【0143】
また、本発明のリチウム二次電池において用いることのできるセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムを用いることができる。
【0144】
〔電解液及び電解質〕
本発明における電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジエトキシエタン、1−エトキシ−1−メトキシエタン等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、などの非プロトン性有機溶媒の一種又は二種以上を混合して使用し、これらの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。
【0145】
リチウム塩としては、例えばLiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(CFSO、LiN(CFSO、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl、イミド類などがあげられる。
【0146】
また、電解液に代えてポリマー電解質を用いてもよい。これら固体電解質に用いられる高分子物質としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリロニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。これらの高分子物質に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いることができ、また高分子物質のみをそのまま用いても良い。
【0147】
〔正極の製造方法〕
本発明では、正極の製造方法については特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、正極の構成材料に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布する方法、正極の構成材料にバインダー樹脂を加えて圧力をかけて固める方法、正極の構成材料に熱をかけて焼き固める方法などが挙げられる。
【0148】
〔電極の積層形態〕
本発明では、正極および負極の積層形態についても特に限定されるものではなく、任意の積層形態を採用することができ、多層積層体、集電体の両面に積層したものを組み合わせた形態、さらにこれらを巻回した形態とすることができる。
【0149】
〔電池の形状〕
本発明の電池の形状および外観については特に限定されるものではなく、従来公知のものを採用することができる。すなわち、このような電池形状としては、例えば、電極積層体または巻回体を、金属ケース、樹脂ケース、もしくはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムとからなるラミネートフィルム等によって封止したものが挙げられる。また、電池の外観としては、円筒型、角型、コイン型、シート型等が挙げられる。
【0150】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により制限されるものではない。
【0151】
(実施例1、比較例1及び2)
非水電解液二次電池の正極は次の手順で作製した。化学式(7)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物25mgと、グラファイト粉末200mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダー25mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。10分ほど乾式混合して得られた混合体を、圧力を掛けてローラー延伸して、厚さ215μmの薄型電極板を得た。この薄型電極板を、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜いて正極成形体を得た。
【0152】
図1に示す非水電解液二次電池の負極を次の手順で作製した。まず、集電体1として厚み10μmの銅箔を用い、この銅箔上に炭素負極層(第1負極層)2を堆積させた。この炭素負極層2は、結着材としてN−メチル−2−ピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデンと導電付与材とを黒鉛粉末に混合してペースト状にし、このペースト状物を集電体1上に塗布し、乾燥させて形成した。乾燥後、炭素負極層2を、プレス機を使い圧縮した。
【0153】
この炭素負極層2の上に酸化ホウ素からなる第2負極層3を真空蒸着法を用いて堆積させ、さらに真空蒸着法を用いてリチウムからなる第3負極層4を堆積させて負極を得た。
【0154】
次に、得られた正極成形体を電解液に浸して、電極成形体中の空隙に電解液を染み込ませた。
【0155】
この電解液としては、1mol/lのLiPF電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合比3:7(体積比))を用いた。
【0156】
図6に示すように、正極15として電解液を含浸させた正極成形体を、正極集電体を兼ねた正極側コイン型電池ケース16上に配置し、その上に同じく電解液を含浸させた多孔質フィルムセパレータ14を積層した。さらにその上に負極13を積層し、枠状の絶縁パッキン12を設置した。その後に、負極側コイン型電池ケース11(負極集電体も兼ねる)を重ね合わせた。得られた積層体に、かしめ機により圧力を加え、密閉型のコイン型電池を得た。
【0157】
比較例1として、図3に示す厚み10μmの銅箔からなる集電体1と黒鉛を主成分とする炭素負極層2とで構成した負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。この電池に含まれる炭素負極層2の構成材料の全質量は実施例1の電池に含まれる第1負極層2の構成材料の全質量と同じにした。
【0158】
比較例2として、リチウム箔からなる負極を用いた以外は(その際負極側コイン型電池ケースが負極集電体を兼ねる)、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
【0159】
上記実施例1の負極(図1の構造)を用いた電池と、比較例1及び2の電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。実施例1並びに比較例1及び2の初回充放電の結果を表1に示す。比較例1及び2の充放電効率がそれぞれ85.7%、81.8%であるのに対して、実施例1の充放電効率は96.0%であり、この結果から実施例1の初回充放電効率が高いことがわかる。なお、実施例1、比較例1、2の平均放電電圧はそれぞれ3.3V、3.2V、3.4Vであった。
【0160】
また、充放電サイクル特性の評価結果を表1に示す。表1中の放電容量比は、1サイクルの放電容量(C1)を100%としたとき、それに対する300サイクルの放電容量(C300)の比率を表す。実施例1では300サイクル後も初回の容量の90%以上を保持しており、比較例1と同等のサイクル特性を持つことが分かる。比較例2の300サイクル後の放電容量は初回放電容量の22.7%であった。
【0161】
本実施例および比較例の評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0162】
【表1】
Figure 2004192829
【0163】
(実施例2、3)
本実施例では、厚み10μmの銅箔からなる集電体1と、ハードカーボンを主成分とする炭素負極層(第1負極層)2と、シリコンからなる第2負極層3と、金属リチウムからなる第3負極層4をこの順で積層して図1に示す負極を作製した。第2負極層3の形成は、実施例2ではCVD法で行い、実施例3ではスパッタリング法で行った。第3負極層4の形成はいずれの実施例においても真空蒸着法を用いた。
【0164】
これらの負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
【0165】
本実施例2及び3の負極(図1の構造)をそれぞれ用いた電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。実施例2及び3の初回充放電の結果を表2に示す。実施例2及び3の充放電効率は90%以上であり、この結果から実施例2及び3の初回充放電効率が十分高いことがわかる。なお、実施例2及び3の平均放電電圧はともに3.3Vであった。
【0166】
この結果から、第1負極層2にハードカーボンを主成分とする材料を用いても第2負極層3及び第3負極層4を形成した本発明の構成にすることにより充放電効率を改善できることが明らかとなった。
【0167】
また、充放電サイクル特性の結果を表2に示す。実施例2及び3では300サイクル後も初回の容量の90%以上を保持していることが分かる。
【0168】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0169】
【表2】
Figure 2004192829
【0170】
(実施例4〜6)
本実施例では、厚み10μmの銅箔からなる集電体1と、ハードカーボンを主成分とする炭素負極層(第1負極層)2と、SiO(0<x≦2)(実施例4)あるいはSnO(0<x≦2)(実施例5)あるいはSiとSnの混合物(実施例6)からなる第2負極層3と、リチウムアルミニウム合金からなる第3負極層4をこの順で積層して図1に示す負極を作製した。
【0171】
実施例4〜6の電池のそれぞれに含まれるハードカーボンを主成分に用いた炭素負極層2の構成材料の全質量は、実施例2、3の電池のそれぞれに含まれるハードカーボンを主成分に用いた負極層2の構成材料の全質量と同じにした。
【0172】
第2負極層3の形成は、実施例4のSiO膜、実施例5のSnO膜については蒸着法により形成した。実施例6のSiとSnの混合物からなる膜(SiSn膜)の形成は、SiとSnをそれぞれ別のるつぼに入れ、レーザーを用いて蒸着する方法を用いた。その際、それぞれの蒸着量を、水晶振動子を用いて測定することにより、SiとSnの比率を制御した。
【0173】
第3負極層4のリチウムアルミニウム合金中のリチウムとアルミニウムの比率はそれぞれ98%、2%とした。このリチウムアルミニウム合金膜の形成は、リチウムとアルミニウムをそれぞれ別のるつぼに入れ、レーザーを用いて蒸着する方法を用いた。その際、それぞれの蒸着量を、水晶振動子を用いて測定することにより、リチウムとアルミニウムの比率を制御した。
【0174】
これらの負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてそれぞれコイン型電池を作製した。
【0175】
本実施例4〜6の負極(図1の構造)をそれぞれ用いた電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。実施例4〜6の初回充放電の結果を表3に示す。実施例4〜6の充放電効率はいずれも90%以上と高くなっており、第3負極層4としてリチウムアルミニウム合金を用いても充放電効率が改善されることが分かる。なお、実施例4、5及び6の平均放電電圧はそれぞれ3.2V、3.2V、3.3Vであった。
【0176】
また、充放電サイクル特性の結果を表3に示す。実施例4〜6では300サイクル後も初回の容量の90%以上を保持することが分かる。
【0177】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0178】
【表3】
Figure 2004192829
【0179】
(実施例7)
本実施例では、厚み10μmの銅箔からなる集電体1と、黒鉛を主成分とする炭素負極層(第1負極層)2と、SiO(0<x≦2)からなる第2負極層3と、金属リチウムと窒化リチウムとの混合物膜からなる第3負極層4をこの順で積層して図1に示す負極を作製した。第2負極層3のSiO膜の形成は真空蒸着法を用いて行った。第3負極層4の混合物中の金属リチウムと窒化リチウムの比率はそれぞれ90%、10%とした。この混合物膜の形成は、金属リチウムと窒化リチウムをそれぞれ別のハーネスに入れ、レーザーを用いて蒸着する方法を用いた。
【0180】
この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
【0181】
本実施例の負極(図1の構造)を用いた電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。本実施例の初回充放電の結果を表4に示す。本実施例の充放電効率は94%以上と十分高くなっており、第3負極層4として金属リチウムと窒化リチウムの混合物を用いても充放電効率が改善されることが明らかとなった。なお、本実施例の平均放電電圧は3.3Vであった。
【0182】
また、充放電サイクル特性の結果を表4に示す。本実施例では300サイクル後も初回の容量の90%以上を保持していることが分かる。
【0183】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0184】
【表4】
Figure 2004192829
【0185】
(実施例8、9)
実施例8及び9の負極の構造をそれぞれ図4及び図5に示す。実施例8では、第3負極層4が上下から第2負極層3に挟まれた構造をとっている。実施例9では、第1負極層2が上下から第2負極層3に挟まれた構造をとっている。
【0186】
本実施例では、集電体1として厚み10μmの銅箔を用い、第1負極層2として黒鉛を主成分とする材料を用い、第2負極層3にはシリコンを用い、第3負極層4には金属リチウムを用いた。第2負極層3及び第3負極層4の形成には真空蒸着法を用いた。実施例8、9の電池にそれぞれ含まれる第1負極層2の構成材料の全質量は、実施例1の電池に含まれる炭素負極層2の構成材料の全質量と同じにした。
【0187】
これらの負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてそれぞれコイン型電池を作製した。
【0188】
本実施例8及び9の負極をそれぞれ用いた電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。実施例8及び9の初回充放電の結果を比較例1及び2の結果とともに表5に示す。実施例8及び9の充放電効率はどちらも90%以上と、比較例1及び2の充放電効率より高くなっており、充放電効率が改善されることが分かる。なお、実施例8及び9の平均放電電圧はいずれも3.3Vであった。
【0189】
また、充放電サイクル特性の結果を表5に示す。実施例8及び9では300サイクル後も初回の容量の90%以上を保持しており、比較例2より優れ、比較例1と同等以上のサイクル特性を持つことが分かる。
【0190】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0191】
【表5】
Figure 2004192829
【0192】
(比較例3)
本比較例では、実施例1で用いた化学式(7)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物の代わりにLiCoO25mgを用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
【0193】
この電池について充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。本比較例の初回充放電の結果を実施例1の結果とともに表6に示す。実施例1の充放電効率が96.0%であるのに対して、本比較例の充放電効率は64.6%と低く、この結果から、正極材料として化学式(7)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物を用いることにより、初回充放電効率が向上することがわかる。なお、比較例3の平均放電電圧は3.7Vであった。
【0194】
また、充放電サイクル特性の評価結果を表6に示す。本比較例の300サイクル後の放電容量は初回放電容量の87.9%であった。
【0195】
【表6】
Figure 2004192829
【0196】
(実施例10、11)
本実施例では、実施例1で用いた化学式(7)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物の代わりに、実施例10では化学式(8)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物25mg、実施例11では化学式(10)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物25mgを用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれコイン型電池を作製した。
【0197】
これらの電池について充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。本実施例の初回充放電の結果及び充放電サイクル特性の評価結果を表7に示す。これらの実施例の充放電効率は90%以上であり、この結果から、正極材料としてキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物を用いた正極と、炭素を主成分とする第一の層と、リチウムイオン導電性を持つ膜状材料を主成分とする第二の層と、Liからなる第三の層とを含む多層構造の負極を用いた電池は、初回充放電効率が高いことがわかる。なお、これらの実施例の平均放電電圧はそれぞれ3.1V、3.0Vであった。
【0198】
また、実施例10、11の300サイクル後の放電容量はそれぞれ初回放電容量の91.4%、90.3%であった。
【0199】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0200】
【表7】
Figure 2004192829
【0201】
(実施例12〜16)
実施例12の非水電解液二次電池の正極は次の手順で作製した。化学式(12)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物40mgと、アセチレンブラック粉末15mg、人造黒鉛粉末36mg、スチレン−ブタジエンラテックスの40質量%溶液10mg、メチルセルロースの2質量%溶液212mg、水1mlを混ぜ合わせ、この混合物をホモジナイザーを用いて均一化してスラリーを得た。このスラリー15mgをドクターブレード法によりアルミニウム箔表面に付与して薄膜とした。これを直径12mmの円形に打ち抜いて正極成形体を得た。
【0202】
実施例12は、この正極成形体を正極として用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
【0203】
実施例13〜16は、実施例12で用いた化学式(12)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物の代わりに下記のキノンジイミン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物40mgを用いた以外は、実施例12と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例12と同様にしてそれぞれコイン型電池を作製した。
【0204】
実施例13:化学式(11)で示される化合物、
実施例14:化学式(15)で示される化合物、
実施例15:化学式(17)で示される化合物、
実施例16:化学式(18)で示される化合物。
【0205】
実施例12〜16の電池について充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.0Vとした。実施例12〜16の初回充放電の結果及び充放電サイクル特性の評価結果を表8に示す。実施例12〜16の充放電効率は90%以上あるいは90%に近い値であり、この結果から、正極材料としてキノンジイミン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物を用いた正極と、炭素を主成分とする第一の層と、リチウムイオン導電性を持つ膜状材料を主成分とする第二の層と、Liからなる第三の層とを含む多層構造の負極を用いた電池は、初回充放電効率が高いことがわかる。なお、実施例12〜16の平均放電電圧は、実施例13では緩やかに電圧が下降したが、それ以外の実施例ではそれぞれ3.1V、3.1V、3.1V、3.2Vであった。
【0206】
また、実施例12〜16の300サイクル後の放電容量はそれぞれ初回放電容量の90.4%、89.7%、92.8%、94.8%、93.4%であった。
【0207】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0208】
【表8】
Figure 2004192829
【0209】
(実施例17〜19)
本実施例では、実施例1で用いた化学式(7)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物の代わりに下記のポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物25mgを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれコイン型電池を作製した。
【0210】
実施例17:化学式(24)で示される化合物、
実施例18:化学式(23)で示される化合物、
実施例19:化学式(27)で示される化合物。
【0211】
実施例17〜19の電池について充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.5Vとした。実施例17〜19の初回充放電の結果及び充放電サイクル特性の評価結果を表9に示す。実施例17〜19の充放電効率はいずれも90%以上であり、この結果から、正極材料としてポリアセン型ジアジン−N,N’−ジオキサイド化合物を用いた正極と、炭素を主成分とする第一の層と、リチウムイオン導電性を持つ膜状材料を主成分とする第二の層と、Liからなる第三の層とを含む多層構造の負極を用いた電池は、初回充放電効率が高いことがわかる。なお、実施例17〜19の平均放電電圧はそれぞれ3.9V、3.8V、3.7Vであった。
【0212】
また、実施例17〜19の300サイクル後の放電容量はそれぞれ初回放電容量の92.5%、90.6%、91.4%であった。
【0213】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0214】
【表9】
Figure 2004192829
【0215】
(実施例20〜24)
本実施例では、実施例1で用いた化学式(7)で示されるキノンジイミン−N,N’−ジオキサイド化合物の代わりに下記の化合物25mgを用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれコイン型電池を作製した。
【0216】
実施例20:化学式(31)で示される直鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物、
実施例21:化学式(38)で示される側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物、
実施例22:化学式(39)で示される側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物、
実施例23:化学式(41)で示される側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物、
実施例24:化学式(43)で示される側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物。
【0217】
実施例20〜24の電池について充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は2.5〜4.5Vとした。実施例20〜24の初回充放電の結果及び充放電サイクル特性の評価結果を表10に示す。実施例20〜24の充放電効率はいずれも90%以上であり、この結果から、正極材料として直鎖型および側鎖型ジアジン−N,N’−ジオキサイドポリマー化合物を用いた正極と、炭素を主成分とする第一の層と、リチウムイオン導電性を持つ膜状材料を主成分とする第二の層と、Liからなる第三の層とを含む多層構造のものを用いた電池の初回充放電効率が高いことがわかる。なお、実施例20〜24の平均放電電圧は3.9V、3.8V、3.9V、3.8V、3.7Vであった。
【0218】
また、実施例20〜24の300サイクル後の放電容量はそれぞれ初回放電容量の94.1%、95.3%、93.5%、91.1%、95.2%であった。
【0219】
本実施例における評価結果から、本発明に係る正極及び負極を備える二次電池は、容量および充放電効率が高く、かつサイクル特性も安定していることが証明された。
【0220】
【表10】
Figure 2004192829
【0221】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、正極活物質にN−オキシド化合物を含有し、負極の構造として、炭素を主成分とする第一の層と、リチウムイオン導電性を持つ膜状材料を主成分とする第二の層と、Li又はLi含有化合物を主成分とする第三の層とを含む多層構造を採用することによって、容量密度が高く(すなわちエネルギー密度が高く)、充放電効率が高く、サイクル特性に優れた二次電池が得られる。
【0222】
本発明において正極活物質に用いたN−オキシド化合物は、酸化還元の反応部位が局在しているため、高い容量密度を実現することができる。
【0223】
また本発明の構成によれば、負極の第三の層に含まれるLiが負極の不可逆容量を効率良く補填することができ、高い充放電効率と放電容量を両立させることができる。また第三の層に含まれるLiの一部は第二の層へドープされ、第二の層のリチウムイオン導電性を高くする。このような高いリチウムイオン導電性を持つ膜状材料が負極中に均一に存在することとなるため、正極と負極間の電界分布が均一になる。この結果、電界の局所的集中を防止し、良好なサイクル特性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二次電池における負極の断面構造の一例である。
【図2】本発明の二次電池における負極の断面構造の一例である。
【図3】比較例の二次電池における負極の断面構造の一例である。
【図4】本発明の二次電池における負極の断面構造の一例である。
【図5】本発明の二次電池における負極の断面構造の一例である。
【図6】本発明の二次電池の構成の一例である。
【符号の説明】
1 集電体
2 炭素負極層(第1負極層)
3 第2負極層
4 第3負極層
11 負極集電体
12 絶縁パッキン
13 負極
14 セパレータ
15 正極
16 正極集電体

Claims (16)

  1. 少なくとも正極、負極、及び電解質を含む二次電池において、前記正極は、正極活物質として下記一般式(1)
    Figure 2004192829
    で示される部分構造を分子内に有するN−オキサイド化合物を含有し、前記負極は、炭素を主成分とする第一の層と、リチウム成分を吸蔵および放出することのできる材料からなる第二の層と、リチウム及びリチウム含有化合物の少なくとも一方を含む第三の層とを含み、第一の層と第三の層との間に第二の層が配置された多層構造を有することを特徴とする二次電池。
  2. 前記N−オキサイド化合物が、下記一般式(2)で示される部分構造を分子内に有している請求項1に記載の二次電池。
    Figure 2004192829
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。)
  3. 前記N−オキサイド化合物が、下記一般式(3)で示される部分構造を分子内に有している請求項1に記載の二次電池。
    Figure 2004192829
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。)
  4. 前記N−オキサイド化合物が、下記一般式(4)で示される部分構造を分子内に有している請求項1に記載の二次電池。
    Figure 2004192829
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。)
  5. 前記N−オキサイド化合物がオリゴマー又はポリマー化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の二次電池。
  6. 前記N−オキサイド化合物が、下記一般式(5)で示される構造を有する請求項1に記載の二次電池。
    Figure 2004192829
    (式中、n、m、n’及びm’はそれぞれ独立に0以上の整数を示す。また、ジアジン環とベンゼン環との縮合の順序は交互であってもランダムであってもよい。また、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアシル基、又は置換もしくは非置換のアシルオキシ基を示す。ただし、nが2以上の場合、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、n’が2以上の場合、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、これらの置換基は、その一個以上の原子が硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、又はホウ素原子で置換されていてもよく、また置換基同士で環構造を形成していてもよい。)
  7. 前記N−オキサイド化合物が、一般式(5)で示される構造の置換基R、R、R、R、R、R、R、及びRのうち2つの置換基に代えて2つの結合手を持つ二価基を構造単位として有するオリゴマー又はポリマー化合物である請求項6に記載の二次電池。
  8. 前記N−オキサイド化合物が、一般式(5)で示される構造の置換基R、R、R、R、R、R、R、及びRのうち1つの置換基に代えて1つの結合手を持つ一価基を有する構造単位を有するオリゴマー又はポリマー化合物である請求項6に記載の二次電池。
  9. 前記N−オキサイド化合物を、電極反応において反応出発物質、生成物、又は中間生成物として含有する請求項1乃至8のいずれかに記載の二次電池。
  10. 前記負極の第二の層がアモルファス構造を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の二次電池。
  11. 前記負極の第二の層が、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法により形成された層である請求項1乃至10のいずれかに記載の二次電池。
  12. 前記負極の第二の層が、B、P、Al、W3h−1(h=1、2、3、4)、Mo3i−1(i=1、2、3、4)、TiO、TiOからなる群から選択される一または二以上の材料を含むものである請求項1乃至11のいずれかに記載の二次電池。
  13. 前記負極の第二の層が、Si、Ge、Ag、Sn、In及びPbからなる群から選択される一または二以上の元素を含むものである請求項1乃至12のいずれかに記載の二次電池。
  14. 前記負極の第二の層が、Si、Ge、Ag、Sn、In、Pb、これらの酸化物あるいは複合酸化物、及びこれらの硫化物あるいは硫化物からなる群から選択される一または二以上の材料を含むものである請求項1乃至13のいずれかに記載の二次電池。
  15. 前記負極の第三の層が、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法により形成された層である請求項1乃至14のいずれかに記載の二次電池。
  16. 前記負極の第三の層が、金属リチウム、リチウム合金およびリチウム窒化物からなる群から選択される一または二以上の材料を含むものである請求項1乃至15のいずれかに記載の二次電池。
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