JP2004197100A - ポリ(アリーレンエーテル)組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶融強度に優れ、成形後の表面性及びサンダー加工性にも優れたブロー成形用ポリ(アリーレンエーテル)組成物を提供する。
【解決手段】 ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂、不飽和耐衝撃性改良剤及び任意成分としてカプセル封入フルオロポリマーを含有する。押出チューブの懸垂時間として測定される組成物の溶融強度は、ブロー成形法に特に適当である。本組成物は良好な溶融強度、表面性及び/又はサンダー加工性を示し、ブロー成形用途に特に有用である。
【選択図】 図3

Description

本発明はポリ(アリーレンエーテル)組成物、具体的にはブロー成形用途に適したポリ(アリーレンエーテル)組成物に関する。
ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、その機械的特性と化学的特性とのバランスから、ブロー成形作業に広く用いられている。商業的には、ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、良好な耐熱性と流動性をもつブレンドを与えるべく、ポリスチレン、特に耐衝撃性ポリスチレンとブレンドすることが多い。しかし、ポリ(アリーレンエーテル)及びそのブレンドをブロー成形作業にうまく使用できるか否かは、溶融樹脂の特性、特に溶融強度に左右される。溶融強度は、溶融ストランドのテナシティー(tenacity)として表すことができ、溶融樹脂がどの程度の応力を支持できるかを示す。溶融強度は大形部品のブロー成形では特に重要である。
大型部品のブロー成形では、溶融ポリマー樹脂のチューブを金型内に鉛直に押出す。加圧ガスを流して押出品を金型表面に押しつけ、軟化ポリマー樹脂を成形する。ブロー成形部品には表面欠陥が生じることがある。加えて、ブロー成形部品は金型に起因する分割線を有することも多い。表面欠陥も分割線も成形後処理プロセスで除去して、塗装作業に適した表面とする。分割線及び表面欠陥を除去する最も一般的な方法はサンディングである。サンディングを容易にするため、ブロー成形用途の組成物は良好なサンダー加工性(つまり組成物のサンディングの容易さ)を有しているべきである。
本発明のブロー成形用組成物は、組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂及び約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤を含む。
別の態様では、ブロー成形用組成物は、組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂、約0.005〜2重量%のカプセル封入フルオロポリマー及び約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤を含む。
他の態様では、物品を成形する方法は、組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂及び約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤を含む組成物を溶融押出し、押出組成物をブロー成形して物品とすることを含む。
本発明の一実施形態のブロー成形用組成物は、組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂及び約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤、さらに適宜約0.005〜2重量%のカプセル封入フルオロポリマーを含む。本組成物は、溶融強度、すなわち溶融樹脂がどの程度の応力を支持できるかが重要な因子となるブロー成形作業に特に有用である。溶融強度は懸垂時間(すなわち押出チューブが第一の所定の長さから第二の所定の長さまで自重で垂れ下がる時間)として定量化できる。適切な溶融強度に加えて、上記の組成物からなる成形品は成形後処理に適したサンダー加工性を有する。本組成物及びその物品は、溶融強度とサンダー加工性とを兼ね備えているので、大形部品のブロー成形に特に有用である。
組成物のサンダー加工性には、組成物から成形した物品の表面性も関係している。サンダー加工性の良好な物品が好ましいが、表面性の良好な物品、すなわち金型から取り出した直後に視認し得る表面欠陥のない表面を有する物品も好ましい。視認し得る表面欠陥とは約40μmを上回る寸法の表面欠陥である。
改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂の粒径と組成物への不飽和耐衝撃性改良剤の使用は共に表面性に影響する。意外にも、粒径が約5〜20μmと比較的大きい改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、粒径5μm未満の改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂を用いた同様の組成物から成形した物品より滑らかな表面を該組成物から成形した物品に与える。意外にも、飽和耐衝撃性改良剤ではなく不飽和のものを用いることが、本組成物から成形した物品の表面性に影響する。通例、ブロー成形用組成物に飽和耐衝撃性改良剤が使用されているのは、飽和耐衝撃性改良剤の方が不飽和耐衝撃性改良剤よりも熱安定性が高いからである。しかし、本組成物に不飽和耐衝撃性改良剤を用いると、飽和耐衝撃性改良剤と比較して、得られる成形品に表面欠陥が少なくなり、また内部の気泡も少なくなることが判明した。表面性の良好な物品は完成品とするのに要するサンディングが減る。
本組成物はポリ(アリーレンエーテル)を含む。用語ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリフェニレンエーテル(PPE)及びポリ(アリーレンエーテル)コポリマー;グラフトコポリマー;ポリ(アリーレンエーテル)エーテルアイオノマー;アルケニル芳香族化合物、ビニル芳香族化合物、ポリ(アリーレンエーテル)などのブロックコポリマー;並びに上記ポリ(アリーレンエーテル)類の1種以上を含む組合せを包含する。
ポリ(アリーレンエーテル)自体は次の式(I)の構造単位を複数含む公知のポリマーである。
式中、各構造単位について、Q1は各々独立にハロゲン、第一又は第二低級アルキル(例えば炭素原子数7以下のアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2個以上の炭素原子が介在するハロ炭化水素オキシなどを示し、Q2は各々独立に水素、ハロゲン、第一又は第二低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2個以上の炭素原子が介在するハロ炭化水素オキシなどを示す。各Q1がアルキル又はフェニル、特にC1-4アルキルで、各Q2が水素であるのが好ましい。
ポリ(アリーレンエーテル)のホモポリマー及びコポリマーいずれも包含される。好ましいホモポリマーは、2,6−ジメチルフェニレンエーテル単位を含むものである。適当なコポリマーとしては、例えば2,6−ジメチルフェニレンエーテル単位を2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と共に含むランダムコポリマーや、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合で得られるコポリマーがある。また、ビニル単量体もしくはポリスチレンのようなポリマーをグラフトして得られる部分を含有するポリ(アリーレンエーテル)、並びに低分子量ポリカーボネート、キノン類、複素環類、ホルマール類などのカップリング剤を公知の方法で2本のポリ(アリーレンエーテル)鎖のヒドロキシ基反応させてさらに高分子量のポリマーとしたカップリング化ポリ(アリーレンエーテル)も包含される。ポリ(アリーレンエーテル)樹脂はさらに、上記のもの少なくとも1種を含有する組合せを包含する。
ポリ(アリーレンエーテル)は通常、約3000〜40000原子質量単位(amu)の数平均分子量、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定して約20000〜80000amuの重量平均分子量を有する。ポリ(アリーレンエーテル)は、クロロホルム中25℃で測定して約0.30〜0.46デシリットル/グラム(dl/g)の固有粘度を有し、好ましくは約0.32〜0.40dl/g、さらに好ましくは約0.33〜0.38dl/gの固有粘度を有する。固有粘度の高いポリ(アリーレンエーテル)と固有粘度の低いポリ(アリーレンエーテル)とを組合せて用いることも可能である。2つの固有粘度のものを用いる場合、両者の正確な比の決定は、使用するポリ(アリーレンエーテル)の正確な固有粘度及び望ましい最終物性にある程度依存する。
ポリ(アリーレンエーテル)は通例、少なくとも1種のモノヒドロキシ芳香族化合物、例えば2,6−キシレノール又は2,3,6−トリメチルフェノールの酸化カップリングで製造される。このようなカップリング反応には普通触媒系を使用する。代表的な触媒系は、少なくとも1種の重金属化合物、例えば銅、マンガン又はコバルト化合物を、通常他の種々の材料と組合せて含有する。
多くの目的に、少なくとも1つのアミノアルキル含有末端基を有する分子を含むポリ(アリーレンエーテル)が特に有用である。アミノアルキル基は通例ヒドロキシ基に対してオルト位に位置する。このような末端基を有するものは、ジ−n−ブチルアミンやジメチルアミンのような適当な第一又は第二モノアミンを酸化カップリング反応混合物の1成分として導入することにより製造できる。4−ヒドロキシビフェニル末端基が存在することもよくあり、これらは代表的には、副生ジフェノキノンが存在する反応混合物、特に銅−ハロゲン化物−第二又は第三アミン系において副生ジフェノキノンが存在する反応混合物から得られる。ポリマー分子の相当な割合、代表的にはポリマーの約90重量%のような大部分が上記アミノアルキル含有末端基及び4−ヒドロキシビフェニル末端基の少なくとも一方を含有してもよい。
上述したところから当業者には明らかなように、本発明で想定されているポリ(アリーレンエーテル)は、構造単位や副次的な化学的特徴の変動に関わりなく、現在知られているものすべてを包含する。
ポリ(アリーレンエーテル)は、組成物の全重量の約20重量%以上、好ましくは約30重量%以上、さらに好ましくは約35重量%以上を占める。ポリ(アリーレンエーテル)は、組成物の全重量の約80重量%以下、好ましくは約60重量%以下、さらに好ましくは約50重量%以下を占める。
本組成物はゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂を含有する。ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は通常、少なくとも1種のアルケニル芳香族単量体系ポリマーを含み、さらにゴム改質剤をブレンド及び/又はグラフトの形態で含有する。アルケニル芳香族単量体は次式(II)で表される。
式中のR1は水素、低級アルキル又はハロゲンを示し、Z1はビニル、ハロゲン又は低級アルキルを示し、pは0〜5である。アルケニル芳香族単量体としては、スチレン、クロロスチレン及びビニルトルエンが好ましい。ゴム改質剤は少なくとも1種のC4−C10非芳香族ジエン単量体、例えばブタジエン又はイソプレンの重合生成物とすることができる。ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、その全重量に基づいて、約98〜70重量%のポリ(アルケニル芳香族)樹脂と約2〜30重量%のゴム改質剤、好ましくは約88〜94重量%のポリ(アルケニル芳香族)樹脂と約6〜12重量%のゴム改質剤を含有する。
特に好ましいゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂として、約80〜94重量%のスチレンと約6〜20重量%のブタジエンを含有するスチレン−ブタジエンコポリマーが挙げられる。これらのスチレン−ブタジエンコポリマーは、耐衝撃性ポリスチレン(すなわちHIPS)としても知られ、例えばゼネラル・エレクトリック社からGEH1897にて、またChevron Chemical社からEB6755及びEC2100にて市販されている。HIPSとしてはEB6755が好ましい。ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂の粒径は好ましくは約2〜20μm、さらに好ましくは約4〜10μm、特に約4〜8ミクロンである。
ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、組成物の全重量の約20重量%以上、好ましくは約30重量%以上、さらに好ましくは約40重量%以上を占める。ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、組成物の全重量の約80重量%以下、好ましくは約70重量%以下、さらに好ましくは約60重量%以下を占める。
本組成物は1種以上の不飽和耐衝撃性改良剤を含有するのが好ましい。不飽和耐衝撃性改良剤が飽和耐衝撃性改良剤よりも好ましい理由は、不飽和耐衝撃性改良剤を含有する組成物から成形された物品の表面が、飽和耐衝撃性改良剤を含有する組成物から成形された物品より良質であるからである。不飽和耐衝撃性改良剤は、エチレン性不飽和構造単位、すなわちポリマー鎖内のエチレン性不飽和炭素−炭素結合を含有する単位(単量体単位)を約30重量%以上、好ましくは約60重量%以上含有する。このような単位は、大抵の場合、ブタジエンやイソプレンのようなジエンから誘導される。不飽和耐衝撃性改良剤としては、SBS KD1101(Shell Chemical社製)が好ましい。
上記耐衝撃性改良剤の種々の混合物が有用なこともある。耐衝撃性改良剤の量は、耐衝撃性改良剤を含まない同様の組成物と比較して、組成物の延性などの物性を向上するのに有効な量である。延性の向上は、衝撃強さの向上か破断点引張伸びの向上もしくは衝撃強さと破断点引張伸び両方の向上により表示できる。通常、不飽和耐衝撃性改良剤は、組成物の全重量の約2.0重量%以上、好ましくは約3.0重量%以上、さらに好ましくは約4.0重量%以上を占める。不飽和耐衝撃性改良剤は、組成物の全重量の約15.0重量%以下、好ましくは約12.0重量%以下、さらに好ましくは約10.0重量%以下を占める。
使用する耐衝撃性改良剤の正確な量及び種類又は組合せは、部分的に最終ブレンド組成物に必要とされる要件に依存し、当業者が適宜決定し得る。
本組成物は、適宜、カプセル封入フルオロポリマー、すなわちポリマーカプセルに封入されたフルオロポリマーも含有する。カプセル封入フルオロポリマーは、フルオロポリマーの存在下でポリマーを重合することにより製造できる。或いは、米国特許第5521230号及び同第4579906号に記載されているように、フルオロポリマーを第2のポリマー、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂又はスチレン−アクリロニトリル樹脂と適当に予備配合してもよい。カプセル封入フルオロポリマーを製造するのにいずれの方法を用いてもよい。
カプセル封入フルオロポリマー中のフルオロポリマーは、融点が約320℃以上のフルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレンを含有する。カプセル封入フルオロポリマーとしては、スチレン−アクリロニトリルコポリマーでカプセル封入されたポリテトラフルオロエチレン(すなわちTSAN)が好ましい。TSANは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性分散液の存在下でスチレンとアクリロニトリルを共重合することにより製造できる。TSANは、例えば、カプセル封入フルオロポリマーの全重量に基づいて、約50重量%のPTFEと約50重量%のスチレン−アクリロニトリルコポリマーとを含有し得る。スチレン−アクリロニトリルコポリマーは、例えば、コポリマーの全重量に基づいて約75重量%のスチレンと約25重量%のアクリロニトリルとを含有し得る。TSANはポリテトラフルオロエチレンと比べて有意な利点を有する。すなわちTSANはポリ(アリーレンエーテル)樹脂へ極めて容易に分散する。
カプセル封入フルオロポリマーは、存在する場合、組成物の全重量の約0.005重量%以上、好ましくは約0.05重量%以上、さらに好ましくは約0.1重量%以上を占める。カプセル封入フルオロポリマーは、存在する場合、組成物の全重量の約2.0重量%以下、好ましくは約1.0重量%以下、さらに好ましくは約0.7重量%以下を占める。
本組成物は、適宜、アルケニル芳香族単量体のホモポリマーを含有する。ここでアルケニル芳香族単量体は次式(II)で表される。
式中のR1は水素、低級アルキル又はハロゲンを示し、Z1はビニル、ハロゲン又は低級アルキルを示し、pは0〜5である。アルケニル芳香族単量体としては、スチレン、クロロスチレン及びビニルトルエンが好ましい。アルケニル芳香族単量体のホモポリマーとしては、スチレンから誘導されたホモポリマー(すなわちホモポリスチレン)が特に好ましい。ホモポリスチレンはその重量の約99%以上のスチレンを含有するのが好ましく、特にその重量の約100%のスチレンを含有するのが好ましい。
特に好ましいホモポリスチレンとしては、アタクチック及びシンジオタクチックなホモポリスチレンがある。ホモポリスチレンがアタクチックなポリスチレンであるのが好ましい。アタクチックなホモポリスチレンは、例えばChevron社からEB3300、BASF社からP1800にて市販されている。アルケニル芳香族単量体のホモポリマーは、存在する場合、組成物の全重量の約5.0重量%以上、好ましくは約6.0重量%以上、さらに好ましくは約8.0重量%以上を占める。アルケニル芳香族単量体のホモポリマーは、存在する場合、組成物の全重量の約40重量%以下、好ましくは約20重量%以下、さらに好ましくは約15重量%以下を占める。
本組成物に適宜配合し得るポリオレフィンは、一般構造Cn2nで表され、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンなどを含み、ホモポリマーとしてはポリエチレン、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)及びアイソタクチックポリプロピレンが好ましい。この一般構造のポリオレフィン樹脂及びその製造方法は当業界で周知であり、例えば米国特許第2933480号、第3093621号、第3211709号、第3646168号、第3790519号、第3884993号、第3894999号、第4059654号、第4166055号及び第4584334号に記載されている。
ポリオレフィンとしては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が特に好ましい。線状低密度ポリエチレンはよく知られた材料であり、例えばExxon社から登録商標ESCORENEにて、またDow Chemicals社から登録商標DOWLEXにて市販されている。或いは、米国特許第4128607号、第4354009号及び第4076698号及び欧州特許出願第4645号(1979年10月17日公開)に記載されている方法など、現在採用できる重合方法により簡単に製造できる。これらのポリマーは密度が約0.89〜0.96g/ml、好ましくは約0.915〜0.945g/mlである。線状低密度ポリエチレンポリマーは、エチレンと少量、代表的には約20モル%未満の、好ましくは約15モル%未満の、炭素原子数3〜18、好ましくは炭素原子数3〜10、特に好ましくは炭素原子数4〜8のα−オレフィンとのコポリマーである。存在する場合、ポリオレフィンは、組成物の全重量の約0.2重量%以上、好ましくは約0.4重量%以上、さらに好ましくは約0.6重量%以上を占める。ポリオレフィンは、組成物の全重量の約4.0重量%以下、好ましくは約3.0重量%以下、さらに好ましくは約2.0重量%以下を占める。
カーボンブラックも適宜本組成物に使用できる。市販のカーボンブラックは、熱可塑性樹脂の特性を変えるのに用いられるカーボンブラックである。このようなカーボンブラックは様々な商品名で市販されており、例えばSCF(Super Conductive Furnace)、ECF(Electric Conductive Furnace)、Ketjen Black EC(Akzo社から市販)、アセチレンブラック及びMonarch800(Cabot社)などがある。使用する場合、カーボンブラックは、組成物の全重量の約0.05重量%以上、好ましくは約0.1重量%以上、さらに好ましくは約0.25重量%以上を占める。カーボンブラックは、組成物の全重量の約4.0重量%以下、好ましくは約3.0重量%以下、さらに好ましくは約1.5重量%以下を占める。
本組成物には、酸化防止剤、難燃剤、滴下防止剤、染料、顔料、着色剤、安定剤、微粒子鉱物(クレー、マイカ、タルクなど)、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、これらの混合物などよりなる群から選ばれる添加剤1種以上を有効量含有させてもよい。これらの添加剤は、その有効添加量並びに配合方法ともども、当業界で周知である。酸化防止剤としてはUltranox626(GE Plastics社)が好ましい。添加剤の有効量は広い範囲に及ぶが、通常添加剤は組成物の全重量の約50重量%以下の量存在する。
組成物の調製は、諸成分を均質ブレンドの形成に適当な条件下で配合することにより達成できる。このような条件としては、代表的には、単軸又は二軸押出機、混合ボウル、ロール、ニーダー又は諸成分に剪断力を加えることのできる同様の混合機での溶液ブレンド又は溶融混合が挙げられる。二軸押出機は単軸押出機よりも強力な混合能力を有するので、多くの場合二軸押出機が好ましい。押出機の1個以上のガス抜き口を通してブレンドを減圧状態とすることができる。
ブレンドは、ポリマー成分が溶融相となるように十分に加熱するのが好ましく、これにより均質混合を可能にする。代表的には約360℃以下の温度を使用でき、約220〜350℃が好ましく、約260〜340℃が特に好ましい。
本組成物は、当業界で知られた種々の成形法、なかでも例えばブロー成形、圧縮成形、熱成形、射出成形などにより有用な物品に成形することができる。好ましい成形法はブロー成形である。普通のブロー成形法では、溶融したポリマー組成物のチューブを金型内に鉛直に押出す。次に加圧ガス、代表的には空気又は不活性ガス(例えば窒素)を流すことにより押出物を金型表面に押しつけ、こうして熱軟化ポリマーを形成する。ブロー成形には、押出ブロー成形、射出ブロー成形、延伸押出ブロー成形、延伸射出ブロー成形、異形ブロー成形、回転ブロー成形などがある。このような方法で形成可能な物品には、ボトル、自動車スポイラー、スノーボード、他の容器、床パッドなどがある。
ポリ(アリーレンエーテル)組成物の一つの重要な特徴は溶融強度にある。組成物の溶融強度は懸垂時間で評価することができる。図1に、押出チューブ1及びチューブダイを有する懸垂時間測定装置を示す。懸垂時間(ハングタイム)は、押出チューブが自重で初期固定長さ3から最終固定長さ4まで垂れ下がる時間として定義される。懸垂時間は、最終時間と初期時間との差(秒)である。試験は温度260℃で行う。図1に示すデータの場合、押出チューブの直径が約2.5cmで、チューブの肉厚が約0.1cmであった。初期固定長さ3は30cmで、最終固定長さ4は75cmであった。組成物の懸垂時間は好ましくは約3秒以上、さらに好ましくは約4秒以上、さらに一段と好ましくは約5秒以上である。懸垂時間は好ましくは約90秒以下、さらに好ましくは約60秒以下、さらに一段と好ましくは約40秒以下である。
サンダー加工性はブロー成形部品にとって重要であるが、かかる部品が実質的なサンディングを必要としないのが好ましい。サンディングの必要量を低減するかなくすのに重要な要因はブロー成形部品の表面性である。ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂と耐衝撃性改良剤がポリ(アリーレンエーテル)組成物の表面性を左右することを見いだした。ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂に関しては、粒径がブロー成形部品の表面性とサンダー加工性に影響する。具体的には、ゴム改質(アルケニル芳香族)樹脂の粒径が2μm未満であると、ブロー成形部品の表面性が劣化し、サンディングが必要となる。これに対して、ゴム改質(アルケニル芳香族)樹脂の粒径が約2〜約20μmであると、成形部品の表面性が著しく改良され、サンディングの必要量が少なくなる。耐衝撃性改良剤に関しては、成形部品に適切な表面を付与するのに不飽和耐衝撃性改良剤が必要である。特に、水添又は飽和耐衝撃性改良剤を用いると、表面欠陥のあるブロー成形部品となるおそれがある。
耐衝撃性改良剤の表面性への影響を調べるために、飽和耐衝撃性改良剤であるKraton G1651と不飽和耐衝撃性改良剤であるKraton D1101のいずれかを用いて組成物を形成した。0.125インチx0.5インチの引張試験バーを作成した。ブロー成形条件をまねた熱老化試験を行った。すなわち、成形バーをオーブンで127℃=460°F(すなわちほぼブロー成形温度)に加熱し、試験片を同温度に5分間保持した。試験バーを室温まで冷却し、断面を調べた。図2に示すように、飽和耐衝撃性改良剤を含有するサンプルでは断面に多数のボイドが現れた。表面に近いボイドは表面に露出するほど大きく、「ピット」の外観を呈した。これに対して、不飽和耐衝撃性改良剤を含有するサンプルでは断面にボイドが実質的に認められなかった(図3)。理論に縛られるわけではないが、飽和ゴムの熱分解でボイドが発生すると考えられる。不飽和ゴムを用いることにより、「ピット」の形成をほぼ回避でき、かくして一層滑らかで、良好な表面性が得られる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1〜7
表1に示す成分を用いて表2に示す量にて組成物を混合した。
表2に示す添加剤は、線状低密度ポリエチレン(Petrothene、Equistar Chemical社製)、酸化防止剤(Ultranox626、GE Plastics社製)及びカーボンブラック(Monarch800、Cabot社製)である。
これらの成分を表2に示す重量割合で混合し、温度260〜340℃で押出した。
曲げ弾性率及び曲げ降伏強さはASTM D790に準じて測定した。加熱変形温度(HDT)はASTM D648に準じて246psi及び66psiで測定した。引張降伏強さ及び伸び(%)はASTM D638に準じて測定した。ノッチ付きアイゾッド衝撃強さはASTM D256に準じて成形衝撃試験片(厚さ3.2mm)につき23℃及び−30℃で測定した。結果を表2に示す。
表2のデータからわかるように、固有粘度0.33dl/gのポリ(アリーレンエーテル)及び順次増加する量のTSANを含有する組成物は、懸垂時間が、固有粘度0.46dl/gのポリ(アリーレンエーテル)を含有し、TSANを含有しない組成物と同等であるか長い。固有粘度0.33dl/gのポリ(アリーレンエーテル)及びTSANを含有する組成物の懸垂時間は、TSANを含有しない同様の組成物の懸垂時間より2倍から30倍以上長い。さらに、固有粘度0.33dl/gのポリ(アリーレンエーテル)及びTSANを含有する組成物は、TSANを含有しない同様の組成物よりサンダー加工性に優れる。溶融強度とサンダー加工性との釣り合いが良いので、これらの組成物はブロー成形用途に特に有用である。
カプセル封入フルオロポリマーを使用することで、フルオロポリマーを組成物中に一層均一に分散させることができる。非カプセル封入ポリテトラフルオロエチレンから形成した組成物は、ポリテトラフルオロエチレンのポリ(アリーレンエーテル)への分散性が悪いため、特性のばらつきが大きい。カプセル封入フルオロポリマーで実現される高度分散の結果として、ほぼ均一な特性の組成物が得られる。
組成物のもう一つの特徴として組成物のサンダー加工性、すなわち組成物のサンディングのし易さがある。サンダー加工性は、研削砥石を成形ディスク上で1000回転した後の摩耗量(減量)として測定することができる。組成物のサンダー加工性は約50〜80mg、特に約65〜75mgであるのが好ましい。組成物のサンダー加工性は、表2に摩耗試験での減量(mg)として示す。表2に示すように、懸垂時間の短い比較例1と比べて、本発明の組成物2、3及び6はサンダー加工性及び懸垂時間両方を維持している。さらに、ポリ(アリーレンエーテル)組成物のサンダー加工性とポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度とは相関している。具体的には、ブロー成形用途に受け入れられるサンダー加工性を有するサンプルを得るには、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度が0.30dl/g〜0.46dl/g程度でなければならない。
以上、ブロー成形に適当なポリ(アリーレンエーテル)組成物を説明した。本組成物は、押出チューブの懸垂時間として測定される溶融強度を呈し、そのためブロー成形に特に有用である。直径約25cm、肉厚約0.1cmの押出チューブが長さ30cmから長さ75cmまで垂れ下がる懸垂時間は約4秒〜約90秒であるのが好ましい。組成物の表面性がサンディングのような成形後処理を必要としないものであるのが好ましい。サンディングを行う場合、組成物のサンダー加工性が、研削砥石を成形ディスク上で1000回転した後の減量として測定して約65〜75mgであるのが好ましい。溶融強度と適切な表面外観又はサンダー加工性とが相まって、ポリ(アリーレンエーテル)組成物はブロー成形に特に有用である。
本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱することなく、種々の変更を加えたり、その構成要素を均等物に置き換えたりできることが、当業者には明らかである。さらに、本発明の要旨から逸脱することなく、特定の状況や材料を本発明の教示に適合させるべく種々の改変を加えることができる。したがって、本発明は発明を実施するための最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲内に入るあらゆる実施形態を包含する。
本明細書で引用した特許、特許出願、その他の刊行物はすべて本発明の先行技術として援用する。
溶融強度を測定する方法を示す線図である。 飽和耐衝撃性改良剤を含有する組成物の熱老化した引張試験片の断面を示す図である。 不飽和耐衝撃性改良剤を含有する組成物の熱老化した引張試験片の断面を示す図である。

Claims (34)

  1. 組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、
    約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、
    約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂、及び
    約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤
    を含んでなるブロー成形用組成物。
  2. 前記ポリ(アリーレンエーテル)が、クロロホルム中25℃で測定して約0.30〜0.46dl/gの固有粘度を有する、請求項1記載の組成物。
  3. 前記ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項1記載の組成物。
  4. 前記ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が約2〜約20μmの粒径を有する、請求項1記載の組成物。
  5. さらに、カプセル封入フルオロポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
  6. 前記カプセル封入フルオロポリマーがスチレン−アクリロニトリルでカプセル封入されたポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項5記載の組成物。
  7. さらに、組成物の全重量の約5〜40重量%のホモポリスチレンを含む、請求項1記載の組成物。
  8. さらに、ポリオレフィンを含む、請求項1記載の組成物。
  9. 前記不飽和耐衝撃性改良剤が、該耐衝撃性改良剤の全重量を基準にして約30重量%超のエチレン性不飽和構造単位を含む、請求項1記載の組成物。
  10. さらに、カーボンブラックを含む、請求項1記載の組成物。
  11. 当該組成物の直径約25cm、肉厚約0.1cmの押出チューブが長さ30cmから75cmまで垂れ下がる懸垂時間が約4〜90秒である、請求項1記載の組成物。
  12. 組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、
    約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、
    約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂、
    約0.005〜2重量%のカプセル封入フルオロポリマー、及び
    約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤
    を含んでなるブロー成形用組成物。
  13. 当該組成物の直径約25cm、肉厚約0.1cmの押出チューブが長さ30cmから75cmまで垂れ下がる懸垂時間が約4〜90秒である、請求項12記載の組成物。
  14. 前記懸垂時間が約5〜30秒である、請求項13記載の組成物。
  15. 前記カプセル封入フルオロポリマーがスチレン−アクリロニトリルコポリマーでカプセル封入されたポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項12記載の組成物。
  16. さらに、ポリオレフィンを含む、請求項12記載の組成物。
  17. 前記ポリ(アリーレンエーテル)が、クロロホルム中25℃で測定して約0.30〜0.46dl/gの固有粘度を有する、請求項12記載の組成物。
  18. 前記ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項12記載の組成物。
  19. 前記ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が約2〜約20μmの粒径を有する、請求項12記載の組成物。
  20. さらに、組成物の全重量の約5〜40重量%のホモポリスチレンを含む、請求項12記載の組成物。
  21. 前記不飽和耐衝撃性改良剤が、該耐衝撃性改良剤の全重量を基準にして約30重量%超のエチレン性不飽和構造単位を含む、請求項12記載の組成物。
  22. 物品の成形方法であって、
    組成物の全重量を基準とした重量百分率で表示して、約20〜80重量%のポリ(アリーレンエーテル)樹脂、約80〜20重量%のゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂及び約2〜15重量%の不飽和耐衝撃性改良剤を含んでなる組成物を溶融押出し、
    押出組成物をブロー成形して物品とする
    ことを含んでなる方法。
  23. 前記ポリ(アリーレンエーテル)が、クロロホルム中25℃で測定して約0.30〜0.46dl/gの固有粘度を有する、請求項22記載の方法。
  24. 前記ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項22記載の方法。
  25. 前記ゴム改質ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が約2〜約20μmの粒径を有する、請求項24記載の方法。
  26. 前記組成物がさらにカプセル封入フルオロポリマーを含む、請求項22記載の方法。
  27. 前記カプセル封入フルオロポリマーがスチレン−アクリロニトリルコポリマーでカプセル封入されたポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項26記載の方法。
  28. 前記組成物がさらに、組成物の全重量の約2〜40重量%のホモポリスチレンを含む、請求項22記載の方法。
  29. 前記組成物がさらにポリオレフィンを含む、請求項22記載の方法。
  30. 前記不飽和耐衝撃性改良剤が、該耐衝撃性改良剤の全重量を基準にして約30重量%超のエチレン性不飽和構造単位を含む、請求項22記載の方法。
  31. 前記組成物がさらにカーボンブラックを含む、請求項22記載の方法。
  32. 当該組成物の直径約25cm、肉厚約0.1cmの押出チューブが長さ30cmから約75cmまで垂れ下がる懸垂時間が約4〜90秒である、請求項22記載の方法。
  33. 前記懸垂時間が約5〜30秒である、請求項32記載の方法。
  34. 請求項22記載の方法で成形した物品。
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