JP2004231650A - 肥満細胞刺激因子含有組成物およびそれを除去する血液浄化器 - Google Patents

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Abstract

【課題】肥満細胞を刺激してヒスタミン遊離を促す、「肥満細胞刺激因子含有組成物」を得る。
【解決手段】血漿あるいは血清から、ゲル濾過により分離したアルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分からなる肥満細胞刺激因子含有組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、肥満細胞のヒスタミン遊離を促す肥満細胞刺激因子含有組成物および肥満細胞刺激因子を低減できる血液浄化器に関するものである。
血液透析の合併症としての皮膚病変は多彩であり、発生頻度も高い。中でも痒みは約40%の患者にみられ全身性かつ持続性で、有効な治療法も少ないため最も苦痛な症状の一つである。痒みの原因としては諸説あるが、因果関係の明らかなものは多くはない。
段野ら(L.E.Imazu, T.Tachibana, K.Danno et. al.:Arch. Dermatol Res. 1993;285, 423-427)は痒みを訴える透析患者の血清に、肥満細胞からのヒスタミン遊離を促す作用が有ることを報告している。しかし詳細な検討はなされていない。
一方、いくつかの臨床現場で痒みを有する透析患者の使用人工腎臓を特定のものに変更すると痒みが軽減したという報告があるが、その機序は明らかではない。
L.E.Imazu, T.Tachibana, K.Danno et. al.:Arch. Dermatol Res. 1993;P.285, P.423-427
本発明の目的はこれら二つの現象を結びつけて、痒みのある透析患者血中に肥満細胞刺激因子が存在していることを想定し、肥満細胞刺激因子の含有率の高い組成物を提供すること、および、肥満細胞刺激因子を低減する血液浄化器を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、次の構成を有する。
(1) 血漿あるいは血清からゲル濾過により分離した、アルブミンよりも大きく、免疫グロブリンM(以下、IgM)よりも小さい分子量領域の成分からなる肥満細胞刺激因子含有組成物。
(2) 該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分から、さらに免疫グロブリンG(以下、IgG)を除去することにより得られる(1)記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
(3) 該肥満細胞刺激因子によりヒスタミンを遊離させる(1)または(2)記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
(4) 血漿あるいは血清を最大分子量分画が200kDa以上、1500kDa以下であるゲルでゲル濾過することにより得られたIgGの含まれる分子量領域から、プロテインAあるいはプロテインGカラムによる分画で素通り画分に得ることのできる肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離させる(2)又は(3)記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
(5) 該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分から、さらに免疫グロブリンを除去することにより得られる(2)〜(4)のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
(6) (4)に記載の肥満細胞刺激因子含有組成物から、さらにプロテインLカラムによる分画で素通り画分に得ることのできる肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離させる肥満細胞刺激因子含有組成物。
(7) 該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分からさらに免疫グロブリンを除去した成分のうち、レクチンに吸着する性質を有する成分を濃縮してなる(2)〜(4)のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
(8) (7)において、該レクチンがコンカナバリンAであり、コンカナバリンAに吸着する画分として得ることのできる肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離させる肥満細胞刺激因子含有組成物。
(9) 中空糸膜束を内蔵した血液浄化器であり、(1)〜(8)のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物の少なくとも一部を血液から除去する血液浄化器。
(10) 該血液浄化器が人工腎臓である(9)記載の血液浄化器。
(11) 膜素材の少なくとも一部が陰性荷電を帯びている(9)又は(10)記載の血液浄化器。
(12) ポリメチルメタクリレートを構成成分として含む(9)〜(11)のいずれかに記載の血液浄化器。
(13) (12)に記載の血液浄化器の構成膜の一部を取り出して作成した試験管サイズの浄化器に、(1)〜(8)のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物含有溶液を循環したとき、中空糸膜除去率が15%以上である血液浄化器。
(14) 該中空糸膜除去率が30%以上である(13)記載の血液浄化器。
(15) 該中空糸膜除去率が60%以上である(13)記載の血液浄化器。
本方法により肥満細胞を刺激してヒスタミン遊離を促す、「肥満細胞刺激因子含有組成物」を得ることができる。
また、本発明の肥満細胞刺激因子含有組成物を除去する血液浄化器を人工腎臓として使用することによって、透析患者の有する痒みを軽減することを期待できる。
該肥満細胞刺激因子含有組成物を特異的に吸着する吸着剤によって掻痒症の治療が行える可能性がある。
該肥満細胞刺激因子含有組成物の作用を血液中でブロックする薬剤の開発につなげ、掻痒症の治療薬に使える可能性がある。また、血液中の該肥満細胞刺激因子含有組成物の濃度を測定し、掻痒症の診断薬として使用することが期待できる。
本発明に於いては、肥満細胞刺激因子含有組成物を得るための分子量分画方法として、ゲル濾過を用いるが、ゲルとしては、一般に用いられるゲル濾過用のゲルのうち分子量分画範囲が少なくとも10〜200kDaのものが好ましく用いられ、その条件を満たした上で、更に最大分子量分画が200kDa以上、1500kDa以下であるゲルが好ましい。ここで言うゲル濾過(gel filtration)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)、分子ふるいクロマトグラフィー(gel chromatography)と同義語である。またこの分子量は、アマシャムバイオサイエンス社のカタログ値である。具体的には、アマシャムバイオサイエンス製のSuperdex 200pg, Superose 6pg, Sephacryl S-200HRなどを用いてゲル濾過する方法が好ましく用いられ、特に好ましくはSephacryl S-200HRを用いることがよい。
ゲルを用いて、該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分を分離する方法としては、まず、血漿(血液中から血球を取り除いた部分、通常は血液凝固阻止剤を加え遠心することにより血球が沈殿するのでその上清として得られる)あるいは血清(血液から血球とフィブリノゲン、第V因子、第VIII因子などの血液凝固因子を取り除いたもの)をリン酸ナトリウム緩衝液、トリス(2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3-propanediol)塩酸緩衝液、ヘペス (N-2-Hydroxyethylpiperazine-N'-2-ethanesulfonic Acid、以下HEPESという)緩衝液などの溶液を用いて上記のゲルによりゲル濾過する。同時に280nmの吸光度を測定してIgMよりも後でアルブミンよりも先に得られる物質を採取する。ここで、アルブミンは、平均分子量は約68キロダルトン(kDa)であり、IgMは、平均分子量は約920kDaである。
このゲル濾過方法では、一部アルブミン以下の物質が不純物として混入するが、肥満細胞を刺激する成分が得られる。さらにこの画分中最も多く含まれる成分であるIgGを除去することにより、肥満細胞刺激因子の含有率の高い肥満細胞刺激因子含有組成物とすることができる。ここで、本発明におけるIgGはプロテインGカラムに吸着する物質を指す。IgGを除去する方法としては、一般に用いられる抗体精製用担体を使う。具体的にはアマシャムバイオサイエンス製のProtein A Sepharose4FF, Protein G Sepharose4FFなどを用いてアフィニティーのない画分(素通り画分)を採取することにより肥満細胞刺激画分が得られる。
ゲル濾過によって得た肥満細胞刺激画分あるいはゲル濾過に続きIgGを除去した画分から、免疫グロブリンを除去することにより、さらに肥満細胞刺激因子の含有率の高い肥満細胞刺激因子含有組成物とすることができる。ここで、本発明における免疫グロブリンはプロテインLに吸着する物質を指す。免疫グロブリンを除去する方法としては、一般に用いられるプロテインL固定化担体を使う。具体的にはピアス製のImmunoPure Immobilised ProteinL、ImmunoPure Immobilised ProteinL Plusなどを用いてアフィニティーのない画分(素通り画分)を採取することにより肥満細胞刺激画分が得られる。
さらに上記免疫グロブリンを除去した画分から糖を有する成分を集めることにより、より肥満細胞刺激因子の含有率の高い肥満細胞刺激因子含有組成物とすることができる。ここで、本発明における糖を有する成分とはレクチンに吸着する物質を指し、具体的にはコンカナバリンAに吸着する成分を指す。
本発明における肥満細胞刺激因子とは肥満細胞を刺激して脱顆粒を誘発する作用を有する物質のことであり、その刺激の程度は肥満細胞に被評価サンプルを混合し、一定時間インキュベートしたときに、細胞から遊離されたヒスタミンの比率の高低よって判断することができる。本発明における肥満細胞とは生体内に存在する組織型肥満細胞と粘膜型肥満細胞に加え、試験管内で増殖するリンパ球由来細胞株や癌化肥満細胞株なども含まれる。ヒスタミンの検出方法は一般的な蛍光定量法であるオルト−フタルアルデヒド液を用いる方法に加え、イライザに代表される免疫測定法を用いることができる。
本発明に於いて、膜を内蔵したモジュールにより、肥満細胞刺激因子含有組成物の少なくとも一部を血液から除去する血液浄化器とすることができる。
本発明における膜としては、濾過、吸着等により肥満細胞刺激因子含有組成物を除去する構造を有するものが用いられる。膜素材としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルローストリアセテート等が用いられるが、中でも、肥満細胞刺激因子は、分子量が大きい状態で、血液中に存在し、濾過等による除去は比較的難しいことから、肥満細胞刺激因子組成物を吸着できる特性を有する素材からなることが好ましい。吸着する特性を有する素材としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)、ポリアクリロニトリル(以下、PANという)等が好ましい素材として挙げられる。特に、陰性荷電を有しているものが好ましく、陰性荷電を有するものとしては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、硫酸エステル基、亜硫酸基、次亜硫酸基、スルフィド基、フェノール基、ヒドロキシシリル基等の置換基を有する素材からなる膜が挙げられる。陰性荷電量としては、300μeq/g以下程度のものが、肥満細胞刺激因子組成物をよりよく除去する点で好ましい。
また、濾過性能を有する膜構造としては、特に限定しないが、膜の厚み方向に対してほぼ均一な対称膜が好ましい。これは、対称膜であるほど、内表面の孔径を大きくし、この大分子量物質を除去しやすい構造にしてもアルブミンの漏出を抑えやすいからである。
本発明の肥満細胞刺激因子含有組成物の除去のための血液浄化器を人工腎臓として用いる場合、より大分子を除去する点から、アルブミンの透過率が1%以上である膜を用いることが好ましい。さらには5%以上であることが好ましい。ただし、人工腎臓として用いる場合はアルブミンの漏出を最小限におさえる必要があり、アルブミン透過率は30%未満であることが好ましい。ここでのアルブミン透過率とは、1%の牛血清アルブミンフラクションV燐酸緩衝溶液を血液側溶液として用い、血液側入口流量200ml/min、濾過流量を15ml/min/m2で流した時の15分後の入口濃度に対する濾液の濃度である。
膜の形態としては、繊維状膜、平膜等が用いられるが、血液と接触する表面積が大きいものが好ましいことから、繊維状膜、中でも中空糸膜が特に好ましく用いられる。中空糸膜の膜厚は20〜40μm、内径は150〜300μmであることが好ましい。
肥満細胞刺激因子含有組成物の除去は変化率、除去率を用いて評価する。具体的には、被評価中空糸膜を用いて作成した試験管サイズの膜モジュール内に肥満細胞刺激因子含有組成物を循環して、循環前後の細胞刺激度の変化を測定することによって評価することができる。被評価中空糸膜は12cmの長さのものを96本並列したものを用いる。肥満細胞刺激因子含有組成物はヒト血清または血漿1mlを原料として分画して得たものを使用し、0.5ml/minの流速で、37℃、4時間濾過をかけずに循環する。循環液の液量はモジュール内部および回路内を満たすことができれば規定されることはないが、細胞評価の際に細胞と混和させたときに、循環前のヒスタミン遊離率が30%以上であり、かつブランクのヒスタミン遊離率が10%以下であった場合に評価が成立するものとする。
変化率は、循環前のサンプルの細胞刺激度(ヒスタミン遊離率)を100%とし、ブランクの細胞刺激度を0%としたときのそれぞれの変化率である。除去率は、(100−変化率)で算出し、中空糸膜除去率は(除去率−回路のみで循環したときの除去率)で算出した。測定は、4時間循環後に行う。中空糸膜除去率は15%以上であることが必要であり、好ましくは30%以上、さらに好ましくは60%以上である。
以下に中空糸膜の作成例を説明する。
中空糸は、内側に中空部分を形成させるための液体もしくは気体を、外側に重合体を溶媒に溶かした紡糸原液を流すことができる多重スリットを用い、これらの液体、気体を凝固浴に吐出する事により得られる。内側に注入される液体としては、たとえば、該紡糸原液の溶媒、水やアルコールなどの凝固剤、これらの混合物、あるいは該重合体やそれとの混合物の非溶媒であるような疎水性の液体、たとえば、n−オクタン、流動パラフィンなどの脂肪族炭化水素、ミリスチン酸イソプロピルの様な脂肪酸エステルなども使用できる。親水性の凝固剤を使用した場合には凝固剤に親和性の高い親水性ポリマ成分が膜内表面に移動し、凝固する。また、吐出糸条が空中での温度変化によってゲル化したり、凝固によって速やかに強固な構造を形成する場合には、自己吸引や圧入によって、窒素ガスや空気などの不活性気体を用いることができる。このような気体注入法は工程上からも非常に有利な方法である。温度変化によってゲル化をおこすような原液系の場合には、乾式部分において冷風を吹き付け、ゲル化を促進させることができる。中空糸の膜厚は紡糸原液の吐出量により、内径は注入液体もしくは気体の量によりコントロールする方法が一般的である。
凝固浴は通常、水やアルコールなどの凝固剤、または紡糸原液を構成している溶媒との混合物からなる。通常は水を用いることができる。
ポリスルホンを用い、凝固性の液体を内側に注入して中空糸を形成させる場合は短時間で内表面が形成されるため、内表面を平滑にするためにはさらに多重スリットにおいて重合体が吐出される径の大きさと中空糸の径の大きさを同じにし、かつ、内側に水などの凝固性の高い液を多く加える事が好ましい。
得られた中空糸を用いて血液浄化器とする手段は特に限定されないが、一例を示すと次の通りである。
まず、中空糸を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、血液浄化器用モジュールの筒部分となるプラスチックケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空糸両端部に樹脂を入れる。このとき遠心機でモジュールを回転させながらキャップもしくは、人工腎臓であれば透析液用のポートから樹脂を入れる方法は樹脂が均一に充填されるために好ましい方法である。樹脂が固化した後両端を切断し、中空糸が樹脂で閉塞している部分をカッターで取り除き、ヘッダーと呼ばれる血液入り口、出口ポートを取り付けて血液浄化モジュールを得る。
人工腎臓の他、肥満細胞刺激因子を吸着除去できるカラムを作成し、治療に用いる事も好ましい形態であり、ポリメチルメタクリレートやポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリスチレンジビニルベンゼンなどから作成した多孔性の粒子もしくは繊維を容器に充填して体外循環用カラムとして用いることができる。この時にも陰性荷電を帯びていることは好ましい形態である。
(実施例1)
以下の方法で肥満細胞刺激因子含有組成物を得た。
通常の血液透析を受けている慢性透析患者のうち強い痒みを有する患者から透析前血液を採取し、4℃、3000回転で15分遠心分離することにより血漿を得た。
次いで血漿1mlをHiPrep 16/60 Sephacryl S-200HRカラム(アマシャムバイオサイエンス製)でHEPES 溶液(137mM NaCl, 4mM KCl, 40mM ヘペス, 2mM MgCl2, 3.6mM CaCl2, pH7.3)を溶出液として1ml/minの溶出速度、フラクションサイズ2ml/Fractionで分画・分取した。得られたフラクションについて、分光光度計(U-2000型、日立製)を用い280nmの吸光度を測定すると主に3つの大きなピークが得られた。
各フラクションを限外濾過膜(Ultrafree4, MWCO5kDa, MILLIPORE製)で10倍に遠心濃縮(200ul/Fraction)した。
各々の肥満細胞刺激の程度をヒスタミン遊離を測定する一般に用いられる方法で測定した。測定方法は次の通りである。
(1) 頸動脈切断により放血したアルビノラット(SD系統、12週齢、オス)腹腔に緩衝液(137mM NaCl, 4mM KCl, 40mM ヘペス, 1mg/mlグルコース, 1mg/mlウシ血清アルブミン, pH7.3)を注入し腹部をマッサージした後、腹水液を採取する。
(2) 200g、3分間遠心分離し、沈殿した細胞を1mlの緩衝液に縣濁する。
(3) パーコール(シグマアルドリッチ製、P4937)80%溶液に(2)を重層し、350g、15分間遠心分離し、沈殿した細胞を肥満細胞リッチ分画として採取する。
(4) 得られた肥満細胞リッチ分画中に含まれる細胞の数を血球計算板にて数え、細胞数2×105個/mlになるように細胞懸濁液を調製する。
(5) 10倍濃縮フラクションと細胞懸濁液を等量(0.2mlずつ)混和し、37℃水浴中で15分間インキュベートする。
(6) 氷冷した緩衝液0.6mlを加え、反応停止した後、200g、4℃、3分間遠心分離し、細胞と上清に分ける。
(7) 細胞中に残ったヒスタミン量と上清に放出(遊離)されたヒスタミン量を蛍光法(Hakanson R. et. al.:Anal. Biochem. 1972;47, 356-370)にて測定する。
(8) 肥満細胞刺激の程度をヒスタミン遊離率として求める。
ヒスタミン遊離率(%)=(上清のヒスタミン量/上清のヒスタミン量と細胞中に残ったヒスタミン量の合計)×100
痒みの強い透析患者血漿のゲル濾過パターンと各フラクションの肥満細胞刺激度を図1に示す。
HiPrep 16/60 Sephacryl S-200HRカラムで分子量既知の標準タンパクを同様に分離したときのパターンを図2に示す。標準タンパクの溶出時間から、血漿を分画して得た3つのピークのうち、第2のピーク(フラクションNo.22〜26)はIgG主体であり、第3のピークはアルブミン主体であることがわかる。痒みの強い透析患者血中のIgG近傍の分子量領域には肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離する物質が含まれていることがわかった。第1のピークやアルブミン領域の成分による刺激は低かった。従ってフラクションNo.22〜26を肥満細胞刺激因子含有組成物とした。
(実施例2)
実施例1の方法で得られた肥満細胞刺激因子含有組成物(フラクションNo.22〜26)を混合しHiTrap Protein G, 5ml(アマシャムバイオサイエンス製)でIgGを除去した。カラム条件は、結合バッファーをHEPES溶液、溶出バッファーを0.1Mグリシン塩酸緩衝液, pH2.7、流速1ml/minとし,280nmの吸光度で検出した。カラムにアフィニティーのない素通り画分と、吸着画分(溶出画分)とに分け(吸着画分はHiTrap Desalting(アマシャムバイオサイエンス製)で溶出バッファーをHEPES溶液に交換した後)、各々を遠心濃縮し、実施例1と同様の方法で肥満細胞刺激を測定した。分画パターンとヒスタミン遊離率測定結果を図3に示した。IgG主体である吸着画分には肥満細胞刺激はなく、素通り画分に肥満細胞刺激が確認された。
(実施例3)
重量平均分子量60万のシンジオタクチックポリメチルメタクリレート(syn−PMMA)63.4重量部と、重量平均分子量が50万のアイソタクチックポリメチルメタクリレート(iso−PMMA)16.7重量部、パラスチレンスルホン酸ソーダを0.3mol%含む分子量30万のポリメチルメタクリレート20重量部をジメチルスルホキシド376重量部と混合し、110℃で8時間撹拌し紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液の110℃での粘度は1600poiseであった。得られた紡糸原液を99℃に保温された外径/内径=2.1/1.95mmφの環状スリット型中空口金から、1.1g/minの割合で、空気中に吐出した。同時に中空内部には窒素ガスを注入した。凝固浴には40℃の水を用いた。該中空糸の内径/膜厚は200/30μmであった。
実施例2の方法で得られた肥満細胞刺激因子含有組成物含有溶液を限外濾過によって濃縮した溶液各2ml(分画前血漿量1ml相当)をサンプルとして、上記記載の中空糸および既存の人工腎臓中空糸で作った試験管サイズのモジュール(糸長12cm, 96本)内に4時間循環し、循環前後の肥満細胞刺激の程度の変化を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2004231650
表1中のサンプル未添加というのは、ブランクであり、細胞のみで全く肥満細胞刺激成分の添加が無かった場合と言う意味である。
肥満細胞刺激因子含有組成物の中空糸膜除去率は、荷電性のPMMAを用いた膜で85%であった。
(実施例4)
実施例2の方法で得られたHiTrap Protein Gに吸着性のない素通り画分濃縮物から、プロテインL固定化ゲル(ImmunoPure Immobilised ProteinL、ピアス製)2mlをカラム(ピアス製、No.29920)に詰めたオープンカラムを使って、IgG以外の免疫グロブリンも除去した。先ず、カラムにサンプルを載せ、結合バッファー(HEPES溶液)を静水圧で流し、280nmの吸収物質の溶出が無くなったのを確認して、溶出バッファー(0.1Mグリシン塩酸緩衝液、pH2.7)に交換した。分離した溶出液は、カラムにアフィニティーのない素通り画分と、吸着画分(溶出画分)とにまとめてわけて混合し(吸着画分はHiTrap Desalting(アマシャムバイオサイエンス製)で溶出バッファーをHEPES溶液に交換した後)、各々を遠心濃縮し、実施例1の方法で肥満細胞刺激を測定した。分画パターンとヒスタミン遊離率測定結果を図4に示した。免疫グロブリン主体である吸着画分には肥満細胞刺激はなく、素通り画分に肥満細胞刺激が確認された。(プロテインLは全てのイムノグロブリンクラスに吸着能を示すが、ここで得た吸着画分には分子量的にIgMは入っておらず、また予めプロテインGでIgGが除去されているために、主としてIgE、免疫グロブリンA、免疫グロブリンDが吸着除去されたことになる。)
(実施例5)
実施例4の方法で得られたプロテインLに吸着性のない素通り画分濃縮物を、2mlのコンカナバリンA固定化ゲル(ConA Sepharose、アマシャムバイオサイエンス製)を充填したカラム(ピアス製、No.29920)。
を使って分画した。先ず、カラムにサンプルを載せ、6mlの結合バッファー(HEPES溶液)を静水圧で流し、素通り画分とした。次に溶出バッファー(0.4MメチルαDマンノピラノシド/HEPES溶液)に交換し、6mlを静水圧で流し吸着画分とした。吸着画分はHiTrap Desalting(アマシャムバイオサイエンス製)で溶出バッファーをHEPES溶液に交換した後、各々を遠心濃縮し、実施例1の方法で肥満細胞刺激を測定した。ヒスタミン遊離率測定結果を表2に示した。
Figure 2004231650
素通り画分には肥満細胞刺激はなく、吸着画分に肥満細胞刺激が確認された。
実施例1の痒みの強い透析患者血漿1mlをHiPrep 16/60 Sephacryl S-200HRカラムでゲル濾過したときの溶出パターン(上段)と、各フラクション(2ml/Fraction)濃縮液の肥満細胞刺激度(ヒスタミン遊離率測定結果)(下段)を示す。 分子量既知の標準タンパクをゲル濾過したときの溶出パターンを示す。 実施例2でフラクションNo.22〜26混合物を分離したときの分画パターン(上段)とヒスタミン遊離率測定結果(下段)を示す。 実施例4のプロテインL固定化ゲル(ImmunoPure Immobilised ProteinL、ピアス製)2mlカラムを使って、HiTrap Protein Gにアフニティーのない素通り画分濃縮物を分離したときの分画パターン(上段)とヒスタミン遊離率測定結果(下段)を示す。

Claims (15)

  1. 血漿あるいは血清からゲル濾過により分離した、アルブミンよりも大きく、免疫グロブリンM(以下、IgM)よりも小さい分子量領域の成分からなる肥満細胞刺激因子含有組成物。
  2. 該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分から、さらに免疫グロブリンG(以下、IgG)を除去することにより得られる請求項1記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
  3. 該肥満細胞刺激因子によりヒスタミンを遊離させる請求項1または2記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
  4. 血漿あるいは血清を最大分子量分画が200kDa以上、1500kDa以下であるゲルでゲル濾過することにより得られたIgGの含まれる分子量領域から、プロテインAあるいはプロテインGカラムによる分画で素通り画分に得ることのできる肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離させる請求項2又は3記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
  5. 該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分から、さらに免疫グロブリンを除去することにより得られる請求項2〜4のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
  6. 請求項4に記載の肥満細胞刺激因子含有組成物から、さらにプロテインLカラムによる分画で素通り画分に得ることのできる肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離させる肥満細胞刺激因子含有組成物。
  7. 該アルブミンよりも大きく、IgMよりも小さい分子量領域の成分からさらに免疫グロブリンを除去した成分のうち、レクチンに吸着する性質を有する成分を濃縮してなる請求項2〜4のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物。
  8. 請求項7において、該レクチンがコンカナバリンAであり、コンカナバリンAに吸着する画分として得ることのできる肥満細胞を刺激してヒスタミンを遊離させる肥満細胞刺激因子含有組成物。
  9. 中空糸膜束を内蔵した血液浄化器であり、請求項1〜8のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物の少なくとも一部を血液から除去する血液浄化器。
  10. 該血液浄化器が人工腎臓である請求項9記載の血液浄化器。
  11. 膜素材の少なくとも一部が陰性荷電を帯びている請求項9又は10記載の血液浄化器。
  12. ポリメチルメタクリレートを構成成分として含む請求項9〜11のいずれかに記載の血液浄化器。
  13. 請求項12に記載の血液浄化器の構成膜の一部を取り出して作成した試験管サイズの浄化器に、請求項1〜8のいずれかに記載の肥満細胞刺激因子含有組成物含有溶液を循環したとき、中空糸膜除去率が15%以上である血液浄化器。
  14. 該中空糸膜除去率が30%以上である請求項13記載の血液浄化器。
  15. 該中空糸膜除去率が60%以上である請求項13記載の血液浄化器。
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