JP2004331501A - 新規化合物またはその誘導体を含有する抗炎症剤 - Google Patents
新規化合物またはその誘導体を含有する抗炎症剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004331501A JP2004331501A JP2001056571A JP2001056571A JP2004331501A JP 2004331501 A JP2004331501 A JP 2004331501A JP 2001056571 A JP2001056571 A JP 2001056571A JP 2001056571 A JP2001056571 A JP 2001056571A JP 2004331501 A JP2004331501 A JP 2004331501A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- hydroxyl group
- compound
- protected
- compound represented
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 CC(*)CCCC(*)(*)[C@@](CCC(*)(*)CC1C(*)(*)CCC2C1(C)CCC(C)(*)C2(C)C)C=C* Chemical compound CC(*)CCCC(*)(*)[C@@](CCC(*)(*)CC1C(*)(*)CCC2C1(C)CCC(C)(*)C2(C)C)C=C* 0.000 description 3
- VLIPDSXHFXPLEU-OSXHTNJISA-N CCCC(C1)C(C)=CC[C@]1(CC)/C(/C)=C/CC(C1)[C@@](C)(C(C)(C)[O]=C)[C@@]11CC(C)CC1 Chemical compound CCCC(C1)C(C)=CC[C@]1(CC)/C(/C)=C/CC(C1)[C@@](C)(C(C)(C)[O]=C)[C@@]11CC(C)CC1 VLIPDSXHFXPLEU-OSXHTNJISA-N 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/045—Hydroxy compounds, e.g. alcohols; Salts thereof, e.g. alcoholates
- A61K31/047—Hydroxy compounds, e.g. alcohols; Salts thereof, e.g. alcoholates having two or more hydroxy groups, e.g. sorbitol
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/12—Ketones
- A61K31/122—Ketones having the oxygen directly attached to a ring, e.g. quinones, vitamin K1, anthralin
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P29/00—Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C35/00—Compounds having at least one hydroxy or O-metal group bound to a carbon atom of a ring other than a six-membered aromatic ring
- C07C35/22—Compounds having at least one hydroxy or O-metal group bound to a carbon atom of a ring other than a six-membered aromatic ring polycyclic, at least one hydroxy group bound to a condensed ring system
- C07C35/23—Compounds having at least one hydroxy or O-metal group bound to a carbon atom of a ring other than a six-membered aromatic ring polycyclic, at least one hydroxy group bound to a condensed ring system with hydroxy on a condensed ring system having two rings
- C07C35/36—Compounds having at least one hydroxy or O-metal group bound to a carbon atom of a ring other than a six-membered aromatic ring polycyclic, at least one hydroxy group bound to a condensed ring system with hydroxy on a condensed ring system having two rings the condensed ring system being a [4.4.0] system, e.g. hydrogenated naphthols
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Public Health (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Pain & Pain Management (AREA)
- Rheumatology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)〔以下、ガグール(guggule)と総称する。〕から採れるゴム樹脂から抽出された化合物(ミルハノールAまたはミルハノンA)、またはこれらの化合物を基本構造とするこれら化合物の誘導体を含有する医薬、特に抗炎症剤、ならびにこれら化合物およびその誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、インドではアーユルベーダ(Ayurveda、インドの古代医学)の民間伝承薬として、ガグール・ゴム樹脂を他の全形生薬の粉末または抽出物と直接に混合して、抗肥満薬、抗菌剤、抗血液凝固剤およびアテローム性動脈硬化剤として使用している。ここで、ガグールおよびミルハという全形生薬は、それぞれバルサモデンドロン(Balsamodendron)(またはコミフォラ(Commiphora))ムクル(mukul)Hook.およびバルサモデンドロン(Balsamodendron)(またはコミフォラ(Commiphora))ミルハ(myrrha)Nees、バルセレシー(Burseraceae)(またはカンラン)科ベルセレ(Bursera)(またはコミフォラ(Commiphora))属から分泌される天然ゴム樹脂である。ガグールはこれらの樹木(樹齢15〜20年)のミルク状白色樹液を1年間、乾燥させて製造する。ガグールから単離した化合物、ガグールステロンは脂肪分解性酵素を活性化し、肝臓でのコレステロール生合成を阻害し、全血清脂質および全血清コレステロールの値を減少させる。一方、ミルハは古代には死体に防腐処置を施すためにエジプト人によって使用され、また、聖油としてユダヤ人によって使用されていた。ミルハから単離されたセスキテルペン成分、フラノユーデスマ(furanoeudesma)−1,3−ジエンおよびカージャレン(curzarene)は、ナロキソン(naloxone)により遮断される鎮痛効果を示し、古代には鎮痛剤としてミルハを使用していた。しかしながら、ミルハはその毒性ゆえにインドではうがい薬(mouth wash)としてしか使用されていない。
【0003】
また、バルサモデンドロン・ムクルまたはコミフォラ・ムクルはインド原産のカンラン科に属する植物であり、高さが1.2〜1.8m程度の小さな樹木か潅木である。この植物の幹に切れ目をつけると、ゴム状樹脂を採取することができる。かかる樹脂から得られる親油性抽出物、中でも該抽出物から得られるステロイド画分、特にガグルステロンと名付けられているケトステロイド類が、抗炎症、免疫調節および抗アンドロゲン活性を有する薬剤組成物であることが知られている(特開平5−178755号公報)。しかし、ここでは溶媒として酢酸エチルなどを用い、親油性成分を抽出しているにすぎず、さらに精製を行うなどして抗炎症作用などの薬理作用を示す化合物を単離することはされていない。
【0004】
さらに、コミフォラ属の植物、特にコミフォラ・ムクルの樹脂から抽出された化合物は、しわ防止剤として化粧品に使用することも知られている(特表2000−503627号公報)。ここに開示される化合物は、コミフォラ・ムクルの樹脂を出発原料として、多数の連続抽出や分留を行うことが記載されている。しかしながら、これらの化合物の抗炎症作用についてはなんら開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来から民間薬として用いられていた全形生薬、具体的にはミルハや、ガグールのゴム状樹脂から抽出される親油成分に比べて、より高い抗炎症作用を示す化合物、およびそれを含有する医薬、特に抗炎症剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々鋭意検討したところ、バルサモデンドロン・ムクルまたはコミフォラ・ムクルの樹脂をメタノールにて抽出した抽出物から新規化合物を含むトリテルペン成分を見出し、該成分がマウスのアジュバンド誘導空気嚢肉芽腫において強い抗炎症作用を示すという驚くべき知見を得た。さらに、本発明の化合物は、従来から抗炎症作用を示す化合物として知られているヒドロコルチンゾンまたはガグールの単なる50容量%水性メタノール抽出物よりもより大きな抗炎症作用を示すことも知見した。
本発明者らは、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は
(1)一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む医薬、
【化14】
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化15】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
(2)一般式(I’)で表される化合物を含む医薬、
【化16】
〔式中、X’およびY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、またはX’とY’が一緒になってカルボニル基を形成してもよく、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化17】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
(3)抗炎症剤である前記(1)または(2)に記載されている医薬、
(4)一般式(II)で表される化合物を含む抗炎症剤、
【化18】
(5)一般式(III)で表される化合物を含む抗炎症剤、
【化19】
(6)下記一般式(aI)で示される化合物またはその塩、
【化20】
〔式中、aXおよびaYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化21】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
(7)下記一般式(aI’)で示される化合物、
【化22】
〔式中、aX’およびaY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化23】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
(8)一般式(II)で表される化合物、
【化24】
(9)バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂を有機溶媒により抽出し、該抽出物を少なくとも1回の精製工程を経て、得られる精製物に対し所望により(a)アルキル鎖延長反応、(b)イソプレン鎖の鎖短縮または鎖延長反応、(c)アルキル基への置換基導入反応、(d)酸化反応、(e)水酸基、カルボキシル基もしくはカルボニル基への保護基導入反応、(f)カルボキシル基の塩への変換反応、および(g)二重結合の還元反応からなる群から選ばれる一以上の反応を行うことを特徴とする下記一般式(I)で表される化合物またはその塩の製造方法、
【化25】
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化26】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む医薬、好ましくは抗炎症剤を提供する。
【化27】
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化28】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
【0009】
本発明に係る化合物(I)において、水酸基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6);例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基(好ましくは炭素数3〜9);例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜6);例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,3−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基等のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜12);例えばホルミル基、アセチル基等のアシル基(好ましくは炭素数1〜10)等が挙げられ、中でも、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基もしくはtert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、または例えばメトキシメチル基もしくは2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜6)が好適である。
【0010】
本発明に係る化合物(I)においてカルボニル基の保護基としては、例えば、エチレンケタール、トリメチレンケタール、ジメチルケタール等のアセタール、ケタールなどが挙げられる。
【0011】
本発明に係る化合物(I)においてカルボキシル基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6);例えば2,2,2−トリクロロエチル基等の低級ハロアルキル基(好ましくは炭素数1〜6);例えば2−プロペニル基等の低級アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6);例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜12)等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基が好ましい。
【0012】
本発明に係る化合物(I)において炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状または分岐状いずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基またはヘキシル基等が挙げられる。
【0013】
また、炭素数1〜6のアルキル基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、(i)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(ii)アルキレンジオキシ基(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなど)(好ましくは炭素数1〜3)、(iii)ニトロ基、(iv)シアノ基、(v)ハロゲン原子、C1−3アルキレンジオキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルなどで置換されていてもよいシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)、(vi)ハロゲン化されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、(vii)ハロゲン化されていてもよいアルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜6)、(viii)置換されていてもよいアミノ基(例えばジメチルアミノ基などの自体公知のアミノ基の一価または二価の置換基で置換されていてもよいアミノ基)、(ix)水酸基、(x)カルボキシル基、(xi)スルホ基、(xii)メルカプト基などが挙げられる。
【0014】
本発明において上記化合物(I)で表される化合物のうち、下記一般式(aI)で表される化合物およびその塩は新規化合物である。
【化29】
〔式中、aXおよびaYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化30】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
【0015】
上記一般式(I)または(aI)で表される化合物の塩としては、カルボキシル基が塩を形成している化合物が挙げられる。より具体的にカルボキシル基の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられ、中でもナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;またはアンモニウム塩が好ましい。
【0016】
本発明において上記化合物(I)で表される化合物またはその塩の好ましい態様として、下記一般式(I’)で表される化合物が挙げられる。
【化31】
〔式中、X’およびY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、またはX’とY’が一緒になってカルボニル基を形成してもよく、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化32】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
【0017】
本発明に係る化合物(I’)において、アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
本発明に係る化合物(I’)において、エーテル化された水酸基とは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)で保護されている水酸基をいう。また、エステル化された水酸基とは、例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜6)で保護されている水酸基をいう。
他の用語については、化合物(I)と同義である。
【0018】
本発明において上記化合物(I’)で表される化合物のうち、下記一般式(aI’)で表される化合物は新規化合物である。
【化33】
〔式中、aX’およびaY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化34】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
【0019】
本発明において上記化合物(I)で表される化合物のより好ましい態様として、下記式(II)および(III)で表される化合物が挙げられる。このうち、式(II)で表される化合物は新規化合物である。
【化35】
【0020】
【化36】
【0021】
本発明においては、バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂を有機溶媒(好ましくは、メタノール)により抽出し、該抽出物を少なくとも1回の精製工程を経ることにより、上記式(II)および式(III)で表される化合物が単離できる。その後、所望により得られた式(II)および式(III)で表される化合物に対し、(a)メチル基のアルキル鎖延長反応、(b)イソプレン鎖の鎖短縮または鎖延長反応、(c)アルキル基への置換基導入反応、(d)ヒドロキシメチル基の酸化反応、(e)水酸基、カルボキシル基もしくはカルボニル基への保護基導入反応、(f)カルボキシル基の塩への変換反応、および(g)二重結合の還元(還元による二重結合の一重結合への変換)からなる群から選ばれる一以上の反応を行うことにより、上記一般式(I)および(I’)で表される化合物が得られる。
【0022】
ここで、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、例えば水酸基をエーテル化もしくはエステル化するなど水酸基に保護基を導入する反応、例えばカルボニル基をアセタール化するなどカルボニル基に保護基を導入する反応、またはヒドロキシメチル基を酸化してカルボキシル基に変換する反応、そのカルボキシル基を例えばエステル化するなどカルボキシル基に保護基を導入する反応もしくはそのカルボキシル基をアルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはアミン等との塩に変換する反応は、従来、化学・医薬分野で充分に確立されているから本発明においてもそれらの公知の反応手段に従ってよい。
【0023】
また、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、メチル基をアルキル鎖延長反応に付して、メチル基を他のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6)に変換してもよい。
さらに、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、複数のイソプレン単位からなるイソプレン鎖を短縮または延長してもよい。
このようなアルキル鎖延長反応も、イソプレン鎖の短縮もしくは延長反応も、従来充分に確立されているから、本発明においてもそれらの公知の反応手段に従ってよい。
【0024】
また、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、二重結合の全部または一部を還元反応に付して単結合に転換してもよい。そのような還元手段も、例えば接触還元など従来充分に確立されているから、本発明においてそれらの公知の手段に従ってよい。
また、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、メチル基もしくはメチル基をアルキル鎖延長反応に付してできるアルキル基に、自体公知の手段に従って、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などの医薬分野で常用される置換基が導入されてもよい。
【0025】
バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂から上記式(II)および式(III)で表される化合物を抽出する方法について、以下に詳述する。
本発明において使用するバルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul Hook.)とは、上記したようにカンラン科の小木であり、インド半島、ラジャスタンなどが原産地である。
本発明で使用するバルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂とは、通常は上記樹木の幹に傷をつけて採取する。該樹脂は鍾乳石状に速やかに凝固する黄色のゴム状滲出物である。該樹脂は乾燥し、粉砕して市販されているので、本発明においては該市販品を用いてよい。
【0026】
本発明では上記樹脂、好ましくはさらに粉砕したものを、有機溶媒により抽出する。本発明に使用する有機溶媒としては、極性溶媒、低極性溶媒などが好ましく、より好ましくは極性アルコール、例えば、炭素数1〜6のアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられ、特にメタノールが好ましく、50容量%水性メタノールが最も好ましい。抽出物にはリグナン類、テルペン類、およびガグロステロン類の多くの化合物を含んでいる。抽出条件としては、自体公知の方法に従ってよいが、抽出溶媒が100容量%メタノールの場合は、還流下に約1〜96時間程度かけて行うのが好ましい。また抽出溶媒が50容量%水性メタノールの場合は、還流下に約2〜150時間程度かけて行うのが好ましい。
【0027】
次いで、得られた抽出物に対し少なくとも1回の精製工程を実施するのが特に好ましい。精製手段としては、例えば、シリカゲルもしくはアルミナなどを用いるカラムクロマトグラフィーによる分画、アルコール類と脂肪族炭化水素との間の向流分配、またはケト化合物の単離のための選択的な試薬、ジラード試薬を用いた処理などが挙げられる。また、高速液体クロマトグラフィーによる一連の分留により精製してもよい。具体的には、上記抽出物をさらに酢酸エチル−水混合溶媒で分配し、酢酸エチル可溶性成分を順相および逆相シリカゲル・カラムクロマトグラフィーに付し、次いで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけるという精製工程が好ましい。このようにして、上記式(II)および式(III)で表される化合物を得ることができる。ただし、かかる態様は、本発明の好ましい一態様であり、抽出・精製工程はこれに限定されない。
【0028】
本発明にかかる医薬は、上述のようにして得られる上記化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有している。薬理学的に許容される塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)、有機酸(例えば、炭酸、重炭酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、無機塩基(例えば、ナトリウムもしくはカリウム等のアルカリ金属、カルシウムもしくはマグネシウム等のアルカリ土類金属等)および有機塩基化合物(例えば、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類)との塩が挙げられる。
また、式(I)、(aI)、(I’)または(aI’)で表される化合物は不斉炭素を有しているので、不斉炭素1個について2個の光学異性体が存在しえる。したがって、本発明における医薬は、そのうちの一の光学異性体のみを含むものであってもよいし、またラセミ体もしくはジアステレオマーを含有するものであってもよい。
【0029】
本発明の化合物は、後記するようにマウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫の抗炎症作用を示す。したがって、該化合物を含有する本発明の医薬は、この作用を利用して、特に抗炎症剤としての用途に好適に使用できる。その場合に適用できる炎症性疾患としては、特に限定されないが、例えば、皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、または紫外線照射もしくは放射線療法に起因する紅斑のような各種の原因に基づく炎症状態)、手術・外傷後の炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎、肺炎、糖尿病性合併症(例えば、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害等)、慢性関節リウマチ、変形性脊椎症、変形性関節炎、腰痛、痛風等が挙げられる。
【0030】
本発明において、上記化合物またはその薬理学的に許容される塩を本発明にかかる医薬としてそのまま投与してもよい。しかし、一般的には、有効成分である上記化合物またはその薬理学的に許容される塩と1または2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。本発明にかかる医薬における本発明の化合物の含有量は、約0.001〜1重量%程度、好ましくは約0.01〜0.1重量%程度である。
このような医薬組成物は、それ自体製剤学の分野で周知または慣用の方法に従って製造することが可能である。
【0031】
経口投与に適する液体製剤の製造には、例えば、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類;p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などの製剤用添加物を用いることができる。
また、カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤などの固形製剤の製造には、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦形剤;澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリセリンなどの可塑剤を用いることができる。
【0032】
非経口投与に適する製剤のうち注射剤や点滴剤などの血管内投与用製剤は、好ましくは体液と等張の水性媒体を用いて調製することができる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物から選ばれる水性媒体を用い、常法に従って適当な助剤とともに溶液、懸濁液または分散液として調製することができる。
また、点眼剤は、滅菌精製水や生理食塩水などの水溶性溶剤、または植物油などの非水溶性溶剤を用いて調製することができる。
【0033】
腸内投与のための坐剤は、例えばカカオ脂、水素化脂肪または水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができる。
噴霧剤は、口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分である本発明に係る化合物を微細な粒子として分散させて吸収を促進することのできる担体を用いて調製することができる。このような担体として、例えば、乳糖またはグリセリンなどを用いることができる。本発明に係る化合物の性質などにより、エアロゾルやドライパウダーなどの形態の製剤として調製することができる。
非経口用の製剤の製造には、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を用いることができる。
【0034】
本発明に係る医薬は、上記化合物を適当な基材と混合して軟膏剤とすることもできる。基材としては、例えば、ワセリン、流動パラフィン、シリコン、植物油などの油脂性基材;例えば、親水ワセリン、精製ラノリンなどの乳剤性基剤;例えば、マクロゴールなどの水溶性基材などが挙げられる。また、上記軟膏剤には、陰イオン型もしくは非イオン型界面活性剤などの乳化剤やパラオキシ安息香酸エステル類などの保存剤が含有されていてもよい。
また、本発明に係る医薬は、軟膏剤の他にも、例えば、パッチ剤、パップ剤、クリーム剤、硬膏剤、テープ剤、ローション剤、液剤、懸濁剤、乳剤、噴霧剤などの経皮投与製剤とすることもできる。
なお、本発明の医薬の形態およびその製造方法は、上記に具体的に説明したものに限定されることはない。
【0035】
本発明に係る医薬の投与経路、投与量および投与頻度は特に限定されず、治療すべき病態の種類、患者の年齢および体重、症状および疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜選択することが可能である。より具体的には、抗炎症剤としての治療上の用量は、経口投与の場合、約1〜1000mg/日程度、好ましくは約10〜150mg/日程度である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。本実施例において、式(II)で表される化合物を「ミルハノールA」と、式(III)で表される化合物を「ミルハノンA」と称することもある。
【0037】
〔実施例1〕 ミルハノールAおよびミルハノンAの単離と構造解明
ガグール(バルサモデンドロン ムクル Hook.)(ラジャスタン、インド)およびミルハ(バルサモンデンドロン ミルハ Nees)(アフガニスタン)のゴム樹脂をシャラングダール製薬PVT.LTD(プーナ、インド)から購入し、還流下にメタノールまたは50容量%水性メタノールで3時間抽出した。3週間後、残渣を集め、同様に2回抽出を繰り返し抽出した。上記3回の抽出操作で得られた3液を合わせ、減圧下で溶媒を留去し、それぞれの植物の抽出物を得た。バルサモデンドロン ムクルの樹脂からの50容量%水性メタノール抽出物は酢酸エチル−水混合物で分配した。酢酸エチル可溶性成分を順相および逆相シリカゲル・カラムクロマトグラフィーに付し、最後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて、ミルハノールA(0.0084%)およびミルハノンA(0.026%)を得た。
【0038】
ミルハノールAは、正の旋光性[α]D 27+12.2°(MeOH)を示す白色粉末として得られ、fast atom bombardment−mass spectrometry(FAB−MS)および高分解FAB−MSより分子式C30H52O3を有する化合物であることが明らかになった。ミラノールAは、赤外吸収(IR)スペクトルにおいて、水酸基に由来する吸収(3432cm−1および1046cm−1)が認められた。
ミルハノールAの水素核磁気共鳴(1H−NMR)および炭素13核磁気共鳴(13C−NMR)(表1)スペクトルにおいて、酸素官能基に結合したメチン[δ3.21(dd,J=4.9,11.6Hz,3−H)]およびメチレン[δ3.96(s,30−H2)]、3個の三置換オレフィン[δ5.12(dd,J=5.8,6.7Hz,17−H)、5.16(dd−like,13−H)、5.38(dd−like,21−H)]、酸素官能基をもつ四級炭素[δc73.9]および7個のメチル基の存在が確認された。
【0039】
各種二次元NMR[1H−1H correlation spectroscopy(H−H COSY), 13C−1H correlation spectroscopy(C−H COSY),heteronuclear multiple bond connectivity(HMBC)]スペクトルを解析した結果、全シグナルが完全に帰属され、図1に示したH−H COSYスペクトルにおいて太線で示した部分構造が明らかになった。HMBCスペクトルにおいて図1の矢印で示した水素−炭素間に相関が観測されたことから、その平面構造が明らかになった。また、位相検波NOESYスペクトルにおいて、23位の水素と3位,9位水素、25位の水素と24位,26位水素など図1に点線矢印で示した相関が観測されたことからミルハノールAの相対立体構造が明らかとなった。さらに、ミルハノールAの絶対構造については改良Mosher法を適用することで決定した。すなわち、図2に示すように、ミルハノールAの3−(S)−MTPAエステル体(図2の1b)の1H−NMRスペクトルにおいて1,2および25位水素のシグナルが、3−(R)−MTPAエステル体(図2の1a)のそれに比べて高磁場側に観察された(Δδ:−)。一方、3−(S)−MTPAエステル体(図2の1b)の1H−NMRスペクトルにおいて23および24位水素のシグナルは、3−(R)−MTPAエステル体(図2の1a)のそれよりも低磁場側に観察された(Δδ:+)。
以上の結果より、ミルハノールAの絶対的立体構造は(3S,5S,8R,9R,10S)−3,8,30−トリヒドロキシポリポダ−13E,17E,21E−トリエンであると決定された。
【0040】
なお、上記において用いた炭素の位置は、下記のように定義される。
【化37】
【0041】
ミルハノンAは、正の旋光性[α]D 28+11.9°(MeOH)を示す白色粉末として得られ、IRスペクトルにおいて水酸基(3453,1080cm−1)およびカルボニル基(1650cm−1)に由来する吸収が認められ、FAB−MSおよび高分解能FAB−MSより分子式がC30H50O3を有する化合物であることが明らかになった。1H−および13C−NMR(表1)スペクトルにおいて、3位周辺のシグナルを除いてミルハノールA(化合物(II))のシグナルと非常に類似していた。ミルハノンA(化合物(III))をNaBH4にて還元するとミルハノールA(化合物(II))を得たことから、ミルハノンAの化学構造を(5S,8R,9R,10S)−3−オキソ−8,30−ジヒドロキシポリポダ−13E,17E,21E−トリエンであると決定した。
【0042】
【表1】
【0043】
〔試験例〕
〔全形生薬および薬剤〕
酢酸ヒドロコルチゾンはナカライ・テスク(京都、日本)から購入した。ミルハノールA、ミルハノンA、50容量%水性メタノールによるガグール抽出物および100容量%メタノールによるミルハ抽出物は、1%Avicel(旭化成工業、東京、日本)を含む生理食塩水に均一に溶解または懸濁させ、FCA(フロインド完全アジュバント)注射2時間後に1回、続いて4日間、1日1回、下記所定量を腹腔内投与した。
【0044】
〔動物〕
雄ddYマウス(6週齢、体重25.5〜35.5g)を紀和実験動物研究所(和歌山、日本)から購入した。マウスを午前7時から午後7時まで明条件下に、一定温度(25±1℃)および湿度(55±5%)に維持し、かつ、通常の研究用食餌(PML・ラボ・ダイエット、日本、エス・エル・シー株式会社、静岡、日本)を与え、水を自由に摂取させた。
【0045】
〔アジュバント誘導空気嚢肉芽腫〕
既に報告されたようにして、空気嚢肉芽腫を0.1%クロトン油とともにFCA注射して調製した。0.1%クロトン油(ナカライ・テスク、京都、日本)、42.5%流動パラフィン、7.5%モノオレイン酸マンニド(ナカライ)および50%生理食塩水を含むフロインド不完全アジュバント1mL当り、加熱処理したミコバクテリウム・ツバキュローシス(M. tuberculosis)(H37RA、Dfco社、デトロイド、ミシガン州、アメリカ)2mgを使用してFCA乳濁液を調製した。エーテル麻酔したマウスの背側に空気3mLを皮下注射して、定型的な卵状の空気嚢を生成させた。24時間後、FCA乳濁液(0.5mL)をエーテル麻酔下に空気嚢中へ注射した。FCA注射後、5日目にマウスの尾静脈中へ40℃に保温された5%ゼラチン(ナカライ・テスク)を含む10重量%カーミン溶液(メルク社、ダルムスタット、ドイツ)1mLを注射して殺傷した。死亡したマウスを数時間、4℃以下に冷却した。肉芽腫組織のカーミン量を次のようにして測定した。肉芽腫組織を細切し、3N NaOHで溶解し、36%HClにて酸化した。この懸濁液を遠心した後、上澄液を濾過した。濾液中のカーミン量、すなわち嚢肉芽腫に新規に形成された血管の指標は、490nmの光学的密度を測定して決定した。肉芽腫組織は切除して、周辺の緩い結合組織から分離して重量測定した。嚢中の炎症細胞は血球計算器にて計数した。顆粒球、単球およびマクロファージは数の中に含めた。一方、トリパンブルーで染色された死細胞、赤血球および血小板は除いた。嚢液は全てを収集して重量測定した。
【0046】
〔炎症過程における作用〕
炎症過程I(浸出性:嚢液重量)、II(遊走性:炎症細胞数)、III(血管形成性:カーミン容量)およびIV(肉芽腫形成)に対する抑制効果(抗炎症効果)をマウスのアジュバント誘空気嚢肉芽腫を使用して比較した。すなわち、炎症過程I(浸出性)に対する抗炎症作用は嚢液重量を測定することにより、炎症過程II(遊走性)に対する抗炎症作用は炎症細胞数を測定することにより、炎症過程III(血管形成性)に対する抗炎症作用はカーミン容量を測定することにより、炎症過程IV(肉芽腫形成)に対する抗炎症作用は肉芽腫重量を測定することにより、比較した。
【0047】
ミルハノールA(0.6,1.2および2.4mg/kg)、ミルハノンA(0.6mg/kg)、ガグールの50容量%水性メタノールによる粗抽出物およびミルハの100容量%メタノールによる粗抽出物(1.2,6および30mg/kg)、およびヒドロコルチゾン(3.8,7.6および15mg/kg)を、上述したようにしてマウス腹腔内へ注射した。ミルハノールAおよびミルハノンAの用量−抑制反応曲線を4種の炎症パラメーターにおいて、ヒドロコルチゾンのそれと比較した(図3)。
【0048】
図3においては、ガグールのゴム樹脂由来のミルハノールA(黒丸印、n=4〜10)およびミルハノンA(黒三角印、n=5)のマウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫における抗炎症作用が、ヒドロコルチゾン(白丸印 n=4〜12)のそれと比較して示されている。その抗炎症効果はカーミン量、肉芽腫重量、遊走炎症性細胞数および滲出性嚢液重量についてプロットされている。それぞれのグラフにおいては、下記式から計算された相対量%の平均±標準偏差(S.E.M.)が腹腔内投与量(mol/kg)に対して示されている。
【0049】
【数1】
相対量%=(被検化合物を投与したときの値/被検化合物を投与しなかったときの値)×100
ここで、被検化合物とは、ミルハノールA、ミルハノンAまたはヒドロコルチゾンをいう。
なお、上記式の分母の数値、すなわちそれぞれの化合物を投与しなかったときのコントロール値は、カーミン量では0.273±0.022mg、肉芽腫重量では263±20mg、細胞数では(1.88±0.21)×107個、かつ、嚢液重量では198±38mgであった(n=19)。また、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
【0050】
ミルハノールAは、炎症細胞数における抑制効果、すなわち炎症過程II(遊走性)に対する抗炎症効果を除いてヒドロコルチゾンよりも効能があった。ミルハノンAは1.3nmol/kgの投与量においてミルハノールAよりも効果的である傾向が見られた。ミルハノンAの用量−抑制反応曲線は水に難溶で均質懸濁液が得られなかったので用量のデータは得られなかった。ミルハノールAの50%阻害量は、カーミン量では2.80μmol/kg(95%信頼限界:2.07〜3.79)、肉芽腫重量では5.83μmol/kg(95%信頼限界:3.03〜11.2)、嚢液重量では1.75μmol/kg(95%信頼限界:1.34〜2.29)であった。同じくヒドロコルチゾンの50%阻害量は、カーミン量では22.1μmol/kg(95%信頼限界:18.0〜27.1)、肉芽腫重量では29.2μmol/kg(95%信頼限界:23.1〜36.9)、炎症細胞数では11.7μmol/kg(95%信頼限界:7.15〜19.0)および嚢液重量では6.31μmol/kg(95%信頼限界:2.33〜17.1)であった。ミルハノールAは、ヒドロコルチゾンよりもカーミン量では7.9倍、肉芽腫重量では5.0倍および嚢液重量では3.6倍の効能があった。
【0051】
ミルハノールA、ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物およびヒドロコルチゾンの50%阻害量(g/kg)をグラフにプロットして、抗炎症反応の相対的性質を示す(図4)。
図4中、マウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫におけるカーミン量(図中、CCで表す)、肉芽腫重量(図中、GWで表す)、炎症細胞数(図中、ICCで表す)および滲出性嚢液重量(図中、PFWで表す)について、ミルハノールAおよびガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物のLog50%阻害量(ID50、g/kg)を、ヒドロコルチゾン(HC)のそれと対比した。これらの値は図3および5のデータから計算され、交差軸上にプロットされている。起点0から遠い点が強い効果を示す。なお、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
ミルハノールAは、カーミン量または肉芽腫重量のいずれにおいてもガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物よりも効能があった。ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物に対するミルハノールAの効能は、それぞれにおいて23倍および34倍であった。ミルハノールAではなく、ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物は炎症細胞数において弱い効果を示した。
【0052】
50容量%水性メタノールおよび100容量%メタノールによるガグールの粗抽出物の抗炎症効果(図5)を同じ溶媒によるミルハの粗抽出物の効果(図6)と比較した。
図5に、50容量%水性メタノール(黒丸印、n=8〜13)および100容量%メタノール(黒三角印、n=8〜12)によるガグール・ゴム樹脂からの抽出物が示すマウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫における抗炎症効果を示す。カーミン量、肉芽腫重量、遊走炎症性細胞数、および滲出性嚢液重量について、その効果がプロットされている。それぞれのグラフにおいては、下記式から計算された相対量%の平均±標準偏差(S.E.M.)が腹腔内投与量(g/kg)に対して示されている。
【0053】
【数2】
相対量%=(被検化合物を投与したときの値/被検化合物を投与しなかったときの値)×100
ここで、被検化合物とは50容量%水性メタノールおよび100容量%メタノールによるガグールの粗抽出物という。
なお、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
【0054】
極性溶媒によるガグール抽出物の抗炎症効果は、特にカーミン量および嚢液重量において、低極性溶媒によるものよりも強い傾向を示した。低極性溶媒によるミルハの粗抽出物の滲出液はむしろ、炎症を増強する傾向にあった(図6)。
図6に示したように、50容量%水性メタノール(黒丸印、n=5〜10)および100容量%メタノール(黒三角印、n=4〜7)によるミルハ・ゴム樹脂からの抽出物は、マウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫における弱抗炎症作用、むしろ炎症作用を示す。カーミン量、肉芽腫重量、遊走炎症性細胞数、および滲出性嚢液重量について、その効果をプロットした。それぞれのグラフにおいては、下記式から計算された相対量%の平均±標準偏差(S.E.M.)が腹腔内投与量(g/kg)に対して示されている。
【0055】
【数3】
相対量%=(被検化合物を投与したときの値/被検化合物を投与しなかったときの値)×100
ここで、被検化合物とは50容量%水性メタノールおよび100容量%メタノールによるミルハの粗抽出物という。
なお、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
【0056】
結論として、ガグール・ゴム樹脂から単離されて同定された化合物、ミルハノールAおよびミノハノンAは、強い抗炎症剤となり得る。特に、ミルハノールAは非ステロイドで親水性の化合物であるから、従来抗炎症剤として用いられているヒドロコルチゾンよりも副作用が少ないという利点を有する。
【0057】
【発明の効果】
ガグール(バルサモデンドロン(Balsamondendron)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)Hook.)のゴム樹脂から抽出された化合物(ミルハノールAまたはミルハノンA)は、ヒドロコルチゾン、またはガグールもしくはミルハの粗抽出物に比べて、特に抗炎症作用が強く、抗炎症剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物であるミルハノールAの、H−H COSYスペクトル、HMBCスペクトルおよび位相検波NOESYスペクトルにおける相関を示す図である。
【図2】改良Mosher法の適用による本発明の化合物であるミルハノールAび絶対構造の決定過程を説明するための図である。
【図3】本発明の化合物であるミルハノールA(黒丸印)およびミルハノンA(黒三角印)の抗炎症作用をヒドロコルチゾン(白丸印)のそれと比較した図である。
【図4】本発明の化合物であるミルハノールA、ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物の抗炎症作用をヒドロコルチゾンのそれと比較した図である。
【図5】50容量%水性メタノール(黒丸印)および100容量%メタノール(黒三角印)で抽出したガグール・ゴム樹脂の抽出物の抗炎症作用を示す図である。
【図6】50容量%水性メタノール(黒丸印)および100容量%メタノール(黒三角印)で抽出したミルハ・ゴム樹脂の抽出物の炎症作用を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)〔以下、ガグール(guggule)と総称する。〕から採れるゴム樹脂から抽出された化合物(ミルハノールAまたはミルハノンA)、またはこれらの化合物を基本構造とするこれら化合物の誘導体を含有する医薬、特に抗炎症剤、ならびにこれら化合物およびその誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、インドではアーユルベーダ(Ayurveda、インドの古代医学)の民間伝承薬として、ガグール・ゴム樹脂を他の全形生薬の粉末または抽出物と直接に混合して、抗肥満薬、抗菌剤、抗血液凝固剤およびアテローム性動脈硬化剤として使用している。ここで、ガグールおよびミルハという全形生薬は、それぞれバルサモデンドロン(Balsamodendron)(またはコミフォラ(Commiphora))ムクル(mukul)Hook.およびバルサモデンドロン(Balsamodendron)(またはコミフォラ(Commiphora))ミルハ(myrrha)Nees、バルセレシー(Burseraceae)(またはカンラン)科ベルセレ(Bursera)(またはコミフォラ(Commiphora))属から分泌される天然ゴム樹脂である。ガグールはこれらの樹木(樹齢15〜20年)のミルク状白色樹液を1年間、乾燥させて製造する。ガグールから単離した化合物、ガグールステロンは脂肪分解性酵素を活性化し、肝臓でのコレステロール生合成を阻害し、全血清脂質および全血清コレステロールの値を減少させる。一方、ミルハは古代には死体に防腐処置を施すためにエジプト人によって使用され、また、聖油としてユダヤ人によって使用されていた。ミルハから単離されたセスキテルペン成分、フラノユーデスマ(furanoeudesma)−1,3−ジエンおよびカージャレン(curzarene)は、ナロキソン(naloxone)により遮断される鎮痛効果を示し、古代には鎮痛剤としてミルハを使用していた。しかしながら、ミルハはその毒性ゆえにインドではうがい薬(mouth wash)としてしか使用されていない。
【0003】
また、バルサモデンドロン・ムクルまたはコミフォラ・ムクルはインド原産のカンラン科に属する植物であり、高さが1.2〜1.8m程度の小さな樹木か潅木である。この植物の幹に切れ目をつけると、ゴム状樹脂を採取することができる。かかる樹脂から得られる親油性抽出物、中でも該抽出物から得られるステロイド画分、特にガグルステロンと名付けられているケトステロイド類が、抗炎症、免疫調節および抗アンドロゲン活性を有する薬剤組成物であることが知られている(特開平5−178755号公報)。しかし、ここでは溶媒として酢酸エチルなどを用い、親油性成分を抽出しているにすぎず、さらに精製を行うなどして抗炎症作用などの薬理作用を示す化合物を単離することはされていない。
【0004】
さらに、コミフォラ属の植物、特にコミフォラ・ムクルの樹脂から抽出された化合物は、しわ防止剤として化粧品に使用することも知られている(特表2000−503627号公報)。ここに開示される化合物は、コミフォラ・ムクルの樹脂を出発原料として、多数の連続抽出や分留を行うことが記載されている。しかしながら、これらの化合物の抗炎症作用についてはなんら開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来から民間薬として用いられていた全形生薬、具体的にはミルハや、ガグールのゴム状樹脂から抽出される親油成分に比べて、より高い抗炎症作用を示す化合物、およびそれを含有する医薬、特に抗炎症剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々鋭意検討したところ、バルサモデンドロン・ムクルまたはコミフォラ・ムクルの樹脂をメタノールにて抽出した抽出物から新規化合物を含むトリテルペン成分を見出し、該成分がマウスのアジュバンド誘導空気嚢肉芽腫において強い抗炎症作用を示すという驚くべき知見を得た。さらに、本発明の化合物は、従来から抗炎症作用を示す化合物として知られているヒドロコルチンゾンまたはガグールの単なる50容量%水性メタノール抽出物よりもより大きな抗炎症作用を示すことも知見した。
本発明者らは、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は
(1)一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む医薬、
【化14】
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化15】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
(2)一般式(I’)で表される化合物を含む医薬、
【化16】
〔式中、X’およびY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、またはX’とY’が一緒になってカルボニル基を形成してもよく、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化17】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
(3)抗炎症剤である前記(1)または(2)に記載されている医薬、
(4)一般式(II)で表される化合物を含む抗炎症剤、
【化18】
(5)一般式(III)で表される化合物を含む抗炎症剤、
【化19】
(6)下記一般式(aI)で示される化合物またはその塩、
【化20】
〔式中、aXおよびaYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化21】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
(7)下記一般式(aI’)で示される化合物、
【化22】
〔式中、aX’およびaY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化23】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
(8)一般式(II)で表される化合物、
【化24】
(9)バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂を有機溶媒により抽出し、該抽出物を少なくとも1回の精製工程を経て、得られる精製物に対し所望により(a)アルキル鎖延長反応、(b)イソプレン鎖の鎖短縮または鎖延長反応、(c)アルキル基への置換基導入反応、(d)酸化反応、(e)水酸基、カルボキシル基もしくはカルボニル基への保護基導入反応、(f)カルボキシル基の塩への変換反応、および(g)二重結合の還元反応からなる群から選ばれる一以上の反応を行うことを特徴とする下記一般式(I)で表される化合物またはその塩の製造方法、
【化25】
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化26】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む医薬、好ましくは抗炎症剤を提供する。
【化27】
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化28】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
【0009】
本発明に係る化合物(I)において、水酸基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6);例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基(好ましくは炭素数3〜9);例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜6);例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,3−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基等のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜12);例えばホルミル基、アセチル基等のアシル基(好ましくは炭素数1〜10)等が挙げられ、中でも、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基もしくはtert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、または例えばメトキシメチル基もしくは2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜6)が好適である。
【0010】
本発明に係る化合物(I)においてカルボニル基の保護基としては、例えば、エチレンケタール、トリメチレンケタール、ジメチルケタール等のアセタール、ケタールなどが挙げられる。
【0011】
本発明に係る化合物(I)においてカルボキシル基の保護基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6);例えば2,2,2−トリクロロエチル基等の低級ハロアルキル基(好ましくは炭素数1〜6);例えば2−プロペニル基等の低級アルケニル基(好ましくは炭素数2〜6);例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基(好ましくは炭素数7〜12)等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基が好ましい。
【0012】
本発明に係る化合物(I)において炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状または分岐状いずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基またはヘキシル基等が挙げられる。
【0013】
また、炭素数1〜6のアルキル基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、(i)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(ii)アルキレンジオキシ基(例、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなど)(好ましくは炭素数1〜3)、(iii)ニトロ基、(iv)シアノ基、(v)ハロゲン原子、C1−3アルキレンジオキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルなどで置換されていてもよいシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)、(vi)ハロゲン化されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、(vii)ハロゲン化されていてもよいアルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜6)、(viii)置換されていてもよいアミノ基(例えばジメチルアミノ基などの自体公知のアミノ基の一価または二価の置換基で置換されていてもよいアミノ基)、(ix)水酸基、(x)カルボキシル基、(xi)スルホ基、(xii)メルカプト基などが挙げられる。
【0014】
本発明において上記化合物(I)で表される化合物のうち、下記一般式(aI)で表される化合物およびその塩は新規化合物である。
【化29】
〔式中、aXおよびaYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
【化30】
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
【0015】
上記一般式(I)または(aI)で表される化合物の塩としては、カルボキシル基が塩を形成している化合物が挙げられる。より具体的にカルボキシル基の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられ、中でもナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;またはアンモニウム塩が好ましい。
【0016】
本発明において上記化合物(I)で表される化合物またはその塩の好ましい態様として、下記一般式(I’)で表される化合物が挙げられる。
【化31】
〔式中、X’およびY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、またはX’とY’が一緒になってカルボニル基を形成してもよく、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化32】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
【0017】
本発明に係る化合物(I’)において、アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
本発明に係る化合物(I’)において、エーテル化された水酸基とは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)で保護されている水酸基をいう。また、エステル化された水酸基とは、例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜6)で保護されている水酸基をいう。
他の用語については、化合物(I)と同義である。
【0018】
本発明において上記化合物(I’)で表される化合物のうち、下記一般式(aI’)で表される化合物は新規化合物である。
【化33】
〔式中、aX’およびaY’は一方が水素原子、他方がエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表し、R’はCH2R2(R2はエーテル化もしくはエステル化されていてもよい水酸基を表す)、COOH、COOM1(M1はアルカリ金属または4級アンモニウムを表す)、COOM2 0.5(M2はアルカリ土類金属を表す)またはCOOR3(R3は置換されていてよい炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、
【化34】
は単結合または二重結合を表し、mは1、2または3を表す。〕
【0019】
本発明において上記化合物(I)で表される化合物のより好ましい態様として、下記式(II)および(III)で表される化合物が挙げられる。このうち、式(II)で表される化合物は新規化合物である。
【化35】
【0020】
【化36】
【0021】
本発明においては、バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂を有機溶媒(好ましくは、メタノール)により抽出し、該抽出物を少なくとも1回の精製工程を経ることにより、上記式(II)および式(III)で表される化合物が単離できる。その後、所望により得られた式(II)および式(III)で表される化合物に対し、(a)メチル基のアルキル鎖延長反応、(b)イソプレン鎖の鎖短縮または鎖延長反応、(c)アルキル基への置換基導入反応、(d)ヒドロキシメチル基の酸化反応、(e)水酸基、カルボキシル基もしくはカルボニル基への保護基導入反応、(f)カルボキシル基の塩への変換反応、および(g)二重結合の還元(還元による二重結合の一重結合への変換)からなる群から選ばれる一以上の反応を行うことにより、上記一般式(I)および(I’)で表される化合物が得られる。
【0022】
ここで、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、例えば水酸基をエーテル化もしくはエステル化するなど水酸基に保護基を導入する反応、例えばカルボニル基をアセタール化するなどカルボニル基に保護基を導入する反応、またはヒドロキシメチル基を酸化してカルボキシル基に変換する反応、そのカルボキシル基を例えばエステル化するなどカルボキシル基に保護基を導入する反応もしくはそのカルボキシル基をアルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはアミン等との塩に変換する反応は、従来、化学・医薬分野で充分に確立されているから本発明においてもそれらの公知の反応手段に従ってよい。
【0023】
また、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、メチル基をアルキル鎖延長反応に付して、メチル基を他のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6)に変換してもよい。
さらに、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、複数のイソプレン単位からなるイソプレン鎖を短縮または延長してもよい。
このようなアルキル鎖延長反応も、イソプレン鎖の短縮もしくは延長反応も、従来充分に確立されているから、本発明においてもそれらの公知の反応手段に従ってよい。
【0024】
また、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、二重結合の全部または一部を還元反応に付して単結合に転換してもよい。そのような還元手段も、例えば接触還元など従来充分に確立されているから、本発明においてそれらの公知の手段に従ってよい。
また、上記式(II)および式(III)で表される化合物において、メチル基もしくはメチル基をアルキル鎖延長反応に付してできるアルキル基に、自体公知の手段に従って、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などの医薬分野で常用される置換基が導入されてもよい。
【0025】
バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂から上記式(II)および式(III)で表される化合物を抽出する方法について、以下に詳述する。
本発明において使用するバルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul Hook.)とは、上記したようにカンラン科の小木であり、インド半島、ラジャスタンなどが原産地である。
本発明で使用するバルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂とは、通常は上記樹木の幹に傷をつけて採取する。該樹脂は鍾乳石状に速やかに凝固する黄色のゴム状滲出物である。該樹脂は乾燥し、粉砕して市販されているので、本発明においては該市販品を用いてよい。
【0026】
本発明では上記樹脂、好ましくはさらに粉砕したものを、有機溶媒により抽出する。本発明に使用する有機溶媒としては、極性溶媒、低極性溶媒などが好ましく、より好ましくは極性アルコール、例えば、炭素数1〜6のアルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられ、特にメタノールが好ましく、50容量%水性メタノールが最も好ましい。抽出物にはリグナン類、テルペン類、およびガグロステロン類の多くの化合物を含んでいる。抽出条件としては、自体公知の方法に従ってよいが、抽出溶媒が100容量%メタノールの場合は、還流下に約1〜96時間程度かけて行うのが好ましい。また抽出溶媒が50容量%水性メタノールの場合は、還流下に約2〜150時間程度かけて行うのが好ましい。
【0027】
次いで、得られた抽出物に対し少なくとも1回の精製工程を実施するのが特に好ましい。精製手段としては、例えば、シリカゲルもしくはアルミナなどを用いるカラムクロマトグラフィーによる分画、アルコール類と脂肪族炭化水素との間の向流分配、またはケト化合物の単離のための選択的な試薬、ジラード試薬を用いた処理などが挙げられる。また、高速液体クロマトグラフィーによる一連の分留により精製してもよい。具体的には、上記抽出物をさらに酢酸エチル−水混合溶媒で分配し、酢酸エチル可溶性成分を順相および逆相シリカゲル・カラムクロマトグラフィーに付し、次いで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけるという精製工程が好ましい。このようにして、上記式(II)および式(III)で表される化合物を得ることができる。ただし、かかる態様は、本発明の好ましい一態様であり、抽出・精製工程はこれに限定されない。
【0028】
本発明にかかる医薬は、上述のようにして得られる上記化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有している。薬理学的に許容される塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)、有機酸(例えば、炭酸、重炭酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、無機塩基(例えば、ナトリウムもしくはカリウム等のアルカリ金属、カルシウムもしくはマグネシウム等のアルカリ土類金属等)および有機塩基化合物(例えば、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類)との塩が挙げられる。
また、式(I)、(aI)、(I’)または(aI’)で表される化合物は不斉炭素を有しているので、不斉炭素1個について2個の光学異性体が存在しえる。したがって、本発明における医薬は、そのうちの一の光学異性体のみを含むものであってもよいし、またラセミ体もしくはジアステレオマーを含有するものであってもよい。
【0029】
本発明の化合物は、後記するようにマウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫の抗炎症作用を示す。したがって、該化合物を含有する本発明の医薬は、この作用を利用して、特に抗炎症剤としての用途に好適に使用できる。その場合に適用できる炎症性疾患としては、特に限定されないが、例えば、皮膚疾患(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、または紫外線照射もしくは放射線療法に起因する紅斑のような各種の原因に基づく炎症状態)、手術・外傷後の炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎、肺炎、糖尿病性合併症(例えば、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害等)、慢性関節リウマチ、変形性脊椎症、変形性関節炎、腰痛、痛風等が挙げられる。
【0030】
本発明において、上記化合物またはその薬理学的に許容される塩を本発明にかかる医薬としてそのまま投与してもよい。しかし、一般的には、有効成分である上記化合物またはその薬理学的に許容される塩と1または2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。本発明にかかる医薬における本発明の化合物の含有量は、約0.001〜1重量%程度、好ましくは約0.01〜0.1重量%程度である。
このような医薬組成物は、それ自体製剤学の分野で周知または慣用の方法に従って製造することが可能である。
【0031】
経口投与に適する液体製剤の製造には、例えば、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類;p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などの製剤用添加物を用いることができる。
また、カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤などの固形製剤の製造には、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦形剤;澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリセリンなどの可塑剤を用いることができる。
【0032】
非経口投与に適する製剤のうち注射剤や点滴剤などの血管内投与用製剤は、好ましくは体液と等張の水性媒体を用いて調製することができる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物から選ばれる水性媒体を用い、常法に従って適当な助剤とともに溶液、懸濁液または分散液として調製することができる。
また、点眼剤は、滅菌精製水や生理食塩水などの水溶性溶剤、または植物油などの非水溶性溶剤を用いて調製することができる。
【0033】
腸内投与のための坐剤は、例えばカカオ脂、水素化脂肪または水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができる。
噴霧剤は、口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分である本発明に係る化合物を微細な粒子として分散させて吸収を促進することのできる担体を用いて調製することができる。このような担体として、例えば、乳糖またはグリセリンなどを用いることができる。本発明に係る化合物の性質などにより、エアロゾルやドライパウダーなどの形態の製剤として調製することができる。
非経口用の製剤の製造には、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を用いることができる。
【0034】
本発明に係る医薬は、上記化合物を適当な基材と混合して軟膏剤とすることもできる。基材としては、例えば、ワセリン、流動パラフィン、シリコン、植物油などの油脂性基材;例えば、親水ワセリン、精製ラノリンなどの乳剤性基剤;例えば、マクロゴールなどの水溶性基材などが挙げられる。また、上記軟膏剤には、陰イオン型もしくは非イオン型界面活性剤などの乳化剤やパラオキシ安息香酸エステル類などの保存剤が含有されていてもよい。
また、本発明に係る医薬は、軟膏剤の他にも、例えば、パッチ剤、パップ剤、クリーム剤、硬膏剤、テープ剤、ローション剤、液剤、懸濁剤、乳剤、噴霧剤などの経皮投与製剤とすることもできる。
なお、本発明の医薬の形態およびその製造方法は、上記に具体的に説明したものに限定されることはない。
【0035】
本発明に係る医薬の投与経路、投与量および投与頻度は特に限定されず、治療すべき病態の種類、患者の年齢および体重、症状および疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜選択することが可能である。より具体的には、抗炎症剤としての治療上の用量は、経口投与の場合、約1〜1000mg/日程度、好ましくは約10〜150mg/日程度である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。本実施例において、式(II)で表される化合物を「ミルハノールA」と、式(III)で表される化合物を「ミルハノンA」と称することもある。
【0037】
〔実施例1〕 ミルハノールAおよびミルハノンAの単離と構造解明
ガグール(バルサモデンドロン ムクル Hook.)(ラジャスタン、インド)およびミルハ(バルサモンデンドロン ミルハ Nees)(アフガニスタン)のゴム樹脂をシャラングダール製薬PVT.LTD(プーナ、インド)から購入し、還流下にメタノールまたは50容量%水性メタノールで3時間抽出した。3週間後、残渣を集め、同様に2回抽出を繰り返し抽出した。上記3回の抽出操作で得られた3液を合わせ、減圧下で溶媒を留去し、それぞれの植物の抽出物を得た。バルサモデンドロン ムクルの樹脂からの50容量%水性メタノール抽出物は酢酸エチル−水混合物で分配した。酢酸エチル可溶性成分を順相および逆相シリカゲル・カラムクロマトグラフィーに付し、最後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけて、ミルハノールA(0.0084%)およびミルハノンA(0.026%)を得た。
【0038】
ミルハノールAは、正の旋光性[α]D 27+12.2°(MeOH)を示す白色粉末として得られ、fast atom bombardment−mass spectrometry(FAB−MS)および高分解FAB−MSより分子式C30H52O3を有する化合物であることが明らかになった。ミラノールAは、赤外吸収(IR)スペクトルにおいて、水酸基に由来する吸収(3432cm−1および1046cm−1)が認められた。
ミルハノールAの水素核磁気共鳴(1H−NMR)および炭素13核磁気共鳴(13C−NMR)(表1)スペクトルにおいて、酸素官能基に結合したメチン[δ3.21(dd,J=4.9,11.6Hz,3−H)]およびメチレン[δ3.96(s,30−H2)]、3個の三置換オレフィン[δ5.12(dd,J=5.8,6.7Hz,17−H)、5.16(dd−like,13−H)、5.38(dd−like,21−H)]、酸素官能基をもつ四級炭素[δc73.9]および7個のメチル基の存在が確認された。
【0039】
各種二次元NMR[1H−1H correlation spectroscopy(H−H COSY), 13C−1H correlation spectroscopy(C−H COSY),heteronuclear multiple bond connectivity(HMBC)]スペクトルを解析した結果、全シグナルが完全に帰属され、図1に示したH−H COSYスペクトルにおいて太線で示した部分構造が明らかになった。HMBCスペクトルにおいて図1の矢印で示した水素−炭素間に相関が観測されたことから、その平面構造が明らかになった。また、位相検波NOESYスペクトルにおいて、23位の水素と3位,9位水素、25位の水素と24位,26位水素など図1に点線矢印で示した相関が観測されたことからミルハノールAの相対立体構造が明らかとなった。さらに、ミルハノールAの絶対構造については改良Mosher法を適用することで決定した。すなわち、図2に示すように、ミルハノールAの3−(S)−MTPAエステル体(図2の1b)の1H−NMRスペクトルにおいて1,2および25位水素のシグナルが、3−(R)−MTPAエステル体(図2の1a)のそれに比べて高磁場側に観察された(Δδ:−)。一方、3−(S)−MTPAエステル体(図2の1b)の1H−NMRスペクトルにおいて23および24位水素のシグナルは、3−(R)−MTPAエステル体(図2の1a)のそれよりも低磁場側に観察された(Δδ:+)。
以上の結果より、ミルハノールAの絶対的立体構造は(3S,5S,8R,9R,10S)−3,8,30−トリヒドロキシポリポダ−13E,17E,21E−トリエンであると決定された。
【0040】
なお、上記において用いた炭素の位置は、下記のように定義される。
【化37】
【0041】
ミルハノンAは、正の旋光性[α]D 28+11.9°(MeOH)を示す白色粉末として得られ、IRスペクトルにおいて水酸基(3453,1080cm−1)およびカルボニル基(1650cm−1)に由来する吸収が認められ、FAB−MSおよび高分解能FAB−MSより分子式がC30H50O3を有する化合物であることが明らかになった。1H−および13C−NMR(表1)スペクトルにおいて、3位周辺のシグナルを除いてミルハノールA(化合物(II))のシグナルと非常に類似していた。ミルハノンA(化合物(III))をNaBH4にて還元するとミルハノールA(化合物(II))を得たことから、ミルハノンAの化学構造を(5S,8R,9R,10S)−3−オキソ−8,30−ジヒドロキシポリポダ−13E,17E,21E−トリエンであると決定した。
【0042】
【表1】
【0043】
〔試験例〕
〔全形生薬および薬剤〕
酢酸ヒドロコルチゾンはナカライ・テスク(京都、日本)から購入した。ミルハノールA、ミルハノンA、50容量%水性メタノールによるガグール抽出物および100容量%メタノールによるミルハ抽出物は、1%Avicel(旭化成工業、東京、日本)を含む生理食塩水に均一に溶解または懸濁させ、FCA(フロインド完全アジュバント)注射2時間後に1回、続いて4日間、1日1回、下記所定量を腹腔内投与した。
【0044】
〔動物〕
雄ddYマウス(6週齢、体重25.5〜35.5g)を紀和実験動物研究所(和歌山、日本)から購入した。マウスを午前7時から午後7時まで明条件下に、一定温度(25±1℃)および湿度(55±5%)に維持し、かつ、通常の研究用食餌(PML・ラボ・ダイエット、日本、エス・エル・シー株式会社、静岡、日本)を与え、水を自由に摂取させた。
【0045】
〔アジュバント誘導空気嚢肉芽腫〕
既に報告されたようにして、空気嚢肉芽腫を0.1%クロトン油とともにFCA注射して調製した。0.1%クロトン油(ナカライ・テスク、京都、日本)、42.5%流動パラフィン、7.5%モノオレイン酸マンニド(ナカライ)および50%生理食塩水を含むフロインド不完全アジュバント1mL当り、加熱処理したミコバクテリウム・ツバキュローシス(M. tuberculosis)(H37RA、Dfco社、デトロイド、ミシガン州、アメリカ)2mgを使用してFCA乳濁液を調製した。エーテル麻酔したマウスの背側に空気3mLを皮下注射して、定型的な卵状の空気嚢を生成させた。24時間後、FCA乳濁液(0.5mL)をエーテル麻酔下に空気嚢中へ注射した。FCA注射後、5日目にマウスの尾静脈中へ40℃に保温された5%ゼラチン(ナカライ・テスク)を含む10重量%カーミン溶液(メルク社、ダルムスタット、ドイツ)1mLを注射して殺傷した。死亡したマウスを数時間、4℃以下に冷却した。肉芽腫組織のカーミン量を次のようにして測定した。肉芽腫組織を細切し、3N NaOHで溶解し、36%HClにて酸化した。この懸濁液を遠心した後、上澄液を濾過した。濾液中のカーミン量、すなわち嚢肉芽腫に新規に形成された血管の指標は、490nmの光学的密度を測定して決定した。肉芽腫組織は切除して、周辺の緩い結合組織から分離して重量測定した。嚢中の炎症細胞は血球計算器にて計数した。顆粒球、単球およびマクロファージは数の中に含めた。一方、トリパンブルーで染色された死細胞、赤血球および血小板は除いた。嚢液は全てを収集して重量測定した。
【0046】
〔炎症過程における作用〕
炎症過程I(浸出性:嚢液重量)、II(遊走性:炎症細胞数)、III(血管形成性:カーミン容量)およびIV(肉芽腫形成)に対する抑制効果(抗炎症効果)をマウスのアジュバント誘空気嚢肉芽腫を使用して比較した。すなわち、炎症過程I(浸出性)に対する抗炎症作用は嚢液重量を測定することにより、炎症過程II(遊走性)に対する抗炎症作用は炎症細胞数を測定することにより、炎症過程III(血管形成性)に対する抗炎症作用はカーミン容量を測定することにより、炎症過程IV(肉芽腫形成)に対する抗炎症作用は肉芽腫重量を測定することにより、比較した。
【0047】
ミルハノールA(0.6,1.2および2.4mg/kg)、ミルハノンA(0.6mg/kg)、ガグールの50容量%水性メタノールによる粗抽出物およびミルハの100容量%メタノールによる粗抽出物(1.2,6および30mg/kg)、およびヒドロコルチゾン(3.8,7.6および15mg/kg)を、上述したようにしてマウス腹腔内へ注射した。ミルハノールAおよびミルハノンAの用量−抑制反応曲線を4種の炎症パラメーターにおいて、ヒドロコルチゾンのそれと比較した(図3)。
【0048】
図3においては、ガグールのゴム樹脂由来のミルハノールA(黒丸印、n=4〜10)およびミルハノンA(黒三角印、n=5)のマウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫における抗炎症作用が、ヒドロコルチゾン(白丸印 n=4〜12)のそれと比較して示されている。その抗炎症効果はカーミン量、肉芽腫重量、遊走炎症性細胞数および滲出性嚢液重量についてプロットされている。それぞれのグラフにおいては、下記式から計算された相対量%の平均±標準偏差(S.E.M.)が腹腔内投与量(mol/kg)に対して示されている。
【0049】
【数1】
相対量%=(被検化合物を投与したときの値/被検化合物を投与しなかったときの値)×100
ここで、被検化合物とは、ミルハノールA、ミルハノンAまたはヒドロコルチゾンをいう。
なお、上記式の分母の数値、すなわちそれぞれの化合物を投与しなかったときのコントロール値は、カーミン量では0.273±0.022mg、肉芽腫重量では263±20mg、細胞数では(1.88±0.21)×107個、かつ、嚢液重量では198±38mgであった(n=19)。また、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
【0050】
ミルハノールAは、炎症細胞数における抑制効果、すなわち炎症過程II(遊走性)に対する抗炎症効果を除いてヒドロコルチゾンよりも効能があった。ミルハノンAは1.3nmol/kgの投与量においてミルハノールAよりも効果的である傾向が見られた。ミルハノンAの用量−抑制反応曲線は水に難溶で均質懸濁液が得られなかったので用量のデータは得られなかった。ミルハノールAの50%阻害量は、カーミン量では2.80μmol/kg(95%信頼限界:2.07〜3.79)、肉芽腫重量では5.83μmol/kg(95%信頼限界:3.03〜11.2)、嚢液重量では1.75μmol/kg(95%信頼限界:1.34〜2.29)であった。同じくヒドロコルチゾンの50%阻害量は、カーミン量では22.1μmol/kg(95%信頼限界:18.0〜27.1)、肉芽腫重量では29.2μmol/kg(95%信頼限界:23.1〜36.9)、炎症細胞数では11.7μmol/kg(95%信頼限界:7.15〜19.0)および嚢液重量では6.31μmol/kg(95%信頼限界:2.33〜17.1)であった。ミルハノールAは、ヒドロコルチゾンよりもカーミン量では7.9倍、肉芽腫重量では5.0倍および嚢液重量では3.6倍の効能があった。
【0051】
ミルハノールA、ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物およびヒドロコルチゾンの50%阻害量(g/kg)をグラフにプロットして、抗炎症反応の相対的性質を示す(図4)。
図4中、マウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫におけるカーミン量(図中、CCで表す)、肉芽腫重量(図中、GWで表す)、炎症細胞数(図中、ICCで表す)および滲出性嚢液重量(図中、PFWで表す)について、ミルハノールAおよびガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物のLog50%阻害量(ID50、g/kg)を、ヒドロコルチゾン(HC)のそれと対比した。これらの値は図3および5のデータから計算され、交差軸上にプロットされている。起点0から遠い点が強い効果を示す。なお、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
ミルハノールAは、カーミン量または肉芽腫重量のいずれにおいてもガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物よりも効能があった。ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物に対するミルハノールAの効能は、それぞれにおいて23倍および34倍であった。ミルハノールAではなく、ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物は炎症細胞数において弱い効果を示した。
【0052】
50容量%水性メタノールおよび100容量%メタノールによるガグールの粗抽出物の抗炎症効果(図5)を同じ溶媒によるミルハの粗抽出物の効果(図6)と比較した。
図5に、50容量%水性メタノール(黒丸印、n=8〜13)および100容量%メタノール(黒三角印、n=8〜12)によるガグール・ゴム樹脂からの抽出物が示すマウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫における抗炎症効果を示す。カーミン量、肉芽腫重量、遊走炎症性細胞数、および滲出性嚢液重量について、その効果がプロットされている。それぞれのグラフにおいては、下記式から計算された相対量%の平均±標準偏差(S.E.M.)が腹腔内投与量(g/kg)に対して示されている。
【0053】
【数2】
相対量%=(被検化合物を投与したときの値/被検化合物を投与しなかったときの値)×100
ここで、被検化合物とは50容量%水性メタノールおよび100容量%メタノールによるガグールの粗抽出物という。
なお、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
【0054】
極性溶媒によるガグール抽出物の抗炎症効果は、特にカーミン量および嚢液重量において、低極性溶媒によるものよりも強い傾向を示した。低極性溶媒によるミルハの粗抽出物の滲出液はむしろ、炎症を増強する傾向にあった(図6)。
図6に示したように、50容量%水性メタノール(黒丸印、n=5〜10)および100容量%メタノール(黒三角印、n=4〜7)によるミルハ・ゴム樹脂からの抽出物は、マウスのアジュバント誘導空気嚢肉芽腫における弱抗炎症作用、むしろ炎症作用を示す。カーミン量、肉芽腫重量、遊走炎症性細胞数、および滲出性嚢液重量について、その効果をプロットした。それぞれのグラフにおいては、下記式から計算された相対量%の平均±標準偏差(S.E.M.)が腹腔内投与量(g/kg)に対して示されている。
【0055】
【数3】
相対量%=(被検化合物を投与したときの値/被検化合物を投与しなかったときの値)×100
ここで、被検化合物とは50容量%水性メタノールおよび100容量%メタノールによるミルハの粗抽出物という。
なお、図中の*は、P<0.05であり、コントロールと比較して有意差があったことを示す。
【0056】
結論として、ガグール・ゴム樹脂から単離されて同定された化合物、ミルハノールAおよびミノハノンAは、強い抗炎症剤となり得る。特に、ミルハノールAは非ステロイドで親水性の化合物であるから、従来抗炎症剤として用いられているヒドロコルチゾンよりも副作用が少ないという利点を有する。
【0057】
【発明の効果】
ガグール(バルサモデンドロン(Balsamondendron)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)Hook.)のゴム樹脂から抽出された化合物(ミルハノールAまたはミルハノンA)は、ヒドロコルチゾン、またはガグールもしくはミルハの粗抽出物に比べて、特に抗炎症作用が強く、抗炎症剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物であるミルハノールAの、H−H COSYスペクトル、HMBCスペクトルおよび位相検波NOESYスペクトルにおける相関を示す図である。
【図2】改良Mosher法の適用による本発明の化合物であるミルハノールAび絶対構造の決定過程を説明するための図である。
【図3】本発明の化合物であるミルハノールA(黒丸印)およびミルハノンA(黒三角印)の抗炎症作用をヒドロコルチゾン(白丸印)のそれと比較した図である。
【図4】本発明の化合物であるミルハノールA、ガグール・ゴム樹脂の50容量%水性メタノール抽出物の抗炎症作用をヒドロコルチゾンのそれと比較した図である。
【図5】50容量%水性メタノール(黒丸印)および100容量%メタノール(黒三角印)で抽出したガグール・ゴム樹脂の抽出物の抗炎症作用を示す図である。
【図6】50容量%水性メタノール(黒丸印)および100容量%メタノール(黒三角印)で抽出したミルハ・ゴム樹脂の抽出物の炎症作用を示す図である。
Claims (9)
- 一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含む医薬。
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕 - 抗炎症剤である請求項1または2に記載されている医薬。
- バルサモデンドロン・ムクル(Balsamondendron mukul)またはコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の樹脂を有機溶媒により抽出し、該抽出物を少なくとも1回の精製工程を経て、得られる精製物に対し所望により(a)アルキル鎖延長反応、(b)イソプレン鎖の鎖短縮または鎖延長反応、(c)アルキル基への置換基導入反応、(d)酸化反応、(e)水酸基、カルボキシル基もしくはカルボニル基への保護基導入反応、(f)カルボキシル基の塩への変換反応、および(g)二重結合の還元反応からなる群から選ばれる一以上の反応を行うことを特徴とする下記一般式(I)で表される化合物またはその塩の製造方法。
〔式中、XおよびYは一方が水素原子、他方が保護されていてもよい水酸基を表し、またはXとYが一緒になって保護されていてもよいカルボニル基を形成してもよく、Zは保護されていてもよい水酸基を表し、RはCH2R1(R1は保護されていてもよい水酸基を表す。)または保護されていてもよいカルボキシル基を表し、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一または異なって、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し(nが2〜4の整数である場合はイソプレン単位ごとにR15は同一であっても、異なっていてもよい。)、さらに、
は単結合または二重結合を表し、nは0〜4の整数を表す。〕
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001056571A JP2004331501A (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | 新規化合物またはその誘導体を含有する抗炎症剤 |
| PCT/JP2002/001823 WO2002069952A1 (en) | 2001-03-01 | 2002-02-27 | Antiinflammatory agents containing novel compounds or derivatives thereof |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001056571A JP2004331501A (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | 新規化合物またはその誘導体を含有する抗炎症剤 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004331501A true JP2004331501A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=18916579
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001056571A Pending JP2004331501A (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | 新規化合物またはその誘導体を含有する抗炎症剤 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004331501A (ja) |
| WO (1) | WO2002069952A1 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2018230713A1 (ja) | 2017-06-16 | 2018-12-20 | 学校法人同志社 | カスパーゼ阻害活性を有する化合物、これらの化合物を含む、角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬およびその応用 |
| US11433090B2 (en) | 2017-06-16 | 2022-09-06 | The Doshisha | mTOR-inhibitor-containing medicine for treating or preventing ophthalmic symptoms, disorders, or diseases, and application thereof |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| FR2738565B1 (fr) * | 1995-09-13 | 1997-11-28 | Dior Christian Parfums | Produits extraits d'une plante du genre commiphora, en particulier de la plante commiphora mukul, et extraits en contenant et leurs applications notamment en cosmetique |
-
2001
- 2001-03-01 JP JP2001056571A patent/JP2004331501A/ja active Pending
-
2002
- 2002-02-27 WO PCT/JP2002/001823 patent/WO2002069952A1/ja not_active Ceased
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2018230713A1 (ja) | 2017-06-16 | 2018-12-20 | 学校法人同志社 | カスパーゼ阻害活性を有する化合物、これらの化合物を含む、角膜内皮の症状、障害または疾患を治療または予防するための医薬およびその応用 |
| US11433090B2 (en) | 2017-06-16 | 2022-09-06 | The Doshisha | mTOR-inhibitor-containing medicine for treating or preventing ophthalmic symptoms, disorders, or diseases, and application thereof |
| US12343356B2 (en) | 2017-06-16 | 2025-07-01 | The Doshisha | mTOR-inhibitor-containing medicine for treating or preventing ophthalmic symptoms, disorders, or diseases, and application thereof |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| WO2002069952A1 (en) | 2002-09-12 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| KR101150046B1 (ko) | 자가면역 질병을 치료하기 위한 안트로디아 캄포라타로부터얻은 시클로헥세논 화합물 | |
| AU1960199A (en) | Certain diterpenes and extracts or concentrates of curcuma amada containing them for use as medicaments | |
| JP6896630B2 (ja) | 牛樟芝化合物、その製造方法及び用途 | |
| EP0258390A1 (en) | Treatment of cutaneous hyperproliferative dermatoses with manoalide | |
| JPH05213744A (ja) | 炎症性疾患の処置のための薬剤調製物 | |
| US20100120902A1 (en) | Standarized bioactive herbal extracts | |
| CN115141250B (zh) | 一种千里光衍生物及其制备方法和用途 | |
| JP3128823B2 (ja) | 制癌化合物およびその製造法 | |
| JPH031289B2 (ja) | ||
| CN110437247A (zh) | 一种具有保肝护肝作用的混源萜类化合物及其用途 | |
| CN108659089B (zh) | 一种具有抗氧化作用的甾醇化合物及其在制备药物中的应用 | |
| WO2002069952A1 (en) | Antiinflammatory agents containing novel compounds or derivatives thereof | |
| CN105640937A (zh) | 一种去氢中美菊素c的用途 | |
| JP2540871B2 (ja) | 抗高脂血症剤 | |
| WO1989003376A1 (fr) | Agent de traitement de la keratose | |
| JPH0569829B2 (ja) | ||
| JPH0717859A (ja) | アラキドン酸代謝異常疾患治療剤 | |
| KR102179531B1 (ko) | 관동화 유래 세스퀴테르펜 화합물 또는 세스퀴테르펜 강화 분획을 유효성분으로 함유하는 건선의 예방 또는 치료용 조성물 | |
| JP2816664B2 (ja) | 抗痴呆症剤 | |
| CN106467509A (zh) | 丹酚新酸化合物及其制备方法和应用 | |
| JPH0386824A (ja) | ジテルペン系化合物及びこれを有効成分とする抗炎症剤 | |
| JPH041751B2 (ja) | ||
| JP7393457B2 (ja) | フランアスピドスペルミン二量体又はその薬学的に許容される塩及びその製造方法と適用、ならびに医薬組成物 | |
| JPH05163202A (ja) | 新規ポリアセチレン系化合物類およびポリアセチレン系化合物類を有効成分とする5−リポキシゲナーゼ阻害剤 | |
| KR102218299B1 (ko) | 관동화 유래 세스퀴테르펜 화합물 또는 세스퀴테르펜 강화 분획을 유효성분으로 함유하는 건선의 예방 또는 치료용 조성물 |
