JP2004363696A - アレースピーカーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】アレースピーカーのビーム制御を高精度に行なう。
【解決手段】マイクロコンピュータ6は、アレースピーカーを構成する各スピーカーユニット5とビームの焦点との距離を算出して、それに対応する遅延時間を求め、入力音響信号を遅延する遅延メモリ2から信号を取り出すためのタップと補間処理手段3において補間に用いる係数を各スピーカーユニットごとに設定する。各スピーカーユニット5への信号に対応する遅延を付与するために、遅延メモリ2の対応するタップの信号が補間処理手段3で直線補間又はLPF補間され、D/A変換された後各スピーカーユニット5から出力される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のスピーカーユニットがアレー状に配置されたアレースピーカーシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のスピーカーユニットを規則正しく並べて音を出すアレースピーカーを使って音響信号ビーム(指向性)を制御することは知られている(特許文献1,特許文献2)。
アレースピーカーにおける指向性の制御について、図7を参照して説明する。
図7において、sp−1〜sp−nは所定間隔をもって直線状に配列されたスピーカーユニットである。ここで、図中Xで示す焦点に向かう音響信号ビームを生成する場合には、焦点Xからの距離がLである円弧Yを考え、該焦点Xと各スピーカーユニットsp−1〜sp−nとを結ぶ直線と円弧Yとの交点と対応するスピーカーユニットsp−i(i=1,・・・,n)との間の距離Liに応じた遅延時間(=Li/音速(340m/s))をスピーカーユニットsp−iから出力される信号に付与する。これにより、各スピーカーユニットsp−1〜sp−nから出力される音響信号が、焦点Xに同時に到達するように制御することができる。
このように、各スピーカーユニットから出力する音響信号に所定の遅延を付与して、各スピーカーユニットから出力される音響信号が、空間上の任意の点(焦点)に同時に到達するように制御することにより、あたかも焦点方向に向かって音響ビームを放出するような効果を得ることができる。
【0003】
この技術の応用として、数本のビームを部屋の任意の壁に当てて壁で散乱させ、ここに仮想音源をつくりだし、マルチチャンネルサラウンドを実現することが考えられる。
図8において、81はリスニングルーム、82はテレビなどの映像装置、83はアレースピーカー、84は聴取者である。ここで、5.1チャンネル再生を行なうものとして説明すると、センターチャンネル(C)の信号については、アレースピーカー83から前方に音響信号を発生し、メインLチャンネルの信号については、図中左側の壁に当てるようにビームを制御して仮想Lチャンネル85とし、メインRチャンネルの信号については、右側の壁に当てるようにビームを制御して仮想Rチャンネル86とし、サラウンドLチャンネルの信号については、左側の壁から後方の壁に当てるようにビームを制御して仮想サラウンドLチャンネル87とし、サラウンドRチャンネルの信号については、右側の壁から後方の壁に当てるようにビームを制御して仮想サラウンドRチャンネル88とする。
このように、アレースピーカー83を用い、Lチャンネル、Rチャンネル、サラウンドLチャンネル及びサラウンドRチャンネルについては、そのチャンネルの音響信号をリスニングルームの壁に当てるようにビーム制御することにより、それぞれのチャンネルのビームの到来方向からそのチャンネルの音響信号が聴こえるように制御することができる。
【0004】
また、異なるコンテンツに異なる指向性を持たせ、部屋の左右で異なるコンテンツを聴くといった応用も考えられている(特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平03−159500号公報
【特許文献2】
特開昭63−9300号公報
【特許文献3】
特開平11−27604号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようにアレースピーカーを用いてビーム制御を行うことにより、マルチチャンネル再生や異なるコンテンツの同時再生などを行うことができる。
しかしながら、アレースピーカーのビーム制御を行なう場合には、音の波長との関係から、低周波数領域の信号を制御するためにはアレーの幅が十分広くなければならず、一方、高周波数領域の信号を制御するためにはアレー内のスピーカーユニット間の間隔が十分狭くなければならない。例えば、音声に必須の帯域である10kHzの信号を、サイドローブを十分に抑えながらビーム制御するためには、スピーカーユニット間の間隔が、その信号の波長である3.4cm(=音速340m/s÷10kHz)以下であると理想的である。このとき、隣接するスピーカーユニット間の遅延時間の差は非常に小さくなる。
【0007】
このことにつき、図9を参照して具体的に説明する。図9は、アレースピーカーを構成するスピーカーユニットが3.4cm間隔で配列されている場合に、アレースピーカーの前面から2m離れた焦点Xにビームを制御する場合の隣接するスピーカーユニット(spa,spb)間の遅延時間の差について示す図であり、(a)は焦点Xがスピーカーユニットspbから1m離れた位置の前方にある場合、(b)はスピーカーユニットspbの前方にある場合を示している。
図示するように、(a)の場合には、スピーカーユニットspbから焦点Xまでの距離は2.2361m、スピーカーユニットspbに隣接するスピーカーユニットspaと焦点Xとの間の距離は2.2515mとなり、遅延時間の差は、(2.2515−2.2316)m÷340m/s=45μsとなる。スピーカーユニットspaへ出力する信号に与える遅延量がtaであるとすると、spbの出力に付加する遅延は(ta+45μs)となる。また、(b)の場合には、スピーカーユニットspbから焦点Xまでの距離は2m、スピーカーユニットspaから焦点Xまでの距離は2.0003mとなり、遅延時間の差は、0.0003m÷340m/s=0.9μsとなる。この場合には、スピーカーユニットspbの出力に対して与える遅延は(ta+0.9μs)となる。
このように、隣接するスピーカーユニット間の遅延時間の差は、焦点Xの位置によって変わるが、数十μ秒から1μ秒以下となり、非常な小さな値となる。
【0008】
図10は、各スピーカーユニットに供給する信号にそれぞれ対応する遅延を付与するアレースピーカーの遅延制御回路(ビーム制御回路)の基本構成を示す図である。なお、ここでは、1チャンネルの出力、すなわち、1本のビームのみを取り扱う回路のみを示す。チャンネル数(ビーム数)が複数になった場合には、各スピーカーユニットごとに、D/A変換の前で、それぞれ遅延を与えられた複数チャンネルの信号を加算することで、簡単に拡張可能である。
図10において、91はA/D変換器、92は複数のタップを有する遅延メモリ、93は各スピーカーユニット対応に設けられた乗算器、94は各スピーカーユニット対応に設けられたD/A変換器、95はアレースピーカーを構成するスピーカーユニット、96は、遅延タップの設定、すなわち、前記遅延メモリ92のどのタップを前記各スピーカーユニット対応に設けられた乗算器93に接続するかを設定する制御手段(マイクロコンピュータ)である。
【0009】
このように構成された遅延制御回路において、アナログの入力信号は前記A/D変換器91でデジタル信号に変換されて、又ディジタルの入力信号は直接、遅延メモリ92に入力される。遅延メモリ92は、例えば、遅延素子が複数段直列に接続されたシフトレジスタであり、入力信号をサンプリング周期の整数倍だけ遅延した信号を対応するタップから出力することができる。前記マイクロコンピュータ96は、ビームを向ける焦点Xの位置に応じて各スピーカーユニットから出力する信号に与える遅延量を算出し、該算出した遅延量に対応するタップの出力をそれに対応するスピーカーユニットの乗算器93に接続するように設定する。遅延メモリ92の設定されたタップからの遅延された信号は、乗算器93でビーム制御に必要なウインドウ処理やボリューム用のゲインを乗算され、D/A変換器94でアナログ信号に変換されて、それぞれ対応するスピーカーユニット95から放射されることとなる。
【0010】
このように、各スピーカーユニットに供給する信号の遅延は前記遅延メモリ92により作り出されるのであるが、遅延メモリのタップ位置、すなわちサンプリング周期が遅延量の最小単位となっている。
図11は、前記遅延メモリ92をより詳細に示す図である。ここで、92−1,92−2,・・・,92−5,・・・は複数個直列に接続されたシフトレジスタなどの遅延素子である。
ここで、付加したい遅延時間をD1、サンプリング周期をT1とすると、遅延のためのタップ数はD1/T1から求めることができる。
前記マイクロコンピュータ96(図10)は、焦点Xから各スピーカーユニットまでの距離を計算し、各スピーカーユニットへの信号に与える遅延時間を計算し、これを遅延メモリ92の遅延タップ数として、各スピーカーユニット対応に設定する。ここで、タップ数は、D1/T1の小数点以下を四捨五入することで求められる。D1/T1の計算結果が整数部a、小数部がbの(a+b)で表されるとすると、出力Y(z)、入力X(z)としたとき、
b>0.5のときY(z)=X(z)z−a
b≧0.5のときY(z)=X(z)z−(a+1)
となる。
仮に、サンプリング周波数Fsを200kHz(サンプリング周期T1=5μs)、与えたい遅延D1が17μsであるとすると、17/5=3.4から、a=3,b=0.4,b<0.5より、Y(z)=X(z)z−3となる。
すなわち、遅延素子92−3のタップから遅延時間15μsの信号が取りだされ、2μsの誤差が生ずる。
このように、サンプリング周波数Fsを仮に200kHzとすると、遅延時間の最小値は5μ秒であり、前述のスピーカー間の遅延時間差を十分に表現可能であるとは言い難い。
【0011】
遅延分解能を上げるためには、サンプリング周波数Fsを上げれば良いが、同じ遅延量を得るためにより大きなメモリが必要となる、高速処理が可能なD/A変換器やA/D変換器が必要となる、高速なディジタル処理が必要になり設計が難しくなる、消費電力が増える、高価になるといった問題が生じる。また、ディジタルフィルタリング等ディジタル信号処理を施す場合、同じ特性を実現するのためにはより大きなタップ数(演算回数)が必要となる、などデメリットが多い。
【0012】
そこで本発明は、サンプリング周波数を上げることなく、アレースピーカーによる音響信号の指向性制御を高い精度で行うことができるアレースピーカーシステムを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のアレースピーカーシステムは、アレー状に配置された複数のスピーカーユニットからそれぞれに対応する時間差が付与された信号を出力することにより音響信号の指向性を制御するようになされたアレースピーカーシステムであって、音響信号をサンプリング周期単位で遅延させる遅延メモリと、各スピーカーユニットへの信号に与える遅延量を算出する制御手段と、前記制御手段により算出された遅延量に基づき、前記遅延メモリからの出力に対する補間処理を行なう補間処理手段とを有し、前記補間処理手段の出力を前記各スピーカーユニットに供給するようになされているものである。
また、前記補間処理手段は、直線補間を行なう手段とされているものである。
あるいは、前記遅延メモリと前記補間処理手段とによりFIRローパスフィルターが構成されているものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のアレースピーカーシステムにおける遅延制御回路(ビーム制御回路)の基本構成を示す図である。なお、ここでは、一つのチャンネルの出力(1本のビーム)のみを扱う回路を記載した。チャンネル数が複数になった場合には、前述と同様に、A/D変換の前で、各スピーカーユニットごとにそれぞれ遅延が与えられた複数チャンネルの信号を加算することで、容易に拡張することができる。
この図において、1はこのチャンネルの入力信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、2は入力されたディジタル信号をサンプリング周期単位で遅延させて対応するタップから出力する遅延メモリ、3は前記遅延メモリ2の対応するタップの出力を用いて各スピーカーユニットへの信号に与える遅延を付与された信号を出力する補間処理手段、4はアレースピーカーを構成する各スピーカーユニット対応に設けられ、前記補間処理手段3で各スピーカーユニットに対応する遅延が付与されたディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器、5はアレースピーカーを構成する所定の間隔をもって配列されたスピーカーユニットである。さらに、6は前記ビームが向けられる焦点の位置に応じて、該焦点と各スピーカーユニットとの間の距離を算出し、それに基づいて各スピーカーユニットヘの信号に与える遅延時間を算出し、該算出した遅延時間に応じて各スピーカーユニットに供給する信号を得るために用いる遅延メモリ2のタップを設定するとともに、前記補間処理手段3に対して、各スピーカーユニットに対応する補間処理に用いる係数を設定する制御手段(マイクロコンピュータ)である。なお、前記図10,図11においてはビーム制御に必要なウインドウ処理やボリューム用のゲインを乗算する乗算器93を記載していたが、煩雑さを避けるために、ここではその記載を省略している。
【0015】
このように、本発明のアレースピーカーシステムにおいては、各スピーカーユニットへの信号に与える遅延量を補間により求めるようにしているため、サンプリング周波数を高くすることなく、高精度の指向性制御を行うことが可能となる。
【0016】
前記補間処理手段3の具体的な実施の形態についてさらに説明する。
図2は、前記補間演算手段3において直線補間を行なう実施の形態の基本構成を示す図である。なお、ここでは、一つのスピーカーユニット(第N番目のスピーカーユニット)5に対応する遅延制御回路を示している。
図中、2−1,2−2,・・・,2−5,・・・は、サンプリング周期でデータを移動する遅延素子を示しており、これにより前記遅延メモリ2が構成されている。そして、補間処理手段3として、このスピーカーユニットに対応する遅延時間に応じた2つのタップからの出力に係数を乗算するための乗算器31及び32と、各乗算器31,32からの出力を加算してD/A変換器4に出力する加算器33が設けられている。すなわち、この実施の形態の補間処理は、2回の乗算と1回の加算で構成されている。
【0017】
前述のように、付加したい遅延をD1、サンプリング周期をT1とすると、遅延のためのタップ数はD1/T1から求めることができる。この実施の形態では、D1/T1の計算結果が整数部a、小数部がbの(a+b)で表されるとすると、
直線補間では、
Y(z)=(1−b)X(z)z−a+bX(z)z−(a+1)
となるよう、係数bと(1−b)を設定する。
前記図11の場合と同様に、サンプリング周期T1=5μs、与えたい遅延D1=17μsであるものとすると、17/5=3.4,a=3,b=0.4から、図2に示すように、
Y(z)=0.6X(z)z−3+0.4X(z)z−4
となる。
このように、与えたい遅延量をはさむ直近の2つのタップから信号を取り出し、小数点以下の重みをつけて補間信号を算出する。
【0018】
補間のために必要な処理は、マイクロコンピュータ6による係数の算出を除けば、掛け算と加算のみである。実用的なアレースピーカーシステムでは、前述のように、入力の複数チャンネルの加算とウィンドウ係数の掛け算が必要であるので、ハードウェアとしては新たに追加する必要はない。処理リソースとしては、入力1ch/出力1スピーカーchあたり、従来は1回の乗加算のみ行っていたのが、2回の乗加算が必要となる。
【0019】
このような直線補間の良い点は、簡単な処理で、時間精度(分解能)が(プロセッサの係数語長を無視すれば)無限となることである。
しかしながら一方、上の式からわかるように、直線補間は低域通過フィルター(LPF:Low Pass Filter)として働く。しかも、係数bと(1−b)が変わるとその周波数特性が変わってしまう。
図3は、直線補間の周波数特性の一例を示す図である。なお、この例におけるサンプリング周波数は192kHzである。図3に示すように、bの値に応じて特性はばらついているが、20kHzでの差はほぼ0.5dB以内、10kHzでの差はほぼ0.1dB以内である。この値は、コンテンツの種類によっては十分実用的なレベルである。
【0020】
上述のような直線補間による周波数特性の変動が不都合である場合には、低次のFIR(finite impulse response)形LPFを用いて補間する方法を用いればよい。この低次のFIR型LPFを用いる実施の形態について、図4を参照して説明する。
この実施の形態では、
Y(z)=aX(z)z−(a−n)+・・・+aX(z)z−a+・・・+a2n+1X(z)z−(a+n+1)
で示されるFIRフィルタを構成し、前記マイクロコンピュータ6は、D1/T1の小数部bに対応したフィルタ係数a,・・・,a,・・・,a2n+1を与えるようにする。
図4に示した例(a=3,b=0.4)では、3次のラグランジュ補間(n=1)により算出した係数を用い、4タップを使うLPF,
Y(z)=−0.064X(z)z−2+0.672X(z)z−3+0.448X(z)z−4−0.056X(z)z−5
を構成している。
【0021】
図4において、34,35,36及び37は、前記遅延メモリ2のそれぞれ対応するタップの出力に係数を乗算する乗算器、38は前記乗算器34〜37の出力を加算する加算器である。この場合には、4回の乗算と3回の加算で構成される。この実施の形態も掛け算と加算のみで実現され、処理リソースは、入力1ch/出力1スピーカーchあたり、4回の乗加算が必要となる。
ここで、フィルタ係数は、あらかじめポリフェーズフィルタを設計する要領で計算しておき、マイクロコンピュータ6内などに設けられたメモリにテーブルとして持たせておくのが簡単である。図4の例では、1つのフィルタ(1つのbの値)あたり4個の係数が必要なので、時間分解能を64倍にする場合は、256(=64×4)ワードのテーブルとなる。
【0022】
図5は、図4に示した実施の形態の周波数特性を示す図である。ここで、サンプリング周波数は192kHzである。図示するように、20kHzでの差は0.05dB以下、10kHzでの差は0.01dB以下であり、このような低次のFIRフィルタで十分実用に耐えうることがわかる。
なお、3次に限らず、2次や4次のラグランジュ補間を用いてもよい。2次の場合は3つのタップの出力を用い、4次の場合は5つのタップの出力を用いることとなる。
【0023】
図6は、以上説明した各場合における出力波形の一例を示す図である。
この図において、(a)は入力信号X(t)、(b)は前記図11に示した従来技術における出力信号Y(t)=X(t+15μs)、(c)は前記図2に示した直線補間を行なったときの出力信号Y(t)=0.6X(t+15μs)+0.4X(t+20μs)、(d)は前記図4に示したLPF補間を行なったときの出力信号Y(t)=−0.064X(t+10μs)+0.672X(t+15μs)+0.448X(t+20μs)−0.056X(t+25μs)の例をそれぞれ示している。
このように、補間処理によって、理想的な遅延信号(図示する例では、入力を17μs遅らせた信号)を得ることができる。
【0024】
さて、直線補間や低次のLPFによる補間は、図3、図5に見られるように、補間する位置(bの値)によって周波数特性のばらつきが出てしまう。例えば、図3の場合には10kHzでのばらつきが0.1dBとなっている。
一方、アレースピーカーは、扱える上限周波数に限界がある。すなわち、スピーカーユニット間のピッチが出力波長の1/2以上になると、設定する焦点以外の場所にも位相が揃う点が生成されてしまい、ビームが2本以上出ることになってしまう。実用的なスピーカーユニットの直径は2cm程度であり、スピーカーユニットを平面状でハニカムのような互い違いに配置するなどの方法でピッチの実効長を短くすることは可能であるが、この場合でもピッチを2cm以下にすることは困難である。そのため、アレースピーカーで制御できる上限周波数は10kHz以下である。
このように、アレースピーカーの扱える上限周波数は可聴帯域の上限周波数より低く制限されるため、補間する位置による周波数特性のばらつきによる影響はほとんどなく、直線補間や低次のLPFによる補間とアレースピーカーの相性は良いものである。
【0025】
なお、上述した実施の形態においては、前記遅延メモリ2が複数の遅延素子が直列に接続されたシフトレジスタ構成を有するものとして説明したが、これに限られることはなく、サンプリング周期を単位とする遅延出力を得ることができるものであればよい。例えば、ディジタルメモリにサンプリングされた入力信号を書き込み、所定のサンプリング周期経過後に該メモリから信号を読み出すように構成されたものであってもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アレースピーカーの各スピーカーユニット間の遅延時間差を非常に細かい分解能で実現することができる。しかも、アレースピーカーのビーム制御自体に必要なディジタル処理装置のリソースを流用することで実現でき、新たなハードウェアの追加を必要としない。
一方、サンプリング周波数を上げないので、より大きなメモリ,高速処理が可能なD/A変換器やA/D変換器などを必要とせず、高速ディジタル処理が必要とならずに消費電力の増加やコストの増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアレースピーカーシステムの基本構成を示す図である。
【図2】直線補間を用いる実施の形態の要部構成を示す図である。
【図3】直線補間を用いる実施の形態の周波数特性の例を示す図である。
【図4】LPF補間を用いる実施の形態の要部構成を示す図である。
【図5】LPF補間を用いる実施の形態の周波数特性の例を示す図である。
【図6】各場合における信号波形の例を示す図である。
【図7】アレースピーカーにおける音響信号ビームの制御について説明するための図である。
【図8】アレースピーカーを用いたマルチチャンネル再生について説明するための図である。
【図9】隣接するスピーカーユニット間の遅延時間の差について具体的に説明するための図である。
【図10】従来のアレースピーカー駆動回路の基本構成を示す図である。
【図11】従来のアレースピーカー駆動回路の要部構成を示す図である。
【符号の説明】
1:A/D変換器、2:遅延メモリ、3:補間処理手段、4:D/A変換器、5:スピーカーユニット、6:制御手段、31,32,34〜37:乗算器、33,38:加算器

Claims (3)

  1. アレー状に配置された複数のスピーカーユニットからそれぞれに対応する時間差が付与された信号を出力することにより音響信号の指向性を制御するようになされたアレースピーカーシステムであって、
    音響信号をサンプリング周期単位で遅延させる遅延メモリと、
    各スピーカーユニットへの信号に与える遅延量を算出する制御手段と、
    前記制御手段により算出された遅延量に基づき、前記遅延メモリからの出力に対する補間処理を行なう補間処理手段とを有し、
    前記補間処理手段の出力を前記各スピーカーユニットに供給するようになされていることを特徴とするアレースピーカーシステム。
  2. 前記補間処理手段は、直線補間を行なう手段であることを特徴とする請求項1記載のアレースピーカーシステム。
  3. 前記遅延メモリと前記補間処理手段とによりFIRローパスフィルターが構成されていることを特徴とする請求項1記載のアレースピーカーシステム。
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