JP2005201084A - シリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】 シリンダ周囲へのウォータジャケットの形成が容易であるとともに、シリンダライナの振動がシリンダ外壁部へ伝達されるのを抑制することが容易なシリンダブロックを提供する。
【解決手段】シリンダ周囲にウォータジャケットの形成されるシリンダブロック3の中段部を、そのウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側の壁面を構成するシリンダライナ部20と、同ウォータジャケットとなる部位を囲む外壁を構成するシリンダ外壁部32とに分割形成する。そして、シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32に組み付けたとき、シリンダ連結体21の上方側に設けられたライナ部側突部41とその対向面との間に防振ゴム43が支持されるようになっている。この防振ゴム43は、ピストン40が上死点に位置するときの側面に対応する位置(ウォータジャケットの上方側)に配設される。
【選択図】 図6

Description

本発明は、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されたシリンダブロックをシリンダヘッドに組み付けて形成されるエンジンに用いられるシリンダブロックに関する。
エンジンのシリンダブロックには、そのシリンダ周囲に冷却水を循環させるウォータジャケットが形成されている。シリンダブロックは、シリンダボアの形成されたシリンダ部をその上部に、クランクケースを構成するクランクケース部をその下部にそれぞれ備えて構成されている。ちなみに、こうしたエンジンのシリンダブロックにおけるウォータジャケット構造としては、ウォータジャケットがシリンダブロック頂面に開口されたオープンデッキ構造と、ウォータジャケットがシリンダブロック頂面に開口されずに閉塞されたクローズデッキ構造とがある。
例えば、特許文献1には、ライナをシリンダブロックと別体構造としたものが開示されている。このような別体構造を採用した場合には、シリンダブロックに対してライナを適切に支持する必要がある。そこで、上記文献に記載のものでは、ライナの下部に配設された弾性マウント部材によって同ライナを弾性支持するようにしている。
特開平5−5457号公報
こうした従来の構成によれば、例えばピストンの上下動に伴うライナの振動、すなわちシリンダ軸方向における振動についてはある程度の抑制効果が期待できる。しかしながら、この弾性マウント部材はウォータジャケットのシール機能をも併せ持たせるために、これを最も下方に配置せざるを得ない。このため、上記弾性マウント部材では、シリンダ径方向の振動について効果的に抑制することができず、この点においてなお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、シリンダライナ部の振動、ひいては同振動がシリンダブロック本体に伝達されるのを好適に抑制することのできるシリンダブロックを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されて、シリンダヘッドに組み付けられることでエンジンの本体部を構成するシリンダブロックであって、前記シリンダブロックが、前記ウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側を構成するシリンダライナ部と、同ウォータジャケットの外側壁を構成するシリンダブロック本体との別体構造からなり、前記シリンダライナ部と前記シリンダブロック本体との間には前記ウォータジャケットをその上下に区画する位置に弾性部材が支持されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、ウォータジャケットをその上下に区画する位置、すなわち同ウォータジャケットの端部よりも振動の振幅が大きくなる位置に介在させた弾性部材の減衰作用により、シリンダライナ部の振動、ひいては同振動がシリンダブロック本体に伝達されるのを好適に抑制することができる。
ところで、こうしたシリンダライナ部の振動は、エンジンのピストンがその上死点近傍にあって、同ピストンが燃焼圧の作用により強く揺動する、いわゆるピストンの首振り現象が発生することに起因するところが大きい。そこで、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、前記弾性部材は前記シリンダライナ部の上方側に配置されることをその要旨としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のシリンダブロックにおいて、前記弾性部材は前記シリンダライナ部の内部を往復動するピストンが上死点に位置するとき同ピストンの側面に対応する位置に配設されることを要旨としている。
これら各請求項に記載の構成によれば、こうしたピストンの首振り現象が発生した場合であれ、こうした首振り現象に起因するシリンダライナ部の振動、更にはこれが伝達されることによるシリンダブロック本体の振動を好適に抑制することができる。
また、こうしたピストンの首振り現象はシリンダの配列方向と直交する方向の振動成分が最も大きい。そこで、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記弾性部材は少なくともその一部がシリンダの配列方向と直交する線上に配設されることを要旨としている。この構成によれば、ピストンの首振り現象に起因して発生する振動をより効果的に抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、前記弾性部材は前記シリンダライナ部及び前記シリンダブロック本体の少なくとも一方から前記ウォータジャケット内に延びる突部と他方との間に支持されることをその要旨としている。
上記構成によれば、ウォータジャケットを形成する間隙の間に介在させる弾性部材についてその大きさや形状が制限される場合であれ、これを突部により適宜調節することができる。更に、弾性部材による減衰作用と突部による剛性とを適宜設定することによって、それら弾性部材と突部とを含む振動系の固有振動数を調節し、シリンダライナ部に発生する振動をより効果的に抑制することも可能になる。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記突部の前記弾性部材を支持する支持面はその上方側ほど前記シリンダブロック本体の内周面に近接するように斜状に形成されてなるとしている。
上記構成によれば、シリンダブロック本体にシリンダライナ部を上方から下方に挿入するに際し、弾性部材は突部によって徐々に押圧されるため、同弾性部材の位置がシリンダの上方側にずれるのを抑制することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリンダブロックにおいて、前記突部は前記シリンダの周囲を囲む環状を呈してなることを要旨としている。
上記構成によれば、例えば突部をシリンダの周囲に選択的に形成する場合と比較して容易にこれを形成することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のシリンダブロックにおいて、前記弾性部材は前記環状をなす突部により全周にわたって支持される環状を呈してなる。
上記構成によれば、シリンダライナ部に発生する振動が種々のモードを有している場合であっても、こうした振動をシリンダライナ部全周にわたって設けられた弾性部材により効果的に抑制することができるようになる。
以下、本発明に係るシリンダブロックを具体化した一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態のシリンダブロックを採用した直列4気筒式の水冷式エンジンについてその本体部1の斜視構造を示している。水冷式エンジンの本体部1は大きくは、シリンダヘッド2及びシリンダブロック3を備えて構成されている。シリンダヘッド2とシリンダブロック3とは、ガスケット4を介してボルト締結にて組み付けられる。なおシリンダヘッド2の上方にはヘッドカバーが、シリンダブロック3の下方にはオイルパンがそれぞれ取付けられるようになっている。
図2(a)は、シリンダブロック3の斜視構造を、図2(b)はその側面構造をそれぞれ示している。これらの図に示されるように、シリンダブロック3には、その上部に4つのシリンダ5が形成され、その下部にはクランクケース部31、いわゆるシリンダブロックのスカート部分が設けられている。クランクケース部31は、その下方に取付けられる上記オイルパンと共に、クランクシャフトが収容されるクランクケースを形成する。またシリンダブロック3の頂部には、シリンダヘッド2が載置されてその底面と当接される平板状のアッパデッキ部22が設けられている。
図3にシリンダブロック3の分解斜視構造を示す。同図に示すように、シリンダブロック3は、シリンダ5の周囲に形成されるウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側を構成するシリンダライナ部20と、同ウォータジャケットの外側壁を構成するシリンダブロック本体30との別体構造とされている。シリンダライナ部20には、各シリンダ5が一体に連結されたシリンダ連結体21と、その上端に設けられる上記アッパデッキ部22とが一体成形されている。またシリンダブロック本体30には、シリンダ連結体21の外周を囲むシリンダ外壁部32と上記クランクケース部31とが一体成形されている。
シリンダ連結体21とアッパデッキ部22とを構成するシリンダライナ部20は、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金からなり、ダイカスト製法等を用いて一体に鋳造されている。またクランクケース部31とシリンダ外壁部32とを構成するシリンダブロック本体30は、上記シリンダライナ部20と同様、アルミニウム合金やマグネシウム合金等からなり、ダイカスト製法等を用いて一体に鋳造されている。こうしたシリンダブロック本体30のクランクケース部31及びシリンダ外壁部32の外周には、縦横に延伸されるように、補強のための複数のリブ3aが形成されている。
図4(a)は、シリンダライナ部20の斜視構造を、図4(b)はその側面構造をそれぞれ示している。これら図に示されるように、シリンダライナ部20のシリンダ連結体21は、各気筒のシリンダライナとなる4つの円筒体を連続して直列に繋げた形状に形成されている。このシリンダ連結体21の外周面は、ウォータジャケットのシリンダ側の壁面を構成する。
前記アッパデッキ部22は平板状をなし、上記シリンダ連結体21の上端部にてフランジ状に形成されている。該アッパデッキ部22は、シリンダブロック3の頂面部を構成するものとなっている。アッパデッキ部22上面は、上記シリンダヘッド2が載置される載置面26となっており、該シリンダヘッド2とシリンダブロック3との組付けに際して、シリンダヘッド2の底面がガスケット4を介して載置される。また、アッパデッキ部22には、上記シリンダヘッド2とシリンダブロック3との締結に用いられるヘッドボルトが挿通される複数のボルト挿通孔27が形成されている。更に、該アッパデッキ部22には、冷却水孔28、オイル孔29a及びブローバイガス孔29b等の複数の貫通孔が形成されている。
前記シリンダ連結体21の外周面24上方側には、複数(本実施形態では3つ)のライナ部側突部41が形成されている。これらライナ部側突部41は前記円筒体、すなわちシリンダ5の軸線に直交する方向へ突設されている。上記ライナ部側突部41は前記シリンダ5の周囲を囲むようにシリンダ連結体21の外周に亘って環状に形成されている。また、上記ライナ部側突部41は上下方向(シリンダ5の軸線方向)に所定間隔をおいて設けられている。これらライナ部側突部41は、各シリンダ5の上方側、換言すれば、ピストン40がその上死点に位置するとき、その側面に対応する位置に形成されている(図6参照)。
また、各ライナ部側突部41の先端部は、その上方側から下方側に向かうに連れて縮径するように斜状に形成されている。更に、各ライナ部側突部41の先端面は後述する防振ゴムを支持する支持面41aとなっている。これにより、同支持面41aは、その上方側ほどシリンダ外壁部32の内周面35に近接するようになっている(図6参照)。これらライナ部側突部41によりシリンダライナ部20の剛性が高められている。
一方、シリンダ連結体21の外周面24下部には、前記シリンダ5の軸線方向下方へ向かうに従い縮径するテーパ部25が設けられている。
図5(a)はシリンダブロック本体30の斜視構造を、図5(b)はその側面構造をそれぞれ示している。これらの図に示されるように、クランクケース部31の上部にはシリンダ外壁部32が形成されている。このシリンダ外壁部32は、シリンダライナ部20のシリンダ連結体21の外周面24と対向するように形成された略円環状の内周面35を有している。こうしたシリンダ外壁部32の内周面35は、シリンダ周囲に形成されるウォータジャケットの外壁を構成する。
このシリンダ外壁部32には、上記ヘッドボルトが締結される複数のボルト締結穴37が上部受け面32aから穿設されている。更にシリンダ外壁部32の内部には、シリンダヘッド2から上記オイルパンに余剰したオイルを戻すためのオイル通路38a、クランクケースからシリンダヘッド2内へと延伸されてブローバイガスを通すブローバイガス通路38bが形成されており、それら通路は、上記受け面32aに開口されている。またシリンダ外壁部32の側部には、ウォータジャケットに対する冷却水の流入或いは流出に用いられる冷却水口39が形成されている。
シリンダ外壁部32の内部には、その上方から上記シリンダライナ部20のシリンダ連結体21が挿入装着される。この状態において、シリンダ連結体21の外周面24とシリンダ外壁部32の内周面35との対向面間には、間隙が形成されるようになっている。そしてアッパデッキ部22に形成された冷却水孔28は、そのアッパデッキ部22下面側において、そうした間隙の部分に開口されている。また、シリンダ外壁部32の各ボルト締結穴37、及びオイル通路38a及びブローバイガス通路38bの各開口は、上記アッパデッキ部22に形成された各ボルト挿通孔27、オイル孔29a及びブローバイガス孔29bとそれぞれ同位置に位置されるようになっている。
図6には、シリンダライナ部20をシリンダブロック本体30に装着した状態での、図2(b)のVI−VI線に沿ったシリンダブロック3の断面構造が示されている。同図に示すように、シリンダ外壁部32の内周面35下端には、前記シリンダライナ部20のシリンダ連結体21の外周面24に向けて突出する支持部42が同内周面35に沿って周設されている。なおこの支持部42の内側面、すなわちその先端面は、上記ウォータジャケットとなる部位の下方にてシリンダライナ部20のシリンダ連結体21の外周面24(テーパ面25)をその外周側から当接支持する下部受け面42aを構成する。
シリンダ外壁部32の内周面35の上下方向略中央には、段差35aが設けられ、内周面35の段差35aよりも下方の部分は、それよりも上方の部分に比べて上記シリンダ連結体21の外周面24に近接するように形成されている。
またシリンダ外壁部32の上端部には、その外周からシリンダ外周側に突出したフランジ36が形成されている。このフランジ36は、シリンダ外壁部32の外周に形成された上記リブ3aに連結されており、その剛性が高められている(図5(a)参照)。なおフランジ36の形成されたシリンダ外壁部32の頂面は、上記シリンダライナ部20のアッパデッキ部22を当接支持する上部受け面32aとなっている。なお本実施形態では、シリンダ外壁部32の上端部に上記フランジ36を形成することで、そうした受け面の面積が拡大されている。
同図に示すように、シリンダライナ部20のシリンダ連結体21は、シリンダ外壁部32の上部受け面32aとアッパデッキ部22の下面とが当接される位置までシリンダ外壁部32内に挿入されている。そしてこれにより、シリンダ連結体21の外周面24、シリンダ外壁部32の内周面35、及び上記アッパデッキ部22の下面とによって、シリンダ5周囲にウォータジャケット6が区画形成されるようになっている。そして上記支持部42によってウォータジャケット6の下方が閉塞されるようになっている。
上記シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32に組み付けた状態で、各ライナ部側突部41の支持面41aとその対向面(シリンダ外壁部32の内周面35)との間にはそれぞれ弾性部材としての防振ゴム43が介在又は接着により支持されている。これら防振ゴム43は、例えばシリコーン樹脂からなり、前記ウォータジャケット6をその上下に区画するようにしてその上方側に配設されている。なおこれら防振ゴム43は、ピストン40がその上死点に位置するときの側面に対応する位置に配設されている。防振ゴム43は、各シリンダ5の周囲を囲むように環状に設けられている。そして、これら防振ゴム43は、それぞれ対応するライナ部側突部41の支持面41aにより全周に亘って支持されるようになっている。各防振ゴム43は、上記組み付けに際してライナ部側突部41の支持面41aとその対向面との間に挟み込まれることで圧縮された状態で支持されている。
一方、ウォータジャケット6の下方において上記支持部42の下部受け面42aとシリンダ連結体21の外周面24との当接面間には、シールリング44が介設されている。該シールリング44は、上記組み付けに際して、下部受け面42aと外周面24との間に挟み込まれることで圧縮された状態で支持されている。そして、このシールリング44により、ウォータジャケット6の下部を閉塞する当接面間がシールされるようになっている。
図7には、シリンダブロック3を上記シリンダヘッド2に組み付けた状態での、図1のVII−VII線に沿った水冷式エンジンの本体部分の断面構造が示されている。同図に示すように、シリンダブロック3は、ヘッドボルト7の締結を通じてシリンダヘッド2に組み付けられる。
ここでヘッドボルト7は、シリンダライナ部20のアッパデッキ部22に形成されたボルト挿通孔27を介して、シリンダブロック本体30に設けられたボルト締結穴37内に挿入され、ねじ止めされる。このとき、シリンダライナ部20のアッパデッキ部22は、シリンダヘッド2の底面2aとシリンダブロック本体30のシリンダ外壁部32の上記受け面32aとの間に狭持されており、ヘッドボルト7の締め付けによってそれら底面2aと受け面32aとから圧縮力を受けて締結固定される。
なおシリンダヘッド2の底面2aには、該シリンダヘッド2内に形成されたウォータジャケット、オイル通路及びブローバイガス通路が開口されている。それらの開口は、組付け後に、上記アッパデッキ部22の各対応する貫通孔、すなわち冷却水孔28、オイル孔29a、ブローバイガス孔29bとそれぞれ同位置に位置されており、それらアッパデッキ部22の各貫通孔を通じて、シリンダヘッド2側の各通路とシリンダブロック本体30側の各通路とが互いに連結されている。
次に、こうしたシリンダブロック3の作用について以下に説明する。
まず、シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32に組み付ける場合、前記ライナ部側突部41の支持面41a若しくはその若干下方側に防振ゴム43を予め取着した状態で、同シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32内に挿入する。そして、各防振ゴム43がシリンダ外壁部32の内周面35に摺接するに際して、ライナ部側突部41の支持面41aにより防振ゴム43はシリンダ外壁部32の内周面35側へ押圧される。
防振ゴム43をライナ部側突部41の支持面41a下方側に予め取着した場合にあっては、シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32内へ更に挿入する際に、防振ゴム43はその一部がシリンダ外壁部32内周面35に摺接するのに伴って支持面41a側へ移動し、最終的には支持面41aとシリンダ外壁部32内周面35との間に介在された状態となる。
そして、シリンダライナ部20のアッパデッキ部22下面がシリンダ外壁部32の上部受け面32aに当接したとき、支持面41aに対して防振ゴム43が位置決めされ、同支持面41aの全面で防振ゴム43が支持される。
さて、通常の水冷式エンジンにおいて、ピストン40がその上死点に位置して混合気の燃焼圧の作用により揺動すると、すなわち首振り現象が発生すると、これに伴ってシリンダライナ部20に振動が発生しようとする。しかしながら、本実施の形態ではシリンダライナ部20に発生するこうした振動が防振ゴム43により減衰される。なおここで、本実施形態にかかるシリンダブロック3においては、防振ゴム43とライナ部側突部41とを含む振動系の固有振動数を調節し、こうした首振り現象によって生じる振動の主要な振動周波数と略一致させるようにしている。このため、シリンダライナ部20に発生する振動をより効果的に抑制することができる。
また、上記シリンダライナ部20は、ライナ部側突部41を形成することによりその剛性が高められており、これにより振動の振幅を更に小さくすることができる。そして、こうしたシリンダライナ部20の振動がシリンダ外壁部32へと伝達されるのも自ずと抑制されることとなる。
以上説明した本実施の形態により得られる効果を以下に記載する。
(1)ライナ部側突部41の支持面41aとその対向面との間に防振ゴム43を介在させた状態で、上記シリンダライナ部20をシリンダブロック本体30内に保持している。そのため、シリンダライナ部20に発生した振動が、防振ゴム43の減衰作用により弱められることから、該振動がシリンダ外壁部32へ伝達されることがほとんどない。従って、エンジンの騒音を容易且つ確実に低減することができる。
(2)更に、ライナ部側突部41を設け、防振ゴム43とそのライナ部側突部41とを含む振動系の固有振動数を調節し、こうした首振り現象によって生じる振動の主要な振動周波数と略一致させるようにしている。このため、シリンダライナ部20に発生する振動をより効果的に抑制することができる。
(3)防振ゴム43は、各シリンダ5の上方側(ピストン40が上死点に位置するときの側面に対応する位置)に配設されている。即ち、ピストン40の首振り現象に起因してシリンダライナ部20の振動の振幅が大きくなる位置に防振ゴム43が設けられているため、シリンダライナ部20に発生する振動を好適に減衰させることができる。
(4)ライナ部側突部41の先端部は、その上方側から下方側に向かうに連れて縮径する斜状をなしている。そして、上記組み付けに際し、防振ゴム43はライナ部側突部41の支持面41aに案内されて徐々に押圧されるようになっている。このため、上記組み付けの途中で、ライナ部側突部41の支持面41aから防振ゴム43が上方側へずれるおそれがなく、シリンダ連結体21の組み付けを円滑に行うことができる。
(5)防振ゴム43は、各シリンダ5の周囲を囲むように環状に設けられており、それぞれ対応するライナ部側突部41の支持面41aにより全周に亘って支持されている。そのため、シリンダライナ部20の周方向各部に発生する振動を減衰させることができる。
(6)シリンダライナ部20の上端に、シリンダヘッド2の載置される略平板状のアッパデッキ部22を一体成形したことで、シリンダヘッド2と上部受け面32aとの間にアッパデッキ部22を狭持された状態で、シリンダブロック本体30に対するシリンダライナ部20の固定が行われるようになっている。またシリンダライナ部20はその下方にて、上記下部受け面42aにてその外周側から当接支持されてもいる。そのため、熱膨張による変形や振動に対してもシリンダライナ部20をシリンダブロック本体30に安定して固定することができる。
(7)シリンダ連結体21のシリンダ外壁部32への挿入組み付けに際して、上記テーパ部25がシリンダ連結体21の挿入案内の役割をなす。このため、シリンダ連結体21とシリンダ外壁部32との組み付けを容易とすることができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・図8に示すように、前記ライナ部側突部を設ける代わりに、シリンダ外壁部32内周面35の上方側に外壁部側突部101を突設する構成を採用してもよい。該外壁部側突部101は、シリンダ外壁部32の内周面35に沿って複数(同図では3つ)環状に設けられる。この場合、シリンダライナ部20のシリンダブロック本体30への挿入組み付けを容易とすべく、上記外壁部側突部101の先端部を、その上方側から下方側に向かうに連れて拡径するような斜状に形成するのが好ましい。そして、該外壁部側突部101の先端面とその対向面(シリンダ連結体21の外周面24)との間に弾性部材を介在させる。
更にこの場合、弾性部材として、硬化型液状ガスケット(Formed In Place Gasket)を用いるのが好ましい。この硬化型液状ガスケット102は、例えばシリコーン樹脂からなり、上記組み付けに先立ち、液体状態で外壁部側突部101の先端面に塗布される。塗布された液体状態の硬化型液状ガスケット102は、上記組み付けに際して外壁部側突部101の先端面とその対向面(シリンダライナ部20の外周面24)との間に挟み込まれることで、それらのクリアランス形状に合わせて変形する。その後、長時間放置したり、熱を加えたりして必要な条件を設定することで、液体状態の硬化型液状ガスケット102は硬化して固体となる。これにより、クリアランス形状に合致した形状のガスケットが、外壁部側突部101の先端面とシリンダライナ部20の外周面24との当接面間に自己形成されるようになる。上記硬化型液状ガスケット102は、本実施形態における防振ゴムと同様の作用効果を発揮するものである。
なお、本実施形態で用いたシールリング44の代わりに、上記硬化型液状ガスケット102を下部受け面42aとシリンダライナ部20の外周面24との間に介在させるようにしてもよい。
・本実施形態では、防振ゴム43を各シリンダ5の周囲を囲むように環状に設けたが、これを図9に示すようにシリンダ連結体21の各円筒体毎にそれぞれ設けるようにしてもよい。この場合、シリンダ5の配列方向と直交するシリンダ径方向に延びる線上に前記防振ゴム43を配設するのが好ましい。このように構成した場合、クランクシャフトの揺動に基づいたシリンダライナ部20の振動のうち、その振幅が大きくなる位置(シリンダ5の配列方向と直交する線上)に防振ゴム43が設けられることとなる。これにより、シリンダライナ部20に発生した振動をより効果的に抑制することができる。なおこのとき、ライナ部側突部41は上記実施形態の様に環状に設けてもよく、防振ゴム43に対応する位置(シリンダ5の配列方向と直交する線上)のみに設けてもよい。
・防振ゴム43は、ピストン40が上死点に位置するときの側面に対応する位置(ウォータジャケット6の上方側)に少なくとも1つ設けられていればよい。なおこれに加えて上記防振ゴム43をウォータジャケット6の下方側又は中央部に設けてもよい。
・シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32に組み付ける場合、ライナ部側突部41の支持面41aに防振ゴム43を予め接着した状態で、同シリンダ連結体21をシリンダ外壁部32内に挿入するようにしてもよい。このように構成した場合、前記組み付けの際の防振ゴム43の滑りを抑制することができる。
・防振ゴム43の数は3つに限定されるものではなく、2つ以下、或いは4つ以上でもよい。
・本実施形態におけるライナ部側突部41及び上記外壁部側突部101の先端面(支持面41a)を、シリンダ5の軸線に平行な平面としてもよい。
・図6の二点鎖線に示すように、アッパデッキ部22下面にライナ部側突部41を一体形成してもよい。このとき、同ライナ部側突部41の先端面とその対向面との間には防振ゴム43が支持される。なお、アッパデッキ部22下面に一体化された前記ライナ部側突部41は、シリンダ連結体21の外周に沿って環状に設けられるのが好ましい。
・上記実施形態では、アッパデッキ部22をシリンダ連結体21の上端部に一体成形したが、同アッパデッキ部22とシリンダ連結体21とをそれぞれ別個で設けるようにしてもよい。
・本実施形態における防振ゴム43及びシールリング44に代えて、弾性部材として上記硬化型液状ガスケットを用いてもよい。すなわち、上記組み付けに先立ち、硬化型液状ガスケットをライナ部側突部41の支持面41a及び下部受け面42aに塗布する。このとき、それぞれのクリアランス形状に合致した形状のガスケットが、上記ライナ部側突部41の先端面とその対向面との当接面間、及び下部受け面42aとその対向面との当接面間に自己形成されるようになる。
・本実施形態における防振ゴムの原料(シリコーン樹脂)にタルク、マイカ等の無機フィラーを添加することでその制振性の向上を図るようにしてもよい。このように構成した場合、振動の発生を更に抑制することが可能になる。
・上記実施の形態で例示したクローズデッキ構造の水冷式エンジン以外の形式(オープンデッキ構造)にも上記防振ゴム43及びライナ部側突部41を設ける構成を採用してもよい。
・上記実施の形態で例示した直列4気筒の水冷式エンジン以外の形式の水冷式エンジンにも、本発明のシリンダブロックを適用することができる。
本発明の一実施形態について水冷式エンジンの本体部分の斜視図。 同実施形態のシリンダブロックの(a)斜視構造及び(b)側面構造を併せ示す図。 同シリンダブロックの分解斜視図。 同シリンダブロックを構成するシリンダライナ部の(a)斜視構造及び(b)側面構造を併せ示す図。 同シリンダブロックを構成するシリンダブロック本体の(a)斜視構造及び(b)側面構造を併せ示す図。 図2(b)のVI−VI線に沿った断面図。 図1のVII−VII線に沿った断面図。 本発明の別の実施形態についてそのシリンダブロックの断面構造を示す部分断面図。 本発明の別の実施形態についてそのシリンダライナ部の側面構造を示す平面図。
符号の説明
1…水冷式エンジンの本体部、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、5…シリンダ、6…ウォータジャケット、20…シリンダライナ部、21…シリンダ連結体、22…アッパデッキ部、23…内周面、24…外周面、30…シリンダブロック本体、32…シリンダ外壁部、32a…受け面、35…内周面、41…ライナ部側突部、43…弾性部材としての防振ゴム、101…外壁部側突部、102…弾性部材としての硬化型液状ガスケット。

Claims (8)

  1. シリンダ周囲にウォータジャケットが区画形成されて、シリンダヘッドに組み付けられることでエンジンの本体部を構成するシリンダブロックであって、
    前記シリンダブロックが、前記ウォータジャケットとなる部位を境に、そのシリンダ側を構成するシリンダライナ部と、同ウォータジャケットの外側壁を構成するシリンダブロック本体との別体構造からなり、
    前記シリンダライナ部と前記シリンダブロック本体との間には前記ウォータジャケットをその上下に区画する位置に弾性部材が支持されてなることを特徴とするシリンダブロック。
  2. 前記弾性部材は前記シリンダライナ部の上方側に配置される請求項1に記載のシリンダブロック。
  3. 前記弾性部材は前記シリンダライナ部の内部を往復動するピストンが上死点に位置するとき同ピストンの側面に対応する位置に配設される請求項1に記載のシリンダブロック。
  4. 前記弾性部材は少なくともその一部がシリンダの配列方向と直交する線上に配設される請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダブロック。
  5. 前記弾性部材は前記シリンダライナ部及び前記シリンダブロック本体の少なくとも一方から前記ウォータジャケット内に延びる突部と他方との間に支持される請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダブロック。
  6. 前記突部の前記弾性部材を支持する支持面はその上方側ほど前記シリンダブロック本体の内周面に近接するように斜状に形成されてなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダブロック。
  7. 前記突部は前記シリンダの周囲を囲む環状を呈してなる請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリンダブロック。
  8. 前記弾性部材は前記環状をなす突部により全周にわたって支持される環状を呈してなる請求項7記載のシリンダブロック。
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