JP2005225735A - 誘電体磁器組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 固相法を用いながらも、誘電特性の劣化が抑制された微細な誘電体粉末を得ることのできる誘電体磁器組成物を提供する。
【解決手段】 ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体磁器組成物の製造方法であって、Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20〜40m/gのBサイト原料粉末とを含む混合物を仮焼して仮焼物を得る仮焼工程と、仮焼物を粉砕して粉砕粉末を得る粉砕工程と、所定の処理が施された粉砕粉末を所定条件で加熱保持して焼成物を得る焼成工程と、を備える。以上の本発明による粉砕粉末は、BET値が20〜40m/gであるBサイト原料粉末を用いているため、長時間の粉砕を経ることなく、微細、具体的には1μm以下、さらには0.8μm以下のD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体磁器組成物の製造方法に関するものである。
近年、通信機の小型化、軽量化、高速化が強く望まれている。その中で、デジタル携帯電話等の携帯移動体通信、衛星通信に使用される電波の周波数帯域はメガからギガHz帯(「GHz帯」という)の高周波帯域のものが使用されている。使用される通信機器の急速な発展の中で、匡体及び基板、電子素子の小型高密度実装化が図られているが、高周波帯域に対応した通信機器の小型化、軽量化をより一層推進するためには、通信機器に使用される基板等の材料はGHz帯において高周波伝送特性が優れた(誘電損失が小さい)ものでなければならない。ここで、誘電損失は周波数と基板の比誘電率εrと誘電正接(以下tanδと記載する)の積に比例する。よって、誘電損失を小さくするためには基板のtanδを小さくしなければならない。また、基板中では電磁波の波長が1/(εr)0.5に短縮されるため、比誘電率εrが大きい程基板の小型化が可能である。以上のことから高周波帯域で使用される小型の通信機器、電子機器、情報機器に用いる回路基板としては、比誘電率εrが高く、かつQf(品質係数Q=1/tanδ、f=共振周波数)が大きいことが要求されている。
このような回路基板の材料としては、無機材料としての誘電体材料(焼成物)、有機材料としてのフッ素樹脂等が用いられている。ところが、誘電体材料からなる基板は、寸法精度、加工性に難点があり、脆いため欠けや割れが生じやすいという問題点があった。他方、樹脂等の有機材料からなる基板は、成形性及び加工性に優れるという利点はあるが、比誘電率εrが小さいという問題があった。このため、近年、両者の利点を有する基板として、例えば特許文献1(特開2003−128930号公報)、特許文献2(特開2003−151352号)において誘電体粉末と樹脂材料とからなる複合基板が開示されている。
誘電体材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物が通常用いられており、その粉末(誘電体粉末)の製造方法としては、液相法、気相法、フラックス法及び固相法が知られている。
液相法は、金属塩の水溶液あるいは有機溶媒溶液を出発原料として、水和物等の金属酸化物前駆体粉末を製造し、次いでこの前駆体粉末を焼成して2種類以上の金属元素を含む金属酸化物粉末を製造する方法である。液相法としては、沈殿法、共沈法、加水分解法等が知られている。
気相法は、金属蒸気あるいは金属化合物の気相状態での化学反応により金属酸化物粉末を製造する方法であり、粒度分布が狭く、凝集が少ない粉末が得られる利点がある。
フラックス法は、金属酸化物の混合粉末にフラックス成分を添加して焼成することにより金属酸化物粉末を製造する方法である。
特開2003−128930号公報 特開2003−151352号公報
以上の液相法、気相法及びフラックス法により得られる誘電体粉末は、その粒径を微細とすることができるとともに粒度分布を狭くできるという利点がある。ここで、上述した複合基板を作製する場合、樹脂材料と混合される誘電体粉末は、複合基板が積層された際の層間を薄くする場合、その粒径が小さいことが望まれる。液相法、気相法及びフラックス法により得られる誘電体粉末は、その粒径が微細であるため、複合基板を作製する上で望ましい誘電体粉末の製造方法である。しかし、これらの方法により得られる誘電体粉末のコストが高いという問題がある。
以上の方法に比べて低コストで誘電体粉末を得る方法として固相法が知られている。固相法は、金属酸化物、炭酸塩等の粉末を仮焼し、この仮焼物を粉砕した後に焼成し、得られた焼成物を粉砕するという工程を備えている。例えば、チタン酸バリウムを得ようという場合、TiO粉末とBaCO粉末を原料粉末として混合、仮焼、粉砕、焼成、焼成物の粉砕という工程を経て製造することができる。ところが、まず仮焼後の粉砕過程において、粉砕された粉末に歪が発生するため、その時点で誘電特性が劣化してしまう。ここで、焼成後の粉砕により粒径の小さな粉末を得るためには、仮焼後の粉砕においてもできる限り微細な粉砕を得る必要があるが、その場合粉砕時間を長くするあるいは粉砕条件を厳しくする必要があるため、得られた粉末の誘電特性は劣化してしまう。誘電特性を劣化させないために粉砕時間を短くすると、微細な誘電体粉末を得ることができない。したがって、これまでは、固相法による誘電体粉末を用いた複合基板は所望する特性を得がたいという問題があった。一方で、固相法によって、誘電特性の劣化が少ない粉末が得られれば、コスト的な点も含めて考えると、複合基板を得るために非常に望ましい誘電体粉末の製造方法になる。
本発明は以上の背景に鑑み、固相法を用いながらも、誘電特性の劣化が抑制された微細な誘電体粉末を得ることのできる誘電体磁器組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明が対象とするABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体磁器組成物は、Aサイトを構成するためのAサイト原料粉末とBサイトを構成するためのBサイト原料粉末とを混合、焼成することにより得ることができる。例えば、(Sr,Ca)TiOを得ようとする場合には、通常、Aサイト原料としてSrCO粉末及びCaCO粉末、Bサイト原料としてTiO粉末を用意する。本発明者らの検討によれば、Bサイト原料の比表面積(BET法による値、本発明ではBET値という)を特定の値に制御することにより、焼成により得られる誘電体磁器組成物の粉砕を軽微にしても十分に微細な粉末が得られることが判明した。
本発明は以上の知見に基づくものであり、ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体磁器組成物の製造方法であって、Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20〜40m/gのBサイト原料粉末とを含む混合物を仮焼して仮焼物を得る仮焼工程と、仮焼物を粉砕して粉砕粉末を得る粉砕工程と、所定の処理が施された粉砕粉末を所定条件で加熱保持して焼成物を得る焼成工程と、を備えることを特徴としている。ここで、本発明は、前記粉砕粉末を所定形状に成形した後に焼成することができるし、前記粉砕粉末を所定形状に成形することなく焼成することもできる。
以上の本発明による粉砕粉末は、BET値が20m/g以上であるBサイト原料粉末を用いているため、長時間の粉砕を経ることなく、微細、具体的には1μm以下、さらには0.8μm以下のD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)とすることができる。この粉砕粉末は、長時間の粉砕を経なくてもよいから、粉砕による歪の発生が少なく、優れた誘電特性を発揮することができる。したがって、この粉砕粉末を用いて焼成された本発明の誘電体磁器組成物、さらにはこの誘電体磁器組成物を粉砕して得られた誘電体粉末もまた、優れた誘電特性を発揮することができる。この誘電体粉末も、仮焼後の粉砕粉末と同様に、長時間の粉砕を経ることなく、D50が1μm以下の微細なものとすることができる。しかし、Bサイト原料粉末のBET値が40m/gを超えると誘電体磁器組成物のQfが低下するため、本発明ではBサイト原料粉末のBET値を20〜40m/gとする。なお、所定の処理とは、種々の副成分を添加、混合することを含む概念である。ただし、この副成分は、仮焼前に添加することもできる。
本発明にかかる誘電体磁器組成物は、AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、BサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことが誘電特性の点から望ましい。
以上説明したように、本発明の誘電体磁器組成物を用いることにより、長時間の粉砕を経ることなく、微細な誘電体粉末を得ることができる。この誘電体粉末を成形、焼成することにより、誘電特性の優れたバルク状の誘電体磁器組成物を作製できる。また、この誘電体粉末を用いることにより、低コストでかつ誘電特性の優れた複合誘電体材料を得ることができる。
本発明が適用される誘電体磁器組成物は、ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む。ここで、AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、さらにBサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことが望ましい。したがって、本発明は少なくとも以下のペロブスカイト酸化物に適用されることが望ましい。
SrTiO、CaTiO、(Sr,Ca)TiO、(Sr,Ba)TiO、(Ca,Ba)TiO、(Ba,Sr,Ca)TiO
SrZrO、CaZrO、(Sr,Ca)ZrO、(Sr,Ba)ZrO、(Ca,Ba)ZrO、(Ba,Sr,Ca)ZrO
SrNbO、CaNbO、(Sr,Ca)NbO、(Sr,Ba)NbO、(Ca,Ba)NbO、(Ba,Sr,Ca)NbO
Sr(Ti,Zr)O、Ca(Ti,Nb)O、(Sr,Ca)(Zr,Nb)O、(Sr,Ba)(Ti,Zr,Nb)O
本発明が適用される誘電体磁器組成物は、上述したペロブスカイト酸化物を主成分とし、さらに種々の副成分を含有することができる。本発明においては、A(ただし、AはNi、Mn及びCrから選択される1種又は2種の元素)の酸化物を副成分として添加することができる。また、X(ただし、XはV、Nb、W、Ta及びMoから選択される1種又は2種以上の元素)の酸化物を副成分として添加することができる。さらに、R(ただし、RはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択される1種又は2種以上の元素)の酸化物を添加することができる。さらにまた、SiO、MO(ただし、MはBa、Ca、Sr及びMgから選択される1種又は2種以上の元素)、LiO、B及びMSiOから選択される1種又は2種以上の化合物を添加することができる。
本発明は、上述したABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体磁器組成物を製造する方法である。焼成物からなる誘電体磁器組成物は、例えば最終組成になるように秤量された原料粉末を混合する工程、混合粉末を仮焼する工程、仮焼物を粉砕する工程、粉砕粉末を焼成する工程を経ることにより製造することができる。この製造方法を通じて、誘電体粉末は、上述の仮焼物を粉砕することにより得ることができるし、焼成工程を経て得られた焼成物を粉砕することにより得ることもできる。前者の態様を第1態様、後者の態様を第2態様とすると、本発明による誘電体磁器組成物を用いて誘電体粉末を製造する場合、第2態様が該当するが、第1態様による粉砕粉末を用いて誘電体複合材料を製造することもできる。そして、本発明におけるBサイト原料粉末の粒径制御の効果は、第1態様、つまり仮焼後の粉砕粉末において具現されるとともに、第2態様、つまり焼成物を粉砕して得られる粉末にも具現される。以下、第1態様及び第2態様について説明する。
はじめに第1態様について説明する。
本発明の誘電体磁器組成物を得るための原料には、主成分を構成する原料と、副成分を構成する原料とが用意される。ただし、副成分の添加は望ましいが、本発明において必須のものではない。
主成分を構成する原料としては、Aサイトを構成するためのAサイト原料粉末及びBサイトを構成するためのBサイト原料粉末が用意される。Aサイト原料粉末及びBサイト原料粉末としては、当該元素の酸化物及び/又は焼成により酸化物になる化合物が用いられる。焼成により酸化物になる化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が挙げられる。これらの化合物と酸化物とを併用してもよい。具体的には、Aサイト原料粉末としては、SrCo粉末、CaCO粉末及びBaCO粉末から選択される1種又は2種以上を用いるのが望ましい。また、Bサイト原料粉末としては、TiO粉末、ZrO粉末及びNbO粉末から選択される1種又は2種以上を用いるのが望ましい。
本発明は、BET値が20m/g以上のBサイト原料粉末を用いる点に特徴がある。これは、後述する実施例で示しているように、Bサイト原料粉末のBET値が20m/g以上になると、仮焼後に長時間の粉砕を行うことなくD50が1μm以下という微細な誘電体粉末を得ることができるからである。長時間の粉砕を行わずに済むため、本発明により得られる誘電体磁器組成物の誘電特性は良好である。結果として、この誘電体磁器組成物を粉砕して得られた誘電体粉末、さらにこの誘電体粉末を用いた複合誘電体材料の誘電体特性も良好である。ただし、後述する実施例に示すように、Bサイト原料粉末のBET値が40m/gを超えるとQfが低下してしまうので、Bサイト原料粉末のBET値を20〜40m/gとする。
一方、本発明において、Aサイト原料粉末は、Bサイト原料粉末のようにBET値を特定することを必要としない。本発明者の検討によると、Aサイト原料粉末のBET値は得られる誘電体粉末の粒径に影響を与えないからである。したがって、Aサイト原料粉末については、D50を0.01〜5.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
副成分を構成する副成分原料については以下の通りである。
Aの酸化物については、Aの酸化物及び/又は焼成によりAの酸化物になる化合物を原料として用いることができる。
Xの酸化物については、Xの酸化物及び/又は焼成によりXの酸化物になる化合物から選択される1種類以上の単一酸化物又は複合酸化物を原料として用いることができる。
Rの酸化物については、Rの酸化物及び/又は焼成により酸化物になる化合物から選択される1種類以上の単一酸化物又は複合酸化物を原料として用いることができる。
SiO、MO(ただし、MはBa、Ca、Sr及びMgから選択される1種又は2種以上の元素)、LiO、B及びMSiOから選択される1種又は2種以上については、当該化合物を原料として用いることができる。
副成分原料粉末も、D50を0.01〜5.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
以上の主成分及び副成分の原料粉末を、所望する組成に応じて秤量し、例えばボールミルにより湿式混合する。このスラリーを乾燥後、例えば900〜1350℃の範囲で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気はN又はO或いはこれらの混合ガスとすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。
仮焼により得られた仮焼物は粉砕される。粉砕にはボールミル、その他の粉砕手段を用いることができる。湿式で粉砕がなされた場合には粉砕後に乾燥を行う。本発明によれば、Bサイト原料粉末のBET値を20m/g以上とすることにより、短い粉砕時間、換言すれば粉砕による歪を抑制しながら、D50が1μm以下、さらには0.8μm以下の微細な誘電体粉末を得ることが可能である。この粉砕は、主成分原料と副成分原料を混合する場合と同程度の条件で足りる。
次に、第2態様は、仮焼前に副成分を添加する態様と、仮焼後に副成分を添加する態様を含むが、ここでは仮焼後に副成分を添加する態様について説明する。
第2態様は、副成分を主成分とともに秤量、混合しない以外は、上述した第1態様と同様に仮焼、粉砕まで実施される。この粉砕後に、粉砕により得られた主成分からなる粉末に副成分原料が添加、混合される。この混合は、第1態様における主成分原料と副成分原料の混合と同様に行えばよい。
混合により得られた粉末は焼成に供される。焼成は、前述した仮焼と同様の条件で行えばよい。ただし、本発明は、焼成に先立って当該粉末を成形する場合と、成形しない場合を包含する。前者によれば、焼成後にバルク状の誘電体磁器組成物(焼成物)を得ることができる。また、後者によれば、焼成後に塊状又は粒状の誘電体磁器組成物(焼成物)を得ることができる。さらに、塊状又は粒状の誘電体磁器組成物を成形し、焼成することによりバルク状の誘電体磁器組成物(焼成物)を得ることもできる。
焼成で得られた焼成物を粉砕する。この粉砕も、第1態様で行う粉砕と同様の条件とすればよいが、バルク状の誘電体磁器組成物を粉砕するよりも塊状又は粒状の誘電体磁器組成物を粉砕する方が、所望粒度の粉末を得やすい。
以上の工程で得られる誘電体粉末も、第1態様で得られる粉末と同様に、比較的短時間の粉砕によって微細な粒径となる。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
(Sr0.64Ca0.36)TiO、A/B(Aサイト原子とBサイト原子のモル比)=0.994を狙い組成として以下の原料粉末を秤量し、ボールミルにより湿式混合した。なお、Bサイト原料としては、表1に示す、BET値及びD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)の異なる9種類のTiO粉末を用意した。
Aサイト原料
SrCO粉末 (BET値=6.0m/g、D50=0.50μm)
CaCO粉末 (BET値=18.8m/g、D50=0.30μm)
Bサイト原料
TiO粉末 (BET値=2.9〜51.3m/g、D50=1.75〜0.27μm)
ボールミルとして6寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:1kg、φ3mm:2kg)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ボールミルには混合粉末を800g投入し、スラリー濃度を33%とした。さらに、混合に先立ち、分散剤(東亞合成(株)製:A−30SL)を0.2wt%添加した。
ボールミルによる湿式混合が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持する乾燥を行った。
乾燥された混合粉末を355μmのメッシュを通した後、MgO製のコウバチ中において、1150℃で2時間保持することにより仮焼を行った。
ボールミルを用いて得られた仮焼物を粉砕して粉砕粉末とした。ボールミルとして、4寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:200g、φ3mm:430g)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ポットには焼成物を150g投入し、スラリー濃度を33%とした。
ボールミルによる粉砕が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持する乾燥を行った。この粉末の粒度分布を測定するとともに、D50を求めた。なお、粒度分布の測定は、マイクロトラック超微粒子粒度分布計(日機装(株)製:9340−UPA150)を用いて行った。
表1に粉砕粉末のD50の測定結果を示す。また、図1にBサイト原料粉末(TiO粉末)のBET値と粉砕粉末のD50の関係を示している。表1及び図1より、BET値を20m/g以上にすることにより、粉砕粉末のD50を1.0μm以下、さらには0.8μm以下にできることがわかる。このことは、同一の粉砕時間でより微細な誘電体粉末を得ることができることを示しており、本発明によれば、粉砕による歪が少なく誘電特性の高い微細な誘電体粉末を原料とする誘電体磁器組成物が得られることを示唆している。
Figure 2005225735
次に、9種類の粉砕粉末100モルに対して以下の副成分の粉末を添加した後に、ボールミルにより湿式混合した。ボールミルとして、4寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:200g、φ3mm:430g)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ポットには粉砕粉末を100g投入し、スラリー濃度を33%とした。さらに、混合に先立ち、分散剤(東亞合成(株)製:A−30SL)を0.2wt%添加した。
MnO(D50=0.55μm):0.365モル
(D50=0.52μm):0.1モル
(D50=0.33μm):0.035モル
CaSiO(D50=1.178μm):1.616モル
ボールミルによる湿式混合が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持して乾燥した。
乾燥された混合粉末30gに対して、バインダとして東レ(株)製のAQナイロンP−70の15%水溶液を固形分で2.5wt%(5g)を添加した後に、100℃で90分間乾燥して造粒した。
この造粒粉を、1ton/cmの圧力で加圧成形してφ12mm×t6.2mmの成形体を得た。次いでこの成形体を、650℃で2時間保持する脱バインダを行った後に、1350℃まで昇温した後に4時間保持することにより焼成を行った。なお、脱バインダ及び焼成は大気フロー中で行った。また、脱バインダ、焼成における昇温速度は200℃/hr.である。
以上で得られた誘電体磁器組成物について、比誘電率(εr)とQfを誘電体共振器法(n=2)により測定した。その結果を表1に示す。なお、測定には、RFベクトルネットワークアナライザ(横川ヒューレットパッカード(株)製:HP8510)を用いた。また、測定に当たって、誘電体磁器組成物は厚さが5±0.5mmの試料に研磨加工された。
図2にBサイト原料粉末のBET値と、得られた誘電体磁器組成物の比誘電率(εr)及びQfとの関係を示す。図2に示すように、Bサイト原料粉末のBET値が大きくなるにつれて誘電体磁器組成物の比誘電率(εr)及びQfが大きくなる。しかし、BET値が30m/gをピークに、誘電体磁器組成物の比誘電率(εr)及びQfが低下する傾向にある。この結果より、本発明では、Bサイト原料粉末のBET値を20〜40m/g、望ましくは25〜35m/gの範囲とする。
Bサイト原料粉末(TiO粉末)のBET値と、粉砕粉末のD50の関係を示すグラフである。 Bサイト原料粉末(TiO粉末)のBET値と、誘電体磁器組成物の比誘電率(εr)及びQfとの関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体磁器組成物の製造方法であって、
    Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20〜40m/gのBサイト原料粉末とを含む混合物を仮焼して仮焼物を得る仮焼工程と、
    前記仮焼物を粉砕して粉砕粉末を得る粉砕工程と、
    所定の処理が施された前記粉砕粉末を所定条件で加熱保持して焼成物を得る焼成工程と、を備えることを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  2. 前記ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物において、前記AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、前記BサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  3. 前記粉砕粉末は、D50(累積個数が50%となる粒子の粒径)が1μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
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