JP2005225721A - 誘電体粉末の製造方法及び複合誘電体材料の製造方法 - Google Patents

誘電体粉末の製造方法及び複合誘電体材料の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 固相法を用いながらも、誘電特性の劣化が抑制された微細な誘電体粉末を製造する方法を提供する。
【解決手段】 ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体粉末の製造方法であって、Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20m/g以上のBサイト原料粉末とを含む混合物を得る工程と、混合物を焼成して第1焼成物を得る第1焼成工程と、第1焼成物を粉砕して第1粉末を得る第1粉砕工程とを備える。以上の本発明による第1粉末は、BET値が20m/g以上であるBサイト原料粉末を用いているため、長時間の粉砕を経ることなく、微細、具体的には1μm以下、さらには0.8μm以下のD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)とすることができる。この誘電体粉末を用いた樹脂との複合誘電体材料は、優れた誘電特性を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体粉末に関し、特に樹脂とともに複合誘電体材料を形成して高い誘電特性を得ることのできる誘電体粉末の製造方法及び複合誘電体材料の製造方法に関するものである。
近年、通信機の小型化、軽量化、高速化が強く望まれている。その中で、デジタル携帯電話等の携帯移動体通信、衛星通信に使用される電波の周波数帯域はメガからギガHz帯(「GHz帯」という)の高周波帯域のものが使用されている。使用される通信機器の急速な発展の中で、匡体及び基板、電子素子の小型高密度実装化が図られているが、高周波帯域に対応した通信機器の小型化、軽量化をより一層推進するためには、通信機器に使用される基板等の材料はGHz帯において高周波伝送特性が優れた(誘電損失が小さい)ものでなければならない。ここで、誘電損失は周波数と基板の比誘電率εrと誘電正接(以下tanδと記載する)の積に比例する。よって、誘電損失を小さくするためには基板のtanδを小さくしなければならない。また、基板中では電磁波の波長が1/(εr)0.5に短縮されるため、比誘電率εrが大きい程基板の小型化が可能である。以上のことから高周波帯域で使用される小型の通信機器、電子機器、情報機器に用いる回路基板としては、比誘電率εrが高く、かつQf(品質係数Q=1/tanδ、f=共振周波数)が大きいことが要求されている。
このような回路基板の材料としては、無機材料としての誘電体材料(焼成体)、有機材料としてのフッ素樹脂等が用いられている。ところが、誘電体材料からなる基板は、寸法精度、加工性に難点があり、脆いため欠けや割れが生じやすいという問題点があった。他方、樹脂等の有機材料からなる基板は、成形性及び加工性に優れるという利点はあるが、比誘電率εrが小さいという問題があった。このため、近年、両者の利点を有する基板として、例えば特許文献1(特開2003−128930号公報)、特許文献2(特開2003−151352号)において誘電体粉末と樹脂材料とからなる複合基板が開示されている。
誘電体材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物が通常用いられており、その粉末(誘電体粉末)の製造方法としては、液相法、気相法、フラックス法及び固相法が知られている。
液相法は、金属塩の水溶液あるいは有機溶媒溶液を出発原料として、水和物等の金属酸化物前駆体粉末を製造し、次いでこの前駆体粉末を焼成して2種類以上の金属元素を含む金属酸化物粉末を製造する方法である。液相法としては、沈殿法、共沈法、加水分解法等が知られている。
気相法は、金属蒸気あるいは金属化合物の気相状態での化学反応により金属酸化物粉末を製造する方法であり、粒度分布が狭く、凝集が少ない粉末が得られる利点がある。
フラックス法は、金属酸化物の混合粉末にフラックス成分を添加して焼成することにより金属酸化物粉末を製造する方法である。
特開2003−128930号公報 特開2003−151352号公報
以上の液相法、気相法及びフラックス法により得られる誘電体粉末は、その粒径を微細とすることができるとともに粒度分布を狭くできるという利点がある。ここで、上述した複合基板を作製する場合、樹脂材料と混合される誘電体粉末は、複合基板が積層された際の層間を薄くする場合、その粒径が小さいことが望まれる。液相法、気相法及びフラックス法により得られる誘電体粉末は、その粒径が微細であるため、複合基板を作製する上で望ましい誘電体粉末の製造方法である。しかし、これらの方法により得られる誘電体粉末のコストが高いという問題がある。
以上の方法に比べて低コストで誘電体粉末を得る方法として固相法が知られている。固相法は、金属酸化物、炭酸塩等の粉末を高温で焼成し、得られた焼成物を粉砕するという工程を備えている。例えば、チタン酸バリウムを得ようという場合、TiO粉末とBaCO粉末を原料粉末として混合、焼成し、得られた焼成物を粉砕する。この粉砕過程で、粉砕された粉末には歪が発生するため、誘電特性を劣化させてしまう。特に、粉砕により粒径の小さな粉末を得るためには、粉砕時間を長くするあるいは粉砕条件を厳しくする必要があり、微細な誘電体粉末は誘電特性が著しく劣化してしまう。誘電特性を劣化させないために粉砕時間を短くすると、微細な誘電体粉末を得ることができない。したがって、これまでは、固相法による誘電体粉末を用いた複合基板は所望する特性を得がたいという問題があった。一方で、固相法によって、誘電特性の劣化が少ない微細な粉末が得られれば、コスト的な点も含めて考えると、複合基板を得るために非常に望ましい誘電体粉末の製造方法になる。
本発明は以上の背景に鑑み、固相法を用いながらも、誘電特性の劣化が抑制された微細な誘電体粉末を製造する方法を提供することを課題とする。また、本発明はそのような誘電体粉末を用いて、誘電特性の優れた、誘電体粉末と樹脂材料とからなる複合誘電体材料の製造方法の提供を課題とする。
本発明が対象とするABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体材料は、Aサイトを構成するためのAサイト原料とBサイトを構成するためのBサイト原料とを混合、焼成することにより得ることができる。例えば、(Sr,Ca)TiOを得ようとする場合には、通常、Aサイト原料としてSrCO粉末及びCaCO粉末、Bサイト原料としてTiO粉末を用意する。本発明者らの検討によれば、Bサイト原料のBET値を特定の値に制御することにより、焼成後の粉砕を軽微にしても十分に微細な粉末が得られることが判明した。そして、この粉末を用いた複合誘電体材料として優れた誘電特性を備えることが確認された。
本発明は以上の知見に基づくものであり、ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体粉末の製造方法であって、Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成する比表面積(BET法による値、本願発明において単にBET値と記す)が20m/g以上のBサイト原料粉末とを含む混合物を得る工程と、混合物を焼成して第1焼成物を得る第1焼成工程と、第1焼成物を粉砕して第1粉末を得る第1粉砕工程と、を備えることを特徴としている。以上の本発明による第1粉末は、BET値が20m/g以上であるBサイト原料粉末を用いているため、長時間の粉砕を経ることなく、微細、具体的には1μm以下、さらには0.8μm以下のD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)とすることができる。この第1粉末は、長時間の粉砕を経なくてもよいから、粉砕による歪の発生が少なく、優れた誘電特性を発揮することができる。
本発明は、第1粉砕工程で得られた第1粉末に所定の処理を施した後に焼成して第2焼成物を得る第2焼成工程と、第2焼成物を粉砕して第2粉末を得る第2粉砕工程と、を備えることができる。この第2粉末もまた、第1粉末と同様に、長時間の粉砕を経ることなく、D50が1μm以下の微細なものとすることができる。なお、所定の処理とは、種々の副成分を添加、混合することを含む概念である。ただし、この副成分は、第1焼成工程前に添加することもできる。
本発明にかかる誘電体粉末は、AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、BサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことが誘電特性の点から望ましい。
本発明による誘電体粉末は、ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物からなる誘電体粉末と樹脂とを含む複合誘電体材料の製造に用いることができる。つまり本発明は、Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20〜40m/gのBサイト原料粉末とを原料とする焼成物を粉砕して誘電体粉末を得る工程と、この誘電体粉末と樹脂を複合化する工程と、を備えることを特徴とする複合誘電体材料の製造方法を提供する。
本発明の複合誘電体材料の製造方法は、BET値が20〜40m/gであるBサイト原料粉末に基づく焼成物を粉砕して得た誘電体粉末を使用するため、得られる複合誘電体材料の誘電特性は良好である。
ここで、Aサイト原料粉末とBET値が20〜40m/gのBサイト原料粉末とを原料とする焼成物とは、前述した第1焼成物及び第2焼成物の両者を包含している。また、上記誘電体粉末は、第1粉末及び第2粉末の両者を包含している。
本発明による複合誘電体材料の製造方法においても、AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、BサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、長時間の粉砕を経ることなく、微細な誘電体粉末を得ることができる。したがって、低コストでかつ誘電特性の優れた複合誘電体材料を得ることができる。
本発明が適用される誘電体材料は、ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物である。ここで、AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、さらにBサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことが望ましい。したがって、本発明は少なくとも以下のペロブスカイト酸化物に適用されることが望ましい。
SrTiO、CaTiO、(Sr,Ca)TiO、(Sr,Ba)TiO、(Ca,Ba)TiO、(Ba,Sr,Ca)TiO
SrZrO、CaZrO、(Sr,Ca)ZrO、(Sr,Ba)ZrO、(Ca,Ba)ZrO、(Ba,Sr,Ca)ZrO
SrNbO、CaNbO、(Sr,Ca)NbO、(Sr,Ba)NbO、(Ca,Ba)NbO、(Ba,Sr,Ca)NbO
Sr(Ti,Zr)O、Ca(Ti,Nb)O、(Sr,Ca)(Zr,Nb)O、(Sr,Ba)(Ti,Zr,Nb)O
本発明が適用される誘電体材料は、上述したペロブスカイト酸化物を主成分とし、さらに種々の副成分を含有することができる。本発明においては、A(ただし、AはNi、Mn及びCrから選択される1種又は2種の元素)の酸化物を副成分として添加することができる。また、X(ただし、XはV、Nb、W、Ta及びMoから選択される1種又は2種以上の元素)の酸化物を副成分として添加することができる。さらに、R(ただし、RはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、 Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選択される1種又は2種以上の元素)の酸化物を添加することができる。さらにまた、SiO、MO(ただし、MはBa、Ca、Sr及びMgから選択される1種又は2種以上の元素)、LiO、B及びMSiOから選択される1種又は2種以上の化合物を添加することができる。
本発明は、上述したABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物からなる誘電体粉末を製造する方法である。ところで、焼成体からなる誘電体材料は、例えば最終組成になるように秤量された原料粉末を混合する工程、混合粉末を仮焼する工程、仮焼物を粉砕する工程、粉砕粉末を焼成する工程を経ることにより製造することができる。この製造方法において、誘電体粉末は、上述の仮焼物を粉砕することにより得ることができるし、焼成工程を経て得られた焼成体を粉砕することにより得ることもできる。前者の態様を第1態様、後者の態様を第2態様とすると、本発明における誘電体粉末の製造方法は、第1態様又は第2態様のいずれについても適用することができる。そして、本発明における粉末の粒径制御の効果は、第1態様、つまり仮焼後の粉砕粉末において具現されるとともに、第2態様、つまり焼成体を粉砕して得られる粉末にも具現される。なお、第1態様の場合、通常仮焼と称されている工程の後に焼成が行われないため、本発明においては、これを仮焼と呼ばずに第1焼成と呼び、第2態様において、第1焼成の後に行われる焼成を第2焼成ということにする。
はじめに第1態様について説明する。
本発明の誘電体粉末を得るための原料には、主成分を構成する原料と、副成分を構成する原料とが用意される。ただし、副成分の添加は望ましいが、本発明において必須のものではない。
主成分を構成する原料としては、Aサイトを構成するためのAサイト原料粉末及びBサイトを構成するためのBサイト原料粉末が用意される。Aサイト原料粉末及びBサイト原料粉末としては、当該元素の酸化物及び/又は焼成により酸化物になる化合物が用いられる。焼成により酸化物になる化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が挙げられる。これらの化合物と酸化物とを併用してもよい。具体的には、Aサイト原料粉末としては、SrCO粉末、CaCO粉末及びBaCO粉末から選択される1種又は2種以上を用いるのが望ましい。また、Bサイト原料粉末としては、TiO粉末、ZrO粉末及びNbO粉末から選択される1種又は2種以上を用いるのが望ましい。
本発明は、比表面積(BET法による値、以下単にBET値と記す)が20m/g以上のBサイト原料粉末を用いる点に特徴がある。これは、後述する実施例で示しているように、Bサイト原料粉末のBET値が20m/g以上になると、第1焼成後に長時間の粉砕を行うことなくD50が1μm以下という微細な誘電体粉末を得ることができるからである。長時間の粉砕を行わずに済むため、本発明により得られる誘電体粉末の誘電特性は良好である。結果として、この誘電体粉末を用いた複合誘電体材料の誘電特性も良好である。
一方、本発明において、Aサイト原料粉末は、Bサイト原料粉末のようにBET値を特定することを必要としない。本発明者の検討によると、Aサイト原料粉末のBET値は得られる誘電体粉末の粒径に影響を与えないからである。したがって、Aサイト原料については、D50を0.01〜5.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
副成分を構成する副成分原料については以下の通りである。
Aの酸化物については、Aの酸化物及び/又は焼成によりAの酸化物になる化合物を原料として用いることができる。
Xの酸化物については、Xの酸化物及び/又は焼成によりXの酸化物になる化合物から選択される1種類以上の単一酸化物又は複合酸化物を原料として用いることができる。
Rの酸化物については、Rの酸化物及び/又は焼成により酸化物になる化合物から選択される1種類以上の単一酸化物又は複合酸化物を原料として用いることができる。
SiO、MO(ただし、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選択される1種又は2種以上の元素)、LiO、B及びMSiOから選択される1種又は2種以上については、当該化合物を原料として用いることができる。
副成分原料粉末も、D50を0.01〜5.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
以上の主成分及び副成分の原料粉末を、所望する組成に応じて秤量し、例えばボールミルにより湿式混合する。このスラリーを乾燥後、例えば900〜1350℃の範囲で所定時間保持する第1焼成を行う。このときの雰囲気はN又はO或いはこれらの混合ガスとすればよい。第1焼成の保持時間は0.5〜5.0時間の範囲で適宜選択すればよい。
第1焼成により得られた第1焼成物は粉砕される。粉砕にはボールミル、その他の粉砕手段を用いることができる。湿式で粉砕がなされた場合には粉砕後に乾燥を行う。本発明によれば、Bサイト原料粉末のBET値を20m/g以上とすることにより、短い粉砕時間、換言すれば粉砕による歪を抑制しながら、D50が1μm以下、さらには0.8μm以下の微細な誘電体粉末を得ることが可能である。この粉砕は、主成分原料と副成分原料を混合する場合と同程度の条件で足りる。
次に、第2態様は、第1焼成前に副成分を添加する態様と、第1焼成後に副成分を添加する態様を含むが、ここでは第1焼成後に副成分を添加する態様について説明する。
第2態様は、副成分を主成分とともに秤量、混合しない以外は、上述した第1態様と同様に第1焼成、粉砕まで実施される。この粉砕後に、粉砕により得られた主成分からなる粉末に副成分原料が添加、混合される。この混合は、第1態様における主成分原料と副成分原料の混合と同様に行えばよい。
混合により得られた粉末は第2焼成に供される。第2焼成は、前述した第1焼成と同様の条件で行えばよい。
第2焼成で得られた焼成物を粉砕する。この粉砕も、第1態様で行う粉砕と同様の条件とすればよい。
以上の工程で得られる粉末も、第1態様で得られる粉末と同様に、比較的短時間の粉砕によって微細な粒径となる。
本発明の複合誘電体材料は以下のような製造方法に従うことが好ましい。まず、誘電体粉末と有機高分子樹脂を所定量ずつ調合して混合する。なお、 混合は、例えば、乾式混合によっても行えるが、ボールミル、攪拌機等でトルエン、キシレン等の有機溶剤中で十分に混合するのが望ましい。このスラリーを90〜120℃で乾燥し、誘電体粉末と有機高分子樹脂との固まりを得る。この固まりを粉砕して誘電体粉末と有機高分子樹脂の混合粉末を得る。スラリーから混合粉末にする方法は、スプレードライヤー等の顆粒製造装置を用いてもよい。混合粉末の平均粒径は50〜1000μm程度とすればよい。 次に、この混合粉末を100〜200℃で所望の形状にプレス成形し、この成形物を100〜200℃の温度で硬化処理する。この硬化に際しては、後述する補強材を存在させてもよい。
本発明による複合誘電体材料において、誘電体粉末と樹脂との合計を100vol%としたとき、誘電体粉末の含有量は30〜70vol%とする。誘電体粉末の量が30vol%未満になる(樹脂の量が70vol%を超える)、基板としての寸法安定性を欠くとともに、誘電率εが低下してしまう。つまり、誘電体粉末を含有する効果があまりみられない。一方、誘電体粉末の量が70vol%を超える(樹脂の量が30vol%未満になる)と、プレス成形の際、流動性が非常に悪くなり、緻密な成形物が得られなくなる。その結果、水等の侵入が容易になり電気特性の劣化につながる。また、誘電体粉末を添加しない場合に比べて、Q値が大きく低下することもある。よって、誘電体粉末の含有量は30〜70vol%とする。望ましい誘電体粉末の含有量は40〜65vol%、さらに望ましい誘電体粉末の含有量は45〜60vol%である。但し、誘電体粉末の最適含有量は基板パターンの形状に応じて変動するものであり、基板パターンの形状が比較的微細なものである場合には、望ましい誘電体粉末の含有量は35〜50vol%程度である。
また、本発明の複合誘電体材料に用いる樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂、ビニルベンジル樹脂、のうちいずれか1種以上の熱硬化性樹脂を用いることができる。または、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエチルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアリレート樹脂、グラフト樹脂のうち少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂を用いることができる。さらに前記熱硬化性樹脂のうちの少なくとも1種以上と前記熱可塑性樹脂の少なくとも1種以上とを複合させた樹脂を用いることもできる。
本発明における樹脂には、補強材を添加することができる。補強材は機械的強度や寸法安定性を向上させる上で有効であり、回路用基板を作製するにあたっては、通常、所定量の補強材が樹脂に添加される。補強材としては、繊維状または板状あるいは粒状などの非繊維状の補強材を挙げることができる。繊維状の補強材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、硼酸アルミニウム繊維、セラミック繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、金属繊維、ホウ酸マグネシウムウィスカまたはその繊維、チタン酸カリウムウィスカまたはその繊維、酸化亜鉛ウィスカ、ボロンウィスカ繊維等の無機繊維および炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維などが挙げられる。繊維状の補強材を用いる場合には、特開2001−187831号公報等に記載の、いわゆる含浸方法を採用することができる。要するに、誘電体粉末と樹脂とがスラリー状に調整された塗工槽に、シート状に成形した繊維状の補強材を浸漬すればよい。
また、非繊維状の補強材としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート、パイロフィライト、モンモリロナイト等の珪酸塩、二硫化モリブデン、アルミナ、塩化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、ガラスフレーク、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの針状、板状、あるいは粒状の補強材などが挙げられ、これらは中空であってもよい。非繊維状の補強材を用いる場合には、樹脂に添加すればよい。
これらの補強材は、1種だけ用いてもよく、2種類以上併用することが可能であり、必要によりシラン系ならびにチタン系カップリング剤で予備処理して使用することができる。特に好ましい補強材は、ガラス繊維である。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、チョップドストランドマット、連続長繊維マット、織物、編物等の布帛状ガラス、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
複合誘電体材料中の補強材の含有量は、10〜30wt%の範囲であることが好ましい。より好ましくは15〜25wt%である。
本発明の複合誘電体材料は、フィルムとして、あるいはバルク状や所定形状の成形体で、そしてフィルム状のラミネーションとして、など種々の形態で用いることができる。したがって高周波用の電子機器や電子部品(共振器、フィルタ、コンデンサ、インダクタ、アンテナ等)の各種基板、チップ部品としてのフィルタ(例えば多層基板であるCフィルタ)や共振器(例えばトリプレート型共振器)、あるいは誘電体共振器等の支持台、さらには各種基板ないし電子部品のハウジング(例えばアンテナ棒ハウジング)、ケーシング、あるいは電子部品やそのハウジングやケーシング等に用いることができる。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
(Sr0.64Ca0.36)TiO、A/B(Aサイト原子とBサイト原子のモル比)=0.994を狙い組成として以下の原料粉末を秤量し、ボールミルにより湿式混合した。なお、Bサイト原料としては、表1に示す、BET値及びD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)の異なる9種類のTiO粉末を用意した。
Aサイト原料
SrCO粉末 (BET値=6.0m/g、D50=0.50μm)
CaCO粉末 (BET値=18.8m/g、D50=0.30μm)
Bサイト原料
TiO粉末 (BET値=2.9〜51.3m/g、D50=1.75〜0.27μm)
ボールミルとして6寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:1kg、φ3mm:2kg)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ボールミルには混合粉末を800g投入し、スラリー濃度を33%とした。さらに、混合に先立ち、分散剤(東亞合成(株)製:A−30SL)を0.2wt%添加した。
ボールミルによる湿式混合が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持する乾燥を行った。
乾燥された混合粉末を355μmのメッシュを通した後、MgO製のコウバチ中において、1150℃で2時間保持することにより焼成(第1焼成)を行った。
ボールミルを用いて得られた焼成物(第1焼成物)を粉砕した。ボールミルとして、4寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:200g、φ3mm:430g)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ポットには焼成物を150g投入し、スラリー濃度を33%とした。
ボールミルによる粉砕が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持する乾燥を行った。この粉末を、以下第1粉末と言うことにする。
第1粉末の粒度分布を測定するとともに、D50を求めた。なお、粒度分布の測定は、マイクロトラック超微粒子粒度分布計(日機装(株)製:9340−UPA150)を用いて行った。
表1に第1粉末のD50の測定結果を示す。また、図1にBサイト原料粉末(TiO粉末)のBET値と第1粉末のD50の関係を示している。表1及び図1より、BET値を20m/g以上にすることにより、第1粉末のD50を1.0μm以下、さらには0.8μm以下にできることがわかる。このことは、同一の粉砕時間でより微細な誘電体粉末を得ることができることを示しており、本発明によれば、粉砕による歪が少なく誘電特性の高い微細な誘電体粉末が得られることを示唆している。
Figure 2005225721
次に、9種類の第1粉末100モルに対して以下の副成分の粉末を添加した後に、ボールミルにより湿式混合した。ボールミルとして、4寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:200g、φ3mm:430g)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ポットには第1粉末を100g投入し、スラリー濃度を33%とした。さらに、混合に先立ち、分散剤(東亞合成(株)製:A−30SL)を0.2wt%添加した。
MnO(D50=0.55μm):0.365モル
(D50=0.52μm):0.1モル
(D50=0.33μm):0.035モル
CaSiO(D50=1.178μm):1.616モル
ボールミルによる湿式混合が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持して乾燥した。
乾燥された混合粉末を355μmのメッシュを通した後、MgO製のコウバチ中において、1150℃で2時間保持することにより焼成(第2焼成)を行った。
ボールミルを用いて得られた焼成物(第2焼成物)を粉砕した。ボールミルとして、4寸ポット及びメディアとしてZrOボール(φ10mm:200g、φ3mm:430g)を用い、120rpmで16時間処理した。また、ボールミルには焼成物を100g投入し、スラリー濃度を33%とした。
ボールミルによる湿式混合が終了した後に、乾燥機を用いて120℃の温度下で24時間保持して乾燥した。この粉末を、以下第2粉末と言うことにする。
以上で得られた第2粉末と有機高分子樹脂とをポットミルを用いて混練した。有機高分子樹脂としては、ベンジル系樹脂(εr =2.5、tanδ=1×10−4)を用いた。混練は、100mlのポット中にφ10mmのZrOボールを60g投入し、120rpmで3時間処理した。また、ポット中に、第2粉末を15g、ベンジル系樹脂を第2粉末の含有率が40vol%になるように投入した。
混練終了後、混練物をシート状に成形した後に、乾燥機にて110℃で2時間保持する乾燥を行った。その後、150℃の温度でプレス成形後、180℃に昇温して樹脂を完全に硬化させた。樹脂の硬化後に、シートから1mm角、長さ80mm以上の寸法の試料(複合誘電体材料)を切出した。
以上の複合誘電体材料について比誘電率(εr)とQ値を摂動法(n=3)により測定した。その結果を表1に示す。なお、測定にはヒューレットパッカード社製のRFベクトルネットワークアナライザであるHP8510を用いて行った。
図2にBサイト原料粉末のBET値と、複合誘電体材料の比誘電率(εr)及びQ値との関係を示す。図2に示すように、Bサイト原料粉末のBET値が大きくなるにつれて複合誘電体材料の比誘電率(εr)及びQ値が大きくなる。しかし、BET値が30m/gをピークに、複合誘電体材料の比誘電率(εr)及びQ値が低下する傾向にある。この結果より、本発明では、複合誘電体材料を得る場合、Bサイト原料粉末のBET値を20〜40m/g、望ましくは25〜35m/gの範囲とする。
Bサイト原料粉末(TiO粉末)のBET値と、第1粉末のD50の関係を示すグラフである。 Bサイト原料粉末(TiO粉末)のBET値と、複合誘電体材料の比誘電率(εr)及びQ値との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物を含む誘電体粉末の製造方法であって、
    Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20m/g以上のBサイト原料粉末とを含む混合物を焼成して第1焼成物を得る第1焼成工程と、
    前記第1焼成物を粉砕して第1粉末を得る第1粉砕工程と、を備えることを特徴とする誘電体粉末の製造方法。
  2. 前記第1粉砕工程で得られた前記第1粉末に所定の処理を施した後に焼成して第2焼成物を得る第2焼成工程と、
    前記第2焼成物を粉砕して第2粉末を得る第2粉砕工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の誘電体粉末の製造方法。
  3. 前記ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物において、前記AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子を含み、前記BサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の誘電体粉末の製造方法。
  4. 前記第1粉末又前記第2粉末は、D50(累積個数が50%となる粒子の粒径)が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体粉末の製造方法。
  5. ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物からなる誘電体粉末と樹脂とを含む複合誘電体材料の製造方法であって、
    Aサイトを構成するAサイト原料粉末とBサイトを構成するBET値が20〜40m/gのBサイト原料粉末とを原料とする焼成物を粉砕して誘電体粉末を得る工程と、
    前記誘電体粉末と樹脂を複合化する工程と、を備えることを特徴とする複合誘電体材料の製造方法。
  6. 前記ABO型の原子配列を持つペロブスカイト酸化物において、前記AサイトがBa、Ca及びSrから選択される1種又は2種以上の原子から構成され、前記BサイトがTi、Zr及びNbから選択される1種又は2種以上の原子から構成されることを特徴とする請求項5に記載の複合誘電体材料の製造方法。
  7. 前記誘電体粉末のD50(累積個数が50%となる粒子の粒径)が1μm以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の複合誘電体材料の製造方法。
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