JP2006328811A - 堤内仮排水路を利用した排砂設備の構築工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ダム建設時に仮排水路として堤体内に設けられ、ダム建設後はコンクリートが充填されて塞がれている仮排水路からコンクリートを撤去する工程と、コンクリートが充填されている仮排水路の上流側に開口を形成する工程と、上流側開口を形成する工程に先立ち上流側開口周りを囲って作業空間を形成する工程と、コンクリートを撤去したトンネルに堆積物を通過させるための放流通路を形成する工程と、堆積物を含む水の放流量を調整するため放流通路を開閉する手段を設ける工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
また特開2001−20318号公報(特許文献2)には、貯水池に設けたポンプ浚渫船が、水底から連続的に堆積物を吸引する吸引ポンプを有し、送給管を介して振動フルイに送給する装置が記載されている。
すなわち、ダムの下流にある河川には、河床低下が生じたり、河口付近に海岸侵食が生じるものもあり、ダムによる泥や土砂などの堰き止めの影響が懸念されるようになっている。したがって、場所によっては、堆積物を積極的に下流側に放流することが要求されている。
本発明では、ダム建設後にコンクリートが充填されて塞がれている仮排水路のコンクリートを撤去することにより、ダム堤体内にトンネルを形成し、このトンネルに放流通路を形成するものであるため、このトンネル内周部分には仮排水路構築時の補強筋が残されており、新たに補強筋を設けるといった煩雑な工程を省略することができて、工期の短縮化が可能になり、建設コストを抑制することができる。また上流側開口周りを囲って作業空間を形成するものであるため、貯水池から排水して水位を低下させなくても、コンクリートが充填されている仮排水路トンネルの上流側に開口を形成することができて、既設ダムの貯水池の供用を継続しながら排砂設備の構築工事を実施することができる。
筒状構造体は、最下部に底版のみ、或いは底版及び側壁を備える函体を設置し、この底版または函体の上に側壁部材または管状体を吊り下ろし、さらに、側壁部材或いは管状体の吊り下ろし工程を繰り返し行って結合することにより構築することができる。側壁部材は、半円弧状またはコ字状に形成された板材により構成し、これを堤体側面に水密に取り付け、内側に筒状空間を形成するものである。
本発明は、ダム建設のため堤体内に仮排水路として設けたトンネルを、仮排水路としての使用後にコンクリートの充填により塞ぐこと無く、排砂設備に転用する施工方法であり、このトンネル内周部分には仮排水路構築時の補強筋が残されており、新たに補強筋を設けるといった煩雑な工程を省略することができて、工期の短縮化が可能になり、建設コストを抑制することができる。またダムの貯水池の供用を開始する前に、排砂設備の構築施工を行うものであるため、上流側開口周りを仮締切で囲う必要が無く、この点においても工期短縮化と建設コスト抑制が可能になる。
一般にこれらの仮排水路はダムの比較的低い位置に設置されていることが多く、低層密度濁流を効率よく放流するために適した位置に設置されている。低層密度濁流の貯水池への流入は、洪水時に最も多くなるため、排砂設備を洪水調整時に操作することにより土砂を効果的に下流に放流し、貯水池の堆砂を抑制することができる。
また、これらの操作は、洪水時に上流の土砂が下流に流下する自然河川の機能に近いものを提供する。
[排砂設備の構築工法の概要]
本発明にかかる排砂設備の構築工法は、既設ダムを建設する際に仮排水路として堤体内に設けられ、ダム建設後はコンクリートが充填されて塞がれている仮排水路から充填コンクリートを撤去し、ここに堆積物を通過させるための放流通路を形成することを特徴とするものであり、主要な工程として、上流側仮締切の設置工程、充填コンクリートの撤去工程、上流側開口の形成工程、放流通路の形成工程、放流通路の開閉手段の設置工程等を含むものであり、さらに、下流バルブ室の構築工程、主放流バルブと副放流バルブの設置工程、下流導水路の構築工程、掃流管等の設置工程も実施される。
上流側仮締切10は、図1(a)〜(c)に示したように、上流側開口周りを仮締切で囲って作業空間を確保するものであり、ダム堤体11に放流通路の上流側開口を形成する工程に先立ち設置される。
図1(a)に示したように、最初に、クローラクレーン12などの揚重機をダム堤体11の頂部に設置し、このクローラクレーン12によりガイドレール等のガイド部材(図示せず)を吊り下ろし、ガイド部材を潜水作業により堤体上流側面に沿って固定する。次に、ケーソン部材13をクローラクレーン12により吊り下ろし、このケーソン部材13を貯水池14に沈めながら内部に注水し、さらに、ガイド部材に沿って上流側開口付近まで吊り下ろし、ダム堤体11の上流側面に固定する。このケーソン部材13は、仮締切の最下端部を構成するものであり、底版を有し、堤体側面に当接する箇所には側壁が無く、その他の面には側壁を有するものを用いることができる。
他のケーソン部材15も同様にクローラクレーン12により吊り下ろし、順次、最下端のケーソン部材13の上に積み重ねることにより、上流側仮締切10を構築することができる。なお、二段目以降のケーソン部材15は、板材が円弧状断面またはコ字状断面に形成されたものであり、ダム堤体11の側面に当接する箇所に板材を有していないものである。
全ケーソン部材13,15の設置完了後、或いは各ケーソン部材13,15を設置する毎に、ダム堤体11とケーソン部材13,15の側面との隙間を止水材16により塞ぐ。図1(b)に示したように、ケーソン部材13,15の設置完了後、止水性を確認しながら、内部の水を徐々に排水すれば、上流側仮締切10の設置工程が終了する。
上流側仮締切10の下端は、上流側開口の形成作業に支障をきたさないように、上流側開口の形成予定位置よりも若干低く、例えば、上流側開口の下端よりも1m程度低い位置とされる。また上流側仮締切10の上端は、風波浪高による水面変動時にも仮締切内が浸水しないように、貯水池14の運用水位よりも1m程度高い位置とされる。
仮排水路からコンクリートを撤去する工程では、ダム堤体11に有害な衝撃や振動などを与えないことが必要である。そのため、爆薬を使用せず、膨張材を含む静的破砕剤や機械による掘削が実施される。図示はしないが、機械による掘削方法は、例えば、撤去対象箇所に複数の孔を穿設し、油圧割裂装置等を使用して各孔間のコンクリートを割裂した後に、孔の深さ方向にコンクリートを掘削する。破砕したコンクリートをダム堤体11の下流側に設けた作業構台17まで搬出しながら、以上の工程を繰り返し行う。
なお、コンクリートの掘削作業は、ほとんどがダム堤体11の下流側から行われるものであり、したがって、コンクリートの撤去工程は、図1(a)〜(c)に示したように、上流側仮締切10の設置工程と並行して実施することが可能であり、上流側仮締切10の完成後には、ダム堤体11の上流側への貫通のみを実施することも可能である。
ダム堤体の下流側からコンクリート撤去作業を進め、上流側に残された既存コンクリートの厚さが、例えば500mm程度まで薄くなったら、この部分はダム堤体の上流側からの迎え掘りにより撤去することができる。このように上流側開口を形成した後に、上流側に向かって開口が拡径するように拡幅してコンクリートを除去し、この開口部分すなわち呑口部分に、上流側に拡径する開口部材(ベルマウス)やゲート戸当たり部材を設け、このベルマウス周りにコンクリートを充填する。このコンクリート充填作業は、ダム堤体の頂部にコンクリートポンプ車を配置し、ここからベルマウス周りまで延ばした配管を通して高流動性コンクリートを打設する。これ以外にも、呑口部分には、先端ノズルから空気を噴出する空気管、先端ノズルから水を噴出する掃流管、制水ゲート(図示せず、放流通路の開閉手段)、止水板等を取り付ける。これら部材の取り付け作業は、ダム堤体の頂部のクローラクレーンにより資材や機材を上流側仮締切内に吊り込み、この上流側仮締切の内部で行うことができる。
図2に示したように、仮排水路からコンクリートを撤去して形成したトンネル20には、放流管としての鋼管21を設置する。放流管の設置は、外周からの溶接作業が不要な巻き込み鋼管工法により実施するものである。巻き込み鋼管工法は、既知の技術であって、鋼板を鋼管状に巻き込んで縮径し、この縮径状態で固定して設置箇所まで搬送し、設置箇所で拡径して軸方向と周方向に接合する工法である。
すなわち、放流通路を形成するため、コンクリート撤去後のトンネル内20に巻き込み鋼管21の引き込み用及び設置固定用の鋼製架台22を設置する。そして、下流側の作業構台17上にウインチ23を設置し、このウインチ23から索引用ロープ24をトンネル20内に延ばし、上流側開口付近に設けたプーリー25に掛けて折り返し、トンネル20の下流側外部まで延長する。巻き込み鋼管21をクレーン等の揚重機26により鋼製架台22上に設置し、索引用ロープ24に接続してウインチ23で牽引し、巻き込み鋼管21をトンネル20内の上流側から順次、鋼製架台22上の所定位置に設置する。所定位置で巻き込み鋼管21を拡径し、管軸方向に溶接で固定する。この巻き込み鋼管21の鋼製架台22上への設置、牽引、管軸方向の溶接を繰り返し、隣合う鋼管21同士の円周接合部を溶接で固定すると、図3に示した放流管29を形成することができる。
次に、放流管29とトンネル20との隙間に高流動性コンクリートを打設する。このコンクリート打設作業は、作業構台17上にコンクリートポンプ車27を配置し、ここから放流管29とトンネル20との隙間を通して配管28を所定位置まで延ばし、高流動性コンクリートを打設する。
放流通路の開閉手段としては、図4に示したように、呑口部分に設けられた制水ゲート31に加え、放流管29の下流側開口に主ゲート32及び副ゲート33を設置する。
主ゲート32には水圧を引張荷重として受ける構造の引張ラジアルゲートを使用し、土砂の噛み込みが少なく、土砂を多く含んだ濁流も安定して遮断できるものとした。主ゲート32と副ゲート33の上部にはゲートを操作するための開閉装置、油圧装置、操作盤等の機器を設置するためのゲート操作室34を設ける。また引張ラジアルゲートの下流側には、適宜、下流導水路(図示せず)も構築する。呑口部に設ける制水ゲート31には、土砂の堆積、噛み込みによる開閉障害を防止するため、噴流ジェットによりゲート戸当り部の土砂を強制的にフラッシングする掃流装置を設ける。噴流ジェットは貯水池の水を利用して監査廊35に設けた渦巻きポンプ36から配管により制水ゲート31の底面付近へ導く機構である。
なお、引張ラジアルゲートとは、扉体が円弧状に形成されたゲートであって、その円弧の中心を軸として回転して開閉するように、回転軸、軸受、脚が設けられており、さらに、引張ラジアルゲートは水圧が引張荷重として作用するように、回転軸が円弧状扉体よりも上流側に配置されている。また本実施例では、扉体を開閉するためのシリンダーを扉体よりも下方に配置し、開閉シリンダーを伸張したときに扉体が開き、開閉シリンダーを収縮したときに扉体が閉じるように設置する。
次に、図4を参照して堆積物の除去方法について説明する。
堆積物の除去作業を実施していないとき、排砂設備における制水ゲート31は閉鎖されており、主ゲート32及び副ゲート33は開かれた状態になっている。なお、副ゲート33は常に開放された状態が維持される。
堆積物の除去作業を開始する際には、その準備として、主ゲート32を閉鎖し、制水ゲート31との間の放流管29内に水を充たす。これは、制水ゲート31を解放したときに、放流管29内に作用する負圧を抑制するためである。放流管29内に十分に充水したら、制水ゲート31を上昇させて開放し、その後に主ゲート32を開く。これにより、貯水池14の底に溜まった堆積物は放流管29を通って下流導水路へ放流される。
堆積物の放流時には、制水ゲート31、主ゲート32及び副ゲート33の全てが開放状態になっているが、堆積物の排出を終了する際には、主ゲート32を閉鎖することにより水流を止める。次に、若干の隙間が残るように制水ゲート31を下降させ、再び主ゲート32を開くと、強い圧力の水流(フラッシング)が生じ、放流管29内に溜まった土砂を洗い流すことができる。土砂が十分に洗浄されたら、主ゲート32を閉鎖して水の流れを止め、フラッシング操作を終了する。このとき、制水ゲート31は下端に若干の隙間が残されており、この下端の戸溝部分には土砂が溜まっているため、掃流装置を操作して噴流ジェットで堆積土砂を強制的に除去する。戸溝の洗浄の後に、制水ゲート31を下降させて完全に閉鎖した後、主ゲート32を開放する。この際、放流管内に若干の土砂が残った場合、制水ゲート31を再び若干の隙間で開放し、強い圧力の水流(フラッシング)によって土砂を洗い流して常時状態に復帰する。
[排砂設備の構築工法の概要]
第二の実施形態は、ダムを建設する際に仮排水路として堤体内に設けられたトンネルを、仮排水路としての使用が終了した後、コンクリート充填による閉鎖を行わず、これを排砂設備に転用する施工方法であり、主要な工程として、上流側開口の形成工程、放流通路の形成工程、放流通路の開閉手段の設置工程等を含むものであり、さらに、下流バルブ室の構築工程、主放流バルブと副放流バルブの設置工程、下流導水路の構築工程、掃流管等の設置工程も実施される。なお、第二の実施形態では図示を省略し、必要に応じて、第一の実施形態を参照して説明する。
ダム建設の際に仮排水路として設けられたトンネルにおいて、仮排水路としての使用が終了したら、ダム堤体の上流側開口部分すなわち呑口部分に、上流側に拡径する開口部材(ベルマウス)やゲート戸当たり部材を設け、このベルマウス周りにコンクリートを充填する。このコンクリート充填作業や、これ以外の空気噴出ノズル、空気管、水噴出ノズル、掃流管、制水ゲート、止水板等の取り付け作業は、第一の実施形態と同様な方法により行う。
11 ダム堤体
13 ケーソン部材
14 貯水池
15 ケーソン部材
29 放流管
Claims (4)
- ダム建設時に仮排水路として堤体内に設けられ、ダム建設後はコンクリートが充填されて塞がれている仮排水路からコンクリートを撤去する工程と、コンクリートが充填されている仮排水路の上流側に開口を形成する工程と、該上流側開口を形成する工程に先立ち上流側開口周りを囲って作業空間を形成する工程と、該コンクリートを撤去したトンネルに堆積物を通過させるための放流通路を形成する工程と、堆積物を含む水の放流量を調整するため放流通路を開閉する手段を設ける工程とを含むことを特徴とする既設ダムにおける排砂設備の構築工法。
- 前記作業空間を形成する工程では、堤体上流側の開口形成予定箇所から貯水池水面まで縦に連通する筒状構造体を堤体に沿って形成し、該筒状構造体はその内部に貯水池から浸水しないように水密に形成し、該筒状構造体の内部から排水することを特徴とする請求項1記載の既設ダムにおける排砂設備の構築工法。
- 前記放流通路を形成する工程では、コンクリート撤去後のトンネルの上流側に開口部材を設け、該トンネル内に複数の管体を搬入して管体同士を連結し、該トンネルと複数の管体及び開口部材との隙間にコンクリートを充填することを特徴とする請求項1記載の既設ダムにおける排砂設備の構築工法。
- ダム建設のため堤体内に仮排水路として設けたトンネルの使用が終了したら、該仮排水路をコンクリートの充填により塞ぐこと無く、ダム建設後又はダム建設中に該仮排水路の上流側に開口部材を設け、該仮排水路内に複数の管体を搬入して管体同士を連結し、該仮排水路と複数の管体及び開口部材との隙間にコンクリートを充填することを特徴とする排砂設備の構築工法。
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