JP2007238902A - 天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents

天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 天然ゴムの臭気発生を抑制する天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ハイドロタルサイトを有効成分とすることを特徴とする天然ゴム用消臭剤。
また、本発明の消臭天然ゴム組成物は、天然ゴムにハイドロタルサイトを配合したことを特徴とする。その配合量としては、天然ゴム100質量部に対して、0.05〜10.0質量部であるが好ましい。
本発明の消臭天然ゴム組成物の製造方法は、天然ゴムの製造工程において、乾燥工程後のドライプリブレイカーに、ハイドロタルサイトを投入することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、天然ゴムの臭気発生を抑制する天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物、及びその製造方法に関する。
一般に、天然ゴムは、熱帯地方で栽培されるへベア・ブラジリエンスと呼ばれるゴムの樹の樹液(天然ゴムラテックス)を凝固・乾燥して得られるものである。この天然ゴムラテックス粒子は、タンパク質、ポリイソプレン、リン脂質等が複合的に絡み合ったものであり、また、このラテックスを遠心分離すると、上澄みからは、タンパク質、脂質などを含有するゴム層(35%)、中間層には、タンパク質、アミノ酸、有機酸を含有するセラム層(天然ゴム漿液、55%)、底部層には、タンパク質、窒素化合物、リン脂質等を含有するボトム層(沈積物層、10%)に分離される。
この天然ゴム成分以外に各種非ゴム成分を含む天然ゴムラテックスから天然ゴムを製造する方法には、その製法により、主として技術的各付けゴム(TSR)と燻製ゴム(RSS)に大別されている。
これらの製法により製造された天然ゴムは、出荷前にポリエチレンで梱包されたり、タルクで表面をコーティングされたりすること、ゴムの温度が既に室温まで下がっていることによって、流通時点では臭気は小さくて問題にならないものである。
しかしながら、一般的に、天然ゴムは、合成ゴムと比較して分子量が大きいため、ゴム製品工場において各種配合剤を均一に混練りすることが難しいものである。従って、天然ゴムを少量の素練り促進剤と共に混練りし、ゴム分子量を適度な大きさに下げる操作などが必要となるものである。この操作等を、「素練り」という。
この素練り中にゴム温度が130〜150℃程度に上昇するものである。この温度上昇(発熱)により、天然ゴムに含有されていた臭気成分が発散すると共に、非ゴム成分が更に酸化・分解し新たな臭気を発散することとなる。これら臭気が工場内外に漏れると環境問題になりかねないのである。
上記天然ゴムの素練りにより発生する臭気を捕捉してGC−MSで分析すると、酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸類、アルデヒド類、ピラジン類やピロール類等の窒素環状化合物、アンモニア等が検出される。
一般的に、高級脂肪酸が高温に晒されると、自動酸化を生じて低級脂肪酸とアルデヒド類を生成することが知られている。また、タンパク質とカルボニル化合物とが加熱されると、ストレッカー分解を生じて窒素環状化合物を、タンパク質が分解するとアンモニアを生成することも知られている。
他方、天然ゴムには、天然の高級脂肪酸やタンパク質などの非ゴム分が含まれることは上述の如く、良く知られている。従って、天然ゴムに含有される高級脂肪酸、タンパク質が、天然ゴム生産工程での燻製や熱乾燥、ゴム製品工場での素練りにおいても上記同様の反応を生じることは容易に推察される。
この素練りゴムは、更に、カーボンブラックや各種配合薬品と共に混練りされるが、この工程では臭気がカーボンブラックなどに吸収されるため臭気問題は素練りほど大きくないが未だ特有の臭気を有するものである。
この臭気問題の対策のため、これまでに、混練り設備の排気ダクトに脱臭フィルターを設置したり、混練り設備周辺に香料を散布したり、様々な対応策を講じてきたが、それでも、対策が充分でない場合があり、更に、天然ゴムそのものの改善、すなわち、臭気が低減できる天然ゴムの出現が切望されているのが現状である。
一方、天然ゴムの臭気を低減する方法としては、例えば、天然ゴムラテックスから天然ゴムを製造するに際し、天然ゴムラテックスを凝固前又は凝固後に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムから選ばれる1種以上のアルカリ溶液に接触させることにより、微生物によって非ゴム分から作り出される臭気成分の揮発性脂肪酸を不揮発性の脂肪酸に変えることにより臭いを低減した天然ゴムの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
また、天然ゴムの臭気発生を抑制する天然ゴム用消臭剤として、メタ重亜硫酸カリウム又はメタ重亜硫酸ナトリウムの水溶液からなる天然ゴム用消臭剤が知られている(本願出願人による特許文献2参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載される技術は、微生物によって非ゴム分から作り出される臭気成分の揮発性脂肪酸を不揮発性の脂肪酸に変えることにより臭いを低減するものであるが、天然ゴムの臭気成分は揮発性脂肪酸のみならず、アルデヒド類、窒素環状化合物、アンモニアなど多く存在するものであり、この技術では未だ天然ゴムの臭気を低減できないという課題を有するものである。
また、上記特許文献2に記載される技術は、臭気を低減させることができるものであるが、更なる天然ゴムの臭気の確実な抑制ができる天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物の出現が切望されているのが現状である。
特開平8−81504号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−302069号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、天然ゴムに含まれる揮発性脂肪酸等の分解などによる特有の臭気成分の生成を簡易な手段等により抑制せしめて、臭気をより効果的に低減してなる天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、既に工業用添加剤と使用され、安全性が確認されている特定の化合物に天然ゴムの特有の臭気を消臭する効果があることが判明し、更に研究を続けた結果、上記目的の天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物及びその製造方法を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) ハイドロタルサイトを有効成分とすることを特徴とする天然ゴム用消臭剤。
(2) 天然ゴムにハイドロタルサイトを配合したことを特徴とする消臭天然ゴム組成物。
(3) ハイドロタルサイトの配合量が天然ゴム100質量部に対して、0.05〜10.0質量部である上記(2)に記載の消臭天然ゴム組成物。
(4) 天然ゴムの製造工程において、乾燥工程後のドライプリブレイカーに、ハイドロタルサイトを投入することを特徴とする消臭天然ゴム組成物の製造方法。
本発明の天然ゴム用消臭剤は、従来から工業薬品として用いられている化合物を消臭剤とするものであるので、安全に取り扱うことができると共に、天然ゴムの製造時に使用した場合には、天然ゴム中のゴム臭気の原因物質である揮発性脂肪酸等を選択的に吸着して、該物質起因のゴム臭気を長期間に亘って抑制することができる。
本発明の消臭天然ゴム組成物は、優れた消臭効果を発揮するので、原料製造後及び素練り時のゴム臭を著しく低減することができる。
本発明の消臭天然ゴム組成物の製造方法は、天然ゴム製造時に従来から工業薬品に用いられている化合物を消臭剤として天然ゴムに配合するだけであるので、従来の天然ゴム製造工程に格別の変更を必要とせず、低コストで製造することができる。
以下に、本発明の実施形態を発明ごとに詳しく説明する。
本発明の天然ゴム用消臭剤は、ハイドロタルサイトを有効成分とすることを特徴とするものである。
このハイドロタルサイトは、既に公知物質であり、天然物、合成物が知られており、また、その製法等も知られているが、天然ゴムに対して、消臭効果を発揮することは、今まで全く知られておらず、本発明者によって新たにその属性が発見されたものであって、安全に取り扱うことができ、しかも、低コストで、かつ、後述の実施例から明らかなように天然ゴムに使用した場合には、添加した時点から消臭効果を発揮するものである。
本発明で用いるハイドロタルサイトは、下記一般式(I)で表される、いわゆるハイドロタルサイト構造を有する化合物(天然物を含む)が挙げられる。
Figure 2007238902
例えば、マグネシウム−アルミニウムハイドロタルサイト、亜鉛−アルミニウムハイドロタルサイト、マグネシウム−亜鉛−アルミニウムハイドロタルサイトなどが挙げられる。具体的には、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)14CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO、MgZnAl(OH)12CO・mHO、MgZnAl(OH)12COなどの少なくとも1種が挙げられる。
市販のものでは、協和化学工業社製のDHT−4A〔Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO〕、KW−2200などを用いることができる。
本発明の消臭剤において、消臭効果を得るためには、天然ゴム中にハイドロタルサイトを十分に分散させることが必要である。ハイドロタルサイトは、塩基性向きフィラーであり、粉散で投入してもゴム中に分散するが、充分に分散させるためには、好ましくは、水溶液で天然ゴム中に浸透分散させることが望ましい。
用いるハイドロタルサイトの平均粒径は、10〜500nmであるものが望ましい。
また、用いるハイドロタルサイトの使用量は、天然ゴム100質量部に対して、全粉体濃度(全水溶液濃度)で消臭効果があり、好ましくは、0.05〜10質量%(以下、単に「%」という)である。なお、水溶液で投入する場合、浸漬時間、ゴム原料の含水率等によりハイドロタルサイトの水溶液濃度の適値は上記範囲内で異なるものである。例えば、含水率約0.5%のUSSで、浸漬時間6日の条件でハイドロタルサイトの水溶液濃度は0.5〜4.0%である。
これらの濃度が0.05%未満では分散に必要な量が不足すると共に、本願発明の効果を発揮することができず、一方、10%超過では過剰量となり、この量を越えると、天然ゴム製品性能に悪影響を与えることとなるので好ましくない。
本発明の消臭天然ゴム組成物の製造方法は、天然ゴムの製造時に、すなわち、タッピング−天然ゴムラテックス−凝固−洗浄(水洗い)−脱水−乾燥−パッキングの順で生産されている天然ゴムの製造工程において、上記脱水後の乾燥工程前に、該天然ゴムを上記濃度範囲のハイドロタルサイト(粉体)を天然ゴムに添加後昆練、または、ハイドロタルサイトの水溶液に浸漬処理することにより天然ゴム中に十分に浸透させることにより、並びに、乾燥工程後のドライプリブレイカーのビスケットに、ハイドロタルサイトを配合することにより製造することができる。なお、乾燥工程後の「ドライプリブレイカー」とは、ゴムを混練する押出機を意味する。
上記昆練時間は、天然ゴムの種類、重量及び含水量等により変動するものであり、例えば、含水率0.5%のUSSの場合、少なくとも0.5分〜1時間であり、また、浸漬処理の場合、浸漬時間としては、天然ゴムの種類、重量及び含水量等により変動するものであり、例えば、充分に乾燥処理した含水率1%以下のUSSで、少なくとも12時間〜2日であり、上記ドライプリブレイカーでは、浸漬処理が必要でないため、効率的に生産が可能である。
好ましくは、更なる効率的な生産の点から、天然ゴムの乾燥工程後のドライプリブレイカーのビスケットに、ハイドロタルサイトを投入することが好ましい。
本発明の消臭天然ゴム組成物では、天然ゴムに上記濃度範囲の消臭効果を有するハイドロタルサイトが配合されているので、天然ゴム中のゴム臭気の原因物質である揮発性脂肪酸等を選択的に吸着して、該物質起因の天然ゴムのゴム臭が抑制されることとなり、また、素練り時のゴム臭も低減されることとなる。上記濃度範囲の消臭効果を有するハイドロタルサイトを配合した消臭天然ゴム組成物では、各ゴム配合剤を添加して素練りした配合ゴムの加硫成型後における諸物性は、無添加物と同様であって変化はなく、添加による弊害はないものである。
天然ゴムの臭気発生原因は、天然ゴムに非ゴム成分として含まれるタンパク質の分解、脂肪酸の分解、若しくは成分間相互の反応等が挙げられている。しかし、明確な発生メカニズムは未だ解明されていないのが現状である。本発明者の検討によれば、天然ゴム製造工程における乾燥時に発生する臭気はハイドロタルサイトにより抑制できることが新規に判明したのである。
本発明の消臭天然ゴム組成物では、天然ゴムに消臭効果を有するハイドロタルサイトが配合されているので、天然ゴムの臭気発生が抑制されることとなる。また、本発明の消臭天然ゴム組成物の製造方法では、天然ゴム製造工程において、乾燥前に、天然ゴムにハイドロタルサイトを分散混合処理、または、天然ゴムをハイドロタルサイトの水溶液に浸漬処理、若しくは、乾燥工程後のドライプリブレイカーに、ハイドロタルサイトを投入するだけで、天然ゴムの臭気発生が抑制される消臭天然ゴム組成物を製造することができることとなる。
次に、実施例、比較例により、本発明を更に具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されものではない。
〔実施例1〜5及び比較例1〜5〕
下記表1に示されるように、ハイドロタルサイト(粉末)〔協和化学工業社製、KW−2200、以下同様〕、ハイドロタルサイト3%水溶液、比較例として、多孔質二酸化珪素〔東ソーシリカ社製、NS−T〕、6%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を用いて天然ゴムの消臭効果の評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。なお、比較例1は、コントロールである。
粉末又は水溶液の投入方法及び臭気濃度の測定は下記により行った。
(1)粉末又は水溶液の投入方法
粉末ハイドロタルサイトの投入方法は、乾燥後の天然ゴム(ビスケット)に下記表1に示される各配合量を添加して、ドライプリブレイカー(120℃設定、60秒 、60rpm)で練り込んだ。
ハイドロタルサイト水溶液、メタ重亜硫酸カリウム水溶液の投入方法は、上記各種濃度の水溶液中にUSS(450g)を1日間浸漬した。その後、120℃、2時間(TSR乾燥条件)で乾燥した。
(2) 臭気濃度の測定臭気濃度の測定方法
上記の投入方法で得た天然ゴム(USS)を、OOCバンバリーで素練りを行い(120℃設定、90秒、70rpm)、上部排気口よりガスを補集した。ガスは3点比較式臭袋法(「昭和56年度官能試験法調査報告書(環境庁)」)で臭気濃度を評価した。数値は低いほど臭気濃度が低く消臭効果があることを示す。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 2007238902
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5では、本発明の範囲外となる比較礼1〜5に較べて、臭気濃度が1/5以下となり、優れた消臭効果があることが判る。従って、粉末又は水溶液の各濃度で優れた消臭効果を発揮できることが判った。
本発明では、原料として天然ゴムを取り扱うタイヤ業界、コンベヤベルト業界などのゴム業界において、天然ゴムに含まれる特有の臭気成分の生成を抑制することができる産業上有用な、天然ゴム用消臭剤、消臭天然ゴム組成物及びその製造方法が得られる。

Claims (4)

  1. ハイドロタルサイトを有効成分とすることを特徴とする天然ゴム用消臭剤。
  2. 天然ゴムにハイドロタルサイトを配合したことを特徴とする消臭天然ゴム組成物。
  3. ハイドロタルサイトの配合量が天然ゴム100質量部に対して、0.05〜10.0質量部である請求項2に記載の消臭天然ゴム組成物。
  4. 天然ゴムの製造工程において、乾燥工程後のドライプリブレイカーに、ハイドロタルサイトを投入することを特徴とする消臭天然ゴム組成物の製造方法。
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